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「狩人の世界に現れし福音者達  第6話(エヴァ+HUNTER×HUNTER)」

ルイス (2006-07-08 15:02)
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「うん、美味しい! これも旨い! うんうん、いける! これも美味!」

 カラン、とグレイトスタンプの骨が投げられ、ブハラは大きく息を吐いた。

「あ〜、食った食った。もー、お腹いっぱい!」

 ゴオオォォン、とメンチは課題終了の合図の銅鑼を叩く。

「終〜了ぉ〜」

「すご……豚の丸焼き70頭、完食してるし……」

 ある意味バケモン、であると受験生達は山積みになったグレイトスタンプの骨を見て驚愕する。

「やっぱりハンターって凄い人達ばっかりなんだね」

「ああはなりたくないけどな……」

 素直に感動するゴンに対し、不敵な態度だったキルアも少し驚いて頬を掻く。

「おかしい……! 妙だぞ! 明らかに奴の体積より食べた量の方が多い!」

「いや、そんなにマジで悩まれても……」

 ピントの外れた所で驚いているクラピカに、レオリオが冷ややかにツッコミを入れた。

「アンタね〜、結局食べた豚、全部美味しかったって言うの? 審査になんないじゃないのよ」

「ま〜、いいじゃん。それなりに人数は絞れたし。細かい味を審査するテストじゃないしさ〜」

「甘いわね〜、アンタ。美食ハンターたる者、自分の味覚には正直に生きなきゃダメよ……ま、仕方ないわね」

 満足そうなブハラに対し、呆れながらもメンチは再び銅鑼を鳴らした。

「豚の丸焼き料理審査! 70名が通過!!」

「(70名ですか……ふ〜む、大変、優秀な数字ですな)」

 その様子を木の上から見ていたサトツは、予想以上の人数がブハラの課題をクリアした事に感心していた。

「(確かにあの豚は額を強く殴打すれば簡単に仕留められますが、そこを正確に攻撃するには、相当の度胸と判断力、身のこなしが要求されますからね。しかし、問題はこれから。彼女は手強いですぞ)」

 サトツの視線は、次の課題を出すメンチへと向けられる。彼女は、ハンターの間でも有名なのである。

 美食ハンター、メンチ。世界有数の料理人である彼女の味覚はズバ抜けており、様々な料理を作れる他、貪欲な探究心であらゆる食材を食べ尽くし、一度食べた味は忘れない。それらの功績が評価され、ある一分野で多くの功績を残したハンターに贈られる一つ星(シングル)ハンターの称号を若干21歳で持っているのだ。

「アタシはブハラと違ってカラ党よ。審査も厳しくいくわよ〜。二次試験後半……アタシのメニューは……スシよ!!」

 メンチの口から二次試験後半の課題が発表され、受験生達は表情を顰める。

「「「「「(スシって……!?)」」」」」

「(どうすりゃ良いんだ、検討もつかねぇ)」

「(全く知らない料理を作るなんて不可能だ)」

 皆、スシとは何なのか分からない様子だった。

「ふふん、大分、困ってるわね。ま、知らないのも無理ないわ。小さな島国の民族料理だからね。ヒントをあげるわ! 中を見てごらんない!」

 そう言い、メンチは講堂の中を見せる。そこには調理台が並んでおり、包丁、まな板、調味料、ライスが置いてあった。

「ここで料理を作るのよ! 必要最低限な道具と材料は揃えてあるし、スシに必要不可欠なゴハンはこちらで用意してあげたわ。そして最大のヒント! スシはスシでもニギリズシしか認めないわよ!!」

 メンチのその言葉を聞いて、アスカ達はピシィッと固まった。

「(手巻き寿司作ろうと思ったのに……)」

「(握り寿司……出来ない)」

「(僕を裏切ったな)」

 最後の一人は意味不明だが、握り寿司と聞いて既に敗戦ムードだった。

「それじゃスタートよ!! アタシが満腹になった時点で試験は終了!! その間に何コ作って来ても良いわよ!!」

 メンチの合図と同時に受験生達はそれぞれ調理台に雪崩れ込む。が、いざ調理台に立ったものの、皆、ニギリズシが何なのか分からず、道具やライスを見て考え込んでいる。

「ライスだけで作るのかな〜?」

「道具とか見ると、他にも何か使いそうだぜ…………って、レイ?」

 ふとキルアは、隣に立っているレイが人差し指と中指でライスを握っていたが、ボロボロ零し、握っては零すという光景を見て眉を顰める。

「何やってんの?」

「………………ゴメンなさい……私、こんな時、どんな顔をすれば良いのか分からない」

「は?」

「えっと……上手く出来ないなら泣けば良いんじゃないかな?」

 レイなりにニギリズシを作って上手くいってないみたいなので、一応、そう答えるゴン。

「しくしくしく……」

「わ、声に出して泣いてる……」

「意外と感情表現豊かなのかもな」

 そして悩みまくる受験生を見回し、笑って握り拳を作る者が一名。

「(ククク……この課題、貰ったぜ!!)」

 ハンゾーである。

「(まさか俺の国の伝統料理がテストになるとは! しかし、此処でうかれてたら周りにバレちまうからな! 知らねーフリしてさり気なく一人で合格しちまうのが利口なやり方だぜ)」

 笑ってる顔を隠し、ハンゾーはチラッとライスをソフトボールの球ぐらいの大きさで握っている受験生を見る。

「ぶぷっ!」

「(こいつ、知ってるぜ!)」

「(完璧に知ってやがる!!)」

 本人は平然を装ってるつもりだが、忍者のくせにお喋りで感情が表に出やすい男である。周りの受験生のニギリズシを見て思わず笑う反応に、皆、彼がニギリズシとは何か知っていると確信するのであった。

「ニギリ……か。大体、料理の形は想像は付いて来たが、肝心の食材が全く分からねーぜ」

「具体的な形は見た事ないが文献を読んだ事がある」

 ウ〜ン、と考え込んでいるレオリオにクラピカが小声で言って来た。

「確か、酢と調味料を混ぜた飯に新鮮な魚肉を加えた料理……の筈だ」

「魚ぁ!? お前、此処は森ん中だぜ!」

「声がデカい!! 池とか川とかあるだろーが!!」

 折角、周りに気付かれないよう小声で教えたのに、レオリオが大声を上げるのでクラピカは思いっ切りしゃもじを投げつけた。当然の如く、受験生達は魚を目指して走り出して行く。

「ちぃっ! 盗み聞きとは汚ねー奴らだぜ!」

「そうか、アレを盗み聞きと言うならば、もう何も言うまい」

 大声で叫べば、盗み聞きもクソも無いが、レオリオの言葉にクラピカは呆れ果てた。

「くそっ! 俺の他にも知ってる奴がいたのか!?」

「「「「「(やはりか!!)」」」」」

 ハンゾーも自分だけがニギリズシを知ってると思い、思わず叫んでしまった。

「くっく、俺よりよっぽど性格悪いな、メンチ」

 誰もいなくなった講堂を見回し、ブハラが言った。

「今のスシダネってのは殆どが海水魚なんだろ? この辺の池や川魚じゃ、まともなスシなんて出来っこないぜ」

「だから面白いんじゃないの。フツーのスシダネなんて、もう食い尽くしてんのよ。どんなキワモノが出来て来るのか楽しみだわ。今日は試験官というより料理人として来てるからね」

「料理人として……ってのは、マズいんじゃ……」

「何?」

「いや何でも……ん?」

 そこで、ふとブハラは、一人、ポツンと調理台に佇んでいるレイを見つけた。レイは、もぞもぞとアスカのカバンを漁ると缶詰を取り出した。

「あった……コーンビーフ」

 そして、何故かマヨネーズまで入っている。どうやらアスカの非常食のようだ。

「確か大昔の番組でコーンビーフ寿司をやってたって司令が………言ってたような気がする……肉、嫌いだけど……」

「お〜い……」

「?」

 ふと、レイはメンチに話しかけられ、顔を上げる。

「アンタさ、多分、スシって何か知ってると思うけど……その材料使ったら、多分、軍艦巻きか海苔巻きでニギリズシじゃないんじゃない? や、コーンビーフ寿司ってのも食べてみたいっちゃあ食べてみたいんだけど」

「メンチ〜。試験官が助言なんかして良いの?」

「しょうがないじゃん。何かこの娘、放っておけないオーラ出しまくってるんだもん」

「そう……軍艦巻きと海苔巻きってニギリズシじゃないのね……」

 そう言い、レイはコーンビーフの缶詰をグシャッと地面に叩き付けると――アスカのです――外に出て行った。


「カヲル、アンタ何やってんのよ?」

 川で魚を取って来たアスカは、木に登っているカヲルを見て話しかけて来た。カヲルは、鳥の巣から卵を取って、笑みを浮かべる。

「ふ……彼から聞いた事がある。寿司というのは、魚以外に玉子焼きもいけるそうじゃないか」

「…………アンタさ〜、玉子焼き作れんの?」

「玉子焼けば良いんじゃないのかい?」

「アタシ、昔、寿司屋――勿論、回らない方――に行ったけど、普通の玉子焼きと違ってフワッとしててカステラみたいで甘かったわよ」

 それを聞いて、カヲルはしばらく玉子を見つめていたが、巣の中に戻し、スルスルと木から降りて来た。

「これから生まれる命を粗末に扱うのは良くないね」

「アンタ……世界中の人間の命を奪う片棒担いだくせに……」

「おぉ〜っと、手厳しいね」

 が、何故か笑顔のカヲルは魚を取りに川に向かうのだった。


「(自信アリ! 飯に新鮮な魚を加え、握る料理と言ったら、これしかねぇ!)」

 レオリオは、自信満々で作る。

「良し! 出来たぜ〜! 俺が完成第一号だ!!」

 意気揚々と出来たものをメンチの所へと持って行くレオリオ。

「名づけてレオリオスペシャル! さぁ、食ってくれ!」

 そして、蓋を開けると、そこには生の魚をライスで包んだ謎の料理(?)が出て来た。

「食えるかぁ!!」

 ポイッとメンチは怒り任せに放り投げる。

「テ、テメ、何も放り投げる事はねぇだろ、こらぁ!」

「何? 失格にするよ?」

 怒るレオリオに対し、メンチはそう言って脅すと黙らせた。

「い〜い、形は大事よ! ニギリズシの形をなしていないものは味見の対象にもならないわ!」

「くそ〜、自信作だったのに」

「よ〜し、次は俺だ!」

 悔しそうに帰って行くレオリオと交代で今度はゴンが持って行く。彼の出したのはレオリオほどではないが、魚を一匹、ライスで覆ったものだった。

「403番とレベルが一緒!!」

 レオリオ同様、ポイッと放り投げる。

「レオリオと同じレベルか……」

「心中察するぞ、ゴン」

「んだよ、コラ!」

 落ち込むゴンを本気で気の毒そうに慰めるクラピカ。

「駄目!」

「違う!」

「ある意味、惜しい!」

 出て来る料理全てを食べずに切り捨てるメンチ。唯一、おにぎりだけは惜しいと言ったが。

「ちょっとぉ! まだ一つも試食さえ出来てないわよー! アタシを餓死させる気!?(まったく皆、注意力が足りないわね。他にも一杯ヒントを上げてるのに)」

 箸を片手に文句を言うメンチに、クラピカはその優秀な頭脳を駆使する。

「(全く形が分からないのだから、今此処にあるデータから論理的に考察するしかない!)」

『何コ作って来ても良いわよ〜!』

『形は大事よ!!』

 メンチの言葉が彼の中で反復される。

「(彼女のこの台詞とニギリズシという名称からから考えて、コロッケやハンバーグのように定番の型がある固形の料理だと推察される! そして彼女の持っている道具と、目の前の皿にある調味料入りの皿。アレでスシを掴み、皿の中の液体につけて食べるなら、大きさは恐らく玉子大からそれ以下! そして新鮮な魚肉を加えると……)これだ!!」

 かなり長ったらしい考察をして導き出したクラピカの料理は…………ライスで魚を覆ったものだった。

「アンタも403番並!!」

 当然、メンチは放り投げる。

「(ヒクヒク)」

「そんなにショックか、コラ!?」

 クラピカの顔は形容しがたいほどショックを受けていたので、レオリオは思いっ切り怒鳴った。

「あ〜! 洋食派だった自分が恨めしい〜!」

「…………ビタミン剤派だった自分が憎い……」

「彼の親友でありながら料理一つ出来ない自分は嫌悪に値するね。嫌いって事さ」

 アスカ、レイ、カヲルの三人も、スシを知っていながら、まともに作れず苦戦していた。

「も〜、どいつもこいつも!! 観察力や注意力以前にセンスが無いわ! やんなっちゃう!!」

 ムキ〜っと怒鳴るメンチ。と、そこへ今まで来なかったハンゾーが「ふっふっふ」と笑いながらやって来た。

「そろそろ俺の出番だな。どうだ! これがスシだろ!」

 そう言いハンゾーが出したのは一口大のご飯の上に魚の切り身を載せたものだった。

「ふ〜ん、ようやくそれらしいものが出て来たわね……どれ」

 初めてメンチは料理を放り投げず、口に運ぶ。

「駄目ね、美味しくないわ」

「な、何だとーーー!?」

 自信満々だったハンゾーは、メンチの判定に驚愕する。

「飯を一口サイズの長方形に握って、その上に山葵と魚の切り身を載せるだけのお手軽料理だろーが!! こんなもん誰が作ったって味に大差ねーべ!!」

「「「「「「なるほど、そういう料理か!!」」」」」」

「はっ! しまった!」

 思わず丁寧に説明してしまったハンゾーは、皆、それを聞いて同じようなのを作り始めた。

「アホくさ……」

「レイ! テメー、知ってたな!?」

「ええ……」

 キルアは、レイがどんなのを作ろうとしていたのか悟り、彼女に向かって怒鳴る。

「レイ、酷いよ……何で教えてくれなかったの?」

「聞かれなかったもの」

 そう言われては何も言い返せないゴンとキルアだった。

「お手軽!? こんなもん!? 味に大差ない!?」

 ハンゾーは、ゴゴゴゴ、と何やら怒気が背後から感じたのでハッとなって振り返ると、突然、メンチがキレて怒鳴って来た。

「ざけんなテメー!! 鮨をまともに握れるようになるには、十年の修行が必要だって言われてんだ!! 貴様ら素人が幾ら形だけ真似たって天と地ほど味は違うんだよ、ボケ!!」

「んじゃ、そんなモンテスト科目にすんなよ!!」

「っせーなコラ!! ハゲ、殺すぞ!! 文句あんのか、お!? あ!?」

 ハンゾーの胸倉を掴み、メンチはスシが何たるかを語り出した。それを見てブハラは溜息を吐いた。

「(あ〜あ、メンチの悪いクセが出ちまった。熱くなったら最後、味に対して妥協出来なくなるからな〜。メンチを本当に満足させられる料理人なんて世界に数えるほどしかいないっつーの)」

「あ〜、もう怒鳴ったらますます腹減ったわ! さぁ、次の挑戦者いらっしゃい!」

 完敗したハンゾーを追い返し、ソファーにメンチがふんぞり返ると、受験生達は一斉に持って来た。

「次は俺だ!」

「いや、俺だ!!」

「も〜! ハゲのせいで作り方がバレちゃったじゃないの!! こうなったら味だけで審査するしかないわね!!」

 怒りながらもメンチはスシを食べる。

「駄目! 握りが強過ぎ! シャリが堅くてほぐれない!」

「メンチ、それは少し厳しいよ」

「アンタは黙ってなさい!」

 プロの寿司職人の審査をしてる訳じゃない、とブハラが訴えるがメンチは聞こうとしない。

「タネの切り方が全くダメよ!! 筋目に対して直角に切る! やり直し!!」

「シャリの形が悪い!! 地紙型かせめて舟底型に握りなさい!!」

「握りが遅い!! 体温が移って口触りが悪いわ!!」

「コレもダメ!」

「コレもやり直し!!」

 と、言うように次々と切り捨てていくメンチ。

「カヲル、レイ……アンタら何やってんの?」

 ふとアスカとレイは、スシを作らず座り込んで本を読んでいたので尋ねる。

「将○の寿司を読んで勉強してるのさ」

「…………海原○生は偉大だわ」

「今から料理漫画読んで勉強しても遅いわよ!!」

 やがてメンチは、一段落するとゴクゴクとお茶を飲んで一言。

「悪! お腹、いっぱいになっちった!」

「「「「「「「「「「「「「(終〜〜〜〜〜了ぉ〜〜〜〜〜!!)」」」」」」」」」」」」」

 第二次試験後半、メンチのメニュー…………合格者ナシ!!


「ん、分かった」

 皿洗いを終え、マイサと共に次の店へ向かう途中、少年が携帯を切った。尚、財布は交番に届けられていた。

「二次試験の課題、料理で寿司だってさ」

「スシ? 何ソレ?」

 不思議そうに首を傾げるマイサに、少年は「う〜ん」と考える。

「じゃ、作って実際に食べさしてあげる。どっか適当な店の厨房借りようか」

「それは良いけど……アンタ、何で試験の内容知ってんの? 今の電話、誰?」

「さて、誰でしょう?」

 意味ありげにニコッと笑う少年に、マイサは「このガキ……」と、静かに呟いた。


 〜レス返し〜

 希望様
 なるべく早い更新目指して頑張ります。


 SIN様
 ハンター試験は念とか出てないからいまいち地味ですね。酒豪三十路に料理やらせるなんて無謀以外なにものでもないです。チルドレンが再会するのは、もうちょい先ですね〜。


 にひひ様
 二人は何故かオチ担当です。まぁ、楽しいですけどね、書いてて。次もなるべく早くするよう心がけます。


 アト様
 一人は超お嬢様気質、一人は箱入り、一人は生まれてから死ぬまでの間が短過ぎ、そして彼は自他ともに認めるおさんどん……明白ですね。

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