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▽レス始

「蟲と獣のコンチェルト第6話(まぶらほ+GB)」

ラッフィン (2006-10-04 01:12)
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「ただいま〜」

一人の少女が家に帰って来たが、返事がない。それに気にすることなく少女は家にあがり真っ先に居間に向かう。そこにあったのは仏壇であった。

チ〜ン・・・
「ただいま。お母さん、お父さん」

少女は仏壇に飾られた夫婦と思われる写真と二つの位牌に向かって挨拶をしていいる。この少女の両親はもう・・・。

「さて・・・今日もいきますか!」

少女は元気に言う。その声からは微塵も寂しさを感じさせなかった。そして、着替え終わると窓から飛び出した。

「怪盗『パインリーフ』、今夜も獲物を貰いに参上!!」

夜の街を一人の怪盗が駆け抜ける。彼女が狙ったものは確実に盗まれる。まさに百発百中、神出鬼没。しかし、怪我をしている人はない。それと狙われるのは汚いことをやっている企業だけ。一部では正義の味方なのでは?という声もあるが・・・。一つだけわかっているのは、その怪盗は少女であることだけである。


第六話「美術館で舞踏?」


ベヒーモスを退治した翌日、和樹はいつものように4人で登校する。教室につくとなんだか騒がしかった。

「どうしたのかしら?」
「さあ、あ!杜崎さん、どうなってるの?これ」
「ああ、なんでも教育実習生がくるらしいわ。しかも美人のね」
「なるほど」

美人教育実習生がくるので男子どもは浮かれているのだろう。女子は女子で何か企んでいるに違いない。普通、友達やクラスメートにはそんなことは考えないだろうが、あいにくこのクラスは普通じゃない。人を陥れることに何も罪を感じない、それどころか喜んでやる奴らなのだから。

「和樹さん、教育実習生って・・・」
「うん、紫乃さんだよ」
「昨日、そんなこといってたもんね」

和樹、矢夜、ケイ、夕菜の4人は教育実習生が誰なのか知っている。昨日会った紅尉先生の妹だ。自分と知り合いで結構、仲がいいと知ったら今騒いでいる奴らはどんな反応するだろう?考えるだけで身震いしてしまう和樹だった。

ガラ・・・
「お前ら〜!席につけ〜。今日は教育実習生の人を紹介する」
「「「「「おおおおおお!!!」」」」」

かおりの言葉に待ってましたとばかりに歓声が沸き起こる。そして、教育実習生が入ってくるとその歓声もさらに大きくなった。

「紅尉紫乃です。ここのクラスを担当することになりました。わからないことだらけで至らないこともあるかもしれませんがよろしくお願いします」
「紅尉ってことは?」
「養護教諭の紅尉の妹です」

謎の保険医の妹と聞いて沈むも、次の発言で最初のとき以上の歓声が沸き起こる。

「好きなものは死体です。TV番組では極秘映像公開とかがいいですね」
「す・・・素晴らしい!!」

そうこのクラスは変人歓迎、普通?金だけ置いてとっとと失せろ!なクラスだったのだ。そのクラスの雰囲気に和樹は頭を抱えたとか。矢夜、ケイの同情の眼差しがちょっぴり嬉しく思っちゃったり。
紫乃はクラスの心を完全に掴んだようだ。質問の嵐が巻き起こる。その一つ一つを丁寧に答えていく紫乃。時間はあっという間に過ぎてしまい。授業開始の時間になってしまい、紫乃は職員室に戻っていく。そのときに和樹と目が合い二人の間には一瞬だけアイコンタクトがあった。

『昼休みに保健室にきてください』

授業を終え、昼休みに紫乃の言いつけ通りに保健室にやってくる和樹。もちろん、矢夜とケイも一緒に。今回、夕菜は先生から用事を頼まれていたと言うことできていない。

「「「失礼しま〜す」」」
「いらっしゃい」
「紫乃さん、何のようなんですか?」
「はい、今回も仕事です」
「内容は?」
「依頼人は本名は言えないということでコードネーム、クレイマンだそうです。大切な絵画が盗まれたので奪還して欲しいそうです」
「なるほど・・・」
「どうしますか?」
「紫乃さんの持ってくる仕事ですからね。受けますよ」

和樹の言葉に嬉しそうに笑顔を見せる紫乃。事実、紫乃の持ってくる仕事は困難なものもあるが内容はまさに奪還屋というようなものが多い。なので、和樹は安心して仕事を受けられるのだ。

「で、犯人はわかっているのですか?」
「はい、ある美術館に飾られているところを目撃しているそうですが、直訴しても証拠がないとかで門前払いだそうで。警備も厳重らしいです」
「わかりました。今夜に早速いって見ます」
「最近、そういう曰く付の輩相手に盗みをする怪盗がいるらしいですので気をつけてくださいね」
「わかりました」

和樹は今夜、仕事にとりかかると聞いて手伝いを申し出る矢夜とケイ。しかし、それは紫乃によってとめられてしまう。今日は初の訓練日なのだ。二人は自分から弟子入りしたので紫乃の言うことに従ったのだった。

放課後になり、和樹は寮に一旦戻り着替えてから依頼人に会いに行く。指定された場所に行くとそこにはフードつきのジャンパーを来た小柄な人物だった。表情はフードで隠れて見えない。

「お待たせいたしました。奪還屋です」
「おや?随分とお若い・・・まぁ、どうでもいいですね。今回あなたにお願いしたいのはこの絵の奪還です」
「これは・・・ひまわり?」
「そうです、ゴッホの『13枚目のひまわり』です」
「はい!?」

クレイマンの発言に素っ頓狂な声をあげる和樹。それもそうだろう、ゴッホといえば少し芸術に詳しい者なら誰でも知っている人物だ。その最も有名な作品が12枚のひまわりという絵である。
日本の浮世絵に影が描かれていないのを見たゴッホは、日本は影が出来ないくらい明るい国なんだ!と思う。そして、明るい太陽を求めて南仏のアルルに移住する。キリスト教を信仰していたゴッホはそこに尊敬するゴーギャンら12人の芸術家を招き、ゴーギャンをキリストに自分を含めた12人を使徒にみたて芸術家の村を作ろうとした。ひまわりの絵はその12使徒となるはずだった人の部屋に飾るつもりで描いた連作といわれている。
その13枚目と言えばオークションでは100億は下らない値段が付けられると予想されるものだ。そんなものがあるとしたら、今頃世界中で大騒ぎになっているはずだ。冗談だろ・・・と思うのが普通である。

「混乱される気持ちは判ります。が、事実なのです。少々複雑な事情があるのですが・・・」
「複雑な事情ですか?」
「ええ、実はその13枚目のひまわりは鑑定に出せば贋物といわれる物なんです」
「やっぱり・・・」
「ですが、紛れもない本物の13枚目のひまわりです」
「訳がわからないのですが、それってゴッホが新しく描いたと言うんですか?ゴッホが生きているならわかりますが死んでいる人間がどうやって描くというんです?」
「あなたは聡明な方だ。その通り、そのひまわりはゴッホが描いたものです」
「どうやって?」
「イタコをご存知ですか?」
「なるほど!それで、本物と!!」
「そうです。私の母がイタコだったのです。小さいころから私は芸術が大好きだったので母は有名な画家を降ろしてよく絵を描いてくれました」

そんな大事な絵をどこからか知った蜂巣という悪徳商人がそれを強引に金だけ置いて奪っていったのだという。その当時、彼女の母はすでに亡くなっており、父親と二人暮らしをしていたクレイマンはなすすべなく絵を持っていかれてしまう。そして、時が経ち父もいなくなってしまい諦めかけていたとき。最近になって、ある美術館でひまわりが見つけたのだという。

「私は可能な限り調べました。その美術館の館長、セキュリティーなど、そしてわかったことですが、ひまわりだけでなく他の母の描いた絵までがあったのです」
「それも?」
「はい、出来ればお願いします。そして許せない事実もわかりました」
「許せない事実?」
「はい、蜂巣はあろうことか私の他、贋作疑惑のある物を安く買い取り、多額の保険金をかけ自ら葬り、保険金を受け取っていたのです。その中に私の母のものも何点かありました。芸術をなんだと思っているんだ・・・」

和樹は芸術はわからないが、クレイマンが本気で悔しい思いをしているのを感じとる。どうやら、今回は奪還だけでなくアフターサービスも必要のようだ。

「わかりました。ひまわりの奪還、確かに引き受けました!」


夜も更けたころ、和樹は美術館の中にいた。猫に擬態して夜目を利かせている。
クレイマンの話では閉館した後、館長自らが最終確認をしているらしい。その時間は警備員も帰っており、警備が手薄だと言う。その後だとセキュリティが作動し中にいることも出来なくなるほど厳しくなるらしい。

「まずは・・・この絵だな・・・」

館長の確認コースに被らないように慎重に道を選び依頼の品を回収していく和樹。
一方で、この美術館にはもう一人忍び込んでいたのだ。その人物とは・・・。

ガサゴソガサゴソ・・・
「あらら、こんな書類まである・・・もらいっと♪」

館長室と書かれている部屋から、少女の声が聞こえる。あの三姉妹泥棒の猫の目のような青いボディスーツ、腰に黄色い布を巻きつけ棒のようなものが布に差してある。顔は大きいマスクに隠されてよくわからない。
そう彼女こそ最近噂になっている怪盗『パインリーフ』であった。

「くふふ、今日も大漁です♪」

書類、お金などを腰につけていたポーチに入れ、ほくそえみながら部屋を後にした。が、部屋を出た直後にバッタリと館長と会ってしまったのだ。

「「あ!」」
「誰だ!」
「失礼しました〜!」
「曲者だ!であえであえ〜〜〜!!」

お前はいつの時代の人間だ?とツッコミたかったパインリーフだが、今はそんなことを言っていられる状況ではなかったので一目散に逃げる。
館長一人と思われていたのだが、取り巻きみたいなものが5人いたのだ。どうりで警備員がいないわけだ。
パインリーフは館長室に戻り、部屋の窓ガラスを突き破って外に飛び出した。このまま逃げ切るつもりだったが、運の悪いことに飛び出した先には人がいた。

「へ?」
「え?」
ドン!
「「わぁ(きゃぁ)」」
ドサ・・・

パインリーフと誰かは正面衝突。二人とも絡まるように転倒する。その表紙にパインリーフのマスクがとれ、素顔が見えてしまった。

「あ!君は・・・」
「え?あなた・・・」

二人とも、お互いを知っているようだったが今はそんな場合ではない。すぐに起き上がり逃走を再開しようとしたが回りこまれてしまった。

「符派葉歯母!!」チュイィイイイイン
「もう、貴様らは井の中の蛙よ!!」チュイイイイイン
「飛んで火にいる夏の蟲だっけ?」チュイン
「どうでもいい、とにかく貴様らの死は決定したのだ!」チュイィイイイイン
「大人しく、盗み出したものを出せば苦しまずに死なせてやろう!」チュィイイイイン

いや、もうなんつうか表現に困る5人、スコープをかけ密林を駆ける兵隊のようなもの達だ。その後ろから館長である蜂巣が薄ら笑いを浮かべながら歩いてくる。

「おや?猫一匹かと思ったら鼠までいましたか」

パインリーフとぶつかった人物をさしている。その人物とはもちろん、和樹だった。実は和樹は絵を盗み出した後、外に出て鳥に絵を運ばせてる最中にパインリーフとぶつかったのだった。そのために最後の一枚だけが運べずに和樹の脇に抱えられている。

「まぁ、始末するのだから一人が二人になったところで変わらないな。ついでに絵も処分して金を頂こうか。おい、お前達」
「了解!」

「具派葉歯母!!」
「我ら、卍一族が中堅!!」
「5人組のナイスガイ!」
「卍垢覆蠅いいいいいいい!!」
「あの世にいっても忘れるなぁああ!!」
チュィイイイイイイイイン!!!

5人の卍一族は和樹とパインリーフに向かって銃を向ける。先日、ワイバーンやベヒーモスと対峙してきた和樹にとってはこんなのは恐怖を感じるはずもないが、パインリーフはどうだろう。和樹はチラっと横を見てみる。パインリーフは布に差してあった棒を取り出し手に持っていて、落ち着いていた。

「「「「「死ねぇええええええええええええ!!!!」」」」」
ガガガガガガガガガガ!!!
シュボオオオオオオオオオオオオ!!

マシンガンと火炎放射器が一斉に火を吹く。和樹とパインリーフは左右に跳び避けるとそれぞれ迎撃を開始する。

「百獣擬態、虎爪擬!!」
ガシュ!!
「あぎゃぁああ!」
「ひぎいいい!!」

和樹は一瞬で終らせるが、パインリーフが気になり視線を横に向ける。とそちらも驚くほど一瞬で終らせていた。

「楼蘭舞踏鞭、呑み込め 洪水の如く(カジャ・ノ・ア・マーヤ)!!」
「具派亜!!」
「画布!!」
「具絵!!」

あの棒のようなものはしなやかな鞭だったらしい。その鞭で美しい舞踏を舞っているように3人を倒してしまう。
楼蘭舞踏鞭、かつてシルクロードに栄えし楼蘭王国を1000年以上も護り続けた国唯一無二の武器にして武芸。楼蘭の女が死ぬときに一本だけ残す、鉄よりも硬く絹よりもしなやかな龍髪と呼ばれる、一生をかけて伸ばした髪を何万本も遣い王国に伝わる秘法を持って一条の鞭としたもの。

「あの役立たずどもが!・・・・!!・・・焼け死ね〜〜〜〜!!」

雇っていた用心棒?がやられてしまい動揺していた蜂巣だが、近くに落ちていた火炎放射器を掴むと、二人に向かって放射した。

「しまった!!」
「きゃああああああああ!!」
ゴオオオオオオオオオオオオオオ・・・

蜂巣の放った炎に呑み込まれる和樹とパインリーフ。後に残ったものは炭になった物体と燃えカスとなった紙だったものだけであった。その焼け跡を見た蜂巣は声をあげ、高らかに笑っていた。

「ふ、ははは、やったぞ。あは、あははははははははは!!!!」

――後日――

「ご希望通り、10億用意しました。お確かめを」
「いや、すいませんな。保険金の一部を現金でいただきたいとご無理を申し上げてしまいまして」

あの後、蜂巣は盗まれた絵画が燃えてしまったことを報告し、本日の保険金受け取りと相成った。保険金を持ってきた人は苦々しい顔をしつつ、皮肉を言うも、金をもらって浮かれている蜂巣にはなんの効果もなく。実に遺憾だよ、と自分の立場からもそうであるかのように―実にわざとらしいが―言う。

「いや、実に痛恨の思いです。名画の盗難は世界の損失であって・・・「そうですよね〜、世界に誇る名画ですから」・・・な!貴様は!!」
「どうも」

話に割り込んで来たのは、燃えたはずの和樹だった。しかも、脇に抱えているのはこれまた燃えたはずの絵画である。

「どうして、貴様が、絵画がここにある?お前らは燃えたはずじゃ・・・」
「燃えた?何言っているんです?僕はちゃんとここにいますよ。怪盗にとられた絵を取り返したんですよ♪」
「そんな馬鹿なことがあるか!それは私が貴様もろとも燃やしたはず・・・」

興奮して自ら犯行をしゃべってしまう蜂巣。保険会社の人の冷たい眼差しが蜂巣を突き刺す。和樹はそんな蜂巣に微笑を浮かべて言い放った。

「あなた、悪い夢でも見たのでは?」
「そ・・・そんな・・・・」
「では、僕はこれで、まいどあり〜♪」

そのまま、絵を残して帰っていく。「これって偽者の疑いがあるものですよね?」と一言残して。保険会社の人は早速、絵を調べてみる。

「間違いないな。わが社の印が張ってある。で、本物かどうかは別として」
「あ、いや・・・その・・・」
「今回のことは保険金詐欺事件として警察に報告しておきます。なお、先ほどの少年の言うとおりかどうかも、科学鑑定を行うとともに厳重な調査をさせていただきます。では、失礼します」
ドサ・・・
「終った・・・何もかも・・・」

部屋には燃え尽きて真っ白になった蜂巣が残された。和樹が建物から出ると、一人の女性が声をかけてきた。

「奪還屋さん」
「あなたは?」
「あら?依頼人のことがわからないのかしら?」
「ええ!!あなたがクレイマンですか?」

和樹が驚くのも無理はない。フードつきのジャンパーを着ていて顔がわからなかったクレイマンが、グレーのスーツ(スカート)に身を包んだ美しい女性だったのだから。

「クスクス・・・あのときはあの格好で失礼しました」
「いえ・・・それより、あの絵を本当に戻しちゃっていいんですか?」
「はい、あのまま鑑定に出せば偽者と判断されて、美術館では展示できなくなります。そうするとどっかの休憩室に飾られたりすることになるでしょう。そうすれば、いろんな人にあの絵の素晴らしさをわかってもらえますから」
「でも、あの絵はお母様が描いてくれた大切な絵なのでしょう?」
「いいんですよ。私だけが見ているより、大勢に見られるほうが絵も喜ぶでしょうから」
「わかりました。では、依頼達成です。まいどあり」


翌日の放課後、和樹はクラスメートを誘って喫茶店に来ていた。

「何?式森君。話って」
「うん、先に何か頼む?結城さん」
「そうね・・・いちごパフェをお願い」
「OK。すいません、いちごパフィとウーロン茶ください」

呼び出したのは結城松葉。B組に在籍している妄想娘だった。
運ばれて来たケーキを食べることなく、和樹を睨みつけるように見る松葉。

「率直に言ったほうがよさそうだね。結城さん・・・いや、パインリーフって言ったほうがいい?」
「まぁ、顔を見られちゃったし。バレるのも当然よね。でも、火炎放射器から助けてくれたことは感謝するわ」

パインリーフ・・・いや、松葉はため息まじりにそう言う。彼女こそ、最近噂されていた泥棒パインリーフだったのだ。まぁ、バレバレかwそれにしても彼女達が生きてるのはどうしてか・・・それはあのとき。


「しまった!!」
「きゃああああああああ!!」
ゴオオオオオオオオオオオオオオ・・・

蜂巣の放った炎に呑み込まれる和樹とパインリーフ。後に残ったものは炭になった物体と燃えカスとなった紙だったものだけであった。その焼け跡を見た蜂巣は声をあげ、高らかに笑っていた。

「ふ、ははは、やったぞ。あは、あははははははははは!!!!」

と高笑いをしている蜂巣の傍で地面が動いている。

ボコォオオ!
「ぷは・・・間一髪」

咄嗟に和樹は土竜に擬態して炎を回避したのだった。ご丁寧に操獣術『影朧』を使いあたかも焼死したように見せかけたのだ。

「ん・・・あれ?私生きてる?」
「大丈夫だよ」
「は!あんたは!!」
「よかった。怪我はないみたいだね」
「今日はこのくらいで勘弁してあげる!次はこうはいかないんだから!!」

とパインリーフは飛び去っていった。最初から最後まで会話がかみ合わない二人であったとさ。


「私の正体を知ったならどうするつもりかしら?警察に通報する?」
「そんなことしないよ。結城さんはどうして泥棒なんてしてるのかな?って」
「そんな面白い話じゃないわよ・・・」

そういう松葉は悲しそうだった。彼女は両親がすでに他界しているらしい。ただ、遺産はあったので、学校には通えているとのこと。しかし、最近はそれも尽きて来たので泥棒をしたという。こういう考えが彼女がB組であることを物語っていた。ただ、泥棒するのは裏で殺しなどをやっていたり、何かした汚れたことをやっている人間を選んでいた。しかも、横領やらなにやらのお金だ。和樹は正義の味方をしているわけじゃないので、責めたりする気はないが。

「式森君は魔里人って知ってる?」
「ま・・・まさか、結城さん魔里人なの?」
「そうよ。眠りを司る秋木の一族の末裔よ。その証拠に・・・」

「眠りの嫡羅よ、今こそ生きとし生ける者に死にも等しき安らぎをもたらしたまえ」
コオオオオオオオオオオ

「ん・・・むにゃ・・・」
「はう・・・くぅー・・・」

松葉の後ろでやかましくくっちゃべっていた男女が眠ってしまう。確かに嫡羅を感じ彼女は眠りの一族だとわかった和樹。彼女は両親からこの力と楼蘭舞踏鞭を教わっていたので、苦労はしなかったようだ。それから和樹は自分も魔里人だと言うと二人の会話は弾んだ。好きな動物から始まり、話題はたくさんある。いつの間にケーキは3個になり、それもなくなる。ウーロン茶は2杯だった。そして、最初の話題に戻って来たとき和樹は言った。

「でも、泥棒はもう駄目だよ」
「え〜・・・それじゃ、学校に通えないよ〜・・・」
「それは困るね。じゃ、僕の仕事を手伝ってくれるかな?」
「式森君の仕事?昨日のアレ?」
「まぁね。詳しい内容は明日話すよ。結城さんの他にも話さないといけない人もいるし」

無論、ケイと矢夜のことである。

「わかったわ」
「それと、本を出してみない?」
「本?」
「うん、よく結城さんが話しているあの話」
「ああ、あれね」
「あれを本にして売るんだよ」
「本気?」
「うん、知り合いに頼めば出してもらえるし」

これは紅尉兄妹のことであろう。

「売れるはずないじゃん」
「そんなことわからないよ。売れなくても金返せとかは言わないから」
「どうしよっかな〜・・・」
「まぁ、考えといて。じゃ、そろそろ出ようか?」
「うん」

さっと会計の紙をとる和樹に自分も払うと言おうとした松葉。だが、和樹に手で制された。

「今日はおごるよ」
「あ・・・(キュン)」

変なところでフラグがたってしまったとさ。


あとがき

連投か?ラッフィンですw

この作品を連続したのは初めてですね〜・・・いつもはもう一つの作品と交互だからw
書き上がった〜〜!!!!
今週は大丈夫だった。ずっと続けばいいな〜・・・頑張ろう。

さあ、次回は何編か当てる人はいるか?いた人にはリクエストした人の話を書きます(笑)

では、次回お会いしましょうw


れすかえしです〜♪


D,様

固有スキルにするか悩んでいます・・・
馬に擬態ですか!!まずいな〜・・・学生結婚ですかw


覇邪丸様

おおおおおっと、危ないところだった〜!!!セーフw
私の大好きなキャラを出しましたwやっぱり奴らはいいぜw


黒冬様

ドジっこ玖里子ちゃんw

紫乃先生が3人になることはないので安心してくださいw


秋桜様

死の嫡羅はまさに無敵ですなw

ドジっこ玖里子ちゃんですw今、これを固有スキルにするか悩んでおります・・・

私は女難にあってみたいとですがw

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