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▽レス始

「狩人の世界に現れし福音者達  第39話(エヴァ+HUNTER×HUNTER)」

ルイス (2006-09-10 21:45/2006-09-12 19:11)
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 圧倒的な力で陰獣を蹴散らしたウボォーギンとリキ。その戦い振りを見て、スクワラ、バショウ、センリツが驚愕している中、クラピカが一歩前に出る。

「!? クラピカ! どうする気だ!?」

「決まってるだろう。奴を捕らえる」

「無理だ! 見ただろう、奴らの能力の凄まじさを!!」

「関係ない」

 凄まじいほど鋭い目つきで睨んで来るクラピカに、スクワラはビクッと身を竦ませた。

「どっちだい?」

「何?」

 が、カヲルだけは笑みを崩さず、質問して来た。

「君も見ただろう? 相手は幻影旅団と黙示録だ」

 カヲルのその言葉に、他の3人が驚愕する。幻影旅団と黙示録。共に聞いただけで、絶対に手を出したくない相手だが、それが共同で戦っているなど想像もしたくなかった。

「捕らえるのは、どっちだい?」

「…………競売品を盗んだ犯人を捕まえるなら、旅団の奴だ」

「本当に、それが理由?」

「くどい!」

 カヲルに対し、声を荒げるクラピカ。自分が幻影旅団に対し、どれぐらいの憎しみを持っているか知ってるカヲルに、わざわざ問い詰められて苛立っているのだろう。クラピカは歩調を強くして歩き出す。

「待てよ、クラピカ! 死に急ぐようなマネはよせ! 今、リーダーに連絡を……」

「(何て凄まじい怒りと憎しみの音! 完全に我を忘れてる!)」

 センリツも、このままでは殺されるようなものだと顔を青ざめさせる。

「おい、クラピカ!」

 仲間の制止も聞かないクラピカだったが、その時、静かなメロディが流れた。すると彼らの周りに花畑が咲いたような感覚に襲われる。

「『野の春』、リラックスに最適な曲よ」

 フルートを吹いていたセンリツは、そう言って混乱している皆に言った。

「皆さん、落ち着いたかしら? まずは、冷静に対策を立てましょ」

「あ、ああ……」

 頷くスクワラの後ろで、クラピカは小さく笑みを浮かべセンリツに彼女でしか聞き取れないぐらいの小声で言った。

「センリツ、大丈夫、頭は冷えた。礼を言う」

今の彼の心音は落ち着いており、センリツもひとまず安堵する。

「だが、奴らは捕らえる」

「!」

「スクワラ、リーダーに連絡してくれ。勝算はある」

 先程まで、周りが目に入っていないクラピカの表情を見て、とりあえず大丈夫そうなのでカヲルはフッと笑った。


「行っちまったね〜。俺様達どうするよ?」

 ウボォーギンを追いかけに旅団が、リキを追いかけにマルクトが単独で。残されたイスラームがギターを肩に担いで、スカイとレインに問う。

「戻れ」

「!?」(ビクッ!)

 その時、レインの背後から声がしたので思わず振り返ると、いつの間にか、そこにミストが立っていた。

「リキは私とレインで追いかける。マスターの指示」

「何でお前ら? こういうのスカイの方が良くね?」

「知らない。マスターの指示。行くぞ」

 グッとミストはレインの手を掴むと、彼女は自分の影の中へと引き込んで行った。

「う〜む……愛の逃避行?」

「いや、違うだろ」

「や〜! 若いって良いねぇ〜」

 何故か楽しそうにギターを弾くイスラームに、スカイはあの普段から殺伐としている2人に間違っても、そんな展開はあり得ないと確信した。


「…………」

「悪いわねぇ〜。拘束させて貰っちゃって」

 カジの運転する車の助手席で、ミサトは銃口をリキに向けていた。その銃口からはオーラのロープのようなものが出ており、彼女を拘束している。リキの横では、リツコが座っている。

「何者だ、貴様ら? 我を殺すのならば、とっととしろ」

「残念ながら私達の標的は、あなた達のリーダーよ」

「なるほど。つまり我は人質、か」

「そういう事ん」

 リキに向かってウインクするミサト。斬馬刀も無く、強力なオーラのロープで拘束されている今、彼女自身、抵抗出来ない事を理解していた。

「それにしても我らのマスターを挑発するとは見上げた奴らよ。敬意を表し、質問があれば答えるが?」

「あら、結構、話分かるのね。じゃ、あなた達のアジトでも教えてくれるかしらん?」

「ついでに君らのリーダーの詳細を教えて貰えたら嬉しいね」

「ふむ……アジトの場所は教えても良いが、残りの黙示録と幻影旅団もいるぞ? 殴り込みかけるのか?」

「あはは。そりゃ、ちょ〜っち厳しいわね」

 自分の命が要らないのか、もしくは世界最強の実力者でもないと行かないだろう。ミサトも冷や汗を垂らし、苦笑いを浮かべる。

「でも、上からミサイル落とすとかすれば良いし」

「それはまた過激だな」

「あら〜? 実に合理的で手っ取り早いと思うんだけど?」

「確かに。私達がアジトにしているのは、郊外の廃墟のビルだ」

「…………意外とすんなり教えてくれるのね」

 意外そうにミサトが振り返って来ると、リキは笑顔を浮かべる。

「マスターは勿論、どいつもこいつも簡単にはやられる奴らじゃないのでな」

「確かに……簡単には逃がしてくれなさそうだ」

 運転しているカジが言うと、ミサトとリツコはハッとなってミラーを見る。ミラーには、空から巨大な蟲に乗って飛んで来るマルクトが映っていた。

「ちょ……何よ、あの蟲ぃ!? キモッ!」

「きっと念で具現化したものね。でも、何だか解剖したくなるわ」

 ウフフ、と不気味な笑いを浮かべるリツコに表情を引き攣らせながらも、ミサトはカジに向かって叫ぶ。

「カジ君!! このまま街まで突っ走って!」

「だったら、足止めぐらいしてくれ!」

「言われなくたってするわよ! リツコ! そいつお願い!」

「何?」

 そうミサトが叫ぶと、リキは腕にチクリ、と痛みを感じた。腕を見ると、いつの間にカリツコが自分に注射をしていた。

「な……にを……」

「安心して。ちょっと強力な睡眠薬だから」

 そう言い、リツコはポン、と注射器を消す。リキは意識を失い、ガクッと項垂れると、ミサトがシリンダーを外すと、銃口から伸びていたオーラが消える。そして、指先にオーラの小さな球体を作り出し、6つシリンダーに装填した。窓から体を乗り出し、銃を念虫へと向ける。

「“不確定要素な弾丸【ロシアンルーレット】”!!」

 念虫に向かって1発目を撃つ。

「ん? うわ!?」

 マルクトは、いきなり弾丸が飛んで来て回避しようとしたが、弾丸は当たる前に弾け、閃光が巻き起こった。思わず目を閉じてしまうマルクト。

「おっしゃ! ビンゴ! カジくん! このまま飛ばして!」

「はいよ」

 カジはマルクトの目がやられている隙に一気に車を走らせる。

「くそ……が! 逃がすか!」

 目を閉じながらも、マルクトは掌に大量の小さな卵を生み出す。すると、今までのように卵は孵化して幼虫から繭、といった順を取らず、小さな蚊ぐらいの虫が大量に飛び出した。

「行け! 絶対に逃がすな!」

 その虫の大群は、カジの運転する車を追いかけて行った。


「ねぇマスター」

「ん?」

 マギとチェスをしていた少年に、ふとアクアが立ち上がって話しかける。

「此処でこうしてても暇だし、ちょっと散歩してきて良い?」

「おい、アクア。リキが連れてかれたってのに、勝手な行動は……」

「構わないよ」

 ライテイが止めようとしたが、少年が許可した。アクアはニコッと笑うと、そのまま出ていこうとしたが、壁に背を預けていたウィップに話しかけられる。

「散歩……ねぇ? アタシも言って良いかしら?」

「嫌よ。化け物連れて歩いてたら気が休まらないもの」

「化け……!?」

 強烈な捨て台詞を残し、出て行くアクア。ウィップは、青筋を浮かべ、拳を強く握り締め、震わせる。すると突然、顔を両手で覆って泣き崩れた。

「酷い!! 酷いわ! アイツ、アタシの美貌が憎いからって、よりにもよって化け物だなんて!!」

「違うわ、ロザリー」

 泣き叫ぶウィップの肩に、ポンとユーテラスが手を置いた。

「真実よ」

「女なんて大嫌いよ〜〜〜〜!!!!!!!!!」

 バキィッと拳で壁を粉砕すると、ウィップはそのまま走り去って行った。

「ユーテラスさん……もう少し言葉をオブラートに包んだ方が……」

「え?」

 シフが苦笑いを浮かべて忠告するが、ユーテラスは輝かんばかりの眩しい微笑を向け、彼は思わず視線を逸らした。

「いえ、何でもありません……」

「皆、仲イイね〜」

「マスター、本気で言ってんのか?」

 ニコニコと笑顔を浮かべる少年に、マギは表情を引き攣らせながら質問した。


「ヘイ」

 一方、クラピカの運転する車では、ウボォーギンが鎖で拘束されていた。助手席ではセンリツ、後部座席ではカヲルがウボォーギンと並んで座っている。

「こんな鎖で俺を捕らえたつもりかよ? さっさと殺っとかねーと後悔するぜ?」

「黙れ」

「分かってんのか? これは千載一遇のチャンスだぜ。もったいぶってねーでさっさと……」

 あくまで余裕の笑みを浮かべるウボォーギンに対し、クラピカの表情が険しくなる。

「!!」

 すると、突然、彼の体を締め付けている鎖が太くなった。

「ぐ……おっ……(鎖が……! デカく……!? 強力に……!?)」

「黙ってろと言ってるんだ」

 クラピカは運転してるのに、振り返り、中指を伸ばす。

「(念の……鎖!?)」

 クラピカの5つの鎖の一つ“束縛する中指の鎖【チェーンジェイル】”は、どんどん太くキツくなり、ウボォーギンを締め付ける。

「(このパワー……! 俺の体が毒で動かせない事とは無関係に強い!! 野郎……強化系を極めた俺と同等近い力を、このちっぽけな鎖に込めてやがるってのか!?)」

「(“束縛する中指の鎖【チェーンジェイル】”はお前達にしか使わない能力! 旅団を捕らえ、その自由を奪う!! その為だけの力! もしも、旅団でない者に、この能力を使ってしまった場合、即座に私自身が命を失うようプログラムされている!)」

 それは制約と誓約という覚悟の証である。念能力は、制約や覚悟が大きいほど強く働く性質がある。

 クラピカの鎖を見ていたカヲルは、彼にしては珍しく険しい表情で見ていたが、ハッとなって窓の外を見る。

「クラピカ、追われてるよ」

「何!?」

 バックミラーを見ると、後ろから付いて来ているスクワラとバショウが乗っている車の後ろから、更に猛スピードで追って来ている車があった。

「何故!? あえて街から遠ざかっているのに!?」

「う〜ん、糸が付いてるね〜」

「!?」

 そう言われ、クラピカは“凝”を使って気を失っているウボォーギンを見ると、キラキラと光る糸が見えた。

「カヲル! その針を早く取れ!」

「もう無意味だと思うけどね〜」

 追われているのにカヲルは何故か笑みを浮かべ、針を外す。


「バレた」

 マチはウボォーギンが連れて行かれた時に放った糸が相手にバレたので呟くが、車を運転しているシャルナークは笑みを浮かべ、「もう追いつく」と言った。ちなみにフランクリンは、酒屋を襲いに行ってる。

 その時、彼らの車の前に一人の男性が乗り掛かってきて、風呂敷で車を包み込んだ。

「“不思議で便利な大風呂敷【ファンファンクロス】”!!」

 シャルナーク、マチ、フェイタン、シズクは急ぎ左右に飛び出す。風呂敷に包まれた車は小さくなり、男性の手に納まる。風呂敷からは、脱出出来なかったノブナガの怒鳴り声がする。

「やっぱタダ者じゃねーな、お前ら。あの一瞬に扉を開けて脱出する反応の鋭さはよ。警戒に値するぜ」

「ノブナガは位置が悪かたね」

「それにしても面白い能力だね。あの布で包んだものを小さくするわけか」

「あれなら競売品も全部ポケットに入っちまうな。奴が運び屋か……って事は元の大きさにも戻せる訳だ」

 恐らく、アレが陰獣の梟という奴だろうと推測する。ふと、彼らはハッとある気配に気付き、岩の上を見る。そこには、5人の男がいた。

「何だ、こいつら? 本当に、これがあの幻影旅団かよ。脆そうだぜ」

「あれ?」

 彼らを見て、シズクはある事に気付く。

「陰獣って全部で10人だよね? これで揃ってるよ」

「おかしいね。鎖と杭の使い手はウボォーとリキを抑えて逃げてる筈ね」

「陰獣じゃない?」

「いや、それ以前に俺達に残りの陰獣を集中させてるって事は、リキを攫って行ったのはマフィアじゃない……?」

 シャルナークが顎に手を当てて考えると、フェイタンが体からオーラを発し、残りの陰獣を見上げた。

「ま、こいつ等に聞けば分かるね」


「カツラギ一尉が……」

 アスカと別れ、夜のヨークシンを歩いているレイは、彼女からかつての上司だった女性がいると聞かされた。その後、アスカは倒壊したというビル現場へ、レイはその女性を探す事になった。

 が、この広いヨークシンでどう探せば良いのか、分からず、レイは適当に歩いていた。すると、前方で何やら悲鳴らしき声が響き、歩を止めた。

「…………何?」

 ドガシャアアアアアアン!!

 轟音と共に、一台の車が曲がり角を抜けて来た。レイは、その車とすれ違う際、助手席に座っていた女性に目を見開く。

「(カツラギ一尉!? ほんとに……!)」

 ブ〜〜〜ン!!!

「!」

 更に、その車を追うように見た事の無い蟲の大群が飛んで来た。その蟲はまっすぐ車を追いかけている。訳が分からなかったが、レイはその後を追いかけ、アスカに電話をかける。

<レイ? どうしたの?>

「見つけたわ」

<マジ!? 何処!?>

 端的なレイの言葉だが、すぐに理解したアスカが聞き返して来る。

「西地区に向かってるわ。後、蟲に追われてる」

<蟲ぃ!? 何やってんの!?>

「分からない。でも……」

<とりあえず、アタシもそっちに行くから、絶対に見失わないでよ!>

「ええ」

 とは言え、相手は車。まともに追っていても引き離されてしまう。そう考えていると、ふとオートバイの傍で立ち話している青年が目に止まった。

「……………」

 しばらくそのバイクを見つめるレイ。そして、薄っすらと微笑を浮かべた。

「問題……ないわ」


「まだ着かないのか?」

「もう少しだ!」

 ヨークシン上空では、マルクトの念虫に、レインとミストが乗ってリキを追って行った。

「今、追ってるのは追跡用の念虫だからな……迎撃されたら、もう追えないぞ」

「リキ、コレが無いとまともに勝負出来ない」

 ミストは、リキの斬馬刀を持ち上げて言うとマルクトとレインは神妙な顔つきになる。リキは強化系能力者で、確かに普通の能力者より肉体強化に長けているが、彼女のメインは斬馬刀での攻撃である。仮にウボォーギンと肉体強化のみで勝負したら、まず間違いなく負けてしまう。

 そして、今、自分達が追っているのは油断していたとはいえ、リキを捕らえる程の手練れ。リキの肉体強化だけで勝てる相手とは思えない。

「急がないと……」

 ギリッとマルクトが歯を噛み締めると、ふと彼は地上にあるものが目に留まった。

「(アレは……)」

「どうした?」

「…………レイン、ミスト。悪いがリキはお前らだけで追ってくれ」

「何?」

 言うや否や、マルクトは念虫から飛び降りる。

「そいつは、お前らの言う事も聞くから、リキ見つけたら指示出してやれ!!」

 そう言い残し、マルクトは地上に落下して行った。レインとミストは、訳が分からず顔を見合わせる。

「どういう事だ?」

「私が知るわけ無い」

「…………そうだな。今はリキを追うぞ」

「余り寄るな。気持ち悪い」

「…………すまん」

 ミストの言葉に、レインは目を閉じ、ただ謝った。


「西地区か……急がないとっ!」

 ビルの倒壊現場にいたアスカは、携帯を切り、レイと合流しようとすると、ふと近くの建物の窓ガラスに映っていた自分の背後にいる人物に気付き、目を見開く。

「アクア…………!」

 振り返ると、そこには笑顔を浮かべ、アクアが立っていた。

「はぁい。元気?」

「何しに来たの? 此処でやるつもり?」

「まさか。私は散歩してて、たまたま貴女を見つけたのよ」

 アクアは両手を後ろで組み、空を見上げる。

「それに、この街はいずれ私らに潰されるんだから、名残を惜しんで散歩するのも良いでしょ」

「…………」

 アスカは目を細め、後ろに下がろうとする。すると、アクアは冷ややかな笑みを浮かべて言って来た。

「面白い話があるの。聞かない?」

「…………面白い話?」

「ええ」

 スッとアクアは人気の無い路地裏を指差す。アスカは警戒しながらも、彼女の後に付いて行く。

「で? 話って何よ?」

「今、黙示録の一人が何者かに拉致されてヨークシンにいるの」

「!? 拉致……!?」

「ええ。それで、私の仲間が3人、追跡してるんだけど……」

「それがアタシと何の関係があるのよ?」

「…………マスターの能力、教えてあげようか?」

「!?」

 突然のアクアの言葉に、アスカは目を見開いて驚愕する。アクアは、不敵な笑みを浮かべ、更に言う。

「マスターだけじゃない。私が知ってるだけのメンバーの能力を教えてあげても良いわ」

「…………どういうつもり? アンタ、黙示録のメンバーでしょ? 仲間売るつもり?」

「理由その1……マスターの能力を教えれば、貴女は愕然となる。その表情が見たいから」

「(こいつ……)」

「理由その2……私が現在、壊したいと思う相手は2人。一人は貴女、そしてもう一人がマスター」

「!?」

 自分のリーダーを壊したいと言い切るアクアに驚愕するアスカ。それだけで楽しそうに微笑むアクアは、更に続ける。

「理由その3……マスターを壊したいのに、他の連中が邪魔だから」

「邪魔って……アンタ、黙示録のメンバーでしょ!?」

「ええ、そうよ。一番最初のメンバーよ」

「それが何で……」

「他のメンバーと違って私は忠誠心でいるんじゃない。私は、マスターに惹かれている……だから壊したい。貴女と同じように」

 以前、戦った時と同じような身も凍るような笑みを浮かべるアクアに、アスカはゾクッと震える。

「貴女は他の黙示録のメンバーを上手い手使って始末して。そして私は、マスターを壊す。どう?」

「……………」

「幾ら貴女が弱くても、こっちの能力知ってれば、相当有利に事を運べるでしょ? 悪い手じゃない、と思………」

 ドゴォッ!!

「?」

 アクアが言い終わる前に、アスカの蹴りが彼女の頬を掠め、ビルの壁に穴を空けた。パチクリ、と目を開くアクア。

「ナメんじゃないわよ。アタシは、アスカ・ラングレーよ。あんた達の能力知らなくても、ぶっ倒してやるわよ! それに、アンタにアイツを壊させもしないし、アタシもアンタのものにならない!」

 ビシッとアクアを指差し、高らかに怒鳴り叫ぶアスカ。

「アタシは、アンタに利用されてまで優位な立場になんて立とうと思わないわよ! 情報欲しいなら、ボコッて吐かせる!!」

 ゴキゴキ、と拳を鳴らし、アクアを睨み付ける。その態度に、アクアは最初は唖然としていたが、やがてプッと吹き出した。

「あはははははは!!! お、おかしぃ〜!」

 腹を抱えて笑うアクアは、目に涙を浮かべる。

「OKOK! そこまで言うなら、余計な事しないわ。ゴメンね」

 涙を拭いて、アクアは謝ると背を向けて歩き出す。

「ま、この街にアタシらはいるから、止めたかったら止めてみなさいよ。じゃね」

 ウインクし、アクアはその場から去って行った。残されたアスカは、舌打ちすると急ぎ西地区へ向かって走り出した。


「あら?」

 街を歩いていたアクアは、ふと前方に意外な人物がいたので驚いた。

「マルクト、リキを追ってたんじゃないの?」

 そこには人込みに紛れ、マルクトが腕を組んで睨むようにアクアを見つめる。

「どういうつもりだ?」

「何が?」

「あの女に俺達を売る気だったのか?」

「それが何か?」

 挑発的な笑みを浮かべるアクアに対し、マルクトは組んでいる腕に力を込める。2人の体から発するオーラが強くなり、一触即発の状態になる。が、マルクトはオーラを収めると、アクアに背を向けた。

「あら? 粛清でも報告でも何でもして構わないのよ?」

「俺は黙示録そのものに対して強い思い入れは無い…………」

「そうね〜。アンタも私と同じマスターへの忠誠心が強いって訳じゃないものね」

「アクア……」

「ん〜?」

「お前が何を企んでようが俺は構わない。が、マギに何かあったら許さないからな」

「は〜いはい。了解です」

 真顔で言うマルクトに対し、アクアは苦笑して肩を竦める。

「(ちぇ……報告でもしてくれたら、マスター直々に粛清に来てくれるかもしれないのに)」

 それはそれで面白かったんだけど、とアクアは溜息を吐いた。

「ところでアンタ、リキ追いかけなくて良いの?」

「あ、そうだった」

 言われてマルクトは、ハッとなると急ぎレインとミストと合流すべく走り出した。

「さ〜て、と。散歩の続き続き」

 仕事熱心なマルクトに感心しつつ、アクアは散歩の続きを始めた。


 〜レス返し〜

 拓也様
 そうですね。黙示録のメンバーにも死人は出るでしょうね。


 エセマスク様
 ウボォーとリキはいいペアになりそうです。
 作中でもありますが、肉体強化でもある程度、強いですが、あくまでメインは斬馬刀ですので、攻撃力は格段に落ちます。
 む……黙示録メンバーの声優ですか。難しいですね。
 アクア……大原さやかさん。
 ウィップ……郷里 大輔さん。
 ライテイ……関俊彦さん。
 シフ……置鮎龍太郎さん。
 イスラーム……子安武人さん。
 マルクト……高山みなみさん。
 レイン……緑川光さん。
 スカイ……山崎たくみさん。
 マギ……水樹奈々さん。
 ミスト……浅野真澄さん。
 ウチル(人形)……田中一成さん。
 リキ……柚木涼香さん。
 マインド……松本梨香さん。
 ユーテラス……井上喜久子さん。
 って、とこですかね〜。


 流刑体S3号様
 一応、黙示録は仲良し家族、みたいなものですし。アクアみたいな変わり者もおりますが。
 そうですね。マインドの能力は、移動や緊急時、拉致された時なんて便利です。
 一応、今回、エセマスク様のご要望で、黙示録メンバーの声を当ててみました。真っ先に決まったのは、ユーテラスかな〜。


 髑髏の甲冑様
 ウチルは、スカイやライテイの背中だと安心して眠っちゃいます。
 リキを拉致したのはミサトの能力でした。
 あ、すいません。マルクトとマギも幼馴染です。
 まぁ、クラピカに分からせるのとマフィアに黙示録の存在を確認させる為ですね、今回は。
 面白そうですが、シンジとクロロは『互いに何かが起きても、問題は各組織で解決すべき』と決めているので、クロロを拉致しても、シンジは大して何もしないでしょう。
 アクアみたいに精神の発達した大人なら、使徒っぽい雰囲気を出しててもおかしくないですが、ウチルの場合、まだ子供ですし、自分というものを出しませんからね〜。
 そうですね、その三点の状況だとマインドの羽は使えないと考えて貰って結構です。


 デコイ様
 まぁ、人質もあるでしょうが、基本的には黙示録の情報収集ですね。
 リキの斬馬刀のあるなしについては本文で分かって貰えたと思います。


 ショッカーの手下様
 私もウボォーとリキのコンビでの戦闘は書いてて楽しかったです。
 そうですね〜、シンジの相手はあの3人がしそうですね。


 夢識様
 ナーヴ組は、マフィアじゃないので、そんなキツい拷問はしないと思います。


 なまけもの様
 訂正箇所、修正しておきました。ありがとうございます。
 ミサトの能力については、いずれ詳細を発表します。
 ミサトの能力はロザリオではなく、拳銃でした。

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