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「狩人の世界に現れし福音者達  第16話(エヴァ+HUNTER×HUNTER)」

ルイス (2006-08-01 22:53)
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「くくく………あの3人か……面白い」

 クラピカ、レオリオ、レイの3人を見つけたヒソカは笑みを浮かべ、彼らの元へ向かう。

「まさかレイ達が狙われるとはね〜」

 ヒソカに気付かれぬよう追いかけるゴンとカヲル。

「どうする?」

「…………作戦通り、ヒソカが攻撃を仕掛けたらプレートを……」

 奪う、と言いかけた所でゴンは口を閉じた。そして、ブンブンと首を横に振ると、言い直した。

「もし戦いになったら作戦変更だ」

 その言葉にカヲルはフッと笑みを浮かべた。


「「!!」」

「…………」

「や」

 突如、目の前に現れたヒソカにクラピカとレオリオは驚愕し、レイは目を細める。

「「(ヒソカ!!)」」

「何の用?」

 少し恐怖する2人とは別に、レイは一歩前に出て尋ねる。

「実は2点分のプレートが欲しいんだ。君達のプレートをくれないか?」

「何だと? ふざけるんじゃねーぜ、誰が……」

「レオリオ!」

 レオリオがヒソカの要求を突っぱねようとしたが、クラピカが止める。そして、クラピカはヒソカに質問した。

「今、2点分と言ったな? つまり我々はお前の獲物ではないという事だな?」

 プレートは1点か3点にしかならない。2点分のプレートを探しているという事は、ヒソカは獲物を探している訳ではない。

「質問しているのは僕だ。プレートをくれるのか? くれないのか?」

「条件次第だ」

 クラピカの言葉に、レオリオとレイは彼の方を見る。その様子を、ゴンとカヲルは離れた木の陰から見ていた。

「我々は今、6枚のプレートを所持している。私のプレート、レイのプレート、私の獲物から奪ったプレート、レイの獲物から奪ったプレート、そして、もう1枚は我々にとって1点にしかならないプレート、最後にレオリオのプレート。この中で、お前の獲物ナンバーの可能性があるのは3枚だけ。私とレイのプレートか、我々には1点にしかならない番号のプレート」

 レオリオのナンバーは404番。それを16番のトンパが狙っていた。そしてトンパの獲物がクラピカだった。また、レイも自分の獲物のプレートをゲットしている。獲物が重なる事は無い、とクラピカが言った。

「確かに、その3つは僕の獲物じゃないね。それで?」

「問題はこちらの3枚だ。まず我々に1点にしからならないプレート。このプレートだけで良いなら、譲ろう。私とレイのプレートは譲れない。勿論、他の3枚もやれない……もしも、力尽くというのなら」

 クラピカは荷物を捨てると、両手に剣を持って構える。

「今度は相手になろう」

 ヌメーレ湿原では、思わず逃げたが、今度はヒソカ相手に戦う気持ちがクラピカにはあった。レオリオとレイも同じ意見なようで、それぞれナイフと棒を構える。

 その3人の姿を見て、ヒソカは手で顔を覆うと低く笑い出した。

「くくくく………」

 指の隙間から恐怖で怯えていない3人の顔を見る。

「ちなみに君達の番号は?」

「403番」

「98番よ」

「……………それも違うね。僕の獲物じゃない。良いだろう、交渉成立。当たりかもしれないし、残りの1枚だけで良い」

 ピンと指を立てて言うヒソカ。クラピカは、ソミーから奪ったプレートを出す。

「此処に置く」

 そして、そのプレートを木の割れ目に挟んだ。

「安心しなよ。しばらく此処から動かないから」

 3人にそう言うと、彼らは闇の中へと消えていった。

「くっく……たった数日で、見違えるほど成長する。だが、まだまだ……しかし、青い果実ってのは、どうしてもああも美味しそうなんだろうねぇ」

 そう言いながら、ヒソカは木の幹からプレートを取る。

「う〜ん、残念。これもハズレか……」

 後1点、と呟きながらヒソカは次の獲物を探す。

 今までの様子を見ていたゴンは、3人がヒソカと戦闘にならず、何の被害も無く事が終わって安堵した。

「まだだ」

「え?」

 急にカヲルが低い声で言うと、ゴンはハッとなってヒソカを見る。ヒソカの形相は恐ろしいほど歪んでおり、殺気が体中から放たれている。周りの動物たちも逃げ出した。カヲルの顔には大量の冷や汗が流れている。

「(うわ、怖い! 嫌だ! 此処にいたくない……!)」

 ヒソカの殺気をモロに感じて怯えるゴン。足が震え、上手く体が動かない。

「も〜、やだなぁ。あの3人のせいで、欲情して来ちゃったよ…………静めなきゃ」

 邪悪な笑みを浮かべてヒソカは自分を落ち着かせる。

「よし、行くか」

 そして、再び歩き出す。ゴンとカヲルは、ヒソカが間違いなくやる、と確信した。殺気は収まったが、形相は普段と比べ物にならず、相手が無抵抗でも攻撃するに違いないと分かった。

「カヲル、ヒソカより先回りして相手を見つけないと」

「そうだね。急ごう」

 ヒソカより先に他の受験生を見つけ出し、その上でプレートを奪わなくてはいけない。2人はヒソカに気付かれないよう、先回りし、木の上に登る。

「いた」

「え? 本当?」

「うん、あそこ」

 ゴンは指差すが、受験生の姿は見えない。この暗闇の中、良く見つけられるなとカヲルはゴンの視力に感服した。

「このままだと数十秒でヒソカに見つかる。急がないと」

「分かった」

 ゴンとカヲルは急ぎ、ヒソカと受験生が接触するであろうポイントへと向かう。そしてヒソカよりも先にそこへ辿り着くと、そこには281番アゴンがいた。

 ヒソカもアゴンを見つけると、ニィッと笑い、彼に向かって駆け出した。

 アゴンは茂みの揺れる音がしたので振り向くと、ヒソカがこちらに迫って来ていたので驚愕する。

「ヒ、ヒソカ!」

 ゴンはヒソカのプレートを奪う為、釣竿を身構える。

「くそ! 来やがれ!」

 剣を抜いてアゴンはヒソカを迎え撃とうとする。対するヒソカもトランプを出した。そして2人が接触しようとした瞬間、ゴンは釣竿を振るう。

 釣り針はヒソカがトランプを振るった瞬間、彼のプレートに引っ掛かり、次の瞬間にはもう彼の胸から外れていた。

 首から血を噴出して倒れるアゴンを無視し、ヒソカは自分のプレートの飛んで行った方向を見上げる。そこにはゴンとカヲルの姿があり、自分の胸を触ってプレートが無いのを確かめると、ヒソカはゴンを見上げる。

 そして、彼に歩み寄ろうとした瞬間、カヲルが前に飛び出した。

「カヲル!」

「早く逃げたまえ! 僕が時間を稼ぐ!」

「でも……!」

「戦闘になったら足手まといだ! 後、背後に注意しておくんだ!」

 そう言われ、ゴンは唇を噛み締め、その場から逃げ出す。カヲルは笑みを浮かべ、ヒソカと対峙する。

「彼の所へ行かせて欲しいな」

「僕は友人は大切にする人間でね」

「死ぬよ?」

「やってみないと分からない」

 互いにニヤッと笑い、ヒソカはトランプを、カヲルは拳銃を出した。


「はっ! はっ!」

 ゴンは息を切らせながら走っていた。

「やった……ヒソカから……」

 獲った、と思った瞬間、目の前がグラリと歪んだ。体中から力が抜けていき、ゴンは地面に倒れる。すると、暗闇の中から384番、ゲレタが現れた。

「およそ7千回……この数字が何を示すか分かるか?」

 ゲレタはそう言いながら、ゴンの落とした44番のプレートを拾う。

「俺がお前を仕留める事が出来たチャンスだ。同時にお前が特訓で竿を振り続けた回数でもある。釣竿を振ってる時のお前は隙だらけだったが、その集中力と正確さは驚嘆に値する。中でもさっきの一振りは見事だった」

 彼は笑みを浮かべ、サングラスをかけ、ゴンのうなじに突き刺さっている吹き矢の矢を抜く。

「もっとも特訓中は、あのカヲルとかいう奴が俺に気付いてた所為で何も出来なったがな……お友達の忠告は、ちゃんと聞いておくんだったな」

『気をつけなよ。此処で隙を見せると、すぐにプレートを奪われると覚悟しといた方が良い』

『後、背後に注意しておくんだ!』

 そう言われてゴンは、カヲルの言葉の真意を察した。カヲルは、ずっとゲレタの存在に気付き、特訓中の自分を見守っていてくれた。そして、ヒソカの足止めをした時も、背後に注意しろと言うのは、ヒソカの追跡ではなく、この事だった。

 ゲレタは、ゴンの鞄から彼のプレートを抜き取り、立ち上がる。

「次からは、自分の背後にも気をつけな。それじゃな」

 そう言い、ゲレタはその場から立ち去って行った。ゴンは、体が動かず「くっそ」と呟いた。


「「!?」」

 互いに傷だらけのヒソカとカヲルは、茂みが揺れたので戦闘を一時中断する。すると、木々の向こうにゴンとヒソカのプレートを持ったゲレタの姿を発見した。

「ゴン君……やられたのか」

「あの吹き矢でやられたんだろう……どうだい?」

 チラッとヒソカはカヲルを見て来て、言った。

「僕はゴンに手出ししない。だから、彼からプレートを取り返すのに協力する、と言うのは?」

「…………分かったよ」

 カヲルは頷くと、ゲレタに向かって手を広げた。


「へへ」

 ゲレタは自分の獲物とヒソカのプレートで7点分のプレートを手にした。しかも、ヒソカから奪ったと言えば、他の受験生達は驚くだろう。そう思いながら歩いていると、突然、ドン、と顔に何かがぶつかった。

「っ……何だ?」

 が、前には何も無い。ゲレタは首を傾げていると、背後でチャキっと音がしてハッとなる。

「お前……」

「ゴン君に何の毒を使ったんだい?」

 カヲルに拳銃を突きつけられ、ゲレタは冷や汗を浮かべる。

「解毒剤は?」

「し、心配ねぇよ。命に別状はねぇ、筋弛緩系のヤツだ。10日もあれば動けるよ……」

「そうか」

「な、なぁ、取引しねぇか? この44番のプレーとやるから、見逃してくれよ」

 そうゲレタが提案すると、カヲルはフッと笑って銃を降ろす。

「プレートを獲られたのはゴン君のミス。そこまで僕が尻拭いをしてあげる理由は無い。行きたまえ」

「へ、へへ……」

 ゲレタは笑みを引き攣らせながら、その場から離れようとする。

「ただし……」

 が、次の瞬間、一筋の閃光が飛んで来てゲレタの首が胴体から離れた。

「もう一人(ヒソカ)の方は知らないよ」

 ゴロゴロと、地面を転がるゲレタの頭にカヲルとヒソカは冷たい視線を向けると、彼の胴体からナンバープレートを抜き取った。

「384番か」

「ああ、それ僕の獲物だね」

 カヲルはヒソカにゲレタのプレートを渡す。ヒソカは自分とゴンのプレートを拾うと、笑みを浮かべる。

「君、変化系だろ?」

「さぁね」

 フッと笑って返すカヲル。ヒソカも笑顔を浮かべると、ゲレタの頭を掴んで、その場から去って行った。

「さて……と。あの様子じゃゴン君を殺す事も無いだろうし、そろそろ僕も自分の獲物を探すとしますか」

 カヲルは鼻唄を歌いながら、暗闇の中へと消えて行った。


 ゴンは体が動かず寝そべっていたが、突然、ヒソカがゲレタの生首を持って来て驚愕した。彼の胸には384番のプレートが付けられ、周りには好血蝶が飛んでいる。

「驚いたよ。ずっと気配を絶ってチャンスを伺っていたのか? 僕が誰かを攻撃する一瞬の隙を? 気配の消し方は自己流かい? 素晴らしいよ、野生の獣並だ。タイミングも完璧だった。僕が攻撃する際の殺気……その殺気に自分の殺気を紛れ込ませた……見事だった」

 ヒソカは、ゴンをひとしきり褒めると自分と彼のプレートを彼の目の前に落とした。

「吹き矢に塗られた毒は筋弛緩系だそうだ。通常なら回復に10日くらいかかるらしい。残り4日……君ならまぁ動けるようになるだろう。あ、そうそう。君のお友達だけど無事だから安心して良いよ」

 そう言い、去ろうとするヒソカをゴンが呼び止めた。

「待てよ……プレートを……取り返しに来たんじゃないのか?」

「ううん。褒めに来ただけ」

 ヒソカはゲレタの生首を持ち上げ、ニコッと笑った。

「彼が僕の獲物だったから、それはもういらない」

「俺もいらない……」

「そう言うなよ。それは貸しだ。いつか返してくれれば良い……それじゃね〜」

 去ろうとしたヒソカだったが、不意に立ち止まる。そして、振り返ると、ゴンは立ち上がって、自分にプレートを突きつけて来た。

「借りなんか真っ平だ。今、返す……!」

「くくく……断る」

 笑いながら、ヒソカはゲレタの生首を捨てて歩み寄って来る。

「今の君は僕に生かされている。君がもっと殺し甲斐のある使い手に育つまで、君はずっと僕に生かされているのだよ」

 そしてヒソカはゴンの目の前までやって来ると、思いっ切り顔面を殴り飛ばす。勢い良く吹っ飛ばされるゴン。

「今みたく僕の顔に一発、ぶち込むことが出来たら受け取ろう。それまで、そのプレートは君に預ける」

 そう言い残し、ヒソカは去って行くのだった。


「ぷはっ! はぁ! はぁ!」

 入り江の洞窟で、アスカは顔を水につけて血を洗い取った。ドサッと壁にもたれかかり、呼吸を整える。

「あ〜……お腹空いた」

 念の為、食料などを試験前に買っていたアスカは、鞄の中を漁る。

「あれ? とっておきのコーンビーフがあった筈なんだけど……」

 ちなみにコーンビーフは、レイによって破壊されてしまっている事を彼女は知らない。(6話参照)

「肉食べたいのに無いってのは腹の中が空っぽなのに、腹立つわね」

 フゥ、と息を吐いて洞窟の外を見ると、日の光が差す。そろそろ朝のようだ。

「とりあえず……寝よ」

 ほぼ一日半、戦いっ放しだったので、アスカはその場に寝転がった。すると大して時間も経たない内に彼女は寝息を立て始めた。


 時間は少し遡り、二日目。キルアは一人、森の中を歩いていた。

「ふぅー……4次試験開始から、ずっと尾けてるけど、バレバレだぜ。出て来いよ、遊ぼうぜ」

 そう言い、振り返るキルア。が、相手は声をかけても一向に出て来る気配は無い。

「いくら尾け回したって、俺は隙なんか見せないよ」

 が、やはり何の反応も無い。キルアの視線の先の茂みでは、198番、アモリ三兄弟の末っ子であるイモリが隠れていた。イモリは笑みを浮かべ、キルアを監視している(つもりである)。

「(もっと怯えろ、もっと憔悴しろ……俺は慎重な男。たとえ相手が子供であろうと万全を尽くす。完全に疲労し、眠りに落ちた時、叩く! 俺は慎重な男)」

 ククク、と笑っているが、ハッキリ言って彼はビビりだった。

「来ないなら、こっちから行こーっと」

 が、キルアの方から歩み寄って来ると、イモリはビクッと身を竦ませた。

「ホントいやなんだよな〜。どうせ倒したって1点にしかならないだろうし」

「(どうする!? 戦うか!? 負けないだろ、いくらなんでも。相手はガキだ。でも俺は慎重な男……一旦、逃げ、いや、この場を離れるか!? でも、そんな事をしたら兄ちゃん達に叱られる!! でも、どっちにしろ、兄ちゃん達が別の獲物始末して戻って来るまでに、こいつからプレート奪っておかなきゃ叱られるし……あぁ〜!)」

 ドキン、ドキンと心臓が早く鼓動し、イモリの思考も混乱する。

「待たせたな、イモリ」

「! 兄ちゃん!!」

 その時、彼の兄である197番長男アモリと199番次男ウモリがやって来て、声を上げる。

「ちょいと手間取っちまった」

「そっちはもう終わってるよな? ……ん?」

 喜んでいるイモリを他所に、アモリとウモリは健全なキルアの姿に気付く。それを見て、兄2人がイモリを蹴り飛ばして、頭を殴った。

「痛!」

「馬鹿か、お前!! あんなガキまで俺達がいなきゃ怖くて戦えねーのか!?」

「ち、違うよアモ兄ちゃん!」

 尻餅を突いて兄に弁解するイモリ。

「子供を痛めつけても可哀相だろ。寝てる隙にでも盗んであげようかと思ってさ」

「嘘付け、この……」

 が、みっともなさ過ぎて、ウモリが殴りかかろうとした所でイモリは声を上げた。

「分かった! 分かったよ! 兄ちゃん達がそんなに言うんなら仕方ないぜ。やってやるよ」

 自分達が来たら、急に態度の大きくなってキルアに歩み寄るイモリに兄2人は冷たい視線を向ける。

「なぁ坊主、プレートをくれねーか? 大人しく寄越せば何もしない」

「バーカ」

 そう答えたキルアの鳩尾にイモリの蹴りが炸裂した。派手に吹っ飛ぶキルア。

「あ〜あ、言わんこっちゃない」

「バッチリ鳩尾」

「ありゃ地獄だぜ」

 笑みを浮かべる3兄弟。

「よっ! ほいっと」

 が、キルアはポケットに手を突っ込んだまま立ち上がり、イモリは驚愕する。

「何だ手加減してやったのか」

「やっぱり、イモリは優しいね〜」

「あ、あぁ……」

 そう言われるが、イモリの表情は冴えない。すると、キルアがポケットから1枚のプレートを出した。

「198番か……」

 そのプレートを見て、イモリは自分のポケットを探るが、プレートは無かった。

「俺の欲しい番号と一番違いって事は……もしかして199番は、そっちの2人のどっちかかかな?」

 その言葉にアモリとウモリの表情も一変し、真剣なものになる。

「ウモリ、フォーメーションだ。マジでいく。こいつ、タダのガキじゃねぇ」

 そしてアモリ、ウモリも参加し、3人でキルアの周りを取り囲む。キルアは笑みを浮かべると、木をジャンプで駆け上がる。

「上!?」

 アモリが顔を上げた瞬間、キルアは彼の背後に移動しており、軽く膝の裏を蹴って膝を突いたアモリの肩を掴み、もう片方の手の指先を首筋に当てる。

「動かないでね。俺の指、ナイフより切れるから」

 キルアの言うように、彼の指先が当たっているアモリの首からは血が少し滲んで来た。そして、キルアはアモリからプレートを受け取る。

「あれ? こっちは197番か。も〜、俺ってばこういう勘はスゲー鈍いんだよな」

 自分で呆れながらキルアはウモリに尋ねる。

「ね〜、アンタが199番?」

「…………ああ」

「頂戴」

 悪戯好きな猫みたいな顔をしてウモリに言うキルア。ウモリは無言でキルアにプレートを投げ渡す。

「サンキュ。さて、こっちのはいらないね」

 プレートを受け取ると、キルアは残ったプレートを思いっ切り投げ飛ばした。プレートはあっという間に見えなくなってしまう。

「今度はあっち」

 そして、もう一枚のプレートは反対方向へと投げ飛ばす。

「後5日あるから、頑張って探しなよ。じゃね〜」

 茂みの奥へと消えて行くキルア。アモリは「くそぉ!」と叫んで地面に拳を叩き付けた。


 一方、キルアの投げ飛ばしたプレートをハンゾーが凄い速さで追いつき、キャッチした。

「197番は、いつも199番と一緒に行動してたから、しばらく様子を見ようとしたのが正解だったな。まさか、あの小僧が片付けてくれるとは思わなかったが、お陰で楽にプレートを手に……」

 そこでハンゾーが見たプレートの番号は198番だった。


「ふむ……良い朝だね〜」

 3日目に突入し、カヲルは岬に座って朝陽を見ながら鼻唄を歌う。

「歌は良いね〜。歌は心を癒してくれる……人類の生んだ文化の極みだよ」

 一人、呟きながらカヲルは振り返る。

「君達もそうは思わないかい?」

 すると茂みが揺れ、弁髪にそれぞれ黄色と緑のチャイナ服を着た男達が現れた。それぞれ背は180cm以上あり、サイと棒を持っている。

 サイを持った顎鬚を蓄えた男性――ロン・フォウが前に一歩出る。

「プレートを渡して貰おう」

「残念だが、それは出来ない」

「ならば」

 棒を持った頬に大きな傷のある男性――ワン・シュウレイが細い目を開く。

「力尽くで!!」

 2人同時に突っ込んで来ると、カヲルは立ち上がり、ジャンプして2人の攻撃を避け、背後に立つと拳銃を出す。

「甘い!!」

 が、ワンが棒を突き出すと、三つに分かれて拳銃を弾き落とした。どうやら三節根になってるようだ。そして、ロンが突っ込んで来てサイを突き出して来る。紙一重で避けるカヲル。が、避けたと思ったが頬に血が滲んだ。

 不審に思い、カヲルは目を細める。すると、フッと笑みを浮かべた。

「なるほど……“念”か。オーラで間合いを伸ばしてるようだね」

 その言葉にロンとワンは驚いた様子で目を見開く。

「お主も使い手か!?」

「君達以上の、ね」

 ニィッと笑い、カヲルはもう一丁、拳銃を捨てるとコキコキと首を鳴らす。

「さて……かかって来たまえ」

 腕を組んで余裕の笑みを浮かべるカヲル。ロンとワンはカヲルに警戒しながらも近づき、自分達の間合いに入ると攻撃を仕掛ける。サイを突き出し、三節根を突き出した。

 が、彼らの武器はカヲルに当たる前に弾かれる。

「「何!?」」

「無理だよ、君達の攻撃は当たらない」

 すると、カヲルの周りに薄っすらと光の壁が浮かび上がった。その壁は電話ボックスぐらいの大きさで、カヲルの八方を全て包み込んでいる。

「オーラを壁状にして……お主、変化系か」

「僕の“不可侵の領域【ガーディアン・ウォール】”は、ロケットランチャーに堪える事だって出来る……そして」

 カヲルが両手を広げると、突如、ロンとワンが壁に閉じ込められた。

「な!?」

「で、出れぬ!」

「こういう使い方も出来る」

 グッと両手を握り締めると、壁は縮んでいきロンとワンが圧迫されていく。

「ぬ……おおおおおお!!!!!」

「か……ぁ……!」

「一度、圧迫死を体験してみると良い。癖になるよ」

 ニコッと笑い、強く拳を握る。次の瞬間、グシャッと押し潰される音がし、ロンとワンは物言わぬ肉塊と化す。カヲルは、2人の死体の中で光っているプレートを抜き取ると、346番と347番、一つはカヲルの獲物だった。

 運良く獲物をゲットでき、フッと笑みを浮かべると347番のプレートを海に投げ捨てた。そして、冷ややかな視線をロンとワンの死体へと向けて言い放った。

「生憎と僕はレイやアスカ君ほど優しくないんでね……君達は命を奪う者であると同時に、死を与えられる者という自覚が足りなかったようだね」

 そう言い、346番のプレートをポケットに入れると、カヲルはその場から立ち去って行った。


 後書き
 今回、アスカに続いてカヲルの能力が出ました。その詳細を……。

 能力名:“不可侵の領域【ガーディアン・ウォール】”
 効果:オーラの性質を壁に変える。自分の周囲を囲んだり、また盾のように平面で使う事も出来る。
    敵を壁の中に閉じ込め、圧迫する事が出来る。
 発動条件:無し
 制約・リスク:体から離して使うと硬度が落ちる。
        自分のすぐ近くで使えば、ロケットランチャーも堪えれる。
        半径5mぐらいなら少し丈夫なガラス程度。
        10mになるとベニヤ板並にモロくなる。


 第2次試験でグレイトスタンプを倒した時や、第3次試験で大岩に追われた時にはその進行方向に壁を作り、その接近を防いだ訳です。もっとも大岩の場合、離れたらすぐに破壊されてしまいましたが。
 他にもオーラを集中させれば、更に硬度を上げる事が出来ますが、そうすると体に纏っているオーラが無くなるので、カヲルは滅多に使いません。使わなくても、防御力は凄いですから。


 〜レス返し〜

 久我様
 アスカの能力、後で読み返して自分でもちょっと制約厳しいかな〜と思ったりしました。
 アクアの目的は、あくまでアスカ達に接触する事で、別にハンターになろうとは思ってませんでした。
 シンジは、アダムではありません。あくまでも現在の使徒は人間で、それぞれ独自の念能力を持っています。シンジも、かつては神の力を持ってましたが、今は普通の人間と同じです。


 ショッカーの手下様
 ネタバレですが、ミストは霧じゃないです。私はダイの大冒険が大好きですから! そうなるミストは……。
 確かに、能力をパッと見れば、アスカの能力はタイマン専用っぽいですが、そうでもありません。ちゃんと複数を相手に戦おうと思えば戦えます。それに、防御力を補おうと思えば補えます。それは後々。ヒソカとの交渉、余りレイは出番ありませんでした。まぁ、その分、カヲルが少し活躍です。


 髑髏の甲冑様
 確かに制約上、通常ではタイマン専用です。が、少し考えたら割と応用の利く能力だと後で気付き、今ではこの能力で良かったと思っています。その成果は今後の話をお楽しみに。
 そうですね。あのゴンの背中の翼を黒くして、真ん中に数字入れれば良いですね。
 まぁ後者はともかく、実は前者、外れています。黙示録は他にも女性メンバーはいます。単にクロロが知ってるのが、その3人だっただけです。バスターコールほど酷いとは思いませんが、シンジの考えではそうなるかもしれません。
 上記でも述べましたが、アクアは別にハンターになろうと思ってないので、戦線離脱は前々から決まっていました。無論、途中で迎えが来ますけどね。
 あ、アスカの切り札は攻撃系の能力じゃないんです。攻撃に関しては“破壊の脚【クラッシャー】”で充分なので、それ以外の切り札です。
 魅力的な作品、と言ってくれて大変、嬉しいです。これからも頑張りますので、よろしくお願いします。


 エセマスク様
 まぁハイリスク、ハイリターンって割とアスカのイメージに合うような気がしますけどね。
 今回は何とか全員、出す事が出来ました。まぁ、キルアは原作どおりですけど。だって、あの話を、どう改変しろと!? あの時点じゃ、アスカはアクアと戦闘中、レイはクラピカ・レオリオと同行中、ゴンはカヲルとヒソカを見張ってたんですから……オリジナル要素付けようがありませんでした。
 あ〜……確かにオーラで強化すれば、結構、簡単に門は開くと思います。でも、単純な筋力ならアスカ達はゴンやキルアよりずっと弱いです。
 では、フカヒレとモテない男の路上ライブでもしながら、次回も頑張ります。


 虚空様
 アスカ達の才能は、ゴン、キルアより下です。かと言って、才能が無いわけでもありませんけど。成長度で言えばゴンやキルアの方が遥かに上です。ただ、戦場を潜り抜けてきた経験や、永い眠りで培って来た知識などが彼女らの強に繋がります。


 拓也様
 エヴァのパイロットって別に才能とか関係ないんですよね、アレ。要はコアの中身ですから。ただ、“戦闘”という才能に関してはシンジは天才かもしれません。僅か1年足らずで殆どの死線超えましたね。幾つかは暴走とかありますけど。
 今回、カヲルの能力が明らかになりました。防御が主体ですが、圧迫で攻撃にも使えます。丁度、我愛羅の“砂瀑柩”みたいな感じで。


 流刑体S3号様
 初めまして、感想ありがとうございます。
 アスカに補助は似合いません。あくまでも攻撃! です。それに彼女の流儀は『無駄なく華麗』になので、スピードUPは、そういう面でプラスになり念能力の向上にも繋がると思います。
 皆さん、バルディエルをミストと思ってるようですが、違います。上記にも述べましたが、私はダイの大冒険が好きです。なので、敵キャラもその作品のイメージのような敵が良いです。ハドラーとか敵ながら天晴れなキャラは好き過ぎです。よって私の中でミストのイメージは……。
 押せ押せだからこそアスカだと思います。ちまちました攻撃は彼女に似合いません。なのでワンピースのサンジに弟子入りしでもしますか。

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