一台の車がビル群の中を猛スピードで突っ走る。赤信号でも突っ走り、交通法規なんて無視しまくっている車を運転しているのは、サングラスをかけた黒髪の女性だった。
白い女性用スーツに同色のズボン。そして、その胸にはロザリオが揺れていた。
<そこの車、止まりなさい!>
「ちっ! ポリ公が……スピード違反取り締まってる暇があったら、凶悪犯捕まえる事に専念しなさいよ!!」
女性は窓から顔を出してパトカーに向かって怒鳴った。
<うっせぇ!! こっちとらスピード違反取り締まって10年! 俺の前でスピード出し過ぎは即逮捕じゃあ!!>
「アタシはハンターよ!! 事情があって急いで“ナーヴ本社”に行かないといけないの!!」
女性はハンター証を見せるが、警察は聞く耳持たず。
<貴様を逮捕したら祝! スピード違反取締り5000人達成だ!! うわははははは!!>
「駄目だ……完全にイッちゃってる。あんなんが警官だなんて世も末ね」
呆れて女性は、更にアクセルを強く踏み込む。その先には、ビル群の中に一際目立つ高いビルがあり、“NERVE”というロゴが刻まれていた。
「ミサト、貴女また警察に追われてたでしょ」
長く広い廊下を制服を着た社員達が歩く中、紫のスーツとスカートを穿いた金髪の女性――リツコ・アカギが、同僚のミサト・カツラギに呆れた口調で言いながら歩いていた。
「ゴミンゴミン。だって折角の休日なのに社長に呼ばれるなんて、よっぽどの事でしょ?」
「確かに……ロクブンギ社長直々が私達を呼ぶなんて」
「あの人、滅多に姿見せないのにね〜……世界で数えるほどしかいない三ツ星(トリプル)ハンターなのに」
ナーヴ社……現在、世界の誰もが使用する世界初の飛行船を開発し、更に絶滅危惧動物及び天然記念物の保護、歴史的文化遺産の修繕など様々な分野に対し、世界的に活躍し、その指示を出し、会社を纏めるゲンドウ・ロクブンギは三ツ星の称号を持つハンターだった。
「だからこそ、よ。名が知れれば、その分、敵に情報を知られる。高名な人ほど、敵の数も多いのよ」
「知っても良いのはナーヴ社社長、ってとこまでか」
「そういう事」
やがて2人は社長室の前にやって来て、リツコがインターフォンを押す。
「社長、アカギです」
<入りたまえ>
返事と同時に扉が開く。社長室は広く、奥は窓が張られ、街を一望出来る。そして、デスクには髭を蓄えたサングラスをかけた男性が、顔の前で両手を組んで座っていた。
そして、部屋の中央にあるソファには、一人の男性が座っていた。
「カジ君?」
「よっ。お2人さん、久し振り」
その男性は無精髭と長い黒髪が特徴的で、水色のカッターシャツの袖を捲くり、煙草を吸っていた。
「その怪我、どうしたの?」
男性――リョウジ・カジは、頭と腕に包帯を巻いており、顔には絆創膏が貼られていた。
「ちょ〜っと仕事先で黙示録の一人とやり合っちまってな」
それを聞いて、ミサトとリツコが驚愕する。
「4ヶ月ぐらい前、リヌシティが壊滅しただろ? 比較的、小さな街だったから相手も少人数と思って俺も部下5人……少数精鋭で向かったんだ。結果は……」
「見なくても分かるわよ」
そう言われ、カジは苦笑した。
「相手は一人……巨大な2本の剣を持った女だ」
スッとカジは一枚の写真を見せる。それには、炎の中、瓦礫の上に佇む、2本の2mはある剣を持っている長身の女性だった。女性も怪我を負っているようだが、今のカジほど酷くない。
真っ白な短い髪に、炎の中、輝く金色の瞳。白い丈の長い長袖の服を着ており、カメラの方を見ている。
「これが黙示録のメンバーの一人?」
「ああ。戦って分かったが、強化系の能力者……ハッキリ言って天下無双ってのは、こういう奴に使う言葉ってのを思い知らされたよ」
「社長、それで私達をお呼びになった理由は?」
リツコが尋ねると、今まで黙っていたゲンドウ・ロクブンギが2枚の写真を投げ渡してきた。ミサトとリツコは、それを受け取ると、一つは、吹雪の中、荒廃した街の瓦礫に座り、空を眺めている赤いコートを着た黒髪の少年が写っていた。
もう一枚には、黒い逆十字の刺繍の入った、額に十字の刺青のあるオールバックの背の高い男性が写っている。
「この子は?」
「ハンターサイトで入手した黙示録と幻影旅団の首領だ」
ちなみにハンターサイトで黙示録や旅団の個人情報を得る場合、かなりの金額を必要とされる。
「いぃ!?」
「この子が!?」
ミサトとリツコは驚愕して写真を凝視し、カジも後ろから覗き込んで「これはまた」と唖然となる。
「こんな子供が……」
「子供とはいえ侮れん……その少年は、一年前、アーネストシティを落とした」
人口が70万人は住んでいた筈の大都市を、と信じられない様子のミサトとリツコ。
「そして、これは我々が独自に得た情報だが、9月1日のヨークシンに黙示録と幻影旅団が行動を起こすそうだ」
「「「!?」」」
ゲンドウの言葉に、3人が更に驚愕する。黙示録と幻影旅団……共にA級首で、熟練ハンターすら手が出せない。それが、2つ揃って行動を起こす……ハッキリ言って、恐ろし過ぎて絶対に関わりたくないと3人は思った。
「君達にはヨークシンへ行き、犯罪を未然に防いで貰いたい」
「「「社長!?」」」
が、いきなりとんでもない事を言い放つゲンドウに、3人は揃って抗議した。
「俺の怪我見たでしょう!? 全治3ヶ月で、ようやく此処まで治ったんですよ!?」
「相手が一人ならまだしも、もし両方の組織とも全員揃ってたら私達なんて瞬殺ですっ!」
「社長が行って下さいよ!」
「…………問題な―――」
「「「あります!!」」」
「…………大丈夫だ。君達ならやれる」
「「「(その顔で、そんな事言われても……)」」」
っていうか、黙示録の一人相手に多人数で向かって返り討ちにあったカジがいるのに勝てる訳ない、と3人は思った。
「目的は2人、黙示録もしくは幻影旅団のボスだ。どちらから一人さえ捕らえれば、頭を失くした組織は自然に瓦解するだろう。理想は2人の頭、が、一人でも構わん」
「んな無茶な……」
「カジ君も気心の知れた彼女達とならば存分にやれるだろう?」
「そりゃまぁ……けど、こんな子供と戦うとなると気が引けますね」
パッと見、虫も殺せなさそうな穏やかな雰囲気を持つ少年だ。それが、世界最悪のテロ組織のボスなどには見えない。
「出来れば生け捕りにしたいが……無理な場合は抹殺も許可する」
サングラスの位置を正し、ゲンドウは3人に命令を下す。
「? この子……」
その時、ふとミサトは黙示録の首領である少年を見て眉を顰めた。少年の胸には小さくだが、ロザリオが提げられていた。
「(私と……同じもの?)」
ミサトは、自分の胸に下げられているロザリオに触れ、それが少年のしているものと同じである事に気が付いた。
「(ま、何処にでも売ってるし、気にするほどでもないか……)」
単なる偶然、と思いミサトはリツコ、カジと共に社長室から出て行った。3人が出て行くと、ゲンドウは3人が置いて行った写真を見て、席から立つと背後に広がる街並みを見下ろす。
「黙示録と幻影旅団……マフィアの連中に話して果たして信じて貰えるかどうか」
〜レス返し〜
希望様
アクアはともかく、マチは団長ラブっぽい。団長救出派でしたしね。
レンジ様
アクアもヒソカも友人ではありますが、体の関係は無いですよ。アクアは、ヒソカをからかい、ヒソカもからかわれて楽しんでたりします。性格と能力はすぐに決まりましたが、能力を決めるのは苦労しました。
拓也様
アクアも同じ変化系ですので性格は気まぐれで嘘つき。
最初は考えました。シンジもカヲルやレイみたいな赤い目に変わるとか。けど、それじゃあクラピカと変わるので没にしたんです。ちなみに、シンジは、普通の人間です。
流刑体S3号様
妖駄でしたっけ? 私も書いてて彼を思い出しました。
変化系特有のダークな面です。アクアは、別にヒソカを男と認識してません。
ちなみにメンバー探しは気まぐれっぽく飽きました。ので、現在、マルクト一人で頑張ってます。
Ques様
ゴンとヒソカの勝負は、ゴンにとって重要なターニングポイントなので変更の仕様がありませんでしたし、念の系統別性格分析があったので、載せました。
制約の厳しさ=能力の凄さ、ですからね。クロロも実際の戦闘では、1回しか能力使ってませんし。
ショッカーの手下様
まぁ、普段は自由にしてるのでシンジもその辺は分かってるみたいです。
話し書いた後、コミックス見たら、この解説、ちょっとカストロに似てると思いました。
レイはくじら島で、今回、ゲンドウ達登場で、良い人です。シンジ達の事は知りません。尚、時代的にEOEの遥か未来なので、似たような人がいてもおかしくない、程度に思ってください。
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