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▽レス始

「霊能生徒 忠お!〜二学期〜(二時間目)(ネギま+GS)」

詞連 (2006-08-06 15:05/2006-08-07 06:18)
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 ホラータッチな顔のテルテル坊主が大量に吊り下げられた窓。そこから朝の光が寝床へと差してくる。
 エヴァンジェリン―――闇の眷属たる吸血鬼である彼女にとって、澄み渡った大気を透過して降り注ぐ陽光は、克服したとはいえ疎ましい。だが、今日の朝だけは違った。
 普段はシーツに包まって眠りを貪っているはずのエヴァは、今日は目を見開いて、普段は絶対に使わない、目覚まし時計を凝視している。
 やがて、時計の秒針が文字盤の12をさし

 ジリリばきゃ!

「朝だ!起きるぞ、茶々丸!」

掛け布団を蹴り除けて、エヴァは飛び起きた。枕元には、ひしゃげた目覚ましだけが残っていた。


霊能生徒 忠お! 二学期 二時間目 〜カップの10の正位置と逆位置(旅行と不協和音)〜


 飛び起きたエヴァは、寝る前に用意しておいた制服を着込み荷物を持つ。およそ普段の朝とはかけ離れた手際の良さだ。

「はーはっはっはっはっはっはっ!
 今日は待ちに待った……修学旅行の日だ!

 すっかり身支度を整えたエヴァは腰に手を当てて高笑い。その後、まだ起きていない茶々丸を見て不機嫌そうな顔する。だがそんな些細な感情は、今エヴァを満たしている興奮にあっさりと飲み込まれた。

「茶々丸!早く起きろ!今日から修学旅行だぞ!
 遅刻など私が許さん!早く起きるのだ、茶々丸!」
「――――はい、マスター。起動します」

 エヴァの呼び声に、スリープモードだった茶々丸は緊急起動。同時に内蔵された時計で時刻を確認。午前五時三十分。
 その時間をメモリーから呼び出した修学旅行のしおりと参照。集合は大宮駅に九時。検証するまでもなく早すぎる。

「マスター。もう少しゆっくりされても大丈夫では…」
「早いに越したことはあるまい。万全を期すのは当然だ」

 興奮状態のエヴァに進言が届くはずもない。エヴァはある時は高笑いし、またある時は室内を無意味に歩き回る。

(ああ、こんなに楽しそうなマスターを見るのは久しぶりです)

 そんなエヴァの様子を、茶々丸は好意的に判断する。自分が起動してから毎日見てきた、世界の全てに対して絶望すら抱いていないような無感情な様子より、遥かに良いと思う。

「マスター。少々お待ちください。今、朝食としてサンドイッチを作ります」
「うむ!」


 数分後、サンドイッチの入った紙袋を片手に、エヴァは扉の前に立っていた。

「しおりは持ちましたか?」
「ふっ、当然だ」
「保険証や着替えは大丈夫ですか?」
「問題ない。一昨日からすでに用意している」
「ではいってらっしゃいませ。私も準備が出来次第、すぐに出ます」
「うむ、では行ってくる。遅れるなよ!」

 茶々丸の返事も聞かず、エヴァは飛び出していった。


「フフフフ…。
 しかし楽しみだな。日本の古都、京都・奈良に五日間もいけるとは…。
 修学旅行とは、存外悪くないものだ」

 人気のない朝の街を進むエヴァは自分の足が急いていることを自覚した。心理的に不必要に高揚しているが、だがそれを静める気にはならない。
 命のやり取りとは違った心地よさの興奮。ちょうど、ネギからサウザンドマスターの生存の可能性を聞いたときと同じような―――

「そう…奴の住んでいた家も探さんとな」

 エヴァの持ちうる情報は、一時期にサウザンドマスターが京都に居を構えて、何かを調べていたということだけ。先日、ネギに与えたのでほぼ全てだ。
 それだけでは雲をつかむような話だが、調べようはいくらでもある。
 例えば関西呪術協会の長、近衛詠春――学園長の婿養子にしてかつてのサウザンドマスターの仲間だ。よもや盟友の住処を知らぬなどということはあるまい。賞金が消えたとはいえ札付きの悪人である自分が接触するのは困難だが、やりようはいくらでもある。

「場合によっては強硬手段をとってもいい…」

一週間前の横島との戦い以来侵入者もなく、せっかく取り戻した力を十二分に振るう機会に恵まれていない。久しぶりに暴れまわりたいとは思うが、無意味に力を行使するのはエヴァの悪の美学に反する。
 だが、その矛盾も目的があるなら満たされる。それに例えサウザンドマスターに関して荒事がなかったとしても―――

「今回の旅行は、キナ臭さには事欠かんからな」

 今回の修学旅行では坊やが親書を預かっているらしい。それを狙う輩もいるだろうし、さらに呼応して学園長の孫娘にして西の長の娘である近衛木乃香を狙う動きもあるだろう。戦火は戦火を呼ぶという奴だ。その火の粉がこちらに降りかかって来た時に、ちょっと突き返してやるのもいい。せっかくの古都で戦いばかりというのあれば気も滅入るが、その程度なら寺社仏閣巡りの箸休めとして丁度いいはずだ。

「くっくっく…これは麻帆良に封じられて以来、最高に楽しくなりそうだ
 ふふ……ふふはははははっ!」

 堪え切れず、エヴァはこみ上げた衝動に任せて、本日何度目かの高笑いを上げる。
 そしてそれでも飽き足らず、バレエのような動作で回転を始めた。まるで外見相応の、普段のエヴァからは考えられない子供のような動作だ。見られたら首をつらねばならんが、どうせ誰も見ていないだろう。
 そう思いつつ、上機嫌のまま回転を止めると、目の前にネギがいた。

「お、おはようございます。エヴァンジェリンさん」

 ――ネギがいた。
 いつもの杖と一緒にリュックサックを背負った少年が、回転停止直後の姿勢のまま凍りついたエヴァに、戸惑ったような笑顔を向けている。
そりゃ、自他共に認める悪の魔法使いが、天下の往来でくるくる回ってれば、誰だって戸惑うだろう。だが、回っていた当人にしてみれば、ある意味全裸以上の痴態を見られたのだ。だから当然、

「…き―――」

 エヴァは悲鳴を上げた。

「記憶ごと消え去れぇぇぇぇぇぇぇぇッ!」
「ひ、悲鳴ってきゃーとかじゃないんですかぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 直後、爆発音と破砕音に混じってネギの悲鳴も続いた。


「お、おはようございます…」
「おはよう、ネギ先生…ってどうしてそんなにボロボロなんですか?」
「はは…ちょっといろいろありまして」

 大宮駅にて、髪の毛の一部が凍りついたネギに、しずなは首をかしげていた。
 一緒の電車に乗ってきたエヴァは、離れたところでいつも以上にむっすりとした顔をしている。

「おはよー!ネギ君」
「あ、皆さん、早いんですね」

 ネギが顔を上げると、そこには先生以外に何人かの生徒の姿もあった。

「待ちきれなくて始発で着ちゃったー!」

 そういったのはまき絵。来ているのはまき絵達運動部四人組と図書館三人組。そして楓、古菲、そして―――

「相坂さんも、おはようございます」
「あ、はい!おはようございます」

 古菲の両肩に手をやって取り憑くように…というか実際に取り憑いている。取り憑かれた古菲は「む、か、肩が重いアル…だがこれはいい鍛錬になるネ!」と微妙に喜んでいる。
 一方、相坂はネギの背後に誰かの姿を探している。

「あ、あの。ネギ先生。横島さんは…?」
「横島さん?」

 学園長に特別風紀委員―――通常の風紀委員と異なり広域指導員と同じだけの権限が与えられた横島は、教員と同じく早目の集合が義務付けられている。そろそろ着いていないとおかしい。
 ネギは改めて見渡すが、横島の姿はない。

「実は麻帆良を立つ前に、宮崎さん達と横島さんのテントのある場所に行ったんですが、もう畳まれてまして…」

 さよは手首にはめられた注連縄のような輪を撫でる。
 この輪は、横島がさよに渡した麻帆良の外に出れるようにするためのお守りだった。元は高校時代、愛子が本体である机から離れて歩けるようにとピート達と協力して作ったものだ。地縛霊と妖怪とでは多少勝手は違ったが、もともと一つの存在である愛子と机を引き離すよりはかなり楽だった。

「きっとアルバイト先から直接来るですよ」
「アルバイト…あ、そういえばGSのお仕事が忙しいって言ってましたし」

 思い出すのは昨日の横島だった。月曜の授業が終わった瞬間

「締め切りがぁぁぁっ!」

と、まるで漫画家か物書きの様な事を叫んで教室を飛び出していった。

「横島さん、大丈夫でしょうか?」

 不安そうなさよの様子に、ネギもつられて表情を曇らせる。

「お、おはよぉッス…」

 ネギが携帯で横島に連絡を入れようとした丁度その時、横島の覇気に欠けた声がする。さよとネギは不安の表情を安堵に変えて振り向いた。
 振り向いた先にいた横島は、都内ではまず落ちていないような木の枝に寄りかかりながら歩いてきていた。その様子は、まるでセリヌンティウスの元に駆けつけたメロスといった有様だ(注:全裸にあらず)。
 しかしなけなしの気力も尽きたのか、

 べち

『横島さん!?』

 顔面から地味な痛みを連想させる効果音で接地した横島に、ネギたちは駆け寄った。


「あ〜、疲れた」
「疲れた、じゃない!修学旅行の前日に倒れるまでアルバイトをする奴があるかね!」
「ま、まあまあ…新田先生。横島さんにも都合があるんですし…」

 五月から買った肉まんを頬張り一息ついた横島を新田が叱り、それをネギがとりなしていた。
 横島の倒れた原因は過労と空腹だった。
 放課のチャイムと同時に学校を飛び出した横島は、封印文珠《衣》で戦闘服に着替え、同時にマントに《翼》の文珠を使用。そして朝日が昇るその時まで、首都圏を文字通り飛び回りながら除霊をしていったのだ。

「とにかく!修学旅行も学習の一部であるのだから、浮ついた気持ちではいかん!分かったかね!」
「はい」
「はい…」

 新田の説教に横島と、いつの間にか一緒に叱られていたネギは殊勝な態度で返事を返す。当の横島は割りと平然としていたが、代わりにネギは落ち込んでいた。ここは叱られなれた問題児と叱られたことがあまりない優等生の違いという奴だろう。
 新田が受け持ちのクラスの方に歩いていくのを見ながら、横島はネギの肩を叩く。

「ま、気にすんなよ、ネギ」
「横島さんも少しは気にしてください!」

 そして横島の後頭部を、叱られるネギを見ていて涙していたあやかが叩く。
 横島が前につんのめたところで、しずなの声が改札前に響く。

「それでは京都行き、3A、3D、3H、3J、3Sの皆さん。各クラスは班ごとに点呼を取ってからホームに向かいましょう」
「お、乗り込みか…。ネギ、仕事だぞ。がんばれよ」
「は、はい!」

 汚名返上とばかりに、ネギは張り切って返事をした。


 普段から騒がしいことで有名な3Aだったが、今日はよりいっそう騒がしかった。


「ネギ君、横島さん!一昨日の誕生会、楽しかったね!」
「えー!先生達と遊んだですかー?」
「ずるーい!忠っち、何で僕達にも連絡してくれないのさー!」
「この双子と一緒だとうるさそー」
「いいじゃん、楽しくて」
「イギリスにも肉まん、広げてやるネ!」
「ネギ坊主、引率大変アルね。これ食うとよろしアルよ。横島もどうアルか?力出るネv」
「あいあい」
「ど、どこでも肉まん売ってるのね…」
「春日さんも食べますか〜?」
――360円です――
「グリーン車を借り切ってありますので、そちらでゆるりとおくつろぎを…。私もふたりっきりでお供いたしますわv」
「またあやかったら……v」
「はいはーい、いいんちょ、昼間っから犯罪行為には走らないようにねー」
「わ、もう撮ってる」
(ふん、馬鹿共が。新幹線程度で何が楽しいんだか…)
「乗る前から酔うなんて…弱いんだから」
「大丈夫なのか?」
「ちゃうねん…、肉まん美味しくて食べすぎ…ううっ」
「お水買っとく?」
「ネギ君!自由行動日、私たちと一緒に遊びに行かない!?」


 人の流れに区切りがついて、生徒達のテンションに圧倒されていたネギは、ネクタイを緩める。

「ひゃー、本当に騒がしいクラスだなぁ。これは引率だけでも大変そうだ」
「(ネ、ネギ先生のU・NA・ZIが……!ジュルリ)ネギ先生!お疲れでしたら貸しきったグリーン車に設置したベッドへ!私もご一緒させていただきまげぇぅっ」
「コラ、いいんちょ。朝倉にも犯罪行為はやめろって言われたろうが」

ネギを拉致ろうとしたあやかを、横島が奥襟を掴んで止める。自分も知らない間に貞操の危機から脱したネギは、今までに点呼の報告を受けた班を数える。今まで点呼を取ったのは四班まで。後は五班と六班。五班の班長は…

「ネギ。ウチの班は全員揃ってるわよ」
「あ、はい、アスナさん。班長ご苦労様です」

 アスナに応えながら、ネギはアスナと木乃香たち図書館探検部の面々を確認する。比較的に静かな班の登場に、ネギもほっと一息をつく。

「そっちこそご苦労様。ちゃんとご飯食べれた?」
「はい!おにぎりありがとうございます。とても美味しかったです」
「ほかほか。良かったーv」
「む、やはり木乃香さん。あなた…」
「?なんや、いいんちょ?」
「って、何でいいんちょと横島さんがネギと一緒にいるのよ?」

 アスナの疑問に、あやかは胸を張る。

「もちろん、クラス委員として先生をお助けするのは当然ですわ」
「え、あ、な、なんとなく、だな…」

 堂々と言い放ったあやかに対して、横島の返事は歯切れの悪いものだった。
 アスナはその様子に首をかしげ―――

「すみません。通してください」
「え?あ、ごめんなさい。桜咲さん」

 後ろからかけられた声に、自分が通路を塞いでいることに気付いて慌てて避ける。
 その動きでアスナは、横島の顔が僅かに強張ったことを見逃した。


 横島がネギの隣にいた理由。それはこの桜咲刹那だった。
 二人の関係は、あのエヴァ戦の時で一見うやむやになったようにも見えたが…

(そんな訳ないんだよなぁ)

「ネギ先生」
「あ、15番の桜咲刹那さん」
「六班は、そこの―――」

 そこまで言って刹那が横島を向き、偶然にも目が会った。
 横島はあわてて視線を逸らす。その時、刹那の瞳には何らかの感情の揺らぎが生じ、しかしすぐに消える。

「―――そこの横島さんを含めて全員揃いました」
「え?あ、はい。ご苦労様です」

 刹那と横島との間に流れたやり取りはほぼ一瞬だったが、それによる中断は、会話をしているネギにとっては小さくない違和感だった。しかし、それの意味するところまでは測りかねる。
 刹那はネギに会釈をして去ろうとして、

「あの、せっちゃん?」
「あ…」

 木乃香の声掛けに、刹那は明らかな反応を示した。

「あのな…その、京都、懐かしいなぁ」

 普段とは違う、どこかぎこちない木乃香の笑顔と言葉。それを受け、刹那の瞳に横島と目が合った時と同様の、しかし遥かに大きな揺らぎが去来し―――だがやはりそれだけだった。

「…そうですね。失礼します」
「あ…」

 会釈に短い言葉を添えただけで、刹那は通り過ぎていった。木乃香が零しかけた声は言葉を結ぶことなく宙に消え、刹那が振り返ることもなく、割り当てられた席に座ってしまった。

「…なによ。感じ悪いなー」
「そ、そんなことあらへんて。きっとタイミングとかが悪かったんよ」
「木乃香…」

 アスナの尖らせた唇から漏れたぼやきを聞いた木乃香は、笑顔を作って言う。アスナにはその笑顔がいつもと同じようで、しかし明らかに無理が感じられた。その判りやすい作り笑いに、普段の天真爛漫な笑顔を一番近くで見続けていたアスナは、何も言えなくなる。
 最近、木乃香は折を見て刹那に声をかけているが、しかし刹那は失礼にぎりぎり当たらない程度に、それを交わし続けている。その度に作られる木乃香の作り笑いは、見ているアスナをも沈んだ気持ちにさせる。
 それはネギや、そして横島にしてみても同じだった。

(く、空気が重いなぁ…)

 胸中で呟く横島。ある意味本人達より事情に通じている身としては何とかしてやりたい。だが、刹那と自分の間の障壁すら払えないのに他人の、それも多感な年頃の少女達の仲を取り持つなど、本質二十歳の男である横島には、残念ながら不可能だ。

(ならばせめてギャグでもかましてこの暗い雰囲気を駆逐しなくては!)

 そう判断した横島は、いくつかのネタを脳内に展開し

「往来で溜まるな」
「のあぉっ、へぶ!」

 だが横島が何かをする前に、横島の背中を強く押したものがいた。
 巧みに重心を捉えたその外力に負けた横島は、うつ伏せに倒れ

「って、一体誰ごぅ?」

 続いて上げようとした誰何の声は、何の遠慮もなく背中に乗せられた重量―――おそらく足によって踏み潰される。

「え、エヴァンジェリンさん?」
「だらだらするな。もうじき発車だぞ」
「はうあっ!だ、大丈夫ですか横島さん!?」

 横島の上に立っているのはエヴァンジェリンだった。背後には茶々丸が立ち、その隣のさよは踏み潰された横島に声をかけている。
 気遣わしげなさよとは対照的に、踏んでいる当人は面白くなさそうに足元を見て

「…小娘一人相手にだらしない奴め」
「な、どういうぎゃぴっ!?」
「フン!」

 横島の疑問を最後まで言わせることをせず、まるで踏みにじるかのようにエヴァは横島を踏み越えていった。

「よ、横島さん!?」
「ちょ、ちょっとエヴァンジェリン!?」
「横島さん。マスターがすみません」
「横島さん!幽霊にもならずに死んじゃだめですよ!?」
「いや、死なないから…(っていうか、ひょっとして気を利かせてくれたのかな?)」

 まるで美神に踏まれた時のような、熟練者の技量を背中の足跡に感じながら、横島はそう思うことにした。


 ぱちり、という心地よい音は碁盤に石が指された音。

「静かじゃのう」
「そうじゃな…、お、おうぅ、マリア、そこじゃそこ…」
「イエス・ドクターカオス」

 橘中の仙としゃれ込んでいるのは、学園長とドクターカオスだった。そのカオスの肩をマリアが揉んでいる。

「マリアよ。ネギ君たちは今頃、どの辺かのう?」
「イエス・学園長先生。現在・横島さん達が乗った・新幹線・ひかり・213号で・東京駅を・通過しました」
「まあ、流石にあのトラブルの星の下に生まれたような小僧…いや『小娘』でも、問題は引き寄せておらんようじゃな」
「たった一学年いないだけでこうも静かになるとは思わんかったわい」
「それだけ、あの学年が騒がしかったということじゃろ。特にお前の孫がいるあのクラスとかは…」
「フォッフォッフォ、確かに3Aは特殊じゃからなぁ」
「ふっ、特殊になるように仕組んだ当人が…。だが、なぜ親書を?」
「物はついでという奴じゃよ…ほれ」
「ついでにしてはリスクが大きすぎやせんか?…そこ、あたりじゃ」
「むむぅ…」

 考え込みの唸りを上げるだけで、学園長はカオスの問いには答えない。

「まあ、ワシには関係ないがのう…。ほれ、どうした?待ったはなしじゃぞ」
「冷たいのう。もっと粘って訊いてくれてもいいのに…。本当に待ったなしかのう?」
「本当だ」
「なら…ていv」

 学園長は碁盤の端、白と黒が隣接し黒が端に追いやられているところの境界に一手置く。その手に、カオスは首をひねる。

「近衛、どういうつもりじゃ?ここは既に二目出来ているから生きて…」
「ドクター・カオス。残念ながら・そこは・欠け目です」


||十十○○○十十十
|○○○●●●○○十   白先手学園長
|○●●◎十●●○十  黒後手Dr.カオス
|●●――●―●○― 白4十八(注:◎のところ)
_________


「ほ?……あああああっ!ま、待った!」
「フォッフォッフォ、待ったなしじゃよv」

 囲碁の知識がなければ、読んでも何を言っているのか全く分からない会話をしながら、二人の老人は言い争いを続ける。

「ええいっ!一手くらい待ってくれてもいいじゃないか!」
「やーじゃよv」

 ネギ達のいない麻帆良に、ど下手な囲碁の行方をめぐって、響くジジイ二人の喚き声。それを聴覚センサーからシャットダウンしながら、マリアは今日の子猫の餌はどの缶詰にしようかと考えていた。


 一方。
集合から既に高かった生徒達のテンションは、新幹線が東京駅を過ぎて速度に乗ってきた頃には、突き抜けていた。

「以上!横島忠緒がエルビスプレスリーのジョニー・B・グッドを歌いました。それでは続いて!相坂さよ!歌います!つことでさよちゃんどうぞ!」
「ええっ!?き、聞いてないですよ朝倉さぁん!」
「ひゅーひゅーvさよちゃ〜ん!」
「がんばれですー」

 朝倉に押し付けられたマイクに戸惑いながらも、歓声に押されてさよは歌い始める。ちなみにカラオケは超の提供だった。それをBGMにあるものは談笑を、またあるものはカードゲームに興じ、思い思いのときを過ごしていた。
 横島もその中の一人だった。一曲歌い終えた横島は五月から肉まんを2つ買う。横島の座席は三列並んでいる右側の座席の通路側。ちなみにすぐ左には茶々丸。さらにその向こう窓際には、アイマスクをしたエヴァが座っている。

「俺も寝ようかなぁ…」

 あくびをしながら席に向かい通路を歩く横島。
 しかし修学旅行で寝てしまうのは、なんとなく負けたような気がする。
 何か面白いものはと目線を彷徨わせ…

「木乃香ちゃん…」

 横島の目は、自分のひとつ前の列、左窓側に座っている木乃香に行く。
 木乃香は夕映やアスナ達の談笑を聞きながら、しかしちらちらと、自分と同じ列の反対側の窓際を見ている。そこに座っているのは刹那だ。刹那は誰と話すこともなく、窓の外を流れる風景を眺めている。

(理解できませんよね、か…)

 刹那に叩きつけられた言葉を、横島は何度も反芻してきた。そして実際、完全に理解は出来ないと思う。自分の周囲には人間以外の存在が溢れ、そしてただそれだけの理由でそれらを嫌う者たちもいない。
 もちろん仕事先で、霊能や人外に対しての差別に出くわすときもあるが、それはあくまで『そういう事もある』という事実認識に過ぎない。
 刹那はハーフ、それもあの歳で仕事――自分の食い扶持を稼いでいるのだ。詳しい身上は知らないが、少なくとも普通の子供より『現実』に対して直接的に接してきたに違いない。
普通なら子供は、親の腕という安全地帯から少しずつ顔を出しながら、時に鋭利に心を刻む危険を孕んだ世界へと歩み出て、前へと進み成長していく。傷つきながらも、しかし致命的な傷を負う前に親に守られ、少しずつ成長して現実の冷たく鋭い部分を踏み越える力を得て、その対面である柔らかくて暖かな部分を得る。
 だがそんな安全地帯もなく、ただ独りで放り出された子供はどうなるか?時に不条理な悪意に焼かれ、時に無情な言葉に凍え、さまざまな現実に深く傷つく。やがてそんな現実を踏破できるような力を得たとしても、そのときに負った傷は深くその子を苛み続ける。
 ましてハーフ―――二種類の血を引きながらその両者とも異なる存在である刹那に、心無い現実はどれほど牙を剥いたことか。そんな現実相手に、幸福という名の柔らかく暖かい部分の存在を、信じられなくても無理はない。

(だからって…何も自分から距離を取らんでもいいのに)

 刹那は木乃香と一緒にいたがっているのは、傍から見て明らかだ。しかしその木乃香という幸せから、刹那は自ら遠ざかっている。
 身分差。魔法の秘匿。それらを刹那は口にしているが、そうではないだろう。
 刹那は木乃香を―――幸せを恐れている。横島にはそう思えてならない。
 何とかしてやりたい。
 勝手な想いかもしれないが、横島がそう強く思っているのは事実だった。
 あらゆる問題を解決できると思うほど、横島は自惚れてはいない。むしろ自己否定的な横島は、自分には無理と判断している。まして現在、刹那との関係は良好とはいえない。第一、この問題と解答は刹那の心の中にあり、横島にどうこうできる話ではない。
 だが、だからといって気にせずにいれるほど、横島は器用な性格をしていないのだ
 一体どうしたものか…。考えるが、何も浮かばない。


「―――座らんのか?」


 唐突にかけられた声にはっとして、思考に沈んでいた横島は声の主を見る。
エヴァだった。アイマスクを額までにあげて、不機嫌そうな顔でこちらを見ている。

「エヴァちゃん。寝たんじゃなかったのか?」
「そのつもりだったがな。騒がしくて寝てられん」
「そりゃそうだな。
あ、さっきは入り口のところでありがとう」

 横島が座りながら言った感謝の言葉に、エヴァはかえって不愉快そうな顔をする。

「アレは単に邪魔だったのと、せっかくの旅の始まりに、下らんことで辛気臭い顔をしているのにムカついたからやったまでだ」
「いや、結構くだらないことでもないんだが…」
「フン、どうせ桜咲刹那の出生についてかその辺りだろう?」
「―――知ってたのか?」

 エヴァの言葉に、横島は自分の声の調子が鋭くなるのを感じた。それを受け、エヴァは嬉しそうな、歯を剥いた笑みを作る。

「ふふっ…クラスの連中に向ける馬鹿面よりも、そっちの表情が魅力的だぞ、横島。
 知っていたのかとは、お前と刹那の間の不和のことか?それなら普段の様子とさっきの状況を見れば一発だ。
 刹那の秘密についても同様。髪を染め、目はカラーコンタクト。そして無意識に漂う人外の気配。それなりの魔法使いや霊能力者―――そうでなくとも勘の鋭い奴なら一般人だって気付くさ。
 さらにお前の性格からすると、無遠慮にその秘密を指摘して、あまつさえ気にするなとか、たいした問題じゃない等と知った口を利いた、という所だろうな。
 ―――あきらめろ」
「…まだ、何も言ってないだろ?」
「言わずとも解る。どうせ『何とかしてやりたい』などというお節介を考えているのだろう?」
「―――正解」

 観念したように言う横島に、エヴァは呆れたような顔をする。

「傲慢な話だな」
「それに自分勝手で独善的で、それこそ『問題を理解できていない者』の話だってことも、分かってる」
「そこまで解っていて、なぜ?」
「そうだな……半分は大人の責任って奴かな?あとは…」

 横島は少しためらって言葉を区切り、

「あとは、単にそうしたいって思った。ただそれだけだ。深い理由はない」
「本当に傲慢で、自分勝手で、独善的な話だな」

 自分を巻き込まない限り好きにしろと、とエヴァは肩をすくめてから窓の外を眺める。
 その視界の端に、白くて丸い物が入ってきた。
 肉まんだった。

「はい」
「…何のつもりだ横島?」

 肉まんを持つ手にエヴァは問う。横島は買った二つのうち一つを頬張りながら言う。

「ほふはふひほっへふへあほうほう…」
「飲み込んでから喋れ」
「―――んぬぐっ…!だから、お礼だよ。さっきの入り口のことでと、それから今、相談に乗ってくれたことへのな」
「はぁ?何を言っている。
 さっき言ったように、蹴ったのは私の勝手だし、今のことだって私が勝手に――もふっ!」

 エヴァの言葉を遮ったのは、喋っている口に突っ込まれた肉まんだった。
 突っ込んだ横島は、エヴァが反論を思う前に、笑顔を浮かべる。

「それでも、さっき俺が助かったのも、エヴァちゃんに話して気が楽になったのも本当だからさ。
お礼くらいさせろよ」
「……ふん。まあ、あの四葉五月の料理を残すのもなんだしな」

 エヴァは肉まんを食いちぎり、口の中の分は咀嚼し飲み込んで、外に出ていた分は手にとる。
 丁度小腹も減ったことだし―――

「それに120円の肉まんとはいえ、横島が初めて私に献上したものだ。
 ようやく下僕としての自覚も芽生えてきたという証拠だから、ありがたく頂くさ」
「待てい」

 エヴァの口が肉まんに噛り付こうとした直前、横島がエヴァの腕を握って止めた。
 横島は自分に落ち着くように言いながら、ぎりぎり笑顔と呼べなくもない引きつった表情をエヴァに向ける。

「…俺が、いつ、エヴァちゃんの下僕になった」
「前にも言っただろうが。
 この世でお前の主に相応しいのは私以外ありえない、と」
「だからその理論の根拠は何なんだ!?つかなんで誰かが俺の主になるって前提!?」

 叫ぶ横島。エヴァは冷笑交じりに、しかしどこか楽しげに言う。

「うん?踏んでもらって喜んで、あまつさえ礼を言うような変態など下僕以外の何者でもあるまい」
「なっ!ち、違う!そりゃ踏まれたときに思わず『じょ、女王様ぁっ!』って叫びそうになったが…!」
「本格的に異常性癖だな貴様」

 錯乱して叫ぶ横島を、エヴァはボディブロウのような言葉で打ち据え、その反応を楽しむ。こういうのは熱くなってはいけない。楽しむにはあくまで冷静でいなくては。

「だから違う!俺はエヴァちゃんみたいなツルペタ幼女に踏まれても何も感じないんだぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「誰がツルペタ幼女だっ!?」

冷静さは怒りで沸騰蒸発した。

「そのものずばりだろう!あの夜に抱いた時だって腕の感触じゃ胸も背中も解らんかったし!そんな全然楽しくないボディなどツルペタで十分だ!」
「言わせておけば!今夜辺り決着をつけるか!?貴様をひれ伏させ、足腰が立たなくなるまでひいひい言わせてくれる!」
「あ、あのマスター…」
「何だ茶々丸!今この馬鹿に私がご主人様だと体に教え込ませ…!」

 と、言いかけて、エヴァと横島がかなりの大声を上げてしまっていたのに気付いた。
 横島と一緒に、ぎこちない動きで周囲を見渡すと、3Aメンバーのほぼ全てが、こちらに注目していた。
 興奮と、驚愕と、その他もろもろの感情を含んだ視線。それらが降り注ぐと同時に、ひそひそと交わされる会話の断片が、まるで漣のように押し寄せてくる。

「…ふ、踏まれて喜ぶ?」「エヴァンジェリンが、横島さんを…」「……え、SMや…」「レズだって言ってたの本当…」「…本格派…」「あ、足腰が立たなくなるまで…」「あらあら、無理なプレーは体に悪いわよ」「ちづ姉…ひょっとして詳し…」「あ、あの夜、だだ抱いたぁっ!」「っていうか、今、茶々丸さん、エヴァちゃんのことをマスター(ご主人様)って…」「三角関係っ!?」「へ、変人だけじゃなくて変態まで…」「ひ、ひいひい言わせる…?」「あぶぶ…あ、あの空き教室でのことは誤解だったんじゃぁ…」「き、気を付けて史伽!エヴァちゃんをしゃぶり倒したら次は僕達かも…!」「空き教室のことって何アルカ?」「どっちがどっちの役…」「…年上好きって…」「…宗旨替え?」「百合」「ス、スクープだ…!あのエヴァンジェリンと話題の転校生横島の禁断の熱愛…!しかも爛れ気味!」「…倒錯的…」「体に覚えこませるだってv」「ぬはーっvいい感じに乱れてるじゃないっスカ、横島の姐さん!?」「ふっふっふ、いい感じに堕ちてますね、横っち」「あ、あれ?今のって誰?」「ロリ…いや、ペド…」「…横島さん、まさかさよちゃんの体が目的で…!」「ええっ!そ、そんなぁ…私、信じてたのに…あんまりですぅ!あ、けど……」「…しかし本当ならネギ先生は安全…」「応援するよ!」「禁断過ぎるーv」「…ケダモノ…」「ネタだ!今度のイベントでは横エヴァ…!」「不潔」「…まあ、のどかのライバルが減るのは良いことで…」「あわわっ…横島さん」「横島さんが…そういう趣味…ぼ、僕、がんばります!」

 誰が言ったか明らかな台詞から、発言者の分からない断片的な単語まで。ありとあらゆる言葉が押し寄せるが、しかしそれらが意味しているのはただ一つ。
 それは発言者のことごとくが、横島とエヴァが百合であると認識しているということであり―――

『ご、誤解だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!』

 横島とエヴァは、二人揃って抗議の声を上げた。
 それを背にして長い棒のようなものを持った人影が一つ離れていった。


(何をやっているのか、あの人は…)

 人だかりから離れた影―――刹那はデッキの自販機に寄りかかりながら、自動ドアのガラス越しに3Aの生徒達――そしてその中心で喚いている横島を見ていた。
 カオスとなった車内では、エヴァと横島は必死に誤解(一応刹那は横島が男だとは知っているので、レズではないと理解している。ただし横島はレズというところではなく相手が幼女というところを否定したいのだが)を解こうとしているが、その口から漏れる釈明は、一つの誤解を解く前に十の誤解を生むようで――

「あっ…見事な。合気の技か?」

 刹那が評したのはエヴァが横島の顔面に放った一撃だった。横島の説明下手に業を煮やしたエヴァが、それとも単に失言をかましたのか。いずれにしても少し黙れと放ったものらしい。横島は宙を縦回転して床に叩きつけられる。横島が再起動を果たす前にエヴァは誤解を解こうと説明を始め――

 割れんばかりの大歓声。

 横島を見舞った惨状を目の当たりにして冷めかかった群集の興奮が息を吹き返す。エヴァは目を白黒させ、しかし次の瞬間には赤くなっていた。誤解を解くどころか、どうやら誤爆で自爆をしたらしい。
 さらに横島が飛び起き何かを叫び、その内容に沸き立つクラスメート達。

「コラァ!いい加減にしたまえ!」

 その悪循環を止めたのは新田だった。刹那が出てきたとは反対側の扉から3Aの生徒がいる車両に入ってきた新田は、扉越しにでもはっきり聞こえるような一喝を放ち、渋がる生徒達を席に戻らせ、それからネギと何故か横島を捕まえて説教を始める。

「…所詮は子供、か」

 うな垂れながら新田の小言を聞くネギを見て、刹那は失望を感じた。
 好条件が重なったとはいえ、あのエヴァンジェリンと渡り合った少年。しかしそれはあくまで幸運に過ぎなかったのだろう。
 ネギからは戦うのもにとって不可欠なものが欠落している。
 目的のためにその他の事象の行く末も問わず行いを成す冷酷な意思も――
自己が戦う目的が他者のそれより優れているという傲慢なまでの自信も――
 戦士として必要な強さに、ネギは欠けていると刹那には思われた。

(いや、仕方ない。どうせサウザンドマスターの子供として、恵まれた環境で育ってきたのだろう。それほどの強さを得れるわけもない)

 自分の感情が侮りであるとは分かってはいたが、刹那にはそうとしか思えない。
 後で、どうにかしてネギの実力を試してみる必要があるだろう。戦力として数えるにしても足手まといになるにしても、能力は知っておかなくてはならない。

「確実に頼れるのは龍宮か、横島忠緒…」

 刹那は言いながら、自動ドアのガラスから中を覗く。説教から解放されたらしい横島は、さよと一緒にマイクを握って歌っている。その右手は木乃香の腕をつかみ、彼女も前に連れ出して、一緒に歌わせようとしているらしい。

 ――ズキッ

 木乃香の困惑した、しかし明らかに楽しげな笑顔を見て、刹那は胸の奥に鈍く深い痛みを得る。

(今までは…こんなことはなかった…)

 それは半分嘘だった。木乃香の笑顔を見るたびに、刹那は暖かな幸福感と、そして僅かな胸の痛みを覚えていた。それは、木乃香の笑顔が彼女の隣に立つ人――アスナや図書館探検部―――木乃香の友人達に向けられる時に顕著になる。
 春の日差しのような柔らかい微笑が、自分に向けられていないということを、思い知らされる。
 以前はそれでも十分だった。日陰からその笑顔を守ることができる。それだけで十分なはずだった。
 だが…

「だが…なぜ、彼女はお嬢様の隣にいることを許される?」

 刹那の目は木乃香の隣でマイクを握る幽霊の少女―――相坂さよに向けられている。
 白い髪と赤い瞳。
里にいた頃は差別の理由となり、里を出てからも、いつばれてしまうかと不安に思いながら隠してきた身体的な特徴。それと同じものを持っていながら、なぜ彼女は木乃香の隣に立てて、私は扉越しのここに立つことしか出来ないのか?
 考えれば考えるほど、刹那は分からなくなる。
 身分の差故に距離を置く―――否。そのようなもの、木乃香自身はもとより、彼女の家族や友人も気にしないだろう。
 魔法がばれないように近付かない―――否。魔法使いだらけの麻帆良、しかもネギが同居している今となっては、刹那一人が近づくかどうかなど大した問題ではない。

「では、どうして私は…」

分かっている、本当は分かっているのだ。ただつい二週間前まで、意識の外に放置していただけ。

 恐怖。それが、刹那が木乃香を避ける理由だ。

 二週間前、横島に正体を見破られ、そのことを思い出してしまった。
 横島に正体を言い当てられた翌日、龍宮に的外れなことを言われるまで、己を苛み続けたもの。自分は『それ』から逃げ切ることも、『それ』を克服することも出来ず、ただ忘れて目を逸らしていただけだと、思い知った。
 恐怖こそが、刹那の行動原理の根本にあるものだ。

 自分が忌み子であるということで、里にいた頃から受け続けた差別を根として、裏で生きてきた経験を枝葉として、彼女の心に巨大な恐怖が巣くっている。
 おしゃべりが苦手なのもそれが理由だ。自分の発言の一つ一つにどのような言葉が返ってくるか。かけた言葉に相手が返事をするまでのコンマ数秒。その間の緊張感が心を疲弊させる。
 人と向き合うのが怖い。人に拒絶されるのが怖い。その人物が自分を害せるだけの戦力を持っているかどうかではない。ただ、怖いのだ。
 それがまして、親しい相手ならなおさらだ。だから、刹那にとって最も大切な存在である木乃香は、同時に最大の恐怖にもなる。

 嫌わないで。傷つけないで。それが無理なら近づかないで。

 深く刻まれた経験に基づいて心が叫ぶ。
 魔法を秘密にしておかなくてはならないことや、身分の差など言い訳だ。
 嫌われるに決まってる。傷つけられるに決まってる。だから近づかない。
それだけだ。そしてそれで良かったはずだ。それが正しかったはずだ。
 だが、本当に何の前触れもなく、その思考をぶち抜く存在がやってきた。

―――刹那ちゃんがどんな生まれでも、少なくとも俺は絶対気にしないぜ。木之香ちゃん達も、きっとそうだ―――

 ありきたりな、まるで分かっていない言葉。かつて望み、幾度か信じ、しかし結局は同じだけ裏切られた言葉。
 横島と同じようなことを言った相手は何人かいた。そして、それを信じて己の正体を明かしたことも幾度かあった。だが、誰もその言葉を守った者はいない。
 横島もきっとそうだ、そうに違いない。そう思っていた。
 だが、横島は違った。

 幽霊の、自分と同じ色素の抜け落ちた髪と瞳の少女と友達になり親身に接する。
人を糧として生きる吸血鬼の隣で平然と居眠りをする。

 どんな生まれでも気にしない。その言葉がまるで本当であるかのように。

(もしも…もしもその言葉が本当なら…)

 ありえない、絶対にありえないと、自分の経験が泣き叫ぶ。しかし刹那の心の、まだ傷を負っていない僅かな部分がその仮定を思い続ける。

 もしも横島の言葉が真実ならば、木乃香が自分の全てを受け止めてくれるというのも本当なのかもしれない。

 下を向いていた視線を水平に戻すと、ドアのガラスから木乃香たちの後姿が見える。
刹那にはそれが彼岸と此岸との距離に見えた。
だが、それは錯覚だ。
 本当は僅か数歩で手が届く距離。一歩踏み出し、歩き、手を差し伸べ…


 ぱんっ!


 乾いた音は、刹那が自分の頬を叩いた音だった。

「何を馬鹿なことを…」

 両の手を両の頬から離して、刹那は自嘲する。
 彼岸と此岸の距離。表の世界と裏の世界の間にある距離はそれと等しく、従って自分とお嬢様との間にあるべき距離ともまた等しい。
 お嬢様は光満ちる表の人間であり、自分は裏からそれを支えられればいい。
 どうにかしていた。お嬢様にこちらから声をかけようなど、正気じゃない。ただ私はお嬢様の笑顔をお守りすることが役目で、それさえ出来ればいい。
 胸の痛みも幻痛ならば、感じた想いも幻想だ。

「それでいい…」

 確認するように呟いた刹那は、思わず思い切り叩いてしまった自分の頬がどうなっているかと、トイレの鏡ででも確認しようとして―――


『きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!』


 悲鳴は、その時あがった。


 横島が悲鳴を聞いたのは、横島とさよ、そして木乃香が三人で歌った曲が終わってからだ。その歌詞の中にあった『刺激たっぷりの穴』とは一体何なのか、さよとネギが横島に尋ねてきた、丁度その時だった。

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!カ、カエルぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ!?」

 初めに悲鳴を上げたのは、カードゲームに興じていた面々だった。開けたお菓子の箱から大きいカエルが飛び出してきたらしい。
 それだけなら横島にとってしてみれば、答えは分かれど口に出しにくい質問に答えずに済んでよかった、ということになるのだが、残念ならが事態はそれだけに留まらなかった。

「きゃひぃーーーーーっ!」
「ど、どうし…カエルーーーー!?」
「わああぁぁあああぁ〜〜〜〜っ!」

 最初の悲鳴が引き鉄だったかのように、あらゆるところからかえるが現れる。お菓子の箱、弁当、水筒、カバン。果ては制服のポケットからまで。溢れ出すカエルに、クラスの大半は戸惑い悲鳴を上げ、中には気絶する者までいる。

「な、何じゃこりゃ?」

 横島はその状況を呆然と見渡す。小学生の頃、女子の机にカエルを入れる悪戯をしたことがあるが―――

「悪戯…そうか!」

 横島は神経を集中、霊的知覚で走査するのは、最近覚えた霊力とは異なる独特の感触。魔法の気配。

(……見つけた)

 横島は振り向く。
 乗客席からデッキへ繋がる自動ドア。そこから刹那が駆け込むのと入れ違いに、ゆっくりと出て行く車内販売員の女性。彼女はそのまま、まるで背後の混乱など知らないかのように扉を抜け

にやり

 扉が閉まる直前に振り返り、美貌といっても差し支えのない顔に、まるで勝ち誇るような蔑むような笑みを浮かべる。その視線の方向は、

「なっ、何なんですか、このカエルの団体さんはーっ」

と、必死にカエルを集めているネギだった。
 追って捕まえてみようか、とも思ったが、

「よ、横島さんも手伝ってください!」
「ん?おお!分かった」

 しかし背後から掛けられたネギに、駆け出しの動作を止められる。

(まあ…、例えあの姉ちゃんが犯人だとしても、どうしようもないしな)

 新幹線は密室だ。魔法を秘匿しなくてはならない以上、人前で魔法がらみのことで争いを起こすことはできない。それに妨害工作といっても所詮はカエルだ。捕まえたところでどうしようもないし、この程度で争いを起こして和平に問題が生じたら困る。

(きっと妨害というより様子見ってところだな。
敵がいるって分かっただけでも良しとするか。例えセコイ相手でもな)

 横島はそう思いながら、カエルを捕まえネギから渡されたビニール袋に詰め込み始めた。


(魔術…、西の妨害…いや、こちらの力を測っているのか…。いずれにしても、探し出してことを構えるのは、今の状況では得策ではないな)

 一方、横島が見つけた犯人と入れ違いになった刹那も、犯人は見つけられないものの横島と同じような結論に達する。それから自分もカエルを捕まるのを手伝おうかとも思ったが…

(いや…これはネギ先生の実力を測るいい機会かもしれない)

 刹那はきびすを返して乗客席からデッキへと出る。そして懐から一枚の紙を取り出した。

「オン!」

 魔力をこめて唱え、その紙を宙に放る。
 紙は重力に従い舞い降りて行き、しかし地面につく前に命を得て、自らの力で速度と揚力を得て宙に昇る。
 刹那はそれを見届けると、新幹線の最後尾に向けて歩き出した。


「カエル108匹、回収終わったアルよ」
「し、しずな先生が失神してるーーーーっ!」
「保健委員は介抱を!いいんちょさんは至急点呼をお願いします!」
「は、はいvネギ先生v」
「保健委員も気絶してるよーーー!」
「では応急処置の知識のある図書館探検部の人たちが保健委員の代わりを!他の応急処置の知識がある人も手伝ってください!」

 ネギはきびきびと指示を飛ばし、カエルが全て捕獲された車内は落ち着きを取り戻し始める。
 その中で、カモはネギの肩に駆け乗って耳打ちをする。

(兄貴!間違いないぜ!関西呪術協会の仕業だ!カタギを巻き込むたあ下衆な!)
(やっぱりそうか!でもどうしてカエルなんだろう)
(うーん…ただのイヤガラセか、それともこの騒ぎに乗じて何かを狙ってるんじゃ…)
(何かって…)

 これはただの修学旅行一行であり特に重要なものは…

「!?親書!」

 その存在を思い出したネギは、あわてて上着のポケットを探る。
 果たして親書は、あった。

「ほっ…よかった、無事だった」
「何だ、びっくりさせるなよ、兄貴」

 親書とそれの入った封筒が入った、さらに大判の茶封筒。それを上着のポケットから取り出してネギとカモは安堵のため息をつく。
 その時こそ最大の隙だった。

 何か小さなものが飛来して―――

 パシッ

 ―――親書をひったくった。

「!?―――あっ、し、親書が!?」

 手元を過ぎ去った影を追って振り向けば、通路を飛び去る魔力を帯びたツバメが一羽。口には親書が入った茶封筒。

(まさかアレは陰陽術のペーパーゴーレム…『式神』!?)

 旅行の前に収集しておいた知識から、ネギはその正体を看破する。

「兄貴!追うぜ!」
「うん!」

 ツバメを追って、ネギは駆け出した。


 アスナの視界をツバメが過ぎ去った。

「何でこんなところに?」

 その疑問に応えることなどありえるはずもなく、ツバメは遠ざかる。
 それを追って今度はもっと大きなものがアスナの隣を通り過ぎる。

「コラーーーーッ!親書を返したくださぁぁぁぁぁい!」
「ネギ!?」

 声をかけるアスナだが、ネギもツバメと同じように応えることなく遠ざかっていく。

「……いったい、どうしたのよ?」
「どうしたって、何かあったのか?」
「あ、横島さん」

 声の来た方向を見れば、横島がいた。
気絶したしずなを、別の車両に連れて行った横島は、ネギが出て行ったのとは、反対側から戻ってきた。

「ネギがいないようだけど…」
「それがさっき、ツバメを追って走っていったのよ」
「ツバメ?こんな時期に新幹線で?」
「う、うん…そう言われると…」

 自信なく語尾が濁るアスナ。そこに、すみませんと前置きをしてあやかが割って入ってくる。

「横島さん。六班の班長の桜咲さんはどちらに?姿が見えないのですが…」
「へ?刹那ちゃん?」

 横島は周囲を見渡すが、しかし刹那の姿はどこにもなかった。


「ふぅ…やはりこの程度のものか…」

 列車の最後尾で、刹那は失望を孕んだため息を吐く。
 待機させた式神に、隙あらば新書を奪って自分がいる列車の最後尾にまで持ってこさせる。それを阻止できるかどうかを見ようと思ったのだが

(あの一両でここに届く…)

 無様だ。
 ネギはあっさりと親書を奪われ、追いつくことも出来ていない。

(やはり足手まといか)

 この分では先が思いやられる。
 刹那は夕凪の鯉口を切る。
 いくら実力を知るためとはいえ、親書を奪ったのは事実。それが遺恨となっては後々面倒だ。だからここは式神を切り捨て、自分が親書を取り戻したという筋書きで恩の一つでも売っておこう。
自作自演。あまり好きにはなれない曲がった方法だが、京都でフォローしなくてはならない時、恩を売って優位に立っておく方が何かとやりやすい。

 やがて最後の扉を抜けて、式神がこちらの視界に入った。
 刹那は軽く一歩前に出て…その前に力ある言葉が届く。

「召還(エウオケム・テー)火蜥蜴(サラマンドラ)!」

 言葉が到達した瞬間、ツバメが咥えていた封筒に火が灯った。

「!?馬鹿な!親書ごと…!」

 驚く刹那の目の前で、生じた赤い色は音を立てて燃え上がる。ツバメは封筒を放して逃げようとするが

 ぱくん!

 しかし、燃え上がった炎から頭が伸びた。伸びた頭はトカゲのものだった。
 火蜥蜴だ。
 つぶらな瞳をしながら、しかし強力な顎でツバメを捕らえる。ツバメは紙に戻り火蜥蜴の炎の糧になる。やがて、茶封筒も式神も全て炎で出来た蜥蜴の中に飲み込まれる。
 全てを喰らったトカゲは床に落ちると、突然のことに驚く刹那に背を向けて走り出す。
 意外と早い動きを見て、気を取り直した刹那は捕獲するために踏み出そうとする。だがその前に、トカゲの正面から緑色の影が飛びかかった。

「捕まえたぁぁぁぁっ!」

 緑の正体はネギのスーツだった。ネギは全力で身を投げて、抱き閉めるように火蜥蜴を捕まえ、そのまま勢いを殺さず前転。二周ほど回転してから停止。それは刹那の二歩ほど前の足元だった。

「ま、間にあったぁ…」
「保険をかけといてよかったっすね、兄貴」
「うん」

 ネギはカモに答えながら火蜥蜴の頭をなでる。炎で出来ているはずのそれは、しかしネギに火傷を負わすことなく、大人しくしている。

「もういいよ、ありがとう」

 ネギがそう言って撫でると、火蜥蜴はぴぃと一鳴きして消える。
 その後に残ったのは、傷一つない親書の封筒――茶封筒の中に入っていた、麻帆良の校章で封された白い封筒だった。

(そういうことか)

 刹那はそのからくりを知った。おそらくあの茶封筒の内側には契約書になっていた。その契約内容は、何かをトリガーにして発動し、親書を守るとかいう内容に違いない。

「しかし、肝心の術者はどこにいるんスかね、兄貴」
「うん。多分この先に…

 ……あ゛」

 ネギは顔を上げて、そこでようやく刹那とネギの目が合った。
 ネギの顔からは血の気が引く。
 最悪だ。魔法を使って火蜥蜴を呼び出し、挙句の果てにカモが喋る所を目撃された。
 魔法使いとばれてしまう…!

「いや、あの!こ、これはCGっていうかなんていうか…!あ、か、カモ君はその!ふ、腹話術っていうか日本語吹き替え版になっていたり…!」

 目を白黒させて言い訳をするネギ。その手から親書が落ちるのにも気付かない。
 刹那はその様子を眺めていたが、ふと目を逸らしてしゃがみ、封筒を拾う。

「アノ、これ…落としましたよ」
「えっ、はい。あ、ありがとうございます…」

 何も聞いてこない刹那の態度に、肩透かしを食らったネギは言葉少なく親書を受け取る。
 刹那はその横を通り過ぎ、途中で振り返る。

「気をつけた方がいいですね、先生。
―――特に…向こうについてからはね」

 それでは、と刹那は3Aの車両へと去っていった。

(まだ、判断は保留といったところだな)

 なかなかやるものだと、刹那はネギの評価を少し改めた。


 立ち去る刹那を半ば呆然と、しかしぺこりと頭を下げながらネギは見送る。

「あ、どうも、ご親切に…」
「オ、オイオイ兄貴!何が「どうも」だよ!
あの女、メッチャ怪しいじゃねぇーか!」

カモは耳元に座って突っ込んだ。

「えっ、どういうこと!?」
「兄貴も言ってたじゃねぇか。あの式神を操っていた魔法使いがこの先にいるはずだって。
 しかもあの女、オレっちがしゃべっていたのをモロに見てたくせに動揺したそぶりもみせねぇ!」
「えっ…じゃあ!」
「そうだ!奴は西からのスパイかも知れねえぜ!」
「えええっ!」

 ネギは再び刹那の後姿を見る。凛とした佇まいの背中は黙して何も語らない。

「そんな…」

 刹那と木乃香が幼馴染だという話は、アスナや横島から聞いている。
 だが、現在の状況から見れば明らかに刹那は怪しくて―――

「どうしよう…」

 エヴァンジェリンに引き続いて、またクラスの生徒が敵に。
 新任教師ネギは、期待に満ちていた旅路の先に、暗雲が立ち込め始めたのを感じていた。


つづく


 あとがき
 実は風邪をひいていた詞連です。どうも調子が悪いと思っていたら八度五分。久しぶりにひいた風邪でした。昔は何度か40度台の熱を出したものですが…。丈夫になったなぁ、私。
 さて、始まりました修学旅行編。別名刹那と木乃香編。刹那の心理描写が中心となるはずです。なお刹那の心理描写に関して、気に入らなければ私の脳内に飛び交っている電波の悪影響だと思って無視してください。「ウチのせっちゃんはこんなんやあらへん!」などという突っ込みをされてもどうしようもないです。
 それはそうと、あの式神ツバメって本当に千草の仕込みなんでしょうか?千草=売り子さんなら、どうやって親書を受け取るつもりなのか分かりませんし…。ということで刹那がネギに対して心理的優位に立つための自作自演という説をぶちたてました。気に入らなければ私の脳内に飛び交っている妖精さんの暴言と無視してください。「ウチのせっちゃんはそんなことせーへん!」などという突っ込みをされてもどうしようもないです。

 ではレス返しを…。

>ヒアン氏
 水晶の花。好評のようでよかったです。
 毎週ご期待に沿えるようにがんばります。(-O-)>敬礼

>鉄拳28号氏
 今回は本当に誤字が多くてごめんなさい。毎度ありがとうございます。
 今回は少ない…はずです。ああ、けどあるんだろうなぁ、きっとorz。
 どたばた話、私も好きです。ああ、横島は完全に天然ジゴロ…。

>蓮葉零士氏
 え、陰陽術師?…(コミックを確認中)…はっ!ほ、本当だ!
……ええっと…ま、まあ…ごめんなさい。確認不足でした。
 女子生徒の暴走、気に入っていただけて幸いです。
 次回もがんばります。

>わーくん氏
>でも執筆のために他を犠牲になされるのはこちらとしても本意ではないので無理はされないようお願いしますね。(親との関係は大切に!)
 お気遣いありがとうございます。風邪に弱った身に沁みました。
 本人は女の子のつもりはないんですが…気の毒なことです。しかし、やっぱり横島はいい男のつぼは押さえてますよね。プレゼントに手を抜かないところとか、最後の一線では引かないところ。なのにどうして彼女の一人もできないのか?やっぱ煩悩でしょうかね。
 次回もがんばります。

>kurage氏
>禁断症状覚えるSS
 最高のほめ言葉です。ご期待に沿えるようにがんばっていきたいと思います。
 魔法霊能の説明が読みやすかったとのことで、良かったです。

>レンジ氏
>もしも、横島が男の状態だったら、アスナ今頃完全ノックアウトですねー。
 まったくです。煩悩さえなければいい男なのに。もっともその時点で霊力も消失して役立たずになっちゃいますが(笑)

>暇学生氏
 助っ人の登場は予定していますが、やはりメインはネギまメンバーで行こうかと。
 良い意味で期待を裏切れるように、そして無理がない程度に定期更新できるようにがんばります。

>スケベビッチ・オンナスキー氏
女の子もドッカンです。男なら。
今回は本当に誤字が多くてごめんなさい。毎度ありがとうございます。
 今回は結構時間が取れたので誤字は少ないかと。ああ、けどそれでもあるんだろうなぁ…ごめんなさい。
 次回もがんばります。

>D,氏
 イギリスってこの間同性同士の結婚が認められたとか(遠い目)
 咸卦法とは違います。

>ナガツキリ氏

 前半はオリジナル。後半は原作の再構成といった感じです。
 横島はネギを弟のように思ってます。あくまで弟。どこまで行っても弟。
 次回もがんばります。

>龍雅氏
 横島の命は原作でも100円以下の値段が付けられていた気が…。
 もしコレを読んで興味がわきましたら、ぜひともネギま本編もよんでみてください。一見オタク向けの作品のようですが、なかなかどうして面白いです。
 これからもがんばります。

>レン氏
 矛盾が解消できたようでよかったです。
 容量は今回も少し長め。けれどそれでも一話分…。ペースを上げるべきでしょうか?
 次回もがんばります。

>鳴臣氏
 このか嬢は大丈夫です。今回の修学旅行編では刹那と一緒にスポットが当たっていきます。予定では主に後半。
 横島は自分の首を絞めてます。
 では次回もがんばります。

>六彦氏
 キャラが生きていたという評価、ありがとうございます。
 横島は「炉」や「ぺ」へは警戒してますがショッター化にはフリー。気づいたときにはもう遅い?

>TA phoenix氏
 ええ、煩悩さえなければ大樹のDNAが横島を良い男にします、煩悩さえなければ。

>ジェンダーアイデンティティのような違和感までも解消されてしまうのでしょうか
その時はオカマ生徒忠お!に改名しなくては(笑)

>天飛氏
はい、ネギのトラウマの種は順調に育ってますよ…

>舞−エンジェル
 !!!!?ネギ、潜在ヤオイ説だとぉっ!?
 こ、こいつは盲点でした…。
 ………………………………………まぁ、強く生きれ。横島、ネギ。

<ヨシくん氏
 遅レス大いに結構。何ぼでも大歓迎です。
 ネギはすでに泥沼に沈んでます。しかも本人気づいてないし。
 京都編、がんばります。


ふぅ、終了。
 さて、今日はなんとお天道様がいらっしゃる時間帯に更新!
 どうなってるんだ詞連!大丈夫なのか詞連!!
 まあ、シリアス心理描写が多かったので楽だったんですが。
 次回もがばります。では…

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