「おい、待てって! リキ!」
勇み足でホテルから出て行くリキをレイン、ミスト、マギが呼び止める。
「マジで行く気か!?」
「マジだ」
「やめとけって! マスターに怒られっぞ!」
ガシッとリキの足を掴んで引き止めるが、如何せん体格も力の差もあり過ぎ、ズリズリとマギは引き摺られる。
ズリズリズリズリズリズリズリ。
「己ら、見てばっかいねぇで止めろや!!」
おでこを擦り、真っ赤に腫らしたマギは、レインとミストに怒鳴る。が、2人は淡白に返した。
「リキは一度決めたら、絶対に止まらない」
「……………」
「そういう事だ。離せ、マギ」
「テメーが、借り返すのは勝手だけど、連れ帰らずにマスターに怒られんのはイヤなんだっつ〜の!! チキショ〜!! こんな時にマルクトの奴は、何やってんだ〜!?」
「へっくし!」
その頃、屋上ではマルクトが念虫の上で、マギ達がリキを連れて戻って来るのを待っていた。
「…………遅いな」
「マギ……頼むから離せ」
「ヤダ!」
ギリギリ、とコアラみたいにリキの足にしがみつくマギ。
「おい、リキ。こういう時のウチらのやり方、分かってんだろ?」
「む……『揉めたら喧嘩』か? お前、本気で我と喧嘩するか?」
「馬鹿! テメーなんかと喧嘩してたまるか!」
「じゃあ、どうするんだ?」
「泣くぞ? プリチーで、黙示録のアイドルたるアタシが泣いちゃうぞ!?」
「勝手に泣け」
「テメー、それでも善良な人間か!?」
「テロリストだ」
「全くもってその通りです」
何故か納得してマギは、リキから手を離す。そして彼女の腕をレインが掴んだ。
「もうやめろ」
「でもよ……」
唇を尖らせるマギに、リキはフッと笑うと彼女の頭に手を載せた。
「心配してくれてるのか?」
「バッ……ちげーよ! テメーなんざ心配する必要もねぇ!」
「ハハ……」
嬉しそうに頬を赤く染めて笑うリキを驚いた顔でレインとマギは見る。リキは、レイン、マギ、ミストの3人を一瞥すると、ニコッと微笑みかける。普段、凛としている彼女が、まるで子供みたいに笑う姿に、レインとマギは大きく目を見開く。
「彼奴らはマスターを狙っている。我が剣は黙示録を守る為に振るう。無論、お前達を守る為に我は居る」
「…………それでやられたら元も子もねぇじゃねぇか」
「ほほう?」
不敵な笑みを浮かべると、リキは青筋を浮かべ、不意にマギのこめかみに拳を当てて、グリグリし出した。
「イデデデデデデデ!!!!」
「マギ、お前は我が負けるとでも思ってるのか?」
「油断して捕らえられて念能力封じられたじゃねぇーか!!」
「パワーアップ」
「ぎにゃあああああああああああああああ!!!!!!!!」
ボロボロ、と涙を零し、マギはドサッと地面に崩れ落ちる。ビクビク、と痙攣している姿が妙に痛々しい。
「おや? お子様だから、もう寝てしまったかな?」
「…………」
あっけらかんと言い放つリキに、レインは眉を顰める。
「レイン、ミスト。マスターには、予定時刻までには戻る、と伝えてくれ」
「…………今、俺がマインドに連絡を取る事も出来るが?」
「いいや。お前達の口から直接、だ」
「分かった……」
頷くレインに、ミストは無言でマギを背負う。リキは背を向け、歩き出す。ミストも、マギを背負ったままホテルに入ろうとすると、レインがポツリと呟いた。
「マギだけじゃない……俺も嫌な予感がする。止めるべきだったか?」
「…………もしも止めたら私は貴方を一生許さない」
「今もそうだろう」
「…………そうだ」
単調に答え、ミストはホテルに入って行った。レインは、一度、去って行くリキの背中を振り返り、空を見上げる。夜空に月が赤く染まっていた。
「ビンゴ! やっぱり動いたわね」
その頃、ホテルの裏路地に停めている車の中で、ミサトはリツコの膝に置いてあるノートパソコンを覗き込んで笑みを浮かべた。
「ミサト……貴女も大概、性格悪いわね。発信機付けてわざと泳がせるなんて」
「うふ♪」
ミサトの提案で、リキに発信機を付け、仲間が彼女を助けに来るのを見越して、わざと外出したフリをして救出させる。そして、彼女がアジトに帰った所を確認して黙示録のリーダーを捕らえる、というものだった。
「カジ君、盗聴機の方は?」
運転席に座っているカジは、発信機と同じように取り付けた盗聴機で彼女と仲間の会話を聴く為にイヤホンを耳にしていたが、何やら神妙な顔をしていた。
「……………いや、特に会話らしい会話はしていない」
「そう。何か分かったら、教えてね」
「ああ」
頷くが、カジはハンドルを握る手に力を込める。
「(血も涙も無い奴らかと思ってたが……)」
先程、リキが話していた会話を盗聴し、カジは黙示録が残虐非道なテロリストであるという思い込みを誤解と思い始めていた。いや、間違いなく黙示録は残虐非道なテロリストである。だが、彼らは互いを思いやる心を持っている事も事実である。
特に、カジは、あのリキの強さを身をもって実感した。その冷酷さも。が、その彼女にも、ああいう仲間を思いやる事が出来る事を知った彼の心中は、少し複雑だった。
「…………駄目ね」
センリツは、ダルツォルネがいると思われる地下室に電話したが出る気配は無かった。
「当然だよ。殺られたに決まってる。聞いただろ? あのデカい奴が『鎖野郎は何処だ』って叫びながら階段を上がってくる音をよ。すぐに脱出して正解だったぜ」
ウボォーギンの叫ぶような怒鳴り声を聞いて、外出していたクラピカ以外は即座にノストラード組のビルから離れ、ネオンの宿泊しているホテル――それもノストラード組系列だが――に移動した。
「で? これからどうするんだい?」
「リーダーは恐らく死んだ。任務も遂行できてないし……まずボスに報告すべきだろう」
「ボスとは名ばかりのただの子供だぜ?」
「他に本当の雇い主がいる」
クラピカの意見をバショウがそう言うと、スクワラが静かに口を開いた。
「ライト・ノストラード。あの娘の父親だ。実際の指示はボスが出して、リーダーがそれを受けていたんだ。リーダー以外は、その連絡先も知らないが……」
「やはり報告するしかないね」
カヲルの意見に皆、頷き、ネオンの部屋へ向かう。
ネオンは、ベッドの中で静かに眠っており、なるべく物音を立てぬようクラピカが呼びかける。
「ボス……ボス」
「ん〜………?」
ネオンは、呻き声を上げて体を起こし、大きく欠伸を掻いて眠気眼を擦る。
「う〜ん……今、何時?」
「夜中の2時です」
「え〜!!? じゃ、競売は!?」
「中止になりました」
「中止? 何で?」
キョトンと目を見開くネオン。
「競売会場が盗賊に襲われました。その際にトチーノ、イワレンコフの2名が殉職しました」
「リーダーとも連絡が取れず、恐らく彼も……」
「え? え〜!? じゃあ、ミイラは!? 盗まれちゃったの!? 絶対、欲しかったのに〜!」
自分の護衛が殺されたと言うのに、競売品の心配をするネオンに一同は唖然となるが、クラピカは冷静に対応する。
「競売品はコミュニティーが安全な場所に移動したようです」
「あ! な〜んだ、良かった〜! じゃ、次の競売はいつ?」
「まだ分かりません」
「え〜〜〜〜!? 何で〜!?」
不満そうに頬を膨らませるネオン。するとその時、カヲルが部屋を出て行こうとしたので、それに気付いたヴェーゼが止める。
「カヲル。何処、行くんだい?」
「ちょっと調べたい事があってね。失礼するよ」
いつものアルカイックスマイルではなく、無表情で答えると、彼は部屋から出て行った。センリツは、少し顔を青ざめさせ、彼を見ていた。
「とにかく全ての情報網はリーダーが把握していたので我々では……指示を頂かないと動きようがありません」
「私だって分かんないよ、そんな事。パパに聞いて。携帯に番号入ってるから」
いきなり目の前に携帯電話を差し出され、クラピカは微妙な表情を一瞬、浮かべるが、それをスクワラに差し出した。
「スクワラ、電話してくれ」
「え!? 何で俺だよ!?」
「この中では、お前が一番古株だろ?」
リンセンにそう言われ、スクワラは首を横に振る。
「そりゃそうだが、無理だ。俺は、とてもリーダーなんてガラじゃない」
更に心の中で、ネオンのようなバカガキの世話など真っ平ごめんだと付け加える。そこへ、センリツが意見して来た。
「全員で決めたら堂かしら、公平に。とにかく早く連絡した方が良いしね……私はクラピカを推すわ。賊を捕らえたのも彼だし、適切な判断力もあると思う。カヲルもだけど、リーダーシップ、という意味ではクラピカが一番適任じゃないかしら?」
「異議なしだ。俺もクラピカに一票だ」
「そうだな」
「アタシも異論ないわ」
「お前がやってくれ、頼む」
センリツ、バショウ、リンセン、ヴェーゼ、スクワラに頼まれ、クラピカは「分かった」と電話をかける事にした。
「とにかく代理としてノストラード氏に連絡する。あくまでダルツォルネの安否が確認されるまでの間だ。最終的な判断は、ノストラード氏にして貰おう」
と、言うがクラピカは内心、こんなにも早く依頼主に接触出来る事にチャンスとばかりに思っていた。依頼主に近ければ近いほど、早く緋の眼に辿り着ける可能性も増すからだ。
「私からかけるのもなんだから、まずボスから紹介してくれませんか?」
「は〜い」
クラピカから携帯を受け取り、ネオンは父親に電話をかける。
「あ、パパ? ネオンだけど、ちょっと大変なの。オークションハウスに強盗が入ってね、ダルツォルネさんが死んじゃったかもしれないって。それでね、代理の人と電話替わるから話して……はい」
そこでクラピカはネオンから携帯を受け取り、部屋から出る。それを見て、センリツも部屋から出た。キョロキョロと首を振ると、備え付けのパソコンに向かい合っているカヲルを見つけた。
「カヲル」
「何だい?」
「…………凄いわね。あっという間に、怒りの心音が鎮まってるわ」
その言葉に、カヲルはピタッとキーを叩く手を止め、センリツを見る。
「ボスの言葉に珍しく怒ったのね」
「彼女に悪気が無いのは分かっていたけどね……まだまだだよ」
「貴方みたいに普段、感情を表さない人が一度、怒ると中々、その怒りは鎮まらないものなのに」
カヲルが部屋から出ていく時の心音は、自分を護衛していた者の死に対し、自らの欲求ばかりに赴くネオンに対する怒りで満ちていた。その心音を聴いた時、センリツは恐怖したが、今のカヲルは普段と同じ穏やかな旋律だった。
「僕も昔は、そんなんじゃなかったんだけどね〜」
「?」
「たとえ死んでも、次の種、世代が生きている。それが人間の無限の可能性を持っている……一個人の死など、微々たるものだと思ってた。けど、今は、その微々たるものに怒りを感じてしまうよ」
自嘲気味に笑うカヲルに、センリツも笑って頷く。
「それは素晴らしい事だと思うわ。それに……他人の死に怒れる貴方は本当に優しいと思う」
「お世辞でもありがとう」
「あら、正直な感想よ」
クスッとカヲルは微笑み、再びパソコンに向き直る。
「そういえば何してるの?」
「ん? ちょっと乗客名簿とノストラード組の構成員をね」
「流石だな」
カヲルが答えると、そこへクラピカがやって来た。
「私も調べようと思ってたんだが、必要なさそうだ。スクワラ達を呼んでくる」
カヲルの手際の良さに、クラピカはそう言うと、部屋に戻って行った。
シャルナークからノストラード組の構成員と、その系列のホテルのリストを貰ったウボォーギンは、ビルの屋上を飛び越えながら缶ビール片手に、クラピカを探し回っていた。
「ん?」
と、そこで向かいのビルの屋上を飛び越えて来るリキが目に留まり、向こうもこちらに気付いたのか、2人は止まった。
「何だ、誰かに捕まえられたのではないのか?」
「オメーもだろ」
「ふ……私は自力脱出出来たさ」
「ふん、俺もだ」
互いに笑みを引き攣らせ、視線を合わせないよう言い張る。
「で? 貴様は、こんな所で何してる?」
「鎖野郎に借りを返すんだよ。見つけて絶対、八つ裂きにしてやる!」
そう言い、ウボォーギンはグシャッとビールの缶を握り潰す。
「我も我を捕まえた奴を追っている。どれ、ではお互い景気づけに一杯」
リキは、ウボォーギンの持っている袋から缶ビールを一つ取って、プルタブを空ける。2人は並んで月を見上げて、缶ビールを煽った。
「…………筋肉ダルマと並んで月見ながらビール……絵的には最悪だな」
「うるせー」
グビグビ、とビールを飲みながら2人は揃って缶を握り潰そうとするが、ウボォーギンは、ちっちゃく潰れたが、リキのはそこまでならなかった。勝ち誇ったような笑みを浮かべる。
「うっし! じゃあ、行くとすっか!」
「ヘマしてやられるな。貴様との決着は、まだついていないのだからな」
「おうよ。テメーこそな」
ウボォーギンとリキは笑みを浮かべ合い、コツン、と拳を当て合うと、それぞれの標的を捜しに向かった。
「コレを見てくれ」
「何だ、こりゃ?」
クラピカは、スクワラ達を集め、カヲルの調べていたパソコンの画面を見せる。
「プロハンター専用の情報サイトだ。ノストラード組が所有している物件の全リストが出ている」
「な!?」
「勿論、組構成員の全リストもある。流石に我々新入りの名前は、まだ入ってないようだな」
現在、彼らが滞在している部屋はダルツォルネの名義で借りられており、彼は組のダミー会社の社員にもなっているので、構成リストに載っていた。クラピカとカヲルは、もし敵がこのサイトを利用し、ホテルと照らし合わせれば、すぐに居場所を発見されるだろうと考えた。
「プロハンター……なんて連中だ」
「今すぐボスを連れて別の部屋を借りてくれ」
「え? 同じホテルで良いのか?」
クラピカの指示に、スクワラが尋ね返すと、カヲルが答える。
「下手に移動するより早いしね。ま、バレないように僕ら新人の誰かの名義で借りれば良いね」
「そうだ。後、この部屋はチェックアウトしなくて良い。ボスも皆も、絶対にその部屋から出ないように」
「分かった」
「って、クラピカ、貴方は!?」
「此処に残る」
クラピカのその言葉に、カヲル以外の全員が驚愕したが、彼の表情には強い決意が宿っていた。
「さぁ〜、いらっしゃい! 条件競売だよーーー!」
2日になり、ゴン、レオリオ、キルアの3人は条件競売という事で腕相撲をしていた。
「競売品は300万相当のダイヤモンド!! 落札条件は腕相撲! この少年に最初に勝った者にダイヤが与えられますよ!!」
と、ゴンが台の上に腕を乗せているが、昨日で500人抜きを達成した噂は広まり、参加するのを控える者が続出している。
「は〜い、やりま〜す」
と、その時、ひょっこりと手を上げる者がいた。
「お、兄ちゃん! やるか?」
「はい」
人ごみを掻き分けて来たのは、黒髪をポニーテールにし、丸い眼鏡をかけ、余りにも場違いで季節外れなアロハシャツを着た少年だった。
「よろしくお願いしま〜す」
「あ、こちらこそ」
ニコッと温かい笑顔を見せられ、戸惑うゴン。互いに左手を握って、テーブルに載せ、右手を組んだ。
「レディ〜……ゴッ!!」
レオリオの合図と同時に、ゴンは倒そうと力を入れる。が、少年の手はビクともしない。
「おい、坊主! そりゃ、ちょっとお芝居が過ぎるぜ!」
「もっと上手くやれよ〜!」
ワハハハハ、と客から、ゴンが芝居をしてると思い、笑い声が轟く。が、キルアだけはゴンの表情を見て、眉を寄せた。
「(こ、この人……!)」
ちょっとこの前、女子の腕相撲世界チャンピオンと思えるような女性と勝負したが、それ以上に、目の前の少年は強く、全力なゴン相手に微笑を浮かべている。が、フッと少年の力が抜け、ゴンはそのまま勢い良く倒した。
「え? あれ?」
「う〜ん、負けちゃった。強いね、君」
「あ、ど、どうも」
「何で、こんな事してるのか知らないけど、頑張ってね」
「は、はい」
何故か励まされ、去って行く少年の背中をゴンは呆然と見詰める。
「今、わざと勝たされただろ?」
「うん。凄い力だった」
ボソッとキルアに小声で話しかけられ、未だ少年の見た目からは想像できない握力で握られた右手を見つめた。ゴンは、何故、彼がわざと負けたのか理解出来なかった。
「でも、何かで見た事ある奴だったような……」
「え?」
「いや、気のせいだろ、多分」
が、妙に頭に引っかかるものがあり、キルアはそれが拭い去れなかった。
「マスター、何で急に腕相撲を?」
少年が人込みから出ると、困った表情を浮かべるユーテラスに話しかけられた。
「いや、ちょっと、あの子が気になっただけ」
「? あの少年が何か? 確かに結構なオーラを纏ってるようですが?」
「何かを追い求める事に対し、真っ直ぐでひたむきな目をしていた。ああいう子の意志は強いよ」
「はぁ……それだけですか?」
「それだけだよ? ま、もっと理由を付けるなら、遠い昔、僕が失くしたものを持っているような気がしたからさ」
フッと遠い笑みを浮かべ、額に手を当てる意味不明なポーズを取る少年に、ユーテラスは微笑んだままツッコミを入れる。
「マスター、年寄り臭いですよ。あ、実際、大年寄りでしたっけ?」
「酷い……気にしてんのに」
「はい、泣いてないで買い物済ませますよ」
「はいはい」
少年は肩を竦め、メモを取り出す。
「えっと……イスはギターの弦、シフは紅茶…………ねぇ、ユー」
「何です?」
「思うんだけど、これってパシリ?」
「気付いてなかったんですかっ!?」
「や、そんなに驚かなくても」
【気付いてなかったのっ!?】
「マインドもツッコミ入れないでよ!」
「ま、そんな事はどうでも良いとして」
組織のリーダーがパシリにされてる事に対し、『そんな事』扱いされ、ヘコむ少年。ユーテラスは暗い背景を背負って落ち込む少年の服を引き摺りながら歩き出す。
「リキ、大丈夫でしょうか?」
「………………大丈夫。彼女は強いから……心も体も」
「そうですね」
「時にユー」
「はい?」
「お尻引き摺られて熱いです」
「あぁ〜、もう! 何処にいるのよ!?」
レイと合流し、アスカはミサトを探し回っていた。が、一向に手がかりさえ掴めず、途方に暮れていた。既に陽も傾き、夜になりつつある。
「流石にヨークシンは広過ぎるわね……それ以前に、もう此処にはいないかも」
「でも、リツコまでいたんでしょ!?」
「ええ」
「あの性悪年増コンビが揃ってヨークシンに来てるのよ! これは何かあるに違いないわ!!」
「酷い言われようね…………否定はしないけど」
「ゲンドウ・ロクブンギって人がNERVEなんて名前の会社の社長やってて、更にミサトとリツコが一緒にいるのよ! 更に、アタシ達までいる! これが偶然で済まされる
!?」
興奮するアスカに、レイはフゥと溜息を零す。その時、アスカの背中の向こうを見て、目を見開く。
「どうしたの?」
「アレ……」
「ん?」
レイが指差して振り返ると、そこには人込みに紛れ、背中に2本の刀を背負った女性が歩いて来る。その女性を見て、アスカはレイに尋ねる。
「あの女がどうかした?」
「あの人……カツラギ一尉の車に一緒に乗ってた……」
「!?」
それを聞いて、アスカは目を見開いて女性を凝視する。そして、女性の手の甲を見て、更に驚愕した。黒い翼にナンバー入りの紋章。レイも気付いたようで、驚愕している。アスカとレイは平静を保ちつつ、すれ違い様に言い放った。
「黙示録皚将検帖銚汽璽襯┘襪叩
「!?」
その呟きが聞こえた女性――リキは、立ち止まって強く反応すると、アスカ、レイを見る。アスカは、不敵な笑みを浮かべ、リキを見上げる。
「アンタに色々聞きたい事があるの。ちょっと付き合って貰える?」
〜レス返し〜
流刑体S3号様
リキとマギのやり取りは姉妹みたいな感じがして書いてて楽しいです。
今回は、殆どリキが主役です。ウボォーとの月見酒は、ついその光景をリアルに想像して書きました。
ま、3人分の念を込めれば、十分、強化系のリキも拘束できると考えれば納得して貰えると思います。
マギは操作系寄りな特質系能力者です。黙示録のメンバーを考える時、除念師がいたら良いな〜、と思い、マギをそうしました。
なまけもの様
ミサトの銃弾の最後の一つは、針が拡散するものです。すいません。
ミサト自身の念の力は、リキより弱いですが、ミサトの銃の砲身の中には、神字が刻まれています。原作でツェズゲラが、神字を使っていた相手に『本人の実力が大したこと無いと言ってるも同然』様な事を言ってますが、じゃあ、実力者が使えば、もっと能力が上がるのでは? と考えた結果です。まぁ、リキが油断していたのも大きいですが。
リキが戦うのは、ナーヴ3人組ではなく、アスカとレイです。いよいよ、2人も黙示録相手に本格的な戦闘開始です。
エセマスク様
あ〜……確かに言われてみれば、ステラっぽいですね。でも、腹話術の人形のしゃべり方がアレですからね〜。
ま、ウチルが護衛団にはいたのは、単なる小遣い稼ぎなだけですし。彼女、シズクみたいに、どうでもいい事は忘れちゃうタイプなので、多分、カヲルとかの事、既に忘れてるかも……。
いえ、リキが使徒として目覚めた切っ掛けは家庭環境ではありません。それは、話が進むに連れて明らかになります。
はい、ミストの仮面はクルーゼっぽいのを想像して貰って結構です。
1様
はい、私もイスラームの声を決めた時、ギターとか青葉シゲルと被ると思いました。
夢識様
基本的に黙示録は宿無しなので、部屋があるかどうか……。
ミサトの銃……すいません、深く考えてません。ルパンの次元のような奴でも想像しててください。
デコイ様
私も黙示録のメンバーは大好きです。原作でも旅団のキャラが好きですし。
リキの場合、本気を出せば車の中でミサトの拘束を解けたでしょう。が、斬馬刀もない状態で、3人と戦うのは得策ではないと考えたかもしれません。後、ミサトは銃に神字(本当は、コレ、シンジと被るから余り使いたくないんですが)が刻まれてるので補足して、リツコの能力は彼女以外には無理っぽいと思ったんですが、強過ぎですかね? それ言ったら、ナックルの能力なんて、単純に殴り合えば良いようなヤツですし。仮に全額返済されてもナックル自身、“絶”になる訳でも無いので、OKだと思ったんですが。後、カジですが、カジは仕事上、主に情報処理ですので、戦闘向きな念能力ではありません。サポート的なものです。で、部下はリキより遥かに劣る連中で、寧ろ生き残ったカジは、強い部類に入ると考えても不思議ではないかと?
はい、アベンガネのように、確実に解除条件を満たす。この場合、リツコの持ってる解毒剤を奪うか、一週間待つかです。後、マギにも死者の念を除念する事は出来ません。
髑髏の甲冑様
対象者にかけられてる念をウイルスとするなら、彼女はワクチンを作ります。ですが、現実のようにより強いウイルスが現れ、更にそれを除去するワクチンを作る、と下手すりゃイタチゴッコが成立しそうな能力です。ミサト達はホテルにおらず、リキを泳がせる作戦です。そして、彼女とアスカ達の会話を盗聴しているカジにも注目がいきます。
ウチルは、素直にシンジ大好きっ子です。スカイの洗濯姿は書いてて笑えました。
そうですね。マギは、カニを強く意識しました。マギがカニなら、マルクトはスバルでしょうかね。今回、『泣いてない! 泣いてないもんね!』ってやろうかな〜と思ったんですが、余りにもカニそのものなので、やむなく没にしました。
ウィップが使徒として目覚めたのは、今後の話で。
ゴン達、何気にシンジとコンタクトです。ちなみに今回のシンジのコスチュームは、クロロの別ver的なもののように思って下さい。
絶魔様
初めまして、ふっふっふ……その質問は来ると思いました。
まず、ゴルドー砂漠からホテルまで、車を飛ばしたのですから、20分強でホテルに着いたとして、リキが覚醒し、再び眠るまで3分〜5分。これらを照らし合わせると、リキが寝ている30分程度を含め、1時間の余裕は何とかあったと考えられます。問題は、ゴルドー砂漠から街のホテルまでの距離ですが、多分、車を全速で飛ばせば、20分程度で着くかと。
アガモモ様
初めまして、感想ありがとうございます。
そうですね〜……多分、結構な額にはなると思います。ですが、既にゲンドウが手に入れてるように、ハンターサイトでは出回ってます。
後、200億というのは、シンジが勝手にハンターリストを弄って書き換えたものです。ま、彼女らの写真は、遠い昔の思い出なので、公に晒さないでしょう。黙示録のメンバーで左利き……う〜ん、ユーテラスが、そうっぽい気がします。