インデックスに戻る(フレーム有り無し

▽レス始

「魔除けの鐘を鳴らす者達 第11話 (ス−パ−ロボット大戦)」

太刀 (2006-06-24 10:06/2006-06-24 10:40)
BACK< >NEXT


記憶。

一言で言えば短いが、様々な記憶がある。

嬉しかった記憶

怒った記憶

悲しかった記憶

楽しかった記憶

人によって千差万別。人の数だけ其々の記憶がある。

これから見るのは、一人の少年の幼き日の姿。
普段は、忘れていても。ふとした事で鮮明に思い出せる過去の自分。
自我を形成するにあたって重用な幼年期。その日常の出来事を語る話と、覚えていてもらいたい。


どこかの研究施設。その一部屋。


「シンちゃん。アッちゃんとよりもワタシと遊ぶの!」

3歳くらいの男の子が、同じ年の赤毛の女の子にオモチャを奪われ拗ねていると、綺麗な茶色の髪の女の子が男の手を引いて別の部屋に行こうとした。

「にゃ?にゃにやってるの!!!まな!ちんじはアタシといっしょがいいの!」

「シンちゃんのオモチャをもてったのに、アッちゃん。ずるだよ」

「い、いいのよ!ちんじのものはアタシのもの、そしてちんじもアタシのものなの」

黒髪の男の子の空いている手を赤毛の女の子が掴み、渡されまいと力一杯ひっぱる。

「ちがうもん!シンちゃんはモノじゃないもん」

違うベクトルで両手を引っ張られる男の子は泣きがはいっていたが、心の中で茶髪の女の子の言葉に賛同した。

「ワタシの『おとこ』だもん」

茶髪の女の子の母親が、娘に教えた教育の成果がでた瞬間でもあった。
男の子がもった期待は裏切られた。この年頃では男より女の方が体力的に優れている。
左右から、新しいイジメですか?と聞きたくなるほど力一杯に腕を引っ張る女の子達を振りほどくの力は男の子には無かった。

「ぼ、ぼくは、ぼくのものだい!」

男の子の慟哭だけが部屋に響いた。


どこかの公園の広場


「じゃあ、シンちゃん。つぎはワタシのばんね」

赤毛の女の子と今まで一緒にブランコで遊んでいた。いや、遊ばれていた男の子に茶髪の女の子がシ−ソ−に誘う。

「あ、あのねマ−ちゃん・・・・・ぼく、からだがいたいんだけど?」

ブランコから落ちた場面を見た筈だ。赤毛の女の子の下敷きになる決定的な瞬間を。
幸いにも手前が砂場になっていたので、大きな怪我は負わなかったが、かなり痛い。
泣きそうな顔をする赤毛の女の子の手前、強がったが本当は泣いて叫びたいのだ。

「だいじょうぶだよシンちゃん。かあさまが、おくすりくれたから。これをのんだら、へっちゃらだもん」

赤毛の女の子は、家にある救急箱を取りに行っていない。

「おくすり?マイちゃんのおくすり?」

母親の碇ユイの実妹である霧島マイの手製の薬と、茶髪の女の子は説明する。
男の子と赤毛の女の子に、自分をちゃん付けで呼ばせる女性だ。
なんでも、世界有数の統合科学者で、男の子の母親すら上回る天才だと、キョウコ小母さんから聞いた事がある。

「うん。そうだよ」

遊びに行く前に、渡されていたと茶髪の女の子は笑顔で言った。

「ごめん。いらない・・・・・・・」

学会で1、2位を争うネクシヤリストの話には付け加える点がある。
才能なら、テスラ・ライヒ研究所を設立したビアン=ゾルダ−ク博士に匹敵するが、彼女は自分の趣味の研究しか行わない。趣味を満足させる為なら平気で無茶をする。
彼女の実験で大西洋にある無人島の一つが、この世から完全に消滅した事もある。
人的被害は一切出てないが、其れすら計算付くではなかったと学会の古狸達は噂する。
ついた二つ名が『人体実験はしないマッドサイエンティスト』
本人は、笑って狂科学者の称号を受け入れた強者であり、変人でもあった。

「シンちゃん。おくすり、いやがったらメ!だよ」

子供心にマッドと呼ばれる方の薬は遠慮させて頂きます。と意思表示したかったが、茶髪の女の子は、男の子は薬が苦いので嫌がったと思った。
女の子が可愛らしい動物のアプリッケが刺繍されたナップから、メモ用紙を取り出した。
薬を嫌がる相手に飲ませる方法が書いてあるらしい。
子供好きの母親らしい気配りだ。
ひらがなのみで書かれたメモを茶髪の女の子が真剣な表情で読んでいる

「えっ!?うそ・・・・・でも、あ、ほんと・・・・かな?」

いきなり顔を真っ赤にした茶髪の女の子が声をどもらせ。うろたえる。

「・・・・・・わかったわ!かあさま!」

しばらくの間、一人芝居をしていた茶髪の女の子が意を決して、男の子に目を瞑れと言ってきた。

「どうして?」

当然ながら疑問に思った男の子が、茶髪の女の子に質問するが強引に押し切られた。
赤毛の女の子もそうだが、茶髪の女の子に対しても男の子が逆らって勝てた試しがなかった。
言われた通り目を瞑る。数秒後あたたかい感触を唇に感じた。
そして唇の間から口の中に、何かが入ってくる。
丸い錠剤なのだが、慌てて男の子は吐き出そうとした。しかし、それを阻むようにニョロとした柔らかく弾力のあるモノが続いて口の中に入ってくる。

男の子の舌と柔らかく弾力のあるモノが絡み合う。
その拍子に丸い錠剤を飲んでしまった。
薬は食道を過ぎると、凄さまじい速さで分解され身体に染み渡る。
睡眠効果も含まれていたのか、まぶたを開けていられない眠気に男の子が襲われた。
意識が夢の世界に旅立つ前に、ちょうど救急箱を取って戻ってきた赤毛の女の子が叫んでいる様な気がした。


国際空港ロビ−


「いいなぁ−アッちゃん。シンちゃんから、ゆびわもらえて・・・・・・」

茶髪の女の子は、赤毛の女の子に指輪を手渡している黒髪の男の子を見て羨ましそうに呟いた。
男の子は、意識朦朧で今にも倒れそうだが、背後に立っている男の子達の母親は記念にと、写真撮影をしている。

「あら、マナちゃんも指輪が欲しいの?」

「うん!・・・・・・あっ!でも・・・・・シンちゃんから、もらいたい・・・・・」

元気よく応える娘だが、欲しいのは指輪ではなく、あの従兄妹の男の子からのプレゼントであると母親の霧島マイは、直に気がついた。

「そう。大丈夫よマナちゃん。ママに任せて。だから、そんな悲しそうな顔はしないの。シンちゃんに嫌われるぞ?」

娘の額を指先で軽く押す。

「ユイちゃん。キョウコちゃん。ちょっと話があるんだけど、いいかしら?」

売店で売られていた使い捨てカメラで思う存分、自分達の趣味を楽しんでいる姉と親友に話しかけた。

「アングルが甘いのよキョウコ!そんな撮影テクニックでコスプレ界のカリスマカメラマンと言われた私に付いてこられると思ったの?」

「砂糖菓子より甘いのはユイ!あなたの方よ!大学でNO1パパラッチと呼ばれた私の技量に度肝を抜かれて、泣いて弟子入りしなさい!」

周りの空港利用客の迷惑を省みず、同時に3個目の使い捨てカメラに持ち替えた2人の頭にゲンコツを入れた。

「いった〜い。マイなにするのよ?私の楽しみを邪魔するのは実の妹でも許されないのよ」

「そうだよマイちゃん。暴力は学会で論文をバカにされた時のみに使う切り札だよ」

痛む頭を押さえ黒髪の男の子の母親と、赤毛の女の子の母親はそろって抗議した。
人は自分の事を狂科学者と呼ぶが、目の前で年がいなく涙ぐむ二人にだって充分素養はある。
じゃなきゃ、いくら姉妹や親友とは言え、ここまでウマが合う筈がない。

「ねぇユイちゃん。さっきシンちゃんからアスカちゃんに渡した指輪。母さんの形見よね?」

姉妹が高校に入学する頃に他界した。母親の宝物である指輪だ。
あの指輪は渡すことは、姉の本気が窺える。

「うっ・・・・・そ、そうよマイちゃん。もしかして怒ってる?」

姉であるユイが臨終の席で母親から直接手渡された指輪だ。所有権は姉のものだが、妹のマイにとっても大事な母親の形見であるのは違いない。

「いいえ。それはいいの。ただ私の提案を受け入れてくれれば、母さんの形見を誰にあげても私は気にしない。気にしなくなるわ」

キョウコにも関係ある話だからと手招きして輪に入れる。
学会の古狸共が、この光景を見たら青ざめたろう。
霧島マイは一人でも要注意人物だが、あとの2人は其れほど危険視されていない。
2人で組んでやった事と言えば、せいぜい大学時代に口だけの格闘サ−クルをすべて潰した程度だ。
だが、この2人に霧島マイが加わると化学反応を起こした薬物のように、劇的に変化する。
その迷惑度はカタストロフ級だ。

「え、マナちゃんも入れるの?」

「大丈夫よ。某国の国籍は取ってあるわ。連邦法律なんてザルよ。いくらでも抜け道があるわ」

「でも、ウチの子。独占欲は高いわよ。とくにシンジ君を誰かと共有するのは難しいわ」

「だけど、夫婦生活には刺激が必要よ。ユイちゃんの旦那さんに最近、赤木ナオコ博士がモ−ションかけてるって、ゲヒルン職員の間で噂になってるの知らない?充実した夫婦生活を送ってないと男は、すぐ他の女に目がいっちゃうよ?」

「あっ・・・・・・その噂。私も聞いた。開発中のMAGIの研究室で2人きりで会ってるて・・・・・・」

キョウコがマイの話に肯いた。

「・・・・・いいわよ。帰ったら直接あの人に聞いて見ます」

その日。仕事から帰ってきた旦那を出迎えた妻は、最初にアルゼンチンバックブリカ−を決めるのであった。

「話が逸れたけど、だいだいこんな風でいいんじゃないかしら?」

あ−だ。こ−だ。と話している三人。その議題はいかに法案の裏技を使い。誰からも文句を言わせる事なく、あの子供達をくっつけるかである。
しばらく話して、ようやくまとまった内容に母親達は納得した。

「じゃあ、シンちゃんに署名してもらわないといけないわ。あと血印も」

「そうね。書類の方は私の方が用意するからユイちゃんはシンちゃんに説得。キョウコちゃんは某国に手回しを、お願い。言う事を聞いてくれないなら2、3個。特許の権利を譲ればいいから」

「分かったわ、マイちゃん」

賛成2票。条件付き賛成1票で、提案は可決されました。

「「「すべては、我らが老後の楽しみの為に!!!」」」

どこかの秘密結社が大いなる火を讃えるように、母親達は空港ロビ−で宣言した。
周りの空港客は係わっちゃ拙いと、目を逸らして早歩きで通り過ぎて行く。
そして、有無を言わさず係わる破目になった男の子は、赤毛の女の子と茶髪の女の子の間で、最後まで両手を引っ張られていた。


第11話 保護者


「へ〜そんな事が、あったんだ」

霧島マナが語る昔話にミ・フェラリオのチャム=ファウは、すっかり仲良しになって今明かされる。碇シンジと霧島マイの関係を聴き入っていた。

「ねえ、シンジ。婚約者が2人もいるの?」


返事がない。不貞寝をしているようだ。


思いでは、綺麗ならば問題ないが。思い出したくない封印していたパンドラ(トラウマ)の記憶箱を開けられ黒髪の少年は、部屋の中央に設置されている豪華な天蓋付きのベットで青春のほろ苦い・・・・・・いや、舌が麻痺する悪夢に涙していた。

「う〜ん。シンちゃんあれで頑固だから、ママ達に決められたのが悔しいのよ」

それは関係ないス。思い出したくない事を思い出されたから拗ねてるだけです。

「マナは、いいの?好きな人が自分だけを見てくれなくても?」

チャムが聞いてくる。

「まぁアスカとならいいかな・・・・・誰とでもって訳には、やっぱりいけないけどね」

男は女と違って同時に複数の相手を愛せると言われている。
それは自ら腹を痛めて産み、確実に自分の遺伝子を継承していると実感できる女と違い、種を蒔くだけの男は生物学的に見て、多くの異性に自分の遺伝子を産ませたいのだ。
それは動物的な本能のようなものだ。
その分、女のほうでも子供の父親となる男に対しては鑑定眼が厳しくなる。
一人の男を共有する仲間は、恋人を選ぶより厳しい目になるが、赤毛の幼馴染となら問題ない。

「ちなみにコレがアスカ」

マナが古い写真をチャムに見せる。写真には3人の子供達と、その母親達が写っている。

「あ〜!かわいい!ねえ、ねえ、マナ。他にはないの?」

愛らしく撮られていた写真を見たチャムは喜び、他にあるのなら見せて欲しいとせがんだ。

「ふふふふ・・・・・・見たい?」

「見たい!見たい!」

「いいわ。見せてあげる。チャムと友達になった記念にワタシの宝物。シンちゃんライブラリ−一般公開用を余すことなく!」

文庫本サイズの映像機器には、小さい頃の映像。頬にバッテン傷の年上の男性と組み手をしている映像。
おさげの髪に紫色の武道着を身につけている人とご飯を食べている映像。
金色の髪に育ちのよさそうな少年と楽器を演奏している映像など様々とあった。

「この人がシンちゃんの師匠のマスタ−アジア東方不敗さんで、コッチが兄弟子のドモン=カッシュさん。シンちゃんは長い間。この人達と修行していたから強いのよ」

マナがチャムに次々と現れる人物とシンジの関係をチャムに説明する。

「な、なんでマナが、そんな物もってるんだ!?」

幼い頃の呼び名は、この年齢で言うのが恥ずかしいで名前で呼ぶ。
不貞寝をしていたが、本当に寝ている訳ではない。当然、マナとチャムの会話は聞こえてくる。
昔の思い出話しなら、マナが知っているのも分かるし納得もいく。
けど、今の会話の内容とマナが持っている携帯映像機器に映っているのは間違いなく修行時代のシンジと師匠達だ。
ベットから上半身を起こしてマナに訊いた。

「あれ?シンちゃん知らなかったの。母様がマスタ−アジアさんの後方支援してたの?」

そう言えば長い修行時代。金銭に困った事は一度もない。
心身を鍛える為に山篭り等は多くやってきたが、師匠が普通の労働に勤しんでいる所は見たこともない。
大半は宇宙や地球を旅しながら修行してきたので、腰を落ち着かせて働く事はなかった。
MFのメンテナスパ−ツや維持費は決して安くはない。中破しようものなら億単位の金が湯水のように流れていくが、一度も修理費用に頭を悩ませなかった。

「スポンサ−と言うよりシンちゃんの保護者を気取っていたけどね。それにマスタ−アジアさんは母様以外にもたくさんの支援者が居るらしいから」

碇ゲンドウがシンジを捨てたとの情報は直に霧島マイの耳に入った。
義兄の暴挙を理解することはできなかったが、親戚として身内のシンジを当然引きと取ろうとマイは動いた。
その時、シンジはすでにマスタ−アジアの2番弟子となり各地を旅していた。
結局、足取りを掴む頃には、三ヶ月の時間を必要とした。
ようやく、行方を掴めた将来の義息子に会いに行ったマイが見たのは、ゲンドウに捨てられ心に深い傷を負っていたシンジが立ち直り、兄弟子や師匠と笑顔でいる場であった。

「それで、母様はマスタ−アジアさんにだけ会って、シンちゃんを、お願いしますって頭を下げて帰ってきたらしいの」

「そうか、僕を守ってくれてたのは師匠達だけじゃなかたんだ・・・・・・」

今さながら、叔母の心遣いに感謝する。

「・・・・・でも、あの映像は何?」

師匠と叔母の関係は分かったが、疑問は残った。

「これ?シンちゃん一ヶ月に一回くらいマスタ−アジアさんにビデオで撮られてなかった?」

ああ、そう云えば撮ってたな。
日常生活から始まり、僕が友人や知り合いを増やす度に・・・・・・・・

「も、もしかして・・・・・・あの時、撮っていた映像は、すべて・・・・・そ、その中に?」

「うん!保護者の権利を主張したらマスタ−アジアさんが快く引き受けてくれたって」

保護者を名乗る以上。定期的に連絡が欲しいのは分かる。
だが、確かあの映像の中には色々とシンジが失敗した場面も写っている筈だ。
身内以外には知られたくない恥もある。

「・・・・・・ああ、イルイちゃん。僕はもう疲れたよ」

愛すべき義妹に別れの挨拶を済ませ、今度こそ本当に不貞寝を実行しようと起こしていた上半身をベットの上に落とした。

「ところで、シンちゃん。いつまで寝てるつもり?」

「ガラスのハ−トの罅が塞ぐまで」

一応、律儀に応えるのはシンジらしいが、悲しみに暮れるシンジに構う幼馴染に話かけるなオ−ラを無言で発していた。
そんな不貞腐れる少年に追撃の手を緩めるほど甘くないのが、従兄妹の少女だ。

「シンちゃんが、落ち込むのは分かるよ。ワタシだって、あんな事は他人に見られたくないもん!」

「ぐはっ!」

心にクリティカルヒットを受けたシンジが悶えるように宙に腕を伸ばした。
思い当たる節があるのが、よけいに痛い。

「でも、安心して。恥ずかしいと思う映像は、絶対に他の人には見られないから、母様直伝のファイヤ−ウォ−ルで護られたプロテクトを突破するのはMAGIでも不可能よ」

ハッキングしてきたら逆ハッキングを行い相手のコンピュ−タを根こそぎ再起不能にする超極悪のプログラムが組んであるとマナは言う。
たとえNervが誇るス−パ−コンピュ−タだろうとクラシュさせると豪語した、会心の自信作である。
パスワ−ド形式で10字以内に数字とアルファベットを正確に打ち込まないと、ファイルは開かない。
パスワ−ド解除ソフトを使っても、一回入力を間違うたびに全デ−タがデリ−トされる。
それにスペ−スや他の記号の組み合わせを考えれば兆単位を越える。
10の16乗分の1以下の確立は0と見なされるので、予備知識が無いハッカ−なら一生やっても解除できない。
それにパスワ−ドを考えたのは、マッドサイエンティストの霧島マイ本人だ。
パスワ−ドを組んだ本人の精神を分析してパタ−ンを測る手段もあるが、あの捻り曲がりすぎて混沌とかしている精神を理解できる方法などない。
つまりパスワ−ドを知らない者以外は、見る事は不可能とマナは言っているのだ

「本当かいマナ?本当に他人には、あんな事やこんな事は知られないんだね?」

震えた子犬が縋るようにマナを見るシンジ。
そんなシンジにワタシと母様以外は知らないから安心してと言うマナ。

「え〜!!!いいじゃない!見せてよマナ」

好奇心旺盛のミ・フェラリオが自分には見せてと言った次の瞬間、チャムの心臓が止まりそうな殺気を浴びせられた。

「人の嫌がる事を見たい以上、覚悟はできてるよね?いつも自分が安全な所から相手を弄れるとは思わない方がいいよ」

普段のシンジからは想像もできない、冷たく感情が籠もってない声で警告した。
チャム限定に浴びせた殺気は物理的な力を持っているかのように、四肢を縛る。
羽ばたく事すらできなくなったチャムは床に落ちて、シンジに見ようなんて二度と言わないから許してと首を横に振って懇願した。

「ちょっとシンちゃん!チャムに何をしたの!?」

チャムの態度とマナの怒り声でシンジは殺気を解いた。

「ご、ごめんなさい・・・・・・シンジ」

身体の自由を取り戻したチャムは、泣きながらシンジに謝る。
チャムがシンジに謝ったのを見てマナも事の重要性を理解した。
赤の他人にプライベ−ト。それも触れて欲しくないと思っている所に土足を踏み込まれるのだ。
その不快感は言葉では言い表せない。

「いや、反省してくれるなら、いいから。だけど、本当に他人には見られたくないモノも映ってる筈なんだ。あの中には」

「マナならいいの?」

ようやく泣き止んだチャムが、鼻をぐずりながらシンジに聞く。見ていい資格の基準が分からないからだ。

「マナは身内だからね。僕も小さい頃のマナの恥ずかしい所も知っているし、知られてもいる。家族と同じだからかな?」

それならチャムにも分かる。ショウ達だけが知っている事を、他人に知られるのは確かに嫌だ。

「よく分からないけど、2人は仲直りしたのね。なら、握手して今の事は水に流す」

マナが締めくくるように、この話は是でおしまい。と言って場の空気を明るくした。
ベットまで飛んでいき、シンジの人差し指を掴んでチャムと仲直りの儀式をする。
ここで、話しが終われば綺麗にすんだのだが、マナがベットまで近づいてきて、シンジに凍えるような声で訊ねた。

「ところでシンちゃん。いつまでフィアンセの前でシルキ−に添い寝しているのかな?」

「え?」

今まで、いい感じにテンパってたから気が付かなかったが、シンジの横には妙齢の女性が眠っている。
ドレイクに捕らわれているエ・フェラリオのシルキ−=マウだ。
あまりにも精気がなく、仮死状態なので危険はないと身体が判断していたのも原因だ。

「いや、気付かなかった・・・・・・って!マナ!その振り上げたモノを降ろして!!!」

何故か躱せない、幼馴染の本日二度目の攻撃を受けるシンジを、庇ってくれる者は誰もいなかった。


あとがき

第3話の幼年期時代の内容と今回前半に書いた話は繋がっています。


レス返し

シセン様> バインストン・ウェルの状況は各国のオ−ラバトルシップが既に完成して、全面対決する寸前だったという設定で。

羅陰様> シンジは幸か不幸か此処で新たな機体を手に入れる事にはなります。自動追尾システムが無く指パッチンで呼び出せないのが不満でしょうが。

J´様> マナは基本的に直接対決を避け漁夫の利を狙っていきます。荒れるのは赤毛の彼女の方でしょう。

15様> 威力。錬度。消耗の度合を考えると兄弟子の最終奥義の方が完成度は高いです。
ただ兄弟子が50口径拳銃なら、弟弟子は狙撃用ライフルから放たれる鉄鋼弾のような物です。

AT51様> 自分を馬鹿にされる分にはシンジは寛容と言いますか、別に仲間以外の罵倒など基本的にどうでもいいと感じています。
ただ親しい人が事情を知らない他者から根拠もなく馬鹿にされたら、相手に精神的障害を植え付ける程の後悔を味あわせる事ぐらい平然と行います。

イスピン様> たしかに頭一つ分。琥珀色の瞳を持つ義妹が抜き出ていますがヒロインは未だ未定・・・・・かな?
トッド君のマミ−自慢。ドレイク軍では懲罰の一つに挙げられている。
軍紀を破った兵士は、身体の自由を奪われトッドが満足するまでマミ−自慢を聞かされる。
嫌嫌ですね。

レ−ン様> 別にシンジは妹だから大切なのではなく、イルイだから大事なのです。
まあ、端から見れば重度のアレですが・・・・・

流星様> 東方不敗奥義は一話のプロロ−グで体得しています。
黒髪の少年が赤髪。茶髪。金髪。空色の髪の少女達と悶着があるのは決定事項です。

アルテミス様> マナがバインストン・ウェルに居る理由は次回の話で書くと思います。

左京様> 合体技・・・・・ガイナックスアッタクは書きたいですね。

BACK< >NEXT

△記事頭

▲記事頭

yVoC[UNLIMIT1~] ECir|C Yahoo yV LINEf[^[z500~`I


z[y[W NWbgJ[h COiq O~yz COsI COze