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▽レス始

「WILD JOKER 巻12(GS+Fate)」

樹海 (2006-08-25 20:32/2006-08-25 20:49)
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風雲イリヤ城。
 正直、こんなものが出てくるとは思わなかった。確かに昔、風雲た○し城なんてものがあったけどよう……。
 城繋がりではあるが、まさか西洋の城の庭に、こんなものが登場するとはさすがに予想出来なんだ。……まあ、面白そうに興味津々なひのめ以外、皆唖然としてるけど……。
 というか、よくこんなもん作る金あるなあ……。


 『WILD JOKER 巻12』


 まあ、別に致命的なトラップとかが用意されてる訳ではない。どちらかというと、アスレチックというのが正解に近いだろう。巧みな組み合わせで作られた遊戯施設だ。つか、誰が作ったんだろう……やっぱあのメイドさん達なのかな。
 ま、久々に子供の頃に帰ったつもりで遊んでみるのもいいだろう。
 風雲た○し城、こいつの名前も覚えている。生憎内容までは覚えてないが、まあ、楽しめりゃいいだろう。

『柳洞池』
 最初は水の上に浮かぶ丸い発泡スチロールの上を渡っていくというものだ。
 ……ちなみに着替えまできっちり用意されてたのはイリヤの遊びに対する意気込みを感じさせるものだった。まあ、確かに水に落ちたら着替えないといけないしな。何故かコースの名前は柳洞池。池ではあるが……はて?
 「ふっふっふ、バランス感覚も大事だけど……運もここでは大事なのよっ!」
 妙に力が入った様子でイリヤが宣言した。
 ここに設けられた台は無論各自の体重を支えきれるようになっている。バランスをきちんと保てば飛び移っていける。だが…何でも中には浮力が足りないように作ってあって、それ単独では浮いているが、上に誰かが乗ればそのまんま沈んでしまうようなものもあるらしい。……今って夏じゃないんだが。
 しかし……興味深そうに、こくこく頷きながら聞いているセイバー、わくわくした様子のひのめちゃん、ひのめちゃんの楽しそうな様子に『よーし負けねえぞ』とか言って笑顔で答えている横島。いや、この辺はいいんだ。問題は。
 「……なあ、遠坂」
 「……何よ」
 「……落ちたら寒そうだな」
 そう……今は夏ではないのだ。

 結果。一位は幸運がずば抜けてて、体術も優れたセイバー。二位にひのめちゃん、三位が遠坂で四位がイリヤ(ちなみに落っこちそうになった所をすかさず横島がカバーしてた所を見ると速度より他のカバーを優先したようだった。ちなみに横島自身は五位だったが、動きからして本気で、という感じじゃなかった。
 ……ちなみに俺はカバーしてくれなかったので落ちそうになった所を身を挺して庇っていた横島と男性陣二名共水に落っこちた事は言っておく。いや、英霊である横島は濡れてもすぐ服とかも乾いた状態に戻ってたんだが。ああいう時は羨ましい。

 合間にクイズ。
 お、これってウルトラ○イズとかでやってた、当たりならセーフ、外れなら泥沼って奴だな。よーし。
 『タイガー道場は初期は立ち絵に棒をつけた貼り絵風であった』
 何だそりゃーーーー!ってかタイガー道場って何だよ!
 泥沼GO。尚遠坂も自信満々に泥沼に突っ込んだ事を記しておく。

『きのこでポーン』
 きのこ型ばるーんを用いての遊戯。要は台から台へと飛び移っていく競技仕様になっているが、サーヴァントの跳躍距離を考えて曲がり角が設けてある。これでは一気に次の台へと跳ぶ事は出来ない。また台へ移る際にはバルーンに最低タッチだけでもしないといけない。そんなルールでGOALまで先に辿り着けた者が勝ち。まあ、基本はバルーンに捕まって台から台へと移動するんだと考えれば良さそうだ。
 この競技は案外体力がいる。なので、今回は三人だけでの競技を行った。つまりは俺、横島、それにセイバーだ。……なんかとっても不公平な気がするんだが。ちなみに遠坂、ひのめちゃん、イリヤは俺らの誰かに投票して当たったら同じ順位という事にした。
 ちなみに、遠坂は悩んだ末セイバーに、ひのめちゃんは横島に。イリヤは………やっぱり横島に賭けました。まあ、そうだよなあ。サーヴァントと人間じゃ勝ち目ないよなあ……。

 ちなみに結果はひのめちゃんとイリヤ、二人の応援を受けた横島が勝った。
 いや、だってさ……今回のルールでは確かにバルーンに触れつつ台から台へ移動してゆくってゲームだが。バルーンに一度触れれば構わないルールだけど。
 ……空中をサイキックソーサで飛び跳ねていくのは反則だろう? 

 合間クイズ。よーし今度こそ……。
 『士郎が本編で『何でさ』と言った回数は46回である』
 ……は?
 お、俺?つか本編ってなに!?
 えーまたしても泥沼に突っ込みました。


『セラリズ海峡』
 「何故私がこんな事を……」
 「これ結構楽しい」
 うーむ。ルール自体は単純なゲームだ。妨害を超えて端から端まで移動すればOK。ちなみに妨害役はセラとリズのイリヤの二人のメイドさん。両端にスポンジボールの発射機が設置してあって、それを避けながらゴールを目指すという趣向らしい。
 むう、橋が細いから1人ずつでタイムを競うのか……。とと、バランスが難しいからってうわっ!くーボールに当たっても痛くはないが、バランスは崩れるから案外あれだけでも落ちるもんだな。
 ……横島……そのぐにゃぐにゃの軟体動物みたいなというか避け方はちょっと……。

 合間クイズ
 『言峰神父は毎日のようにマーボーを食べている』
 遠坂迷いなく○に突っ込んで正解。つか、そんなに好きなのか…。
 (あいつの麻婆豆腐好きは異常よ!)

『ダイ・ローレライ』
 「ふっふっふ、さー最後のゴールはあれよっ!」
 いや、あのイリヤさん。バーサーカー……いや、確かにBER−SER−CAR…何というかそう書かれた札が貼ってはあるけどさ。バーサーカーが大八車というか荷車を引っ張ってる……。その上にある風船を割ったらGOALって……。
 突っ込み所満載の光景に何と言えばよいのやら。

 「楽しかったねー」
 にこにこと笑顔な子供組(見かけだけ?)に比して、他は皆疲れ気味だ。いや、リズはそうでもないか。
 「ふむ、このような遊戯もたまさかには良いですね」
 「楽しかったか〜?そーか、そりゃ良かったな〜」
 訂正、サーヴァント組も元気そうだ。セイバーは終わった後のお菓子というかイリヤが用意してくれたサンドイッチを殆ど1人で半ば以上平らげてるし、横島はひのめちゃんとイリヤの二人の頭を撫でている。なんつーか、横島ってそういう行動が妙に合う奴だな。二人とも『えへへー』とにこにこしているし。

 この後、おおいに遊んだ。
 リーズリットがどこからともなく持ち出してきたボードゲームやら鬼ごっこ、かくれんぼ(城の中でやったせいで大変だった)、トランプに……気付けば、すっかり外は暗くなっていた。
 「あら、もうこんな時間」
 ふっと遠坂が気付いて外を見る。拙い、今日泊まる予定じゃなかったから、藤ねえも桜も来る。時期が時期だからまだ今から戻れば遅めの夕食ぐらいには戻れるはずだ。
 イリヤは泊まっていったらとか言ってくれているが、そうも。
 そう考えている時、急にイリヤの表情が鋭いものに変わった。
 「イリヤ?」
 「静かに」
 そう掛けた声は他ならぬ遠坂によって塞がれた。イリヤはじっと黙って外を睨んでいる。これは…?
 「……侵入者ね」
 ……その言葉が頭にしみこむまでに一拍の間が必要だった。
 「し、侵入者?」
 「ええ……おそらくはサーヴァントでしょうね。1人だけだもの」
 俺の間抜けな問いにイリヤは冷然と答える。そこにいるのは先程までの見かけ相応の幼い少女ではなく……1人の魔術師であり聖杯戦争におけるバーサーカーのマスターだった。
 「手伝おうか?」
 もし、これを言ったのが遠坂だったら衝突を生んだかもしれない言葉も、ひのめちゃんからかけられると矢張り別の反応が生まれるようだ。態度を崩して笑顔でイリヤは答えた。
 「大丈夫、無粋な客にお引取り願うのもホストの役割だから。行くわよ、バーサーカー」

 「ま、大丈夫でしょ、残る連中はランサーにキャスター、アーチャーにライダー、アサシン。ランサーがマスター込みでやって来たならイリヤを狙われる危険もあるかもしれないけれど、一体だけならバーサーカー相手にアインツベルンの本拠地では敵わないわよ」
 実の所、バゼット・ランサー組にとっても蘇生宝具を持つバーサーカーは最悪の相性の相手だったりする。
 「ま、マスターもいないらしいし、偵察か何かでしょ」
 唯一不安なのはアサシンだ。サーヴァント同士の戦闘よりむしろマスター殺しに特化したとも言えるサーヴァントであるアサシンは真っ向勝負などまず挑んでこない。ただ、凛はアサシンではないと確信していた。早々にアインツベルンの結界に引っかかるようでは気配遮断スキルを持つアサシンは勤まるまい。
 しばらくして轟音が玄関から離れたこの部屋まで響いてきた。
 「始まったわね」
 そう呟いて、凛はゆっくりとセラとリズがイリヤに続いて出て行く前に用意していってくれたお茶を口に含んだ。

 「………」
 セイバーが険しい顔をしている。
 「セイバー?」 
 「……どうも嫌な予感がしてなりません」
 俺の問いかけにセイバーがそう呟く。それを聞いて遠坂も厳しい顔になる。未来予知にも匹敵する直感を持つセイバーの予感は馬鹿に出来ないからだ。それを聞いて、ひのめちゃんも心配そうな顔になる。
 「確かに、ね」
 「遠坂?」
 「ホストの役割ってね。こういう突発事態に対応するのもあるけれど……招待客を不安にさせない事も仕事なの。だから本当なら状況を知らせに二人のメイドの内どちらかが来てしかるべきなのよ」
 「はあ」
 「けど、誰も帰って来ない。となれば……」
 「……場を離れられるような甘い状況じゃないって事っすね」
 遠坂の言葉に続けるように横島が答える。
 「ええ。……行くわよ、皆」
 反論はなかった。

 近づくに連れて、現場からの激震は益々激しくなっていく。
 「■■■■■ーーーーーーー!」
 ここまでバーサーカーの咆哮が響いてくる。
 「一体どのサーヴァントなのかしら。あのバーサーカーとやり合えるなんて」
 まったくだ。セイバーでさえ一対一で真っ向からやり合うのは分が悪いってのに。近くまでは駆け足で、そこから……様子見をする為に道を逸れて、玄関左右のテラスに出る道に回りこんだ、そこで俺達が見たものは……。
 「……え?」
 誰が呟いたかわからない。だが、間が抜けた声が響いた。そうそこに広がっていたのは……全身を剣・槍・斧その他あらゆる武器で滅多刺しにされて息絶えているバーサーカーだったからだ。
 そして。
 「ふむ、これで三度目か。さて、命のストックとやらはあと幾つあるのかな?」
 そう呟く黄金の騎士を見て。
 「アーチャー……?ま、まさか何故あいつがここに!?」
 驚愕の叫びを洩らすセイバーがいたからだ。

 その正面には震えるイリヤ、左右には身構えるセラと巨大なハルバードを持つリーズリット。だが、一様に顔色は悪い。当然だろう、ヘラクレスをしてここまで苦戦するという事は自分達では勝てないのとイコールと言っていい。
 が、俺達もそうは言っていられなかった。
 「どうかしたのか?セイバー」
 「……あの黄金の鎧を纏っている相手は前回の、第四次聖杯戦争で戦ったアーチャーです」
 「第四次…!?」
 「いや、セイバーも第四次聖杯戦争に参加してたんだろ?それならアーチャーがまた召喚されたって」
 「あれ、アーチャーって学校でやり合った奴もそう言ってませんでしたっけ?」
 「……そうよ」
 「あれ?って事は……アーチャーが二人?」
 「……可能性としては別のクラスとして前回のアーチャーが召喚されたって事だけど……」
 目の前で展開されている光景は正にアーチャーのそれである。次々と黄金の鎧の騎士の背後に出現した宝具が矢の如く打ち出され、そしてバーサーカーを貫いていく。
 「っていうか!早く手伝わないと!」
 目前で更に二度、バーサーカーが死んだのを見て、衛宮士郎が言った。
 「同感です、あの男はここで仕留めておくべきです」
 「……セイバー?」
 何かとっても強い思いが篭ったような声でセイバーがそう答えた。それにちょっと怯えたような声で横島が呼びかける。
 「……確かに、『あの』バーサーカーすら圧倒するような相手、ここで協力して仕留めておいた方がいいわね。バーサーカーの命のストックも半減したみたいだし」
 単純な戦力分析に沿って凛も賛成した。これまでバーサーカーにランサー組という脅威の為に彼らは手を組んできた。だが、その片方、バーサーカーを圧倒する敵ならば更に厄介な敵とみなすのはむしろ当然。了解の声を発し、横島とセイバーの両者はテラスから飛び降り、遠坂凛と衛宮士郎はイリヤと合流すべく身を翻した。


 「アーチャー!!」
 すかさず戦場へ突っ込んだセイバーがバーサーカーに新たに放たれた武具を弾き返す。
 「ほう、これはこれはセイバーではないか」
 だが、新たに突っ込んできた横島とセイバーを見ても黄金の鎧の…ああ、面倒臭い、金ぴかは余裕の声で、むしろ喜びを含んだ声でそう呼びかけた。ちなみに横島は完全無視である。
 「ひさしいな。此度の聖杯戦争にお前も呼ばれていたか。また会えて嬉しいぞ」
 「……私は会いたくなかったが。何故お前がここにいる?既にアーチャーを名乗るサーヴァントに私達は遭遇している。かといってお前がキャスターやアサシンというクラスとは到底思えん」
 「……あの贋作者が我と同じアーチャーと呼ぶか」
 セイバーの問いに鋭い殺気が金ぴかから漏れ出す、が。
 「まあ、良い。お前ならば許そう、セイバー」
 だが、これで一つはっきりした事がある。彼もまた、そのクラスはアーチャーなのだ、すなわち。
 「どういう事!?アーチャーが二体いるって言うの!?」
 「黙れ雑種!我は今セイバーと話をしている!」
 思わず叫んだ凛に対し、怒声をもって応える金ぴか。その圧倒的迫力に凛もそれ以上言葉を続けられなかった。もっとも、これまでの体験が体験なせいでそれでもびびらない奴もいる。
 「なあ、金ぴか」
 「誰が金ぴかかっ!」
 横手からかけられた声に思わず怒鳴り返す金ぴか。
 「いや、だって何て呼べばいいのか分かんなくてさ」
 が、あっさりとその怒声すら受け流して応える、この場で最も一般人に近い風情のサーヴァントが応えた。そのあまりの普通振りに返って気を削がれたのかぶっきらぼうに答える。
 「……ギルガメッシュと呼べ、それが我が名だ」
 「ああ、酒場のマスターだったのか!」
 「違うわ!」
 ギルガメッシュの酒場、某ゲームに登場した事で高い知名度を誇る酒場だが……無論、ここでは関係ない。
 「はっ!まさか……」
 「ふ、ようやく分かったか」
 「あの伝説の深夜お色気番組、あれに出演してたとは羨ましい奴!」
 「だから何だそれはあああああああああああああ!」
 知らない人はギルガメッシュナイトで調べてみるべし。
 しかし……本人気づいてないみたいだが、遠坂にはあれだけ傲慢さを見せ付けたあいつだったが、すっかり横島のペースに嵌ってるのには気付いているんだろうか……。

 「「「「「……………」」」」」
 士郎、セイバー、イリヤ、セラ、リーズリットが何とも言えない表情で沈黙する中、1人真面目に考えていた者もいる。いや、より正確にはあんなのが自分のサーヴァントなのかと、思うと無視したかったのかもしれない。
 「ギルガメッシュ……最古の英雄、ギルガメッシュ叙事詩…?って事はあの宝具って…まさか!?」

 「……いかんな、すっかり我を忘れてしまった」
 ぜえぜえと乱れていた息を整えて、ふっと気障っぽく髪をかきあげる。まあ、ここまで色々とあったのだ。凛が見当をつけた英雄の叙事詩を言った所、ようやくまともな事を言ってくれた相手が嬉しかったのだろう、えらくぺらぺらと自らの宝具について喋ってくれた。要はあれは自分の宝物庫にある宝具の原型を出して打ち出してるらしい。
 「まあ、事情を聞けば憎めん部分もあるが、生憎今は聖杯戦争の最中だ。死んでもらおう」
 ギルガメッシュがこんな事を横島に言うのは、横島が死ぬ前、英霊となる原因とも言える戦いでの敵役に原因がある。その名を魔神アシュタロス。嘗ての名を女神イシュタルといい、バビロニアの女神であった。……まあ、要はギルガメッシュも迷惑を蒙った大半はこの女神絡みなのだ。この女神のせいで大切な親友エンキドゥを失った。
 一方横島は結果としてアシュタロスの為に前世は殺され、自身は最愛の恋人を失った。更に言うなら自分が殺された原因も一重にアシュタロス戦役のせいと言っていい。そうでなければ、彼がスパイなんぞやらされる事もなければ、ああして殺される事もなく、おそらくは民間GSの1人として美神除霊事務所で好意を持った女の子達に囲まれながらヒトとして生きていたはずだ。
 イシュタルという名が出た時点で横島が自分も迷惑を蒙った事を言い出し、それを聞いたギルガメッシュが関心を持って詳しい事情を知りたがり、自身の体験と合わせて気付いてみれば、ゲート・オブ・バビロンから取り出された酒とつまみで女神というか魔神へのグチを言っているという何とも奇妙な状況になってしまっていた。

 「うーん、やっぱ戦闘回避は無理か」
 「無理だな。元より聖杯戦争とはそういうものなのだ。他のサーヴァントが残っている状況では聖杯は現れぬ」
 頭を掻きながら呟く横島に、それでも傲然と立ちながらも答えるギルガメッシュ。ちなみに……何故かセイバーとバーサーカーまで入って、セイバーは『苦労したのですね……』と自身の苦労話を明かすし、バーサーカーは理性はないものの、ヘラクレスの物語における悲劇は女神ヘラによる。気付いてみれば、理性のない筈のバーサーカーもぐるり囲んで酒を呑んでいた。
 実際、ギリシア神話というのは神の名を持つ超越者による騒動だらけである。
 特に問題を起こしたのが女神達であり、ゼウスの妻である女神ヘラ、美の女神とされるアフロディーテ、戦女神アテネといった面々によるものが代表的である。ちなみにこの三女神、神話におけるトロイア戦争の原因となる美しさ比べの元凶達でもある。 

 「安心しろ、せめてもの手向けだ。苦しませる事なく葬ってやろう。ああ、マスターも手向かいせぬならば敢えて手を出す事はない。まあ、イリヤスフィールには用がある故……」
 「ロリコン?」
 「違う!純粋に聖杯戦争の……まあ、いい。現界より十年、久々に楽しかったが祭りとは何時か終わるものだ」
 そう、前回の聖杯戦争で聖杯からあふれ出したナニカに触れた為に受肉した事さえ食っちゃべってくれていたのだ、この黄金の英雄王様は。実の所、遠坂凛やイリヤが口を出さなかったのは一重にそうした彼が語る内容が実に今後に役立ちそうだからに他ならない。ちなみに前回の聖杯戦争で湧き出したものがあの大火災を巻き起こしたという段では衛宮士郎が騒ぎかけたので、イリヤの『少し静かにしてもらってて』の言葉で先程まで床に転がっていた。今は目が覚めてるようだが、『次に騒いだらもう一回寝てもらうからね?』の凛・イリヤ両者の微笑みの前に静かになっているようだ。

 「くそう、ここでこっちにもアーチャーがいりゃあなあ」
 ぶつくさ言いながらそれでも横島も立ち上がりかけて……ふと『ん?』という顔になる。
 「どうかしましたか、横島」
 それを見て、セイバーが尋ねる。
 「………いや、もしかしたらいけるかも。……セイバー」
 「何でしょう?」
 「少しの間だけ時間稼げるか?」
 「時間、ですか。そうですね、彼のあ「ああ、マスターと相談したいのなら待ってやるからしてくるがいい」…はい?」
 思わず、二人してギルガメッシュの方を見やる。
 「なに、それ位の余裕位は示すのが王の度量というものだろう」
 ふん、と偉そうな態度で言ってはいるが、正直ありがたい。何か言いたそうなセイバーを抑えて、急いで凛やイリヤ、士郎達の所へ駆け寄る。
 「………という訳でさ」
 「…え!?出来るの、そんな事…」
 「ああ、これをこうすれば…」
 「………反則技ね、それって」

 「つー訳で待たせたな、ギルガメッシュ!」
 「ふ、待ちわびたぞ武蔵」
 ノリ良くそう答えたギルガメッシュにこける横島。『何かキャラ変わってねーか?』と言いつつも気を取り直してバーサーカーを見上げる。その瞳には狂気だけではない、深い優しさがあった。
 「そいじゃすまないが……よろしく頼むわ」
 理性なきバーサーカーが、だがその時確かに頷いたように皆には感じられた。

       ゲート・オブ・バビロン
 「では往くぞ、王の財宝を特と味わうがいい!」
 かざされたギルガメッシュの周囲に次々と出現する宝具。だが。
 「アーチャーにはアーチャーで対抗させてもらうぞ、ギルガメッシュ!」 
 その横島の手の内に展開されるは横島の宝具。その名を文珠。魔法に近い奇跡を生み出す概念武装。その数三つ、それに込められる文字はすなわち。 
 『弓』『兵』『化』
 それをヘラクレスに向けて放つ。それと共に。
 「バーサーカー!」
 イリヤからの意志を受け、バーサーカーはそれを弾く事なく受け入れ。
 そして見よ、英雄の真の姿がここに現臨する。
 纏うはライオンの毛皮。それは十二の試練の一つネメアのライオンの皮。手に持つは弓。その瞳には先程まではなかった深い理性が込められている。そう、それこそは神話に語られるギリシア神話最大の英雄の姿。

 その姿をさすがのギルガメッシュすら唖然として見詰めていたが、我に返ると大笑した。
 「は、ははははははははははは!面白い、面白い男だな、お前は、横島!」
 相手を見下した笑いではない、それは純粋に楽しそうな笑い。そう、ギルガメッシュ叙事詩において彼はこう語られる。
 『彼と並ぶ者なき故に暴君であったが、神は彼を倒す為に泥からエンキドゥを作り、だが彼と戦い友となったが故に名君となった』
 そう、英霊は現世の神話に影響を受ける。現世に現臨したギルガメッシュの中にもまた、今まで見えずとも、名君と謳われた英霊としての誇りは確かに脈づいているのだ。
 「良かろう、ならば受けてみるがいい!」
 その声と共に放たれる無数の宝具。それを迎撃するべく引き絞られる弓が一つ。それこそは英霊ヘラクレス最強の宝具。その名も!
  ナインライブス
 『是 射殺す百頭』
 弓が引き絞られたのは一度、されど放たれる無数の矢が一時的に同じクラスとなったアーチャーの宝具を尽く撃ち落す!
 ここに神話の英雄達における祭りが開幕のベルを鳴らした。 


 『後書きっぽい何か』
今回は頭近辺では遊びの場面、後半が戦闘となっています
ご覧になった方は既にご存知の通り、早くも金ぴかことギルガメッシュが登場です
結局の所、これは言峰の危機感の表れでもあります
訳分からんサーヴァントである横島、最優のサーヴァントであるセイバー、最強のサーヴァントであるバーサーカー。下手をすればこの三者が結びつくかもしれない。一方彼らの陣営は……さる事情からサーヴァント同士の連携が全く取れない状態にあります
ギルガメッシュもまた英雄なればと思い、hollowの彼の良い面も見れたのでこのような顔も出してみました。さて、どんなもんでしょ

ギリシア神話における英雄が第五次聖杯戦争には三体(バーサーカー・ライダー・キャスター)参加してますが……彼らもいずれも女神のせいで酷い目にあった英雄(反英雄)なんですよね
女神アテネは某聖闘士漫画の為に比較的善のイメージをもたれているかもしれませんが、この女神も問題起こしてる男性神ではなくその相手に酷い事したりしてる点では大差ないんですよね

ではレス返しをば
>ながれさん
とりあえず今一時的に時間が出来てしまったので……ささっと書き上げてみました

GS世界の他のキャラ達が出てくる予定は当面ありません
前の話に『おまけ』として当初構想にあった、GSキャラ達を英霊に配してというのであれば別ですが、FateもGSもどちらも味のあるキャラクター達なので片方に絞っていきたいと考えています

>kamui08さん
そうですね、一番難しい面はきのこだと思います
ダイ・ローレライも当初はなかなかクリア出来なかったのですが……やり方が分かれば後はラクなんですよね、他の面は。

誤字ありがとうございました
早速修正致しました

>HAPPYEND至上主義者さん
鞘に関してはイリヤがなる予定はありません
というのも、エクスカリバーと違い、レーヴァテインの鞘にはそこまではっきりとした概念がない為です。いわば神格に違いがあり過ぎるのですね
また、現状では横島がある意味ひのめテインの鞘の役割も果たしています

風雲イリヤ城に関しては迷路などはありませんでした
hollowにおけるミニゲームは大体今回書いたような流れで進みます
なお合間クイズに関しては本当にあんな内容のクイズが出ますw

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