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▽レス始

「狩人の世界に現れし福音者達  第15話(エヴァ+HUNTER×HUNTER)」

ルイス (2006-07-31 15:02)
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 アスカは、森の中を駆け抜け、木の陰に隠れて息を吐く。彼女の体には小さな傷が幾つもあり、腕を押さえて呼吸を整える。

「ハァ……ハァ……強い」

 昨日からほぼ丸一日、アクアと戦っている。アクアは、全く体力が衰えた気配を見せず、逆にアスカの体力を削っていった。

「アスカ〜、隠れても無駄よ〜」

 アクアは笑顔でアスカの隠れている木へと歩み寄る。アスカは「くっ!」と表情を顰めると、足元の石ころを数個掴んで、彼女に向かって投げ付ける。アクアは後ろに跳んで避けると、地面が砕ける。

「ただ石にオーラ込めただけで大した威力ね……放出……いや、強化系かしら?」

「さぁ! どっちかしら、ね!!」

 アスカはアクアに向かって真正面に突っ込むと、拳を繰り出す。が、アクアは全て捌いて受け流す。

「甘い甘い♪」

 ニコッと笑顔を浮かべ、掌を広げる。アスカはハッとなって、手を交差させた。次の瞬間、ドン、と音が鳴ってアスカが吹き飛ばされる。地面を削りながら、何とか踏ん張るアスカ。

「こ……の!」

 相手の攻撃は余りにも速過ぎて目で追う事が出来ず、アスカは唇を噛み締める。

「(間違いなく何かの能力を使ってるんだろうけど、速過ぎて分からない……)」

「いい加減、そっちも能力使ったら? 出し惜しみして死んだんじゃ、意味ないわよ」

「…………確かに」

 アスカは顔の血を拭い、笑みを浮かべる。

「アンタの出した条件ならアタシの能力は殆ど意味が無いんだけど……もう怒っちゃった。プッツン、しちゃいま〜す」

 額に青筋を浮かべ、笑顔でトントンと地面を爪先で蹴る。すると、次の瞬間、アスカの姿がその場所から消える。

「!?」

 アクアがハッとなると、既にアスカは彼女の真横に移動していた。そして、思いっ切り蹴りを放つ。アクアは紙一重で避けると、地面が細く抉れた。

「はああああぁぁぁぁ!!!!!!!!」

 咆哮を上げ、アスカは凄まじい勢いで蹴りを繰り出す。それには流石のアクアも冷や汗を浮かべ、思わずガードした。

 ゴキィッ!

「(痛っ! この娘、足を“硬”で強化して……!)」

「まだまだぁ!!」

 左足を軸にし、残像が残るほどの勢いで蹴りを放つアスカ。それを全てアクアはガードしているが、ある事に気付いた。

「(威力が……上がってる!?)」

「気付いた? これがアタシの能力よ!」

 笑みを浮かべながら、アスカは飛び上がり体を捻って蹴りを喰らわせる。その蹴りは、アクアの顔面に直撃し、彼女は木々を破壊しながら吹っ飛ぶ。

「ダメージを与えれば与えるほど威力が増す……“破壊する脚【クラッシャー】”よ」

 土煙の中から立ち上がるアクアに向かって笑みを浮かべる。彼女の顔は赤く腫れており、血が口から垂れている。

「咄嗟に“硬”で防御して威力を削いだみたいね。でも、アンタのオーラじゃアタシの蹴りを完全に防ぎ切るのは無理だったようね」

「確かに……奥歯やられたし、顎も少しヤバいわね」

「もう一発当ててやろうなんて思わない。アンタを完膚なきまでにボッコボコにしてやる!!」

「フフ……」

 プッと血を吐くと、歯も一緒に出た。アクアは、コキコキと首を鳴らすと胸のプレートを取ってアスカに投げ渡す。アスカは、プレートを受け取り、眉を顰める。

「あげる」

「って! ざけんじゃないわよ! さっきの聞こえなかった!? これからアンタをボッコボコにするって言ったでしょうが!」

「やれやれ」

 アクアは、意地を張るアスカに嘆息すると、手を広げた。

 ズドン!

「かっ!」

 次の瞬間、凄まじい衝撃がアスカを襲い、彼女は吹き飛ばされる。

「私が手加減してたから、貴女は私に一発当てる事が出来た。私の手加減が、貴女の本気と同レベルってこと忘れちゃ駄目よ」

 地面に大の字になっているアスカにアクアは言い放つ。アスカは元々のダメージと、“硬”によってオーラを脚に集中させていた為、上体の防御は0なのでアクアの手加減した攻撃でも、かなりのダメージを負い、動けなかった。

「9月1日……ヨークシンシティに来なさい。そこに黙示録……ヨハネが来るわ。当然、マスターもね……惣流・アスカ・ラングレーさん」

 それを聞いて、アスカは目を見開く。

「アンタ……何で……」

 今まで『惣流』なんて名乗っていない。アスカ・ラングレーとしか名乗っていないのだ。その名を知っているのは、今ではレイ、カヲルと自分を除けば一人しかいない。

 驚愕した顔だけをアクアに向けるアスカ。アクアは、フッと笑うと服を肌蹴させて、背中を見せる。その背中には肩の後ろに黒い翼の刺青があり、その間に靴箸いΕ蹇璽淇字が彫られている。

「その刺青……」

「黙示録皚掘▲▲ア…………あなた達の知ってる名前で言うと“サキエル”……かしら?」

 アスカの目が見開かれる。サキエル、という名前を忘れられなくても忘れられない。

「貴女も覚えてるでしょ? あの時……約束の日、私達はマスターの元に集い、あなた達が離れた……この姿も全てはマスターの望んだ結果よ」

 そう言い、アクアは去ろうとする。

「待ちなさい……あの馬鹿……何でこの新しい世界でテロなんて……」

「さぁ? マスターの心を知るなんて私達には出来ないわ。ただ、私達はあの日からマスターに付いて行くだけ」

 彼から離れたアスカ達には、更に知る権利すらない、と言い捨てるアクア。アスカは、ギリッと唇を噛み締めると去って行くアクアに、ビシッと指差して言った。

「あの馬鹿に伝えときなさい! 『会ったら絶対にビンタしてやる』、ってね!!」

「了解。じゃ、そちらも元同僚の2人に伝えといてくれる? 『元気そうで何より』、ってね」

「敵にかける言葉じゃないわよ……それ」

「私は個人的にあなた達のこと気に入ってるしね〜。じゃ、試験頑張ってね〜」

 ヒラヒラ、と手を振ってアクアは去って行った。アスカはフゥと息を吐いて、赤くなった空を見つめる。

 アクアに一矢報いる事は出来た。が、結果はこの様だ。本気になった自分と手加減したアクアで同等。そして彼女よりも上にいる馬鹿。

 遠い。

 アスカは、ギュッと拳を握り締め、決心した。

「(もっと……強くなってやるわよ。アタシはアスカ・ラングレー……このまま負けっ放しなんてガラじゃないわ!)」


「やれやれ」

 ハンター委員会の船が見える岬で、アクアは黒服にサングラスをかけた男性を殺害し、嘆息した。

「ずっと人をつけて来て……ストーカーは始末するのが一番ね」

 この4次試験、受験生一人一人にハンター委員会の人間が尾行しており、いい加減、ウザくなってきたので早々に始末した。アクアは携帯を出して、何処かに電話をかける。

「あ、マスター。そろそろ試験にも飽きて来たから帰るね。ん……えへへ、負けちゃいました〜。あ〜、アスカだけ戦ったけど、中々、強いわね。ヨークシンに来るよう言っといたけど、良いの? あの子らの実力じゃ、マスターどころか私達にも敵わないわよ? …………は? 別に良い? 何それ? 訳分かんないんだけど…………はぁ、了解。じゃ、とりあえず泳いで帰るから迎え寄越してね。じゃ」

 携帯を切ると、アクアは準備運動し始める。その時、チラッと振り返り、言った。

「じゃ、私行くわ。ヒソカに『割と楽しかった』って言っといて」

 それだけ言うと、彼女は海へと飛び込んで行った。


「やれやれ……相変わらずお役所仕事なこと」

「誰だ?」

 少年は、飛行船の一室――かなり豪華――で、オールバックに額に十字架の紋章を持った黒いロングコートの青年とチェスをしていた。

「ん〜……仲間」

「ほう……」

 青年は興味深そうな笑みを浮かべ、駒を動かす。

「にしてもウチの面子って基本的に自由気ままな奴が多いから、そっちみたいに頭が召集かければすぐに集まるような連中じゃないんだよね……何人か連絡つかないし」

「良くテロリストなんてやってるな」

「愛されてるから♪ 僕がマジだったら皆、頑張ってくれるよ〜」

「ふ……」

 少年も笑顔を浮かべ、駒を動かす。

「ところでさ〜……まだオークションまで半年以上あるのに、何する訳?」

「どうせ半年後にはお前達が潰すんだ。なら今の内、観光でもしようと思ってな」

「男2人で? マチとかシズクとかパクノダとかは?」

「そっちこそアクアとかミストとかリキとかは?」

「「……………」」

 長い沈黙が2人を包み、チェスの駒を置く音だけが虚しく響く。

「半年間、男2人で時間潰すのって悲しくない?」

「かなり……な」

「…………何でよりによって連絡つかないんだろ……はぁ……チェック」

「げ」

 ゴゥンゴゥン、と飛行船の音が虚しく響き渡る室内で、少年と青年は同時に溜息を吐いた。


「さぁ、出て来なよ」

 夕日が沈みかけた頃、今まで黙っていたヒソカが唐突にゴンとカヲルの方を向いて言った。それにゴンは、ビクッと身を竦ませるがカヲルに肩に手を置かれて落ち着かされる。

「いるんだろ? 来ないなら、こっちから行こうかな」

 そう言い、ヒソカは立ち上がるとゆっくりと歩み寄って来る。

「(ダメか……! イチかバチか……!)」

 戦うしかないと思い、釣竿を強く握り締めたが、ソッとカヲルが手を重ねて微笑んだ。するとその時、2人の背後から槍を持った男性が現れる。

「(!! いつの間に!?)」

 男性は371番のゴズだった。ゴズは槍を振るい、茂みを切り裂く。その際、ゴンとカヲルの髪も切れた。

「手合わせ願おう」

「死ぬよ」

 ゴズはヒソカに対し、槍を構える。ゴンは、チャンスと思い、ヒソカが攻撃した瞬間に釣竿を放とうと身構える。

「とりゃ!!」

 ゴズの薙ぎ払った槍は強烈で、木すらも真っ二つに切り裂いた。更に突き出し、再び薙ぎ払うがヒソカは全て難なく避ける。その後、ヒソカはゴズの放つ槍の攻撃を全て避けるので、ゴンは不振に思った。

「(何でだ? 何でヒソカは反撃しないんだ?)」

「ハァ……ハァ……ヒソカ! 何故、攻撃して来ない!?」

 ゴズもそれに気付いていたのか、ヒソカに問い詰める。

「このまま避けてれば、君は勝手に死ぬから。おびただしい好血蝶の数が、君の傷の深さを物語っている」

 そうヒソカの言うように、ゴズの腰の部分には血が広がっており、好血蝶が群がっている。ゴズは、そこを指摘され表情を歪めて膝を突く。

「既に誰かから致命傷を負わされているんだろ? 最後まで戦士たろうとする意気は分かるけどねぇ」

「貴様……そこまで理解していながら……それでも尚、私と戦ってはくれぬのか!?」

「僕さぁ、死人に興味ないんだよね。君、もう死んでるよ……目が。バイバイ」

 そう言い捨て、ヒソカはゴズの切った木の幹に腰を下ろす。

「く……ぐぐ……うわああああああ!!!!!!!」

 咆哮を上げ、ゴズはヒソカに襲い掛かる。が、その瞬間、ヒソカの後方から大量の針が飛んで来て、ゴズの顔に突き刺さると、彼はドサッと崩れ落ちた。

「ゴメンゴメン。油断してて逃がしちゃったよ」

 そう言い、茂みの奥から出て来たのは顔に大量の針を突き刺した受験生で最も異彩を放っている人物――301番、ギタラクルだった。

「嘘ばっかり。どうせ、こいつに『死にゆく俺の最後の願いを』とか泣き付かれたんだろ? どうでもいい相手に情けかけるのやめなよ」

「だってさ〜、可哀相だったから。どうせ、本当に死ぬ人だったし……ヒソカだってたまにやるだろ? 勝手にトドメ刺さないで帰っちゃったり……」

「僕は、ちゃんと相手を選ぶよ。今、殺すには勿体無い人だけ生かす訳……あ、でプレートは?」

「あるよ」

 言われてギタラクルは、ゴズの371番のプレートを見せる。

「これで俺は6点になったから、こっちはいらないや。あげるよ」

 そう言い、ギタラクルは80番のプレートを見せる。

「コレ誰の?」

「俺を銃で狙ってた奴のプレート。こいつはムカついたから、すぐに殺しちゃった」

 少し不機嫌そうな口調で言うと、ギタラクルは顔に刺さっている針を抜いていった。全部抜き終わると、ゴキゴキと顔が変形し、髪の色や形までもが変形する。

「う〜ん、何度見ても面白い」

「やってる方は結構、辛いんだよね」

 すると、今までの不気味な顔から一変し、長い黒髪の青年へと変わった。

「あ〜、スッキリした。あ、そうそう、ヒソカ。アクアから伝言」

「ん?」

「『割と楽しかった』ってさ」

「彼女、どうしたの?」

「プレートあげたし、試験に飽きたからどっか行っちゃった」

「ふ〜ん。残念。折角、一緒に食事でも、と思ったのに」

 ヤレヤレ、と肩を竦めるヒソカ。すると、ギタラクルが突然、地面を掘り出し、穴の中に入った。

「じゃ、俺期日まで寝るから……頑張ってね〜。おやすみ」

 穴に潜ると、自然に土に埋められた。

 その後、完全に日が沈み夜になると、ヒソカは切り株から立ち上がった。

「さて、後2点、そろそろ狩ろうかな」

 適当な獲物を捜し求め歩き出すヒソカ。ゴンとカヲルも、彼を追いかける。やがてヒソカは少し高い岩場に立つと、「ん?」と何かに気付いた。そして、親指と人差し指で輪っかを作ると、ニィッと笑う。

「見〜つけた」

 彼の視線の先には、クラピカ、レオリオ、レイの3人の姿があった。


 後書き
 今回、アスカの念能力が発覚しました。“破壊する脚【クラッシャー】”です。その詳細……。

 能力名:“破壊する脚【クラッシャー】”
 効果:相手にダメージを与える度に威力が増す。防御しても、僅かにダメージを負えば、僅かでも威力は上がる。また、脚にオーラを集中させてるので、スピードも増す。
 発動条件:脚部に“硬”でオーラを集中させる。
 制約・リスク:“硬”を常に使う為、脚以外の攻防力は0になる。
        一回でも脚以外で攻撃したりすれば、増大したオーラが元に戻る。
        別の相手にした場合、オーラはリセットされる。敵Aでダメージを与えて増大したオーラで、敵Bを攻撃しても意味が無い。
        一度、ダメージを与えたら30秒以内にダメージを与えないと増大したオーラはリセットされる。


 フィンクスの“廻天【リッパー・サイクロトロン】”をヒントにして考えました。強化系の醍醐味といえば、やっぱり“硬”や“堅”で、普通に必殺技レベルになる事だと思い、更に威力を上げる、というので、このような能力になりました。ちなみにアスカ達の能力は、旅団同様、他にも切り札があるので、後々、出して行こうと思います。


 〜レス返し〜
 エセマスク様
 ゴンは強化系、カヲルは変化系で、相性は良いのかもしれません。
 アスカは能力も発覚しましたが、キルアは出番なし。4次試験って、キルアの見せ場殆どありませんからね〜。
 一応、黙示録はテロリストですからね〜。でも、旅団のように憎めないようなキャラ達にしていきたいです。
 では、祈先生に占って貰いに行きます。この小説の運命を!


 果物様
 でも寝ている間に世界の知識は流れて来ていましたから、起きてからは別に不自由はしなかったようです。目覚めた理由、黙示録がシンジだとわかった理由は、これから明らかになるとして、念は起きた時には既に基本は使えていました。が、そこからは自分達で修行しましたけど。知識はあったけど、実践できないって、やつです。


 髑髏の甲冑様
 まぁカヲルですからね〜。この一言で解決できたりする。いえいえ、あの男の能力はゲンスルーと被りそうなので違いますよ。
 まぁアニメでもレイはお色気担当っぽかったですし。水槽の中に沢山の裸のレイが!(それお色気違う)
 ま、何人かは1話の冒頭読んで気付いた方もいるかもしれませんが、今回、アクアは元使徒と告白しました。ちなみに黙示録の癸欧老臠屬任后
 アスカの能力は、連載前からある程度、決めていました。髑髏の甲冑様の言うように“硬”で攻撃するのと、強さの段階があるのは同じでした。


 ショッカーの手下様
 カヲルの事ですから、見てるだけの可能性が高かったりします。アスカの能力は明らかになりましたが、アクアの能力はまだでした。まぁ、彼女の正体が発覚したので、予想はつくと思いますが。


 久我様
 暇人な可能性70%、レベルが高いので見る価値アリと思った可能性10%、残り20%はただ目に留まったから見てるだけ。
 まぁ、レイは良いと言ってるけど、もしS少年が実行したらアスカがキレて確実に血の雨が降りそうです。いや、降ります。
 当然、ゴン達は、この性格が正反対の2人があそこまで熱心に会いたがっている人物がどんな人か気になります。微妙にゴンとキルアは、レイの事をお姉さんっぽく思って惹かれてたりします。(4話参照)


 拓也様
 ゾルディック家ですか……現在、考え中です。四つの案として3人とも行く、3人とも行かない、2人行って1人行かない、1人行って2人行かないというものです。っていうか、キルアに思い入れが無いと言えば、ハンター試験において、レオリオとクラピカも、そんなにキルアと接してないと思います。まともに会話したの3次試験に入ってからですしね。
 天空闘技場は絶対にやります。やりたい事がありますので。それはお楽しみに。
 ヨークシン編については、未だ大まかな構想しか練れていないんです。黙示録を、どうやって絡ませようか現在、思案中です。
 とりあえず答えられるだけ答えました。

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