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「GS in まぶらほ 第3話 (GS+まぶらほ)」

D系 (2006-07-26 02:55/2006-07-26 04:54)
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GS in まぶらほ


第3話  くんじゃった・・・・・・最凶の相方と


「・・・・・・・・・・」


部屋にやってきたマッド紅尉によって告げられた突然の死刑宣告。
事前に危険信号を感じていたとは言え、
さすがの横島もここまで突拍子も無い言葉が来るとは予想していなかったようである。


「あの、紅尉先生・・・・・・死ぬってどういうことですか?」

「どうもこうもないだろう。君とて覚悟の上で使ったのではないのかい?」

「・・・・・・・・・・・え?」


とりあえず疑問系で言葉の真相を問うた横島だったが、それを逆に疑問系で返してくる紅尉。
しかも奇妙な言い回しだったため、余計に混乱し沈黙してしまう横島。
それでも何とか頭を働かせ、記憶の中から紅尉の言葉に相当する事柄を引っ張り出そうとする。


(覚悟の上で・・・・・・使った? 使ったってどういう事だ?)

「君の性格を考えればあの状況では仕方がなかったと言うしかないかもしれないがね」

「あの、使ったって何をですか?」


しかし混乱している状態では浮かんでくるはずも無く、あっさり放棄して紅尉に答えを求めた。


「・・・・・・・・・・」


と、今度は紅尉のほうが横島の台詞で沈黙してしまう。


「・・・・・・・・・・?」

「・・・・・・・・・・式森君、それは本気で言っているのかね」


神妙な、と言うよりは完全に呆れている表情で問う紅尉。
この反応からして、紅尉のほうでは横島が当然死の事実、
そして原因を認識していると思っていたようだ。


「・・・・・・ええっと、その」


紅尉の視線の言葉を濁す横島。
生憎と、横島はこれっぽっちもわかっていなかった。
もちろんふざけている訳ではなく真剣に考えての事だ。


「・・・・・・・・・・ふぅ、説明してあげよう」


横島の表情から本気で理解していない事を悟ったのであろう。
深いため息のあと、紅尉が横島に説明を始めた。


「先程起きたベヒーモスの騒動において、君は魔法を使用した。
 ベヒーモスに対しての攻撃、そして戦闘中の動きから推察するに身体能力の強化。
 戦闘中に私が認識できたのは3回だ。
 ただ、念のために先程君の残り回数を測定したところ、残り回数が1回となっていた。
 あと3回を何に使ったかは知らないがね」

「・・・・・・・・・・は?」

「さて、魔法回数を使い切ってしまえば灰になってしまうことは知っているね?
 だが、単純に魔法回数が少なくなってきただけでも身体に影響を及ぼす事に繋がる。
 体力の低下、免疫力の低下などがその代表例だ」

「・・・・・・・・・・」

「おそらく、現段階で既に君の身体にも影響が出始めているはずだ。
 そしてそれを放置しておけば確実に生命の危機に瀕する事になるだろう。
 だからと言って、明確な対処法があると言うわけでもないんだがね
 ・・・・・・式森君、聞いているかね?」

「・・・・・・・・・・」


紅尉の問いに沈黙で答える・・・・・・もとい、完全に無視する横島。
だが、別に意図的に無視したわけではない。
彼の頭では今、紅尉の説明によって明かされたワンフレーズがリフレインされていた。


(俺の残り魔法回数が・・・・・・1回? 残り魔法回数が1回ってどういうことだ?
 さっきの戦闘で俺が使ったのは魔法じゃなくて霊力だぞ?
 身体強化だって栄光の手だって霊波砲だって、全部普段どおりの手順でやった。
 そりゃあ確かにコイツの魔力の影響か何かで滅茶苦茶に大きくなってはいる・・・・・・ん?)


そこで横島の思考が止まった。
と同時に、限りなく真実に近いであろう想像が組みあがった。


(つまりアレか? 式森和樹の魔力の影響で俺の霊力がデカくなっちまったのと同時に、
 俺の霊力にも回数制限なんて厄介なもんが付いちまった訳か?
 しかも俺の霊力がこの世界で言う魔力と同じような性質になって、
 使い切っちまったら灰になって・・・・・・・・・・消滅?)


「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・式森君?」


無視されたことで少々気分を害した様子の紅尉だったが、
横島の顔がこれまでと全く違っていることに気がついて声をかける。
しかし、横島は反応を返さない。
そりゃそうである。
彼は今、自分自身が置かれている状況を理解したのだ。
しかも、もうどうしようもないと言うオマケつきで。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「式森君、大丈夫かね? 式森君? しきも・・・・・・」


「うそだぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


紅尉の呼びかけを打ち消す横島の怒号。


「何で異世界に来て早々こんな目に?!
 せっかく前の世界の危機を救ったってのに!! 
 あれか? 嫌がらせか?
 これは嫌がらせなのか?!
 ふざけんなッ!  
 責任者出て来〜〜〜〜〜〜い!!!!!」


街で暴れていたベヒーモスにも負けず劣らずの咆哮。
理不尽な己の境遇を嘆き、不可解な現象を引き起こしたであろう存在に全てをぶつけている。
だが頭に血が上りすぎていたためか、横島は重大な事をド忘れしてしまっていた。


「・・・・・・・・・・式森君


そう、今この部屋にいるのは自分1人ではないという事を・・・・・・


「・・・・・・・・・・え?」


静かな、それでいてどこか逆らいがたい印象を与える声に横島が我に返った。
そしてゆっくりと首を回し、声の発生源に視線を合わせる。


「・・・・・・・・・・」


そこにいるのはもちろんの事マッド紅尉。
何やら異常なまでに目を輝かせて横島にアツイ視線を返していた。


「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・説明してくれるかな?」

「・・・・・・・・・・はい」


〜 それから20分後 〜


「・・・・・・・・・・と、言う訳なんです」


この期に及んで致命的ともいえるミスを犯してしまった横島は、
紅尉相手に誤魔化しても仕方がないと思ったのか正直に白状した。
もっとも、彼自身にも正確なことがわかっているわけではないので、
自身の想像を交えながらの説明となったが。


「ふむ、つまり君は『横島 忠夫』という人物であり、
 何者かの力の干渉によって精神のみを異世界に飛ばされ、
 式森君の身体の中に入ってしまった。
 こうなった本当の目的は君自身にもわかっていないが、
 今までの経験からしてこの世界で起こるであろう危機を救うためにやってきた。
 そして式森君の身体に入った事で君の霊力と言う力が式森君の魔力と何らかの反応を起こし、
 より強力なものとなった反面、限られた回数しか使えないと言う制限がついた。
 だが君はそれを知らずに力を使い、気がついたときには残り1回になっていた。
 ・・・・・・・・・・こんな感じの認識で良いかな?」


全ての説明のあと、紅尉は横島の言葉から理解した事柄を端的に挙げて確認を取る。
さすがにマッドの名を持つだけあって頭の回転が速い。
ついでに非常識な事柄に対する順応力も高い。


「ええ、大体そんな感じです。霊力に関しても完全に俺の憶測ですけど、たぶんいいと思います」

「そうか。いや、しかし驚いたよ。
 念のため事前に防音の魔法を使っておいてよかったな」

「え・・・あ、そっか。あれだけ大声で叫んだら寮中に聞こえますもんね」


先程の我を忘れた絶叫の危険度の高さを今更認識。
彼も相当にキているようである。


「では式森・・・・・・いや、横島君はこれからどうするつもりなのかね?」


最終確認を終え、話題は横島の今後についてへと移っていく。


「俺のことは式森 和樹でいいですよ。
 おおっぴらにこの事実を他人に知らせるわけにもいかないですし、
 俺も慣れないといけないんで」

「そうか。では式森君、改めて聞くがこれからどうするつもりなのかね?」

「そうですね・・・・・・まずは残り回数を何とかしないといけません」

「しかし式森君、魔力回数を回復させたと言う正式な事例はほとんど皆無だ。
 使用した分の回数を回復させるのは不可能だと思うよ」

「それについてなんですが、紅尉先生のレンズで回数が表示されてる以上、
 俺の霊力の性質は限りなく魔力のそれに近いものになっていると思われます。
 ですが、感覚から言ってもあくまで近いというだけであって本質は霊力のままです。
 本来ならば霊力は一定の休息、簡単に言えば睡眠をとれば回復します。
 ですんで、もしかしたら明日には回復している可能性もあります」

「なるほど。確かにこの件に関しては打つ手が無い。
 自然回復が行われることに期待するしかないな」

「あと今後の行動ですけど、これについてはしばらくの間は普通に過ごそうと思います。
 要は臨機応変ですね。
 事件が起こった場合はどうしても後手後手になりますけど、
 実際どんな事がいつ起こるかわかっていないんで、これは仕方がないことでしょう」

「それも妥当なところだろうな。
 明確なことがわかっていない以上、下手に動き回るのは得策ではないからね。
 ただ、それも霊力が回復すると前提にした話ではあるが・・・・・・」


その後会話は熱を帯びていき、
霊力に関することからお互いの世界についての情報など様々な事を話し合っていく。
結局、話が終わったのは夕日が沈みきるまで続くのであった。


「・・・・・・ん、もうこんな時間か。式森君、今日はここまでにしておこうか」

「そうっすね。とりあえず明日朝一番で保健室に行きますんで、残り回数の測定をお願いしますね」


夜の帳が下りた頃、ようやく2人の会話、と言うよりも討論は終了した。
紅尉は未知の知識を大幅に知る事ができたと満足の様子。
横島も和樹の記憶では補完しきれない部分をなくす事ができ、
両者共に実に有意義な時間となっていた。


「それじゃあ私は失礼するよ。式森君も十分な休息を取っておきたまえ」

「ええ、今日は色々と有難うございました」


舞台を玄関に移し、最後に軽く言葉を交わす2人。


「そうだ式森君。今日の街での被害の事だが、
 あれは全てベヒーモスによるものと報道されている。
 また、建物の被害の割りに怪我人は少なく、死者はなしだそうだ」

「あ、そうだったんですか。よかったぁ〜」

「ただし、裏ではこの騒動に疑問を持つ者も出てくるだろう。
 君もわかっているとは思うが、今後は迂闊な行動は控えてくれよ。
 それじゃあね、式森君」

「はい、出来るだけ善処いたします。
 今日はホント、有難うございました!・・・・・・・・・・ふぅ」


紅尉が去ったあと、テーブルの上のコップや麦茶ポットを無視してベットに倒れこむ横島。
話した分だけ精神的には楽になったが、やはり身体に圧し掛かるダルさは消えていなかった。


「何だか、今までに比べて滅茶苦茶に疲れたな」


大きく息を吐き、天井を見つめる。
介入したさきからその世界の人間に正体がバレ、厄介な制限まで付いてしまった。
今回の介入は、これまでとそれとは大きく異なっていた。


「でもまぁ、紅尉先生は協力的だし結果的には良かったんだろうなぁ」


顔を見た瞬間に横島の身体を駆け抜けた特S級の危険信号。
だが、事態は逆に横島にツキをもたらす事になった。


「こんな突拍子も無い話を真面目に聞いて、しかも信じてくれたなんてな。
 なのに俺は無駄に警戒しててさ。
 明日行ったら、一応謝っておこう・・・・・・・・・・ふぁ〜〜〜あ。
 ・・・・・・・・・・まぁ、とりあえず寝よ」


様々な意味での疲労が溜まっていたのであろう。
寝ると決めてから数分後のは横島の意識は途絶え、微かな寝息が聞こえ始めたのだった。


何はともあれ、こうして横島の異世界第1日目は終わりを告げた。


だが、彼は知らなかった。


「まさか異世界の人間が式森君になってしまうとはな・・・・・・・・・・ふっふっふっ。
 上手く丸め込んで是非実験を・・・・・・・・・・あわよくば解剖を・・・・・・ふっふっふっ」


部屋を後にした白衣のマッドが、こっそりとこんな台詞を呟いていた事を・・・・・・


続く


あとがき


今回は会話が中心です。
紅尉先生には横島君の真実を知る人物になっていただきました。
協力者なしでも良かったんですけどね。
でも、やっぱりマッドはマッドです(笑)
次回は横島の霊力残り回数がどうなっているか、
そして葵学園の悪魔の巣窟【2年B組】での出来事です。
すでに事の真相を掴んでいるもう1人の行動は・・・・・・・・・・


では、レス返しです。
前回のラストで個別に対応しますと書いておきましたが、
仕事が忙しいためにこちらの小説を書くことにあまり時間が取れませんので、
前回同様に質問等をまとめて返事させていただきます。
レスを書いてくださった皆様にはまことに申し訳ないことと思いますが、ご容赦ください。


・このSSは基本的にギャグ・コメディ系なので、
 被害その他でブラックな展開になることはありません。
 原作のメインヒロイン3人がやってきてからはもっと凄まじい事も起こるでしょうから、
 ぶっちゃけて言ってしまえばこのぐらいの被害はまだまだ大した事ありません。
 まぁ、メインヒロインが来るまでもなく被害は出そうですけど。

・横島君の霊力についてですが、
 常識では考えられない強さになったり回数制限がついたり使い切ったら灰になったりと、
 完全に魔力になってしまっているようですが、あくまでも本質は霊力のままです。
 まぶらほ世界の魔力の特性を持った霊力とお考えください。

・横島君の性格に関する補足です。
 この3話でこのSSにおける横島君の性格が、
 明らかに原作とは異なっていると言うことがお分かりになられたと思います。
 この設定に反対意見をお持ちの皆様も多いとは思いますが、
 あくまでも作者の好みと言うところでご容赦ください。

・今回の騒動に関する横島君の対応についてですが、
 私自身、あの被害はそこまで深い意味があったわけではなく、
 一旦知ったとは言え、自分自身の霊力のデカさに唖然とするという上での演出でした。
 ですが、確かにもう少し深い部分まで考えるべきでした。

・マッド紅尉さんはこれからもレギュラー並みの登場頻度で出現します。
 今のところ横島に対して表面上は友好的な感じですが、
 今回の最後の台詞からわかるとおり、裏では結構アブない考えを・・・・・・


皆様からのご意見は小説を書く上で大変参考になります。
皆様のご意見を活かしていけるよう、これからも精進していく次第です。

覇邪丸様、気泡様、D,様、Dちゃんす様、ラク様
杭様、詩音様、佳代様、ピロ様、ももん様
Band様、HAPPYEND至上主義者様

レスを頂きまして、ありがとうございました。

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