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「ガンダムSEED Destiny――シン君の目指せ主人公奮闘記!!第十一話 迫る選択の時  後編の1 (SEED運命)」

ANDY (2006-10-24 14:55)
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 プラントの人工の空間を埋め尽くすように照らされる夕暮れの日差しが満ちる中、アスラン達三人は途中で買い求めた花束を持ち、かつて同じ隊にいたミゲル・アイマン、ラスティ・マッケンジー、そして最後にニコル・アマルフィの墓にそれぞれ花束を供え、墓に敬礼をした。
 そのときに三人の脳裏に浮かんだのは、決して戻ることのない思い出であり、取り除くことが難しい後悔であった。
 どれほど敬礼を捧げていたのだろうか。三人がほぼ同時に敬礼を解くのと同じく、アスランはイザークにあることを尋ねた。
「『積極的自衛権の行使』……やはりザフトも動くのか?」
 アスランが苦く呟く質問に、イザークは憮然とした態度で答えた。
「仕方なかろう。核まで撃たれて、それで何もしないというわけにはいかんからな」
 胸の中にわきあがる感情を抑えるように、押し殺した声でそう答えるイザークの後をディアッカが引き継ぎ補足した。
「俺達は第一派攻撃の時も迎撃に出たけどな、奴等間違いなくあれでプラントを壊滅させる気だったと思うぜ」
 口調こそ軽くだが、その声に潜んでいるのは隠し切れない怒りであるとアスランには感じられた。
 ディアッカの言葉を聞き、アスランはやるせ無く思ってしまった。
 なぜ、こうも憎しみと悲しみしか生まない行為を簡単に選ぶことが出来てしまうのだろうか。
 彼らにとって命と言うのは一体何なのだろうか。
 湧き上がることを止めることの出来ない疑問と、見つけることの出来ない答えを考え悩んでいるアスランの耳に、イザークが不機嫌そうに問い掛けた。
「で、貴様は?」
 その突然の問い掛けに、アスランは驚きながら振り返った。
「え?」
 イザークは苛立ちのこもった口調でアスランに問い掛けた。
「何をやっているんだ、こんな所で!」
 その言葉とイザークの真剣な眼差しに飲み込まれたのか、アスランは目をそらす事が出来なかった。
 そしてなおもイザークは問い掛ける。
「オーブは?どう動く!?」
 その真剣な問いに、アスランは苦い物を含んだ口調で答えた。
「………まだ、分からない」
 そのアスランの態度に、一瞬体を固めたイザークだが、硬直が解かれると同時にアスランへと呼びかけた。
「戻ってこい!アスラン!!」
 その言葉を耳にしたアスランは驚いた。
「事情はいろいろあるだろうが、俺がなんとかしてやる。だからお前はプラントへ、ザフトへ戻ってこい!!」
 その言葉を聞いてイザークの方を向いたアスランだったが、イザークの真摯な瞳を正面から見る事が出来ずに、目をそらし俯いてしまった。
「いや……しかし……」
 そう言って話をうやむやにしようとしたアスランに、イザークは熱い思いを込めて説明した。
「俺だって、こいつだって、本当ならとっくに死んだはずの身だ」
 そう言うと、イザークはディアッカの方に顔を向け、ディアッカは同意するように頷くだけで口を開かなずに二人のやり取りを静観していた。
 2年前、イザークは避難民が乗っていたシャトルを敵の高官が偽装して乗っていると思い撃墜し、ディアッカは戦時中にラクス・クライン達を旗印とする第三勢力に参加し、ザフトとの戦闘をしていた。それぞれ重罪となりうる行為でしかない。
 その中、イザークは何故自分たちが生き延びているのか話した。
「だが、デュランダル議長はこう言った」
 そう言ってイザークは、戦後に起きた裁判で自分たちが刑に処されようとした時にデュランダルが述べた言葉を口にした。『大人達の都合で始めた戦争に、はやし立てるように若者を送って死なせ、そこで誤った行為を罪と言って、今また彼等を処分してしまったら、一体誰がプラントの明日を担うと言うのです?辛い経験をした彼等達にこそ、私は今より素晴らしい平和な未来を築いてもらいたい』
 イザークは、その言葉を聞いたからこそ自分は今ここにいるのだと告げた。
「だから俺は今も軍服を着ている。それしか出来ることがないが、それでも何か出来るだろう。プラントや死んでいった仲間達の為に」
 アスランは、今の悩み躊躇っている自分とは違い、確実にイザークは前に悩みながらも進んでいるということに気がついた。
「イザーク……」
 憧憬の思いを込めてそう呟いたアスランの声が届かなかったのか、イザークは何の反応も示さずにアスランにはっきりと自分の思いを告げた。
「だからお前も何かしろ!それほどの力、ただ無駄にする気か!!」
 そう言われたアスランは、何も答えずに視線をずらしたが、その瞳の中には先ほどまで浮かんでいなかった決意の光が宿り輝いていた。


 ユウナ・ロマ・セイランは、自身の秘書であるレナス・アレグリアからの報告を自室で聞き、肩の荷が一つ下りるのを感じた。
「どうやらあの艦の艦長はバカじゃないようだね。ま、バカが新造艦の艦長なんて役職につけるわけない、か」
「はい。おそらく、遅くともこの一両日中には出港するかと思われます」
「ふむ。早ければ早いほどこちらとしてはうれしいんだけどね」
 そう答えると、ユウナは傍らにおいていたコーヒーを一口口にした。
 そんな自身の主を皆がら、レナスは次の報告を開始した。
「次にですが、地球軍の方に動きが見えます」
「ん?」
「カーペンタリアの方へ向かわせるはずであった部隊の多くがこちらに向かっているとの情報が届いております」
「へ〜。理由はどっちで?女神?それとも宝玉?」
「宝玉の方が確率は高い、とのことです。プラント制圧の後に地球上のプラント勢力を壊滅させようとしていた部隊ですので、それなりの武力を有していると思われます」
 レナスの報告は正しく、プラントへの核攻撃が成功した後にカーペンタリアなど地球上のプラントの勢力圏を物理的に消そうとしていたのだが、計画は大本から頓挫してしまったため、急遽それらの戦力を中立を掲げている国々への恫喝を目的とした部隊として向かわせることにしたのだった。
「まったく。また二年前の焼きまわしかい。言うことを聞かすために武力を振りかざすなんて。そんなことをしなくても、経済政策や輸出入経路を塞ぐだけで島国であるオーブは白旗を掲げるしかないって言うのに。どうしても血を流させたいのかな」
 ユウナのどこか嘲るような声に応えるものはどこにもいなかった。
 ユウナの言うとおり、オーブと言う国の立地条件上、自国のみで国民を養えるほどの食料自給率は高くなく、多くは他国からの輸入で賄っているのが現実である。そんな国を従わせるには、武力でなく食料を抑えれば簡単なのである。一種の『兵糧攻め』をかけてしまえばよいのだ。実際にせずとも、そのような雰囲気を示唆するだけで事足りるのに。それをしない地球軍が、ユウナには理解不能であった。
 ユウナの言い分に同意しながら、レナスは報告を続けた。
「それと、モルゲンレーテのほうですが、ユウナ様の睨んだとおり、いくらかの用途不明な資材・設備の流れが確認できました。巧妙に支社の方へと輸出したという報告になっておりましたが、その全ての支社に当たったところそのような事実は存在しない、とのことです」
「やはりね。それで、その内容から推測できるのは?」
「はい。流出された資材等から推測するに、一隻の戦艦とMSの建造が可能なものであります」
「ふむ。戦艦にMSか………どこかのテロにでも支援しているんだか。それとも―」
 そう呟きながら立ち上がったユウナは、窓から見える街並みを見つめながら呟いた。
「―クーデターでも起こすつもりなのかな」
 その声は、温度を感じさせない、無機質で無感動で無情な響きを持っていた。
「わかりません」
 そんな声を聞きながら、レナスは姿勢を崩すことなく報告をその言葉で締めくくった。
「そう。モルゲンレーテのほうはそのままの体制で内調の方を進めるように指示を。それと、アスハ家の草の方にも目を光らせるように。特にモルゲンレーテ関係者からの訪問、連絡には厳に臨む様に、と」
「わかりました」
 そう答えると、レナスは与えられた指示を遂行するため部屋から出て行った。
 そんなレナスの姿が見えなくなると、ユウナは憤怒の表情を浮かべて力いっぱい机を叩きつけた。
「クソが!」
 普段決して口にしないスラングを口にしながら、ユウナは自身の婚約者へと思いを馳せた。
「まったく、君は何も知らなさ過ぎる。君が今座っている椅子が、どのような思いの上で作られた血まみれの玉座であるかを知らなさ過ぎる」
 そういうとユウナは、冷え切ったコーヒーを一気に煽るのだった。

 ユウナ・ロマ・セイランとカガリ・ユラ・アスハの婚約と言うのは、一種の政略結婚めいたものである。
 なぜ、五大氏族でなかったセイラン家のユウナが、五大士族の中でも最も力のあるアスハ家の姫と婚約を結ぶことになった二人の関係を説明するためには、ますセイラン家とアスハ家の関係を説明しなくてはならない。
 そもそも、セイラン家とアスハ家は元々は祖を同じとする一族であったのだが、ある時、当主の子供に双子が誕生した。
 双子が生まれ、その二人が醜い権力争いに巻き込まれることを良しとしなかった当主が、双子の一人に与えるために作られたのがセイラン家であった。
 その結果、セイラン家はアスハ家の分家としての立場を得たのだが、それはその後数奇な運命をたどることとなった。
 当時の初代当主は、残された資料から推察されるに、あまり才気溢れる人間ではなかったためか当時のアスハ家当主の命から分家である、と言う事実が抹消されることになってしまった。
 それだけならばよかったのだが、それから数十年後、アスハ家へセイラン家から嫁ぐ子供が選出されたのだった。
 当時アスハ家にいた子供は、先代の娶った女性の連れ子であり、子宝に恵まれなかったのか子供はその子供一子であった。
 当時からなぜか血筋を尊んでいたアスハ家は、血筋を絶やすことを良しとしないために同じ血筋であるセイラン家から子供を娶ることで血筋を繋げようと考えたのだった。
 それ以降、セイラン家はアスハ家の次期当主が女性、養子の場合、セイラン家の意思の有無なく婚約を結ばれることになってしまった。
 そのような密やかな、それでいて一方的な関係が続いていく年月、ユウナとカガリは古からの約定に従い婚約を結ぶこととなったのだった。
 婚約の存在を知ったユウナは、当初こそその理不尽さに憤ったが、当代のウズミがその慣習を嫌っていたため自身の婚約は破棄されるであろうと読んでいた。だが、その読みは外されることになってしまった。
 地球軍のオーブ侵攻によるウズミ他五大氏族の自爆で、婚約を破棄できる権利を持った人物が消えてしまったためであった。
 だが、ウズミの血を引いているカガリ本人が、生涯の伴侶を見つければ自然と婚約も破棄されるので、ユウナはカガリが誰かよい人を見つければよい、と復興の傍らに考えていた。
 だが、その考えも一蹴にされてしまった。
 宇宙から帰ってきたカガリの傍にいる『双子の弟』によって。
 オーブに残された記録からは、ウズミの子供は『カガリただ一人』と示されているのに、『双子の弟』と言うその矛盾する存在。
 そこから導き出される答えは、『カガリはアスハの直系ではなく養子』と言うことであった。
 その事実を知ったユウナは、自身の婚約は解消不能であるということを知ってしまった。
 カガリの双子の弟と言う存在を、オフレコの存在として扱えばよかったのだが、カガリは自身の別邸をその弟へと譲渡する手続きをバカ正直に行ったため、白日の下にさらされてしまい、多くの新五大氏族のものの知ることになってしまった。
 そのため、ユウナの『アスハ家の婚約者』という立場が不動のものへとなってしまったのだった。
 そして、アスハ家の持つ一面を知らないカガリは、ユウナのことを『親に決められた婚約者』としか認識していなかった。その事実に、ユウナが今は彼岸の人であるウズミへと文句を自身の語彙能力を使い尽くした暴言を吐いてしまうのは仕方がなかった。
 そして、ユウナは政治的理由からその運命からは逃げ出すことが出来なくなっていた。
 だが、ユウナは今その立場を利用した案を考えていた。
 窮地に立たされているオーブを救うための案を。そのためには、ユウナは自身の結婚をも利用しようと考えていた。
 たとえ、年端も行かない少女を『傀儡の王』とすることになっても。

「今は、この『婚約者』と言う立場を大いに利用させてもらおうか」
 そう呟くユウナの顔には、熱い何かが浮かんでいた。


 ミネルバでは、タリアがバートに命じてカーペンタリアに通信を試みていたものの、通信する事はかなわなかった。
「駄目です。地球軍側の警戒レベルが上がっているのか、通信妨害が激しくレーザーでもカーペンタリアにコンタクト出来ません」
 その返答にタリアはしばし考え込むと、考えが纏まったのか指示を出した。
「いいわ。命令なきままだけど、ミネルバ明朝出港します」
「艦長……」
 その言葉を聞き、唖然とした表情を浮かべたアーサーに、タリアは毅然としながら説明した。
「下手をしたら私達自身が火種になる、と言うことはわかっているわ。でも、現状では上との連絡も取れず、敵か味方かも危うい立場のところに止まり続けることで、乗員の命を危険にさらしたくないの。日誌に書いてもかまわないわよ」
「いえ。わかりました。ミネルバは明朝出港します。各関係部署にはマニュアルどおりに当たるように通達します」
 タリアにそう答えると、アーサーは傍らに立っているアリシアに指示を出しながら、自身もインカムを使い連絡を取るのだった。
 そんな二人の様子を頼もしくみつめながら、タリアはこれから起こり得るであろう最悪の事態を想像し、それにどう対処するべきか考えるのであった。

 それぞれの思惑が交錯したまま、月は沈み、日は昇った。

 夜明けと共に、ミネルバが停泊していたドックに海水が注水され始め、それと同時にアナウンスが鳴り響いた。
『発進は定刻通り。各艦員は最終チェックを急いで下さい。砲術B班は第三兵装バンクへ』
 暁の光をその身に浴びながら、女神は大海原へとその身を踊りだそうとしていた。
 その勇壮なる姿を見送るドックの要員たちは、それぞれが思い思いの表現で女神の出航を見送っていた。
 あるものは感謝を。あるものは謝罪を。あるものは祈りを。それぞれ込められた思いを背に受け、女神は出港した。

『コンディションイエロー発令。パイロットはブリーフィングルームへ集合して下さい』
 メイリンのアナウンスを耳にしながら、シンは上着を着ながら傍らにいるアリアに尋ねた。
「先生。ステラのほうは問題ないんですね」
 傍らのベッドに眠るステラの様子は、当初の頃と比べれば血色もよく、呼吸も安定しているように見えた。
「ええ。オーブのほうで中和剤をいくらか搬入できたのと、知り合いの医師にも来て頂いたから」
 その説明にシンは驚いた。艦の中に民間人を入れたということもそうだが、オーブにそんな名医がいたと言うことが大きな衝撃だった。
「どんな名医ですよ、それ」
「私達、いわゆる西洋医学とは別ベクトルの東洋医学の権威でね、鍼灸や気孔で人間の回復を助けるのを専門にしている人が知り合いにいたから探してみたの。それで病状を伝えたら、すぐに了承してくれて治療に当たってくれたのよ」
 その説明を聞き、シンはそう言えば数日ステラの姿が医務室に見えなかったのはそのためか、と納得していた。
「その先生のおかげで、ステラちゃんの体内の毒素の多くが汗などで排出されてね、あとは定期的に中和剤を投与し続ければ山を一つ越えることはできるわ」
 そう言い伝えるアリアの顔には、医者としての威厳に満ちた色と、一つの命を救うことに活路を見出した喜びの色が浮かんでおり、とても美しかった。
「そうですか。じゃあ、お願いしますね。あ、それと、サトーのおっさんの方はどうなんですか?」
「彼のほうは、相変わらずよ。必要最低限の会話しかしないけど、心身ともに健康」
「そうですか。じゃあ、そろそろ俺は行きます。先生も有事の際には気をつけてくださいね」
「ええ。わかったわ。それと、あまりビタミン剤に頼らない方がいいわよ」
 アリアの忠告に苦笑しながら頷くと、シンは急いでブリーフィングルームへと向かうのだった。
 その後姿を見送ったアリアは、今日の予定を確認した。
 そこには『捕虜のメンタルチェック』という項目が書き記されていた。


 世界最大の面積を有する太平洋上を、鉄の一団が勇壮に進んでいた。
「副長。オーブへは後どれ位かね」
 一団の旗艦である軍艦の艦橋で、大佐の襟章をつけた男が傍らの少佐の襟章をつけた男に尋ねた。
「は。波が穏やかなのであと二時間ほどで領海に到達します」
 男の報告を聞き、大佐は満足げに頷くと諜報部からよこされたデータを見ながら口を開いた。そのデータには、オーブのドッグに抑留されているミネルバの姿があった。
「そうか。彼の国は、地球の一国家でありながら空の化け物どもの軍艦を迎え入れている。我々はその誤った行いを是正してやらねばならない。いわば、我々の行いは正義の行いなのだ」
 大佐のその言葉に感動したのか、少佐は上ずった声で応じた。
「は!了解しております。乗組員全てがそのように認識しておりますのでご安心を」
「うむ。それは心強い。すべては青き清浄なる世界のために」
 少佐の声に納得したのか、大佐は鷹揚に聖句である言葉を口にした。
「は。青き清浄なる世界のために」
 少佐も、そして艦橋にいた全員がその聖句を口にして応じた。
 この一団は、全てがブルーコスモスで構成された対コーディネイター部隊の一団であった。そのため、異様なその雰囲気に異を挟むものは存在しなかった。


「―以上が、イカロスを使用上の注意点だな。何か質問はあるか?」
 コアスプレンダーに乗り込みマニュアルを読んでいるシンに、エイブスはそう尋ねた。
「いえ。了解しました。にしても、なんかこう改めて説明されると驚きのないようですね」
 どこか呆れた様子でそういうシンに、エイブスも苦笑しながら応じた。
「まあな。まさか、支援機の装甲をラミネート装甲で作り上げるなんてな。資金に余裕がある国じゃないと出来ない発想だわ」
 エイブスの口にしたように、イカロスはその全体の装甲をラミネート装甲で覆われているという、信じられない構造であった。
 そのため、空中戦での敵からの攻撃により撃墜される、と言う可能性が著しく低いという、従来の兵器ではありえない防御率を有していた。
「さすがはオーブ、って言うところですか?」
「ああ。さすがは『不沈艦』を作り上げた国だな」
 エイブスの言葉を聞きながら、シンはイカロスが小型版アークエンジェルに思え、それと同時にこれを譲渡したセイラン家に対して言いようのない感触を持ってしまった。
(こんな高性能機を譲渡するなんて、セイラン家はプラントとのパイプを持とうとしてるのか?)
 疑問は湧き上がることを止めないが、それらを一旦無視してシンはエイブスにお願いをすることにした。
「あ、そうだ。エイブスさん」
「ん?」
「こいつの名前ですけど」
「『イカロス』がどうかしたか?」
「その名前を変更してもいいですか?イカロスって言う名前はさすがに縁起が悪いんで」
 苦笑しながらそう願い出るシンに、エイブスは頷きながら言った。
「ああ。いいぞ。どの道秘密裏に譲渡されたものだからな、登録名を変えておいたほうが後々問題にならないだろうからな。で、どんな名前にするんだ?」
 その言葉を聞き、シンは頷くと新たなる相棒の名前を口にした。
「『Gイーグル』で」


 オーブの領海から出ようとするミネルバより十海里ほど先行する機影があった。
 フォースシルエットを装備したインパルスが搭乗するGイーグルであった。
「こちらインパルス。テスト飛行良好。それと目視で異常は見られず」
『こちらミネルバ。了解しました。ですが、依然として警戒を厳にしてください』
「了解」
 メイリンの声を聞きながら、シンはモニターに広がる海原とレーダーに視線を向けた。
 今回の先行飛行は、実際にGイーグルが使い物になるかテストをするのと共に、レーダー代わりとしての索敵が目的であった。
 また、フォースシルエットなのは、万が一Gイーグルが不具合を起こした場合に単機でミネルバに帰艦できるための措置であった。
 だが、そんな心配をよそに、Gイーグルはその性能を遺憾なく披露していた。
「これは、下手なMSよりよっぽど高性能なんじゃないのか?」
 加速性能や旋回性能などを確かめながら、シンはそう感想を口にした。
 ザフトが持っている支援飛行機であるグウルよりも高性能なのは明らかであり、オーブの力の一端を見せられた気がした。
(これが目的か?オーブの技術力を見せることでザフトにオーブの有能性を見せて、人知れず支援を取り付けようって言う気なのか?二枚舌外交を狙うなんて、本当にオーブの人間か?)
 シンは、ここに来て初めてセイラン家、ユウナに恐怖に似た驚きを感じた。
 このような高性能機を譲渡されれば、上層部もその技術力が地球軍に渡るのを嫌い、何らかの政治的アプローチや、万が一オーブが焼かれた場合の人材確保を目的とした難民受け入れの体勢を取らずにはいられないだろう。もし、それを狙ったとしてのこの機体ならば、ユウナは恐ろしい男と言うことになる。
 そんなまだ見ぬユウナに思いを馳せていると、レーダーに反応が生じた。
『レーダーに感。多数の熱紋を確認』
「?!ミネルバ、どうやらお出迎えがいるみたいだ!!」
 レーダーをざっと確認したシンは、ミネルバに通信を繋げるとすぐにVPS装甲を起動させた。
「さて、初陣だぞGイーグル。お前の力を見せてみろ!!」
 続いてGイーグルを飛行形態から戦闘形態へと移行させた。
 シンの指示を受けたGイーグルはその形を変容させた。
 主翼の内側に内蔵されていた二連装リニアガンが起動し、機首の20mmCIWSがその姿をあらわにした。
 全ての武装が解除されたのを確認したシンは、号砲が放たれるのを待った。
 それは、ミネルバがオーブ領海から出ると同時に放たれた。


「インパルスが敵影を確認!」
「確認します。これは……地球軍艦隊です!ステングラー級4、ダニロフ級8、他にも10隻ほどの中小艦艇を確認。本艦前方左右に展開しています」
 バートのその報告に、艦橋内が一気に緊張に支配された。
 一瞬顔を険しくしたタリアは、すぐに気丈な顔に戻ると矢継ぎ早に指示を飛ばした。
「コンディションレッド発令!!ブリッジ遮蔽。対艦、対モビルスーツ戦闘用意。インパルスには、こちらからは手を出さないようにと伝えて」
「え?」
「積極的自衛権の行使、と上が決めてるんだから、こっちから攻撃を仕掛けるわけには行かないのよ」
「は、はい」
 メイリンにそう説明したタリアは制帽を正し、その傍らではアーサーがミネルバの武装を解除していた。
「ランチャー2、ランチャー7、全門パルシファル装填。CIWS、トリスタン、イゾルデ起動!」


「まったく。こうもまた戦闘になるなんて」
 自機の起動を行いながら、ルナマリアはそう口にした。
『ぼやくな。地球軍側からすれば、ザフトの新造艦を沈めたという実績を片手にオーブに進行したいんだろう』
「だったら、私達ってオーブのとばっちりを食らったの?」
 レイからの通信にそうルナマリアは尋ね返したが、レイはいつもの落ち着いた声で返した。
『さあな。だが、地球軍がザフトの艦を見逃す、と言うことはありえないからな。必然であったのかもな』
「何を悟ったように言うんだか」
 どこか達観したように言うレイに、ルナマリアは呆れた声でそう返した。

『おい、レイ。ケルベロスランチャーの方は使用可能だが、どうする?ガナーのほうを背負うか?』
「……いえ。ブレイズの方を背負います。その方が戦術的な広がりがありますので」
『わかった。ケーブルの方には対ビームコーティングをしておいたからそう気にせずに撃て』
「はい。わかりました」
 エイブスとの武装での会話を済ませたレイは、最終チェックを行った。
 レーダーの片隅に、インパルスがそろそろ戦闘領域に入るという情報が映っていた。
 それを見てレイは、飛行能力のない機体を恨めしく思った。
 もし、もう一機飛行可能な機体があれば、あの時奪取した機体がカオスであったら、シンを一人であんな危険な場面に見送らずにすんだのに。
 レイはそう思うと、すぐにそれを胸の奥に押し込んだ。
 そして、シンが戻ってこれるようにするため、ミネルバを守りきろうと心に誓うのだった。


「おいでなすった!!」
 降りしきるミサイルの雨をかわしながら、シンはレールガンとビームライフルを放った。
 レールガンの銃身基部は、自由度の高いフレキシブルアームを介し接続されているためほぼ全方位に渡る射界を確保可能であった。よって、レールガンでの迎撃が可能となっていた。
『敵艦よりMS多数出撃』
「ドッグファイトか!行くぞ相棒!!覚悟の準備は万端か!」
『覚悟完了!!』
 ノリのよいインフィの反応に快くしながら、シンはスラスターの出力を上げて飛翔させるのだった。


「インパルス戦闘を開始しました!」
「インパルスの援護を!MS隊にはインパルスが撃ち洩らしてきた敵機に気をつけるように言って」
「イゾルデ、ランチャーワン1番から4番、パルシファル、てぇ!!」
 敵艦からの砲撃でゆれる艦橋内で、アーサーの声が勇ましく響いた。
 アーサーの号令と共にミネルバから放たれた火線の内の幾つかが、地球軍の戦艦に命中し破壊した。
 それにひるむことなく放たれる敵艦からの砲撃を、マリクの巧みな操艦が回避を成功させていた。
 押し寄せる大軍を前に、ミネルバは孤軍奮闘すべく海原を突き抜けるのだった。


「墜ちろー!!」
 Gイーグルの加速性能を活かし、上空からのウィンダムの攻撃をかわしながら反撃の一撃を加えると同時に体を襲う急激なGにシンは歯を食いしばりながら耐えていた。
(くー!!コイツが搬入されてから内臓を鍛えるように無理をして、ここ最近固形物が受け付けられなくて栄養剤や注射で過ごしていたって言うのに、やっぱりかなりキツイな!!)
 暴力的な力で自分の体を苛むGにシンは苦笑を浮かべつつ眼光を鋭くさせながら、ウィンダムの編隊を崩すように突撃した。
 それを好機と見たのか、ウィンダム数機がライフルの一撃を放つが、その瞬間インパルスはGイーグルを足場にフォースシルエットの翼を広げ単独で飛行し、ライフルの一撃を放った一角の機体をすれ違いざまのサーベルの一撃で屠って行った。Gイーグルのほうは、そのラミネート装甲の防御力でビームの直撃を受けたにもかかわらずなんら支障なく海原を疾走していた。
 単独で飛行を開始したインパルスに、ウィンダムたちは慌ててライフルの銃口を向けるが、そんなウィンダムたちを嘲笑うかのように足元から突如攻撃が加えられた。その攻撃により、ジェットストライカーを壊され海へと落下するものや、僚機を巻き込み墜落するものと被害が出た。
 慌てて下を確認したウィンダムが見た光景は、自走するGイーグルがレールガンの銃口を垂直に構えこちらに攻撃をしている姿であった。
 その事実に驚いたのか、一瞬ウィンダムたちの動きが止まる。戦場ではその一瞬が命取りであり、その一瞬に躊躇うほど素人臭い考えをシンは持っていなかった。
 急降下しつつ放ったビームはウィンダムを貫き、ジェットストライカーを壊し、四肢の一部を確実に奪っていった。
 そして海面に到達する寸前に、インフィが操作していたGイーグルに飛び乗ると、Gイーグルのスラスターとフォースシルエットのスラスターを併用してその爆発的な加速力で別の戦場へと駆け抜けるのだった。


「このー!!」
 裂帛の気合の声と同時に放たれたオルトロスの一撃がウィンダム数機をまとめて落とすが、その射線から外れていた機体が翼の先端に装備されているミサイルを放ってきた。
 そのミサイルの群れをミネルバの40mmCIWSがことごとく打ち砕くが、そのうちのいくつかがミネルバの船体に当たるようになってきていた。
「もう!キリがないのよ!!」
『ぼやくな』
 減る様子を見せない敵に悪態をつくところに、レイからの通信が入ってきた。
「そうはいってもね!!」
 言葉と同時にオルトロスを放つ。今回は回避されたが、その回避した先でミネルバのミサイルを受け海の藻屑へと変わるのを横目にしながら、レーダーを確認した。
 レーダーには、依然としてMSを表す光点が点滅していた。
 その事実にイラつきながら、ルナマリアは砲門を向けて放つのだった。

 ケルベロスランチャーの一撃を放つと同時に背部のミサイルをばら撒くということで、敵機を確実に沈めながらレイは自分たちが確実に追い詰められているのを感じていた。
 いかに最新鋭の艦とはいえ、単純な数の力の前ではそうそう楽にはすまないということを感じずにはいられなかった。
 だが、それでもまだ自分たちは楽な方だと思うと気力がわいてくるのを感じた。
 自分たちよりも敵に近い場所では、インパルスが単機で敵の霍乱を請け負っているのでこちらに回る数が抑えられているのだから。
 そう思うと、レイは気力を振り絞りランチャーを撃ち放つのだった。

「きゃ!」
 絶えず襲い掛かる振動に、アリアはそんな悲鳴を口にしてしまった。
「ふん。情けないな。これしきの振動で」
 そんなアリアの態度を嘲笑うかのように、男の冷たい声が上がった。
「……すみません」
 アリアはその声の主に、どこか申し訳なさそうな顔でそう答えた。
 そんな顔で返事をされるとは思っていなかったのか、男、サトーは鼻白んだ表情を浮かべるとそのまま視線を逸らすのだった。
 なぜサトーが医務室にいるかと言うと、カウンセリングを受けさせるためにアリアが呼んだのだが、その後戦闘に突入したために営倉に返すことも出来ずにそのまま医務室に手錠で拘束されているのだった。
 そのどこか緊張感のない空間で、サトーは呆れながらこれからどうするかを考えていた。
 そんなサトーの様子を気づいていないアリアは、戦闘が始まってから震えているステラを落ち着かせようと、抱きかかえその背中を赤ん坊をあやすようにさすっていた。
「い…や……こわ、い」
「大丈夫。大丈夫だよ。怖いのはすぐにいなくなるから。シン君が頑張ってるんだから」
「……シ、ン?」
「そう。シン君が今頑張ってるから、すぐに怖くなくなるわ」
 そういいあやすアリアの言葉を聞いてか、ステラの震えがいくらかおさまった。
 その背後で動く気配に、アリアは気がついていなかった。


 海岸でキラは、ここからでも十分に見えるミネルバと地球軍の戦闘でMSが破壊された時に起こる火球を物悲しそうに見つめていた。
 そのキラに近づくと、ラクスは声をかけた。
「どうしましたか、キラ」
 その声に、暫くしてからキラは答えた。
「……誰かが泣いている。また……」
 その言葉に、ラクスは驚きの声をあげた。
「ええ?」
 ラクスのそれに答える事無く、キラはせっかく世界が平和となったはずなのに、また戦争が起こりそうなことを嘆いた。
「なんでだろう。なんでまた……」
 答えるもののいない問いかけを口にするキラにラクスは声をかけた。
「キラ。ここにいると体に悪いですわ。中に入りましょう」
 キラをうながし別邸へと向かったラクスは、振り返りキラと同じくミネルバと地球軍との戦闘に目を向けたが、その光景から目を逸らすように館の中へと入っていった。
 その時、遠くの海でまた命の輝きが消えた。


―また中書きです―
 気がついたらもう十月もカウントダウンでちょっとあせるANDYです。
 最近、めっきり気候が変わって肌寒いですが体調には気をつけてくださいね。
 コードギアスが期待通りで面白いです。主人公が万能じゃないのが最高ですね!
 幼馴染の彼とは手を取り合うのか、それとも敵対したままなのかが個人的には最大の関心事です。

 では、恒例のレス返しを

>名無し様
 初めまして。感想ありがとうございます。
 シンの出番ですが、今回は頑張って活躍していましたがどうだったでしょうか。
 これからも応援お願いいたします。

>航空戦艦『琴瀬』様
 初めまして。感想ありがとうございます。
 なんか、お褒めの言葉が多く恐縮してしまいます。
 ああ、そこまで期待されるとプレッシャーがw
 終わり方ですが、原作とは異なるようにするつもりです。
 どのように終わるかはお楽しみに。
 これからも応援お願いいたします。

>御神様
 感想ありがとうございます。
 ミーアですが、改変するための理由付けとしてああなりましたが気に入っていただけたようでうれしい限りです。
 これからも応援お願いいたします。

>レコン様
 感想ありがとうございます。
 フリーダムが登場したときには、「騙された!!」とでも思うんではないですかね。(というか、原作でもそのような描写はあるべきだと思うんですがね)
 プラントの政治家達はどうも交渉ごとが下手なのではないでしょうかね?
 ミーアの立場にいるべき人は、恋人の方を選んだんですよ。
 カガリですが、彼女は「理念の国」の政治家なんでしょう。彼女の理想どおりの。だからこそ、妥協は悪だと思っているのではないでしょうか?
 ジブリールに変わるキャラは、最近出てはいませんが水面下で色々と悪巧みをしているようです(某HiMEのからに似ている彼ですなw)その辺を楽しみにしていてください。
 これからも応援お願いいたします。

>カシス・ユウ・シンクレア様
 感想ありがとうございます。
 離れてみて初めて知る事実、と言うやつだったのではないでしょうか。ラクスの影響力は。
 アスランによい影響を与えていればよいのですが。
 さて、キラたちの行動を肯定した人とは一体誰でしょうか?誰もが該当するようで、該当しないように思えるのですが。よければお教えを。
 これからも応援お願いいたします。

>飛昇様
 感想ありがとうございます。
 ラクスの影響力ですが、戦場で命の取り合いをしているのに鶴の一声で戦闘を停止してしまう、そんな描写を見れば、市民の方の影響力はより深刻では、と思いこのようにしました。
 イカロス改めGイーグルの活躍はどうだったでしょうか。こんな高性能機を渡されたら、プラントは少なくともセイラン家を優遇せざるを得ないでしょうw
 これからも応援お願いいたします。

>G様
 感想ありがとうございます。
 そこに突っ込んではダメです!!最後まで諦めない。それが増毛の秘訣らしいですよw彼もまだ夢を捨てていないんですよ。多分
 今回連合との戦闘です。シン活躍しています(笑)主人公です(笑)アスランじゃないですよ(爆笑)
 これからも応援お願いいたします。

>戒様
 感想ありがとうございます。
 ミーアは人間的に成長していますね。自分でも驚きですw
 アストレイ編……、ま、まあ、そのうち書きたいですね。その場合は、シンのテストパイロット時代の話ですかね?
 今回、セイラン家の変わりようにシンは衝撃を受けてしまいました。さて、どのように絡むのか。……からませられなかったらどうしよう(汗)
 これからも応援お願いいたします。

>ATK51様
 感想ありがとうございます。
 立ち上がることの出来なかったラクスの罪はやはり重いのではないでしょうか。
 原作でも、暗殺未遂の後大手を振って各種メディアを利用してプラントに戻ればよかったのに、なぜかAAにいましたからね。
 その辺はラクスの罪だと思います。存在を公にすれば少なくとも暗殺の対象にはされないし、顔を出すことで自分の言葉を広げることが可能であっただろうに。その辺が疑問ですね。
 カガリは、やはりなんというか、原作を見る限りでは私にはやはり子供にしか思えませんでした。
 というか、ストライクルージュに乗って戦場に現れた時にはもう驚きました。(WのリリーナはMSの戦闘中に自家用飛行機で横切る何ていう荒業をしました。あれには、操縦していたであろう執事さんと、寸前でサーベルを止めたゼクスの技能に驚きでした)
 武器を持って平和を訴えて、誰がその言葉を聞くのか、と尋ねたいです。ナウシカみたいにすれば話を聞いたかもしれませんが。
 視覚的効果がアレは最悪だと思うのは私だけでしょうか?
 ユウナの舵取りの台詞は、今回のセイラン家とアスハ家の関係で納得していただけたでしょうか。いえ、こうでもしないと原作の説明が出来ないもので。
たしか、カガリの乳母であったマーナ(?)さんが『親同士が決めた関係』といっていたので、このような理由から婚姻関係を結んでいたのではないでしょうか。(原作の方で明確な説明が欲しい部分です)
 ユウナ、「俗っぽいトレーズ」ですか。エレガントな言葉だw
 ですが、スタンス的にはそうかもしれませんね。彼みたいに美を追求しませんが、英雄的思想よりも民衆の思想を大事にする部分は似ているかもしれません。
 これからも応援お願いいたします。

 あっという間に十月も終わりそうで泣きそうです。
 十一月にはバクゥが発売されるのでとても楽しみです。初めて小隊買いをしてしまうかもしれませんw
 では、また次回お会いいたしましょう。
 あ、いいわすれました。
 今回、あるキャラに死亡フラグが立ってます。
 さて、誰が死んでしまうんでしょうか?皆さん予想を立てていてくださいね。
 ではでは。

 追伸の追伸:1海里=1852メートルです

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