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「魔除けの鐘を鳴らす者達 第12話 (ス−パ−ロボット大戦)」

太刀 (2006-07-08 16:26/2006-07-08 16:57)
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第12話 純白たる闇の剣


「こちらの方々が、先日発生した巨大なオ−ラロ−ドで、召喚された新たな地上人です。しかし、彼等はドレイクの野望に気付き、私達と協力して一度はドレイクを退けました」

反ドレイクの古参兵ニ−=ギブンが、17歳位の翡翠色の髪の女性にロンド・ベル隊指揮官ブライト=ノア達を紹介する。
.
「はじめまして、地上人の方々。私はナの国の女王シ−ラ=ラパ−ナと申します」

ブライト達がいま居る場所は、ナの国のオ−ラバトルシップ旗艦グラン・ガランの謁見の間である。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「どうされました?地上人」

返答がないのに疑問を持ったシ−ラが再度訊ねてくる。

「あっ・・・・・・、も、申し訳ありません。自分は、連邦軍極東支部所属、第13独立外部部隊ロンド・ベル隊のブライト=ノア中佐です」

惚けているブライトの脇腹をアムロが肘で軽く押して、正気に戻す。
だが、ブライトの反応も無理はない。
目の前の少女は、おもわず膝をつき頭を垂れてしまいそうな威厳をひしひしと感じる。
高貴な血筋からなる品の良さと、幼き頃から学んだ帝王学から裏付けられた深い知性と卓越した精神の光が宿る瞳で見つめられると、ブライトでなくとも自然と頭を下げたくなる。

ブライトの両脇にはアムロ=レイとクワトロ=バジ−ナが護衛兼参謀役としてグラン・カランに訪れた。
始めに話かけられたのが、ブライトでなくアムロだとしても上官と同じように滲み出る威厳に圧倒されていたかもしれない。
謁見の間にくるまでに見たナの国の兵士が高い士気とモラルを保っている理由がよく分かる。
聖少女と呼ばれる徳の高い方と、グラン・カランに来るまでにニ−達から説明されていたが正にその通りの人物であった。


バイストン・ウェルの全支配を目論むアの国の国王ドレイク=ルフト。
数刻前。ブライト達はアの国のオ−ラバトルシップ。ウィル・ウィプスからの脱出に成功した。
その時の協力者が、シ−ラの斜め横に控える青年。ビルバインの聖戦士ショウ=ザマと武官の席にいるニ−=ギブンだ。
此処にはいないが、ダンバインの聖戦士マ−ベル=フロ−ズンとショウ=ザマの2人は、ブライト達と同じように地上界から召喚された。
他にも十数人。地上から召喚された地上人が居るらしいが、ドレイクと袂を別け反ドレイク側についた聖戦士は、この2人だけだ。

「しかし、聖戦士殿の、お力もさることながら、地上兵器の戦闘力は想像以上ですな」

グラン・カランの艦長カワッセ=グ−が賞賛した。
脱出したブライト達を収容したア−ガマを追撃するドレイク軍のオ−ラバトラ−隊を倒した時のことだろう。
2個中隊分の戦力を完全に蹴散らしたのだ。
結果だけ見ればア−ガマの機動兵器部隊が圧倒したように見えるが、オ−ラバトラ−とまともに戦えたのはSRXチ−ムとジャイアント・ロボにグルンガスト弐式。
それとアムロのスペリオルガンダムにクワトロの百式改ぐらいだった。
MSの光学兵器はオ−ラバトラ−が展開させるオ−ラバリアにすべて阻まれたが、直接攻撃ができるビ−ムサ−ベルならオ−ラバリアにも通用する。
だが、機動性に優れておりMSより一回り小型機動兵器のオ−ラバトラ−を捉えられるエ−スパイロットクラスの技量の持ち主は、2人しか今のア−ガマには居ない。
クリスチ−ナ=マッケンジ−やエマ=シ−ンのように並より、少し腕がたつ技量程度のパイロットでは、まるで歯がたたなかった。

「聖戦士。それに地上の方々。皆を代表してお礼もうしあげます」

ドレイクの手にア−ガマの戦力が渡っていれば、バイストン・ウェルは独裁者に支配される世界に落ちたかもしれない。
バイストン・ウェルは魂の安息の地と呼ばれる世界だ。
調和と協調でバランスを保っているバイストン・ウェルに、力ずくの恐怖政治で全ての民を治めれば人心が荒れ、最終的に世界の天秤が崩壊する。
力でのしあがり勢いが付いた現在のドレイクには、いかなる説得の声も届かない。
野望の先に何があるのか理解できないのだ。

それ等をブライト達に説明してから、シ−ラ=ラパ−ナは礼を述べた。

「貴方方は、これから、どうされるおつもりですか?」

ナの国の女王としてシ−ラが聞いてくる。統治者として当たり前の事だ。
無視するにはア−ガマの戦力は大きすぎる。

「我々地上人は、バイストン・ウェルから一刻も早く去るべきと考えています」

「無用の混乱と戦乱の拡大を恐れてのことですね。貴方方の聡明な判断に感謝します」

アムロが自分の考えを告げる。此処に来る前にブライト達とも話し合った。
シ−ラも、その考えに賛同の意を表す。

「一つ、質問してよろしいですか?女王陛下」

「私に答えられることなら」

クワトロも、この世界から去るべき事に賛同したが、どうしても反ドレイクの盟主たるシ−ラ女王に確かめたい事があった。

「あなた達もドレイクに対抗するという名目で、オ−ラバトラ−や巨大戦艦を開発しているようですが、私達が介入しなくとも、互いが戦力を増加させ続ければ、戦争は更に拡大するのではないでしょうか?」

一年戦争でジオン軍のMSに対抗する形で連邦軍もMSを開発し、戦線に投入することで泥沼のような戦局になったのに似ているのだ。いまのバイストン・ウェルは。
それを、統治者として、どう収めるのかクワトロには興味があった。

「地上の方、女王の御前であるぞ!」

カワッセが一喝する。それは政治の話で軍人が首を突っ込むべきではない。
まして自国の民でない者に話せる内容でもないと言っている。

「カワッセ、お止めなさい。ですが、私達は毒を似って毒を制する方法を選ぶしかないのです。オ−ラバトラ−に打ち勝つことが出来るのは、やはりオ−ラバトラ−。私は、この戦いが終わり次第、全てのオ−ラマシンを破棄するつもりです」

一度、手に入れた力を捨てるのは難しい。だが、シ−ラの言葉に嘘偽りは感じない。
反対する高官が必ず出るだろうが、この誓約は必ず果すと瞳が語っている。

「ですが、戦いが長引けば?」

「その時はオ−ラマシンを使う者が、この地から追われることになりましょう」

クワトロの追究に、覚悟はできているとシ−ラは応えた。
歪んだ世界には必ず修復力が働く。
オ−ラバトラ−はバイストン・ウェルにとって異分子だ。限界が来る前に捨てられなければ排除されるだけだ。強制的に。
だが、ドレイクが捨てる前に此方だけが捨てる訳にはいかない。

「失礼しました。女王陛下の覚悟。見させていただきました」

クワトロが敬意を込めて頭を下げる。もし、この女王がザビ家の変わりにジオンを統治していたらスペ−スノイドとア−スノイドの関係は、現状と全く違うものになっていただろう。
IFと分かっていても想像してしまう。


「戦争による破壊と混乱は地上とバイストン・ウェル双方の世界を覆い尽くそうとしています。この危機に対し、人の魂はその正しいあり方を試されるのではないでしょうか?」

地上界の現状を掻い摘んで説明されたシ−ラは、己の考えを話した。
ア−ガマが召喚され貴方方をバイストン・ウェルに招いたのは、何か大いなる力が働いているかもしれないと。

「では、貴女は双方の世界での戦乱に何か相互関係があると?」

アムロが他者には、説明しづらいがニュ−タイプの直感とも言える感覚でシ−ラの言葉に同調した。

「その通りです。何故なら、バイストン・ウェルと地上は表裏一体の関係にあるからです。そして、片方の世界の崩壊は、もう片方の世界の崩壊も意味します」

「そして、バイストン・ウェルの異変が今度は地上世界に影響を与えると?」

自分が聖戦士と召喚されたのは、その異変が大きくなった為なのかとショウが呟いた。

「ええ、おそらく」

公私と共に信頼する男の言葉にシ−ラは肯いた。

「我々は一刻も早く地上に戻らなければならないな」

なんとか地上界に戻れる手段がないのかアムロはシ−ラに聞くが、彼女は首を横に振って自分は知らないと告げた。

「残念ながら、私もあのような巨大なオーラロ−ドを開く方法は存じておりません。ジャコバ=アオンと会えれば何とかなるかも知れないのですが・・・・・」

フェラリオを統べるエ・フェラリオのジャコバ=アオンなら、何か方法を知っている可能性はあるが、彼女に会うには水の国ウォ・ランドルに行かなければならない。
だが、人があの国に自らの意思で行けた話はない。
それに、もうすぐラウの国の女王。エレ=ハンムが合流する。
彼の国の戦力とオーラバトル・シップ。ゴラオンが加われば、アの国のウィル・ウィプスとクの国のオ−ラバトル・シップ。ゲア・ガリングの同盟軍と拮抗とまでいかないが、勝機が見えてくる。
戦力比率は7対3で不利だが、作戦と士気事態で勝利するのは充分可能だ。

悠長に戻る方法を探している時間もないとシ−ラは言った。


「な、なあ。本当に言うのか?」

食堂入り口前でリュウセイ=ダテが中の様子を窺いながら、隣に立っている銀鈴に聞いた。
あの時ウィル・ウィプスを簡単に脱出できたのは、シンジが囮の役も引き受けてくれたからだ。
おかげで銀鈴を始めとしたウィル・ウィプスに行ったメンバ−はシンジを除き、誰一人として怪我を負うことなくア−ガマに戻れた。

「言うわよ。私はシンジ君がシルキ−を助けに行くだけじゃなくて、囮になるつもりだって分かっていたの。それでも、全員があの巨大戦艦から逃げ出すには、あの方法しかないと思ったわ」

元々オ−ラバトラ−が現れるまで中世の騎士のような存在が、戦いの主力だったのだ。
獰猛な強獣と生身で戦ってきた連中が、何百人と警護している中を脱出するには犠牲の覚悟が必要だった。
あの場では誰よりもシンジが強く生存能力が高かった。それに護衛しながら戦うより一人で身軽に戦える方が、彼のスタイルに合っていると思った。
だから戻ってくると信じていた。

いま食堂ではイルイが手伝いをしている。囮になった少年の義妹だ。
帰ってきたシンジにコ−ヒ−を淹れてあげると待っている。

「なら!俺が言う。あの時シンジを止めれなかったのは俺も同じだ!」

あの少女にシンジがMIA(ミッシング・イン・アクション)戦闘中行方不明になったと伝えるのは自分だとリュウセイが言う。
辛い役目だ。遺族に、その言葉を伝える者は伝えた相手から、恨まれる覚悟も持たなければならない。
たとえ、それが逆恨みだとしても・・・・・・

「いえ、あの子に伝えなきゃいけないのわ。私の役目よ。あの時、本当なら私が行くべきだったのよ」

総合戦闘能力はシンジに及ばないが、自分の特殊能力を使えば、どこにいようと脱出できった。だが、能力の発動は命を削ることになる。
発動させる力の大きさも関係するが、無理をすれば数回使っただけで死ぬ。
ただ死ぬだけじゃない。自分の能力で死ぬ時は消滅だ。死体も残らず、この世から消える。
心のどこかで消滅は恐れていた。

「そう・・・・・・私が言わなきゃ・・・・・・ならないのよ」

「銀鈴さん・・・・・・・」

力なく項垂れる銀鈴にリュウセイは言葉を失った。

「2人で、さっきから何を騒いでるの?」

「うわっ!!!」

「きゃあ!!!」

背後から深刻な顔で叫んでいる二人の傍まで来たイルイは、近づいて声を掛けた。
すると2人は、大声で悲鳴をあげ、その場からジャンプするではないか。

「イルイ!?いつから、其処に?」

「いま、さっき」

リュウセイのおかしな問いに首を傾げて答えた。先程から食堂の入り口でチラリチラリと此方の様子を窺うから、一緒に食堂の手伝いをしていたクスハ=ミズハが

「イルイちゃんに、用がある筈よ。たぶんイングラム少佐が先程、言った事に関係してると思うわ」

と、イルイを銀鈴とリュウセイの下に行かせたのだ。


「あ、あのな。イルイ。落ち着いて聞けよ。極東支部の同僚にATXチ−ムのラトゥ−ニってオマエに似ている奴がいるんだ」

銀鈴が口を開けるより早く、リュウセイが一歩前に進んで話し始めた。
どうやら似たような境遇の者の話をしてから、シンジの話を切り出すつもりだ。心構えを準備させるつもりなのか?

「こいつがまた腕のいいパ−ソナルトル−パ−乗りでな。ライの都合が取れない日は、いつも模擬戦闘に付き合ってもらってたんだ」

そこで悲劇が起きたのか?銀鈴は手に汗握った。が、全く関係の無い話に突入するとは、この時の銀鈴には思いもよらなかった。

「まぁ。それでも負け越してるんだよなぁ。俺・・・・・・・そしたらエクセレンの姐さんが罰ゲ−ムとか言ってラトゥ−ニと街に出かけて来いって言うんだぜ」

「それで、どうしたの?」

「ああ、そうだ。せっかくだから俺の行きつけの店に案内するって出掛ける前に言ったら、リオや姐さんが『チャンスよ。あの鈍感に言うのよ』とか『う〜ん。お姉さんが渡せるのは、このゴムしかないわ。互いに初めてと言うのも青春よ』なんてラトゥ−ニに言うだぜ?訳わかんねえよ。イルイはどう思う?」

フルフルと首を横に振り、よく分からないとリョウセイに言う

「そうか。俺もまったく分からないからな。仕方が無いか・・・・・まぁ、それはいいんだ。」

いいのか?それでとツッこんでくれる相方のライディ−ス=F=ブランシュタインは格納庫でR−2の整備をしている。

「それでなラトを連れて、ああ、ラトって言うのはラトゥ−ニが自分をそう呼んで欲しいって言ってきたんだ。他のヤロ−には呼ばせないのに、何でかな?」

このことを、マオ・インダストリ−社から出向でATXチ−ムに参加しているリョウト=ヒカワに聞いたら、『鈍感もそこまで行くと犯罪だね』と呆れながら言われた。

「で、ラトと出掛けたんだ。なんか、いつも以上にフリフリが付いた服着てるラトとな。よくあんな動きにくそうな服着て歩けるもんだと感心したぜ」

勝負服だと、リョウトと同様にマオ・インダストリ−社からの派遣社員リオ=メイロンがリュウセイに教えたが、頭の上にクエスチョンマ−クしか乗せない男は『ラトは本気なんだから、ふざけたら許さないわよ』と凄い剣幕で睨まれた。

「約束通り、俺の行きつけの店に連れていたったんだ。ラトは、そういった店が初めてらしくて色々と教えてやったんだ」

リュウセイがその日、街から帰るなりATXチ−ムNO.3のエクセレン=ブロウニングに皆が集まっているロビ−に強制連行されて、ラトゥ−ニと何をしたか根堀り葉堀り言わされた。『あら〜リュウセイったら経験者だったの、お姉さんの読み間違え!?』と一人で騒いでいたが。

「経験者としては、初めてのラトが恥ずかしくないよう時間を掛けて手取り足取り教えってやったんだ。だけどアイツ飲み込みが早いのなんの、俺が言った事すべて出来るようになったんだ」

ATXチ−ムの副隊長キョウスケ=ナンブは賭けをしていた。
リュウセイとラトゥ−ニがどこまで進展するか、エクセレンと賭けていた。
『分の悪い賭けは嫌いじゃない』と言って給料を全額賭けたが、結果はエクセレンだけが知っている。
一ヶ月の間。夜になるとエクセレンの部屋から艶めいた声が聞こえたと噂されたが真相は定かではない。

「く〜そ!自信あったのにラトの奴、俺と相性がいいのか、3回目に突入する頃には主導権にぎるようになるんだぜ。男として流石に其れは不甲斐無いだろ?だから全力で相手してやったんだ。俺が持つ全てのテクニックを使って、癖や弱い所を攻めまくったんだ。最終的に勝てたけど、ラトに変な癖をつけちまってな。俺でないと相手できないようにしちまったんだ」

無言で話を聞いていたATXチ−ム隊長ゼンガ−=ゾンボルトは立ち上がると
『男なら責任を取れ、中途半端な気持ちで付き合おうなど言語道断!』
愛刀を抜いてリュウセイに一言だけ告げると、刀を鞘に戻し元の席に座り直した。


「しかし、みんな何であんなにムキになるんだ。ゲ−センに行ったぐらいで?」

「シンジ君の話はどうしたの!?」

完全に脱線した話に、銀鈴は普段の冷静さをかなぐり捨てて大きく叫び。
チャイナドレスにも係らず助走をつけてリュウセイの後頭部にドロップキックを御見舞した。
スリットから大胆に伸び出る太股は、素敵なまでに魅力的だがリュウセイは拝むことなく床に叩きつけられる。
リュウセイは、あの日と同じで意識を刈り取られた。
ATXチ−ム主催で集団リンチが行われた日だ。『女の敵!』とか『天下無敵の僕念仁』と散々に罵声を言われ。主に女性陣が中心にリュウセイをボコった。
ボロボロになったリュウセイが最後に居たのはゴスロリ少女の膝の上だったと言われている。
この件に関して同じSRXチ−ムメンバ−は『アホが自業自得だ』と『ノ−コメント』とだけインタビュ−に応えてくれた。

「シンジの話?」

「あっ!あのねイルイちゃん、いまのオバカな話は忘れて・・・・・・」

話の腰を折られ、話そうとする覚悟の気合も、だいぶ削がれた銀鈴が言いよどむ。
タイミングは、そこで床と抱擁しているオバカに完璧に崩された。
こうなっては、勢いに任せて言うしかないのか?しかし、それでは心の準備ができていない少女にどれだけ深い心の傷を負わせるか分からない。

「戦闘行方不明になった事?」

「知ってるの!?どうして!?」

あの時、ウィル・ウィプスに行ったメンバ−は7人。内3人はグラン・カランに行っているのでア−ガマに居ない。
あと2人は私自信とリュウセイ。それにMIAのシンジ君。
残りの一人が・・・・・・そう云う方面でデリカシ−を求めても無駄な男だ。

「・・・・・イングラム少佐が言ったの?」

「うん。シンジがアーガマに戻ってないって教えてくれた」

食堂に食事を取りに来たイングラムが、クスハと一緒に居たイルイに告げて言った。

「ごめん・・・・・なさい。イルイちゃん。私が行くべきだったのよ。それなのに・・・・・」

「大丈夫だよ。シンジなら」

罪悪感を感じている銀鈴にイルイはシンジが無事だと言う。
クスハやリュウセイなら分かるかもしれない、不思議な感覚がシンジの生存を教えてくれるのだ。
第5使徒ラミエル戦の時のように、シンジの命が危険に晒され、どうしようもない不安と泣きたくなるような胸の痛み。呼吸するのも困難なくらい動悸が激しくなる事もない。

「それにシンジは約束してくれた。戻ってくるって、わたしと約束してくれた」

できない約束はしない。一度交わした約束は必ず守ってきた少年にイルイは絶対の信頼を寄せていた。
それに家族が信じないで誰がシンジを信じるのだ。

「・・・・・・・・・・・・・・・」

心配していない筈がない。命に別状がなくとも敵地のど真ん中に取り残されたのだ。
いくら手を伸ばしても、助けることができない大切な人。
年端もいかない少女が、気丈にも笑顔で銀鈴に心配しないでと慰めてくれた時、無言で抱きしめていた。
シンジが戻るまで、必ずこの子は私が護ると決意して。


「殺せ!囲んで逃すなよ!ゾウドもガアスラも殺られちまった。舐め腐ったマネしやがったヤロ−に、目に物みせてやれ!」

ウィル・ウィプスの艦内で兵士達が叫び声を上げながら、一人の少年を止めようと血眼になっている。

「くそ!なんでガキ一人、止めれねえんだ!いくぞ!テメ−等。クソガキに俺達、重装兵団の力を思い知らせるぞ!!!!」

一般兵士が通常装備している皮鎧よりも、重く頑丈な強獣の甲殻箇所で作った全身鎧を着込んだ、白兵専用の特殊兵が何十人も倒れている。
倒れている特殊兵達はすべて一撃で倒されていた。急所に一発。
ライフル銃さえ弾き返す強固な鎧に防御を任せて、少年の攻撃を無視して手に持った武器を振るおうと、関係なく少年は向ってくる。

「くたばれ!」

頭に落ちてくる大剣に、少年は身体を僅かにずらして避けると、そのまま相手の急所に貫手を叩き込む。
鎧を貫き相手を絶命させ、止まることなく少年は動き回る。
体力が無尽蔵にあるように、素早く。鋭く。一瞬でも止まる事なく空間を駆け巡る。
どんなに敵の人数が多くても取り囲まれなければ、どうと言う事もないと行動で示していた。
少年を相手しているドレイク兵達の顔に強い焦燥が浮ぶ。
間接の繫ぎ目や、鎧の隙間を狙ってくるのなら重装兵団にも理解できる戦いだが、硬い全身鎧をまるで薄い紙をやぶるように、いとも簡単に無力な物に変える少年は理解の範疇を超えた存在だった。

「くそっ!化け物が!・・・・・おい、被害状況はどうなっている?」

「ハッ!すでに半数以上が戦闘不能。残存兵力は隊長や私を含め24人です」

奇襲で先制されたとは云え。戦闘が始まってから一分も発っていないのに、目の前で縦横無尽に暴れるガキは26名の完全武装した兵士を倒した。
とても人間技とは思えない。50名の兵員を持つ重装兵団の団員は並の兵士達より倍近い力量を持った者達で結成されているというのに・・・・・・

「ドレイク様に伝令だ。我、敵の奇襲を受け状況は極めて不利。援軍を求むと伝えろ!」

かすり傷くらいは負わせているが、このままでは全滅だ。艦内で重火器は使用できない。
乱戦になっているので離れてクロスボウで狙い撃ちにする事もできない。
本来なら奇襲された時点で報告するのだが、通信機を真っ先に壊されたことも含め、相手が子供一人だけだったので重装兵団は油断した。

ドレイク軍も決して一枚岩ではない。縦の命令系統は徹底しているが、それに比べ横の伝達網はほとんどない。
同じ旗の下の軍隊でも所属が違えば競争相手だ。
ドレイク軍は急速に規模を拡大してきたので、有能な者はドンドン採用してきた。
だが、そこに落とし穴があった。
純粋にドレイクの考えに賛同して配下に収まっている者など三分の一もいない。
残りは、美味しい目を見られる。おこぼれが貰えると考えドレイク側に付いたのだ。
ドレイク自信、その事は分かっていたし、古くから仕える家臣でもない者が「貴方の理想に惹かれました」と云った参戦理由で軍に入隊する方が怪しい。
大半の者は、ドレイクが勝者の側に立つと考えてドレイク軍に入隊した。
このような者達を納めるのは、金銭が一番だ。
軍資金は、かつての主君フラオン=エルフが溜め込んでいた財宝がうなる程あるので問題ない。

「隊長。確か隣のブロックに第3歩兵部隊が待機している筈ですが、そちらから援軍を求めた方が早いのでは?」

「馬鹿者!こんなことで他の部隊の介入を許してみろ。奴等に報奨金を全部持っていかれちまう!そんな事も分からんのか?カラッポの頭を無理に動かさなくてもいい。とにかく伝令兵を出せ!ドレイク様に直接指示を頂くのだ。駄目なら黒騎士殿かショット様でも良い!分かったか!」

隊長に怒声を浴びせられた男は怯んだが、報奨金の話を聞いて分かりましたと敬礼した。
ドレイク軍は報奨金を採用している。基本給は変わらないが、働き次第で上乗せしていくのだ。
それだけでなく、兵舎や食事の待遇も変わってくる。
こんなシステムを取れば、仲間同士で足の引っ張り合いになるのは目に見えているが、ドレイクだってバカではない。厳しい軍律を作り、非戦闘員だろうと従卒だろうと軍紀を徹底させた。
その為、仲間同士での争いは表面上見えなくなったが、裏では部隊ごとに強烈なライバル意識をもつようになった。

「悪いけど、誰も行かせない」

伝令兵が急いで部屋を出てドレイクの基に行こうと動きだした時、少年は部屋の中央にきていた。
ここはウィル・ウィプスの最下層エリアだが、この奥にはオ−ラバトラ−の格納庫がある。
機材を運搬したり、一時的にこの部屋に置く為、少年が戦っている部屋はかなり広い。
その中央に立つ少年を取り囲むように、残った重装兵団が包囲している。

「雷光よ唸れ!ライトニングファング!

少年を中心に雷柱が噴き出す。水面に投じた石が輪になって広がる波紋のように紫雷の牙が走る。
効果範囲に存在する敵意や殺気を持った敵を、狙い違わずイカズチが襲う。

「な・・・・・・・なにが・・・・・起きた?足元から光が・・・・・・・」

最後まで意識が残っていた兵士は、真下の死角から身体を貫いた雷柱を理解することなく沈黙した。

「ふぅ〜久しぶりだけど、できたなライトニングファング(広域敵味方識別攻撃)。使える技だけど、充分な殺気をこの身で受けないと発動しないからな・・・・・・」

その身に受けた殺気を逆流させ、敵との間に道を創り雷光を放つ技だ。
デビルガンダム事件で共に戦った仲間が得意とした技に、自分なりのアレンジを加えたライトニングファングだが、まだまだ改良の余地はある。
なにせ殺気や敵意を意識的に消せる相手には通用しないのだ。
技の参考にした相手が乗る機体はラプラスデモンコンピュタ−が搭載されている。錬金学の粋を集め誕生させた結晶をだ。
アレが敵味方を識別して広範囲攻撃を行う。

一度、原理を聞いたが、使っている当の本人も全く知らないと断言された。
胸を張って自分の機体について知識が無いと言い張る男に変わって、お供の黒猫と白猫が答えてくれた。
ラングランのピ−エル=ラプラスが構築したラプラス変換理論を使用しているオ−バ−テクノロジ−。操者の能力しだいで高確率で未来予知が可能になる。
眉唾な話だ。見事、舅付きの彼女にゲットされた男が未来予知を行えると誰が信じる。

「娘が欲しければ濃を倒してみろ!」とロボット工学の権威とは、とても思えぬノリで自分が開発した究極ロボで挑まれた男の不憫な運勢に、仲間の誰もが笑いを噛み殺しながら、涙するフリをした。
子煩悩の父親を持つ娘を口説いた男に運がなかっただけだ。
男としては、口説いたつもりは無かったのだが、意外な一面を見せた娘に遂「可愛い所があるじゃねえか」と言ったのが運の尽きだったろう。

超人的な反射神経に運動神経の持ち主だが、実はお世辞に弱いお転婆娘であると仲間となって一緒に戦う内に判明する。
男に口説かれたのは生まれて初めてと本人は言うのは、ある意味納得できる。
あの父親の眼光が鋭く光っている中、娘を口説ける男がいる筈もない。
馬鹿か自殺志願者か、男のようにうっかり地雷を踏んでしまったか、どれかだけだ。

よって男が未来予知は行えないと結論した。
雄として、あんな状況に自らを放り込む者が居る筈もないからだ。

「逃げ切れたかな・・・・・・・・無理だろうな絶望的に方向音痴だったし・・・・・・」

昔の仲間を思い出し感傷に耽るが、外で待たしていた幼馴染が部屋を覗き込んできた。

「シンちゃん。終わったの?」

「ああ、終わったよマナ。それよりも此処でいいんだね?」

天然のブラウン色の髪をショ−トヘア−にしている従兄妹であり、幼馴染みの霧島マナに碇シンジは聞いた。
マナの肩にはミ・フェラリオのチャム=ファウが腰を降ろしている。
短時間の間で随分仲良くなったものだ。
此処はウィル・ウィプスの最下層エリアに当たる場所だ。
金属製の大きな扉が目の前にある。この奥に秘密の格納庫があるとマナは教えてくれた。

「うん。ここでいいよ。この奥にある筈だから。マナちゃんの情報に感謝しなさい」

胸を反らしてエッヘンとでもいいたいポ−ズを取る。
明るいと言えばいいのか、お調子者と言えばいいのか分からない。
だが間違いなく性格は母親譲りだ。良くも悪くも底が見えないと言う意味で。

「わかった。感謝するよ。僕もまさか間に合わなくなるとは思ってなかったしね」


数時間前。シルキ−に添い寝していたシンジは、マナの怒りの一撃で気絶を与儀なくされた。
シンジが意識を取り戻した時には、ア−ガマはウィル・ウィプスの探索網から完全に離脱していた。
シンジが銀鈴達と別行動をとった目的は、ア−ガマごとロンド・ベル隊をバイストン・ウェルに召喚したエ・フェラリオのシルキ−=マウの救出が目的だった。
目的のシルキ−を見つけ出したので直に脱出すればよかったのだが、大規模召喚を行ったシルキ−は極度に衰弱して仮死状態であった。

『まずいわ!オーラ力が急激に無くなってる!このままじゃシルキ−が死んじゃうよ!』

シルキ−の様子を見たチャムは慌てふためいた。
そして助ける方法がないかと質問するシンジにチャムは一つだけ可能性があると答えた。
それはフェラリオ達を統べる長ジャコバ=アオンになら死にそうなシルキ−を助ける術を持っていると言う発言だった。
だが、フェラリオの長が居るのは水の国ウォ・ランドルに行かなければならない。
空より高い天の海。天にある水の国のウォ・ランドルを自由に行き来できるのはエ・フェラリオ以上の者だけ。
ミ・フェラリオのチャムには水の国のウォ・ランドルに行く方法がないと言う。
そもそもエ・フェラリオがコモン界に降りてくる事の方が珍しいのだ。
頭を悩ませるシンジとチャムに、マナは水の国のウォ・ランドルに行ける手段があると教えてくれた。
その手段が、この奥にある格納庫に眠っていると言う。


「ふ〜ん。ショットさん。まだ、このコ−ド使ってるんだ。古いな〜。これなら、コレをこうして、と・・・・・・」

核シェルタ−を連想される分厚く頑丈な鋼鉄製の扉の制御パネルを、マナが鼻歌交じりでいじくっている。
シンジから貰ったア−ミ−ナイフを取り出して、ピッキングを開始した。
ものの一分も経たないうちに、制御パネルの内側を曝け出して何十本とある配線から目標の一本を見つけ出して切る。
そして携帯端末にも見えるグリップ状のハサミを銜えさせた。

「ウイルス注入開始。機械よ。機械よ。機械さん。あなたのマスタ−はだ〜れだ?」

怪しい呪文を唱える魔女のように、楽しく携帯から命令書き換えの指示を送り出す。
電脳世界のガ−ディアンをアっという間に手中に収めた。
扉を開くように頼むと、ガ−ディアンは飼い犬が主人に尾を振って喜びをあらわにするように嬉々として命令を実行した。

母親の霧島マイの学徒であったショット=ウェポンのファイヤ−ウォ−ルを無効化する方法など幾らでも知っている。
こうみえてマナは、すご腕のメカニックだ。それも超がつくほどの万能タイプの。
小さい頃の環境から、そのテの物に触れる機会が多かったし、違法改造・・・・もとい、チュ−ニングするのも大好きだった。

「・・・・・・なんて、言うか、凄いね」

ゴゴゴゴ−と重量感のある音を上げながら左右に開く扉を見ながらシンジは、手際がよすぎる従兄妹に、なんで是だけの技量があるのに逃げなかったの?と訊いた。

「待遇は悪くなかったし、それに友達のシルキ−が逃げ出せないのにワタシだけが逃げ出せる筈ないじゃない」


二年前、テスラ・ライヒ研究所から突如この異世界に召喚されたのは3人。
ショット=ウェポンと霧島マナ。
それと当時、汚染物質分解型ナノマシン。月光蝶システムの開発に成功した霧島マイ博士達であった。

召喚された霧島マイは三ヶ月程、ドレイクの下で機動兵器の開発を行い。
一機のマシンを生み出した。
それと同時に新たな研究テ−マを見つけたと書置きを残して姿を消した。
娘のマナには生きる術は叩き込んだので、あとは己の意志で動きなさいと一言だけ告げて・・・・・

そしてショットはドレイクの下に残されたマシンを参考に、ダンバインを開発し他にも量産型タイプのオ−ラバトラ−の製造ラインを稼動させる事に成功した。

その間、マナは賓客扱いでドレイクの屋敷に滞在していた。
ドレイクの一人娘であるリムル=ルフトと友達になり、バイストン・ウェルに関する様々な話を聞かせてもらい。
自分達が召喚された経緯。フェラリオのシルキ−=マウの事も教えてもらった。
マナはシルキ−の事を聞いて会って話をしたいと、友人のリムルに頼み込んだ。
ドレイク城に囚われていた時のシルキ−は、特殊結界の護符が貼られた水牢に閉じ込められていた。
人が出入りできる程の入り口は一つだけだが、通気孔など会話するくらいの抜け道は存在していたので、顔をみる事は叶わなかったが、話をする事ができた。

初めは自分を無理矢理召喚したシルキ−に怒りを顕にしたが、話を進めていく内にシルキ−の境遇を知り、そして友人となった。

三ヶ月程まえにドレイク城からウィル・ウィプスに移送される時、マナはリムルの協力も取り付け、シルキ−を逃そうと画策したが失敗に終わり、軟禁状態に近い形で封印の部屋に閉じ込められていたのだ。
本来なら冷たい牢獄に投獄されても可笑しくないのだが、マナ本人が思っている以上に、ドレイク側はマナの価値を高く評価していた。
居なくなった霧島マイの呼び水となる唯一の可能性を持った少女であり、一人娘の親友であることも然ることながら、純粋にメカニックとしての技量を欲した。

人質を取り無理矢理戦場に出させるパイロットと違い、機体を整備するメカニックに脅しや脅迫によって、機体を整備させれば、どんな細工をされるか分かったもんじゃない。
それが超一流と呼ばれる腕を持っているものなら尚更だ。
時限爆弾タイプに細工。それも好きな時に爆破する事くらい簡単に仕込める技量をマナは有していた。
なにしろ、開発段階の時からの専属スタッフでもあったのだ、ショットにすら見破れない小細工を弄するのも少女にとっては簡単だ。

だからドレイク側は懐柔策をとった。兵士達の慰め者にしようとか、拷問によって心を壊すような真似は一切しなかった。
欲しいのは柔軟な思考と正しい判断力を合わせ持つ超一流の技師だ。
使い物にならなくしては意味がない。その辺の事はドレイク側も熟知していた。

そして、シルキ−と相部屋にして最高級の待遇で監禁状態にしていたのだ。
時間は、人にゆとりと落ち着きを取り戻させる最高の治療方だ。
今は興奮して話に耳を傾けない少女でも冷静さを取り戻せば、損得勘定できるようにもなる。
フェラリオの術で創られた扉は、マナに破れる方法がないのも見越してでもある。
そういった目論みも、一人の少年によって水泡と化してしまった。


「友達の為か・・・・・うん、それなら分かるよ」

少年が仲間を置き去りに出来ないように、この少女も友達を見捨てるような真似はしなかった。
最近、義妹を褒める時によくする頭を撫でる行為を無意識に少女にした。

「ん・・・・・・もっと、褒めていいよ」

頭を撫でられて気持ちよさそうに擦り寄ってくる姿は、子猫を思わせる。

「ふたりともショウとシ−ラ様が2人きりで部屋に居る時みたいな真似しないの!」

弱っているシルキ−に付き添っていたチャム=ファウだが、一向に開いた扉を潜ろうしない2人に怒鳴りつけた。
慌てて離れようとするシンジとは対照的に、マナは掴んだ腕を離そうとしない。

「マ、マナ。ほら、離れて」

「あと、少し・・・・・シンちゃんパワ−を充電中・・・・・」

無理に引っぺがす事もできず、チャムの冷たい視線に晒されるシンジ。
僕が悪いのか?と泣き言を言いたいが、正にその通りと視線で語っているチャム。
その腕の中で、目を閉じて抱きついている少女がその証だ。
もの凄く居心地が悪い少年に、幸せを味わっている少女。それを見て急かすフェラリオ達は、その場であと5分ほど立ち止まっていた。


「この先にあるのはオ−ラバトラ−の原点となったモノ。開発段階では母様はシン(原罪)と呼んでいたわ」

機嫌よくマナはシンジに説明しながら先に進む。充電完了と嬉しそうな顔を見せる。

「原罪ね・・・・・人は罪を犯さずには生きられない生き物なのかな?」

意味深な開発コ−ドに考え込むようにシンジは呟いた。
この世界に罪を持ち込もうと、いずれ必要になる物だからと言って霧島マイは開発を始めた。
彼女は、近い未来にSTMCが地球園に襲来する事を知っていた。
姉同様、人が生き残る為に必要悪の存在を欲したのだろうか?

「多分、是なら天の海を越える事ができると思うわ」

人が住むコモン界と水の国ウォ・ランドルの間には、広大な水の層が遮っている。
地上界で言う大気圏にあたるものだ。
従来の物より、優れていてもオ−ラバトラ−は航空機のような物だ。
最新鋭で機動性に優れている航空機でも、空気のある所でしか飛べない。
どんなに無茶な事をするパイロットでも、航空機で大気圏を突破しようなんて考えない。
そもそも、そんなスペックを航空機には無いし、望む方が変なのだ。

だが、世の中には掟破りや、常識を簡単に覆す者が極少数ながら存在する。
その無茶をやらかす人物は、少年の叔母にして少女の母親である。

「母様は知って居たような気がするの、シンちゃんが此処に来る事を。アレにはシンちゃん用にパ−ソナルデ−タが、組み込まれてるから」

特定の者が振るうべく鍛え上げられた純白たる闇の剣。
オリジナルオ−ラバトラ−。正式名称『サ−バイン』が玉座に座る皇のように存在していた。


あとがき

マブラブオルタネイティブをようやくクリアしました。
今年出たゲ−ムで個人的にフェイトホロウに匹敵する面白さでした。
おかげで先週と今週はかなり寝不足でしたが。


レス返し

15様> 赤の他人の理不尽な要求なら笑顔で拒絶できますが、周りの親しい人間に振り回されるのはシンジ君の運命なので、文句を言いながらも最後には納得して受け入れます。

D様> シンジは別に完璧超人ではないので、予定外のアクシデントに目的を一時忘れたと言うことで。

羅陰様> 学業成績はともかくスク−ルライフは。ぶっ飛んでいたトリオでしたので。
信号機の三色で例えれば青一色。

アルテミス様> 母親の妹で、少年の叔母である存在も天才でした。それも規格外の。

シセン様> うらやましいのか?知り合い程度なら容赦なく相手にしなくなる冷徹な面を持っているシンジですが、大切な者と受け入れてた相手なら云いように振り回されるので。

イスピン様> 幼年期の話は半分キャラ説明とギャグで構成されているのでスト−リは、こんな具合で。

左京様> ブライト達は脱出済みで次はシンジ達ですね。

ATK51様> 子供達にとっては絶対に頭が上がらない君臨者のような母親達なので、もちろん決められた事も逆らえない。そもそも逆らうには経験が圧倒的に足りない。
悲惨ですね。
デビルガンダム事件時、霧島親子はバイストンウェルに召喚さていました。

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