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「狩人の世界に現れし福音者達  第30話(エヴァ+HUNTER×HUNTER)」

ルイス (2006-08-20 15:26/2006-08-21 09:33)
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「いよいよ今日から“発”の修行に入ります」

 ウイングの部屋では、念の基礎の最終段階である“発”の修行を始めるゴン達にウイングがホワイトボードを使って説明をしていた。

「これをマスターすれば念の基礎は全て修めた事になります。後は基本に磨きをかけ、創意工夫を持って独自の念を構築していくだけです。それでは始めましょう」

 “発”はオーラを自在に操る技術で、念の集大成でもある。強化系・変化系・具現化系・放出系・操作系・特質系の6つのタイプに大別される。大事なのは自分に合った系統の能力を身に付ける事である。

「念能力は、その人の個性と深く繋がっています。一つは生まれ持った才能、もう一つは生活の中で磨かれた才能」

 ゴンの場合は、柔軟でバネのある筋肉は生まれ持ったものだが、研ぎ澄まされた五感は自然を遊び場にして培われた物だとウイングが例に挙げる。

「同じように念能力もその人が生まれつき持っているオーラの性質によって6つのどれかに分かれます。もしも、これから覚えようとしている能力があっても、自分のオーラの性質と合わなければ苦労する事になるでしょう」

 そう言ってウイングはホワイトボードに六角形を書き、その頂点に時計回りで強化系・変化系・具現化系・特質系・操作系・放出系と書いた。

 強化系:ものの持つ働きや力を強くする。

 変化系:オーラの性質を変える。

 具現化系:オーラを物質化する。

 放出系:オーラを飛ばす。

 操作系:物質や生物を操る。

 特質系:他に類を見ない特殊なオーラ。(※後天的に特質系オーラに変わるケースがたまにある)

「これが属性の相性を示す表、六性図です。近いものほど会得の相性がいい。例えば生まれ持つオーラの質が強化系ならば強化系の能力の覚えが最も早く力もつきます。そして隣り合う変化系・放出系も相性が良いので覚え易く、逆に特質系の能力は非常に覚えにくい」

 ヒソカの場合はオーラをゴム状にする変化系の能力を、ギドは独楽と自身の回転力を高め武器として使用してるので強化系。もっともギドは手元を離れている沢山の独楽を武器として使うのは操作系の能力も要求されるので――厳密に言うと放出系もだが――相性が悪く性能はいまいちだった。

「そしてカストロ。彼の虎咬拳は素晴らしい威力でした。極めれば随一の使い手となっていたでしょう。恐らく彼の天性の資質は強化系強化系に属していた筈です」

 が、カストロはダブルを作るという具現化系能力を選んだ。そして、具現化したダブルを操る操作系の能力も必要な複雑高等能力だった。そのどちらも強化系との相性は悪い。

「苦手な能力を会得出来たのは弛まぬ努力と武才の賜。しかし、その結果、彼は才能のほぼ全てをその能力に費やしてしまった」

 もし自分の資質に合っていれば、シフとの勝負はもう少し善戦できていたはずだった。

「ちなみにアタシは強化系ね。足にオーラを集中させてダメージ倍増よ」

「私は操作系……」

 レイはライターの火をつけ、手を添えるとボッと火柱が立った。

「僕は変化系。こういう風にオーラを壁状に変化させてるんだ」

 そうカヲルが言うと、以前は“凝”を覚えておらず見えなかったオーラの壁がハッキリと見えるようになっていた。

「でもさ、自分のオーラがどの系統に属してるかなんて調べる方法なんてあるの?」

「あります」

 キルアの質問に対し、ウイングはグラスを一つ取り出した。そのグラスに水を入れ、その上に葉を一枚浮かべる。

「水見式。心源流に伝わる選別法です。“発”の修行としてもこれを用います。此処に手を近づけて“練”を行う。その変化によって資質を見分けます」

 ウイングがグラスを手で囲み、“練”を行う。すると、水が滝のように溢れ出し、ゴン達は驚愕する。

「『水の量が変わる』のは強化系の証。私のオーラが強化系の性質に属している事を示しています。さぁ、3人とも試してみなさい」

 言われて、ゴン達はジャンケンで、順番を決め、まずゴンがする事になった。すると水が少しだけコップから溢れた。

「お、ゴンも強化系か」

 次にズシがやると、水の上の葉っぱが少し動いた。

「葉っぱが動いてるっす!」

「『葉が動く』のは操作系の証です」

「よっしゃ、最後は俺だ」

 キルアも意気込んでグラスの周りで“練”を行う。が、特に変わった様子はない。

「何も変わんねーぞ」

「そうですね」

「もしかして俺って才能ねー?」

「いえいえ、水を舐めてみてください」

 そう言われ、水に指をつけて舐めてみる。

「少し甘い……かな?」

「ホントだ。これ、ただの水じゃないの?」

「『水の味が変わる』のは変化系の証です。さぁ、これで3人のオーラがどの系統に属するか分かりましたね。奇しくもアスカさん、レイさん、カヲル君の3人と同じです。3人にアドバイスを聞くも良し、自分達だけでするのも良し。これから4週間は、この修行に専念し、今より変化が顕著になるよう鍛錬しなさい」

「「「押忍!!」」」

「じゃ、行くわよ」

 唐突にガシッとアスカに襟首を掴まれるゴン。

「え? 行くって何処に?」

「“発”の修行すんでしょうが。とりあえずまぁ強化系の凄いとこ教えてやるわ」

 ニヤッと笑い、アスカはゴンを引きずって行く。ズルズル、とまるで売られていく仔牛みたいな目でゴンはキルアとズシを見るが、2人とも手を合わせて拝んでいた。

「さて……と。カヲル、俺にも変化系ってのは、どんなのか教えてくれる?」

「僕で良ければ喜んで」

「じゃ、行こうぜ」

 そう言い、キルアとカヲルも部屋から出て行った。ズシは、ジッとレイを見ていると彼女はフッと小さく笑う。

「行きましょ」

「お、押忍!!」

 言い出すのが恥ずかしかったのか、ズシは少し照れ臭そうにレイと部屋から出て行った。


 Prr!

 シャワーを浴び終えたヒソカは、腰にタオルを巻いて出て来ると、ふと部屋の電話が鳴っていたので受話器を取った。

<もしもし、ゴンだけど>

「やぁ、待ってたよ。僕といつ戦うか決めたかい?」

<ああ。7月10日に戦闘日を指定するから、天空闘技場で戦ろう!>

「OK……楽しみにしているよ」

 受話器を置いたヒソカの顔は愉悦で歪んでいた。

「今の電話……ゴン君から」

 その時、ベッドがモゾモゾと動くと、布団の中から下着姿のアクアが出て来た。

「うん。7月10日に戦るよ」

「ふ〜ん……う〜……頭イタ、二日酔いだわ……水頂戴」

「君、何で宿行かないの?」

 備え付けの水をグラスに注ぎながらヒソカが尋ねる。

「金払うのイヤだもん」

「だからって人の部屋のベッドを占領するのもどうかと思うけどな〜」

 水を渡しながらヒソカは苦笑いを浮かべて言うと、水を飲みながらアクアは笑みを浮かべた。

「じゃ、一緒に寝る、って何度も言ってんでしょ?」

 その言葉に、ヒソカは突然、彼女をベッドに押し倒す。コップは床に落ちてパリィンと音を立てて割れた。

「それってさ、僕を誘惑してる訳?」

「別にヤりたきゃヤれば良いけど……どうなっても知らないわよ」

 ヒソカは彼女の背中に刻まれた“黙示録”の証に触れて自分の方へと引き寄せる。そしてアクアはヒソカの背中にある12本足の蜘蛛に4の番号の入った刺青に手を回し、もう片方の手で彼の左腕を掴んだ。

「この腕……マチだっけ? 彼女に治して貰ったんでしょ。もう一度、ぶった切るかもしれないわよ。今度は接合不可能なぐらい……もしくは首と体を切り離してあげても良いわよ?」

「怖いなぁ、君は……」

 クック、と笑いながらヒソカはアクアの髪を指で弄ると、彼女から体を離した。アクアは、フゥと息を吐いて、頬杖を突くと彼に質問する。

「ねぇ、ヒソカ。もし私が本気で誘ってるのと、最高に成長したゴン君やキルア君が目の前にあったら、アンタはどっちを取る」

「後者」

「即答ね」

「勿論♪」

「フフ……」

「フフフ……」

「「フフフフフフフフフフフ…………」」

 静かな部屋の中、2人の不気味な笑い声だけが響いた。


 7月9日、ヒソカとの決戦前日にウイングの部屋に集まり、修行の成果を見せる事になった。

「さぁ、それでは修行の成果を見せて貰いましょうか」

 まずゴンがグラスを手で囲んで“練”を行うと、水が以前、ウイングが見せたぐらいの勢いで増えた。

「おお!」

「スゲー勢いだぜ!」

「よろしい。次、キルア君」

「おう」

 ウイングに言われ、キルアもグラスの水に“練”をする。ゴン達は、それを舐めると、蜂蜜のように甘いので驚愕した。

「全く……大したものです。2人とも今日で卒業です」

「!」

「そしてゴン君、裏ハンター試験合格です! おめでとう!」

 ウイングの言葉にゴン、キルア、アスカ、レイ、カヲルは唖然となり、ズシはコクッと首を傾げた。

「念法の会得はハンターになる為の最低条件。何故ならプロのハンターには“相応の強さ”が求められるから」

 邪な密猟者や略奪を生業とする犯罪者を捕らえるのはハンターの基本活動で、犯罪抑止力として“強さ”がどうしても必要なる。

 が、念は悪用されれば恐ろしい破壊力となるので、公の試験で条件化するのは余りに危険な為、表の試験に合格した者だけを試す、とウイングは説明した。

「何だよ。最初から俺達に教えるつもりだったのかよ」

「ええ、『やる』と言ってくれれば。ちなみに心源流拳法の師範はネテロ先生ですよ。君達の事は師範から色々聞きました……キルア君」

「ん?」

「是非、もう一度試験を受けてください。君なら次は必ず受かります。今の君には十分、資格があります。私が保証します」

「ま、気が向いたらね」

 と、捻くれた返答をするキルアだったが、実はやる気満々だったりする。

「ウイングさん、他の合格者はどうなったのか聞いてませんか?」

「ええ。ハンゾーとクラピカは別の師範代の下、既に念を会得しました。イルミとヒソカ、アスカさん、レイさん、カヲル君は最初から条件を満たしてます。レオリオは医大試験受験後に修行を開始するようです。ポックルは“練”の習得にかなり手こずってるようですね」

 それを聞いて、皆、頑張ってるんだとゴン達は思った。

「最後に一つ、君達の念は未だ発展途上です。器も出来ていない。何を思い、何に怒り、何を好み、何を求めるか、何処を旅し、誰と出会い、どんな経験をするのか……それら全てが君達の念を形作るのです。それが君達の器を大きく育てます。その為に修行し、ガンガン鍛錬に励みなさい。そして、同じくらい遊んで人生を楽しみなさい……ゴン君、明日の試合、くれぐれも無理をしないように!」

「「「「「押忍!」」」」」

「…………押忍」

 ゴン、キルア、ズシ、アスカ、カヲルは力強く頷き、レイは少し恥ずかしそうに遅れて頷いた。


<ゴン選手vsヒソカ選手、いよいよ注目の一戦が始まろうとしております!!>

 7月10日、ゴンとヒソカの試合が始まろうとする会場内は大歓声に包まれていた。ウイングとズシ、キルア、アスカとレイとカヲル、そしてアクアは離れ離れの席に座り試合の行方を見守っている。

<現在4勝1敗という戦績ですが、4勝は全て不戦勝! 実際での試合は、これが初めてのゴン選手が入場して来ました! そして反対側のゲートからは……ヒソカ選手の登場だぁ〜!!>

 ヒソカの声援は『殺せ〜!』や『死ね〜!』などといったブーイングなども目立っている。

<現在、9勝3敗! 勝てばフロアマスター、負ければ一転地上落ち。正に分け目の勝負! しかし、リングに姿を見せれば未だ負けなし! 無敗神話は続くのか〜!?>

 ヒソカはチラッとゴンを見ると、彼のまっすぐ自分を見つめている瞳と、早く戦いたいのを我慢し切れないオーラを感じ取る。

「(そんな目で見つめるなよ……興奮しちゃうじゃないか)」

 邪悪な笑みを浮かべると、ヒソカの体からかなり不気味なオーラが発生する。

「P&KO制!! 時間無制限一本勝負!! 始め!!」

 開始と同時にゴンはヒソカに突っ込み、拳を繰り出すが、避けられて背中に肘鉄を喰らう。ゴンは踏ん張って飛び上がると、拳の連打を放つ。それを紙一重で避けたが、ヒソカの振り上げた蹴りをまともに喰らった。すぐさま体勢を立て直し、ゴンはヒソカに向かってパンチを放つが、首をズラして避け、今度はヒソカがパンチを放つ。それも避けるが、ヒソカの掌底がゴンのわき腹に直撃した。

 吹っ飛び、リングを擦りながらもゴンは踏ん張り、ヒソカに突っかかる。弾丸のようなゴンのパンチを全て避け、肘鉄が彼の顔面に当たる。倒れそうになりながらもゴンは蹴りを当てようとしたが、ヒソカは腕でガードした。ヒソカは、パンチを放とうとしたが、それを見切ったゴンは彼の肩を蹴って高く飛び上がり、一旦、距離をとると再び突っ込んでいく。

 そして更にパンチの連打を放つが、ヒソカは軽く捌き、パンチを放ったが、今度はゴンが腕でガードした。それから今度はヒソカがパンチを連打して来たが、全て紙一重で避ける。が、一発、フェイントを入れ、それに引っかかったゴンの顔面にパンチが決まった。

「クリーンヒト!! 1P、ヒソカ!!」

<す、凄まじい攻防です! 実況を差し挟む隙さえありませーーーん!! 今のはどう思われます、解説のカストロさん?>

 実況席では、以前、シフと戦って片腕を失ったカストロが解説席に座っていた。

<攻撃だけならゴン君はクリーンヒットを3発、喰らっていましたが審判の目には最後の一発しか確認出来なかったようですね>

「くくく、どうした? まだ、僕は開始位置から動いてさえいないんだけどねぇ」

「え、ホント!? くそ〜、見てろよ!」

 まずはヒソカをあの位置から動かそうと考えるゴン。

「実戦経験は天と地の差があるね。とても勝てる相手じゃない」

「でも隙は存在するわよ。ヒソカはゴンを侮ってる……Pを奪うなら何とか……」

「(もぐもぐ)」

 真剣に試合を見ているカヲルとアスカに対し、レイは黙々とポップコーンを頬張っていた。

 ゴンは再びヒソカに突っ込むと、パンチの連打の中にフェイントを織り交ぜ、距離を取ると、リングの石版を引っくり返した。

<何とゴン選手! 石版を引っくり返した〜!>

 そして、その石版にパンチを連打させてヒビを入れると、蹴りで砕き目くらましにした。石つぶての中に紛れ、ゴンはヒソカの背後を取った。そして、一気にヒソカの顔面にパンチを叩き込んだ。

「お」

 それを見てアクアは、少し驚いた様子で身を乗り出す。

「クリティカル!! 2P! ゴン!!」

<何と〜!! ゴン選手にクリティカルヒットが出ましたぁ〜!! これでPは引っくり返って2対1!! ゴン選手リード!! しかし攻撃の印象ではヒソカ選手にそれほどダメージを与えたようには見えませんが、今の得点はやや疑問が残ります!>

<審判にはPを付ける際、好みがあります。ダメージ重視でPを付ける審判もいれば、戦術や技術を評価する審判もいます>

 今の葉石版を上手く攻撃に利用した所が高く評価された、とカストロが説明すると実況は「なるほど」と納得した。

 ダメージを受けたヒソカは何故か笑みを浮かべてゆっくりとゴンに向かって歩いていく。また、ゴンもヒソカに歩み寄り、2人が対峙すると、唐突にゴンがポケットから44番と書かれたプレートを出して、ヒソカに突きつけた。

 ヒソカは、それを受け取ると、再び2人は距離をとって構えた。

<おおー!? 今のは一体、何だったんだー!? 分からーん!>

「念について……何処まで習った?」

「? 基礎は全部」

「そうか……君、強化系だろ?」

「え!? 何で分かるの!?」

 驚愕するゴンに、ヒソカは楽しそうに笑う。

「くくく……君は可愛いなぁ。駄目だよ、そんな簡単にバラしちゃ」

「〜〜〜五月蝿いな! 何で分かったんだよ?」

「血液型性格判断と同じで根拠はないけどね……僕が考えたオーラ別性格分析さ。ズバリ、強化系は単純一途」

 ビシッとヒソカはゴンを指差して言う。


「(あってる)」


「(あってるっす)」


「「あってる」」

「何でアタシ見て言うのよ?」


「ちなみに僕は変化系。気まぐれで嘘つき」

「(あってる……!)」


「(………あってる)」


「(モロそうじゃない)」


「「あってる」」

「おや? 何で僕を見て言うのかな?」


「僕達は相性いいよ。性格が正反対で惹かれ合う。とっても仲良しになれるかも……だけど注意しないと。変化系は気まぐれだから、大事なものがあっという間にゴミへと変わる」

 不気味なオーラを発するヒソカに、ゴンは警戒して構える。

「だから……僕を失望させるなよ、ゴン」

 そう言うと、ヒソカが初めて自分からゴンに向かって突っ込んで行った。そのスピードはゴンの動体視力でも追い切れず、肘鉄が顔面に当たり、即座に背後に回り込んだヒソカの掌底を喰らわされる。

「がっ! くっ!」

 転がりながらも体勢を立て直そうとするゴンに既に詰め寄っていたヒソカが蹴りを放つと、ゴンは何とか避けるが石版が剥がれて客席に当たった。

<な、何というキック力!! 石版を観客席まで蹴り飛ばしましたーーー!!>

 その後、更にヒソカの猛攻が続き、ゴンは避けるだけで精一杯だったが、やがて追いつかれて、背中にパンチを喰らった。

「クリティカル、ヒソカ!! プラスP!! 3−2!!」

<目にも留まらぬ連続攻撃にクリティカル採点! あっという間に再逆転です!! 戸惑いのゴン選手! 成す術なく距離をとります!>

「どうした? かかっておいでよ」

「ヤダね! 作戦中!」

 ヒソカの攻撃はギリギリで何とか見えるようになったが、体がそれに追いついて来なくて、避けられない。何とか攻撃に転じようと考えるゴンだったが、ヒソカが許さなかった。

「そうか、それなら……無理にでもこっちへ来て貰おうか」

 そう言ってヒソカが人差し指を立てると、ゴンが眉を顰める。

「ゴン!! “凝”よ!!!」

 その時、客席からアスカの声がしてゴンはハッとなり、目にオーラを集中させる。が、気付いた時には既に遅く、ゴンの頬にはヒソカのオーラで出来たガムがくっ付いていた。

 そして、ヒソカが思いっ切り引っ張ると、ゴンは彼に向かって引き寄せられ、カウンターでパンチを喰らった。

「これ、“伸縮自在の愛【バンジーガム】”って言うんだ。良く伸び、良く縮む……付けるも剥がすも僕の意志。もう逃げられないよ」

 オーラをゴム状に変え、標的にくっ付ける能力。いつの間にか、“伸縮自在の愛【バンジーガム】”はゴンの頬に貼り付けられていた。

「スタンダ〜ップ、ゴン」

「クリティカル&ダウン!! ヒソカ!! 6−2!!」

 審判のヒソカ寄りの判定に客席からブーイングが巻き起こる。

「やれるか?」

「勿論!」

 審判に言われ、ゴンはすぐさま立ち上がって構える。

「さて、此処で問題。当たれば一発、タダで殴らせてあげよう」

 不意にヒソカはゴンに問題を出して来た。

「僕はいつ、君のほっぺに“伸縮自在の愛【バンジーガム】”を付けたでしょう? ”鉄の時、▲リーンヒットの時、クリティカルの時」

 そう言われ、ゴンはそれらしい時がいつだったのかを思い返してみる。

「だ!! 両手で殴った時だろ!!」

「ブー。答えはぁ悒ーラ別性格分析の時に飛ばしてつけた』でした」

「(汚っ!!)」

 卑怯だと思いつつ、ゴンはそれなら“凝”をしておけば良かったと後悔する。

「さて、一つ忠告しよう。君が“凝”を行っていればい両豺腓覆號佑飛ばしたオーラに気付いて避ける事が出来ただろう。だがもし、´↓の場合なら?」

 そう言われてゴンはハッとなる。そうだ、“伸縮自在の愛【バンジーガム】”は殴った時に付ける事も出来る。つまり、“伸縮自在の愛【バンジーガム】”を付けられないようにするには、ヒソカの攻撃を全て避ける必要があるのだ。

「タチ悪い能力ね……」

 ガードしてもその上に貼り付けられたらおしまい。アスカ達もヒソカの能力に冷や汗を浮かべている。

「さぁ、お喋りは此処まで。戦闘再……」

 言い切る前に、ゴンはヒソカに向かって突っ込んで来た。逃げれないのなら立ち向かうまで、と強い意志のこもったゴンの瞳を見て、ヒソカはゾクゾクと体を震わせた。

「(あぁ〜、ゴン! ゴン! イイ!! 君、凄くイイよ!! その目、その顔、その心意気!! ああ……今すぐ君を……壊したい)」

 今までと違う邪悪な表情を浮かべるヒソカにゴンはゾクッと身震いし、振り払うかのように拳を繰り出した。

「(ああ、でもダメダメ……)」

 ゴンの攻撃を受けながらもヒソカの思考は全く痛みを捉えていない。

「(もっとも熟れてから……崩すのが勿体無くなるくらい、高く積み上げるまでの我慢……)」

 ゴンの猛ラッシュの攻撃を喰らいながら、ヒソカは笑みを浮かべて腕を引き、ゴンを引き寄せて、カウンターを決めた。更にもう一度引き寄せ、二発目のカウンターを喰らわせる。

 倒れそうになったゴンだが、二発目のはガードしてすぐに体勢を立て直す。

「(“伸縮自在の愛【バンジーガム】”で引っ張られるのも少しずつだけど慣れて来た!! これから!! これからだ!! 怖い……でも此処で恐怖に負けたら、この先、どんな相手とだって戦えっこないぞ!)」

「両者クリティカル!! プラス2P! プラスダウンP! ヒソカ! 9−4!」

「え!?」

 が、審判の判定にゴンが思わず声を上げた。

「ダウンじゃないよ! すぐ起きたもん!! ガードもしたし!」

 ゴンの抗議も空しく、審判は首を横に振る。その判定に観客が再びブーイングの嵐を起こした。

<さぁーて、またしても疑惑の判定!! 採点基準への不満がブーイングとなって会場を覆い尽くします!!>

 ゴンは表情を歪め、後1Pも取られないと歯噛みする。

「くくくく……油断大敵だよ、ゴン。右の方を見て御覧」

 言われてゴンは右を振り向くと、突然、左の顔面にゴンが砕いた石つぶてが直撃した。

「あ、ゴメン。僕の方から見て、右だった。君が審判に文句を言った隙に左手のオーラを石へ投げつけた。すかさず、“伸縮自在の愛【バンジーガム】”で素早く縮むように発動」

「くっ!」

「ダウン&クリティカルヒット!! プラス2P! 11−4! TKOにより、勝者ヒソカ!!」

 立ち上がろうとしたゴンだったが、先に審判がダウンとクリーンヒットを取り、11P取ったヒソカの勝利宣言がされた。

「え? もう?」

 まだまだ戦えるゴンだったが、ヒソカは背を向けてリングから降りる。

「大した成長だ。でも、まだまだ実戦不足……後10回くらいやれば良い勝負できるようになるかもね。あくまで天空闘技場の中でだけならだけど。だからもう、君とは此処で戦わない。次はルール無しの真剣勝負で戦ろう。命をかけて」

 そう言い残してヒソカは去って行く。その背中を見て、ゴンはヒソカと自分との距離を感じ取ったが、それでも決して届かない距離だと悟り、もっと念を磨き、ヒソカに負けない力を身に付けると改めて決意した。


「さて、ゴンも一応、借りを返した訳だし、これからどうする?」

 翌日、天空闘技場の入り口でゴン、キルア、アスカ、レイ、カヲルの5人が集まって、これからどうするか話し合っていた。ヨークシンのオークションまで後、2ヶ月近くある。

 すると、ゴンが少し恥ずかしそうに指をモジモジさせながら言って来た。

「それなんだけどさ……皆、一度家に来ない?」

「家? それって、くじら島?」

「うん。キルアん家みたく大きくないし、貧乏だけど……」

「うんうん! 行きてー行きてー! ミトさんにも会ってみたいし!」

 ゴンの提案に、すぐさまキルアが賛成する。

「ゴメン。アタシ、パス」

「え?」

 が、アスカは謝ってゴンの家に行くのを拒否した。

「アタシ、アクアを探すわ。ゴンがヒソカに借りを返したように……」

 ゴソゴソ、とアスカはポケットから、1番のナンバープレートを取り出した。

「アタシもあの女に借りを返したいし」

「そっか……じゃあ、仕方ねーな」

「じゃ、カヲルとレイは……」

「残念だけど、僕も遠慮させて貰うよ」

「「え?」」

 カヲルも同行を断り、ゴン達は目を丸くする。

「ヨハネ以外にも気になる事があるのでね……そちらを調べる事にするよ」

 いつものアルカイックスマイルを浮かべているが、その目は妙に真剣だった。それでアスカとレイは、すぐに察したのか2人とも真剣な表情になった。

「それなら私も……」

「いいよいいよ。下手な汚れ仕事は僕の役目。それに調べ物は一人の方が色々と動き易いからね」

 手伝おうとするレイを断り、カヲルはウインクした。

「と、なると3人離れ離れか……初めてね、こんなの」

「何……また会えるさ。人の縁とは僕らが思ってるより奇妙なものだよ」

「ってゆーか、ヨークシンで会えるじゃん」

 キルアに言われ、カヲルは「それはそうだ」と笑った。

「じゃ、9月1日にヨークシンで会おうね、アスカ、カヲル!」

「ええ」

「また会おう」

 アスカとカヲルは頷くと、空港へと向かった。ぽつん、と残されたゴンとキルアとレイ。

「レイはどするの?」

「する事ないんだったら、くじら島行こうぜ」

 ジッと見上げて来るゴンとキルア。レイは、少し考えた後、小さく微笑んだ。

「そうね……ずっと気が張り詰めたままだったし……たまには、ノンビリするのも良いかも……しれないわね」

「よっしゃ、決まり!! 行こうぜ!」

「うん!」

 ゴンとキルアは駆け足で、港へ行く駅に向かって走り、レイもその後に続いて行った。


 〜レス返し〜

 拓也様
 流石に制約がない、ってのは……。
 ちなみにクロロとシンジは友人同士。ヒソカとイルミより、もうちょい友好的な関係です。クロロはシンジの何処か達観した所に、逆にシンジはクロロの強い意志をお互い認め合ってます。


 こるべんと様
 基本的には温厚で優しい人間ですよ、シンジは。
 尚、シンジの出した槍は、ロンギヌスの槍のオリジナルでもコピーでもなく、単に具現化した槍です。


 ショッカーの手下様
 昔の仲間を殺せるシンジと、そのシンジを止めようとする3人。まぁカヲルは少しアスカとレイとは違いますが。


 流刑体S3号様
 空飛ぶ能力者はいますよ。まぁ、マルクトも念で具現化した蟲を使って空飛んでますけど。
 や、シンジの能力もある意味、クロロ並に特殊なのですよ。


 meo様
 崩、塁、火焔、砕羽ぐらいは出来そうですね。大佐は炎を使うというか、酸素濃度を調節してるので、ちょっと違いますね。


 人種差別万歳様
 強化系なら、どんな理由であろうと、その言葉で済ましちゃいそうです。まぁ理由を聞いたら、人によってはショボいと思うかもしれません。


 レンジ様
 シンジとクロロは体術では互角なので、後は能力が決め手ですかね。今回、ある意味、旅団と黙示録――ヒソカとアクア――の絡みがありました。


 なまけもの様
 テレサはシンジの能力名であり、また今のシンジの行動理念の全てでもあります。
 龍の形をした炎……ゼノの技と被っちゃいます。
 どっちかって言うと、シンジを男性として慕うというより、お兄さんとかお父さんって感じで慕ってる方が強いでしょうか。家庭の立場弱いけど、言う時は言う日本の親父っぽいですし、今のシンジ。

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