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「狩人の世界に現れし福音者達  第10話(エヴァ+HUNTER×HUNTER)」

ルイス (2006-07-25 03:34)
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「これで良し、と」

 トンパがタイマーを付けると、壁が上がり、扉が現れた。

「なるほど。7人揃ってタイマーをはめると、ドアが現れる仕掛けか」

「よっしゃ行くぜ!!」

 何故かトンパがリーダーみたいに先頭に立っているので、レオリオが露骨に嫌そうな顔をしていた。扉には電光掲示板があり『このドアを開ける ○→開ける ×→開けない』と表示されていた。

「もう此処から多数決か。こんなもん答えは決まってんのにな」

 皆、ボタンを押すと扉が開く。が、全員が眉を顰める。それは、○は6、×に1と表示されていた。つまり誰か一人、×を押した事になる。

「誰だ!? ×のボタン押したのは?」

 レオリオがそう問うと、トンパが苦笑いを浮かべながら言って来た。

「ああ、スマンスマン、ハハハハハ。俺が間違って押しちまった」

 軽い調子のトンパだったが、レオリオは不機嫌そうに彼に詰め寄る。

「ふざけんじゃねーぜ、オッサン。アンタ、目がイカれてんのか?」

「悪いって言ってるじゃないか」

「○と×をどうやったら間違えんだ、あぁ!?」

「もう良いから行こうよ。ちゃんと開いたし」

 激昂するレオリオをゴンが宥めるが、レオリオの怒りは収まらない。

「いーや、良くねーな! こういう事は最初が肝心だぜ!! こいつ、絶対わざと×のボタンを押しやがったんだぜ!!」

 が、レオリオ以外は特に怒りを見せず、冷静だった。

「争ってる時間が惜しい」

「そうそ」

「仮にそいつが全部わざと逆らっても、アタシ達が纏まってれば話は別でしょうが」

 皆に諭され、レオリオは舌打ちをしながらも皆の意見に賛同し、外に出る。外に出ると、左右に分かれており、それぞれ鉄格子で閉じられている。目の前の壁には、再び設問があった。

『どっちに行く? ○→右 ×→左』

「扉を出て、すぐまた設問かよ(左、と)」

「(これは思ったより手間取りそうだな)」

『○4 ×3』

 表示された結果に、再びレオリオが怒鳴り出す。

「何でだよ!? 普通、こういう時は左だろ? つーか、俺はこんな場合、左じゃねーと何か落ち着かねーんだよ!」

「確かに行動学の見地からも、人は迷ったり未知の道を選ぶ時には無意識に左を選択するケースが多いらしい」

「俺もそれ聞いた事ある」

「私も……心理学の本で読んだ事ある」

 クラピカの説明にキルア、レイも頷く。

「ちょっと待て!! それだと計算合わねーぞ! お前ら一体どっちだよ!?」

 左を選び易いと知ってるなら、普通、三人も左を押す筈だとレオリオは考えた。が、彼らの答えは。

「「「○」」」

「お前らなぁ〜」

 またキレそうになるレオリオに、トンパが右を選んだ理由を説明して来た。

「“左”を選び易いからこそ“右”なんだよ。試験官が左の法則を知っていたら、左の道をより難度の高い課題を設ける可能性が高いからな」

「そういう事だ」

 つまり裏をかいて右を選らんだクラピカ、キルア、レイ、トンパの4人。それに対し、レオリオはケッと吐き捨てた。

「どうせ俺達は単純だよ!!」

「俺も?」

「アタシだって知ってたら右を押してたわよ……」

 心理学は専門外だとフンとソッポを向くアスカ。

「言い訳はみっともないわよ、アスカ」

「うっさいわね!」

 そうして7人は右の道を進む。

「お」

 しばらく歩いていると、ある部屋に辿り着いた。そこは深い谷のようで向こう側に通路があるが、橋らしきものはかかっていない。代わりに、中央には四角い四隅に松明の点った床があった。

「見ろよ」

 ふとキルアが向こう側の何かに気付いたので見てみると、そこにはフードで顔を隠し、手錠をはめた7人の人物がいた。

「テスト生が来たぜ。手錠を外してくれよ」

<了解>

 その中の一人が監視カメラに向かって言うと、手錠が外れた。

「やれやれ、ようやく解放されたぜ」

 そう言い、フードを外すと大きな傷跡のあるスキンヘッドの筋肉質の男性の姿が露になる。男性は、7人に向かって此処でのルールを説明し出した。

「我々は審査委員会に雇われた『試練官』である!! 此処でお前達は我々7人と戦わなければならない!! 勝負は一対一で行い、各自一度だけしか戦えない!! 順番は自由に決めて結構!! お前達は多数決……即ち4勝以上すれば此処を通過する事が出来る!! ルールは極めて単純明快……戦い方は自由! 引き分けはなし!! 片方が負けを認めた場合において残された片方を勝者とする!!」

 そう言われ、7人はまさかこんな形の多数決があるとは思っても見なかった様子で意外な顔になった。

「それではこの勝負を受けるか否か!! 採決されよ! 受けるなら○、受けぬなら×を押されよ!」

「何ぃ〜? また採決かよ!? いちいち時間の無駄だぜ。どうせ合格する為には、この勝負、受けなきゃならねーんだ。全員、○押すに決まってんだろ。どっかのマヌケが足並み乱さなきゃな」

 ジロッとトンパを睨みながら最後に付け加えるレオリオ。トンパは「ヘイヘイ、分かってますよ」と頷き、○を押す。すると、恐らく闘技場と思われる所に設置されている掲示板の結果が出る。

『○7 ×0』

「どうだ! 満場一致だぜ!!」

「良かろう。こちらの一番はこの俺、ベンドットだ! さぁ、そちらも選ばれよ!」

 そう男性――ベンドットが言うと、スッとトンパが一歩前に出る。

「俺が行こう」

 まさか、トンパが先陣を切るとは、皆、予想外で彼に注目する。

「戦い方が自由って事は裏を返せば何でもアリ……何を仕掛けて来るか分からんって事だ。俺が毒見役として相手の出方を伺う。さっきのワビも兼ねてな」

 言ってる事は立派だが、アスカ、レイ、クラピカ、キルアの四人は明らかに疑いの眼差しを向けている。

「それにお前さん達は俺を今ひとつ信用し切れてないだろ?」

「当然」

 サラッと答えるアスカに、トンパは一瞬、言葉を詰まらせるが、すぐに持ち直す。

「と、とにかく、そんな俺に3勝3敗の場面で登場するような大将役なんざ任せられるか? な? 決まりだろ」

 するとその時、足元から橋が伸びて闘技場へ繋がり、トンパは歩き出す。

「戦う者のみ参られよ!!」

 向こうからもベンドットがやって来て、二人は闘技場で相対する。

「さて、勝負の方法を決めようか。俺は、デスマッチを提案する! 一方が負けを認めるか、また死ぬかするまで戦う!」

「…………良いだろう。その勝負、受けた」

 トンパがデスマッチに合意し、レオリオが驚きの表情を浮かべる。

「レイ……アタシ、ギブアップするのに10万ジェニーかけても良いわ」

「…………それじゃあ賭けにならないわ」

 アスカとレイだけは、冷めた目でトンパを見ていた。

「その覚悟見事! それでは……勝負!!」

 ベンドットは一旦、腰を深く落として構えると一気に突っ込んで行った。

「参ったぁーーーー!!!」

 が、次の瞬間、トンパは土下座して叫んだ。ゴン、レオリオ、クラピカ、キルアの四人は一瞬で表情が崩れる。

「ほらね」

「…………無様を通り越して惨めね」

 ギブアップするとは思っていたが、まさか始まっていきなりとは思いもよらずアスカとレイは溜息を零した。

「もしかして『参った』って言ったの?」

「まさか……」

「『待った』の間違いだろ」

 と言ってるが、ゴン達は自信薄そうだった。

「今……何と?」

 ベンドットも恐る恐るもう一度聞いてみると、トンパは苦笑いを浮かべて言った。

「参った。俺の負けだ……は、は、は」

 乾いた笑いを浮かべるトンパに、レオリオは額に青筋を浮かべ、ベンドットはクックックと低く笑う。すると試練官側のパネルに1勝目が表示される。

「後3勝」

 ベンドットは元の場所に戻り、三本指を立てる。

「我々が後3勝すればお前達の負けだ。先には進めず、引き返す事も出来ない。時間切れまで此処に立ち尽くすだけだ」

「(俺達5人で3勝……)」

 内4人は女子供で、デスマッチみたいなのは明らかに無理だと思うレオリオ。そこへ、トンパが戻って来た。

「いや〜、面目ない。近くで見ると強そうなモンでよ〜………!?」

 謝るトンパだったが、突然、レオリオが彼の胸倉を掴んで来た。

「テメェ……今、ハッキリと分かったぜ。テメーが他人の足を引っ張ってばかりのクズ野郎だってな」

 その言葉に、トンパは薄ら笑いを浮かべ、開き直った口調で答えた。

「その通りさ……俺は、ずっとそうして来た。そして、これからもな……! 良いか、よく聞きな。俺はお前らと違って、ハンターになる気なんかないんだよ」

 笑みを浮かべたまま、トンパは言った。

「俺がハンター試験に求めているのは合格じゃない……程好い刺激さ」

 常にベテラン側にいて新人の動きに目を配り、危険を察する感覚を研けば、自然と自分の安全は確保出来る。自分の命を堅守し、すぐそばで死の瞬間を見物出来るショー、夢多い前途ある若者が食い潰されていく修羅の場、野心や希望が永遠に絶たれる一瞬の表情。それこそがトンパがハンター試験に求めているものだった。

「次第にそれを見る事が何よりの楽しみとなった。俺自身が積極的に加担して新人の夢を摘み取った。ハンターになる気なんかハナからないのさ。俺にしてみればここら辺が潮時なんだ。第三次試験からは人数も少なくなり、反面、危険は大きくなる。もう無理はしねぇ……つまり俺は、もう、いつ負けたって構わないんだよ」

 トンパのその言葉に、レオリオが怒りの表情を浮かべる。が、他の五人は特に表情を変えず、事の次第を見守っている。

「だが、此処は多数決の道。お前達6人が頑張れば、6対1で勝ち進める。そう捨てたモンじゃないだろ」

 険悪な雰囲気の受験生側を見て、試練官側は笑い声を上げた。

「くくく………仲間割れか、好都合だぜ」

「精々、揉めてろ」


 その頃、トリックタワーの各ルートを映している部屋で、眼鏡をかけ、特徴的な髪型をした男性がお菓子を食べながら見ていた。

 彼の名はリッポー。第三次試験官であり、賞金首ハンター兼刑務所所長であり、試練官とは彼が契約した懲役100年以上の超長期刑囚である。

 契約内容は『受験生を1時間足止めする度に1年の刑期を減らす』。つまり72時間足止めに成功すれば、72年間分の懲役が免除されるという事になる。


「それにしても予定が狂ったな。ジワジワと時間をかけて甚振るつもりだったのに」

 強盗殺人により懲役199年のベンドットは再び手錠をはめられ、座り込む。

「予想以上の腰抜けだったってわけだ」

「なーに、問題ねーさ。俺達が後3勝すれば自動的にあいつ等、此処で残り時間釘付け。俺達全員、72年分の恩赦が受けられるぜ」

「楽勝さ。見ろよ、女子供が4人も残ってるぜ」

 余裕綽々の試練官側。すると、一人の試練官が監視カメラに向かって言った。

「さて、次はアタシの番だよ。手錠を外しておくれ」

 すると手錠が外れ、フードを脱ぐ。すると、今度はベンドットと違い、年老いた老婆が出て来た。白髪を団子にして纏め、腰を少し曲げている。

「レオリオ、もう良い」

 トンパを睨んでいるレオリオにクラピカが声をかけて制止する。

「奴らの狙いが分かった」

 先程の会話を聞いていたクラピカが、レオリオに相手の事を説明する。

「超長期刑囚……!?」

「そう。我々をこの塔から出さなければ、その時間に応じて刑期を短くして貰うようだ。内輪もめは奴らの思う壺だぞ」

 揉めれば揉めるほど、相手の刑期も自分達の残り時間も減っていく、という訳である。

「時間をかけて俺達を足止めするのが狙いなら、オッチャンの判断は大正解だな」

 ふとキルアが声を上げると、トンパはピクッと反応した。

「あの坊主頭、恐らく元軍人か傭兵だよ。戦ってたら、まず最初に喉潰された『参った』さえ言えない状態にされたね。後は、アイツ好みによるけど死なない程度に拷問されてたよ。残り時間、ず〜っと」

 それを聞いて、トンパは顔を青ざめさせると乾いた笑い声を上げた。

「は、はは……勿論、それも計算済みよ」

 その割に彼の顔色は青かった。

「さて、次は誰が行く? 相手は婆ちゃんだけど……」

 誰かが言う前に、スッとレイが前に出た。

「私が行く……」

「おい、レイ。敵はババァとは言え、気ぃ付けろよ」

「大丈夫……バァさんは用済み」

 そう言い、レイは橋を渡って闘技場に出る。老婆と対峙するレイ。老婆はニコニコ笑って挨拶した。

「ヒャッヒャッヒャ。ワシャ、クリエットというもんじゃ。よろしくのぉ、お嬢ちゃん」

「そう……」

「さてワシの提案する勝負じゃが……引き続きデスマッチ、でどうかの?」

 その言葉に、ゴン達は驚きの表情を浮かべた。あんな老婆がデスマッチを提案するとは思わなかったのだろう。

「どうじゃ?」

「っしゃあ! 受けろ、レイ! 相手は棺桶に片足突っ込みかけてるババァだ!! 殺さなくても、簡単にギブアップさせられるだろ!!」

 後ろからのレオリオの声援を受け、レイはフゥと息を吐いた。

「分かったわ」

「ひゃっひゃっひゃ。小娘のくせに大した肝っ玉じゃのぉ……そういう奴ほど……」

 そこで老婆――クリエットは、細めていた目を薄っすらと開き、ニヤッと笑った。すると彼女は曲がっていた腰を伸ばし、袖口からチューブのようなものを取り出した。

「燃やしたくなるんじゃよーーーーーーーっ!!!!!!!!!!」

 すると、チューブの先から炎が発生し、レイに襲い掛かる。レイは、咄嗟に横に跳んで炎を避ける。

「ひゃ〜っひゃっひゃ!!! 燃えろ〜!! 燃えてしまえ〜〜〜!!!!」

 先程の穏やかな老婆から一転し、狂喜して炎をレイに向けるクリエット。

「相変わらずだな、あの婆さん……」

「連続放火殺人で懲役187年……だからな」

 試練官側は、燃やす事に対して異常なまでの悪癖を見せるクリエットに呆れながらも恐怖した。

「あの老婆、背中に火炎放射器を背負ってたのか!」

「ヤベェ、レイ!! ギブアップしろ! 本当に燃やされんぞ!!」

 レオリオが叫ぶが、レイは聞く耳を持たない。

「ひゃっひゃっひゃ!! ホレホレ!! 早く逃げんと炎が体を包み込んでしまうぞ〜!!!」

「……………耳障りな笑い声……」

 レイはキッと目を鋭くさせ、老婆に突っ込んで行く。

「レア、ミディアム、ウェルダン……好きなの選びなーーーーっ!!!」

 突っ込んで来るレイに合わせ、火炎放射器の砲口を向けるクリエット。レイはライターを取り出し、更に突っ込んで行く。

「そんなライターでワシに対抗出来るか〜〜〜〜!!!!」

 そしてレイに向かって炎を発射した。レイはライターの火をつけると、それを勢い良く横に振るった。

 轟っ!!!

 するとライターの火は、クリエットの火炎放射器の炎を包み込むほどの強烈な炎となり、彼女を飲み込んだ。

「ぎゃああああああああああああああ!!!!!!!!!!」

 火に包まれ、悲鳴を上げるクリエット。レイの赤い瞳が、炎を映し出して更に赤くなる。

「レア、ミディアム、ウェルダン……好きなのを選びなさい」

「ひ、ひぃ〜!! 熱い! 助け……」

「ババァは用済み」

 ヨロヨロと炎の包まれながら歩くクリエット場外へと蹴っ飛ばすレイ。

「ひ……火ぃ〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!」

 クリエットはそのまま谷底へと落下して行った。レイは、冷たい目で笑みを浮かべて呟いた。

「無様……ね」

 ゴン達も意外なレイの冷酷な一面を見て、ゴクッと唾を呑み込むのであった。


 〜レス返し〜
 1様
 能力は使徒の能力より、どちらかと言うと性格で決めている部分が大きいです。ぶっちゃけリリスの能力って反則っぽい気がしますし。(アンチATフィールドみたいに相手を溶かすとか)


 髭様
 操作系……理屈家でマイペース。
 変化形……気まぐれで嘘つき。
 レイの操作系とカヲルはすぐに変化形で決まったんですが(微妙にヒソカに通じるものがありますし)、アスカの強化系は迷いました。最初は放出系の短期で大雑把か、強化系の単純一途にするか迷ったんですが、最終的に主人公パーティーなので、分かり易い強化系にしようという事になりました。
 シンジの能力については現在、考案中です。

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