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▽レス始

「GS in まぶらほ 第2話 (GS+まぶらほ)」

D系 (2006-07-13 05:36/2006-07-13 06:02)
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GS in まぶらほ


第2話  わかっちゃった・・・・・・あくまでも暫定的に


「いくぜッ!」


気合とともに突っ込んでいく横島。
細かな制御を必要とする技の使用は困難なものの、
『霊力による身体能力の強化』に関しては全く問題がなかった。
むしろ使い切れないだけの霊力を抱えているため、これまでとは強化の次元が違う。


「グオォォォォォォォ!!!」


咆哮と共に爪を振り下ろすベヒーモス。
凄まじい魔力を秘めたベヒーモスの繰り出す攻撃は、喰らえば一撃で死んでもおかしくはない。
だがそれはあくまでも喰らえばの話。


「あらよっと!」


身体強化によって運動能力が向上いている横島にとって、
その巨体から繰り出される攻撃など目を瞑っていても避けられる程度のスピードでしかない。
戦闘になることを想定し、
ベヒーモスを吹き飛ばしている間に脚のみの局部強化から全身強化へと切り替えていたのだ。


ドガンッ!!!


獲物を捉えられなかった爪が空を切り、地面を裂く。


ドゴンッ!!!


そして栄光の手を纏った横島の拳が再び顔面に炸裂する。


「グオッ、オォォ・・・ォォ・・・・・・」


同じ箇所への連続攻撃はさすがに堪えたのか、後ずさりながらよろめくベヒーモス。


「チャンス!!!」


その隙を見過ごすはずもなく、一気に間合いをつめてベヒーモスの顎下に潜り込む横島。
そして右アッパーでベヒーモスの顎を跳ね上げると、
露になったどてっぱらに向けて霊波砲を放った。


「制御しにくいといっても、この至近距離なら絶対外さねぇぜ!!!」


抑えるのに一苦労の霊力を一気に解放し、暴れ狂う霊力を左手の掌から前方に放出。
たちまち凄まじい光が当たりに広がり、魔獣の巨体を包んでいく。


ゴオォォォォォォォォ!!!!!


しかし横島の考えは甘かった。
確かに狙いは逸れることなく、ベヒーモスは光の奔流に飲み込まれてその姿を完全に消滅。
だが、あまりにも強力すぎる故に
魔獣と共に辺り一帯の建物やらなんやらまで巻き込んでしまったのだ。
その結果・・・・・・


「・・・・・・あ」


霊力の放出が途絶えたあと、
彼の視界には深く抉れた大地と倒壊・消滅してしまった多数のビルが映し出されたのだった。


「霊波砲って言うかただ単に霊力を外部に放出しただけなのにこの威力。
 こいつは早い段階で制御できるようにならないと危険だな」


今更ながらに己に備わった力の強大さを思い知る横島。
ただただ目の前に広がっている戦いの爪痕を眺めていた。
・・・・・・なんていつまでもクールに決めている場合ではない。


「しかし、これどうしよう・・・・・・」


そう、目の前の甚大な被害は彼の暴走霊波砲によるものである。
大通りは地面と共に抉れ、近隣のビルも消滅および崩壊。
おまけに最初に霊力を解放した場所の周辺も、
解放時に発生した霊力の気流により瓦礫の山と化している。
あちこちに人間らしき手やら足やらが生えており、
時折ピクピクと動いている気がするがそれはこの際スルーしておこう。


「・・・・・・・・・・逃げちゃおうかな」


責任放棄してこっそりと悪の呟きを洩らす横島。
が、国家権力の対応は意外に早かった。


ファンファンファンファン!!!


遠くから聞こえてくるサイレンの音。
おそらく騒ぎを見ていた誰かが通報したのであろう。


「やべっ! このままでは捕まってしまう!」


危険を察知し、すばやくその場を離れようとする。
この状況で警察に出くわせば、間違いなく職務質問・・・というよりも警察署に連行されてしまう。
もし被害の原因が自分と露呈してしまえば即逮捕。
魔獣退治という大儀名文があるとしてもさすがにやりすぎである。


「そうと決まればさっさと逃げる・・・・・・前に」


そう言って向きを変えると、2人の人物が彼の視界に入る。
そこにいるのは先程ベヒーモスから助けた沙弓と和美だった。


「「・・・・・・・・・・」」


全てが終わったにもかかわらず、2人は呆然とその場に座り込んでいた。
いや、全てが終わったからこそこの状態になってしまっているのだろう。
とは言ってもこのままここに残していくわけにもいかない。
でないと警察に事情を聞かれた場合に彼女達の口から真相が・・・・・・


「・・・・・・い、いや、精神的ショックを受けた子を残していけるわけないからな、うん」


本音を建前で隠しつつ、2人の傍に歩み寄る横島。
そしておもむろに彼女達に手を伸ばすと、そのまま一気に抱き上げる。
いくら少女といっても2人となるとそれなりにキツイと思われるが、
身体強化状態のままなので特に問題はなかった。


「・・・え、ちょっと、式森君?!」

「・・・な、何するの!?」


突然重力に逆らって浮かび上がった事に我を取り戻し、横島の行動に動揺する2人。
そりゃあいきなり抱きかかえられればそうなるだろう。
しかし横島はニッコリと微笑んでこう告げた。


「危ないから、少しの間掴まっててね」
(おおっ、両手に美女の柔肌の感触が・・・これぞ役得!!!


腐れ外道的な考えを隠しつつ全力ダッシュ。
凄まじい砂嵐とソニックブームを撒き散らしながら逃走したのであった。
余談ではあるが、この爆裂ダッシュによって被害が拡大したとかしなかったとか・・・


しかしこの時、横島は重大な事を見落としていたのである。


「あれが式森君の魔力・・・・・・実際に見てみると凄まじいものだな。
 しかし、先程の戦いで随分と魔法を使っていたようだが、大丈夫なのだろうか。
 ふむ、これは調べに行ったほうがよさそうだな。
 ・・・・・・・・・・ついでに解剖でもしてみようか」

「まさか新学期早々にこんな特ダネが手に入るなんてね。
 15m以上のベヒーモスも珍しいけど、よりにもよって式森君がそれを倒しちゃうなんて。
 でも和美と沙弓を抱えてどこかに行っちゃったわよね・・・・・・・・・・まさか!?
 ふっふっふっ、明日の学園新聞(号外)が楽しみだわ」


既に複数の人間に事の真相が知られてしまっている事に・・・・・・


「ふぅ〜、何とか危機は脱したな」


結構重大な見落としをしている事に全く気がついている様子のない横島君。
逃走後、彼は記憶に従って葵学園の男子寮『彩雲寮』の自室へとやってきていた。
ちなみに担いできた和美と沙弓はすでに女子寮『朝霜寮』に送り届けている。
もっとも、2人は横島と分かれる際に事の説明を要求して随分とごねていたのだが、

『色んな事がありすぎて混乱してるだろうから後日に日を改めて』

という横島の言葉で引き下がっていた。


「しかし最近の子は発育が良いなぁ〜。
 スカート越しだったとは言えあの感触はなかなかどうして。
 それにしても喉が渇いた。何か飲み物は・・・・・・」


再び腐れ外道的な発言を残し、横島はキッチンに置いてある冷蔵庫を物色。
中にあった麦茶を引っ張り出し、コップに注いで一気に飲み干した。


「んく、んく、んく・・・・・・ぷはぁ〜、夏以外に飲む麦茶もいいなぁ」


続けて2杯ほど飲んだ後、ポットを冷蔵庫に戻してコップを流しに。
そのままフラフラと歩いていきベットへと倒れこんだ。


「・・・・・・・・・はぁ、疲れた」


まさしく今の横島の心情である。


「・・・・・・しかし、一体何でこんなにデカイ霊力が身についちまったんだろう?」


仰向けになり、天井を見ながら一人呟く。
最初に霊力を解放しようとしたとき、あまりの大きさに制御できなかった。
その後は細心の注意を払ってコントロールしたものの、
結局最大値には遠く及ばないところまでしか引き出す事が出来なかったのだ。


「この式森 和樹ってやつの魔力が影響したんだろうか?」


今のところ考えられる要因はそれしかない。
おそらく何らかの作用によって横島の霊力と和樹の魔力が融合してしまったのであろう。
さらに横島が彼の記憶を辿ってみたところ、
幼少の頃に魔法を使って雪を降らせると言う偉業を成し遂げている事があった。
横島は魔法と言う概念を理解しているわけではないが、
天候などの自然現象に干渉するとなるとそれ相応の魔力とやらが必要なはずだ。
だとすれば、同一の基準で計ったとしても和樹の魔力は横島の霊力を遥かに凌ぐ事になる。
記号で表してみれば、

横島の霊力<<<<<<<<<<<<<<和樹の魔力

といった所であろうか?


「・・・・・・コイツって、落ちこぼれに見えて実は凄いんじゃないだろうか?」


回数こそ少ないものの潜在的な魔力では群を抜いている。
それが横島の思い当たった結論だった。
とは言え、今はその事を気にしていても仕方がないのである。
何しろなってしまった以上どうすることも出来ないのだから。


「まぁそれはいいとして、早くこの力に慣れないと面倒な事になるな」


当面の問題はそれである。
身体能力の強化に関してはこれまでよりも効果的に使えるようになっているものの、
それを覆い尽くして余りある欠陥が存在した。
中でも問題なのが霊波砲。
己の霊力を体外に放出する飛び道具的な技ではあるが、
今の状態ではハッキリ言って超デンジャラスな最終兵器と化してしまっている。


「目標諸共辺り一面を一瞬にして荒野にしちまったからな」


今頃、現場では警察やら消防やら救急やら国家権力の末端達がてんてこまいになっているはずだ。
最凶の召喚獣の暴走を阻止するつもりが、自分でそれ以上の被害を出していれば世話はない。


「霊波砲だけじゃない。他の技も同じだ」


霊波砲に比べれば安全に使用できるものの、他の技にも大きなマイナス面があった。
例えば先の戦闘で使用した栄光の手。
一見問題なさそうだがそうでもない。
確かに霊力がでかくなった分だけ威力も上がったと言えるのだが、
逆にデカ過ぎて集束させる事が出来ないため、霊力の使用効率が悪いのだ。
短期決戦ならともかくとして、戦闘が長期にわたった場合霊的なスタミナに不安が出てくる。
霊波刀も同じような理由のデメリットが存在する。


「何より、文珠が使えないってのが致命的だ」


そしてこれこそが最大の問題であった。
細かな制御が出来ない以上、繊細なコントロールを必要とする文珠は作れない。
サイキック・ソーサーでさえ作れなかったのだからこの点はかなりの重症といえる。


「とりあえずは霊力の制御に関する特訓だな。
 にしても、ふぅ・・・・・・何でこんなにだるいんだ?」


能力に関する問題を改めて把握し終えたところで溜息。
ここで横島はもう一つの問題、異常なまでの身体のだるさについての検討に入った。


「この異常なだるさはやばい。
 そう言えば、霊力を使っていく度に酷くなっていったんだよな」


当初は何も感じていなかったが、
和美達を庇うために身体強化をかけて間に割り込んだときから違和感を感じ始めた。
その後栄光の手、暴走霊波砲と使っていく間にどんどん酷くなったのだった。


「別の人間になったからだと思ってたんだけど、何か違う気がするんだよなぁ」


  コンコン・・・・・・コンコン・・・・・・


「・・・・・・ん?」


ここで横島が、何者かがこの部屋のドアをノックしている事に気がついた。
身体もだるく思案の最中であるために無視しようと思ったが、
一度気にしてしまうと無視できなくなってしまうものである。
重い身体をベットから起き上がらせ、玄関の方へ移動。
そして内側からノブを回して鉄の扉を開放する。


「やあ、式森君」

「あ、えっと・・・・・・」


外の廊下に立っていたのは長髪の男性だった。
和樹の記憶の中から1人の人物が浮かび上がってくる。


「どうしたんですか、紅尉先生」


この男性の名は紅尉晴明。
葵学園保健室の主であり年齢不詳の謎人物。
4歳の頃から医者として活躍していたとか筋金入りのマッドサイエンティストだとか、
様々な噂があるものの真相は全て不明である。


「突然すまないね、ちょっと式森君に聞きたい事があったんだ」


紅尉は人の柔和な笑みを浮かべて話してくる。
これだけ見れば人の良さそうな好青年という印象を受けるが、
人一倍危険察知能力に優れている横島は、
彼の笑顔の裏の部分を感じ取っていた。


「聞きたいことですか?」
(ヤバイ、この男はヤバイぞ!)


危険信号を発していながらもそれを表に出すことなく応対する横島。
ただでさえ他の人間の身体に憑依しているというありえない状態なのだ。
ここで下手に勘ぐられでもしたら、それこそ取り返しのつかない事態になってしまう。


「申し訳ないんだが、部屋に上がらせてもらえるかな?」

「あ、はい。どうぞ」
(ちょっとなら別に上がらなくてもいいだろうが!)


本音を全て隠しつつ紅尉を部屋に上げる横島。
簡易のテーブルを引っ張りだし、お茶を用意するといって冷蔵庫の方に向かう。


(マズイ、何でか知らないけど滅茶苦茶マズイ気がする。
 適当に話を合わせて早々に帰ってもらうとしよう)


背を向けてそう決意を固める横島。
とりあえず先程飲んだ麦茶のポットを取り出し、
考えを一切表情に出さぬよう注意しながら紅尉の元に戻る。
と、


「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・あの、先生?」


麦茶を持って戻ってきた横島を待ち受けていたのは紅尉の熱視線。
と言っても別に色恋沙汰とかの意味は皆無。
眼鏡越しに何かを探るような感じを受けていた。
いつの間に変えたのか、眼鏡のレンズの色が片方だけ変わっている。


「・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・」
(そうか、紅尉先生はあのレンズを触媒にして魔法を使うんだったな。
 記憶だけあっても実感がないからいまいちピンとこないぜ)


視線に晒されながらそんなギャップを感じる横島。
それから十秒程ジッと見つめられていたが、目的を達したのか紅尉が一息ついて視線を外した。


「・・・・・・あの、紅尉先生?」

「式森君」


一体何なんですか?
そう問いかけようとした横島の台詞を紅尉が遮った。


「君、死ぬよ?


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?


横島が全く予想だにしていなかった言葉によって・・・・・・


続く


あとがき

マッド紅尉の口から突然の死刑宣告?!
横島君の身体に一体どんな事が起こっているのか。
そして紅尉以外に人知れず事の真相を目撃している人物。
この人物は横島君に対してどんな騒ぎを引き起こすのか?


補足説明

今回の独白部分はこのSSにおける超常的な力の設定だと思ってください。
もちろん解釈は人それぞれ違いますので、矛盾や疑問を感じる方もいらっしゃると思います。
ですが、その辺りは深く考えずに読んでいただけると嬉しいです。
深く突っ込んだ質問をぶつけられてしまいますと、私も困ってしまいますので。
情けない作者で申し訳ありません。
次回も説明的な部分、特に紅尉先生の発言に関する事が出てきます。

なお、随所に出てきました『身体強化』についても次回で明らかに致します。


では、レス返しです。

今回は第1話のレスという事もありますので、まとめてレス返しをさせていただきます。
次回以降は個別に返事をさせていただきますので。


・没ネタとしてお蔵入りするところを書き直した作品でしたので、正直不安なところはありました。
 ですが多くの方からのお褒めの言葉を頂きまして、嬉しく思っています。
 お褒めの言葉、ありがとうございました。

・更新ペースに関しましてはやはり第1話のあとがきに書きましたとおり不定期です。
 おおよその間隔としましては、早くても1週間程度は空くと思います。
 今回(第1話と第2話の投稿間隔)のような事はごく稀です。
 それでも多くの方に好評をいただきましたので、出来るだけ早く更新しようと心がけております。

・今回横島君が引き起こした騒ぎについてですが、これはのちのち話に響いてきます。
 今のところはスルーしていただいて良いかと思います。

・ヒロインにつきましては全くの未定です。
 個別カップリングかハーレムか、はたまたカップリングなしか。
 現段階の構想は物語り中盤までで、結末までは練っておりません。
 ですのでこれから考えながら書いていこうと思っております。
 なお、特定のキャラに対するご意見が多ければその扱いも多少変わる場合があります。

・横島君の能力についてですが、これは第3話の段階であらかた明らかになります。
 霊力が自由に使えないと言う事もありますし、
 本文に書いていましたとおり身体に悪影響も出ています。
 とりあえず単純な主人公最強になることはありません。

・横島君の性格についてですが、基本的に自制心のついた横島君と思ってください。
 原作のように無作為に煩悩に走る事はありませんが、そういう考えが全くないわけではありません。
 むしろ、そういうのが溜まっていけば一気に爆発・・・なんて事も。

・私の他サイトに投稿している作品についてですが、
 これは掲示板の投稿規約に違反してしまうため明言することはいたしません。
 気になる方は小説検索サイト等でお探しになられて下さい。
 申し訳ありません。

・誤字指摘、ありがとうございました。
 仕事が忙しくあまりこちらの方に時間が取れないため、全てチェックしきれないのが実情であります。
 出来るだけ誤字脱字はないようにしていきますので。


希望様、益田四郎時貞様、AZS様、koiou様、かなりあ様、
子猫煉様、覇邪丸様、親方様、kuikui様、杭様、
ラク様、ななし様、kou様、Grenade様、D,様、
coco23様、tori様、カーマイン様、HAPPYEND至上主義者様、カイン様、
詩音様、佳代様、kuma様


こうして感想をいただけるのは、作品を書いていく上で大変励みになります。
改めまして、レス有難うございました。

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