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▽レス始

「鬼畜世界の丁稚奉公!! 第二話前編(鬼畜王ランス+GS)」

shuttle (2006-10-04 23:51/2006-10-05 07:07)
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「へ?『普通の攻撃じゃ傷一つ付けられない』って『そのまま』の意味だったんスか・・・?」

「そうよ。あのカミナリ男がそうなのかは確かじゃないけど『魔人』には通常の剣とか魔法による攻撃では一切ダメージが与えられないの。数少ない例外を除いて、ね」

「例外?」

「そ、この世界に二振りだけ存在するという魔人殺しの武器『魔剣カオス』と『聖刀日光』。そして既に伝説となっているんだけど、人類が滅亡の危機に陥ったときに覚醒すると云われている『勇者』が魔王や魔人を斃す事が出来るらしいわ」

「はぁ・・・『勇者』っスか・・・・・・」
どちらも俄かに信じがたいというか何というか・・・。

(『伝説の武器』に『伝説の勇者』ねぇ・・・、何かTVゲームみたいな話だな・・・)

・・・それ以上ツッコむな。頼むから。

「・・・ということは、俺の『力』でも魔人を倒すのは無理ってコトっスね・・・」
もしそうなら、山中であのカミナリ男を撃退できたのは奇跡のようなものだったのか。
やぶれかぶれの力押しで<爆>とか<滅>を使っていたら、あっさりと殺されていたに違いない。

・・・ありがとう、美神さん。
俺、アナタの『弟子』で良かったと『初めて』思いました!
ビバ美神流除霊術!!
貴女の戦い(卑怯)は次元を超えた異世界でも通用すると不肖の弟子、横島忠夫が証明しました!!

師匠を尊敬しているのかコケにしてるのかさっぱり判らない台詞である。


「ん・・・それは正直、私には判らないわ。あの男が魔人じゃない可能性もあるわけだしね。それに横島さんの持つ力がなんなのか・・・」

・・・考えるだけ無駄だ。理解不能だ。
そういう分析は私の仕事じゃない。
思考のドツボにハマる前に放り出す。
私はプロフェッショナルな忍者、己の職分を越えてはならない。
自分の見た事実をそのまま主に報告すればよい。

以上、理論武装完了。


「でも、横島さんのお陰で助かったのは事実だし、ホントにありがとう」
にこりと笑うかなみのおデコには何故か汗。

「・・・いや、アレは俺の所為だったかも知れないし、お礼なんて別にいいんですけど・・・・・・」
ふと、頭に手を当てる。


そこにはでっかいタンコブができていた。

「・・・目が覚めたら何故か人のいる街に着いているわ、頭にでっかいコブができてるわ、というか、身体中擦り傷だらけだわ、何でなんスかっ!?」

「・・・いつまでも馬鹿笑いしてたからよ・・・・・・」
横島から視線を逸らして呟くかなみ。
その先には『未だ』グースカ寝ているランスがいた・・・。


いつまで経っても馬鹿笑い&踊りを止めない(というか壊れた?)横島に業を煮やしたかなみが、背中に背負った忍者刀を目にも留まらぬ早業で横島の後頭部に殴りつけたのだった。
忍者ハットリ君グッジョブ!


「うう・・・まだズキズキする・・・・・・」
いつもなら30秒もあれば無傷で復活する横島も、さすがに「行き倒れ・山中行軍(荷物付き)・戦闘」の三連コンボの後にはキツ過ぎるツッコミだったらしい・・・。


撲殺 ひどいよかなみちゃん


〜鬼畜世界の丁稚奉公!!   第二話「グレート・筆頭侍女!(前編)」〜


「話は変わるけど、さ。最初はマウネスの街まで案内するって話だったのに、こちらの都合で悪いんだけど、リーザス城まで着いてきてくれないかしら?」

かなみはずいぶんと砕けた口調に変わっていた。
圧倒的な力を持つ敵をあっさりと手玉に取った手錬でありながら、自分の一撃にあっさりと轟沈したそのアンバランスぷりが奇妙で。
何だかんだでまだあった横島への警戒心が、強烈なツッコミと共にほとんど消えてしまったせいだろうか。

その行為は既に横島の元いた世界の『空気』に毒されている証拠であるのだが・・・知らぬが華である、きっと。


「へ?リーザス城?」

「うん。詳しくは言ってなかったけど、私の主君はこの大陸東北部一帯を治めているリーザス王国の女王なの。このマウネスの街も領土の一つでね、横島さんが『眠っている間』に今回の任務と一連の出来事をまとめてリーザス城に報告を済ませておいたのよ。あ、もちろん横島さんの『力』のことは私には理解できなかったし、そこらへんは適当に書いたんだけど・・・ランス(ついでに私)を助けてくれたお礼と詳しい事情を直接聞きたい、ってマリス様が仰ったの」

『眠っている間』のあたりには激しく異議を唱えたいところだったが、話が進まなくなるので止めた。


「マリス・・・様、というのがリーザスの女王なんっスか?」

「え?あ、違う違う。女王はリア様。リア・パラパラ・リーザス女王陛下。マリス様はその筆頭侍女で、リア様の補佐、政務その他諸々を一手に引き受けているの」

補佐、というには若干の語弊がある。
確かに女王リアはまだ若年ではあるものの、非常に優秀な統治者である。
前王であった父を隠居させ、権力に群がる海千山千の王宮貴族を軒並み排斥して即位するなど権謀術数にも長けていた。
そしてその後も善政を敷き、豊かな国土に恵まれたリーザスを安定へと導き、家臣及び国民からも圧倒的な支持を得ていた。
が、とある事件でランスと出会い、まぁ、ぶっちゃけると処女を奪われて以来ランスにすっかり惚れ込んでしまい『ダーリン』と呼んで追い掛け回している。
当然、政務はほったらかしになりがちだったが、リアに絶対の忠誠を誓う侍女、リーザス影の宰相、マリス・アマリリスによって変わることなくリーザス王国は統治されている。


「詳しい事情は省くけど、リア様はそこで寝てる男、ランスに、まぁ、なんていうかその・・・えと、リア様にとってすごく大事な『男性』でね。それを助けた、と報告したら是非リーザス城へと招待したい、と仰って・・・」

正確には違う。
リアは確かにランスを助けた横島に感謝はすれど、それ以上の興味など持たない。
横島に興味を持ったのはかなみの報告を受けたマリス・アマリリス筆頭侍女の方であった。
招待、という言葉もまるっきりの方便ではないが、これは横島に必要以上に警戒されないよう、マリスから指示された通りにかなみが伝えているだけだ。

「はぁ、そうっスか・・・」

横島はしばし考える。
何やら話が大きくなってきた。
助けた、というのは結果的にはそうなるかもしれないし、かなみの報告も当然のことだろう。
しかし、自分が見たときから、ずーっと今まで(時間にして1日も経っていないため不自然ではないのだが)眠りこけている男が、まさか一国の女王に懇意にされているとはねぇ・・・。

だが、かなみとの約束は確かに街まで案内してもらう、というものだったが、横島とて街に着いたからといってその後の行動指針が決まるとは思っていなかった。
元の世界に帰るための情報が得られれば、と人里に出ようと思っていただけなので、別にこの「マウネス」という街に目的があったわけではない。

それに「マウネス」の街がどれほどの規模の街なのかは判らないが、王国の中枢であるはずのリーザス城より大きい街というコトもないはずだ。
自然、リーザス城の方が人も情報も多く集まるだろう。
そしてさらに、かなみに着いていけば一国の主の知己が得られるというのも途方もないメリットだろう。若干嫌な予感がしないでもなかったが。

(それになにより『女王』という称号!ソコに痺れる憧れるぅ!!美神さんのような『パチもん』の女王様じゃなく、本物の女王様!!むっはーーーったまらん!!!」

「・・・声に出てるわよ・・・・・・」

「はっ・・・!しまった!!」

美神が聞いていたら100%しばき殺される台詞であった。


「とりあえず、この街で一番速い『うし車』を用意したから、準備が出来たら出発しましょう。飛ばせば今日中にリーザス城に着くわ」

「『うし車』?それって遅くないんっスか?」
うし車と聴いて横島の脳裏に浮かんだのは、平安時代で陰陽師紛いなことをしていた時に見た『牛車』。あれは遅い、それに臭い。

「ん?速いわよ?そっちの世界の『うし車』は遅い乗り物なの?」
というか、現代には観光用くらいでしか存在しないだろう。

微妙に食い違っている両者の認識だが、それを正すことが出来るものはいなかった。


で・・・。


「ぎゃああああああああああ!!揺れるぅうううううう!!死ぬ死ぬ死ぬぅうう!!ガタガタ揺れる地面近い地面近い!!嫌だぁぁぁ元の世界に帰るぅううううう!!!」

想像していたよりも遥かに速く、時速100Km前後で爆走する『うし車』の荷台で横島は絶叫していた。
「うるさいわねぇ・・・叫んでると舌かむわよ」

手綱を握りながら注意をするかなみ。
横島への扱いがどんどん遠慮のないものになっている。
尤も、それはある意味では、横島へ親しみの感情が少なからず生まれている証拠なのだろう。

そしてこの期に及んで『まだ』!えぇ、そうなんです『まだ』眠り続ける男、ランス。

「おかしいだろぉおおこれはぁぁ!!なんでこれで起きないんじゃぁぁあああ!!これ絶対作者のつご・・・ぐめぎゃっ!?」


うっかり漏れる横島の『失言』に宇宙意思が介入もとい、至極当然の結果として舌を噛んでしまう横島。
それっきり黙る。

「○△□×・・・っ!?」

目から涙をボロボロこぼし、鼻から鼻水、口元から涎と血を撒き散らし『うし車』は走るよどこまでも。

静かになった荷台をチラリと一瞥し、かなみはより一層『うし車』を加速させた。


結局、正午過ぎに「マウネス」を出発した『うし車』はリーザスより西に位置する街「ノース」を経由し、夕暮れ前にはリーザスに到着した。


―少し時と場所を換えて・・・


リーザス城内 マリス・アマリリス専用執務室


「・・・ふぅ」

ヘルマン軍の動向を探らせるため、バラオ山脈国境付近へ派遣した忍者、見当かなみからの報告書を読み終え、マリスはその端正な眉を少しひそめてため息をついた。

当初危惧していたヘルマン軍の動きが、単なる国内の犯罪者を捕獲するためのもの、それも第1軍ではなく辺境の警備兵だったのは僥倖だった。
尤も、マリスには他にも召抱えているヘルマンに潜入中の間者から定期的にこの国の情報を集めている。
そしてヘルマンには現在、リーザスに戦争を仕掛けられる程、資金・食料の備蓄がないことは判っていた。
が、ヘルマンは大陸一の軍事力を誇る巨大軍事国家であり、まだ記憶に新しいリーザス城陥落の事件を考えれば、より新鮮で精度の高い情報を得ることは必須である。

深く潜入した間者からの情報は、その価値・精度共に高いが新鮮味に欠ける。
必要があれば派遣する忍者の情報は、精度こそ若干欠けるが新鮮だ。
故に二種類の情報を掛け合わせ、さらにその二つのどれにも属さない視点でもって多次元的に情報を分析する。

「・・・おそらく国内の犯罪者とはランス殿のことね。盗賊団の首領(=ランス)を捕らえるのに差し向けた数百人の追っ手のほとんどが返り討ちに遭う・・・。国境を越えてバラオ山脈の中腹まで逃げ切るあたりは流石としか・・・。そして行き倒れて見当殿により発見・保護に至る、こんなところかしら」

ランス発見・保護の報告を聞いた女王リアの動きは早かった。
即座にマウネスの街に繋がる補給線を確保、女王の名の下にうし車を徴発、気を失っているというランスのためにすぐさま王室専用の医療班から緊急介護チームを結成した。
大げさと言うなかれ。
リア・パラパラ・リーザスはリーザス王国の女王である前に、一人の恋する乙女。
そして愛する『ダーリン』の危機とあっては、これはもう戦争なのだ。

(まぁ、ランス殿のことに限ってはリア様に任せておけば問題ないでしょう)
と、マリスは主君に対するものとは違う、母親のような慈愛と共に結論付けた。


問題はまだある。
見当かなみの報告書にあった、ランスと同時に発見・保護した少年。

名を横島忠夫。
大陸極東部JAPANの人間と思われる名と風貌を持つ17歳、性別男。
本人の証言より「異世界」からやってきた、書いてある。
・・・誤解のないように追記しておくが、かなみは報告書の中で「横島忠夫」=「異世界人」と結論付けてはいない。
かなみ自身の観察とそこから推測される事実がそれぞれ証拠の一つとして羅列してあるだけだ。

ヘルマンの間者、実はただの狂言である、果ては記憶喪失となり混乱している少年、といういくつもの可能性とその否定材料も付け加えてある。
他にもあくまでかなみの主観にすぎないが、横島忠夫の性格や思考の傾向が具体的な事例と共に書かれていた。

そして注目すべきはその戦闘能力。
マウネスの街へと移動している最中に魔人もしくは使徒と思しき男の襲撃を受けるが、これを撃退した、とある。

雷を自在に操る、大柄な男。
しかし、これだけでは魔人なのかは判断は出来ない。
何せ魔人に関してはその力の強大さは人類に広く知られているが、その実態となると判らないことだらけだからだ。
ありとあらゆる生命の頂点に立つ魔王の忠実な下僕にして、破壊と殺戮の権化。
不老不死の肉体と通常の攻撃では決して傷付くことのない無敵結界を持つキル・マシーン。
人類の天敵たる魔人。

リーザス城陥落の際、マリス自身、魔人の力とその脅威は体験している。

果たして、その男は魔人なのか?
だとすれば何故、再び人間界に現れたのか?

結論を出すには情報が圧倒的に足らない。


そして横島忠夫なる少年のことについて思考を戻す。

この少年の戦闘能力についてはあやふやな記述が目立つ。
横島の力をかなみ自身が理解できなかったためであるのだが、マリスはここで横島忠夫こそ魔人、もしくは強力な力を持った使徒ではないか?と推測する。
以下、箇条書きで書いてある。
・敵の攻撃である落雷を、長い棒のようなマジックアイテム?で吸収、回避していた。
・忍者である自分の目ですら捉え切れなかった突進攻撃を、手も触れずに捕縛していた。
・目を瞑り、意識を集中させていたかと思うと、呪文の詠唱もなく、敵を丸い球体で封印した。
・トドメに下り坂に目掛けて球体を蹴っ飛ばし、転がした。

(・・・転がした?)

報告書の文字に目を白黒させるマリス。
何度読んでも『転がした』の文字。

「・・・転がすとは何かしら・・・。何か深い意味が・・・」

そのままの意味である。そして・・・。


「カーチス・アベレン殿をここに呼んでください」
すぐ隣の部屋で控えている使用人に声を掛ける。


そして5分後、カーチス・アベレンがやって来た。
ノックの音に入室を促すと「失礼いたします」の声と同時に随分と年若い男が執務室に入ってくる。

カーチス・アベレン 性別 男 年齢16歳。
まだ子供と言っていい年齢ではあるが、弱冠15歳にしてリーザス国立大学を主席で卒業した天才児である。
男としては線が極端に細く、また顔立ちも女性的で整っており、絶世の美少女と見紛うばかりである。

今はまだマリスの抱える諜報機関の一研究員に過ぎないが、いずれは重要なポストを任され、未来のリーザスを担う貴重な人材となるであろう。
マリスはこの少年の能力を高く買っており、時として重要な政務や問題が発生したときの相談・意見陳述役として重用していた。

「お呼びですか、マリス様」

「ええ、ヘルマンとの国境付近へ派遣した見当殿からの報告書について、貴方の意見を聞きたいと思いまして」

失礼します、という言葉と共にカーチスは複数枚の紙束を受け取る。
手近な椅子に腰掛け、しばらく報告書を読みふけるカーチス。


「これは・・・」

「どう思われますか?」

「・・・異世界の人間・・・・・・ですか。それに魔法とは異なると思われる不可思議な現象。なるほど・・・」
顎に手を当ててしばしの間思考に耽る。


「大まかに二つの推論が挙げられます。一つはこの横島忠夫と名乗る少年が本当に異世界からやってきた、ということ。まず異世界が存在するのかしないのか、という命題ですが、これを証明することは不可能です。我々の存在すら否定しかねませんし、意味がありません。そして、この少年が使ったという力も我々の知らない『異世界の力』と判断する他ありません。これだけの情報ではこれが限界でしょう」

一息つき、カーチスはそのまま続ける。

「二つ目はこの雷を操る男、そして横島忠夫と名乗る少年も魔人である、という仮定。そうすると一つの推測が浮かび上がってきます」
マリスは黙ったまま視線で先を促す。
「近年、即位したと言われる当代魔王『リトルプリンセス』この魔王は力こそ継承したものの、未覚醒の状態で逃亡したという噂があるのです。以来、魔人界では二つの派閥に別れて魔王の座を巡って争っているということです。この二人が・・・」

「それぞれ別の陣営の魔人同士で、そして激突した、そういう結論ですか?」

「ええ、ただ記述があいまいな箇所も多く、あくまで推測に過ぎません。それに前後の会話と照らし合わせて見た場合、整合性が取れないところも見受けられます」

「・・・なるほど」

カーチスの意見には説得力がある。

ただし、かなみの主観を信じるならこの少年からは「性格はひどく馬鹿でお調子者、お人好し、しかし戦闘能力は驚異的であり冷静で全てが計算ずく」というチグハグにも程がある人物像が浮かび上がる。

「・・・ただ、根拠はなしに語るのであれば」
少しためらいがちであったが。

「悪い人間ではなさそうです」

そう語るカーチスにマリスも軽く頷く。

「・・・そうかもしれないですね」

マリス自身もかなみの報告書より、根拠はなしにそう感じていた。
そしてこの少年に対して興味を覚えていた。

「・・・結論を下すには直接会ってみるしかなさそうですね」
マリスはこの少年に会う決意をする。

「そうですね。・・・危険の可能性はゼロではないですが、それなりの対策と準備を致しましょう」
カーチスも同意見のようだ。

そうと決まれば行動は早い。
即座に「マウネス」の街で待機しているかなみに対し指示を送る。


「会見の場所は王宮の離れを使いましょう。有効かどうかは判りませんがメルフェイス将軍と共同で対魔法結界を周囲に張り巡らします」

「いざというときのための兵も必要ですね。離れの周辺は赤の軍、リック将軍の部隊を。本城の周囲を青の軍、コルドバ将軍の部隊で固めましょう。それぞれ小隊規模で構いませんが最精鋭を揃えるよう要請します」

「会見の場にはリック将軍自身に同席していただきましょう。ただあまり人を増やしても無用に警戒されるだけなので、マリス様と私、リック将軍の3人が良いでしょう。そして見当殿がこの少年の隣に居れば、少年も安心するでしょうし、どのようにでも対処可能かと思われます」
カーチスの意見にマリスは満足げに頷いた。

「それでいきましょう。かなみ殿達は予定では本日の夕刻前にリーザス城へ到着します。時間がありません、迅速に行動を開始いたします」

「わかりました」

互いに手配する役割の分担を終えると、カーチスはすぐさま準備に取り掛かるため執務室を退出した。

マリスは続けて別の人物を呼ぶべく、使用人に声を掛ける。

「リック・アディスン将軍とコルドバ・バーン将軍をお呼びしてください」


程なくして、二人同時にマリスの執務室に現れた。

「お呼びでしょうか、マリス殿」
『リーザスの青い壁』と称される厳つい体格とは裏腹に、朗らかさが伺えるどこか愛嬌のある顔立ち。リーザス青の軍将軍コルドバ・バーン。

「ただいま参上いたしました、マリス様」
『リーザスの赤い死神』の異名を持つ大陸でも比類なき剣豪。歴代の赤の軍将軍達に代々受け継がれてきた、額に「忠」と書かれたヘルメットを装着しているリーザス赤の軍将軍リック・アディスン。

しかし、この巨躯二人を前にしてもなお、マリスは毅然として振舞っている。
『リーザス影の宰相』の二つ名は伊達ではないのだ。


「訓練中、お忙しいところを申し訳ありません。ですが、危急の事態です」
マリスはそう切り出すと、事の次第を二人の将軍に簡潔に説明した。


「わかりました。すぐにでも一個小隊、青の軍の最精鋭を編成いたします」
「僕・・・いえ、私も了解いたしました。赤の軍より選りすぐりの人材を編成いたします」

「それと・・・リック将軍ご本人には私とカーチス殿の護衛役として会見に出ていただきたいのです」

「は・・・はっ!分かりました!お任せください!」

勢いづき、返事をするリック将軍。
そのヘルメットに隠された表情は誰にも判らない。


「それではお二方、よろしくお願いいたします」
そう切り上げると、二人の将軍は揃って退出の挨拶を述べ、執務室を出て行った。


(・・・さて、鬼が出るか蛇が出るか)


そしてマリスははっきりと意識しないまでも心のどこかに予感があった。

リーザス救国の英雄ランスと、謎の力を持つ少年横島忠夫。
この二人が同時にリーザスへ現れた、その意味とは?


(リーザスが・・・いやこの大陸全てが変わるかもしれない・・・・・・けれど)

例え何があろうともリア様だけは絶対に失われてはならない。
己の命に代えてもリア様をお守りする。

この決意だけはマリスが死ぬその時まで決して変わることのないものだった。


後編へ続く。


後書きのようなもの

予想以上に長くなってしまい、第二話「グレート・筆頭侍女!」は前後編でお送りすることになりました。

第二話前編はプロローグと第一話を補完するようなカタチで進行しています。
登場キャラたちの動きが少なく、派手さもありませんが、マリスのグレートっぷりが少しでも伝わればいいな、と思います。
ゲーム中でも彼女の役割は凄いです。リーザスという国のお母さんです。グレート・マザーです。
GS世界で言う美神美智恵や横島百合子と同等かそれ以上の女傑であります。
あとかなみちゃんのキャラがやや原作から離れはじめました。明らかにGS世界に引っ張られています。横島君と関わってしまった影響でしょうか?(ヲイ
横島&かなみコンビは今後も続くでしょう。彼女のファンの方はお楽しみに。

ゲストキャラとしてカマチスことカーチス・アベレン君も登場です。
彼は本編ではリーザス魔法研究所の所長という肩書きですが、この時点ではオーバードクター、なのでちょっとだけオリジナル設定いれました。
話は変わりますが作者の好きなランスキャラに使徒ラインコックがかなり上位にランクインしています。だから何だ?とは言わずお察しください(マテ

しかし、男ばっか出てくるなぁ・・・いや、リックもコルドバも好きですけどね?
彼らが居ないと大陸制覇の難易度が急上昇しますから。判る人には判る、ということで。

後編では明らかに金の無駄遣いと言える厳戒態勢で横島君とマリス様がご対面ですwそしてランス目覚める。
物語がようやく始まります。
すぐに発表はできませんが、いましばらくお待ちください。

第一話が予想以上の反響で作者は大変喜んでいます。ただ、誰か一人くらいレイを擁護して欲しかったw
それでは返信いたします。

>1さん
 やっぱりカオスはランスが持ってこそ活きるというものです。だって横島君、童○だし・・・。
 「横島はカオスを手に入れた!しかし魔剣ではなくDr.カオスだった!」なら逝けるかもしれませんw
 あれ?ひょっとしてマジで強いかも?

>陣さん
 今回、かなみちゃんにドツカれましたが、復活には相当時間が掛かったようです。

>naoさん
 他のSSでも魔人レイは報われないのでしょうか?良かったらどんなSSがあるのか教えていただけませんか?

>yuuさん
 日光と契約しちゃうと・・・ゲフンゲフン「童○じゃない横島は横島じゃない」と手紙で言われそうですw

>けるぴーさん
 鬼畜王はIFの世界なので、ランスシリーズ本編とは矛盾する、もしくは整合しない箇所がいくつかあります。
 拙作は鬼畜王準拠ですので、ランス5D〜ランス此狙鏐颯薀鵐垢△燭蠅凌契瀋蠅郎陵僂靴覆い箸海蹐發△蠅泙后
 でも、5D以降の新キャラで、鬼畜王の世界に居ても不自然じゃないキャラは出しますよ。具体的には新使徒衆とかコパ○ドンとかコ○ンドンとかw
 しかしリズナは諦めます、ええ・・・涙を飲みながら! 

>スケベビッチ・オンナスキーさん
 穴に落ちる・・・そういえばそんな魔人もいました。無敵結界といえど文珠の能力なら十分に対処できるでしょうね。

>オレンジ100さん
 書いていて思ったのですが、これほどGSとランスがマッチするとは思ってもいませんでした。

>吹風さん
 筆者にはカオスや日光を持つ横島君の姿が想像できません。それに「童○じゃない横島は横(以下略」

>佳代さん
 ここで重大情報。『あくまで筆者の考える』GS世界&ランス世界の『単純な』力関係を不等号で現します。無敵結界は無視します。
 ルドラサウム>キーやん&サッちゃん>>三超神>>>(悪魔王や永遠の八神やら色々)>(超えられない壁)>リトルプリンセス(覚醒)>アシュタロス=歴代魔王達の平均値>>>齊天大聖老師>>ホーネット&ケイブリス>リトルプリンセス(未覚醒)>他四天王クラスの魔人及びルシオラクラスの魔族>小竜姫様=以下他の魔人が団子状態(レッドアイとかカイトからワーグまでピンキリにも程があるので深く考えません)>×100のあとに横島が妥当でしょう。文珠はEX能力なので単純な力関係を計る上では扱うのは無理です。ランスは議論が白熱しそうなので敢えて考えません。まぁ、猿師匠にガチで勝てるわけないとは思いますが・・・。
何が言いたいかというと、ルドラサウム強すぎw修正されるねwww(このネタ判る人いるのだろうか・・・)

>黒覆面(赤)さん
 サテラ登場以降の展開もプロットは制作済です。あとは筆者の根気次第(ヲ

>sさん
 ご期待ください!

>大真さん
 横島君の霊能力が無敵結界に有効かどうかはまだ判明していませんが、仮に栄光の手で叩いた場合、香港編で勘九郎の脛にぶち当てた程度の威力でしょうね。
 もうちょっと具体的に書くと、本気でぶっ叩いてワーグが半泣きするくらい?(余計に判らん)

>miiさん
 GS世界&ランス世界の設定を忠実に再現することが至上命題です。
 ある意味、巷に溢れる『最強伝説横島』へのアンチテーゼ。
 それでも彼は『強い』のです。

>ガイさん
 鬼畜王のシナリオから外れはしませんが『可能な限り』鬼畜ルートを避けて進む、と参考程度に・・・。某鬼畜作戦はあまりに酷すぎる・・・。

>shizukiさん
 横島君にとって『アシュタロス事件』とは『魔神殺し』の称号とはなんなのでしょうか?彼にとってそこに何の価値もないのでしょう。
 たった一つだけ残った蛍の少女の遺言『いつまでも変わらない貴方でいて』それを胸に戦うのです。
 セクハラと卑怯の限りを尽くしながら!(マテ

>棚師さん
 美神流除霊術は永遠に無敵です!そこに横島の煩悩パワーが加われば・・・あぁ恐ろしい・・・。

>BBさん
 まぁ、横島君の実力ではハリセンが関の山ですな。限界なしの最強戦士として設定されたランス君が羨ましいw

>もけさん
 お褒めの言葉ありがとうございます。
 SS初作品初投稿ゆえ、反応がまったく予想できなかったのですが、想像以上に皆様に受け入れられてるようです。

>黒目玉rさん
 この世界でのランス君は言うなれば『時計の針』を回す役です。たまに目覚ましの如く鳴り響いて騒ぎ出しますがw
 ゴムに関しては『ゴムは電気を絶対通さない絶縁体だー』という横島のイメージで霊波を練り上げたものであり、ゴムそのものを作り出したわけではありません。
 あ、いい例えを思いつきました。電気を通さない『バンジーガム』でレイを包み『ドッキリテクスチャー』で表面をゴムボールのように再現。

>SSさん
 「GSらしい戦い」がどこまで広げられるかが、この作品の要でしょうね。皆さんが期待しているのもそこにあると思いますし。

>ウェストさん
 ランスの女性への接し方、そして横島君の対応は非常に悩ましい問題です。その表現次第で作品の魅力が大きく変わることでしょう・・・。

>Iwさん
 某お子様吸血鬼が言うには魔法使いは『火力が全て』だそうです。それと同じくらいの価値観で文珠は『イメージが全て』そんな感じです。
 この作品が面白いと思えたなら、それはランス世界の設定の面白さに魅了されたんだと思います。
 色々な事情があり、軽々しくプレイしてみては、とは言えませんが、『RanceWikipedia』には一度目を通していただくと、より一層世界に浸れるかと愚考します。

>ZEROSさん
 数いる魔人の中でレイはお気に入り上位です。何とか助けてあげたいものです。

>黒川さん
 戦国ランスの設定を見て、かなみちゃんの忍者としての実力の低さに笑いの涙が止まりません。グッジョブハニワ!!

>HAPPYEND至上主義者さん
 窒息などすると『活動不能』の状態になることがある、とどこかに書いていたような・・・魔人とはいえ強力なのはあくまで付与された無敵結界であって、魔人本人の肉体的限界は個人差こそあれど存在する、という好例だと思います。

>鏡夜さん
 困離オスによる無敵結界無効化はゲームシステム上、やむを得ない措置だった気がします。ランスの攻撃しか効かない魔人アベ○トなんて洒落になんないっス!
 まぁ、ひたすらレベル上げればそれも関係なくなりますが・・・。

>nasさん
 仮に美樹ちゃんを<模>した場合、どうなるか考えてみました。
 ・・・『煩悩ボム』で大陸半分は消し飛びそうです・・・・・・。ダメ却下!

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