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▽レス始

「狩人の世界に現れし福音者達  第50話(エヴァ+HUNTER×HUNTER)」

ルイス (2006-10-23 16:14)
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「3人とも!」

 アスカ達に遅れ、ミサト達が駆けて来る。それを見て、シンジは目をパチクリと開いて、意外そうな表情を浮かべるが、すぐに笑顔を浮かべる。

「なるほど……これはまた随分と懐かしい面々で。今日は同窓会かな……マイサまでいるなんてね」

 マイサを見てシンジが言うと、皆が驚いた様子で彼女に注目する。マイサは眼光を鋭くし、シンジを睨み付け、皆に言った。

「アイツと戦う場合、注意しなさい。少しでも生きたいと願ったら…………喰われるわよ」

「え?」

 皆の表情が唖然となるや否や、シンジの姿が消えた。

「ぐぁっ!」

 突如、呻き声が聞こえ、全員がそちらを見ると、武装したエージェントの一人の体からシンジの腕が突き出ていた。その腕を引き抜き、血を浴びながら、シンジは冷笑を浮かべる。

「散れぇ!!」

 カジの言葉に、残る14人が一斉に彼と距離を取った。が、その中の一人は違う。マイサは、シンジに向かって突っ込み、拳を放つ。

「っと!」

 シンジは、そのパンチを楽々と片手で受け止めると、蹴りを放つが、ガシッとマイサは、それを腕で絡め取った。

「貰った!」

 そこへミサトがシンジに向けて銃口を向ける。

「(その銃で……貴女は僕を守ってくれた)」

 シンジは、ミサトの胸に提げられているロザリオを見て、何処か憂いを帯びた表情を浮かべるが、彼女は問答無用で弾丸を撃った。弾丸は途中で破裂し、大量の針が飛び散り、彼に襲い掛かる。

「げ……!」

 シンジとマイサは表情を引き攣らせ、互いの体を離して針を避ける。が、そこへカジが背後に回り込んで、シンジの背中に思いっ切り蹴りを放った。

「くっ!」

「今だ! 撃て!」

 そこにヒュウガの指示で、一斉に拳銃や機関銃がシンジに向かって放たれた。

「イカリ君……!」

「待った……彼は、あの程度でやられちゃいない」

 思わず駆け出そうとしたレイだったが、カヲルが止めた。

 黒煙が晴れて、シンジの姿が露になる。見ると、シンジの体には傷一つ付いていなかった。

「! 馬鹿な!?」

「ふむん……流石にこれだけの数を相手にするのは面倒だね。しょうがない」

 シンジが、コキコキ、と首を鳴らすと彼の体からオーラが発する。そのオーラに皆が驚愕で目を見開いた。それは、余りにも異様なオーラだった。それに発している量からして此処にいる他の人間とは違う。何百人分というオーラが彼の体を覆っていた。

 すると、彼の手に二叉の赤い槍が出現し、アスカ、レイ、カヲルはそれを見て目を見開く。

 ロンギヌスの槍……かつてアスカの額と体を貫いた槍が再び目の前に現れ、アスカはポタポタ、と自分の額から血が流れているのに気が付いた。

「く……!」

 顔を押さえるアスカに笑みを向け、シンジは槍を巧みに回して構える。

「“生を望む者達への福音【テレサ】”……」

 槍は赤く輝き、14人は身を竦ませる。

「皆、気をつけなさい」

 すると、マイサがグッと腰を下ろし、皆に注意した。

「アイツにトドメ刺される時、ちょっとでも生への執着があったら……」

 ドスッ!!

 マイサが説明し終える前に、シンジは素早く動き、エージェントの一人の肩に槍が突き刺した。

「か……は……」

「問おう。生きたいか? 死にたいか?」

「た、たす……」

「駄目!!」

 エージェントが命乞いをしようとした瞬間、マイサは叫ぶが、シンジは笑みを浮かべて、槍を頭に突き刺した。すると、そのエージェントのオーラがシンジに吸収され、彼のオーラが増大する。

「オーラが……増えた?」

「これがアイツの能力よ。アイツの問いかけに対し、少しでも生への執着があって、あの槍でトドメを刺されたら、オーラを吸収される……生への未練を持った強力な死者の念をね」

 死者の念の強いオーラを吸収し、際限なく強くなる。皆、ゴクッと唾を飲み込み、畏怖するが、更にマイサは言った。

「能力は出来れば使わない方が良いわよ。下手したらオーラと一緒に取り込まれる可能性があるから」

「ぬわんてインチキ! そんな反則的な能力アリ!?」

「別に反則じゃありませんよ」

 文句を言い放つミサトに対し、シンジは笑顔を浮かべたまま槍でトンと肩を叩きながら言った。

「何しろ死者の念を吸収する訳ですからね。その度に、僕自身がその反動で死んでもおかしくないんですよ」

 それだけのリスクを背負わないと、これぐらいの能力を得られない、とシンジは笑顔のまま語る。

「そうよ。今まで大量の念を吸収して無事な、アイツがおかしいのよ」

「(何故……)」

 平然と自分の命を懸けているシンジの能力を聞いて、アスカは唇を噛み締める。

「変わったね……」

「ん?」

 すると、カヲルが一歩前に出て、いつもの不敵な笑顔ではなく、鋭い顔つきでシンジを見据えて言った。

「今の君はシンジ君とは思えない……」

「僕にとって生と死は等価値なんだよ。自分も……他人もね……!」

 そう言った途端、ミサトが迫って来て拳を繰り出して来た。紙一重で避けたシンジの頬に掠り、切れて血が飛ぶ。が、ミサトの攻撃は止まらず、拳の弾幕をシンジは腕でガードする。

「アンタ、何様のつもりよ!? 生きたいと思ってる人間の力を奪うなんて、神様のつもり!?」

「…………」

 生殺与奪の権利を持っているかのような傲慢ともいえるシンジの能力に対して、怒りの形相を浮かべるミサトを、ガードしながらシンジは見つめると、唇をフッと緩めた。

「貴女は……変わらないな」

「は?」

「カツラギ! どけ!」

 シンジの呟きにミサトが眉を顰めると、カジが叫ぶ。ミサトはハッとなって離れると、カジは煙草を咥えており、フゥとシンジに向かって煙を吹きかける。

「うわっぷ!」

 そして残る煙草に一斉に火をつけると宙に放り投げた。

「“追跡する小型爆弾【ターミネーター】”」

 すると煙草は一斉に、シンジに向かって飛んで来た。

「!?(今の煙……!)」

 煙を吹きかけた相手に対し、煙草を追跡させる能力。シンジは逃げようとするが、足が動かなかった。驚いて足許を見ると、いつの間にか、土がシンジの足に絡み付いていた。

「(マイサ……!)」

 マイサは、手を地面に触れており、ニヤッと笑みを浮かべる。シンジは舌打ちすると、彼の槍が赤く光った。

 パンパン、と煙草がシンジに直撃すると爆竹程度の爆発が起こった。更にマコト達がすかさず銃を撃ちまくる。

「ストップ!」

 ミサトの合図と同時に銃弾の嵐がやみ、皆が煙を見つめる。

「ふぅ……今のは危なかったね」

「!?」

 が、煙の中から出て来たのは、大きな2つの円形状の盾を持ったシンジだった。所々、服が破けているが、その盾で致命傷は全て防ぎ切ったようだ。

「ヒュウガ君!」

「は、はい!」

 リツコが叫ぶと、マコトは眼鏡のフレームに触れる。すると、右のレンズに何かの映像が映った。シンジは、それを見て、フッと笑うと右手を高々と振り上げた。

「! 皆さん! あの盾は……!」

「“攻撃する盾【ガードオブアタック】”」

 ヒュッと腕を振り下ろすと、盾がまるでヨーヨーのようになって全員に襲い掛かる。

「「!?」」

「僕の後ろに」

 アスカとレイの前にカヲルが立ち、飛んで来たヨーヨーをオーラの壁で弾き返す。が、シンジは巧みに2つの盾を操り、残ったエージェントを皆殺しにすると、今度は、その矛先をリツコに向けた。

「このっ!」

 ミサトは、その盾に向かって弾丸を放つ。盾に弾丸が当たると、爆発し、軌道をズラした。

「お〜」

 シンジは感嘆の声を上げると、盾を戻す。すると盾は光り、赤い槍の形に戻る。

「なるほど。貴方の能力は、念能力の分析か……拳銃に煙草……くく……」

 マコト、ミサト、カジを一瞥すると、シンジは突然、笑い出す。

「はは……あははははは!」

「な、何が可笑しいのよ?」

「いやいや。らしいな、と思って」

 その言葉にミサトやマイサ達は不思議そうな表情になるが、アスカ達には言葉の意味が分かった。シンジは、先程までの不敵な笑みとは違う、穏やかで優しい笑顔を浮かべ、ミサト達を見る。そして、自分のロザリオに触れた。

「あなた達は本当に変わらない。いや、ある意味、良い方向に変わったのかもしれない。そしてアスカ達も……人は変わらずにいられないな……」

「(何? こいつ、何言ってんの?)」

「イカリ君……」

「でも……そう考えるのは僕が過去を未だ引き摺ってる証拠か」

 シンジは瞳を鋭くさせると、槍を構える。それを見て、マイサがアイリスに言った。

「アイリス。アイツがマジになったらマズい。私が注意を引き付けるから、アンタは能力使って頂戴」

「…………分かった」

 アイリスは頷くと、胸の前で手を広げた。マイサは、自分の髪を数本、引き抜いて土に埋める。すると、土が盛り上がり、彼女の体に纏わりつくと、鎧となった。それに気づいたシンジは、彼女に槍を構えるが、マイサは、一気にシンジに向かって詰め寄る。

 ごっ!

 硬い土で覆われ、強化されたマイサの拳がシンジの顔面に叩き込まれる。派手に転がりながら、シンジは態勢を立て直すが、そこへ彼女が更に詰め寄る。肩の部分から、鋭い針状の突起物が飛び出し、シンジの目前に迫る。

 が、シンジの超人的な反応速度で槍を上げて、マイサの攻撃を防ぐ。すると、槍が輝き、2本の剣になる。マイサは剣の間合いから離れ、距離を取ろうとするが、シンジが剣を振るうと、刃が伸びた。

「(間合いの外から攻撃!?)」

 避けるのが間に合わず、マイサはガードする事にした。剣は土の鎧を貫く事はなかったか、切っ先が突き刺さる。シンジは、もう1本の剣を伸ばそうとしたが、ミサトが銃弾を放って来たのでその剣で受け止める。銃弾はパァンと弾け、強力な光が発する。

「くっ!」

 思わず目を閉じてしまうシンジ。

「アイリス! 今よ!」

 マイサが叫ぶとアイリスは、何かをシンジに向かって投げつける。シンジの腕に突き刺さったのは、針のようだ。すると、マイサの手の中に針のない時計が現れる。

「“消滅する意識【ロックタイム】”……」

 カチッと、時計のスイッチを押す。シンジは大きく目を見開き、その目に輝きを失った。

「? どうなってんの?」

 急に動かなくなったシンジを見て、ミサト達は首を傾げる。

「アイリスの能力よ。針を突き刺した相手の意識……正確には視覚・聴覚・嗅覚・触覚……更には全身の精孔まで閉じる」

 どさっ!

 マイサが説明すると、アイリスは突然倒れた。

「ちょ、ちょっと! その娘、どうしたの!?」

 リツコが駆け寄り、アイリスを見ると、気を失ってるだけだと言った。

「この子は強力な能力を有する代わりに、厄介なリスクまで背負っちゃったのよ。さ、早いとこトドメ刺すなり、生け捕りにするなりしなくちゃね。効果は30分ぐらいだからだから」

「シンジ……」

 マイサがそう言うと、アスカがシンジに近付こうとする。

「なるほど……そういう能力か。特質だね」

「!?」

 が、突然、シンジが笑みを浮かべて言い出した。シンジは、ブンブンと首を横に振ると、マイサに向かって笑みを浮かべる。

「馬鹿な!? アイリスの能力は確かに……」

「良いよ、出て来て」

 シンジが言うと、彼の影の中から2人の少女が出て来た。

「へっへぇ〜ん! 残念でした!」

「…………」

 出て来たのは、マギとミストだった。マギは、フロッピーを取り出し、シンジに預ける。そして、ノートパソコンから伸びているコードを引っ張ると、それはシンジの足首に繋がっていた。

「その女の能力は、アタシが影の中で、とっくに解除してやったんだよ」

「! 除念師!」

「いや〜、流石に危なかったよ。ありがと、マギ、ミスト」

 流石の自分も、感覚を奪われて無防備な状態だと何も出来ない。シンジは、槍を肩に置くと、腕時計を見る。

「そろそろ……か。マインド、もう皆、引き上げさせて。クロロの用事も終わりそうだから……」

 こめかみに指を当てて何か話すと、シンジは一同に向かって微笑む。

「さて、そろそろ退散させて貰うよ。こっちの用事も終わったしね」

「何ですって? この状況で逃げれると思ってんの?」

 ミサトが威嚇するように銃を向けるが、シンジは笑みを崩さず、ミストに目配せする。ミストはコクッと頷くと、自分の影の中に入り込んで行った。それに追うように、マギも影に飛び込み、シンジも影に入る。

「! 逃がすか!」

 ミサトはすかさず銃を撃った。爆発弾、凍結弾、貫通弾、閃光弾、散針弾、捕獲弾、全てを撃ったが、その前にシンジは完全に影の中に入って行った。

「っ……逃げられた」

「やられたわね〜。まさか1人と思わせて、影に仲間を見張らさてたなんて」

 土の鎧を解除し、マイサは苦笑いを浮かべながら言った。

「アタシ……何も出来なかった」

 マヤやシゲルが、殺されたエージェントの死体を車に乗せていく傍らで、アスカがポツリと呟いた。それは、レイも同じで彼女も顔を俯かせる。

「ま、流石にこの状況で何か出来る方がおかしいさ。見知った顔がいっぺんに揃い踏みしたんだからね」

「アイツさ……」

「ん?」

「アイツ……何で、あんな能力持ってるんだろ」

 他人の未来を奪い取り、その念を取り込む能力。かつてのシンジからは、想像もつかない能力に、アスカは夜空を見上げる。

 遠くの爆発で一瞬、赤く映える夜空は、何も答えない。ただ、言える事は、自分達の力はシンジに対し、語る事すら出来ないほど差があった、という事であった。


 〜後書き〜

 シンジの能力“生を望む者達への福音【テレサ】”の詳細です。

 能力名:“生を望む者達への福音【テレサ】”
 効果:相手の死者の念(念能力者なら能力も)を取り込み、オーラを増大させる。
 発動条件:専用の槍を具現化する。
 制約・リスク:相手に対し、『生きたいか死にたいか』と問いかけ、3秒以内に突き刺してトドメを刺す。
    死を完全に受け入れている相手に対し、使った場合、今まで取り込んだ死者の念に殺される。
    死者の念を取り込む際、死ぬ可能性がある。


 シンジの強さ、ボスに相応しいと思って考えました。クロロとメルエムの能力を足したような能力です。ただ、常に死と隣り合わせですが、数多の人間の死者の念を取り込んでも死なない、シンジの頑丈さも表してます。


 〜レス返し〜
 弱者様
 それって微妙にフリーザっぽいですね。好きなタイプです。シンジも子供っぽくしましょうか。


 流刑体S3号様
 死んだのはエージェントだけですが、これからヨークシン編は新展開になります。その時、死人が……!
 あります。今回、シンジやクロロのように、複数の能力を持った相手だとすると、盗んだり奪ったりした能力だけ見ても薬は作れません。大元の能力を見ないといけないんです。


 夢識様
 はい、腕輪は威力があります。が、連射性は指輪が高いです。
 後、銃は穴ではないので無理です。


 通りすがりの戯言様
 初めまして、感想ありがとうございます。
 マイサの能力って、良く考えると幽遊白書の土使い吏将の能力みたいで、結構、便利な能力なので強いと思いました。それに、シンジの飲み仲間なら、彼ぐらい強くて良いと思ったんです。
 あ、マルクトの能力はブラックキャットのシキがモチーフです。


 Campari様
 私も正直、ここまで続くと思いませんでした。これからもよろしくお願いします。


 エセマスク様
 説得出来ませんでした。『理想を語り合うには、それに見合うだけの力が必要』とかいうような台詞を殷の鞭使いが言ってた気がするので。カジの能力は何気に追跡と攻撃を兼ね備えてます。
 オペレーター組で、微妙に発覚したのはマコトだけでした。しかも、割とすごい能力です。


 デコイ様
 ま、今回はシンジの作戦勝ちです。影にミストとマギを潜ませ、いつでも除念出来るようにしてました。
 え〜、質問の答えですが、1番は、1回作ると後は何回でも作れます。効果は最初は1週間ほどですが、1度使うたびに免疫効果というか、そんなんで1日ずつ減って行きます。なので、同じ相手に使えるのは最高7回です。
 2つ目は、ヒソカの能力はガムとゴムの効果を見なくてはいけませんが、シンジやクロロの場合は、奪ったり盗んだりした能力まで見る必要はありません。
 3つ目はその通りです。


 髑髏の甲冑様
 説得は駄目でした。
 あっと、ライテイの紋章は腰あたりです。ウボォーと同じぐらいの位置。
 ウチルは最大108つの人形を操れ、現在は50ぐらいです。ちなみに今は『黙示録と旅団以外の出会った人間は片っ端から首を斬れ』です。これなら50体ぐらいは操れます。


 ショッカーの手下様
 何だかんだで互角以上に戦ったシンジ。実質的に15対3でしたが、戦いはシンジ1人でした。
 癒し系マギも登場しましたよ〜。

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