設定】
この第1話はFateのED後設定というわけではありません。かなり御都合となっております。不快になられるようでしたら読むことをご遠慮ねがいます。
また、自分の文章力のなさ、設定の甘さ等、力の及ばず読者に不快におもわれるかとおもいます。それを踏まえて読まれるよう、お願い申し上げます。
衛宮士郎:英霊クラスの力保有。
千里眼、心眼(真)、無限の剣製等のスキルを保有。
戦闘時、英霊エミヤシロウの思考となる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・もし・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・もし・・・・大丈夫・・・・?」
「・・・もしもし・・・・大丈夫ですか?」
「(うっ・・・・・・まぶしい・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ここはどこだ?)」
目を開けると、そこは森の中であった。
森の中でも、木々の生えていない、少々隔絶された空間。
こもれびではなく、衛宮士郎に日の光が直接射していた。
そして、衛宮士郎の目の前では、一人の少女が俺に声をかけていた。
「(誰だろう・・・・金髪の少女・・・・・・・・・・・・えっ!)」
すこしぼやけていた視界がクリアーになると、少女の顔がはっきりした。
「せっ・・・セイバー!?」
「良かった〜。お気づきになられたようですね。ここで、気を失っておられましたが、何かあったのですか?」
「(誰なのよさ。セイバーって、少女に見える今のアタシをどうみたら剣士とまちがえるのかしら。)」
誰かと間違えて呼ばれたことに、さも聞こえていませんでしたとばかりの安心と心配の伺える顔で、少女は衛宮士郎の顔をのぞく。
「うっ(セイバーに似ている。)・・それは・・・・(どうしよう、実験で平行世界から来ました!なんて言えないし、なんて答えるかな・・・。)」
「ここで昼寝していました。(なんて・・・いえるわけないし・・・。)
「それは・・・・・無いと思いますよ。何か事情があるのでしたら、詳しく話していただけませんか?お力になれると思いますので。」
「(バレバレのウソつくんじゃないわさ!!アンタここがどこだか知っているの!?魔物が出没する危険地域だわさ!!どこの世界にそんな場所で昼寝するバカがいるのさ!!#)」
シマッタ!とばかりに、硬直する衛宮士郎。自ら退路をたってしまった今でも、正直に話すべきかどうか、かなり悩んでいた。
「(う〜ん、どうするか・・・。少なくとも悪い人には見えないけど、どことなく・・・あの悪魔(遠坂凛)の雰囲気があるしな〜。なんか隠している気がする。)」
衛宮士郎は少女のほうを見た。
少女は、微笑んで衛宮士郎の返事をまっていた。
「う〜ん、こんなに幼い女の子に迷惑はかけられないし・・・・・・・・・・・・。」
「(さっさと答えるわさ!!!!!)」
少女の顔に血管が少し浮き出ていたのはご愛嬌である。
「(でも信頼はできそうだな)・・・俺は・・・・・・・!!」
周囲の気配を感じ取り衛宮士郎は、急いで少女を背に隠して気配のする方向に視線をむけた。
「(視力強化[千里眼])」
少女は少年(衛宮士郎)に対する評価を改めることにした。
「(へ〜、なかなかやるわさ。念も使えない人がこの距離の殺気に気づくなんて・・・結構な数の実戦をくぐりぬけているわね。・・・でも“念”使いではない。“念”使いでないものが、アタシを守りつつアノ野犬の群れを掃討することは不可能――。)」
どんなに能力が低い“念”使いである以上最低、四大行である“纏”は常時行っている。そして、衛宮士郎は“纏”を行うどころか“念”をまったくしらない。少女は現状で衛宮士郎から見られる戦闘スキルのみから判断し評価していた。
“この少年(衛宮士郎)は、野犬の群れに倒されると・・・・。”
「(アタシは手ださない、アンタのお手並み拝見させていただくわさ。この状況に置かれて負けることを想定していない目をしている少年の戦姿をね。)」
四大行“纏”:生命エネルギーであるオーラ。オーラは人間なら誰しも持っているが、意識していないうちは垂れ流しになってしまっている。それを肉体の周囲にとどめるのが“纏”。基本中の基本技能だが、これを行うことで肉体は頑強となり、老化も防ぐことが出来る。
このとき背の後ろで衛宮士郎を見ていた少女は、少女の顔をしていなかった。衛宮士郎の戦闘スキルの高さに驚き評価する少女は、本来の年相応の顔に戻っていた。
しかし、衛宮士郎は、少女を守ることしかなく、まだ遠方にいる敵だけを認識していたため少女の変化には気づかなかった。
一方、衛宮士郎は野犬の群れがこちらを標的にされている状況に少々にがい思いをしていた。
「(野犬の群れか・・・体長が通常の2倍以上あるにしても倒せないことはないが、それにしても数が多い。倒すときに自分の能力が少女にばれてしまうだろうな。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・しかたない、少女には適当にごまかすことにしよう。)」
このときまで、衛宮士郎は少女を誤魔化せると思っていた。誤魔化せないにしても、秘匿すべき“魔術”を幼い少女に見せたところで、大事にはいたることはないと確信していた。
なんせ、見た目少女で戦闘の「セ」の字も知らない女の子であると思っていたから・・・。
体内に27ある魔術回路。そのうちの一つを強く意識する。
頭の中に描くのは、銃の撃鉄が打ち下ろされるイメージ。
長年使いこみすっかり馴染んだ詠唱と共にスイッチを入れた。
「投影開始」(トレース・オン)
投影を行い、その手には使い慣れた“干将莫耶”―――――黒白の双剣が現れた。
衛宮士郎が黒白の双剣出現させるや否や少女は即座に“凝”を行った。
「(――――剣の具現化! あの双剣、“念”で作り出されたものに違いないわさ・・・・・・・・・・。実体化している。・・・・・・・・念使いでもないのに、なんてデタラメ!?)
“念”をまったく知らない一般人が、具現化系“念”使いの“発”である“念”の実体化を行ったと見えた少女は・・・・・・・・
“具現化系の天才”
ただその言葉だけしか、当てはまる言葉を見つけれなかった。
自分の“魔術”を見せてしまったので、少女の反応を見た衛宮士郎は、少々固まっていた少女に、衛宮士郎は優しく声をかけた。
「ごめん。こわがらせてしまって・・・。」
そう、声をかけた衛宮士郎は、そっと少女の頭をなでた。
「(なっ・・・なんなんだわさ。わっアタシは57歳よ。アンタよりよっぽど年上なんだから・・・。)」
少女は、初めてだった。
幼いころから、自分の肉体を鍛え、強くなった。
極限まで鍛えられた肉体を持つ自分を、子ども扱いするひとは少なく、守られることは皆無であった。(むしろ、守る立場にあった。)
だから、衛宮士郎が少女にとった行動は、少女の顔を少し染めさせた。
撫でられる事は好きではなかったが、されてみて嫌いでもなかった。
外見だけ少女57歳は、このまま誤魔化すことにした。
――― side 凛、セイバー ―――
「どうしたのですか?リン。とても喜んでいるようですが。」
食事時のリンとうってかわって、ご機嫌の遠坂凛。
「ん?ああ、セイバーね。」
よくぞ聞いてくれましたとばかりに、振り向く笑顔の“赤いあくま”
「実は、士郎が私の魔術研究の実験体として手伝ってくれるといってきてくれたから、もうすぐ完成しそうなの。」
「(シロウの悲鳴を聞きましたが・・・・・。)」
触らぬ神に崇りなし・・・いや、触らぬ“あくま”に崇りなし。
セイバーは深く追求するのは控えることにした。
「ところで、リン。研究していた魔術はどのような内容なのですか?」
「本当は、自分の魔術は隠すべきものだけど、まあいいわ。セイバーにはおしえてあげる。」
「(リン・・・・・顔に“教えたい”と出ていますよ。)」
「私の師匠である、魔導元帥キシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグ。並行世界への移動を行う魔法使いなんだけど。これがまた数百年の時を生きるとてつもない爺さんで・・・。」
「すみません、リン説明を簡略していただけると助かります。」
「・・・わかったわ。士郎が作ってくれたレプリカ宝石剣をオリジナルに復元させる研究をしていたの。で、その理論と構成方法とかいろいろ準備もそろったから、士郎にことのことを教えたら協力してくれたというわけ。」
「なるほど・・・それで、リン。シロウは並行世界に送られたあと、どうやって戻ってくるのですか?」
「大丈夫。その心配はしなくていいわ。ちゃ〜んと士郎には、マーカーと転移の魔術を組み込んでいるから、時間になったら、こちらの世界にもどってこられるはずよ。」
「シロウがこちらの世界に戻ってくる時間はいつになるのですか?リン。」
「そうね〜。あとすこしで戻ってくるわ。セイバーあなたも、士郎の生還に立ち会う?」
「はい、そうさせていただきます。」
―― 食事場 ――
・・・食事場についてから20分が経過・・・
「リン。シロウは戻ってきませんが・・・」
「大丈夫よ。理論は完璧だったんだから、かならずもどってくるはずよ。」
・・・それから、さらに20分が経過・・・
「リン!あなたの理論の信憑性は疑わしい。先ほど申したことは虚言でだったのですか!」
「だっいじょうぶ・・・・だと思う。」
・・・また、さらに20分が経過・・・
「言い残すことはありますか?・・・・・・・・・リン。」
不可視の聖剣エクスカリバーをこっそり片手に底冷えするような声でリンに問いかけた。
「どうやら転移の魔術を魔方陣に組み込んでいなかったみたい・・・(苦笑)」
「#そっそう〜ですか。あなたのいつもの“うっかり”なのですね。」
チャキッ
「まっ・・・待ってセイバー!!!」
「問答無用です!!!!!!」
「はぁぁあああああああ!!!!」
聖剣エクスカリバーの風の結界がとかれ、幾多にわたり勝利をもたらしてきた姿をあらわす。
「ちょっと!! なに宝具を持ち出しているのよ!」
「約束された勝利の剣(エクスカリバー)!!!!!!!!!!!!」
〜〜〜〜しばらくお待ちください〜〜〜〜
「はぁはぁはぁ、わっ悪かったわよセイバー。」
「その言葉は士郎が帰ってきてから直接本人に謝罪してください。(あなたの“うっかり”でシロウは帰ってこれませんけど。)」
「わかったわ。それと、士郎がこちらの世界に帰ってこれないと決まったわけではないわ。」
「ほんとうなのですか?リン!!!」
「ええ、そうよ。 マーカーを士郎に組み込むことには成功しているから、あとはそれを元に並行世界から探し出し、こちらの世界へ呼び戻すだけ。」
「それでは、リン。その魔術を行うための準備はどのくらい期間がかかるのですか?」
「うっ・・・・・・・・・・・・・・・・・1〜2年かな。」
チャキッ
「いっ1年いや、半年でなんとかするから、エクスカリバーはやめて〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。」
その日、冬木市に絶叫が鳴り響く。
――― side 衛宮士郎、少女? ―――
少女は落ち着きを取り戻したと判断すると、
衛宮士郎は、「(顔が赤かったけど、風邪かな?)」などと考えつつ、野犬の掃討へと戻っていった。
「(戦いを長引かせて、数に任せた攻撃をされたら、守りきれない。遠距離であるうちに一気に片付ける!!!)」
「――――投影、開始」
「――――憑依経験、共感終了」
「――――工程完了(ロールアウト)。全投影待機(バレットクリア)」
「っ――――停止解凍、全投影連続層写(フリーズアウト、ソードバレルフルオープン)... ... ...!!!」
空中に投影された“黒鍵”が最後の言葉とともに、いっせいに野犬の群れへと撃ちだされる。
次々と撃ちだされる“黒鍵”の総数において500は下らない。
野犬どもは、撃ちだされた“黒鍵”に串刺しにされ、撃ちだされる“黒鍵”をかいくぐり遅いかかる野犬がいても、干将莫耶によって切り殺され、その命を終えた。
その光景を見た少女は愕然とした。
放出系と具現化系は正反対の性質をもつ、ゆえに具現化されたものは、本来自分の手から離れれば、消滅もしくは著しい強度の低下を招く。
しかし、自分の離れたところに具現化させ、なおかつ、その本来の強度を保ち、野犬の体へ正確に突き刺したように少女から見えた。
少女は少年(衛宮士郎)のこの世界には存在しない“魔術”を見せられ、驚愕と畏怖を憶えた。
「(恐ろしい才能、“念”すらしらない一般人が具現化系、放出系、操作系をバランスよく高レベルでつかいこなしている。・・・・・なっ・・・・なんてもったいないだ!!磨いてもない原石のわずかな輝きに魅せられ、磨いたときのどの宝石にも負けない、光り輝く最高の宝石になることを約束した、世界にひとつの原石じゃない。凶悪の中堅“念”使いが現れた時点で“死”~~~~~~~~~~~~~~〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!もうがまんできない!!!!!!)」
衛宮士郎が野犬の掃討を終えて、少女の元に戻ってきた。
「もう大丈夫だよ。」
衛宮士郎は少女を安心させるように、笑顔でいったつもりだったが、返ってきた言葉は、その考えを大きく覆すものたっだ。
ビシ!!と少女が衛宮士郎に人差し指を指して言った。
「アンタ!!アタシの弟子になりなさい!!!」
「なんでさ。」