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▽レス始

「これが私の生きる道!新外伝9黒い死神堕落する!編 (ガンダムSEED)」

ヨシ (2006-09-27 20:53)
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(コズミック・イラ70、十月二十五日、某宙域
 )

 「書類の整理はこれで終了です」

 「すまないな。カザマ」

俺とアデス艦長は、クルーゼ隊で決済する必要が
ある書類を整理を行っていた。

 「副隊長ですから」

 「前はまだマシだったんだがな」

 「ミゲルが、副隊長の時ですか?」

 「あいつも、体を動かす方が得意な男だからな
  。お前ほどの処理能力がないから、クルーゼ
  隊長も自分でやっていたんだよ」

 「いえ、ミゲルの方が正しいんですよ。しかし
  、あの人も面倒くさがりだよな」

 「俺も疲れてきたよ・・・」

アスラン達とクルーゼ隊に着任して一ヶ月と少し
、俺達はアスラン達を実戦に慣れさせつつ、着実
に戦果をあげていた。
開戦時と違い、大きな艦対戦等はなかったが、プ
ラント籍の輸送船団を襲う海賊の殲滅や、地球連
合軍の通商破壊専門の小部隊の撃破、その部隊に
物資の補給を行う秘密補給基地の破壊など、Nジ
ャマーの影響で探り難くなった宇宙空間とデブリ
帯で暗躍をしている連中との戦闘を数日おきに行
っていた。
しかし、作戦行動自体は順調であったのだが、軍
隊で人間が動くと発生する様々な書類を伴う仕事
は、それほどでもなかった。
なぜなら、クルーゼ隊長が、書類仕事を全くやら
なくなってしまったからだ。
どうやら、俺がやれば良いと判断したらしい。
そんなわけで、クルーゼ隊長は全ての書類仕事を
俺とアデス艦長に押し付け、敵と出くわすと単独
で出撃して、独自に戦果をあげるという状態が続
いていた。

 「補給物資申請一覧表・・・・・・。却下!(
  ジン)の補給部品の割合がおかしい!量があ
  れば良いというものではない!足回りの部品
  は、宇宙空間なのでこんなにいらない!むし
  ろ、スラスター関係の部品を増やすように申
  請し直しだ!」

 「これは、ニコルが作った書類だな」

 「あいつも、まだまだだな。赤服は、モビルス
  ーツの操縦だけじゃあ駄目なんだけどな」 

俺は、ニコルの作成した書類に赤ペンで修正を入
れる。
だが、彼はまだ十五歳と、五人の中では一番若か
ったので、仕方がない部分もあった。
実は、クルーゼ司令が全くあてにならないので、
将来の幹部候補達への研修を兼ねて、ニコルを含
む五人にこの手の仕事を割り振っていたのだ。  

 「次は、イザークだな・・・」

次に、俺はイザークが作成した書類のチェックを
始める。

 「こいつは、何でこんなに偉そうな言葉使いの
  書類を書くんだ?」

 「本当だ・・・」

地の性格なのか?本能なのか?は知らないが、俺
はイザークが書いた書類の文章に、赤ペンでチェ
ックを入れる。

 「次はアスランか・・・。うーん、まあ譜第点
  かな」

 「そうだな。まあ、これなら・・・」

俺は、アスランが作成した書類に判を押す。
彼は、基本的に何でもこなす事が出来る男のよう
だ。
特に書式に従って、余計な事を書く必要のない書
類は、優秀な彼の得意分野なのであろう。

 「次はラスティーですね・・・。企画書じゃな
  いんだから、将来への展望はいらないんだけ
  どな・・・」

 「蛙の子は蛙だな」

俺は、ラスティーが作成した書類にも修正を入れ
る。
どうやら、彼は父親の血を継いでいるようだ。

 「さて、問題はこいつだ・・・」

最後に、俺はディアッカの作成した稟議書に目を
通す。
ディアッカは基本的には優秀なのだが、たまに大
バカをかますので注意が必要であった。

 「何々・・・。(休憩室にビリヤード台とプラ
  イベートバーが欲しい。艦内の女性比率を上
  げて欲しい・・・。シャワーじゃなくて、温
  泉が欲しい)か・・・」

 「大バカ者め!」

 「俺だってそうして欲しいわ!こんな書類を、
  上に出せるか!」

俺は怒りに身を任せて、書類を破り捨てる。

 「なあ、カザマ・・。この隊って本当に大丈夫
  なのかな?俺は、胃が痛くなってきたよ・・
  ・」

 「さあ?どうなんでしょうね?」

アデス艦長は腹を押さえながら、俺に将来への不
安を語り始めるのであった。 


 「さ〜て♪今日はもうお休みよ〜♪」

俺は、ディアッカに書類の書き直しを命じてから
、仮眠を取るために、通路を歩きながら自室に向
かっていた。
すると、前方に一枚のメモリーが落ちているのを
発見する。

 「何だろう?誰かの家族の映像でも入っている
  のかな?それとも、プライベートな写真かな
  ?」

それは、家庭用のデジタルカメラとデジタルビデ
オの共通規格メモリーで、中に何か映像が画像が
入っているらしい。

 「見てから持ち主に返すか・・・」

中身が何となく気になった俺は、自室に戻ってか
ら、パソコンでメモリーを再生する。

 「ふーん。ナース服とメイド服って!えっ!」

メモリーの中身は、コスプレをした十八歳以下に
見える十八歳以上のお姉ちゃんの、エッチな映像
のオンパレードであった。

 「日本を離れて三年近く、まさか萌えを意識し
  たこの手の映像が拝めるとは・・・。セーラ
  ー服、巫女さん、婦警さん、○ンナ○ラーズ
  、ブルマー、そして柔道着とはマニアックな
  ・・・。しかもアンダーシャツなしですか!
  これは、お宝ですね!」

俺は我を忘れて、そのお宝映像に見入っていて、
自分の言葉使いが変わった事にも気が付かなかっ
た。

 「ヨシさん、書類の修正が終わりましたよ・・
  ・って!何を見ているんですか!」

いきなり、イザークが俺の部屋に入ってきて、驚
きの声をあげる。

 「まあ、これなら譜第点だな。イザーク、書類
  には決った言葉使いがあるんだ。それを良く
  覚えておけ」

 「あの、それは?」

 「お前も将来は、ザフト軍の有力な幹部になる
  んだ。それを考えて、この手の仕事も・・・
  」

 「ごまかしても駄目ですよ・・・」

イザークの軽蔑するような視線が、俺に突き刺さ
る。

 「やっぱり?」

 「それで、これは何ですか?」

 「うーん。(喜びの詰まった宝石箱や〜)」

 「○麿呂ですか!あんたは!」

 「何で知ってるの?そんなマニアックな事」

 「内緒です」

趣味が民俗学研究で、日本の事に興味を持ってい
るイザークが、そこまで細かい事を知っていた理
由は知らなかったが、俺は真面目なイザークを共
犯者に仕立てる事にした。
他人にエロ画像を見ている事を話されてしまった
ら、俺の「黒い死神」としての威厳が、傷ついて
しまうからだ。


 「イザーク!日本の事には、興味があるよな?
  」

 「はい。ありますよ」

 「なら、これは凄いぞ。なぜなら、これは日本
  文化の基本である(萌え)を集めたものだか
  らだ」

 「(萌え)ですか?」

 「そうだ!しかも、近代の日本の民族衣装を網
  羅しているんだ!空手着、剣道着、着物、浴
  衣、巫女、忍者など考えられる全てのものを
  だ!」

 「でも、裸ですよね」

 「違う!完全な裸ではなくて、半裸状態なんだ
  !イザーク!君は浮世絵を知っているか?」

 「はい」

 「あれには、春画と呼ばれるエッチな絵が沢山
  あって、当時の有名な絵師達は、それをこぞ
  って制作していたんだ。そして、当時の人々
  はそれを見て(萌え)ていた。つまり、この
  画像は、現代に甦った浮世絵なんだ!」

俺は半分嘘を交えながら、イザークがこの映像に
興味を持つように誘導する。  

 「知らなかった・・・」

 「これのコピーをやるから、しっかり勉強する
  んだぞ!なあに、知らない事は別に罪ではな
  いさ。これから知れば良いんだ」

 「ヨシさん・・・」

 「さあ、コピーが取れたぞ。これを自室に持ち
  帰って、お勉強のスタートだ」

俺はパソコンでコピーをした、映像の入ったメモ
リーをイザークに渡す。

 「頑張って勉強します!」

 「頑張れよーーー」

イザークは、嬉しそうな表情をしながら俺の部屋
を出ていった。

 「うーん。優秀なんだけど、単純な奴だな。さ
  て、続きを見るとするか。でも、誰の物なん
  だろうな?」

別に、自室でエロ画像を見る事は軍律違反でない
が、真面目なアデス艦長に知られると、お小言を
食らう可能性が高いので、秘密は漏れない方が望
ましかった。

 「ラクスとは、一ヶ月以上も会っていないから
  な。浮気には当たるまい・・・」

俺は、神からの贈り物を十分に堪能してから、仮
眠を取るのであった。


 「ヨシさん、おはようございます」

 「おはようさん」

 「十分に眠れました?」

 「仮眠だからな」

俺が仮眠明けに食堂でコーヒーを飲んでいると、
先にコーヒーを飲んでいたディアッカが、話しか
けてくる。

 「書類なら書き直しましたよ」

 「当たり前だ・・・」

 「若者の切実な願いを聞いてくれないなんて・
  ・・」

 「どこが切実なんだよ・・・」

 「それよりも、あの凄い画像は何ですか?」

ディアッカは、急に話題を変えて俺に質問をして
くる。

 「(そうか!イザークとディアッカは、同室だ
  ったんだ!)」

 「イザークの奴、日本文化の真髄がどうとか言
  いながら、一生懸命に見てましたよ。その姿
  たるや、ただのエロ少年でした」

ディアッカの話によると、イザークはあのエロ画
像を、目を血走らせながら懸命に見つめていたら
しい。

 「それで、お前も見ていたんだろう?」

 「ええまあ。でも、本当にどこで手に入れたん
  ですか?」

 「昨日、拾ったんだ」

 「本当ですか?ヨシさんが、ミゲルさんとハイ
  ネさんと組んで、アカデミー校内で、エロデ
  ィスクを売りさばいていたという噂は有名で
  したよ」

 「あれは、日本で密かに集めていたディスクの
  コピーだからな。全部リリースしたから、も
  う売れるネタは存在しないんだよ。それに、
  マーレのバカが販売ルートを摘発してしまっ
  たらしい。在学中にはバレなかったんだけど
  、後輩に引き継いだら、奴らがヘマをしてな
  」

在学中、俺達は小遣い稼ぎと自己の欲望のために
、酒・エロディスク・エロ本などを密かに売りさ
ばいていた。
当然規則違反なので、一部の教官達が、なぜか既
にアカデミーを卒業していて、関係がなかったマ
ーレと組んでその摘発に当たったのだが、俺達は
尻尾を出さなかったのだ。 
ところが、俺達が卒業したあとに、ルートを引き
継いだ後輩達がヘマをして、活動停止に追い込ま
れたらしい。 

 「そうなんですか。でも、えらく高品質の画像
  でしたよね。モデルも可愛かったし、スタイ
  ルも抜群だし」

 「誰かのコレクションなんだろうな。誰かは知
  らないけど」

 「普通は名乗り出ませんよね」

 「そうだな」

 「何が名乗り出ないんだ?」

急に、俺達の会話を遮るように、ラスティーが話
しかけてくる。
更に後には、イザーク、アスラン、ニコルの三人
もいた。

 「いやね。昨日、お宝を拾ったからさ」

 「そうですよね。あれは、日本文化の真髄でし
  たかたら!」

寝不足で目を血走らせているイザークが、興奮し
たような口調で話し出す。

 「ディアッカ・・・・・・」

 「俺は、早く寝ろって言ったんですよ・・・」

 「温室育ちだったから、毒されちゃったかな?
  」

 「あの母ちゃんの監視下で、エロ関係は難しい
  ですからね」

 「何を言ってるんです?ヨシさん」

俺とディアッカの内緒話に、ラスティーが疑問を
持ち始める。

 「ラスティーなら、わかるだろう?俺の昔の副
  業の話だよ。アカデミー時代の」

 「ああ」

 「その関係のメモリーを拾ったんだけど、誰の
  物なのかな?って事」

 「俺達には、くれないんですか?」

 「お前には渡すけど、アスランとニコルはねえ
  ・・・」

 「俺達だけ仲間外れですか?」

 「あまり良い気分ではありませんね」

既に秘密には出来ないので、状況を簡単に理解し
てくれそうなディアッカとラスティーには正直に
話したが、真面目なアスランとお子様のニコルに
は、どうしたものかと思ってしまう。

 「何を言ってるんですか!あれは、日本を知る
  うえでの重要な資料なんですよ。アスラン、
  ニコル。俺がコピーをしてやる」

 「日本の真髄か。面白そうだな」

 「そうですね」

 「イザークのバカが!アスランの奴、ドキュメ
  ント番組か映画と勘違いしているぞ」

 「ニコルもですね・・・」

イザークは、刺激の強い物を見過ぎておかしくな
ってしまったのか?あの映像を快くアスラン達に
譲るらしい。
そして、俺達はその誤解を解く事ができないまま
、メモリーは更に三人の手に渡ってしまうのであ
った。


 「ヨシさん!あれは何なんですか!」

更に翌日、俺が食堂でコーヒーを飲んでいると、
アスランが血相を変えて飛び込んでくる。
そして、その後には、何食わぬ顔をしたニコルと
ラスティーがいた。

 「何って、ああいう物ですよ」

 「イザークの口ぶりからして、もっと文化的な
  ・・・」

 「俺なら、そんな下らない物の鑑賞で、自由時
  間を潰したくないよね」

本当にドキュメント番組だったら、俺はそのメモ
リーをゴミ箱に捨てていただろう。

 「ヨシさん!」

 「いいじゃないか。エロ画像くらい見たって。
  健全な男の証拠だぜ」

 「あんな破廉恥な映像を・・・。様々な衣装を
  着けた女性の裸なんて・・・・・・」

 「ちゃんと、全部見てるじゃん」

 「なっ!そんな事は・・・・・・」

どうやらアスランは、律儀に全ての映像を確認し
たらしく、俺の指摘に狼狽する。

 「婚約者と会えないですからね。たまには息抜
  きも良いですよ」

 「おっ、ニコルは話がわかるな」

 「僕も男ですからね。たまには、ああいう物も
  見ますよ」

 「俺もそうだな。しかし、あれは見事な物です
  ね」

 「本当に拾ってさ。神のお恵みかな?」

 「俺は無神論者ですが、神を冒涜していますよ
  」

 「アスランは堅いなーーー。じゃあ、メモリー
  は返してくれて良いよ」

 「えっ!」

 「だから、コピーして貰ったメモリーを、イザ
  ークに返せば良いじゃないか」

 「ですが、ラスティーも持っているので・・・
  」

 「これからは、アスランがいない所で見るよ」

 「でも・・・。その・・・」

アスランと同室である、ラスティーがアスランの
前では見ない事を宣言するが、彼も普通の少年な
ので、それを処分する事に躊躇いがあるようだ。

 「アスラン!お前はラクスに、秘密にしている
  事があるか?」

 「いえ。ありません」

彼の性格から言って、ラクスに隠し事など出来な
いのであろう。

 「ならば、良い機会だ。たかがエロ画像だが、
  ラクスに秘密が出来たわけだな。まずは、第
  一歩を歩み出したわけだ」

 「ですが、ラクスに隠し事なんて・・・」

 「あのな。婚約者と言えども秘密は必要なんだ
  よ。逆にそうした方が上手くいくんだ。だか
  ら、お前はそれを密かに所有していれば良い
  んだよ。わかったか?」

 「ええ・・・」

俺の説得に、アスランは渋々納得したようだ。

 「でも、本当に誰のなんだろうな?」

 「さあ?」

 「ヨシさん。実は整備科の連中が、この画像が
  欲しいそうです」

 「良いけど、あまり広げるなよ」

 「了解です!」

だが、その内容のあまりの良さに、「ヴェサリウ
ス」の艦内に、コピーが爆発的に広がって行くの
であった。


 「ディアッカ、今度の書類は大丈夫なんだろう
  な」

 「安心して下さい。ちゃんと、事前に作成して
  カザマ副隊長に確認して貰いました。このメ
  モリーに入ってますよ」

アデス艦長は、通路で会ったディアッカに、提出
期限間近の書類のでき具合を聞いていた。

 「そうか。急いで欲しいのだが・・・」、   

 「なら、このメモリーをどうぞ。他には大した
  物は入っていませんので」

 「そうか。プリントしたらすぐに返す」

 「了解です」

ディアッカは、自分のポケットに入っていたメモ
リーをアデス艦長に渡してから、自室に戻る。
すると、イザークがすぐに話しかけてくる。

 「ディアッカ、昨日借りたメモリーを返すぞ。
  お前にしては、珍しくちゃんとした書類だっ 
  たな」

 「えっ!」

ディアッカは、昨日の事を急に思い出していた。
そう言えば、昨日書類のデータが入ったメモリー
を、イザークに貸し出していたのだ。

 「という事は・・・。あれは・・・」

ディアッカがもう一枚持っていたメモリーは、昨
日、主計科の兵士に頼まれて、あの画像をコピー
した物だった。
時間が空いたら渡そうと思って、今日は軍服のポ
ケットにしまっていたのだ。

 「まずいな・・・・・・。俺って、終わったか
  な・・・?」

 「どうしたんだ?ディアッカ」

 「これから大変な事になりそうなんだ」

 「また変な書類でも書いたのか?」

 「それを上回る失態だな・・・。(あのエロ画
  像を、アデス艦長に渡してしまったんだから
  な・・・)」

 「始末書ものか?」

 「左遷の可能性もある・・・・・・」

 「そうなのか!」

 「ああ・・・・・・」

その三十分後、ディアッカを含む数人の人間が、
アデス艦長に呼び出されたのであった。


 「実は、聞きたい事があるのだが・・・」

 「ははは。何でしょうね」

艦長室に呼び出された俺とアスラン達は、異常に
神妙な顔をしているアデス艦長に恐怖を覚えてい
た。

 「ディアッカのメモリーを借りたら、おかしな
  映像が入っていてな。俺は、書類のフォーム
  が入っていると聞いたのだが・・・」

 「すいません。間違っていまして、これが正式
  なものです」

ディアッカはビクビクしながら、アデス艦長に本
物のメモリーを渡す。

 「今度は、大丈夫なのかな?」

 「勿論ですよ」

 「ならば、その件はこれで終わりだな。実はな
  、艦内におかしなメモリーが多く出回ってい
  て、その元凶がお前達だという噂があるのだ
  。心当たりはあるかのな?」

アデス艦長の問いに、全員の背中に冷や汗が流れ
る。
彼は俺と同等の副隊長格はあったが、年齢や任官
時期からすれば、先任にあたる人なのだ。
ここは、怒られないように上手く誤魔化すしかな
かった。

 「さあ?どうなんでしょう?」

 「俺は知りません・・・」

 「俺もです・・・」

 「僕もです・・・」

 「俺も・・・」

俺達は動揺を表に出さないように噂を否定したが
、既に証拠を掴んでるアデス艦長は、追求の手を
緩めなかった。

 「実は、艦内の多くの兵がこれを持っていて、
  出所を聞くとお前達だと言っていたぞ」

 「本当ですか?」

 「ああ。これが決定的な証拠だ」

俺はシラを切ったのだが、アデス艦長は、机の上
に十数個のメモリーを放り投げる。

 「あははは。沢山ありますね・・・」

 「大人気だったらしいな」

 「ええ、それはもう見事な作品で」

 「ラスティー!」

 「しまった!」

 「詳しい話を聞こうか」

ラスティーのミスで、アデス艦長の説教タイムが
始まると思ったのだが、意外な所所で助けが入る

 「アデス艦長、何もそこまで大げさにする必要
  はないだろう」

 「クルーゼ隊長!ですが、艦内の規律を乱した
  の者達への罰を・・・」

 「だが、自室で何を見ていようと関係ないし、
  別に違反でも何でもないぞ」

 「ですが、多数がコピーされて、艦内のほぼ全
  員がこれを見ています」

 「ならば、全部没収してデータを消去すれば良
  い。今は作戦中で、こんな事に時間をかけて
  も無駄であろう」

 「クルーゼ隊長が、そこまで仰るのなら・・・
  」

俺達は、珍しくまともな事を言っているクルーゼ
隊長に驚きつつも、その寛容さに感謝するのであ
った。
だが、せっかくのお宝も全てが没収されてしまい
、再び味気ない日々を過ごす事になるのであった

 「あーあ。勿体なかったな。一人で楽しんでい
  れば良かった」

 「ヨシさん、それはないですよ。神の恵みは平
  等に分配すべきです」

 「それで、二度と拝めなくなったわけだ」

 「それを言われると・・・。しかし、勿体なか
  ったですよね」

 「アスラン、お前もそう思うだろう?」

 「えっ!俺ですか?まあ、何と言いますか・・
  ・・・・」

 「アスランは、巫女さんがお気に入りでしたよ
  」

 「ラスティー!」

 「アスランが健全な男の子で、良かった良かっ
  た」

 「違いますって!俺は艦内の規律が保たれて良
  かったと!」

 「本当に?」

 「本当ですよ!」

 「アスランは、こういう奴だからな。でも、あ
  の浴衣は惜しかっただろう?」

 「そうですね。あのうなじの部分が何とも・・
  ・って!変な事を言わせないで下さい!」

 「自分で言ってるじゃないか・・・」

 「ところで、イザークはさっきから何も話さな
  いな」

アデス艦長に呼び出されてから、一言も発してい
ないイザークに全員の注目が行く。

 「ヨシさん、あれは文化的な資料ではなかった
  んですね・・・」

 「ある意味においては、重要な資料だな」

 「騙すなんて酷いですよ!」

 「騙されるイザークが、どうかと思うぞ・・・
  」

 「僕もそう思います」

 「普通は途中で気が付くよな」

 「普通ならな」

 「もとはと言えば、イザークが・・・・・・」

他の四人が勝手な事を言っているが、イザークは
納得がいかないようだ。

 「仕方がないな。俺が本当の日本の真髄と言え
  る資料を用意していやる」

 「本当ですか?」

 「ああ、期待してくれ!」

こうして、数日の内に発生したエロディスク騒動
は、あっけない完結を迎えるのであった。


 「おお!これぞ、ジャパニーズ武士道だ!」

 「イザーク、何を見ているんだ?」

数日後、イザークは俺がプレゼントをした、日本
の真髄を語る資料を見ていた。

 「日本とは素晴らしい国だな。敵の組織が悪事
  を働いても、彼がちゃんと倒すのだからな。
  しかも、奥ゆかしくて自分の功績を誇らない
  。これぞ、ジャパニーズ武士道だな」

 「よくわからないな・・・」

ディアッカがパソコンを覗き込むと、バッタのよ
うな仮面を付けている男が、同じくおかしな格好
をしている男をキックで倒していた。

 「何で、蹴りだけで爆発するんだ?」

 「多分、ニンジャの技なのだろう」

 「ニンジャねえ・・・・・・」

その答えが本当なのか?イザークの勘違いなのか
?はわからないが、パソコンの横に置かれている
メモリーのケースを見ると、「○面○ライダー」
というタイトルが書かれていた。
他にも、「○宙○事○ャバン」「○ン○ルカン」
「○傑○イオ○丸」などと書かれた、多くのディ
スクが置かれている。

 「これぞ俺が求めていた、日本の真髄なんだ!
  ヨシさんは話がわかるなぁ」

 「(絶対にまた騙されているか、からかわれて
  いるな・・・)」

ディアッカの心の声はイザークには届かず、彼は
貰った映像を、一生懸命に映像を見続けるのであ
った。


 「ふう・・・。ようやく、紛失したコレクショ
  ンが戻ってきたな。落とした時は、どうしよ
  うかと冷や汗ものであったが・・・」

クルーゼ隊長は、没収したメモリーのデーターを
消去して、全員に返却したが、一つだけはそのま
まにして自室に持ち帰っていた。

 「ふふふ。我が珠玉のコレクションは無敵なの
  だ。家に置いておくと、ミサオに見つかって
  没収されてしまうので、異動の度に引っ越す
  のが面倒だが・・・」

クルーゼ隊長は、先ほどのメモリーを空のケース
にしまい込むが、そのケースには「偉大なる世界
遺産」というラベルが貼られていた。

 「他にも、ローマ帝国の攻防(軍服美少女コレ
  クション)、南国の自然(グラビアギャルコ
  レクション)、世界の警察・消防・レスキュ
  ー(制服ギャルコレクション)など、それに
  即した真面目なタイトルを考えるのが難しい
  のだ。あまり簡単なタイトルにすると、貸し
  てください)などと言われてしまうからな」

クルーゼ隊長は、独り言を言いながら何十枚もの
コレクションを整理していた。

 「問題は、(パイロットスーツギャルコレクシ
  ョン)と(ザフト軍軍服コレクション)を作
  ってくれるメーカーが存在するかだな。多分
  、日本の出版社なら、やらかしてくれそうな
  のだが・・・」

クルーゼ隊長は、そこまで考えてからモビルスー
ツの調整のために、格納庫に向かうのであった。


         あとがき

続下らないシリーズです。

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