朝仮面の男が起きると、エルルゥが心配した様な表情を見せながら仮面の男に話しかけてきた。
「本当に大丈夫ですか?」
「ああ、いつまでも寝てはいられないし、少しは歩かないとな」
仮面の男は大丈夫そうに話しているが、昨日の晩は痛み止めのツエツエ草が切れた事で、
痛み声を上げて、エルルゥに薬が切れている間、看病してもらっていた。
「ほぅ…もうええのか。ホムラと同時に担ぎ好まれた時は助からんと思うたが、結構しぶといの」
これを聞いた、ホムラは落胆の表情造りながら、心ではこんな事を考えていた。
『トゥスクルさんせめて本人が目の前にいるときに、話をする話ではないでしょう』
エルルゥもこの言葉を自分の祖母から聞いて、愚痴をこぼしていた。
「おばあちゃんたら」
「んで、何か思い出したかぇ、ホムラ、仮面の男?」
ホムラが先にトゥスクルの質問に答える。
「残念ながら、アレ以来、思い出せません、夢に出てきた、アノ人が知っているとは思うですけど?}
「……そうか…やはり…一緒かのぅ」
トゥスクルがホムラの問いに何かを呟き考え終わると、
仮面の男もホムラの次に答えようとしたが…。
「…………」
仮面の男は相変わらず全ての記憶を失っており、名前すら分からない状態だった。
トゥスクルはその状態を見て、アル決断をした。
「そうかぇ。では、名前を決めねば為らんのぅ」
「名前?」
仮面の男は何のことかわけが分からないまま
トゥスクルは、再び語り出した。
「名前がないと色々と不便じゃからの」
『確かに名前がないと呼ぶときも仮面の男ではまんまだからな」
「そうさの……」
トゥスクルは勿体つけるように、考えて一つの名前を頭の中に過ぎった。
『息子…エルルゥ・アルルゥの父親の名前じゃが、エルルゥ・アルルゥに慕われている以上問題は無かろうて』
「ハクオロ」
「えぇぇ…」
「……ちがぅ」
トゥスクルが名前を仮面の男につけると二つの異なる声が部屋に聞こえてきた。
「記憶が戻るまでの間、お前さんは、ハクオロと名乗るとええ」
仮面の男は自分の名前を確認するように、ゆっくりと話し出していた。
「ハクオロ…ですか?」
ホムラも仮面の男がトゥスクルによって名前がついたときに、アルルゥとエルルゥの反応がおかしいのに気づいていた。
ハクオロとトゥスクルさんに付けられた仮面の男もエルルゥの反応を見て、何かを考えていた。
『いったい…この名前にどんな由来があるんだ、エルルゥがあんな反応をするなんて?
』
「それと…ホレ、これを着るとええ」
トゥスクルは、仮面の男改め、【ハクオロ】に着替えの着物も用意していた。
「これは?」
ハクオロが混乱するのも無理は無い、行き成り、これを着ろと用意された、着物だ自分も知らない物だけに余計に疑ってしまう。
「そんな、裸同然の格好で外を出歩くわけにはいかんじゃろ」
「ぁ…」
エルルゥも何気に顔の表情が少しだけ火照るように赤くなっていた。
ハクオロも少し考えて。
「…確かにそうですね、何から何までありがとうございます」
ハクオロはトゥスクルさんに礼を言うと、
「服は着る為にあるんじゃ…エルルゥ、着るのを手伝っておあげ」
トゥスクルにハクオロが着物を着る手伝い頼まれた、エルルゥは
「うん」
良い返事をして、ハクオロがちゃんと着物を切れる手伝いを始めていた。
『これは…彼女が着ているのと同じような服だ』
とハクオロが考えていると。
「この着物って…」
エルルゥはハクオロが着る着物を見て、一瞬で自分の父が着ていた、着物と分かってしまった、
その為に今のような言葉が独りでに口から出てしまった。
「息子の古着じゃが、背格好が似取ったから丈は合うと思うがの」
この言葉を聞いたエルルゥは完全に手の動きが止まり、
何かを見るようにハクオロの背中を黙って見つめていた。
「……」
ハクオロも着物を着るのに一生懸命で、トゥスクルさんの言葉は耳に入らなかった。
『…っと、そでを通して…帯をこうして…こうか、ほぅなかなか居心地がいい』
ハクオロが全ての着物を着終わると、同時にトゥスクルさんが再び話しかけてきた。
「うむ、丁度ええようじゃの」
「確かに…似合っている」
「……違う」
「……」
エルルゥはいつまでもハクオロを見つめていたが、黙っているためにハクオロが様子が変と感じて
エルルゥに言葉をかけた。
「エルルゥ…どうした…さっきから黙ってみているようだけど」
「えっ?」
エルルゥは行き成り声をかけられたような表情を見せて、唐突な声を上げた。
ハクオロは再びエルルゥに話しかけた。
「もしかして…似合わないか?」
ハクオロがそう想うのは仕方ない、ハクオロ自身も着物を着るのに一生懸命で、
トゥスクルさんがさっき言った、【息子の着物】に何かしらの関係があるのだろう、エルルゥ・アルルゥも何時もと少し違うようだった。
「あ、いえ、似合っています」
耳がピッーーーンと上にあがり、顔は完全に真っ赤になりかけていた。
その直後…エルルゥはやけに落ち着きを取り戻し、
優しい声で語り始めた。
「とっても…似合いますよ」
「んっ」
「では、2人してその辺りを回ってくるがええ、ホムラは体を診てからでも遅くは無かろうて」
ハクオロは、トゥスクルさんに対してお礼を言う
「有難うございます、おばーーー」
「トゥスクルじゃ!!」
「は?」
ハクオロは完全に固まって閉まった。
行き成りの事で、ホムラも少し動揺してしまった。
「トゥスクルさんとお呼び」
ハクオロは完全に戸惑いながらも、
「トゥスクルさん…ですか」
と確認を取っていた。
ホムラも、トゥスクルさんと、お呼びと最初の時に言われてからいつの間にか言う事が当たり前に成っていた。
「ふむ…では行っといで。晩までには戻ってくるんじゃよ、ツエツエ草の効果が切れるからね」
エルルゥはトゥスクルさんの話が終わると、ハクオロの側までやってくると、
話しかけた。
「それでは、肩に掴まってください」
ハクオロは流石に戸惑い。
「しかし…それでは君に負担が掛かる」
「いいんです、そうやって道の途中で倒れられる方が余計に迷惑をかけるんですからね」
「……分かったそれでは、左肩だけ借りるとしよう」
ハクオロが杖のような木の棒を右手に持ち、左手はエルルゥの左肩に手をかけて、
トゥスクルさんの家から2人して平行して、ゆっくりと外に向かい歩いて行った。
後書き〜
ホムラの性格出すのに少しだけ口調を変化させました。
トゥスクルさん何気におばさん発言は禁句とPC版を買って
分かったので。このようにしてみました。
アニメ版とゲーム版の間を取って再編集したらこうなりました。
アニメ版はラスト一話です、来週の月曜日の深夜が【うたわれるもの】に
為りそうで、大変です、 ラストのイベント変更も色々とありますから
アニメ版を見てからもう一度汲みなおしに為りそう、