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「GS in まぶらほ 第4話 (GS+まぶらほ)」

D系 (2006-07-30 05:57/2006-07-30 06:48)
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GS in まぶらほ


第4話  まけちゃった・・・・・・人間の本能に


異世界2日目。
早朝、横島は紅尉との相談で決めたとおり保健室を訪れていた。
もちろん用件は魔法回数を確認するためである。


「・・・・・・・・・・ふむ、どうやら昨日の君の推論は当たったようだな」


昨日と同じように魔力回数測定用のレンズを付けた紅尉が結果を遠まわしに告げる。
今、紅尉のレンズに映し出されている数字は『7』。
横島が和樹の身体に入ったときの回数まで回復していた。


「今朝になったら身体のダルさも消えてたんで、そうじゃないかとは思っていたんですけど。
 とりあえず、これで俺が一日に6回まで力を使えるって事がハッキリしましたね」

「そういう事になるね」

「でも、一日に6回というのは結構厳しいんですね。
 日常生活ではほとんど使うこと無いでしょうけど、
 昨日みたいな戦闘になったらそうも言ってられないんで」


横島は昨日のベヒーモスとの戦いを思い出す。
確かに現在の霊力から考えれば大抵の敵には遅れは取らないであろう。
だが、未だ完全に制御できていない状態では不用意に使用するのは危険である。


「それもそこまで危惧する必要はないと思うよ。
 現在の世の中ではああした魔物が暴れまわる事などほとんど無い。
 それに、仮に戦闘になったとしても昨日のベヒーモス以上のものはいないだろう」

「それならいいんですけどね。
 まぁ、しばらくは身体強化と栄光の手だけでやるしかないかな。
 ところで先生、一つ聞きたい事があるんですけど」

「何かね?」


話の区切りがついたところで、
横島はここに来てからずっと疑問に思っていた事を尋ねる事にした。


「そこのベットの上に転がされている人達は何ですか?」

「ん?」


横島の指差した先に視線を向ける紅尉。
その先には保健室にあるはずの無いキングサイズのベットに横たわっている3人の少女がいた。
1人は眼鏡の似合う可愛い系。
1人は黒い長髪でスタイル抜群のお姉さま系。
1人は赤い髪の活発そうな同級生系。
それぞれタイプの違う3人の美少女が静かな寝息を立てすやすやと眠っている。


「知らないかね?
 彼女達は君と同じクラスの『鳴尾 来花』君『杜崎 沙弓』君『松田 和美』君だよ」

「・・・・・・・・・・」


もちろん和樹の記憶で美少女達の事は知っている。
そもそも内二人は昨日実際に会っているのだ。
だが、横島が聞きたいのはそんな事ではなかった。
紅尉にいささか冷たい視線を向ける横島。


「さすがに教師が女生徒を無理矢理連れ込むのはどうかと思いますよ?」

「・・・・・・式森君、どうやら君は誤解をしているようだね」


どうやら紅尉は横島の言わんとすることがわかったらしい。
表情は全く変わっていないがちょっと焦っているようである。


「いえ、良いんですよ言い訳なんて。
 先生は俺に協力してくれている唯一の人ですから。
 俺は先生を婦女暴行の罪告発したりはしませんから」

「・・・・・・式森君、さっきよりも罪状を悪化させていないかね?」


エスカレートしていく横島の言葉に徐々に表情が崩れていく紅尉。
しかし横島の暴走は止まらない。


「気にしないでください。例え先生が3人を怪しげな薬やら魔法やらの実験台にして、
 使えなくなったら薬漬けにして何処かに売り飛ばそうとしても、
 僕は先生の味方でいますから」

「式森君、何なら君が実験台になってみるかね?
 今ならフルコースで体験させてあげるよ」

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」


「冗談はこのくらいにして、どうして3人がここにいるんですか?」


必殺フレーズで我に返ったのか、先程までのやり取りなど全く無かったかのように振舞う横島。
紅尉の眉がピクついている気がするが、そこは触れないでおこう。


「まずはこれを読んでくれ」


横島へと差し出された一枚の紙。
見出しには『学園新聞 号外』と書かれていた。


「葵学園の学園新聞ですか?
 確か鳴尾さんが所属してる新聞部が発行しているんですよね?」


特に意識することなく受け取り、内容を確認。


「ぶぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!」


そして盛大にふき出した。
口に液体を含んでいなかったのは幸いであろう。


「な、何なんですかこれはぁ!!!」


「落ち着きたまえ、式森君」


絶叫する横島を冷静に嗜める紅尉。
だが、横島のテンションは元に戻る気配を見せない。
それもそのはず、この学園新聞に書かれていたのは横島にとってのアキレス腱とも言える内容。
すなわち昨日のベヒーモスとの騒動について書かれていたのだ。
しかもニュースの報道とは異なり、横島が関与している事が前面に押し出されている。


「落ち着けるわけ無いじゃありませんか!!!
 昨日の騒ぎは全部ベヒーモスの所為ってことになってるんじゃないんですか?!
 何で俺がやったって事が知られてるんです?!」

「おそらくだが昨日彼女もこの現場にいたんだろうね。
 でなければ、君が戦っている瞬間の写真など撮ることは出来ないよ」


新聞の一面を飾っているのは横島がベヒーモスを殴り飛ばしている写真だった。
ちょうど和美、沙弓を庇いに入った時であろう。
躍動感と共に伝わってくる戦場の緊張感が見る者を捉える実に素晴らしい写真である。


「じゃあ、もしかして・・・・・・」

「今朝、彼女がこの新聞を学園中にばら撒こうとしていたのを発見してね。
 保健室にご同行願ったわけだ。手荒な手段だとは思ったんだが」

「その新聞は?!」

「その一枚を除いて全て処分したよ。
 彼女が所持していたネガも全て抹消しているから、安心していい」


紅尉の言葉にホッと胸を撫で下ろす横島。
しかし、まだ疑問は残っている。


「松田さんと杜崎さんはどうしてなんですか?」

「この2人は今朝は早くに学校に来ていてね。
 それで昨日、君がこの2人に説明しなければならなくなったと言っていた事を思い出したので、
 せっかくだからここにつれてきたんだ。
 ただ、私がいきなり君の事を持ち出すのもどうかと思ったんでね。
 鳴尾君と同じ方法でここへ連れてきたというわけさ」

「・・・・・・完全に拉致監禁ですよね」

「やはり式森君は実験台になりたいのかね?」

「さて、この3人をどうしましょうか」


必殺のフレーズに勝てるはずも無く、横島は早々に降参した。
とは言え、この3人の処遇については結構重要であるため、
紅尉もそれ以上の言葉を続けたりはしなかった。


「問題は昨日の事実を知られているってことですよね」

「ああ。記憶は新聞やネガのように簡単に消去できるようなものではないからね」


未だに眠ったままの3人を険しい表情で見下ろす横島と紅尉。
傍から見れば確実に警察を呼ばれそうな状況である。


「紅尉先生、何か方法は無いんですか?」

「催眠術や暗示などで封印しておく事はできるが、それでも完全とはいえないだろう。
 何かの拍子に思い出してしまう可能性がある。
 かといって私の魔法や薬を使えば関係の無い記憶まで消してしまう可能性もある」

「う〜ん・・・・・・・・・・どうしましょうか?」


何か良い方法がないものかと頭を悩ませる2人。
と、紅尉が何かを思いついたようにポン、と手を叩く。
そして悪魔チックな笑みを浮かべて横島に提案した。


「式森君。要するに彼女達にこの件を暴露する事が出来なくしてしまえばいいんだ」

「そんな事わかってますよ。だからどうやってそれをするかを考えてるんじゃないですか」

「簡単なことさ。彼女達がこれを言えない立場にしてしまえばいいんだ」

「・・・・・・言えない立場ですか?」


紅尉の言葉と表情に何やら不穏な空気を感じ取る横島。
しかし、自分に妙案があるわけではないのでとりあえず素直に聞くことにする。


「例えば君に恋人がいたとして、その恋人が何らかの犯罪をしたとしよう。
 その場合、君は恋人を平気で警察に突き出すような真似をするかね?」

「恋人が犯罪ですか? その状況になってみないとわかりませんが・・・・・・
 まぁ、すすんで突き出したりはしないでしょうね」

「そういう事だよ、式森君」

「はい?」


横島にはつまりどういう事なのか全く理解できていない。


「わからないかね?
 つまり彼女達を君の虜にしてしまえば、
 進んで君の不利になるような事はしなくなるだろう?
 惚れ薬か魅了の魔法を使って彼女達を君の虜にしてしまえばいいのだよ」

「ああ、そういう事ですか・・・・・・・・・・って、ええッ!!


一瞬納得しかけた横島だったが、寸での所で事の重大性に気がついた。
すなわち、紅尉が言っているのは来花達を手篭めにしてしまえと言う事なのだ。
例え話よりもさらに危険度が増大していた。


「何馬鹿な事を言ってるんですか!!!
 そんな真似できるわけ無いでしょう!!!」


とても教師とは思えぬ紅尉の発言に憤慨する横島。
しかし、紅尉のほうは澄ましたままである。


「他に方法は無いだろう? それに力ずくで無理矢理押さえつけるわけではない。
 薬や魔法で当人の気持ちを操る事にはなるが、その分君が彼女達を幸せにしてあげれば良い。
 男の夢、ハーレムだよ?」

うぐッ!・・・・・・・・・・やっぱり良くないですよ!
 大体俺はずっとこの世界にいられるわけじゃないんですよ!?
 そんな無責任な事できるわけないでしょう!!!」


ハーレムと言う単語に一瞬心動かされたものの、
これまでの辛く苦しい経験によって鍛え上げられた横島の精神力は並みではない。
すぐさま持ち直し、紅尉の言葉を真っ向から否定する。


「では聞くが、君はこれまでに行った異世界で色恋沙汰などは一切起こさなかったのかな?
 また直接的な関係にはなっていないにしろ、そうした感情を周りの人間に与えなかったか?」

「うっ・・・・・・」


しかし、すぐさま痛いところを突かれて思わず黙りこんでしまう。
確かにこれまでの世界の事を考えれば、彼には反論する資格はない。
ここをチャンスと見てさらに畳み掛ける紅尉。


「それに式森君。見ての通り彼女達は相当な美少女だ。
 こんな可愛い子達が君の思いのままになるんだぞ」

「え? お、思いのままですか?」

「そうだ。思いのままだ。
 君がどんな事をしても彼女達はそれを恨んだりしない。
 むしろ喜んで受け入れてくれるのだ。
 いや、彼女達が受け入れるように君が仕込むことが出来るのだ。
 君にとっても彼女達にとっても悪い話ではないだろう?」


紅尉の口調が悪徳商法じみてきている事に全く気がついていない横島。
あどけない寝顔を晒す3人を見てゴクっと喉を鳴らす。
今、彼の脳内で正義と悪の心が戦いを始めた。


「もし何かあっても別に君が最後まで責任を持つ必要は無いんだ。
 君も言っていたが、事が済めば君はこの世界からいなくなってしまう。
 後腐れも全くないんだぞ?」

「・・・・・・・・・・」


魅惑の言葉で横島脳内戦争に新たな援軍が到着。
戦力差が一気に1:10となった。
どちらが増えたのかは推して知るべし。


「で、でも、魅了の魔法や惚れ薬だって永遠に効果が持続するわけじゃあ・・・・・・」

「確かに効力が永遠に続くことはない。
 だが、効果が働いている間に彼女達の心に君を深く刻み込んでしまえば、
 効果が切れた後も彼女達の気持ちは君に向き続ける事になるだろうね」


圧倒的戦力差でも何とか踏ん張っている正義の心から発せられた反論だったが、
紅尉の素早いカウンターでさらなる増援を招く結果となった。
もはや決着は時間の問題であろう。
そして止めとばかりに紅尉が薬の入った小瓶を差し出した。


「さぁ式森君。これは私が調合した惚れ薬だ。
 この薬を飲んだ後、最初に見た異性に心酔し従属してしまうと言う超強力な薬さ。
 効果は24時間。
 眠っている状態では効果が無いから、使うときは彼女達が目を覚ました後にしたまえ。
 あとは薬を飲ませ、勢いでヤる事ヤってしまえば全て完了だ」

「・・・・・・・・・・」


紅尉の口から紡がれる悪魔の誘惑。
ほとんど洗脳と化している。
そして横島の脳内戦争も終わりを告げた。


「やっぱりダメっす!!!
 自分の都合で他人を弄ぶなんて事、
 俺には出来ません!!!」


おお! 何と勝者は正義の心だった!!!
さすがは人類の救世主たる横島 忠夫。
これまでの辛く苦しい経験が、彼を真の聖人へと成長させていたのだ!!!
紅尉の顔を正面から見据えて、悪魔の誘惑を真っ向から否定した!!!


「・・・・・・・・・・しかし式森君、君の身体は心に忠実なようだね」


だが、それは口先だけだった。
言葉とは違って心に素直に従った彼の手は、
紅尉の持っている小瓶をガッチリと握り締めていた。
しかも両手で。


「・・・・・・・・・・」


さっと紅尉から顔を逸らす横島。
所詮横島は横島なのだ。
どれだけ辛く苦しい経験をしてきたとしても人の本質は変わらない。
どれほど強靭な精神力を身につけていたとしても許容量を越えてしまえば意味は無かった。


「それじゃあ私は少しの間席を外しているとしよう。
 既に君たちの担任には欠席の連絡をしているので、時間は気にする必要は無い。
 あと彼女達にかけた眠りの魔法はある合図で解けるようになっている。
 それぞれの額に人差し指を当てて『目覚めよ』と言えばいいからね。
 一応他の生徒達が入れないように結界を張っておくよ。
 では式森君、頑張ってくれ」


ナニを? とは当然突っ込まない横島。
紅尉はそのまま横島に薬を手渡すと、そそくさと保健室を後にしていった。
扉を閉める直前、意味ありげな笑みを残して・・・・・・


保健室を出た後、紅尉はまだ人気のない校舎内を歩いていた。
だが、あれだけノリノリだったにも関わらずその表情は冴えない。


「すまないな、式森君。
 私とてあのような方法は本意ではないのだ。しかし君の存在はあまりにも特殊すぎる。
 もし君の事が外部に洩れてしまえば、君は使命を果たすどころではなくなってしまうだろう」


誰に言うわけでもなく、ただただ己の胸の内を吐露する。
先程までのような教師らしからぬ発言は全て横島のためを思ってのことだったのだ。
だが、考えてみればその通りである。
もともと先祖に高名な魔術師を多く、自身にも強大な魔力を宿していた式森和樹。
その彼に異世界から来た人間の魂が入り、
使用回数が回復する魔力とは別の力を持ってしまったなどが世間に知れればどうなるか。
その結果など火を見るよりも明らかである。


「式森、いや横島君・・・・・・君が使命を果たしてこの世界を去るその日まで、
 私は君と共に歩んでいく事にするよ」


そう呟き、そっと窓の外に視線を送る紅尉。
その時ちょうど木々の間から光が差し込み、紅尉を包み込むようにして照らす。
まるでそれは、異界からの来訪者を受け入れた彼に祝福を与えているかのようだった。


「何しろ時間は限られているのだからね。
 他の研究者どもにくれてやる時間など1秒たりとも存在していないのだ。
 おっと、早々に特殊な実験器具や薬品を取り寄せなければな。
 横島君、これからの実験結果に大いに期待させてもらうよ?
 ふっふっふっふっふっふっ・・・・・・・・・・とりあえず解剖は最後だな」


そして彼が祝福された分だけ、横島へ不幸が圧し掛かっていくのだった。


続く


あとがき


開始4話目にして早くも大人のゾーンへ突入?!
果たして横島君は3人へ手を出してしまうのか?
そして実験の準備を着々と整えつつある紅尉。
彼の魔の手から横島は逃げる事が、それ以前に気付く事ができるのか?

前回のあとがきでB組での騒動と書きましたが、
他のB組メンバーが出てくるのはもうちょっと先になります。
予定は未定といいますか、意外にこの話が長くなってしまいそうなので。


お知らせ


次回の話を年齢制限を付けるかどうかは未定です。
一応18禁、一般の両方とも下書きはあるのですが・・・・・・どっちもどっちで。
ご希望がお在りの方はレスへ書き込んでください。


では、レス返しです。

・かなりあ様
 紅尉先生は基本的に科学者としての己の欲望に忠実で、
 そのためには鬼にも悪魔にでもなってしまうのです。
 実は一番壊れているのはこの人?
 どちらが強いのかは・・・・・・物語が進めば明らかになります。

・覇邪丸様
 利害なしでの協力関係はありませんね。
 むしろ、横島の方が百害あって一利なし?

・D,様
 類は友を呼ぶ・・・・・・と言うわけではありませんが、
 きっと彼はそんな星の下に生まれているんでしょう(笑)

・杭様
 とりあえず横島君の運命は波乱しかないでしょうね。
 霊力回復はせめてもの情け、でないと到底生きていけないでしょう。

・カーマイン様
 もはや蜘蛛の巣に囚われた哀れな昆虫。
 もしくは蛇に睨まれた蛙でしょうか?
 どちらにしろ、もはやどうしようもなさそうですね。


皆様のレスは小説を書く上で大変参考になります。
これからもご意見を活かしていけるように頑張ります。

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