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「GS in まぶらほ(GS+まぶらほ)」

D系 (2006-07-11 13:59/2006-07-13 05:26)
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GS in まぶらほ


第1話  やってきちゃった・・・・・・新たな世界に


「・・・・・・・・・・」


とある店の前で呆然と立ち尽くしている1人の少年がいた。
彼の名は横島 忠夫。
美神除霊事務所アルバイトのGS見習いにして世界を救った英雄。
そして人界ただ1人の文珠使いである。
ちなみにアルバイトの給料は時給255円。
労働基準法完全無視の低賃金で・・・などと冷静に紹介している場合ではない。


「・・・・・・・・・・」


彼はこれまで数々の非常識な事件に巻き込まれてきた。
数々の悪霊・魔族と戦い、最強クラスの魔神をも葬った。
挙句の果てには別の人間になって異世界を救ったりもした。
だが、そんな大概の事では動じない彼でも驚いてしまったのだ。


「・・・・・・・・・・」


彼の目の前にあるショーウインドウのガラス。
そこに映し出されているのは、明らかに自分ではない人間の顔と体だったのだから。


「まさか、また別の人間になってしまうとは・・・・・・」


己の不幸を呪う横島。
せっかく異世界での戦いを終わらせたばかりだと言うのに、ほとほと不運である。
まぁ、すでに不運とかで済むレベルを逸脱しているのだが気にしてはいけない。
だが、今回はこれまでと違う点が一つあった。


「でも、今回はこの身体の持ち主の記憶があるな」


これまでは持ち合わせていなかった身体の持ち主の記憶。
どうやら今回はキッチリと受け継いでいるようであった。
もしかして慣れたのだろうか?


「・・・・・・名前は式森 和樹。昨年の春私立『葵学園』に奇跡的に合格した高校2年生。
 勉強もダメ、運動もダメ、特技もない。
 しかもエリート魔術師養成校に通っているにもかかわらず魔法の使用回数が僅かに8回。
 そのうち過去に1度魔法を使用しているため残り7回。
 何だか情けない奴だな、コイツ・・・・・・だが、この世界では一般人も魔法が使えるのか。
 それなのに科学技術などは俺の元の世界とさして変わらない。
 これまたずいぶん変わったところだな」


とりあえず記憶を辿ってこの身体の持ち主の事を調べていく横島。
だが、知れば知るほどに情けなくなってくる。
少なくともこれまでのスタート時より悲惨である。
だが、いつまでも凹んでいる場合ではない。
記憶と同時にこの世界の基本的な事柄も確認。
すでにこの現象を体験している横島の立ち直りは早かった。


「まぁいい。これがこれまでと同じ現象なら、この世界で果たすべき事を果たせばいいはずだ」


これまでの経験からそう仮定する横島。
もしこれがこれまでと同じ現象とするならば、
この世界で成すべき事を成せばこの人物の身体から抜け出せるはずである。
まぁ、かと言って元の横島 忠夫に戻れると言う保障は皆無。
今回のようにまた別の人間になってしまう可能性だってあるのだ。
・・・むしろそっちの可能性のほうが高い気がする。


「そうと決まればさっさと確認しないと・・・・・・」


ネガティブな考えを完全に捨て去ると、横島は人気のない路地へと移動する。
もちろんこれまで同様に霊力の状態を調べるためであった。
さすがに経験があるだけに行動が迅速である。


「・・・・・・さて、それじゃあいくか」


人目がない事を確認し、体内の霊力を限界まで高める。
それによって全身を覆うようにしてオーラのようなものが発生するのだ。
もちろん強い霊力を備えていれば発生するオーラも大きく、濃密なものとなる。
だが、ここで彼にとって予想外の事態が発生した。


ブォン!!!!


「な、何ッ!?」


思わず声をあげてしまう横島。
それもそのはず。
これまでの彼からは考えられないほどの凄まじいオーラが噴出したからだ。


ゴォォォォォォォ!!!


「クッ、くそっ・・・・・・・!!!」


オーラが竜巻のごとく暴れ狂い、周囲の壁を吹き飛ばしていく。
慌てて霊力の制御に全神経を集中させ、噴出したオーラをコントロールしようとする横島。
それから数分後、周囲の建物をあらかたなぎ倒したところで暴走は止まった。


「・・・・・・・・・・はぁ、はぁ、はぁ」


短く荒く呼吸。
外に溢れ出す霊力を押しとどめる事には成功したものの、
彼の体内では未だに行き場を失った霊力が暴れ狂っていた。


「こ、の・・・・・・!!!」


続いて強引に押さえ込んだ霊力を制御しにかかる横島。
これまで自分自身の霊力を制御しきれなくなった事などない彼には突然の事だったが、
それでも何とか鎮静化させることに成功した。


「・・・・・・・・・・ふぅ、収まったか」


大きく息を吐き、額の汗をぬぐう横島。
その表情からかなり疲弊している事がわかる。


「一体何なんだ、この馬鹿デカい霊力は・・・」


前の世界の最終決戦時などとは比べ物にならないほどの凄まじい霊力。
それこそ本来の彼の世界にいる神族、魔族並のポテンシャルである。


「さすがにアシュタロスとは比較にならないけど、少なくとも全力の小竜姫様以上はありそうだ」


妙神山の管理人であった麗しの竜神。
人界に駐留している中では上位に位置する神族である
その彼女の事を思い出しつつ、横島は再び霊力を高めていく。
先程のことを考え、今度は全神経を集中させていた。


「・・・・・・・・・・」


先程と同じようにしてオーラが出現する。
今回は先程のように暴走することなく、彼の全身を覆うにとどまっていた。


「・・・・・・・・・・ふぅ」


霊力を上げきったのか、ほっと息を吐く横島。
先程のことを考えて全開まではしていないものの、
やはりこれまでとは桁違いの強力な霊力だった。


「・・・とりあえず、技の確認しとくか」


現在の状態を維持しつつ、今度は技の確認。
まずは霊力を右手に集中させる。
と、すぐに具現化された霊力が右手を覆った。
彼の代名詞とも言える必殺技、栄光の手(ハンズ・オブ・グローリー)である。


「・・・・・・」


続いて纏った霊力の形状を変化させ、それを霊波刀へと仕立てる。
数回振るって感触を確かめた後、そのままサイキック・ソーサーへと移行。
だが、ここでもまた問題が発生した。


「・・・・・・だめだ、霊力をイメージどおりに変化させきれない」


爆発的に高まった横島の霊力。
そのせいだろうか、今までのように霊力をイメージどおりに変化させる事が出来なくなっていた。
栄光の手は単純にデカイ霊力が腕に纏わりついているだけ。
霊波刀も形状が固定せず非常に不安定で、
サイキック・ソーサーに至っては収縮させる事さえ困難になっていた。


「この分だと、おそらく・・・・・・」


最後に試すのは文珠の生成。
栄光の手を消して、霊力を手の平に集中させる。
だが、霊力を集中させ始めて数秒後、


ドカァァァァン!!!!!  


横島の手の平の上で大爆発が起こった。


「げほっ、げほっ・・・・・・やっぱりか」


この結果を半ば予想していたのか、横島は冷静だった。
と言うのも、文珠の生成には正確な霊力コントロールが必要になってくる。
だが、現在の横島では自分自身に宿った強大な霊力を制御しきることは無理。
そのために文珠を生成する事ができなかったのだ。


「普通は段階を踏んでいくものだからこんな事は起こらないんだろうけど、
 いきなりデカ過ぎる力を持っちまうってのも不便なもんなんだな」


爆発により汚れてしまった制服をはたきながら、そんな事を考える横島。
彼は今、過ぎた力は身を滅ぼすという言葉の意味を実感していた。


「霊力の制御についてはまた修行をしていくしかないな。
 とりあえず俺はここで何してたんだっけ・・・・・・あ、そうだ。
 始業式が終わってから学校を出て、それで街をぶらついてたんだっけ?」


汚れがある程度落ちたところで、今後の行動を決める横島
再び記憶を辿り、自分が何をしていたのかを把握する。
とりあえずその続きをするとしよう一歩踏み出したその瞬間、


「ガオォォォォォォォォン!!!!!」


身の毛もよだつほどの凄まじい咆哮が響き渡った。


「・・・・・・・・・・マジっすか?」


凄まじい咆哮にすぐさま身構え、声の出所であろう方向に体を向ける横島。
そのまま路地から大通りに出たところであるものが目に飛び込んできた。
それを見て、思わずそんな事を呟いてしまったのだ。


「グルルルルルルルルル!!!」


道路を挟んだ向かい側の歩道。
そこにいるのは凄まじい唸り声を上げている巨大な化け物だった。
和樹の記憶の中から一体の魔獣の姿が浮かび上がってくる
高位の魔術師でさえ敵わない程の強さを誇る召喚獣『ベヒーモス』
召喚獣の中でも最上のSランクに属する魔獣である。


「どこのどいつが召喚したんだ?」


すぐさまこの魔獣を召喚したであろう人物を探す横島。
と、魔獣の足元にボロボロになった布切れと杖のようなものを発見。
その布切れの周囲は赤い血で染まっていた。
ちなみにベヒーモスの口元にも赤い血が付着している。


「・・・・・・召喚しといていきなり喰われるなんて、めちゃくちゃ迷惑な奴だな。
 てか、なんでこんな街中であんなものを召喚したんだろう?
 にしても、このまま放置しておくわけにはいかんよな」


そんな惨劇を目にしても冷静さを失わない横島。
さすがに肝が据わっている。
彼はとりあえず、唸りを上げているベヒーモスをじっくり観察する事にした。
体長は15mを軽く超えており、同種族の中でもかなり力を持っている方だと推測できる。
そのおぞましい声と体から放たれる凄まじい威圧感は、並の人間が耐えられるものではない。
しかも相当気が立っているらしく、先程から地鳴りの如き咆哮を上げていた。


「実際に見てみると相当なものだな。確かこいつが暴れると自衛隊が出動するんだっけ?
 でもやっぱりこのまま放っておく訳にもいかないしなぁ。
 う〜ん、どうしよう・・・・・・・・・・あ」


どうしようかと長考していた横島だが、不意に視線を上げたときにある事に気がついてしまった。
ベヒーモスの前方20mほどの所に2人の美少女、
しかも顔見知り(もちろん和樹の)が立ち尽くしている事に。
どうやら逃げ遅れ、しかもあの威圧感をまともに受けて動けなくなってしまったようだ。


「グオォォォォォォォン!!!」


「やっぱりこうなるのね!」


どうやらベヒーモスも彼女達に気がついたらしく、咆哮してそのまま飛び掛っていった。
と同時に霊力を溜めた足で地を蹴り、横島はそのベヒーモスに向かって行くのだった。


ドゴンッ!!!


「「・・・・・・え?」」


それは夢か、はたまた幻覚なのか。
少女達には何が起きたのか理解できなかった。
突然目の前に現れた凶悪な召喚獣。
それが存在していること自体が夢のような話。
だがそれ以上に、自分達に飛び掛ってきた魔獣がいとも簡単に弾き飛ばされてしまった。
しかもそれをやってのけたのが、同じクラスにいる落ちこぼれの男子生徒だったのだ。


「・・・・・・大丈夫?」


少年は何事もないかのように振り向き、2人に安否の程を尋ねる。
その少年の姿を確認し、2人のうちの1人『杜崎 沙弓』が驚きの声を上げた。


「式森、君・・・・・・なの?」

「ああ、そうだよ」


驚きと混乱に包まれ、まともな判断が出来なくなっている沙弓。
そんな彼女に笑顔のまま告げる『式森 和樹』もとい『横島 忠夫』


「それにしても、間に合ってよかったよ」


怪我がない事を確認してホッと胸を撫で下ろす横島。
ベヒーモスが宙を舞った瞬間、横島は瞬間的に霊力を足に集中させて跳躍。
そのまま2人とベヒーモスの間に割り込んで『栄光の手』を発動させると、
ベヒーモスの顔面に思い切り拳を叩き込んだのだった。


「式森君・・・・・・どうして・・・・・・」


沙弓ともう1人の少女『松田 和美』が疑問を投げかける。
どうしてここにアレがいるのか、どうしてここに君がいるのか、
どうして助けてくれたのか、どうして助ける事が出来たのか、
未だ混乱している最中にあり、和美の「どうして」にはたくさんの思いが込められていた。
だが、横島はそれに答えることなく2人に背を向けた。
そして一言、


「説明はアイツを倒してからね。大丈夫、すぐに片付けるから」


言い終わると同時に駆け出していく横島。
少女達はその言葉の意味に気付いてにハッとし、彼の向かう先に視線を向けた。
そこにいるのは横島に対し敵意と殺意を剥き出しにしている凶悪な魔獣。
攻撃された事でさらに怒りが増しているようだ。


「式森君!!!」


「無茶よ!!!」


一時的にしろ危機が去り、少しだけ冷静になった2人。
横島の言った台詞が何を意味するか理解し、彼の無謀な行動を止めようと声を張り上げる。
だが数分後、そんな静止が彼にとっては無用なものだった事を2人は思い知るのであった。


続く


あとがき


和樹の持つ魔力と横島の霊力が融合。
巨大すぎる力を制御しきるのは難しく、逆に能力を制限されてしまった。
しかもいきなりベヒーモスとの戦いに。
この先一体どうなるのであろうか?


ご挨拶

どうも皆様、しがないSS書きのD系という者です。

さて、それではこのSSについてのちょっとした説明をさせていただきます。
まず、時期につきましては原作よりも数ヶ月前。
正確に言えば2年生の1学期、始業式終了後からのスタートとなります。
よってかなりオリジナル要素満載の作品になると思われます。
そしてこのSSは横島君が和樹君に憑依した形になります。
また本文のとおり、横島君はこうした憑依の経験があります。
と言いますのも、
この作品は私が他サイトに投稿している作品の続編没ネタを改めて文章化したものであります。
まぁ、続編といっても前作との関連性はほぼないに等しいので、
この話単体で独立しているような感じです。
(一応ここに書き込むこともあってその辺りの内容にも若干の変化をつけています)
横島君の性格が少々おかしくなっていると思っていただければ良いと思います。
このような事情の作品を投稿するのはどうかとも思ったのですが、
この度投稿に踏み切った次第であります。
もちろん問題などがありましたらすぐに消去させていただきますので。

更新は基本的に不定期です。
拙い作品ではありますが、どうぞよろしくお願いいたします。

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