インデックスに戻る(フレーム有り無し

▽レス始

「狩人の世界に現れし福音者達  第17話(エヴァ+HUNTER×HUNTER)」

ルイス (2006-08-02 23:15)
BACK< >NEXT

 4次試験6日目。レオリオ、クラピカ、レイの3人は246番のポンズを探し回っていた。

「もうすぐ丸6日が過ぎるな。後1日か」

「結局、ヒソカに会ってから3日……誰とも会わなかったな」

「う〜む……一度、スタート地点に戻ってみるか?」

 もしかしたら、もう合格者が出てるかもしれない、と提案するレオリオに、レイが否定した。

「それは……無いわ」

「どういう事だ?」

「プレートを奪われても奪い返す事が出来るのが、4次試験の特徴だからよ」

「そうだ。逆に言えば、6点分のプレートを集めても、今度はそれを期日まで守る必要がある」

 レイの説明にクラピカが付け加える。つまり、この試験において早抜けは無い。合格者は同時に出るものであると説明され、レオリオは「そうか」と納得した。

「だが、行ってみる価値はあるな。後、たった1日……既に6点分のプレートを集めた者なら、少しでもゴール地点に近い場所で様子を見たくなるのが心理。私がそうだからな」

「そうなの?」

 キョトンと首を傾げるレイにクラピカはコケそうになった。

「そういうものなんだ……普通の人間は」

「良し、行ってみよう」

 そうして3人は、スタート地点へ向かう。茂みに隠れ、他に誰かいないか探る。

「どうだ? 誰かいるか?」

「いや……流石にすぐ見つかるような場所にはいないな」

「くそ〜……」

「落ち合う時間と場所を決めて3人バラバラに探した方が効率が良いな」

「4人ならもっと良いでしょ」

 その時、木の上から声がしたので顔を上げると、葉の間からひょっこりとゴンが顔を出した。

「「ゴン!!」」

「やっぱり皆、考える事は一緒だね。上で見てたら他にも何人かこの近くに来てたよ」

 木から降りて、そう言うゴンにレオリオは「マジか!?」と驚く。

「そうか、上から探せば良かったのか」

「無理無理」

「ゴンの視力があって初めて出来る芸当よ」

 野生の獣並の五感を持っているゴンだから、上から人を探す事も出来る、とクラピカとレイがツッコむ。

「ゴン、貴方はもうプレートを?」

 ふとレイに尋ねられ、ゴンは一瞬、表情を歪めたが、「うん」と頷いた。

「くそぉ。じゃあ、俺だけかよ。ゴン、俺たちが探してんのは246番のポンズって女だ。上から見つけた奴らの中に女はいなかったか」

「ううん。レイが初めて」

「くそ、そうか」

 悔しがるレオリオ。そこで、クラピカが現在、考えられる大雑把だが可能性を述べた。

 “狃が無事でプレートも持っている。

 ¬技だがプレートは奪われてしまった。

 H狃は無事ではないがプレートは持っている。

 ぬ技ではなく、プレートももうない。

 という4つの可能性だった。

「の無事でないのに、プレートを持ってるなんて可能性はあるのか?」

「突発的な事故で動けないとか、誰かにやられたがプレートは何処かに隠してあるパターンなどが考えられる」

 もし、プレートを隠して彼女が死んでいたら、もうプレートの探しようが無いと言うクラピカに、レオリオは焦る。

「どんどん、絶望的になって来たぜ」

「……………薬、か」

「え?」

 その時、レイがポツリと呟き、彼女はゴンを見る。

「ポンズは薬を使うタイプなら、ゴンの嗅覚で薬のニオイを追えないかしら?」

「! そうか!」

 レイの閃きに、他の3人の表情が輝く。確かにゴンは、1次試験で遠く離れたレオリオの香水のニオイを辿った実績がある。もし、ポンズの使う薬品に、強いニオイを放つものがあるなら可能性はある。

「どうだ、ゴン?」

「うん、やってみる! その為に来たんだから」

 その言葉にレオリオは首を傾げ、クラピカとレイはゴンを少し不思議そうに見ていた。

 その後、4人はゴンの鼻を頼りに森の中を進む。時間は刻々と過ぎていき、空が赤く染まる。やがて、ゴンは薬品のニオイを見つけ、4人はある洞窟の前までやって来る。

「此処か」

「どうする?」

「勿論、俺が行く。3人は外で待っててくれ」

 そう言い、レオリオはレイから棒を借り、入り口まで歩いていく。棒で壁や地面を突っつき罠が無いかどうかを確認する。

「(罠らしきものはねーな)」

 入り口の安全を確認し、レオリオは一旦、戻って来る。

「中まで入ってみる。俺が良いって言うまで中には入るなよ」

「30分だ。30分経って連絡が無かったら、我々も入るぞ」

「駄目だ!」

 クラピカの意見をレオリオは即座に却下する。

「その時はお前らだけでもスタート地点に戻れ!」

「そうはいかん。同盟を組んだ以上、見捨てる訳にはいかないからな」

 そう言われると、レオリオは眉を顰め、「じゃあ、同盟破棄だ!」と言った。

「協力して貰って勝手な言い分だが、此処からは一人でやる! お前ら、もう戻れ!」

「やだ」

「うむ」

「貴方に拒否権は無い」

「んだと、コラ……!!」

 何気に最後のレイの言葉はキツ過ぎて、レオリオは表情を引き攣らせ怒る。

「俺達が勝手に残ってるんだ!」

「それなら文句は無いだろ?」

 勝手に同盟を破棄するなら、勝手に残る。3人の言い分にレオリオは何も言えず「勝手にしろ」と背を向けた。

「預けるぜ」

 自分の荷物を預け、レオリオはライターに火をつけ洞窟に入って行った。

 やがて夜になり、そろそろ30分経とうとした時……。

「クラピカ! ゴン! レイ! 来るな!! ヘビだ!!」

 洞窟の中からレオリオの叫び声が届いた。3人はハッとなり、洞窟の中へ駆け出す。中に入ると、ランプの明かりが二つ見え、そこへ向かうと、そこには倒れているレオリオ、壁に背を預けている帽子を被った女性と、ターバンを巻いた男性が座っていた。

 そして、レオリオの周りには彼のナイフで切られたヘビの死体がある。

「レオリオ!!」

「バカ……ヤロ……なんで……入って……来やがった」

 レオリオは震えながら3人を睨み付ける。レオリオは全身、ヘビに噛まれており、ゴンがヘビの死体を掴んで確かめる。

「ツチハブの一種だよ! 一匹の毒は、そんなに強くないと思う。でも、噛まれた数が多すぎるっ」

「ゴン!」

 レイが、レオリオの腕を掴んで口で血を吸い出し、吐き出す。ゴンも同じようにレオリオももう片手を使って血を吸い出した。

「とにかく、止血だ! 早く医者に見せないと!」

 このままでは死んでしまう、とゴンとクラピカがレオリオの両肩を支えて立ち上がる。

「やめた方が良いわよ。此処からは出られないわ」

 その時、今まで黙っていた女性――246番ポンズが、口を挟んで来た。

「一度、この洞穴に入ったものが此処から出ようとすると蛇が襲って来る仕掛けよ」

 すると出口に近付こうとした彼らに向かって大量の蛇が押し寄せて来た。

「蛇使いバーボンも罠……咬まれたら最後、彼みたいに動く事さえ出来なくなっていずれ死ぬ」

 大量の蛇の群れを見て、クラピカはターバンを巻いた男性――103番バーボンに向かって叫んだ。

「バーボン! お前の望みはプレートだろう!! プレートなら全て渡す! 今すぐ私達を此処から出せ!!」

「無駄よ。彼はもう…………死んでるから」

「死んでる?」

 ポンズの言葉に、クラピカはピクリとも動かないバーボンを見て眉を顰める。

「罠を張った張本人が死んでしまったというのか? 何故だ!?」

「私がやったわ。方法は企業ヒミツ」

「…………レイ、替わってくれ」

 クラピカはレイにレオリオの事を頼み、バーボンに近付く。そして、彼の死体に手を伸ばすと、突然、大量の蛇が現れ、彼の体に纏わり付いた。それに唖然となるクラピカ。

「彼を調べる事は不可能よ。彼に触れると蛇が一斉に攻撃してくるからね」

 ポンズの説明でバーボンは、蛇に対し、2つの命令を下していた。

 ,海瞭況△両部屋から出ようとする。

 ▲弌璽椒鵑梁里某┐襦

 蛇は、このいずれかの条件を満たすと攻撃してくるようだ。その説明を聞いて、クラピカはバーボンの異様に腫れ上がった手の平を見る。

「毒をもって毒を制す……か」

「!」

「傷口から見て凶器はシビレヤリバチだろう。死因は恐らくアナフィラキシーショック」

 一度、ハチに刺されると人間の体には、そのハチ毒に対する抗体が出来る。抗体を持つ人間が再び、そのハチに刺されるとアレルギー反応を起こす。この反応の激しい状態をアナフィラキシーショックと言い、場合によっては死に至るものである。

 クラピカに推理にポンズは感嘆の息を吐く。

「参ったわ……ご名答よ。彼は私の獲物なの」

 バーボンを尾けて洞窟に入った所を確認し、入り口から催眠ガスを噴射して中に入ると、バーボンは案の定、眠っていた。そして、プレートを奪おうと彼に近付いた途端、蛇が天井から落ちて来たらしい。どうやら入り口からでは、天井の割れ目部分などには届かなかったようだ。

「体に触れる前にビックリして、後ろに飛びのいたから蛇は咬みついて来なかったけど、その時、逆に私の攻撃スイッチが入っちゃったの」

 そう言い、ポンズは帽子を指で弾く。すると、彼女の帽子の中から大量の蜂が出て来た。

「私が悲鳴を上げたり、倒れたりしてショックを受けると、このコ達が近くの人間に襲い掛かるの」

 が、その条件が裏目に出て、ポンズ自身、まさかバーボンが前に刺され、ショック死するとは思わなかったようだ。彼の罠の所為で手当ても出来なかった。が、彼が死んだ事は不可抗力と思ったが、問題は彼が死んでも罠が解除されないのが問題だった。

「もう解除コードを聞き出す事も調べる事も出来ないし、彼のプレートを諦めて外に出る事も出来ない。八方塞よ。私はもう諦めた……審査委員会が助けに来てくれるのを待つわ。知ってる? プレートには発信機が仕込まれてて、こっちの位置は委員会にチェックされてるのよ」

 受験生が期日を過ぎても戻らない場合は委員会が探してくれる。勿論、プレートを失くせばアウトだが。ポンズは諦め口調で言った。

「幸い期日は後一日を切ってるし……今年はもう諦めて助けを待った方が良いわ」

「そうはいかない。レオリオの症状は一刻を争う! すぐに医者に診せる必要がある!」

「それは無理ね。期日が来るまで委員会は一切、動いてくれないわ。期限内のアクシデントは受験生の裁量で処置する事。分かる? プレートを失くした者は見捨てる委員会よ。にべもないわね。そいつが悪いのよ。私は忠告した。それを無視して入り口に近付いた」

 そして叫び、結果、レオリオは大量の蛇に咬まれてしまった。

「祈るしかないわね。救助が来るまで彼の体力が持つようにね」

「(いや、ある! 成功する可能性もかなり高い筈……しかし、もしもアレが無かったら、もう一人、犠牲者が出る!)」

 不安げな表情を浮かべるクラピカ。すると、ゴンが声を上げた。

「クラピカ、レオリオを頼むよ」

 その言葉にクラピカはハッとなり、ゴンを見る。ゴンは力強い笑みを浮かべ、

「あるよ、きっと!!」

 そう言い、彼はバーボンに向かって歩いて行く。

「ちょっとアンタ!! 何する気!? 人の話、聞いてたの!?」

 ポンズがゴンを止めようとするが、彼は立ち止まらずバーボンの体を掴んだ。途端、一斉に蛇が彼に向かって襲い掛かり、咬み付いた。

「な、何てコなの……」

 驚愕し、震えるポンズ。蛇に咬まれながらもゴンはバーボンの服の中を漁る。

「あった!」

 すると、ゴンはバーボンの服の中から注射器と薬を見つけて取り出した。

「クラピカ!」

 ゴンは、それをクラピカに投げ渡すとバタン、と仰向けに倒れ、蛇が離れて行った。

「レイ! ゴンに!」

「ええ」

 レイも注射器を受け取り、クラピカはレオリオに、彼女はゴンに注射する。

「解毒剤を探す為!? 毒蛇の中に!? 持ってるかどうかも分からないのに……」

「持ってる可能性は高かったわね。相手に毒を盛る場合、解毒剤が無いと取引が成立しないもの」

 もっとも、それを知ってて毒蛇の中に突っ込むゴンの神経は疑いたくなってしまう。レイは、ゴンに注射すると立ち上がった。

「……………」

「レイ?」

「何よ?」

 レイは無言でポンズの方へ歩くと、彼女の鳩尾を殴った。

「うっ」

 突然の事で対応出来ず、気を失うポンズ。

「バ、バカ! 彼女が気絶したら蜂が……」

 クラピカの言うようにポンズが気絶した為、彼女の帽子から大量の蜂がレイに向かって襲い掛かって来た。

 が、レイはライターを取り出して火をつける。すると一瞬で炎の柱が立ち、それはまるで炎の剣のようだった。それを振るって蜂を全て焼き尽くす。

 彼女は更に出口に向かって歩き出すと、蛇が群がって来た。すると、小さくなった火に手を添えて、目を閉じる。

「“闇を削る火の支配者【フレア・クエスト】”……“炎蛇【サラマンドラ】”」

 ブン、と腕を振るうと穴を炎が地面、壁、天井を走る。蛇はその炎によって焼き尽くされた。レイは気絶しているポンズを担ぐと、唖然としているゴンとクラピカに向き直る。

「これで出れるわ……行きましょう」

「あ、あぁ……」

「っていうかレイ……最初から出れるならやれば良いのに」

「レオリオの毒と彼女のプレートがあったから……」

 そう言われ、ゴンとクラピカが苦笑いを浮かべ一気に出口目指して駆け出し、彼らは無事に脱出した。


 ボーっと汽笛が鳴り響く。

<ただいまをもちまして第4次試験は終了となります! 受験生の皆さん、速やかにスタート地点へお戻りください! これより1時間を期間猶予時間とさせて頂きます! それまでに戻られない方は全て不合格と見なしますのでご注意ください!>

 委員会の放送が島中に轟き、各受験生が姿を現す。

<尚、スタート地点へ到着した後のプレートの移動は無効です。確認され次第、失格となりますのでご注意ください!>

「やっ。無事に残れたようだね」

 カヲルがスタート地点に戻ると、アスカ、レイ、ゴン、クラピカ、レオリオ、キルアは既に集まっていた。

「アスカ君も6点分、集めたようで何よりだ」

「ん……まぁね」

「アスカ?」

 いつものアスカだったら『この天才のアスカ様ならとう〜ぜんよ!!』とでも言いそうなのに、妙に歯切れが悪いのでレイは首を傾げ、カヲルも目を細める。

 するとハンター委員会の飛行船が彼らを迎えに来た。

 残ったのは、44番ヒソカ、53番ポックル、96番アスカ、97番カヲル、98番レイ、99番キルア、191番ポドロ、294番ハンゾー、301番ギタラクル、403番レオリオ、404番クラピカ、405番ゴンの12名だった。彼らは皆、飛行船に乗り込んで最終試験会場へと飛び立った。


「12人中9人が新人か。ほっほっほ、豊作豊作」

 飛行船の一室でネテロは、最終試験に進む面子について愉快そうに笑った。まさか二桁残るとは他の試験官も思ってなかったようだ。

「たまにあるんですか、こんな事?」

 新人が受かる確率は3年に一人と言われているのに、12人中9人もいるのでブハラが尋ねると、ネテロは「うむ」と頷いた。

「大概、前触れがあってな。10年くらい新人の合格者が一人も出ない時期が続く。そして突然、わっと有望な若者が集まりよる。ワシが会長になってこれで4度目かの〜」

「へ〜」

「会長って年いくつなの?」

「20年くらい前から約100歳と言ってますけど……」

 ボソッとメンチがマーメンに尋ねるが秘書である彼にも分からないようだった。

「ところで最終試験は一体、何をするのでしょう?」

「あ、そうそう。まだ僕らも聞いてないね」

「新人の豊作の年かどうかは、まだ最終試験次第だもんね」

「うむ、それだが……一風変わった決闘をして貰うつもりじゃ」

 ネテロの言葉に、皆が首を傾げる。

「その為の準備として、まず12人とそれぞれ話がしたいのぉ」

「どーゆー事だろ?」

「さぁ? 会長の考えは私にゃサッパリ」

 首を横に振ってマーメンは、答えるのだった。


「ふっ! はっ!」

 誰もいない倉庫でアスカは一人、体術の訓練を行っていた。汗が光り、床には彼女の汗で出来た水溜りがある。

「はぁ、はぁ」

「アスカ……」

「? レイ、何か用?」

 膝を両手で押さえ、息を切らすアスカにふと入り口に立っていたレイが声をかけた。

「大丈夫なの? ………最終試験に体力残さなくて」

「あ〜ら? アンタがアタシの心配してくれんの?」

「…………仲間……だから」

 少し嫌味を言うアスカだったが、レイの真剣な表情の言葉にフッと笑う。

「あのアクアって女さ…………“ヨハネ”のメンバーの一人だった。で、元サキエルだって」

「……………そう」

「あれ? 驚かないの?」

「彼女には……私やカヲルと似た何かを感じていたから……」

「元使徒特有の勘、かしら?」

「そうね……」

 恐らく、約束の日の後、自分達と違い、彼の元へ集った14の魂の一つなのだろう、とレイは薄々、感じていた。それはカヲルも恐らく同じだろう。

「アイツと丸一日以上戦ってさ……能力も本気出して使ったの」

「そう……相手も気の毒ね」

「まぁね。奥歯と腕の骨やったわ……でも……」

 負けちゃった、と笑顔で言うアスカにレイは目を見開く。

「一発当てたからプレートは貰ったし、ヨハネの情報も貰った。でも、結果的にアタシは倒された。本気で能力使ったアタシは、アクアの能力がどんなものかすら分からなかった……」

 真っ暗な天井を見上げ、アスカはギュッと握った拳を震わせながら続ける。

「負けた事が悔しいんじゃない……アイツとの距離が、余りにも遠いって感じて……もっと強くなりたいって思った……今のアタシじゃ、アイツの背中に手を伸ばす事も出来ない」

「………………そう」

「アイツは、いつの間にかこのアタシの手の届かない所に行っちゃったんだって思うとさ……何だか寂しいって言うか……嫌で……だから……」

「アスカ」

 声を震わせ、目を潤ませながらも笑顔を浮かべようとするアスカの頬をレイがソッと触れる。ハッと目を見開くアスカ。目の前には、優しく微笑むレイの顔があった。

「アスカ……私は貴女が嫌い」

 ズルッとアスカはこけそうになる。

「口煩くて、タカビーで、意地っ張りで、プライドが高くて……」

「アンタね……それ言ったらアタシだってそうよ。アンタみたいな根暗で、優等生ぶってて、自虐的で、張り合いの無いアンタが嫌いよ」

「でも……彼を思う気持ちは同じ」

 その言葉にアスカは、顔を真っ赤にするとレイから視線を逸らす。

「今は遠いかもしれない……でも……私もカヲルもいる……3人なら、きっと彼に届く……」

「レイ、アンタ……」

「思いが同じなら私達は……心から信頼し合える……」

 レイの言葉にアスカは、肩を震わせ、唇を噛み締めるとコツン、と額をレイの肩に当てた。

「あんたバカぁ……? 信頼だったら……とっくにしてるわよ……」

「そう……」

「本当……優等生なんだから」

「そっちも……意地っ張りよ……」

 レイもフッと笑い、震えるアスカの体をポンポンと優しく叩いた。

「(やれやれ)」

 そして、その光景を入り口から隠れて見ていたカヲルは肩を竦め、その場から立ち去る。そして、窓の外を見つめる。

「嫌い合いながらも互いを信頼し、認め合い、親友となる……か。人間の心というのは何とも理解し難いね。だが、そこが人間の素晴らしさ……という所かな。僕らも、そういった友情を育みたいね……今度は」

<え〜、これより会長が面談を行います>

 ふと、その時、飛行船内に放送が鳴った。

<番号を呼ばれた方は2階の第1応接室までお越し下さい。受験番号44番の方……44番の方、お越し下さい>

「……面談?」

 余りに突然の事に、カヲルは眉を顰めるのだった。


 後書き
 最後にレイの能力名が発覚。そういえば、レイって火に関係すること言ってたんで、“闇を削る火の支配者【フレア・クエスト】”という技名にしました。


  能力名:“闇を削る火の支配者【フレア・クエスト】”
 効果:ライターやマッチの火を操る能力。
    ライターの火を剣にしたり、火を蛇のように奔らせる“炎蛇【サラマンドラ】”などの技がある。
    他にも火を応用して色々出来る。
 発動条件:火をおこす
 制約・リスク:火種がいる。
        ライターはガスや油が切れると火も消える。マッチの火も水や風で消える。
        雨や水の中では使えない。(某大佐みたいに可燃性ガスなんて無理)


 〜レス返し〜

 meo様
 カヲルの場合、特に発動条件とかありませんし、変化系の能力なら手元から離れれば、威力が落ちるので妥当だと思いました。無論、制約をつければ硬度は格段に上昇します。今後の話の展開で、そうなるかもしれません。


 人種差別万歳様
 私的には影です。敵に対し、敬意を払う姿はかなり良かったです。
 カヲルにとっちゃ、シンジとの思い出ですからね。どんな辛い事でも良い思い出になってしまう都合の良い頭してるんです。カヲルですからね。


 拓也様
 制約が無い、という事は今後、付ける事が可能という事です。カヲルは更にレベルUP出来るでしょう。あ、シンジハーレムはありません。女だらけのテロリストなんて……や、ある意味、凄いですけどね。


 なまけもの様
 はい、天空闘技場の奴と同じと思ってくれて結構です。
 壁をどこにでも作れる、というのは強みですね。敵の進路を塞いだり、“隠”で見えなくすれば効果が更に上がります。サンダルフォンの能力は別に考えてます。まず、レイと被る事はありません。
 ミストは影、と思ってくれて結構です。シンジに忠誠心高いかどうかは、これから先のお楽しみ、という事で。


 エセマスク様
 今回の話でも分かるように、カヲルは3人の中じゃ見守るタイプですから、サポートが多いです。私も7千回もチャンスあって、何でやらない? ってツッコみました。
 後、ヒソカですが、ぶっちゃけ彼、“黙示録”の首領のこと知りません。でも会って能力知れば、戦いたがるでしょう彼なら。


 髑髏の甲冑様
 バレッテーゼフレアというか、烈火の炎の円と崩を合わせた能力というか……それもアリですね。バレッテーゼフレアは爆発ですしね〜。
 パピヨンとカヲルも重度のMです。でも時と場合によっては、ドSにもなります。何しろ2人とも変態入ってますしね〜。
 被害で言えば、大小の都市を含めれば150〜200以上が大災害にあったような被害にあってます。被害者は、軽く100万越えてます。
 あ、すんません。アクアって既にオリジナル的なキャラが出てるので、ミサトとかは出来ないです。最初は、その案も考えましたけど。でも、出せるものなら別の役割で出してみましょうかね。黙示録とは別の組織、とか。


 久我様
 レイの能力名発覚しましたよ。
 刺青の發錬韻任后ただ、これはトップを意味するのであって、アダムと同じ位置って意味は無いです。黙示録は最大15人で、ナンバーは16(2が欠番)までなので、17,18は作る意味ないです。


 ショッカーの手下様
 あ、その辺は意識して書きました。生と死は等価値ってのは、今のカヲルでも変わりません。ゴンに運ばれず、彼女の能力で全部焼き払いました。動物や虫は火に弱いです。

BACK< >NEXT

△記事頭

▲記事頭

yVoC[UNLIMIT1~] ECir|C Yahoo yV LINEf[^[z500~`I


z[y[W NWbgJ[h COiq O~yz COsI COze