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▽レス始

「ジャンクライフ−第二部−5−(ローゼンメイデン+オリジナル)」」

スキル (2006-08-14 20:56)
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戦いたくないというその手でどれだけのものを殺してきた?
殺さねばいいと貴様は言うが、敵が殺されなかった事に感謝するとでも思っているのか?
彼らにも誇りがあり、意地があり、決意がある。
貴様のそれはそれを冒涜する行為に他ならない。
御託も奇麗事もいらない。
ただ殺せ。殺す理由は一つあればいい。ほら、お前だってそうだから殺してきたんだろう?


ローゼンメイデン−ジャンクライフ


「ただ、残念なのは、お前が俺の前に敵として現れたことだな」

淡々と、笑顔をそのままに紡がれた言葉に、蒼星石ははっとしたように優を見上げ、水銀燈は胸騒ぎが強くなるのを感じた。
優の瞳が冷たく光る。その唇に浮かぶ笑みが、温和なソレから、獰猛なそれへと切り替わる。
闇が轟く。

「はじめようではないか。アリスゲームを。未来を勝ち取る殺し合いを」

そう言うと、とんっとその場から優は飛びのく。狙い澄ましたかのように、そこに紫色の水晶が地面から出現する。
ちらりと優の視線が、薔薇水晶に向く。薔薇水晶の無表情の中に、避けられた事に対する驚きが混じっている。

「蒼星石」
「は、はいっ」
「契約だ」

短く呟かれた言葉を最初、蒼星石はすぐには理解できずに固まった。だがしかし、すぐにその硬直も解ける。
蒼星石の元々のマスターは、カスギという少年の死に囚われた老人である。
呼び出されたこともありも蒼星石はその老人の事をマスターと呼んでたが、ここで重要な事がある。
蒼星石と老人は確かに、マスターとドールという関係ではあったが、契約はしていなかったのである。
当然である。大人しいが、それでもローゼンの中でも一番現実主義で、何事も無駄なく理論だてるのが好きなのが蒼星石である。
いや、それ以前に彼女は優しい。体力的にも、精神的にも、衰えている老人と契約を結び力を吸い上げるなどという事は彼女には出来なかったのだ。
そして、今、蒼星石はその選択が間違いではなかったと確信する。

「優、さん」

すっと、蒼星石の指輪の嵌められた手が差し出される。
時が凍っていた。ローゼンメイデンにとって、契約とは神聖な儀式である。それを妨害するのは、どのドールであっても、己のプライドが許さない。
だが、そのはずなのに、水銀燈はその光景を見ていることが出来なかった。
神聖な儀式であるはずなのに、それがとても、とても腹立たしい光景にしか見えない。
ふざけるな。ソレを    としていいのは、私だけだ。
ぎり、と無意識のうちに歯を噛み鳴らす。
優が、蒼星石の前で膝を突く。ソレはさながら、姫と、その手にキスを許された騎士のように。
水銀燈の鼓動が早くなる。拳が震える。それよりも心が震える。

「や、やめ」

言葉が漏れる。しかし、それは二人には届かない。優の唇が、蒼星石の指輪に触れる。藍色の光が、指輪からのび、優の指に絡みつく。
契約の指輪。交わされる契約。蒼星石に優の力が流れ込む。それは、冷たく、荒々しく、それでいて強大な力。

「ます、たー」

幸せそうに蒼星石は微笑む。これで、完全に、自分は、樫崎 優のドールとなれた。

「く、このっ!」
「……」

神聖なる契約の儀式が終わったのを確認すると、水銀燈と薔薇水晶は同時に蒼星石に攻撃を仕掛けた。
だが、一方は忘れていて、そして一方は知らなかった。

「やれ。蒼星石」

ソレに隙は無い。戦うと決めたときから、たとえ愛しいものが敵になろうとも、ソレの心は微塵も揺るがない。
戦うという事と感情は乖離しているもの。好きや嫌い以前に、それが敵であるならば、それは敵でしかない。
蒼星石は優の声に反応し、その手を走らせる。

「レンピカ!」

蒼星石の人工精霊が、蒼星石の武器であり、道具である鋏を具現する。そして、蒼星石は迫り来る漆黒の羽と、向かい来る紫の水晶を見据える。
恐れは無い。負けるわけが無い。その瞳に、冷たく、そして気高い意思が宿る。

「はっ!」

斬撃。言葉で言うのであれば、その一言で尽きる類の攻撃であった。
ミーディアムの力を借りる事によってそれぞれのドールの力は強力化し、その力の質を変える。
例えば水銀燈にして見れば、その体を青い炎が包む事によって身体能力が向上し、漆黒の羽は漆黒の龍となる。
真紅においては、絶対なる加護の赤い壁と、もはや花びらではなく、赤い本流である薔薇の洪水。
蒼星石の場合それが、斬撃に特化しているというだけの話。
そして、その斬撃は、水銀燈と薔薇水晶の攻撃を見事に切り裂いた。

「真紅。翠星石。雛苺。金糸雀。」

それは、冷たく、それでいて意思に満ちた声であった。

「僕は戦うよ。これは、お父様が望むからとかそんなんじゃない。僕が、望むから、僕は戦う」
「蒼星石っ!」
「だから、君達も覚悟して」

その言葉に、翠星石は嫌ですぅと顔を横に振り、真紅は食いしばるように瞳を閉じた。

「ふ、ふふふっ。怖いのかしらー。戦術撤退なのかしらーー」
「うぅ、怖いのぉ」

その後ろで、金糸雀と雛苺が仲良く、劇場の座席の影に身を潜める。
ジュンは、優を信じられないという表情で見つめていた。
あれほどまでに水銀燈のことを想っていたと言うのに、どうして蒼星石に剣を向けさせるのかわからないのだ。
いや、最悪の考えがジュンの中にはあった。ようは、蒼星石がいるからもう水銀燈はいらないという事ではないのか?
ジュンは知らない。なぜ、優がエンジュのとこに弟子入りしているかを。知っていればそんな考えは浮かばなかっただろう。

「今更、今更ねぇ蒼星石。戦う事は私達の宿命。今更、宣言する事ではないわぁ」
「水銀燈」
「なぜでしょうねぇ。気に入らない。気に入らないわぁ蒼星石ぃ」
「ごめん。でも、引く気は無いよ水銀燈」

その自信に満ちた顔が癪に障る。その顔は、その場所は、そこは、私のものだ!!
ぴしり、と記憶に皹が入る。しかし、蘇る事は無い。ただ、過去の彼女の想いが、今の彼女の体を借りて溢れ出す。

「この、泥棒猫ぉぉぉぉぉ!!」

水銀燈自身、自分がなぜそんな言葉を言っているのかは分からない。けど、わかる。それが、叩きつけるべき言葉だと。
漆黒の羽が舞う。無差別に、無慈悲に、羽は舞い、全てを破壊する。

「レンピカ!」

蒼星石の呼び声に、レンピカは反応し、彼女の持つ鋏のジョイント部分を一周する。すると、ジョイントが外れ、鋏は二つの刃となった。
刃が外を向くように、蒼星石はそれを逆手に持つと、投げた。二つの刃はそれぞれが意思を持つように、円を描きながら水銀燈と薔薇水晶に向かう。

「――――戦いましょう。喜劇のように、悲劇のように」

薔薇水晶は眼前で始まった自分を巻き込む激闘の足音に、微笑を浮かべた。
戦え。そして勝利しろ。主からの命令はその二つ。どうやって、戦いを忌避している真紅達を戦わせようかと心配していたが、それは杞憂に終わった。
水銀燈と蒼星石。この二人がいれば、誰もが戦わずにはいられない。
なぜなら、

「無様に死にいくのは嫌でしょう」

水晶を具現する。逃れられると思うな、隠れられると思うな。死にたければそうすればいい。この水晶は、全てを貫く。

「くっ、真紅。どうするですかぁ! このままじゃ、私達も!!」
「全く。いい加減にして欲しいのだわ。馬鹿じゃないのかしら。暴力で物事を成そうとするなんて、ナンセンスもいいところよ!」

瞳を開く。弱い心が吼える。戦いたくないと。また、水銀燈の時のように姉妹を殺すのは嫌だと。誰かを失うのは嫌だと。
ならば、失わせない。

「私は、真紅。誇り高く、優雅で、気高き真紅」
「し、真紅?」

戸惑ったように自分を見つめるジュンに真紅は微笑んで見せる。

「そもそも誰が一番上かを理解していないから、こんな馬鹿馬鹿しい争いが生じるのだわ。こんな、馬鹿馬鹿しくて、下らない戦いは、私が終わらせてあげる」

失いたくない。戦わせたくない。だから、戦いそのものを自分は殺そう。戦う理由を殺してあげよう。
そんなことできないかもしれない。なぜなら、それぞれにはそれぞれの想いがあるからだ。だが、それがどうした。
それぞれに想いがあるように、自分にも想いがある。それぞれが我を通すというのなら、自分も通すまで。
そして、教えてやる。

「この戦いの下らなさを」

赤が舞う。薔薇の花びらは、気高く、優雅に、混沌とした戦いに朱色の色彩を与える。

「戦う気なのですかぁ? 真紅ぅ?」
「危ないのぉ」
「心配しないで。ただ、やめさせるだけだから。こんな、馬鹿げた戦いを!!」

漆黒が破壊し、蒼い斬撃が全てを切り裂き、紫が貫く、そして朱色がそれら包み込む。
それはもはや戦いではない。個対個などという小さな戦いではない。いうなれば、それは戦争。

「や、やばいのかしらぁ〜。ここにいたら、とばっちりをくらって死んじゃうのかしら〜」

その中を、金糸雀は匍匐前進で進んでいた。ずり、ずり、と出口である扉へと近づいていく。

「そもそも、こんな暴力に訴える戦いは金糸雀には向いてないのかしら〜。知的に、優雅に、戦えないのかしら〜」

例えば、チェスとか。っと、金糸雀は呟き、今はそんなこと言ってる場合じゃないなと匍匐前進を続ける。
そして、あと少しで出口というところで、眼前の大地から水晶が生えた。
恐怖で顔が凍りつく。

「どこに、行くのですか?」

冷たく、感情など感じさせない声が、金糸雀の耳を打つ。恐る恐る振り向くと、冷たい金色の瞳が、金糸雀を見下ろしていた。

「あ、はははは。お構いなく、なのかしら〜」
「……」

無言で、薔薇水晶が金糸雀に手をむける。

「ぴぃっ! ま、まだ死にたくないのかしら〜〜!!」

そう言って、金糸雀は恐怖で瞳を閉じた。脳裏に浮かぶのは、マスターであるみっちゃんという女性の姿。
だが、その耳に次に聞こえたのは、狂気に満ちた声だった。

「一つ教えといてやろう」
「あっ」
「ドールに共通して言えるのだが、お前達はなぜか戦い始めるとミーディアムを忘れるな」

うっすらと瞳を開けると、薔薇水晶は樫崎 優によって殺されようとしていた。
優が手にしているのは、薔薇水晶の放った水晶の一つ。それを服でくるみ、手が切れないようにして持ち、そっと薔薇水晶の首筋に添えている。

「それが隙となる」
「……樫崎 優」
「己が武器の切れ味、その身で味わうがいい」
「……愚か」

優が、薔薇水晶の首を切り裂くよりも前に、薔薇水晶は首筋に添えられた水晶の具現を解いた。
優の持っていた水晶が消える。そして、薔薇水晶は余裕と嘲笑を持って、振り向き、腕を切り裂かれた。

「イマイチの切れ味だな」
「それは……」
「自前だ。戦場に武器も持たずに来るほど愚かではないのでな」

手にしたサバイバルナイフの切れ味を、淡々とそう評する優を薔薇水晶は瞬時に、危険を認識した。
故にその命を奪い取ろうと、水晶を飛ばす。
その水晶を、優は何も言わずに見つめた。避けられないからか? 違う。知っているからだ。
刃が、近くの座席を切り裂きながら飛来する。

「愚かだな。俺には、ドールがいるのだぞ?」

蒼星石が優の傍らに降り立つ。
薔薇水晶はそれを口惜しそうに眺め、そして頭上の赤と黒の戦いに視線を向け、蒼星石に戻す。

「私の相手は、貴方?」
「君は、危険だ」

かくして、地上では蒼と紫が激突する。


これが、本気のローゼンメイデン同士の戦いか。
その熾烈さ、激しさ、荒々しさに、ジュンは飲まれていた。
足が震える。当然だ。ジュンの日常とは余りにも乖離しすぎていて、ジュンにはこの世界が理解できない。

「チビ人間! なにしてるですかぁ! そんなところでぼけーとしてたら、危ないですぅ」
「翠星石」
「とっとと隠れるですぅ」

その言葉に、ジュンははっと我に帰ると、翠星石の近くに走り寄った。そこは、薔薇水晶の具現した巨大な水晶の裏側。
とりあえずは、水晶が盾となり攻撃を防いでくれている。

「まったく、死んでもしらねぇですよ人間」

そう言いながら、翠星石はぎゅっとジュンの服の袖を掴んだ。その手は震えていた。
そういえば、自分をここに呼んだときの翠星石は、とても必死な顔をしていなかったか?
それを、理解した瞬間、ジュンの中で何かが沸きあがった。
それは温かくて、纏わりつく恐怖を吹き飛ばすには十分な力を持っているモノ。

「翠星石。ありがとう」

その小さな手を握り締める。すると、翠星石は最初きょとんと、ジュンを眺め、そして顔を真っ赤にして俯いた。

「な。何言ってるですか! お前なんかのためなんかじゃねぇです。調子にのるなですぅ。ただ、マヌケ面で立っていたから」

チラチラと自分の顔をうかがいながら、そう言う翠星石に、ジュンは自分の中の何かが満たされたのを感じた。
失いたくない。失えるわけがない。

「翠星石」
「なんですかぁ」
「僕は、この戦いを止めたい」
「そんな、そんなの翠星石だって一緒ですぅ! 水銀燈や、薔薇水晶の野郎はしらねぇですけど、真紅や蒼星石の戦うところなんて見たくねぇです」
「だったら、お前の力を僕に貸してくれないか」
「えっ?」
「真紅がこの戦いを終わらせようと戦ってる。そこにお前も加われば何とかなるんじゃないかと思うんだ。真紅を手伝ってやってくれ」

確かに、真紅や水銀燈、それに蒼星石や薔薇水晶、おまけに金糸雀とは違って、翠星石と雛苺の力は、攻撃よりも防御。
そして、対象の拘束に向いた力の系統ではあった。そのことをジュンは知らないが、確かに自分が加わればなんとか戦いを止める事は出来るかもしれない。
でも、わかっているのに、それでも、込み上げてくる何かに逆らうことなく翠星石は爆発した。

「ふざけるなですぅ!」
「えっ?」
「真紅を手伝ってくれとはなんですかぁ!」
「ど、どうしたんだよ!?」
「なんで、翠星石に、命令しないですかぁ! お願いしないですかぁ!」

そんな場合じゃないとは分かっている。だけど、翠星石には自分の想いが止められなかった。
恐怖と悔しさと悲しさが、ごちゃごちゃになって翠星石を駆り立てる。
いつだってそうだ。自分がいるのに、自分もいるのに、どうして、どうして貴方は。
どうして真紅を手伝えというの? どうして私を、私を中心に見てくれないの?
押さえ込んでいた想いが、激流のように翠星石の心を埋め尽くす。

「翠星石はぁ、お前が、お前が戦いを終わらせろというのなら終わらせてやるですぅ! それを、それをっ!」
「ちょっ、落ち着けよ翠星石」
「っ!!」

その顔を掴む。
その瞳を見据える。
心の中がぐつぐつと煮えたぎっていて、恥ずかしさとか、そんな感情は彼方に消えた。

「鈍感にも程があるですぅ!」

そして、翠星石はぎゅっと目を瞑って、ジュンの唇に、自分の唇を力任せに押し付けた。

「っ!?」

ジュンが硬直する。顔は、瞬く間に真っ赤になり、自分の身に何が起こっているかが分からない。
それはほとんど一瞬のことではあったが、両者ともに顔を真っ赤にして見つめあったまま動けなかった。

「き、キスしてやったですぅ」
「あ、ああ」
「ま、まったく翠星石にここまでさせないと翠星石の想いに気づかないなんて、全く、チビ人間の愚かさと鈍さには溜息が出るですぅ。あ、翠星石はお前の翠星石に対する倒錯した想いには気づいているから安心するといいですぅ。これにこりたら、真紅、真紅、言ってないで、翠星石のことを少しは敬えですぅ」

そこまで瞳を閉じて、腰に手を当てて言った翠星石は、ぱちりと方目を開けて、ほらっとジュンを促す。

「な、なんだよ?」
「言い直すです。翠星石に、ちゃんと、お願いするですぅ」
「あ、ああ。わかったよ」

ここまでされて、翠星石がジュンに何を求めているかなどを判らない奴などはこの世にいないだろう。
誰かの手伝いではなく、お前が、お前に止めて欲しいと。

「翠星石。お前がこの戦いを止めてくれ」
「最初からそういえですぅ!」

ついっと、翠星石が契約の指輪をジュンに差し出す。ジュンは自然に、それに口付けをした。
緑色の光が、真紅との契約の指輪に絡まり、そして指輪の装飾の薔薇が成長する。

「……」
「……」

そして、ここにきてようやく二人に、彼方に消えたはずの恥ずかしさが去来した。
そのせいで二人は同時に言葉を失い、そして互いに赤い顔を隠すようにしてうつむく。

「…………じ、じゃあ、頼むな」
「ま、ままま、まかせろですぅ」

そして、翠星石とジュンは同時に顔を上げ、自分達を見つめる視線に気がついた。
戦いは止まっていた。
水銀燈の呆れた視線、真紅の溜息、薔薇水晶の無表情、金糸雀と雛苺が顔を真っ赤にしていて、蒼星石が優しい笑みを浮かべている。
それらの意味することはただ一つ。一部始終を聞かれていた。

「興ざめだわ」
「人が戦いを止めようと必死になってるときに……」
「……」
「な、なんかドキドキが止まらないかしらーー!!」
「むぅ! ヒナも、ジュンとキスするのぉーー」
「はは、よかったね翠星石」

最後に、優がつまらなそうに告げる。

「よかったな。貴様らの力で一時的だが戦いは終わったぞ」

それがとどめだった。

「「―――――――っ!!」」

もはや戦う雰囲気ではなかった。
薔薇水晶は不思議そうに自分の唇をなでながら、宙に消えるようにこの場を去り、
水銀燈は優に視線を走らせた後に、ふんっと鼻を鳴らすと薔薇水晶同様に宙に消えた。
蒼星石は翠星石に頑張ってねとエールを送り、
優は下らん、と吐き捨てると去っていった。
金糸雀は、きゃーきゃーいいながら、去っていった。
そして、残った面々はというと

「うぅ〜馬鹿人間の性で恥をかいたですぅ」
「ぼ、僕のせいかよっ!」
「ジュンのせいなのぉ〜」
「そうよ。下僕の恥は、すなわち主であるこの真紅の恥。全く、はずかしいったらありゃしない」

と、散々ジュンに対する不平不満を言った後に、

「じゃ、そろそろ帰りましょうか」

という、真紅の鶴の一声で帰ることとなった。
Nのフィールドの出口は、ジュンの家の水溜りであった。
真紅が、一番に家の中に上がり、雛苺がソレについていく。
そして、翠星石が次に続こうとして、意を決したようにジュンのほうに振り向いた。

「一言言っておくですが、浮気はゆるさねぇですよチビ人間! それとたまにならキスするのを許してやるですぅ! 翠星石の寛大な心に感激するがいいですぅ!!」
「なっ!? ちょっ、待てよ! 僕は」
「さ、最後に!」
「な、なんだよ」
「て、照れてるジュンの顔はちょっと可愛かったですぅ。それだけですぅ!!」

言うだけ言うと、翠星石の家の中に逃げ込むようにして入っていった。
残されたジュンは、顔を真っ赤にしたまま、その場に座り込んだ。
奇しくも、一日に、それもたった数時間の間に、柏葉 巴と翠星石の二人の少女の想いを知った。

「は、ははは」

ジュンの乾いた笑い声がその場に響いた。


あとがき
ども、最初の燃えはどこにいった? と自問自答しているスキルです。
いや、最初から今回で、ジュンが立てた翠星石フラグを回収させようと思っていたのですが、書いているうちに筆がのりまして
気がついたら、なにこのナイスツンデレ? という感じになっておりました。
いやぁ、もう前半の銀様とか後半の翠星石でくわれちゃっていないか心配です。
けど、後悔はしていない。
それと、蒼星石の鋏ですが、俺はアレを見た瞬間から、上記のように戦うと信じて疑わなかったです。
それと、今回は体験版という事で、本当に、ほんとぉーに、ほんの少しだけシュ・ラーバ描写を入れてみました。

>沙耶さん

( ゜д゜)

(つд⊂)ゴシゴシ

(;゜д゜)<スゲェ、こいつ漢だよ。
(´ω`)<まぁ、だからといって、水銀燈をやるわけではないがね。

>R-44さん

セブンセンシスに目覚めるのはいつですか?
えっ、僕ですか? スーパー水萌え人4に到達したところですよ

>灰ネコ

誰だ。蒼星石に不幸属性があるっていった奴は!?(ぇ
今回の彼女を見て、まだそんな事を言っていられるか!
っという展開にして見ました。どうですか?

>KOS-MOSさん

少年は、甘く切なく、そして苦い経験を得て漢になるものさ。
悟りを開くではなく、苦しみもがき到達しうる果て。それが、内のジュンの目指すものです。
だから、だから、もうjun君とは比べないであげて。・゜゜・o(iДi)o・゜゜・。

>樹影さん

今回は、ハーレム大戦前哨戦です。
近々、大きいのが来るという未確認情報もありますので、対ショック用意をお願いしますね。

>カシス・ユウ・シンクレアさん

そして、第四、第五の水銀燈が続々と。すみません。俺も電波です。

>慎哉さん

>ボクハソウシンジテイマスヨスキルサン

お、落ち着け。そのうち、そのうち必ず、だから、だからぁぁぁぁ。
ギイィィン。シュピィィン。ドガァァァン。
……ハイ。カカセテイタダキマス(未定

>琵琶湖さん

そんな貴方の、翠星石株を上げる俺。

>ミーハー

ボクッ娘プリンですか。そうですか。へぇ、そうですか。
で、いつになったら送ってくれるの?(ぇ

>なまけものさん

貴方の疑問をまるっと解決の今回。蒼星石、翠星石は上記のようになりました。
それと、雛苺ですが、彼女は原作基準で、真紅を仲介してジュンの力を受けていると思ってください

>ジェミナスさん

つ 今回の話

>HAPPYEND至上主義者さん

拗ね銀様は、もう少し先になりそうです。
それと、シュ・ラーバですが、大きいのが来ますよ。ええ。それはもう(邪笑

>神村Mk−兇気

どうもはじめまして。萌えてくれましたか。
萌え尽きさせる事が出来るようにこれからも頑張りますので、どうぞよろしく。

>深山さん

切なさを超えて、その向こうに在るものを目指す。
さぁ、共に行こうではないか(←馬鹿

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