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「霊能生徒 忠お!〜二学期〜(四時間目)(ネギま+GS)」

詞連 (2006-08-21 00:54/2006-08-25 06:40)
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 人気のないホテルのロビー。そこにいくつかの人影があった。
 ネギ、横島、アスナ、刹那、そして…

「茶々丸。私にも茶を」
「はい、マスター」
「って、何でエヴァちゃん達もここにいるんだ?」

 尋ねたのは横島だった。横島はネギ、アスナと同じソファに腰をかけている。問われたエヴァは対照的に一人でソファを占有し、茶々丸はその後ろに立って控えている。

「いては悪いか?」
「悪くはないけど…頼んだところで手伝ってくれんだろ?」
「そうとも限らんぞ。気が向いたのなら参戦してやってもいい」
「ほ、本当ですか!?」

 声を上げたのはネギだった。
 停電の時に戦ってみて、ネギはエヴァの強さを身に染みて知っている。まして現在のエヴァは封印が解かれているらしい。味方になってくれるのだとしたら、これほど心強いことはない。
 だがネギの期待に満ちた眼差しを、エヴァは一笑で跳ね除ける。

「はんっ!気が向いたときだけだ。
 それに……気の向きよう次第では、敵側に付くかも知れんぞ?」
「えっ、えええぇっ!?」
「こら、エヴァちゃん。ネギをあんまりいじめるなよ」

 邪悪にして楽しげな笑みを浮かべるエヴァと、その言葉を真に受けてショックを受けるネギ。それを苦笑しながら眺めていた横島は、刹那が何かに悩むような表情をしているのを見た。

「どうしたんだ?」
「いえ。神楽坂さんには話しても…?」
「もう思いっ切り巻き込まれてるわよ」

 肩をすくめて苦笑いを浮かべるアスナ。そのときにはエヴァもネギをからかうのをやめて、皆は体勢になった。その中から、代表という感じでカモが進み出た。

「んじゃ、剣士の姐さん。まずは聞かせてくれ。アンタは俺っち達の敵なのか、味方なのか?」
「ええ。先ほども申しましたが、私はどちらかといえばネギ先生の味方―――正確には、木乃香お嬢様の護衛です」

 まずはそこから、刹那は自分の事情を説明し始めた。


霊能生徒 忠お! 二学期 四時間目 〜ワンドの9の逆位置(隠れたことの表面化)(上)〜


 近衛木乃香の祖父である学園長―――関東魔法協会理事の近衛近右衛門は、木乃香の母方の祖父である。苗字が同じなのは、木乃香の父が婿養子だからだ。その婿養子こそ現在の関西呪術協会の長、近衛詠春だ。
刹那は身寄りがなく、幼い頃は詠春の計らいにより近衛家で育てられた。刹那が神鳴流を学び始めたのも、詠春自身が神鳴流剣士であったことが理由の一つだ。
刹那が木乃香と出会ったのは、神鳴流を習い始めた頃だった。木乃香の周囲には同年代の子供がおらず、刹那がその遊び相手となった。
 やがて、木乃香が麻帆良に行った後、中学に上がる前に詠春が刹那に頼みごとをした。
 木乃香の護衛として麻帆良に行って欲しい、と。


「―――これが、私の事情です。
 後はご存知の通り、麻帆良に来てお嬢様の護衛を務めているというわけです」
「へぇ…」

 刹那の身の上話に区切りがついて、アスナは驚き半分、感心半分とった様子で息を吐く。まさかクラスメート達にこのような事情を抱えている人物がいるとは思わなかった。
アスナの隣ではネギも同じような表情を示し、逆に別のソファに座っているエヴァはつまらなそうな表情で、その後ろに控えている茶々丸はいつもの無表情。そして、ネギを挟んでソファの反対端に座っている横島はというと、なぜか渋面を作っていた。
 その横島の顔に、刹那も気付いたようだ。

「横島さん、何か質問でも?」
「いや。大体の事情は分かったし、方針も決まった」
「え、もう?」

 訊いたのはアスナだった。横島は残っていた缶ジュースを飲み干してソファから立ち上がった。答えたのはそれからだった。それも短くただ一言。

「帰る」
「寝るの?」

 アスナは肩透かしを食らった。横島のことだからもっとドラスティックな作戦でも口にするかと思ったのだが、予想が外れた。だが、その肩透かしを食らった印象こそこそ誤りだった。横島は眉根をひそめてから付け加える。

「いや、部屋に帰るわけじゃないって」
「じゃあ、どこに帰るのよ?」
「麻帆良に決まってるだろ?」
「あ、そういう意味………………………………って」
『麻帆良に帰るぅぅぅぅぅぅぅっ!?』

 驚きの声は茶々丸以外の全員のものだった。その例外である茶々丸とて、びっくりしたような様子を見せている。

「今から新田先生に、みんなが酒を飲んだことを言ってくる。そうすれば修学旅行は中止になって明日にでも帰れるさ。みんなは荷物をまとめておけよ」
「待て、横島!せっかく京都を堪能できる機会を!
 旅行の中止など私が認めんぞ!」
「そ、そうですよ!親書はどうするんですか!?」
「どうもこうも仕方ないだろう。安全第一だ」
「そうかも知れないけど…わざわざ帰る必要もないんじゃない?」

 必死の形相でエヴァとネギに詰め寄られて困ったような顔をする横島に、アスナも疑問を投げかける。今まで敵が仕掛けてきた妨害工作は、イタズラやイヤガラセの域を出ていない。別にそんなに危険じゃなではないし、神経質にならなくてもいいのではないか?
 だが、そんな思考を読んだかのように横島は答える。

「必要あるさ。もうこれは親書がどうこうって問題を超えてるんだからな」
「だからといって、みすみす尻尾を巻くような真似など…」
「ちょ、ちょっと待ってくれよ。敵の狙いは兄貴の持ってる親書だろ?」
「気付かないのか?」

 驚いたような表情でカモに問い返す横島。だがネギが放った疑問は、ネギとアスナ、そして刹那にも共通した疑問だった。敵の狙いが親書であるというのは大前提のはずだった。だがその親書が、既に問題の焦点から外れているとはどういうことか?
説明しなくてはならない雰囲気を察して、横島は再び腰を下ろす。

「どこから説明したらいいかな…。えっと……エヴァちゃん」
「何だ?」
「パス」
「知るか。貴様も状況を理解しているのだから貴様が説明すればいいだろう」
「理解してるのと説明できるのとは違うだろ?」

 すげなく断るエヴァ。だが横島は食い下がる。

「そりゃ頭の中では理解しているけど、やっぱこういう権謀術数な話って苦手でさ。
 ほら、俺って本質的に、そういうのとは縁遠い下っ端だから」
「だから、貴様の本質など知らんと言っている」
「頼む。な?後でなんか奢るからさ」

 奢る――その単語に、なぜかエヴァの耳がピクリと反応したように、アスナには見えた。
 そっぽを向いていたエヴァは、睨むような、しかしなぜか頬が少し紅潮している顔を横島に向ける。

「…それは、茶の誘いか?」
「へ…ま、まあそういうことにな「よし、ならば説明してやる。茶々丸、メガネを」
「はい、マスター」

 茶々丸がどこからともなく取り出したメガネを、エヴァは受け取ってかける。どういう心境の変化があったかアスナには判別できなかったが、エヴァは一転して割合乗り気で話し始めた。

「まず近衛詠春――西の長はこの和解に賛成で、周りの勢力が反対しているという構図だというのは理解しているな?ボーヤと神楽坂明日菜」
「…ええっと…、うん」
「は、はぁ…」
「いまいち不安の残る反応だが…まあいい。
 でだ、この状況下において親書が奪われればどういうことになるか、分かるな?」
「え、どういうことになるか、ですか?」

 ネギが考える横で、アスナもあまり出来がよくないと認識している頭をひねる。
 和解がだめになる、というのはおそらく解答ではなく、さらにそれによる影響についていっているのだろう。だがその先の想像など付くはずもない。それはネギも同様だったらしく、フリーズしたままだ。ネギを眺めていたエヴァの視線が少しきつくなる。

「…分からんのか?」
「す、すみません」
「えっと…ごめん」

 苛立ちの混ざったエヴァの声に、ネギはしょぼくれ、なぜか明日菜も一緒に責められているような気がしてうつむく。エヴァは苛立ちを吐き散らすようにため息を吐いてから、説明を再開する。

「近衛詠春の失脚。つまり政権交代だ。
 関西呪術協会の閉鎖主義はかなり厳しい。だが、それを近衛詠春は和平に持っていった。おそらく関西呪術協会は割れたはずだ。そうだな?」

 エヴァが言葉を向けた先は刹那だった。刹那はエヴァの説明に真剣に聞き入りながら頷く。

「はい。反発はかなり強く、最初の頃は反対派の方が圧倒的に多かったとか…」

 大人たちが囁き交わす政治的な話を、刹那が断片的に理解できるようになった頃には、既に詠春は閉鎖主義の撤廃――その足がかりとしての東西和解を提唱し、またそのために動いていた。木乃香が麻帆良にいる近衛近右衛門に預けられたのも、協会の影で行われる権謀の渦から木乃香を離すと同時に、東西友好のパフォーマンスでもあったのだ。

「現在では和平派が主流となり、いくつかの反対派があるという話です」
「じゃ、じゃあ、関西呪術協会全体としては僕達の味方なんですね?」
「そうとも限らんさ。その和平派もほとんどが元反対派を懐柔し、手なずけた者だろう。風向きが変わればどう転ぶか分からん。
 例えば、親書が妨害にあって届かなくなるとかな」
「…!?」

 エヴァの話を無表情に聞いていた刹那が、初めて表情を変えた。そういえば、刹那は木乃香の父に拾われたのだなと、アスナは思い出す。
 一方のエヴァは、そんな刹那の感情の機微など気に留めず、愉快そうに話を進める。

「さて、ここからが本題だ。
 この情報化が進んだ現在において、閉鎖主義など百害あって一理なしということぐらい、頭の回る連中なら気付いている。そいつらにとってその一歩である東西和解は、感情的な面を除けばほとんど抵抗ないだろう。それに所詮は和解に過ぎず、大きな利権が動くわけでもない。多くの者は事態を流れに任せ、自ら動くことなどせんはずだ。下手に動いて損をしても面白くないからな。
 だが、そこに関西呪術協会の長の進退という要素が絡んできた場合、そんな頭の回る連中、特に組織の上層にいるような奴らは、こう考えるはずさ。
 今の長が代わった場合と代わらない場合、どちらがよりうまい汁を吸えるか、とな」
「そんな…!絶対におかしいですよ、そんなの!」

 ネギはソファから立ち上がって声を上げる。普段の温厚なネギにしては珍しい強い口調にアスナは少し驚いた。だがアスナ自身も感情的にはネギと同じであり、無意識のうちに自分でも分かるほど不機嫌な顔をしている。魔法使い達の詳しい事情は分からないが、いがみ合うのを止めて仲良くしようとするのは、善いことのはずだ。それを支持するか否かを、損得勘定で選択するというのは間違っている。それは刹那も同じようで、厳しい表情で夕凪を握っている。
 三者三様で義憤をあらわすネギ達だが、エヴァはその様子を見て不機嫌そうに呟いた。

「青いな、ガキ共。このくらいきっちり認識しておかないと、いずれ使い潰されるぞ?」
「けど、やっぱり私、そー言うの嫌いだなぁ…」
「嫌いかどうかなど問題じゃない、神楽坂明日菜。事実として、自分の利益のために動くのが人間というものさ。
 ――さて、ここまでくれば自分達がどういう状況に置かれているか分かるな?」
「……私たちの動静が西全体の動きを左右する、ということですか?」

 アスナの代わりに答えた刹那に、エヴァは唇を歪めて笑みを浮かべる。

「ご明察だ。おそらく、今日の妨害を行ったのは反対派のそれも特に先鋭的な連中だろう。他の奴らはその結果を見てどう動くか決めるはずだが…」
「今日のネギ先生の対応があまりに不甲斐なかったので敵も調子に乗り、ついにはお嬢様にまで危害が及んだ、と?」
「あぅっ!ス、スミマセン!まだ未熟なもので…」
「それはちょっと違うぞ。ネギが未熟なのは本当だけど」

 横島の言葉に、前半部分を聞いてフォローを期待したネギはさらに落ち込み、アスナは嫌な予感を感じる。

「それって…、木乃香が狙われたのはとばっちりじゃなかったってこと?」
「ほう?珍しく考えたじゃないかバカレッド。その通りだ」
「ちょ…!バカレッ「それはどういうことですか!?」

 アスナがその呼び名に抗議は、刹那が出した説明を求める声で潰された。

「よく考えろ、桜咲刹那。近衛家は有力な魔術師の家系であり、近衛木乃香はその血を継いでいる。その身は親書などよりはるかに重い。もしこの修学旅行―――西洋魔術師の管理下にいる近衛木乃香の身に何かあればそれは東西間の大きな問題となり、話の持って行き方しだいで、その責任は近衛詠春にも及ぶだろう。現在当主の近衛詠春は入り婿、つまりは近衛家以外の余所者だからな。
 となれば、次の長の座は近衛木乃香――とも限らんが、彼女の存在が今後の近衛家、さらには関西呪術協会の勢力図を描くにおいて、かなり重要になってくる」
「それはつまり、親書以上にお嬢様が狙われるということですか!?」
「正確には親書と同じく、といったところだろう。
 向こうとしては、親書の件で近衛詠春の長としての資質を問い、その上で近衛木乃香を擁立して、と考えるだろうからな」

 エヴァが語ることの重大さに、アスナは我知らず硬い唾を飲んだ。
 まさか自分達の修学旅行にそんな大問題が関わってくるなど、今朝ネギを見送っていたときなど思いもしなかった。まして、その中心に自分の親友がいるなんて…。

「さらに現状では、ボーヤの情けなさがかなり露見しているかなら。
 まだほとんどの連中は静観しているようだが、現在の襲撃者の行動や、それへの対応如何では、流れが一気に反和解に向く可能性がある。そうなれば最悪――」

 エヴァは少し言葉を切ってから

「最悪の場合、関西呪術協会の魔術師のほとんどが敵に回るだろう」
『!』

 関西呪術協会のほとんどの魔術師が敵になる。
 一体どれだけの魔法使いが関西にいるのかは分からないが、十人や二十人ではないだろうことぐらいアスナにも分かる。それだけの相手に、自分達だけで対処などできるはずがない。ネギや刹那、カモでさえも、表情に驚きと絶望を浮かべている。
 だがその中でただ一人、エヴァの語った内容をあらかじめ知っていた横島は、肩をすくめてみせる。

「ま、さすがに全部が敵、っていうのはありえないかもしれないな。けれど、今襲撃している奴らが上手くいっているのを見て、そいつらとは別の派閥の連中も親書や木乃香ちゃんを押さえに来るかもしれない。
 その辺りは、関西呪術協会の権力図を全く知らない以上、具体的な想像は出来ないけど…」

 横島は刹那に目を向けた。だが刹那は首を横に振る。

「申し訳ありません。私は昔からそういうのには疎く、それにここ二年は麻帆良にいましたから…」
「だろうな。とまあ、こういうわけで、現在の俺達が置かれているのは、敵は未知数、こちらは少数、その上守らなくてはならない対象が複数という最悪状況ってわけだ。
 こりゃもう修学旅行中止して逃げるしかないだろ?」
「…ああ。そういうことだ」

 横島の言葉にエヴァも悔しげに頷く。
 ネギ達の戸惑う様子を見て、つい上機嫌に現状を語ってしまった。自分で現状が最悪だと言ってしまった以上、修学旅行の中止反対というわけにもいかない。

「し、しかしそれならばなおのこと、親書は届けないといけないと大変では…」
「ああ、大変なことになるだろうな」

 刹那の反論に横島はあっさり同意を返した。

「まず、親書が届かなかったわけだから和解はよくて延期、悪くて立ち消え。
 それを口実に西では木乃香ちゃんの親父さんの立場は悪化。東にだって和平の反対派がいるはずだから、当然和平派の中心にいるはずの学園長の立場も悪くなるだろうな」
「さらに詠春が長を辞めさせられて、その後に反動的な政権が誕生したら、下手をすれば一気に関係悪化。最悪、東西全面戦争ということになるかもしれんな」
「せ、戦争って…」

 戦争というテレビか本でしか接点のない単語に、アスナは大げさという印象を受けて苦笑をする。だがその単語を言った当人であるエヴァはにこりともしない。

「大げさじゃないさ。ネギと私の戦いを貴様も見ていただろう」

 エヴァに言われて、アスナの顔から苦笑が消えた。
 たしかにエヴァとネギとの戦いはかなりの破壊を撒き散らしていた。一対一であれほどならば、それが数十、数百人同士での戦いとなればどうなるのか?
 アスナの脳裏に、戦火に包まれる麻帆良の様子が展開される。それはネギも同じらしくアスナとそろって青い顔で固唾を呑んだ。

「だから、人を脅かして遊ぶのはよせって」
「心外だな。十分ありえる予測だ」
「そりゃそうだけどさ…」
「そりゃそうって…横島さんはそうなるかもしれないって分かってて、帰ろうとか言ってたの!?」
「ああ。まあ、そこまで酷いことになるとは限らないけどな」
「けど、その可能性はあるんでしょ!?だったら何とかして親書を…」
「木乃香ちゃんやみんなを危険に曝してか?」
「そ、それは…」

 言いよどむアスナ。横島は自分を落ち着けるかのように小さくため息を吐く。

「…なぁ、アスナちゃん。今、この瞬間、世界で一体どれだけの命が失われているか分かるか?」
「…えっ…?」

 横島が唐突に、直前までと全く繋がりのないことを言う。

「…えっと…分かんないけど…」
「だろうな。俺もわからん。だが俺ががんばれば助けれる命がたくさんあるというのは分かる」

 けど、と横島は前置きして続ける。

「俺はそいつらを助けない。俺には手が二本しかないからな。せいぜい身の回りの仲間に差し出すので精一杯だ。それは今回の件でも同じだ。
 エヴァちゃんの言ったとおり戦争が起これば、たくさんの人が苦しむだろうし、死ぬ人だっているだろう。だけどな、こういう言い方は良くないかもしれないが、俺は見ず知らずの奴らのために自分の命を張るつもりも、お前達を危険に曝すつもりはない」

 きっぱりと言い切る横島に、アスナは反論するすべがなかった。
 ただ、麻帆良に逃げ帰るのが間違ったことを前に屈するようで気に食わず、感情的に「何とかしたい」と口走った自分に対して、横島は現実と自分の成すべきこと、成したいことを見据えた上で、しっかりと考えて言葉をつむいでいたのだ。そう考えると、自分が酷く子供っぽく、無様に思えてくる。

「まあ、そういうわけで。俺は親書を渡すのは中断して帰るべきだと思う。幸い修学旅行中止の口実もあるしな。そりゃ学園長には申し訳ないけど、ここまで酷い状況にろくな護衛をつけないほうが悪い」

 横島は言いながら集まった全員の顔を、一人ずつ見ていく。
 エヴァは不機嫌そうにそっぽを向き、茶々丸は無表情。刹那とカモは憤懣やるかたないといった顔だが反論はないようで、アスナは諦観の表情を見せている。そして…

「ネギ。どうする?」
「えっ?ぼ、僕ですか?」

 横島に話題を振られ、アスナと似たような表情で俯いていたネギは顔を上げた。

「僕ですか、って…特使はお前だろ?この親書についてはお前に全権がある。だからお前が決めろ。麻帆良に帰るか、危険を冒してでも親書を届けるか?」
「……僕」

 横島の視線から逃げるように、ネギは再び俯いて考える。横島はそれを急かすようなまねはせず、ただ黙って見守るように様子をみるだけ。
 そして、時計の秒針が一周するほどの時間を経てから、ネギは顔を上げた。

「決めたか?」
「…はい」

 答えるネギの目は、迷っていなかった。

「僕…親書を届けることにします!」
「ちょっ…兄貴!本気か?エヴァンジェリンや横島の姐さんの話を聞いたろ!?ヤバイんだぜ!?」
「そうかもね、カモ君。けれど、僕はやらなくちゃいけない。」
「あ、兄貴……。漢だ…やっぱり兄貴は本物の漢だぜ!」
「ネギ」
「先生…」

 感涙するカモと、あっけに取られたかのような表情で見るアスナと刹那。ネギは横島の顔をもう一度、今度は視線を受けるではなく、送るように力を込めた瞳で見る。

「横島さん。折角のご提案ですが、やっぱり修学旅行を中止するわけにも、逃げ帰るわけにもいきません」
「それは単なる意地か?」
「そんなんじゃ……いえ、そうかもしれません。ですが…もしも…もしも父さんなら、本当のマギステル・マギなら、ここで逃げないと思うからです」
「で、もしも親書と木乃香ちゃんの両方が奪われたらどうするつもりだ?」
「それは…」

 失敗のときのことを言われ、ネギは決意が揺らぐのを感じた。
 前回のエヴァの事件では懸かっていたのは自分の命だけだったが、今回のチップは他人、それもお世話になっている木乃香の身柄だ。
 もし失敗したらどうするか?

「おい?」

 横島に呼ばれ、ネギは無意識に下がっていた視線を再び上げる。その視界全面には、力を込められた中指と、それを押さえる親指がアップで映っていた。

 ズびしっ!

「あたっ!」

 横島のでこピンが直撃し、ネギは仰け反る。涙目になって横島を見れば笑顔があった。そして次に、頭に暖かい感触が寄せられる。横島の手だった。

「バーカ。こういう時は、大丈夫です、絶対に守りきって見せます、って大見得の一つでも切っておけ。俺も協力してやるからさ」
「横島さん…」

 頭を撫でられるクシャクシャという感触と、そして至近にある力強い笑みに、ネギは僅かなときめきと安堵、そして心強さを得る。

「兄貴!オレッチもお供するぜ!姐さん達も協力してくれるよな?」

 カモはテーブルの上で立ち上がりながらアスナと刹那を見る。

「まぁ、仕方ないわね。木乃香が危険っているなら見過ごすわけにもいかないし」
「私も協力します。お嬢様を守るのは当然ですが、長は恩義がございますし」
「アスナさん、刹那さん…ありがとうございます!」

 しぶしぶ、という体裁をとりながらも乗り気の様子のアスナと、当然といった風に言う刹那。ネギは笑顔で礼を言う。

「フン…本当に青いなお前ら」
「エヴァンジェリンさん…」
「む…そういう言い方はないんじゃない?」

 水をさすように、ネギ達の様子を眺めていたエヴァが吐き捨てた。アスナは抗議の声を上げるが、エヴァは取り合う様子もない。

「ええっと…エヴァちゃんは協力してくれたりは…?」
「私の従者として永遠に忠誠を誓うなら考えてやらんでもない」
「無理」
「…………そうか。まあいい」

 横島の即答に、割りと本気で残念そうな様子を見せるエヴァ。しかしそれも束の間、すぐにいつもの調子に戻る。

「面倒だが、修学旅行に無粋な邪魔が入るのは面白くない」
「それじゃあ、手伝ってくれるんですか?」
「ま、一般人の生徒共に危害が及びそうになった時、暇だったならな」

 エヴァは言ってから、話は終わったとばかりにソファから飛び降りて去っていく。

「ではみなさん。失礼します」

 茶々丸はしっかりと会釈してから、エヴァの後をついていった。
 去っていく二人に向けて礼を述べる。

「あ、あの…ありがとうございます、エヴァンジェリンさん、茶々丸さん!」
「礼など言うな。善意でやってやるわけじゃないのだからな」

 ちらりと振り返ってそう言ってから、エヴァは階段の上に消えていった。
 その様子を見ていた刹那は、少し疑わしげに横島に問う。

「エヴァンジェリンさんは……信用できるんですか?」
「多分な。エヴァちゃんには『悪の美学』みたいなものがあるから、真実を語らないことはあっても、嘘は吐かないだろうし。それに典型的な定住型の肉食獣タイプだから」
「それはどういう意味ですか?」
「縄張りを侵す相手には徹底抗戦ってこと。エヴァちゃんはなんだかんだ言って3Aのことを自分の縄張りとして認識してるみたいだし」
「なんだか番長みたいね」
「だな」

 一瞬、穴の開いた学生帽とぶかぶかの学ランを着たエヴァの姿を想像して、アスナと横島とは少し笑う。その一方、カモが刹那のほうを向いて前足を上げる。

「刹那の姐さん?神鳴流のつながりとかで頼れそうな人はいないか?」
「あ、そうか。刹那さんも神鳴流だし、さっき木乃香のお父さんも神鳴流だって言ってましたしね」

 カモの提案にネギの表情も明るくなる。
 露天風呂で刹那が見せた剣技は相当なものだった。もし刹那と同じくらいのレベルの増援がきてくれれば見通しはかなり明るくなる。だが刹那は気まずそうに俯く。

「残念ですが、それは無理です。
 彼らにとってみれば西を抜けて東に着いた私は、言わば『裏切り者』。長にしても東西和解を標榜して以来、神鳴流からは、あまりいい顔をされていません。
 表立って『神鳴流』として敵対してくることはないでしょうが、しかしこちらに味方してくれることはないでしょうし、依頼という形で敵側に神鳴流剣士がつく可能性もあります」
「そうですか」
「…すみません」
「あ、いや、謝るようなことじゃありませんよ」
「そうだな。それじゃあ、横島の姐さん。アンタはなんかツテがあるかい?」
「ああ、二人ほどな。東京に住んでる奴らだけど、今、丁度仕事でこっちに来てるんだ」
「ちょっと待ってください。横島さんのお知り合いということは、霊能力者ですか?」
「あ、そういえば、魔法って霊能力者の人にも秘密なんだっけ?」

 ネギの言葉で、アスナは『魔法が秘密だ』という最近忘れかけていた事実を思い出す。だが横島は心配ないと頷いた。

「さっき隊長――あ、ネギもこの間、学園長室であったあの女の人な。あの人に確認を取ったけど、二人ともとっくに魔法使いについて知っている面子だから、大丈夫だ」
「あ、そうですか」
「ともかくこれでエヴァンジェリン達を含めて6人。横島の姐さんが言う援軍をあわせて8人。何とかなりそうッスね、兄貴!」
「うん!なんだか希望が見えてきたよ」
「まあ、だからって油断しないようにな。さてとそれじゃあ最後に、何かお互い質問があるなら今のうちにしておけよ。集まって密談できる状況なんてないだろうからな」
「そうですね。今日は丁度騒がせどころも寝てしまってますし」

 確かに、もしも普段どおりの3Aならば、これだけ人が集まっているところを見られれば、必ず誰かが興味を持って寄ってくる。魔法関係の話は出来ようもない。
 だが、特に訊くことなんて…と、アスナは思いかけ、しかし一つだけ疑問に思っていたことを思い出した。

「それじゃあ、桜咲さん。木乃香のことなんだけど…」
「お嬢様が何か?」
「桜咲さんって、木乃香のこと、その…嫌いなの?」
「………………………………………
…………………………
……………
…は?」

 言われた刹那は、一瞬、何を言われたのか分からなかった。
 嫌い?木乃香を?誰が?私が?
 アスナの質問の意味を理解するまでおよそ三秒。そしてその三秒の直後、刹那は爆発した。

「そ、そんなことあるわけないじゃないですか!?」
「ひゃっ!?」

 刹那は猛然と立ち上がり、普段の物静かさとからは考えられない大声を上げる。

「このちゃんは私の大切な人で!私はただこのちゃんの幸せを守れれば幸せで!それもひっそりと影からお支えできれば…その…あの…」

 そこまで言ってようやく刹那は、自分に向けられた驚きで丸くなった三人と一匹分の目に気付いた。
 睨み合いにも似た微妙な均衡。それは横島が呟いた言葉で破られた。

「このちゃんって…木乃香ちゃんのことか?」

 かぁぁ…っ

 擬態語つきで、刹那の顔が赤くなる。肌が白い分、その変化は顕著だった。

「ちちちちがいますよ!いや、違いませんけど違うんです!私がこのちゃんをお嬢様、じゃなくてお嬢様をこのちゃんと呼ぶなんて恐れ多い!ただ、これは昔の癖といいますか、えっとコホン!
…と、とにかく。私がお嬢様を嫌いなどということはありません」

後半、ようやく冷静さを取り戻して取り繕った刹那だが、しかしそれ以前の言葉で、アスナとネギには十分だった。

「よーし!分かったよ、桜咲さん!」
「えっ、な、何のことでしょうか?」
「桜咲さんが木乃香のことが嫌いじゃないってことよ!」

 嬉しそうな笑顔で立ち上がるアスナに、刹那は戸惑う。アスナは上機嫌で刹那の隣に来て肩を叩く。

「あんたが木乃香のことを嫌ってなくてよかった!それが分かればもう十分!
 友達の友達は友達だから、私も精一杯協力するね!」
「か、神楽坂さん…」

 アスナの好意的な態度に、こういうのには慣れていない刹那は顔を赤くして困惑する。だがアスナはそんなことを気にした様子もなく、それはネギも同様だった。

「では、決まりですね!」

 言いながら、半ば強引に横島と刹那の手を取り、アスナの手に重ねる。さらにその上に、ネギの腕を伝って歩いてきたカモが前足を乗せた。

「では、3Aガーディアンエンジェルス結成ですよ!関西呪術協会からクラスのみんなを守りましょう!」
「えー?何よその名前?」
「つか、俺は天使ってガラじゃないんだけどなぁ…」

 恥ずかしげながらも満更ではない表情のアスナと、本格的に嫌そうな横島。刹那はというと、名前よりもあまり慣れていないこのテンションに戸惑っている。
 だが防衛隊設立者のネギは、隊員達のそんな微妙な機微が分からないほどに舞い上がっていた。
 エヴァに説明された時はだめかとも思ったが、しかしこれなら何とかなるかもしれない。
 アスナさんに刹那さん、その上横島さんまでいるなら、それこそ千人力だ。

「敵はまた来るかもしれませんね。僕、外に見回りに行ってきます!」
「あ、ちょっと、ネギーーーー」

 アスナの制止も聞かず居ても立ってもいられぬと、ネギはカモを連れて駆け出す。横島はそれを見て、しょうがないなとため息を吐く。

「俺はネギについていく。二人は、中を見回ってくれ。戻ったら見回りのローテーションを組もう」
「分かりました」
「うん。ネギのこと、お願いね」
「おう」

 横島はそう言って駆け出し、しかし少し進んだところで振り返った。

「アスナちゃん」
「ん?何?」
「もしも…もしもつらくなったり、無理だと思ったら言えよ。
 アスナちゃんは訓練とかも受けてないんだから、途中で抜けても責めたりしないからさ」

 珍しく真面目な顔をした横島が、気遣うような、心配するような口調で言う。
 その声に、アスナは軽くあつかってはいけないような感情を感じたが…

「心配いらないわよ。最後まできっちり木乃香も親書も守って見せるから」

 だが、その感覚を気のせいと判断して意識の隅に追いやって、ウインク付で答える。
 横島は少し不安げな表情を見せたが「まあ、それならいいけど」と呟いて、ネギの後を追っていった。


 ネギにはすぐに追いついた。どうやら入り口のところでタオルを運んでいたカートと衝突し、中身をかなりぶちまけてしまったらしい。ネギは、そのカートを押していた業務員と一緒にタオルをかき集めている。
そしてその業務員は女性であり、下は丈の長いソックスとミニスカートであり、四つん這いになっているその状態では、真っ白な太ももの裏側がしっかりと見えていた。

「絶・対・領・域ぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!」

 横島は叫んで、女性業務員の臀部に向けてヘッドスライディングを敢行し

「へっ?ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 邪な気配に気付いたのか、業務員は振り返って横島の姿を見て悲鳴を上げ、無意識のカウンターキックを繰り出す。

「ひべっ!」

 繰り出された右足は、タッチダウン寸前の横島の顔面を真芯で捉えた。つぶれた悲鳴を上げた横島は低空を飛びながら、ノーバウンドで壁に叩きつけられた。
 一連の叫びと肉がコンクリートに叩きつけられる不快な音に、一所懸命にタオルを拾っていたネギは顔を上げた。そしてその目に映ったのは、壁から床にずり落ちた横島だった。

「よ、横島さん!?今度は何したんですか!?」
「し、仕方がなかったんやぁ…。今回は頭からギャグが一つもなくて、ここで何かせんかったら、キャラを保てそうになかったんやぁ…」
「あ、だ、大丈夫ですか、お客様!」

 妙な発言をする横島を見て、打ち所が悪かったのかと、蹴った当人である女性従業員は顔色を変えて手を伸ばす。そして手は、不意に起き上がった手によってつかまれた。

「ふ、その程度のキックなど何も問題ありませんよ、お姉さん!」
「ひぃっ…!」

 全然大丈夫そうでない横島は、流血滴る顔面に笑顔を作って立ち上がり女性に迫る。

「さあ、お姉さん。ここで蹴り飛ばされたのも何かの縁。外でお話やキッスやその先でもいたしませんか!?」
「あのお客様!?私は女なんですが…!?」
「もちろん分かってますとも!」
「ひ、ひぃぃっ!ほ、ホンマモンやぁっ!」

 性別と流血、二重の要素でドン引きしている女性従業員。しかし横島は相手が引く分、イケイケGOGOと押し捲る。だが、その無謀な突撃を、横からネギが止めに入った。

「よ、横島さん!やめてくださいよ!」
「ええい、放せネギ!久しぶりにしずな先生以外のキャラにモーション掛けてるのに邪魔するんじゃねぇ!」
「モーションなんですかそれは!?っていうか、相手の人が困ってるじゃないですか!?」
「む…くっ…確かに、少し性急過ぎたか…」
「そ、そうですよ。ほら、一緒に見回りに行きましょう」

 意外にあっさり横島が冷静さを取り戻したことに、ネギは胸をなでおろす。
 ネギと横島は、まだ固まっている女性従業員の変わりに拾い、カートの中に戻してやる。

「――――」

 その途中、横島は女性業務員とすれ違いざまに、何かを呟く。それを聞いた女性の体が、一瞬強張った。だがネギは二人の動きに気付かぬまま、最後のタオルをカートに収める

「どうも、スミマセンでした」

 そう言ってからネギは、今度は横島をつれたって駆け出した。

(もー、なにやってんだよ、兄貴!)
(ゴメン、ちょっとはりきりすぎちゃった)
「おねーさぁぁぁん!またお会いしましょう!」

 ネギとカモは囁きを、横島は近所迷惑なほどの大声を口にして去っていった。
 残るはカートとただ立ちつくした従業員だけ。従業員はエプロンから大きな丸い縁無しメガネをかけて、二人が去っていったほうを見る。
 思い出すのは、先ほど横島に告げられた、小さな言葉

―――調子に乗りすぎると、見逃せねぇぞ―――

「あの異能者…気付いて泳がしとくいうつもりなんか。生意気な」

 女性従業員―――天ヶ崎千草は、忌々しげに呟いた。
 少し不安に駆られたが、だが次の瞬間には思い直す。
 所詮相手は異能。霊能とかいう能力を持った、人間のふりをした汚らわしい化け物。確かにこちらの正体を見破っていたようだが…

「どうせ、あの罠からは逃れられへん。」

 それに、あの二人が出て行ったということは、気をつけなくてはならないのは神鳴流の剣士のみ。楽なものだ。

「さよなら、可愛い魔法使いはんと、おもろい異能者はん。」
―――ほな、お仕事はじめまひょか」

 不敵な笑みと冷たい瞳で、天ヶ崎千草はホテルの中に入っていった。


「!?」

 アスナが部屋に戻る途中、同行していた刹那が、電気にでも打たれたかのように身を震わせて硬直した。

「どうしたの、桜咲さん?」
「魔法の気配です!」
「それって…!」

 アスナの言葉が終わるより早く、刹那は五班の部屋にむけて駆け出し、それにアスナも続く。
 角を曲がって五班に到達し

「こ、木乃香さん〜〜。ま、まだですかぁ〜〜?」
「入っとりますえ〜」

 一人の少女と、妙に気勢をそがれる二つの声が、二人を出迎えた。
 夕映だった。普段から冷静沈着な彼女が真っ赤な顔をして、廊下に四拍子の足踏みを刻んでいる。妙に深刻な様子に、アスナは刹那と顔を見合わせてから、夕映に声をかけた。

「ゆえちゃん。どうしたの?」
「あ、アスナさん。だめですよ!割り込み禁止です。私なんか十分も待ってるのですから…うくぅっ…」

内股気味の夕映は、トイレの扉をノックする。

「入っとりますえ〜」

 聞こえてきたのはのんびりとした関西弁。どうやら中にいるのは木乃香らしい。

「うううっ…二人で滝の水を晩酌していたのですが…」
「だ、大丈夫、ゆえちゃん?」

 夕映は言いながら、今度はその場でぴょんぴょんと飛び跳ねる。ずいぶんと深刻そうな様子に、アスナは声をかける。だが刹那の方は、かまってやれる余裕がなかった。魔法の気配がトイレの中から伝わってきているのだ。

「お嬢様!本当に大丈夫ですか!?」
「ここ、木乃香さぁん、私、もう…!」

 必死の表情で扉を叩く刹那と、同じく必死の、しかしどこか方向性を異にしている夕映がトイレの扉を叩く。だが帰ってくるのは

「入っとりますえ〜」

 というのんびりとした声のみ。
 この段階になって、さすがにアスナも異常に気付いた。表でこれだけ騒いでいて、反応に変化がないのはおかしすぎる。

「桜咲さん、これって…!」
「ええっ!」
「も、もるですぅぅぅ…」
「入っとりますえ〜」

 扉にすがりつきながら、画風が崩壊している夕映が扉を叩くが、それでも帰ってくるのは同じ声。その反応で、刹那は行動を決意した。

「お嬢様!失礼を!」
「このかさ〜〜〜〜ん!」

 刹那のタックルと夕映のキックで、トイレの扉は蝶番を破壊されて、内側に向けて開く。

「入っとりますえ〜」

聞こえてくる声。しかしその声の内容に反して木乃香の姿はなく、洋式の便器にお札が一枚貼り付けられていた。そしてその声は、

「入っとりますえ〜」
「お、お札がしゃべってる!?」

 アスナが驚きの声を上げ、次の瞬間に驚きの焦点は別に移った。
 明らかに魔法関係物があり、それが木乃香の代わりに私たちを騙していたということは…!

「しまった、お嬢様が!」
「さ、さ、さらわれたぁっ!」
「何でもいいから私におしっこをさせてくだ――――あ」

 三人分の叫びがホテルに響いた。


「横島さん、ちゃんと真面目にやってくださいよぅ」
「失敬な!俺はナンパに関しては常に真剣だぞ」

 渡月橋の前を、ネギと横島は取り留めない会話をしながら通りかかっていた。

「うわぁ、いい星空ですね」
「おいネギ、あんまり油断するなよ」
「えへへ、ごめんなさい。
 それはそうと、横島さんが言っていた助けてくれる人って、誰なんですか?」
「ああ、二人ともオカルトGメンで―――」

 言いながら横島はネギの胸元に手をやり…

「離れろ!」
「うわっ!」

 急に口調を変えて、何の前触れもなくネギを突き飛ばした。
 ネギが尻餅をつくその直前に、今まで二人の体があった空間を、細い何かが突き抜けた。

 ドキャ!

 次の瞬間に聞こえたのはアスファルトが砕ける音だった。
 尻餅をついたネギは、音の方向を見る。そこにはスキーのストックくらいの棒が、道路の舗装を突き破って地面に生えていた。
それの正体は矢だ。そう気付いた瞬間、ネギの背中に冷たい汗が流れた。

「不意打ちとはずいぶんじゃねぇか?」

 半分飛んでいたネギの意識が戻ったのは、横島の挑発的な声だった。
 見ると横島は、いつの間にかあの黒い服に着替えており、その目は空に向けられていた。
 いや、空ではない。夜空を遮る闇に沈んだ街路樹の上だ。そこには、異形があった。

「ふん。あの程度、よけてもらわなくては困る」
「しゃ、しゃべった…!」
「その程度でビビるなよ、ネギ。今はオコジョやラジオやモトラド(注:二輪車、空を飛ばないものをさす)が喋る時代だ。鳥人間が喋るぐらいなんてコトはない」
「鳥人間ではない!烏族だ!」

 木の上の異形――黒い羽とカラスの顔を持った人型のそれは、抗議の声をぶつけてきた。
 しかし横島はそんな怒声などどこ吹く風と、不敵な態度を崩さない。

「どっちでもいい。重要なのはお前が俺達に何の用か、ということだろ。
 ―――ネギが持ってる親書が狙いか?」
「……!?」

 言われたネギは、慌てて懐に手を伸ばし親書の無事を確認する。

(まさか、本当に早速襲撃がくるなんて…!)

 自分の判断や覚悟の甘さを感じつつも、懐の親書を庇いながら、折りたたみ式の杖を取り出すネギ。目は木の上の鳥族を見据えている。だが頭上では、烏族が失笑を漏らしていた。

「残念だが。私はそんなものに興味はない。私が興味のあるのは…お前だ」

 鳥族の男は抜き放った剣でネギの隣、横島を指す。

「人界最強の道化師の妹、横島忠緒。お前に勝負を挑みにやってきた」

 白刃が星影に、薄っすらと輝いた。


 数分後、その場にはネギとカモだけが残っていた。
 ネギは自分が尻餅をついた場所に立ち尽くしたまま、そこを動かずに居た。

「兄貴、元気出せって…」
「うん…」

 生返事をしながら、ネギは横島と烏族が居なくなったほう、橋の向こうを眺めていた。だがその目は焦点を結ばず、意識は数分前の横島とのやり取りに向けられていた。


 あの時、決闘を申し込まれた横島は、渋々ながらも同意した。ネギもそれに助太刀しようとしたが

「悪い。来るな」

 横島はそれを断った。
 今回の烏族の襲撃は、親書関連ではなく横島個人に向けられたものだから、横島自身で解決しなくてはいけない。そう言い残し、横島は飛んでいく烏族の後を追って渡月橋を渡っていった。
 去り際に、横島は頭をなでていった。その心地よかったはずの感触が、しかし今は、まるで子供扱いされている証拠であるかのように、ネギの心を苛んでいる。

 ピピピ…

 ネギの半纏の袖から、飾り気のない電子音がした。電話だ。
 一瞬、横島かと思って液晶を見るが、しかし表示されいたのはアスナの名前だった。
 わずかばかり落胆しながら電話に出る。だがその落胆も憂鬱な気持ち、電話の向こうから聞こえてきた、アスナのてんぱった声に押し流された。

「ネギ、ゴメン!木乃香がゆーかいされちゃった!どーしよう!」
「えええっ!」
「むっ…兄貴!アレは!?」

 ろくに驚きが収まらぬうちに、次はカモの声がする。
 カモが見上げる先を目で追えば、そこには空に浮かぶ痩せた月をバックに夜空に跳躍する―――

「…………おサルっ!?」

 ネギの声と同時に、おサル――正確にはおサルの着ぐるみが、ネギのすぐ目の前に着地した。その姿を間近に見て、ネギは新たに二つの驚くべき要素を見つけた。
 一つはおサルの口の部分が穴になっていて、中から人の顔が見える――つまりは気ぐるみであるということ。そしてもう一つは、そのおサルのもこもこした腕に、さらわれたと連絡が入ったばかりの木乃香がいるということ。

「木乃香さん!」

 反射的に呼びかけるが、気絶しているのか木乃香は反応を返してこない。
 その代わりに、おサルの着ぐるみが話しかけてきた。

「さっきはおーきに、可愛い魔法使いさん。ほな、さいなら〜」
「お待ちなさい、お猿さん!ラス・テル・マ・スキル…」

 さっきとは何のことかは分からないが、木乃香を助けなくては!そう思い呪文を唱えるが、そこに風呂場であった小猿たちが邪魔に入る。
 ウキウキと叫びながら、おサルたちはネギの口を塞ぎに入る。

「マギもが、ごもがもがぁ…」
「てめぇ、ゴラ!ヴラァ!」
「ウキムキッ!」

 発動キーを封じられている間に、木乃香を抱えたおサルは、再び異様なほどの跳躍力で、人気のない街を跳んでいく。

「ネギ先生!」
「ネギーーー!」

 ネギかカモと一緒に小猿と悪戦苦闘しているところに、アスナ達が駆けつけた。二人はネギに群がる小猿たちを引っぺがす。

「ネギ先生、お嬢様は!?」
「さ、さっきおサルの着ぐるみを着た女の人が連れて行きました!向こうです!」
「ネギ!横島さんはどうしたのよ!」
「あ、はい。少し別行動中ですぐ連絡を…」

 ネギはさっき取り落とした携帯を拾い上げ、アドレス帳から横島の電話番号をよびだし…

―――悪い。来るな―――

 通話ボタンを押す直前、ネギの脳に横島の言葉と、去り際に撫でられた感触が通り過ぎる。指は、ボタンを押す直前で止まっていた。

「ちょっと、どうしたのよ、ネギ!?」
「…いえっ!何でもありません。あのおサルは僕達で追いましょう!」

 言うが早い、ネギはサルが跳んでいった方向へ走り出した。その後ろを、慌てて二人が追いかける。

「ネギ先生!横島さんに連絡はしないのですか!?」
「できません!今、横島さんは別の敵と戦っているところです!」
「べ、別の敵って何よ!?」
「分かりません!けれど、ここは僕達がやらなくちゃ!でないと…!」

 でないと、ずっと頭をなでられて、置いていかれるばかりだから…!

 その言葉を飲み込みながら、ネギは夜道を加速した。


「おい。もうこの辺でいいだろ?」
「ふむ…そうだな」

 横島の言葉に烏族は頷くと、数歩行ったところで立ち止まった。
 場所は完全な自然林に近づきかけている雑木林。その中にぽっかりと空いた広場のような空白地だ。
 横島と烏族は、10メートル弱の距離を開けて向かい合う。

「さてと。やり合う前に聞かせて欲しいんだけどさ、どうして俺を狙うんだ?」
「腕試し、と言えれば気分がいいがな。残念ながら仕事として依頼された」
「誰にだ?」
「死に逝くものが気にすることでもないだろう?」
「けっ、三流臭い台詞だな」

 横島が吐き捨てるように言うが、しかし烏族は嘲笑を浮かべる。

「三流臭くても仕方あるまい。なぜなら…それが事実だからだ!」

 烏族が叫ぶと同時に、横島を中心として、霊力の流れが生じた。もちろん、これは横島が生じさせたものではない。

(トラップか!?)

 横島がそう判断した瞬間、横島の周辺に内向きの結界と、そして板のようなものが何枚か、腐葉土に覆われた地面を突き抜けて生えてくる。それには漢数字が表示され、一秒ごとに数を減らしていく。
 横島は、それに見覚えがあった。

「火角結界…!?」

 横島の叫びと同時に、雑木林に爆発の轟音と閃光が広がった。


 人界最強の道化師。
 断片的に語られる内容は、主に二つの要素で構成されている。
 一つは人の身で神魔と渡り合うその戦闘能力。
 そしてもう一つ、人界最強の道化師について、語られる要素。それは言動の軽さと―――残虐性だった。


「…これは骨も残らんな」

 煙が収まってから、烏族は火角結界の中心――横島が立っていた場所に歩み寄る。
 この火角結界は、依頼主である天ヶ崎千草から渡されたものだ。
 限定範囲を内向きの結界で包み獲物を捕獲。そして内部の五行の内、火行を過剰加速させて爆発。限定空間に広がる灼熱は、一切合財を破壊しつくす。
 烏族が疑問に思ったのは、これは明らかに霊能が使用された、しかも人間が作ったようには思えない代物だったことだ。天ヶ崎千草は明らかに人間、それも魔法使いのはずだったが…。

「…まあいい。依頼は果たした」

 後は可能なら証拠を持って帰ることだが、所詮相手は人間。あれほどの爆発では骨も残るまい。

「この分なら、人界最強の道化師本人も、大した事はなさそうだな」
「――それはどうかな?」

 烏族が、突然の声に対して驚愕の反応を示すより早く、世界が傾いた。

「なっ…!」

 次に感じたのは、肩から来る衝撃。それによって烏族は、自分が倒れたということに気付いた。それと同時に、自分の足が片方なくなっていることに気付く。
 自分の足が、ない。

「あ、あうああああぅっ!」
「うろたえるなよ、足ぐらいで」

 次の声が聞こえた瞬間、今度は視界が半分なくなった。
 目玉を片方抉られた。発狂したように叫びながらも、頭のどこか冷静な部分が、自分の置かれた状況を分析している。
 足を一本斬られ、目を抉られ、しかしそれなら相手はどこだ?声の主はどこだ?
 恐怖に駆られて右往左往する視界の中、烏族はようやくその犯人を見つけた。
 それは、地面から生えていた。

「―――っ!」

 声にならない悲鳴を上げる烏族。だが地面から生えていたそれは、なんら感慨を抱くことのないように言った。

「せっかく羽があるんだから、飛んで逃げりゃいいじゃないか?」
「あ、あああっ!」

 言われた瞬間、烏族はそれだと思った。慌てて翼を羽ばたかせ、一瞬でも早く逃げようとして…

「もっとも、俺はそれを防ぐけど」

 声と同時に、羽ばたこうとした翼がむしりとられた。

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!」
「情けねえな。腕や目玉くらいどうってことないだろ。翼は経験がないけどさ。
俺なんか何度も引きちぎられたぜ。文珠ですぐに治したけど」

 声の主はそう言って、地面から這い出してきた。
 横島忠緒。
 恐怖に混乱した意識が、ようやくその声の正体を確認した。
 それは跡形もなく燃え尽きたはずの少女だった。
 だが、彼女は傷一つなく生き、今こうして自分を死の淵に追いやっている。

「ど、どうして…」
「どうしてって、そりゃ殺されかけたんだから殺すのは当たり前…って、そうじゃなくて、どうやって助かったかって事か?それなら簡単。地面に潜ったんだ」

 横島は爆発の直前、タロットを無詠唱で発動させ、自分がすっぽりと埋まるだけの穴を作った。後は耐熱耐衝撃性のマントで蓋をして、爆発を乗り切ったのだ。もっとも、横島にしてもそこまで丁寧に答えてやる義理はなかったので、その代わりというように今度は烏族の腕を切り落とした。

「がぁぁぁっ!」

 叫ぶ烏族。横島はさすがに人に聞かれてはまずいと思い、思い切り烏族の腹を蹴りつけた。ブーツ越しに内臓がいくつか破裂した感触を得て、次の瞬間、慌てた。

「やべ、殺しちゃまずいんだった」

 横島は慌てて文珠を作り、烏族に与える。

《保》

 文珠が光を放つと、消えかけていた烏族の意識と鼓動が、現世につなぎとめられる。
 それを見た横島は、ほっとした様子を見せる。

「う…ぐ…」
「おい、聞こえるよな。なんたって生命も意識も文珠でつなぎとめたんだからな」
「な、何が目的だ…っ」

 足を切り落とされたから初めて、烏族が言葉を放った。

「目的って、決まってるだろ。お前の背後関係を、知ってる限り洗いざらい教えてもらうんだよ」
「ふん…、こ、殺されてもしゃべらん…」

 烏族は嘲るように言う。最初に足を切り落とされた時は、精神的な衝撃と、未知の恐怖で取り乱していたが、しかし今は違う。プロの戦士の誇りにかけて、拷問程度では口は割らない。

「ああ、その心配はないぜ」

 だが、そんな烏族の覚悟も、横島――人界最強の道化師の前にはなんら意味がないようだった。横島は口元に笑みすら浮かべて言う。

「あんたは死なないさ。なんたって文珠で《保》を使ったからな。文珠の効力が続くまで、生命も意識も保たれたままだ。正気も保たれ続けるから、発狂して情報が引き出せなくなるなんてこともない」
「!」

 その宣告の内容と、そしてその口調の軽さに、烏族は得体の知れない恐怖を覚え、横島の顔を見る。そして、見てしまった。


 その目に憎悪はなかった。
 その目に恐怖はなかった。
 その目に敵意はなかった。
 その目に狂気はなかった。
 そして、その目には虚無すらなかった。

 まるで料理を作るような、洗濯をするような、散歩に出かけるような、本を読むような、友と談話をするような、つまらないテレビを眺めるような。
 そこには、まるで日常を生きるような、自然体の視線がそこにあった。

「《自》《白》とかだと、二つ使うからもったいないんだ。だから悪いな」

 まるで道端で肩がぶつかってしまった相手に言うように謝ると、横島は手に霊波刀を作り、そして言う。

「早めに答えてくれよ。そうすれば死なせてやるからさ」

 意識が恐怖を感じる前に、烏族は体の一部が切り離された衝撃を感じた。


つづく


あとがき
 電撃文庫のキーリを読破した詞連です。キノの旅といいキーリといい、ああいうお話を考えれる感性が欲しいです。
 というか、投稿しようとnight talkerのショートカットをクリックしてもつながらないし。何とか検索して直接小ネタ掲示板に飛んできました。投稿遅れてすみません。
さて、いきなりバイオレンスですが次回も続きます。しかし再来週から忙しくなるので更新はしばらく休むかもしれません。とりあえず、来週は書けそうですが。
 ではレス返しを。

>希望氏
 そういっていただけると幸いです。今後もがんばります。

>鉄拳28号氏
 関西では霊能のことを異能とよんでさべつしているとう設定です。そのことについては、以前の美智恵を交えた会話で触れていたりします。
 薄っぺらさとしつこさの境は微妙ですよねぇ…一番いいのは全てのシーンを作り直すのなんですが…それはさすがにきびしいっす。
 誤字指摘、毎回ありがとうございます。

>黒き者氏
 全ては作品の中でということで。週一を守れるように努力します。

>シレン氏
 魔族は魔族。信頼しているわけではなくてお互い利用しあってるという感覚です。それから差別についてですが、実のところ差別なんてそんな不条理なものです。人間じゃないものでも人間でもない半端な存在だから差別する、という建前があるのは本当の差別ではありません。ただ〜〜だから、という理由で人を不当に扱うのを本当の差別といいます。
 魔族はよくて霊能力者はだめというのも、現実を見ればそんな感じの不条理な差別も結構あります。


>hagetya氏
 やはり中盤ですか。確かに原作に即しすぎかとも思ったのですが、しかし全体的な流れからすると、あそこで横島を投入するとおサルがあっという間に消されて、刹那が助けるというイベントが消化できませんでしたし…まあ、とりあえず原作準拠ということで。
 原作の雰囲気を残しつつ、原作と異なった展開を作れるように努力していきたいです。

>TA phoenix氏
 ご指摘ありがとうございます。
 以前横島がネギに言いましたが、圧倒的に強い存在は下位の存在に対して本気には成れても必死にはなれません。そこが脆弱な人間の勝機ということです。まあ、その辺はメドーサあたりになると薄そうですが。
 ギャグ中の横島は弱い割りに不死身です。

>D,氏
 エヴァはツンデレ。これは公式です。豊乳ネタはひんぬーキャラの宿世ということで。

>kou氏
 バランスが大事なのは同意。が、小さい女の子はそんなことよりまずサイズを求めます。小さくてもそれはそれで魅力的なのに…どうしてでしょうね?
 誤字指摘ありがとうございます。

>キリエ氏
 過分のほめ言葉、ありがとうございます。
 ツンデレはよきものです。コタローは結構後です。まずはラブラブキッス大作戦を書かないと…。
 ご期待に沿えるようにがんばります。

>KK氏
 その辺はご心配なく。このSSのコンセプトはセミ最強モノですから。あまり無茶な能力は持たせないつもりです。が、とりあえず弱っている状態なら、《滅》の文珠を直撃させればメドーサを倒せるくらいには文珠は万能です。ま、それが難しいのですが。
 なお、残念ながら美神令子は出る予定が今のところありません。

>ナガツキリ氏
ナガツキリさん、こんにちは。
 エヴァは完全に落ちていません。いつまでも帰らぬ想い人と、不意に現れた異性の間にゆれる乙女です。もっともかなり攻撃的ですが。
 次回こそ、京都駅です。まだまだ横島はダークにバイオレンスに往きます。
 次回もがんばります。

>雷堂地氏
 雷堂地さんはじめまして。誤字指摘ありがとうございます。
 エヴァのはっちゃけ、気に入っていただけたようでよかったです。不快に思われたらどうしようとひやひやしてました。
 オリジナル要素と原作ののりがマッチするようにがんばります。

>ななし氏
 フォローとお褒めの言葉、ありがとうございます。

>流河氏
 今回はシリアスが多かったです。ああ、もっとあっさり済ますつもりが無駄に長く…。
 女の友情は怖いです。ただそれはカモが知らないだけ。ふっ、所詮はオコジョか…。


>わーくん氏
 今回はシリアスと逆の比率が大逆転。少しだけこのSSオリジナルの横島の要素『人界最強の道化師』の燐片が見え出しました。
 まあ、肝臓が悪いならレバーを、心臓が悪いならハツを食えといわれてますし。胸がないなら胸をせんじた薬がいいという発想なのです。平べったい、は禁句です。それを言った次の瞬間、そのキャラは原形をとどめないほどぐちゃぐちゃにされます。
 ザジさんに関してはこちらの実力不足です。精進していつかザジさん主役のお話を書けたらいいなぁと思ってます。
 誤字指摘ありがとうございます。次回もがんばります。

>PY氏
 いくら成人バージョンに変身しても、本当の自分を好きなってくれねば意味がないという、無意識に展開されているいじらしい乙女心です。

>ヨシくん氏
 横島印の<豊胸薬>…厄珍堂で売り出しそうですな…。
 しかし個数が限定なので、絹竜シロタマなどが血で血を洗う抗争を…。
>神[SIN]氏
ウィッス。
 一応横島は人間です。刹那に関しては秘密ということで。
 エヴァちゃんの大人バージョンは、まあ、ほんとの自分を好きになってほしいといういじらしい乙女心ですよ、無意識下ですが。

>舞―エンジェル氏
 刹那についての考察、ありがとうございます。というか、私の感じているそれとだいぶ似ているかもしれません。ちょっとネタばれになりますが、実は刹那とこのかの仲直りは、少々趣を変える予定です。どう変えるかは秘密ですが。
 では次回もがんばります。


終了。
 さて、次回も少しバイオレンスなノリでいきます。では…

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