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「狩人の世界に現れし福音者達  第38話(エヴァ+HUNTER×HUNTER)」

ルイス (2006-09-05 23:12/2006-09-07 21:41)
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「これは……!」

 倒壊した2つのビルの現場にミサト、リツコ、カジの3人は来ていた。救助隊が生き残りを瓦礫の中から引っ張り出しているが、かなりの作業になっている。

「酷いわね……」

「ビル2つか……黙示録の被害にしちゃ少ないな」

 何か予定外の事でも起こったのか、とカジは推測する。オークションのあったセメタリービルではマフィアが大勢で騒いでいる。

「まだ近くにいる筈よ。探しましょう」

 リツコがそう言うと、ミサトとカジは頷き、走り出した。


<人っ子一人いないだと? トチーノ達はやられたのか!?>

「恐らく」

 セメタリービルに着いたクラピカとセンリツは、オークションに参加していた500人以上の客が消え、トチーノ、イワレンコフ、ヴェーゼの姿が無かったのでダルツォルネに報告した。

 マフィアは、不審な飛行船を見つけたら攫うよう言って、首謀者は生かして連れて来くるよう全組織に呼びかけ、捕まえた組織にはコミュニティーから莫大な褒美が出ると流した。

<俺とリンセンはボスの警護を続ける。お前達は中央広場の立体交差点でスクワラ、バショウと合流しろ>

「了解」

 ダルツォルネから指示を受け、クラピカは電話を切ろうとすると声をかけられた。

「待った」

「! カヲル!? ヴェーゼ!?」

 すると入り口から、カヲルに肩を貸されたヴェーゼが入って来た。

「生きてたのか!?」

「まぁね。ヴェーゼは打ち所悪くて骨折したみたいだけど……ウチルは?」

 フルフル、とクラピカは首を左右に振る。それにカヲルは一瞬、目を細めたが、すぐにいつものような憂いたような笑みを浮かべると、クラピカに言った。

「クラピカ、携帯を」

「あ、ああ」

「もしもし、リーダー」

<カヲル! 無事だったのか!?>

「ああ。けど、トチーノとイワレンコフがヴェーゼの前で殉職したよ。ウチルも恐らく……敵も強力な念能力者だ。僕も逃げるだけで手一杯だったよ」

<…………そうか。客が一人もいないようだが、心当たりは?>

 ダルツォルネの質問に、カヲルはヴェーゼから聞いた、凄まじい念弾を放つ相手の事しか分からないと説明する。

<分かった。では、ヴェーゼは会場で起こった事を説明する為、残り、お前はクラピカ達と共に犯人追跡に向かえ>

「了解」

 カヲルは頷き、携帯を切るとヴェーゼに会場に残るよう言って、クラピカ、センリツと共に会場から出て行った。


「どういう事だ? 品物が無いってのは?」

 巨大なトンボのような長い蟲の上でマルクトが呟く。蟲には、マルクトの後ろにリキ、イスラーム、スカイ、そしてウチルが座っており、カマキリのような鋭い刃にはレインが掴まっている。その横では、ウボォーギン、ノブナガ、シャルナーク、フランクリン、マチ、フェイタン、シズクが気球に乗り、クロロに連絡を取っていた。

「旅団のフェイタンって奴がオークショニアを拷問して聞いたらしいけど、競売品は梟って野郎が運び出したようだな」

 ギターを弾きながらイスラームが言うと、スカイが首を傾げる。

「梟? 何だ、そりゃ?」

「陰獣の一人だ」

 地下競売を仕切るマフィアンコミュニーで、6大陸10地区を縄張りにしている大組織の長――通称、十老頭が、その元締めで、彼らがこの時期だけ一箇所に集まり、話し合いによって様々な指示を出す。そして、その十老頭が、それぞれ組織最強の武闘派を持ち寄って結成した自慢の実行部隊が“陰獣”である。

それを聞いて先端のレインが呟いた。

「妙だ……」

「あん? 何がだ?」

「陰獣によって競売品は全て運び出されたのに、何故、マフィア側は、その事を知らなかった?」

 そう言われ、皆、確かに、という顔になる。その時、スカイはコツンと背中に何かが当たったので振り返ると、ウチルがスヤスヤと寝息を立てていた。

「おい、ウー坊の奴、寝ちまってるぞ」

「寝かせといてやれ。落ちそうになったら、お前が助けろよ」

 フゥと嘆息し、マルクトが言う。

「にしても競売品を運び出すタイミングが良すぎるな。予め旅団が来る事を知ってたのかね〜?」

 誰か密告者でもいるんじゃないか、とイスラームは気球の旅団員を見て呟くと、マルクトが否定した。

「だとすると警備が甘過ぎる。幻影旅団が狙ってるにしては、お粗末過ぎだ……陰獣もいなかったしな」

 と、なると『誰かが競売品を狙ってるから、少し警備を強化した』ぐらいだとマルクトは推測する。

【うん。向こうの団長さんも同じような意見みたいだね】

「だぁ〜! いきなり話しかけてくんな!!」

 いきなり頭の中に話しかけられ、マルクトは大声を上げる。

【ゴメンゴメン】

 プツっと、マインドとの念話が途切れる。その時、気球の方からシャルナークが声を上げた。

「ねぇ! あっちの荒野でマフィア迎え撃つけど、どうする〜!?」

「行くに決まってる」

 リキがそう言うと、皆、特に反対する理由もなく、シャルナークの言葉に頷いた。


 ヨークシンから外れた荒野で幻影旅団と黙示録はマフィアに取り囲まれていた。

「降りて来い、コラァ!!」

「沈めるか埋められるかぐらいは決めさせてやるぞ!!」

 高い台地の上でマフィアが銃を乱射して取り囲んでいると言うのに、両組織の面子は、かなり余裕だった。

「わーぁ、団体さんのお着きだ」

「あれは掃除しなくても良いんだよね?」

「別に良いね」

「俺がやってやらぁ。お前ら手ぇ出すな」

 そう言い、旅団側で勝手に話を進めている。

「向こうは、ああ言ってるけどどうするよ?」

 スヤスヤと気持ち良さそうに寝息立てているウチルを背負うスカイが旅団側を指差して問うと、リキが一歩前に出る。

「あの筋肉バカ一人楽しませるのも勿体無い。我も行く」

「と、言ってるけど?」

「好きにさせとけよ」

 もう今日は仕事も何もない、とマルクトは疲れた様子で溜息を吐いて言う。

「おい、女。手ぇ出すな、と言っただろう?」

「我はクモではない。貴様の言う事を聞く道理など無い」

「あぁん!? 俺が手ぇ出すなったら、出すんじゃねぇ!」

「貴様こそ邪魔だ! 失せろ!」

「んだと!? 何ならこの場で決着つけるか!?」

「望む所だ!」

 歯を食い縛って睨み合うウボォーギンとリキ。他のメンバーは、アホくさすぎて溜息を吐く。

「よぉ〜し、勝負だ!! どっちがマフィアの奴ら多く殺せるか! 勝った方が陰獣と一人で戦う! どうだ!?」

「上等だ! 負けて吠え面かくな!」

 激しい口論を交わし、2人はニヤリと笑い、マフィア達の元へ降りて行く。2人に向かって一斉に銃口を向ける。が、一人のマフィアが制し、ウボォーギンに銃を突きつける。


「客さらったのテメーらか?」

「ああ」

「この場面で、エエ根性しとんのぉ。テメーらのアタマどいつだ?」

 その問いに対し、不敵に笑うウボォーギンに向かって、そのマフィアは顔面に向かって銃を撃った。が、銃弾はウボォーギンが噛んで止めていた。そして、マフィアに向かって手を振り下ろすと、首が90度曲がってしまい、そのまま顔面を握り潰した。

「はっはぁーーー!!!」

「下品な笑い方……」

「死ねやぁ!!」

 高揚するウボォーギンに呆れ果てるリキに向かって何発もの弾丸が飛んで来る。が、リキは背中から刀を1本抜いて、見えない勢いで振り下ろすと、全ての弾丸が真っ二つに切り裂かれた。

「え?」

 更に、その際起こった風圧で、マフィアの一人が縦に真っ二つになる。

「まずは互いに一人」

「勝負だ!!」

 2人は、地面を蹴り、マフィアに向かって攻撃を仕掛ける。ウボォーギンは自慢の怪力で銃弾をものともせず、マフィアの頭を握り潰し、リキは、2本の刀で次々とマフィアを切り裂いていく。

「お〜、いい勝負してるね〜」

 軽く50人を突破し、他のメンバーは見物気分だ。次々と増援が来るが、これでは犠牲者を増やすばかりである。

「そこまでだ、バケモンどもがぁ!!」

「む?」

「ん?」

 突然、マフィアの一人がバズーカを携え、2人に向ける。

「戦車も一発でオシャカにしちまうスーパーバズーカ砲だぜ! 粉々になりやがれ!!」

「悲しいぜ。俺は、たかが戦車と同じ評価かよ」

「格好つけてる間に差を広げよ」

 バズーカに向けて手を広げるウボォーギンを放って、再びマフィアに斬りかかるリキ。

「あ! テメー、卑怯……」

「死ねぃ!!」

 ウボォーギンが卑怯と言いかけた途端、バズーカが放たれる。

「やったか!!」

 爆炎が巻き起こり、マフィア達が拳を握る。が、煙が晴れると上着は消し飛んでしまっているが、特にダメージの無い様子のウボォーギンが立っていた。

「流石に……かなり痛ぇな」

 バズーカを片手で受け止めるウボォーギンにマフィア達は恐怖し、悲鳴を上げて逃げ出した。が、逃げ出そうとした先にはリキが立っており、彼女は刀を一つにして、薙ぎ払った。すると、その一発で20人のマフィアが胴体を真っ二つにされる。

「逃げ出すのは不可。貴様ら、我らを殺しに来たのなら、殺される覚悟をしておくのだな」

 そう言い、リキとウボォーギンは再びマフィアを始末しに掛かった


 現場に着いたクラピカ達は、バズーカの爆発を見て、様子を見る事にした。

「敵も……念の使い手だ」

 双眼鏡で戦場を見て、クラピカは冷や汗を浮かべながら言った。

「それも、桁外れに強い……!!」

「先に着いた人達は全滅のようだね」

 笑みを浮かべているが、しっかりと汗を浮かべているカヲルの言葉にスクワラ達は驚愕する。

「並の銃器では歯が立たないようだね」

「見た方が早い。敵のオーラの凄まじさが分かる。転がってる死体の数もな」

 そう言い、クラピカはスクワラに双眼鏡を渡し、人間を紙屑のようにしているウボォーギンと、一振りで多数の人間を斬り殺しているリキに顔を強張らせる。

「あ、あれを捕まえるってのか!? 俺はゴメンだぜ!!」

「ああ、俺も到底勝てる気がしねぇ」

「けど任務を達成する為に引き下がる訳にはいかないんじゃないのかい?」

「馬鹿言うな!! あんな奴らとまともに戦えるか!!」

 あくまでも引く事を主張するスクワラ。クラピカは、ふと不自然そうに周囲をキョロキョロしているセンリツに気付いた。

「どうした?」

「心音がいつの間にか、一つ増えてるわ」

「な……」

 それを聞いて、クラピカはゾクッと悪寒がして、後ろに跳んだ。すると地面がボコボコと盛り上がり、その中からビキニパンツ一丁の男が出て来た。カヲル以外は気付いていなかったのか、驚きの表情を浮かべている。男は彼らを一瞥して名乗る。

「俺は陰獣の蚯蚓。お前ら、何処の組のモンだ?」

「リ、リッツファミリーのノストラード氏に雇われてるボディーガードだ」

「…………なるほど。少しは念が使えるようだが、やめときな」

「アイツらただのコソ泥じゃない」

「殺しが生活の一部になってるな。いわば殺しのプロだな、うんうん」

「餅は餅屋」

 蚯蚓の言葉に続き、3人の陰獣――病犬、豪猪、蛭がいつの間にか現れる。


「だから、俺の方が絶対に多いだろ!」

「いや、我だ!」

 ウボォーギンとリキは、どちらがマフィアを多く始末したかで再び口論していた。

「何やってんだ、あの2人?」

「陰獣が来てるのに、気付いてないね」

 マルクトが表情を引き攣らせ、フェイタンが3人の陰獣を見て言う。口論に暑くなっている2人は、陰獣の存在に気付いていなかった。

「テメー、いい加減に……!!」

「貴様こそ……!!」

 その時、2人の体に激痛が走る。ウボォーギンは右肩の一部を噛み千切られ、リキの背中には体毛を針のように伸ばし、突き刺さっていた。

「ちぃっ! 陰獣か……!」

「こいつ等、いつの間に……」

「お前らが喧嘩してる時だよ、バカヤロー!!」

 上からノブナガが怒鳴って来て、ウボォーギンとリキは驚愕する。両組織のメンバーから『ボケ!』やら『間抜け!』などと言った罵声が浴びせられる。

「中々、凄いなお前。俺の体毛針がまともに刺さって体貫かれないなんてな、うん」

「おい、テメーら。警備と客をどうした? それと、あのビルもお前らの仕業か?」

「警備と客は殺した」

「ビルを破壊したのは我だ」

 ウボォーギンは自分を噛み切った病犬を睨み、リキは自分の背中に突き刺さっている豪猪を首を振り向かせて睨む。そして2人は互いを横目で見合う。

「おい、さっきの勝負どっちの勝ちにする?」

「引き分けで構わん」

「気が合うじゃねぇか。俺も同じこと考えてた」

 2人は笑みを浮かべ、声を揃えた。

「「抹殺決定」」

 ウボォーギンは腰を落として構え、リキは斬馬刀を強く握り締める。その時、地面の下から手が飛び出し、ウボォーギンの腕を掴んだ。

「何!?」

 土の中に潜っていた蚯蚓は、そのままウボォーギンを地面に引き擦り込んだ。

「ククク、好きな方を選びな。上で嬲り殺されるか、地面の中で俺に殺されるか」

「貰った!」

 身動きの取れないウボォーギンに向かって病犬が、そして豪猪の突き刺さっているリキに蛭が突っ込んで来た。

「馬鹿が!!」

 が、ウボォーギンは叫び、全てのオーラを右拳に集中させ、地面に振り下ろした。

「“超破壊拳【ビッグバンインパクト】”!!」

 地面に拳が当たった瞬間、凄まじい爆発が起こり、リキの背中に刺さっていた豪猪も衝撃波で吹き飛ばされてしまう。その際、陰獣の3人はウボォーギンの腰にある刺青と、衝撃波で破れたリキの右手の甲にある紋章を見て目を見開く。

「(蜘蛛の刺青に、黒い翼の刺青!?)」

「(こいつ等……)」

 12本足の蜘蛛に番号入りの刺青と、黒い翼の間に番号の入った紋章は彼らも知っているものだった。

「ひゅ〜。スゲェな。リキの“壊斬【バスタースラッシュ】”並だな」

「むにゃ……」

 ウボォーギンの攻撃に口笛を吹いて感心するスカイの背中で、ウチルが声を上げる。

「お、ウー坊起きた……」

「むに……」

「起きねぇのかよ!!」

 再び寝息を立てるウチルにスカイはツッコミを入れる。その際、彼の背中は涎でグッショリだった。

 ウボォーギンの攻撃は巨大なクレーターを作り出し、彼はその中心に立って残り3人を見上げた。

「さぁ、次は誰が死ぬ?」

「幻影旅団に黙示録……最凶の組み合わせだな」

 ウボォーギンの横にリキは移動し、斬馬刀を肩にトンと担ぐ。

「凄まじい威力だが……あんな念を込めただけの右ストレートに大層な名前だな」

「ふん。シンプル・イズ・ベスト……だ?」

 その時、ウボォーギンは急に体の力が抜けた感覚に陥り、ガクッと膝を突いた。

「おい、どうした?」

「フン、タフな野郎だ。ようやく毒が利いてきたか」

 病犬は笑みを浮かべ、ウボォーギンを見下ろして言った。どうやら彼の牙には毒が仕込んであったようで、首から上は無事なので恐怖も痛みも自覚出来るようだ。

「次は女、お前だ」

「ほう? やってみるか?」

 リキは笑みを浮かべ、ジャンプしてクレーターから飛び上がると、病犬と豪猪もジャンプして彼女を追う。

「おい!! 俺の獲物も残しとけ……あん?」

 一人で陰獣と戦おうとするリキに向かってウボォーギンが叫ぶと、ふと背後から蛭がヌッと顔を出し、突然、病犬に付けられた傷に口を当てた。すると、大量のヒルが傷口から入って来て、彼の舌は先端に穴が空いていた。

「ぐしゅぐしゅ……俺は体内に大小無数のヒルを飼っている。ヒルは治療に使える奴もいるが、病気をもたらすヤツもいる。アンタにはとびっきりのヤツをプレゼントしよう」

 傷口から体に入って来るヒルを見て、ウボォーギンはチッと舌打ちした。

 その頃、リキは病犬の攻撃を巧みに避けながら、豪猪に向かって斬馬刀を振るうが、堅い体毛針で弾かれてしまう。

「無駄だな。俺の体毛は、そんな攻撃じゃビクともしないんだな、うん」

「チッ」

「マフィアンコミュニティーを敵に回すとこうなるんだ。冥土の土産に覚えて―――」

 笑みを浮かべながら言う病犬だったが、次の瞬間、彼の首と胴が切り離された。

「おけ?」

 首が飛ばされても何が起こったのか理解できず、彼の頭はリキの足元に転がる。斬馬刀をいつの間にか水平にしていたリキは、彼の頭をグシャっと踏み潰すと、豪猪を睨む。彼はビクッと身を竦ませた。

「(速過ぎて見えなかったんだな。でも、どんなに速くても、この体毛針で弾いてやるんだな、うん!)」

「………………」

 リキは、静かに豪猪を見つめると自分の全オーラを斬馬刀の先端に集中させる。

「“硬”!!」

「! な、何てオーラ……」

 リキは驚愕する豪猪に向かって、斬馬刀を水平に投げつける。次の瞬間、彼の顔面を斬馬刀が体毛針を突き破り、貫いた。ピクピクと痙攣する豪猪の死体から斬馬刀を抜き取ると、死体を蹴り上げる。

「背中、結構痛かったぞ」

 そして、斬馬刀を素早く振るうと、死体は細切れになった。

 一方、ウボォーギンは蛭によって体内にどんどんヒルが注入されていく。

「このヒルは傷口から体内に侵入して膀胱に辿り着き、卵を産み付ける。小便と共にヒルの赤ん坊が何億と飛び出して来るのは圧巻だぜ? 大抵の人間は、その前に激痛で、悶え死ぬがな」

 そう言った途端、ウボォーギンは蛭の頭に噛み付き、引きちぎった。顔面の半分を噛み千切られ、蛭はそのまま崩れ落ちる。

「不味いな。ゲテモノは美味と相場が決まってるんだが……」

「腹、壊すぞ?」

 その時、クレーターの上からリキが顔を出し、言って来た。どうやら向こうも片付いたようで、ウボォーギンは「フン」と笑い、台地の上にいるシズクに向かって叫んだ。

「お〜い、シズク! 俺の体内の毒とヒルを吸い出してくれ! お前の掃除機なら出来るだろ!?」

「デメちゃんは、毒なら吸えるけど『生き物』は吸えないよ〜」

「何ぃ!? しまった、どうしよう!?」

 シズクの返答に驚愕するウボォーギン。その時、シャルナークが降りて来て、ウボォーギンの近くに歩み寄って落ちているヒルを拾う。

「これ、マダライトヒルですね。こいつは丸一日かけて人畜の膀胱に辿り着き、無数の卵を産み死にます。卵はすぐに孵化して尿と共に排出されますが、その時の激痛は死に値します」

 シャルナークの説明を聞いて、ウボォーギンも顔を青ざめさせる。

「哀れな最期だな。墓標には『小便で死んだ男』と刻んでやる」

「やかましい!」

 面白そうな笑みを浮かべているリキに向かって、ウボォーギンが怒鳴る。

「ただし、孵化する為には安定したアンモニア濃度が必要であり、尿内のアンモニア濃度が薄いと卵は孵らずに無痛で排出されます。よって、これから明日の今頃までは休まずガブガブ、ビールを飲んで、どんどんオシッコして下さい。黒いオシッコの直後、白いオシッコが出たら、もう安心ですよ」

 が、ヒルを潰してそう説明するシャルナークにウボォーギンは安堵した。

「じゃあ、シズク。早いとこ毒だけでも吸い出してくれや!」

「は〜い」

「誰か、酒屋行ってビール盗って……!」

 そうシャルナークが言った途端、ジャラっという金属音がした。振り返ると、いつの間にか彼の体に鎖が巻き付いて、いきなり引っ張られた。

「うおお!?」

「何……!?」

 思わず驚きの声を上げるリキだったが、その時、彼女の肩に杭のようなものが突き刺さっていた。その杭からはオーラが伸びており、彼女も引っ張られた。その際、斬馬刀は地面に放り出される。それと同時にマルクトは蟲に乗って飛び出す。

「マルクト!」

「マスターに報告しろ! 俺はリキを追う!」

 そう言い残し、マルクトはリキの引っ張られた方へと飛び立って行った。


 〜後書き〜
 今回は旅団&黙示録視線の話でした。次回は、クラピカ達側の話です。ちなみにリキをさらっていったのは当然……。


 〜レス返し〜
 cool様
 ミサトといえばビールですから。
 う〜ん、クロロとゾルディックの戦いは私、好きですし、シンジの相手は既に決めています。


 デコイ様
 初めまして、感想ありがとうございます。質問にお答えします。
 そうですね。最後の瞬間、アクアは本気を出そうとしました。プレートはアスカが自分に攻撃を加えた瞬間に抜き取りました。後、カジですが、写真を撮った時は、刀を分割してましたが、戦った時は、一つです。戦い終わった後、分割して、そこを撮ったのです。


 あねとん様
 すいません、190cmの女性って、どんなものか見たことなくて。一応、体重を修正しておきました。


★陰陽☆様
初めまして。感想ありがとうございます。
さて、その疑問ですがNGLの時のゴン達は馬より速く、また旅団もヨークシンを走る際、凄まじいスピードだったので、500mぐらいだったら、割と速く入れると思います。


 ショッカーの手下様
 カヲルは少し驚いた様子でしたが、冷静に現状の把握などをしました。今回、彼女はスカイの背中でオネムです。


 彗星帝国様
 修正しておきました。ありがとうございます。


 髑髏の甲冑様
 ゼルエル自身、紙みたいな両手がメインの攻撃だったので二刀流が真っ先に思いつきました。リキとウボォーのコンビは書いてて楽しかったです。
 ヴェーゼは生存ですが、負傷しました。
 そうですね。念虫での移動は意外と便利でした。
 マギもですが、ゴンやキルアも同じようなものだと思います。う〜ん、そのネタは、ちょっと面白そうなのですが、マギの性格上、素直に警官に従わないと思います。ちなみにユーテラスはマギやウチルを娘みたいに可愛がってます。女性の最年長ですから。


 流刑体S3号様
 スクワラとか肌の色とかマンガじゃ分からないので。ある程度はアニメ基盤です。
 マインドの羽に円の効果があるかどうかは後々、明らかになります。
 左之の斬馬刀はインパクト強かったので。二刀流の技も勿論あります。ドラゴン退治……本当にやってそうで恐ろしいです。


 拓也様
 ウボォーギンの死は旅団に大きな影響を与えるので、ちょっと生き残らせるのは難しいです。


 夢識様
 旅団でのウィップが気になってるのは、ワイルドなウボォーかミステリアスな団長です。でも、やっぱりマルクトやレインの方が好きみたいです。


 ムツゴロウ様
 リキの体重変更しました。後、お姉さん共々凄いですね。空手、頑張ってください!


 なまけもの様
 修正しておきました。後、ユーテラスで統一しておきました。色々と迷惑かけてすいません。
 レインとミスト、後マギとマルクトも幼馴染です。
 クラピカも常に鎖を具現化してたので、割と出来るかと思いました。後、マインド自身、大きな制約があるので翼は常に具現化出来るんです。それは後の話で。
 レインは不明ですが、ミストは基本的にレインを嫌ってます。それも後の話で明らかになります。
 ソウデスネ。リキの武器は、その二つを組み合わせて考えました。
 まぁ、『口を動かさない』というのが前提条件で、『それを破ると……』、というのが制約の目玉です。


 エセマスク様
 やっぱりウボォー並の強化系能力者なので。それに斬馬刀振り回すのは純粋な腕力です。
 いえ、ミストは1歳年下の15歳です。
 あ〜……9月11日に2つのビルが倒壊。シャレにならねぇ。
 そうですね〜、今は考え中ですが、いずれ黙示録メンバーが普段何してるか載せます。後、ハンターライセンスも。
 では次回、『テロには屈さない』と政治家発言で誤魔化しながら続きを書きます。

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