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▽レス始

「ある暑い日々のこと3 (さよならトロイメライ)」

洋端 (2006-11-05 11:38/2006-11-05 11:42)
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そんなこんなで自分達は、朝食の準備をしはじめた。
そんなこんな、と6文字で表わせられるようなことじゃないけど、そうしておく。

ちなみに食卓に並んでいるのは、
ご飯、肴の開き、汁物+αである。

ちなみに魚の開きは、炭素の塊じゃなく、普通であり、
汁物も沸騰していたりしてはいない。大丈夫だ。
いつも変なものを食べている自分にしてみれば、
嬉しいこと限りない。


「「いただきます」」

一緒に声を合わせて、食べ始めた。


まず最初に魚の開きから。
「うん、美味しいよ、八千代ちゃん」
「あ、ありがとうございます、藤倉様」
少し照れながらそう答えた。・・・かわいい。
そんな、無防備な笑顔を見ていると、頭の中で本能が声を掛けてきた。
(ようよう、兄さんよ、ご飯食べたら、襲い掛かるよなー?)
そんな考えにすぐに理性が飛んできて、
(だめだって!関係はないけど、義理は、マナー違反で、実は、ルール違反だ!
つか、普通に考えて、ナイフの5,6本装備してると思いますが!)
で、反論する本能。
(俺たちの前に理論なんてないんだよ!)
(な、なんだって!?)
そんな論争が頭の中でおきていた。


そして、八千代ちゃんとたわいのない会話をしていて
そろそろ終盤戦になってきた時、八千代ちゃんが突然きりだしてきた。


「あの・・・すみませんが、藤倉様は、目玉焼きは、もしかしたらお嫌いなんでしょうか?」


・・・・はい?


今なんと八千代ちゃんは、言ったのだろうか。
続けて、八千代ちゃんは言った。


「泉様に聞いていつも朝食には、目玉焼きをだしていると聞きましたので・・。
もしかして、泉様に遠慮して言わないのですか?」


え?あのはい?


俺は、別段目玉焼きは、嫌い、では、ない。炭素は除く。
「いや、嫌いではないよ。泉ちゃんは、少し砂糖が多めに入っているだけだよ」
なんか、後半の意味がよくわからなくなっている。
更に続けて、八千代ちゃんは言う。


「あのですね、ではなぜ
目玉焼きには、一切手(箸)をふれないのですか?」


あの、どこに目玉焼きが・・・・?

「・・・どこにある・・・?」
その答えに少し怒った声で、
「そこですよ。何いってるのですか、藤倉様。目の前にあるのに」


その指差す先にあったのは・・。


ピッカーーーーン
キラキラ


そこにあったのは、擬音がでてしまうほど、光が満ち溢れている目玉焼きであった。


―――――混沌としたカオス(目玉焼きの様なもの)をいつも見ていて
邪悪に染まっている目にとって、


―――――究極完全体においしそうなその目玉焼きは、
ものすごい光が後ろにあり、直視することが難しかった。


―――――それは、闇をかき消す希望の光のようであった。
そして今、自分の心のカオスが取り払われて、とてもいい気分だ。


目玉焼きを見て、たっぷりと10秒経過。
自分は、フリーズしながら、八千代ちゃんを見た。


で。


何かを悟ったらしい八千代ちゃんは、
顔を真っ赤にしながらいいだしてきた。
「あの、もしかしたら、い、い、いれてほしいのですか・・・?」


え?


あの、はい!?
今なんとおっしゃいましたでございましょうか?


ああ・・・あはは、もう駄目、かわいすぎる。壊れてしまう。
つか、何を悟ったんだよ。

そして理性が、ボロボロになっていたので、うなずいてしまっていた。


「そ、そうですか・・・わ、わかりました」


そして、身を乗り出してくる八千代ちゃん。
青コーナー、八千代選手の最後の攻撃。
その攻撃は、とてもサービスが多かった。


「あ、あーんをして下さい、兄さん」


・・・・・・・・・・・・・ぐは。もうだめかも。
例えるなら、
その八千代選手に攻撃によって
冬麻の精密機械は、ぶっ壊れた。
こんな感じである。


そして、口に入ってきた極上な味の目玉焼き。
その味は、天国に行ってしまいそうなほど美味しかった。
自分の人生において、こんなにも美味しいものは、食べたことが無かった。


じっくりと時間を掛けて、その美味しすぎる目玉焼きを食べおえた。
そして八千代ちゃんがきいてくる。
「あ、あの、ご感想は、ど、どうでしたか?まずかったでしょうか?」
「とっても美味しかったよ。ありがとう」
つか、これをまずいといったやつがいたら、殺すし。
「あ、ありがとうございます、藤倉様」
でもさっき、お兄さんと、聞こえたのは、どうかと。
着物+美人+年下に朝食というコンボは、どんな男でも一撃である。
まあ、八千代ちゃんと付き合うのは、難しいと思うけど。


そんな大感激のあった朝食は、永遠に続くわけでもないので、
終りの時間がきてしまった。


「「ご馳走様でした」」

最初と同じ様に声を合わせて言った。
「八千代ちゃん、ありがとう。助かったよ」
「いえいえ、当然のことですから」
そんな事を言って、ドアに近づいていく時、
自分の中で、葛藤のようなものがおきた。

(ようよう、ココは、本能に身をまかせたら、どうだい?)
それに対して。
(だめです。これが正しいです)
(でもさ〜、朝食の食材を持ってきて、とても美味しいものを
食べさせてくれたのに、お礼が一つだけってどうよ?)
少し劣勢になった理性。
(だ、だったら、どうすればいいんだよ!?お金でも渡せばいいのか!?)
(現金なやつだな。物{お金}より思い出{ナニカ}だろ?)
(お前に言わせる価値はねぇ!)
(だったら、実力行使だ!)
(受けてたってやるぜ!いつもどおりに返り討ちにしてやる!)
(連敗しているだけじゃないんだよ!)


そして、いつも連敗している本能派と連戦連勝負け無しの理性派が
戦かって、そして。


「八千代ちゃん」
ドアの近くまで、行っていた八千代ちゃんに声を掛けて止めさせた。
はい、と言って止まった八千代ちゃんを後ろから唐突に、ぎゅっと、抱きしめた。

「いつもいろいろ迷惑掛けて、ごめん。そして、夏バテでばてていた
こんな自分のために、美味しい朝食を作ってくれてありがとう。
本当にありがとう。こんな行動でしか、感謝できない俺でごめん」

そう、本能派が、勝ってしまったのである。何かを使って。
なので、この行動は、感謝というより欲の方が強い。

そして、八千代ちゃんはというと、本日二回目のパニックである。
じたばたしたいが、体を動かすことができない。
そう、後ろから抱きしめられているから。
少しの時間だけ暴れたが、だんだんおとなしくなってきた。
そして、急に照れてきていた。

(ちょ、ちょっと待ってください。藤倉様。こ、こっちの意見も
い、言わせてください)

そして、藤倉の体温を感じている中で、八千代は口を開いた。

「か、感謝すべきなのは、こ、こちらです。
め、迷惑なことをしてしまったのに、藤倉様は、何も
言わなかったので・・・。あ、後私も久しぶりに、リラックスできたので
嬉しかったです・・・。なので、なので」

そこで切った八千代ちゃんは、こんな言葉を紡ぎ出した。

「私からも、感謝したいから・・・・抱きしめさせてください」

そんな言葉を聞いたら、腕を離さない男がいるだろうか。
腕を放して、こちら側を向いた八千代ちゃんは、林檎の様に
顔が真っ赤であった。

「行きますよ・・・」
そんな言葉とともに、抱きついてきた。
体に来る八千代ちゃんの体温。

八千代ちゃんの顔を見ると、すぐ近くにあった。
こんなに近くだと、キスもできるであろう。
いつもなら、理性がそんな考えを抑えるであろうが、
今現在は、本能が勝っていた。

そして、お互い、頷くと顔を近づいてきて、そして________________


ピンポーーーーン
ピンポーーーーン


そんな音(邪魔者)とともに次の声が聞こえた。

「とーまさん、おはようございます!あんまり遅いんで、きちゃいました。
どーしたんですか?もしかすると八千代ちゃんと何かあったりするんですかー?」


「・・・・・・」

その何かあったりする状況である2人は、暫し黙った。
そして、お互いの黙って状況は、少しばかりやばいので、
藤倉は、口を開いた。
「と、とりあえず、この朝の出来事は、2人の秘密にしておこう。
泉にばれると少々やばいし」
「はい、そうします。この秘密は、墓場までもっていきます・・・・
に、にいさん」

そんなことをいい、お互い顔を真っ赤にしたまま離れ、その真っ赤が治るのを
確認してから、2人は、ドアから出て行った。


その日の昼飯。
昨日とは、手の平を返したように元気な冬麻を見て、
カンナは少し疑問に思った。

「なあなあ、トマぴょん。何でそんな元気があるんだい?
なんかあったんかい?」
そんな質問に対して、冬麻は、八千代をチラッと見て
「まあ、うんありました」
冬麻の視線を見て、カンナと春太は、了解したらしく
「トーマス、いつもそれのほうが嬉しいんじゃないか?」
「春やんそれは、いわへんほうがいいの。
それを言うと、落ち込む人が少しばかりいるやん」
なるほど、カンナのいうとおりに泉ちゃんが
落ち込んでいるではないか。死んじゃう発言の前に何かいわなくては。
「泉ちゃん、大丈夫だよ。日常には、時々アクセントが必要なの。
だから、これからも泉ちゃんの食べるよ」
「そ、そうなんですか。泉、嬉しいです!」
泉ちゃんは、そんな事を言い、抱きついてきたが、アイコンタクトで、
八千代ちゃんに又お願いしますとお願いした。
それに対し、八千代ちゃんは了解したらしく、頷いてくれた。

そんなやり取りを見ていた2人は、会話から外れている
都を見て、2人は
「なーんか落ち込んでいるねん。都ちゃん。
「まあ、仕方ないというか、かわいそうというか」

そんなこといざ知らず、時間だけがその空間は流れていくのでした。


少し時間がたってから。
都と八千代は話していた。
「藤倉、元気そうね。ありがとうね」
「いえ、私は、都様に言われたまでです」
「朝、泉が呼び出しに行くほど、何かあったの?」
「ありません・・・・」
その答えを聞き、都は、どこか遠いところを見るように
視線を送るように、答えた。
「そう、わかったわ。・・・あたしがしても、
果たして、あそこまでできるのかな・・・・」
「できますとも、都様なら」
八千代は、都様が落ちこんでいることはわかるが、
なぜ落ち込んでいるかは、わからないのであった。
なぜなら・・・恋をしたことが無かったのである・・・・・。


おまけ
理性と本能    題 げんそーごろし

理性と本能は、かなり争っていた。

「何が物より思い出だ。成敗してやる」
「そっちがその気なら、やってやるぜ」

脳内裁判所は、いきなり戦場となった。

理性は、魔法使い系統であるため、魔法を使う。

対して、本能は、戦士系統なので、拳を使う。


そして、理性派は、本能派を倒すべく、魔法を唱えた。

「我が名、理性同盟の名において、命令する。
敵、本能を浄化すべし力よ、ココに集まれ。
来たれ力、地よ火よ風よ水よ、それらが混ざりし魔術よ、
敵を浄化せよ!!ホーリー!!」

理性派の最高の攻撃に対して、本能派は、不敵に笑っていた。
「こちらだってな、毎回負けてばかりじゃ、祖先に申し訳ないんでな」

理性は、唱えた魔術、ホーリーが、本能派を包んだ・・・。
「何だ、何もないではないか」

そんな言葉もつぶやいた瞬間、本能派を取り囲んでいた光の檻が
崩れ、消えた。

「こちらだってな、毎回負けてばかりじゃ、祖先に申し訳ないんでな」
先ほど全く同じ言葉を呟いて、右手を突き出した。

「ぐ、偶然だ!もう一回やるぞ!」
そんな言葉とともに、今度は、まっすぐ本能派に向かって行った。

「我が名、本能同盟の名において、発動する。
我が拳、異能を消し去る拳とならん!!
我が拳、白に打勝つ黒となり!
俺らの拳が真っ赤に燃える!
喰えら!爆裂 イマジンブレーカー!!」

真っ直ぐにきたその魔術は、綺麗に消え去り、
その拳は、理性派に届き、壊滅させた。


そしてそう、まれに見る、本能が勝ってしまったのであった・・・。


あとがき


こんにちは、限りなく、ひさしぶりです。
よかった・・・・新刊(12月9日ぐらい)が出るまでに書き上げれて・・・。
ココ最近、読んで(&書いて)ないので、自分のトロイメライの味が
落ちてなければいいのですが・・・。
オマケに対しては、続く可能性は、あります。
あまり評価がよろしくなかったら、止めますが。
・・・他の作品のネタって使っていいんでしょうか。
ミステリー要素は、これからの数回は、0になりますので、
ミステリー要素は、期待しないで下さい・・・、


返信です


>目覚まし様
行けるとこまで、いけました・・。
更新がかなり遅いですが。

>読石様
ええ、本能が勝ってしまいました。

>諒斗様
更新遅いですが、頑張っていきます。

>e1300241様
ありがとうございます。
結構書いても、半分なのですね・・・。
さらにふにゃふにゃになってしまっています・・。
壊れにしたほうがいいのかな、この作品。


さて、カンナたちはどうやって都を元気づけるのだろうか。
また、理性派は、どうやって本能派に勝つのだろうか。
それは、又今度で。
以上、洋端でした。

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