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「機動戦士ガンダムSEED DESTINY IF STORY (2) (SEED)」

ダヌ (2006-10-16 03:57/2006-10-16 04:04)
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自分の手の中に残ったものは一つの携帯だけだった。
一瞬にして暗転した世界。
確かに在ったはずの幸せは簡単に壊された。
姿すら確認することのできない両親。
自分の方に向けられたように転がる一本の手。
それが妹のものだと分かるのにどれほどの時を要しただろうか?

無力な自分が悔しかった。
目の前で大切な人たちが殺されたというのに、何もできなかった自分。
伸ばした手は誰も守ることはできなかった。
振り上げた拳も誰にも届かなかった。
洩れた叫びに込められたのは自分と世界への果てしない絶望。
あの日から…俺は力を求めるようになった。

程なくして戦争は終わった。
気づけば俺は逃げるようにプラントへと移住していた。
大西洋連邦の庇護下となったオーブは、コーディネーターにとって住みにくい国へと変わっていった。
コーディネーターというだけで冷たい目を向けてくるナチュラルたち。
俺の知っていた世界は喪われてしまったのだ、と突き付けられた現実。
変わっていくあの国が嫌だった。
変わっていく世界が嫌だった。
そして、何よりもあの国を包む空気が嫌だった。
まるで何事もなかったように戻ってきた首長家の人間。
そして、それを迎え入れるあの国の人間。
全てを捨てる覚悟で…俺は国を出た。

プラントに上がってからは大変だった。
身寄りのなかった俺に、オーブの軍人さんが紹介してくれた俺の『保護者』。
因縁浅くない『あの人』とは本当に色々あった。
何度もぶつかって、ぶつかって、気づいたら、誰よりも俺を解ってくれた『あの人』。
『あの人』のおかげで、今の俺がいて、気づけば大切な仲間もできた。
レイ、ルナ、メイリン、ヨウランにヴィーノ。
少しずつ…少しずつだけど、俺は大切なものを手に入れることができているのかもしれない。

だからこそ、俺は力を求める。
今度こそ…今度こそ守りたいと思うものを守れるように!
二度と…あんなことが起きないように!

「なのに…なのに…!また戦争がしたいのか!あんたたちは!」


機動戦士ガンダムSEED DESTINY IF STORY(2)


突如現れた3機の戦闘機がカオス、ガイア、アビスの目の前で一体のMSに合体する。
あまりに突拍子のない光景に対応することすらできず、一瞬棒立ちとなる3機。
その隙を突いて、シンはインパルスのレーザー対艦刀、エクスカリバーをアビスに振り下ろしていた。

アビスはエクスカリバーの一撃を辛うじて受けとめるが、インパルスは体勢の崩れたところに蹴りを入れ、吹き飛ばす。
碌に照準もつけずにビームライフルとミサイルを撃ちこむと、すぐさま距離をとる。
粉塵の中に包まれるアビス。そのアビスを守るようにガイアとカオスは移動する。
シンは一箇所に留まらないよう、インパルスを小刻みに移動させながら、アビスを狙ってビームライフルを撃つ。
ガイアがそのビームからアビスを守るように盾をかざす。
シンはガイアの動きが制限されるように攻撃しながら、上空にいるカオスに意識を向ける。
気にかけるのはカオスのみ。そう思いながら、必死の形相で機体を操るシン。
いかに有利に展開しているとはいえ、一対三。
一つのミスで形勢が一気に逆転することは解っていた。
ならば自分はあの人の命令通り、時間を稼げばいい。そうすればあの人はきっと来てくれる。
シンのその想いが届いたかのように、インパルスの後方から放たれたビームがカオスを襲う。
そこに現れたのは一機のザク。それを見てようやくシンの表情に余裕が浮かんだ。

「ったく、遅いっすよ、アスランさん。」


アスランの駆るザクは戦場に到着するやいなや、搭載されたテルミット焼夷弾をカオスに放つ。
カオスは余裕のある動きでそれを避けようとするが、アスランのザクはビーム突撃銃でそれを打ち抜く。
カオス、ガイア、アビスの3機を炎が包み込み、その間にインパルスは一旦距離を置く。
アスランはビーム突撃銃で牽制をかけながら、インパルスと通信を繋ぐ。

「シン、よく時間を稼いでくれたな。」
「いや、たいしたことないっすよ。」
「こんな時まで強がるな。しかし、よくやってくれた。」
「いやそれよりも、なんでアンタがここに来てるんすか?現職の評議会議員様に何かあったら俺が困るんですけど。」

心の中では来ると信じていたことなど微塵も出さずに、シンはアスランに噛み付く。
アスランの自分を認めてくれた言葉に嬉しさを感じていることへの照れ隠しらしい。
アスランはシンのそんな気もちに気づくことなく、シンの言葉に応える。

「今の俺はプラント評議会議員アスラン・ザラではなく、フェイスのアスラン・ザラだ。皆を守るために闘うのは当然だろ?」
「ったく、人の心配事を増やさないでくださいよ。」
「ふざけるな!いつも心配させてるのはお前の方だろうが!お前のせいで俺が何回アカデミーに呼び出されたことか…おかげで最近は抜け毛も増えてきてるし…」
「そんなことありましたっけ?」
「こ…こいつは…」
「それに抜け毛は俺のせいというより当人の問題なんじゃ…」
「その話しは後だ!今夜は朝まで説教してやるから覚悟しとけよ!今はともかく…」
「ええ…」
「蹴散らすぞ!」
「はい!」


シンとアスランは巧みに連携を取りながら、3機を追い込んでいった。
シンのインパルスがガイアに、アスランのザクがカオスとアビスと対峙するという構図である。
アスランは豊富な経験を活かし、カオスとアビスとの一対二の戦闘を難なくこなす。
アビスのビームランスをビームトマホークで受け流しつつ、カオスにはビーム突撃銃を向ける。
そして、隙をついてはシンの援護を行うその動きは歴戦の戦士のもの。
シンはその援護に感謝しながら、ガイアを追い込んでいた。
ザクから放たれたビームをかわすため、バランスの崩れたガイアにエクスカリバーを薙ぐ。
ガイアがその斬撃をかわしきれず、右足を失った瞬間…
プラントを大きな振動が襲った。

「アスランさん、何が起きたんですか!?」
「これはたぶん…外からの攻撃だな。」

突然ぽっかりと空いた穴から、3機が脱出しようとしているところが見える。

「チッ!せめてガイアだけでも!」

右足を失い、一機初動の遅れたガイアに、ザクとインパルスが攻撃を集中し、その手足を奪う。
アスランとシンはガイアを確保しながら、次の対応を考える。

「どうします?追いますか?」
「いや、外にも敵がいるようだし、深追いはまずいだろう。ここは一旦ミネルバに引くぞ。」
「けど、カオスとアビスは奪われたままなんですよ?」
「俺もなんとかしたいと思うが、現状ではどうにもならん。ここにガイアを置きっぱなしにするわけにもいかないし、別々に行動するのも危険だ。」
「仕方ないっすね。」
「ああ。ひとまず説教は後回しだな。」

その言葉にシンはげんなりした顔で応える。

「まだ覚えてたんですか?あんまりしつこいと女の子に嫌われますよ?」
「うるさい!誰のせいだ!誰の!」
「カリカリしすぎですよ。カルシウム足りないんじゃないんですか?」
「だー、あー言えばこう言う。ほんと口の減らない奴だな。とりあえずミネルバへ向かうそ、シン。」
「了解です。」

アスランの言葉と共に2機はミネルバのある軍事工廠へと向かい始める。
アスランのザクを追いながら、シンはインパルスでガイアを運ぶ。
どんな奴が乗ってるんだろう?
その機体を眺めながら、シンはそんなことを感じていた。

〜つづく〜

あとがき
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。戦闘シーンって難しいですね。自分の文章力不足を痛感しております。ほんとすいません。アスランはシンの保護者ですが、もちろんすんなりいったわけではありません。その辺はおいおい出していきたいと考えています。アスランはザフト所属ですが、議員でもあります。軍人で政治家はまずいと思いますが、建国まもないプラントということでどうかご容赦を。この辺の説明も中盤までにだせると思います。
次回も読んで頂けると嬉しいです。それでは、失礼いたします。

レス返しさせて頂きます。お言葉ありがとうございました。
○戒さん
シンとアスランを主役と考えていますので、扱いは本編よりもよくなると思います。本編よりも子供っぽいかもしれませんが、その辺は頼れる兄(親父?)ができた影響です。
○一読者さん
お言葉ありがとうございます。ただ背中にものすごい汗が…どうも同じ夢を見てしまってるようで…そのへんのアスランの苦労はおいおい出てきます。
○名無しのゴンベエさん
アスランはクライン派につきました。もちろん普通なら極刑ものですけど、いろんな思惑が重なって現在のような状態になっております。この辺の説明もまた後でということで、ご容赦ください。

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