「二次試験ぐらいまでは大人しくしていようと思ったんだけど……一次試験が余りにタルいんでさ。選考作業を手伝ってやろうと思ってね……僕が君達を判定してやるよ」
ヒソカから放たれる奇妙なプレッシャーを感じ取り、受験生はつい怯んでしまう。そこで、恐怖に負けて一人の受験生が叫んだ。
「判定? くくく、馬鹿め! この霧だぜ。一度、試験管と離れたら最後。何処に向かったか分からない本隊を見つけ出すなんて不可能だ!! つまり、お前も俺達も取り残された不合格者なんだよ!!」
カッ!
そこで受験生の額にトランプが突き刺さり、血が噴き出す。
「失礼だな。君と僕を一緒にするなよ。冥土の土産に覚えておきなよ……奇術師に不可能はないの」
すると受験生達は、それぞれ武器を携えてヒソカを取り囲んだ。
「殺人狂め! 貴様などハンターになる資格ねぇぜ!」
「二度と試験を受けられないようにしてやる!」
恐怖で顔を引き攣らせながらも強気な態度を取る受験生達。ヒソカは彼らを一瞥すると、「そうだな〜」と言いながらハートの4のカードを見せる。
「君達まとめて、これ一枚で十分かな」
「ほざけえええええええぇぇぇぇ!!!!!」
怒号と共にヒソカへ突っ込む受験生達。が、ヒソカは本当にトランプ一枚で次々と受験生達の頚動脈を切り裂いて行く。中には両目、顔を切り裂かれている者もいる。そのスピード、技量にクラピカ、レオリオは驚愕し、アスカも冷や汗を垂らす。
「くっくっく……あっはっはぁーーーー!!!」
昂揚し、笑い声を上げながらヒソカは逃げ出そうとした受験生達の頚動脈を次々と切り裂いていった。そして、あっという間に彼の足元には受験生の死体が転がっている。
「君ら全員、不合格だね」
死体となった受験生達に冷ややかに言うと、ヒソカの視線は自然と生き残った者達へと向けられる。
クラピカ、レオリオ、アスカ、そして76番の武闘家チェリーだった。四人に近寄って来るヒソカ。
「おい、俺が合図したらバラバラに逃げるんだ」
すると、チェリーが小声で三人に言って来た。
「奴は強い……!! 何故ならアイツは人を殺す事に一片の躊躇いすら無いからだ。俺達とは実戦経験において、天と地ほど差がある! 今の俺達が四人がかりで戦おうが、勝ち目は無いだろう。お前達も強い目的があってハンターを目指しているんだろう。悔しいだろうが今は……此処は退くんだ!」
唇を噛み締めながら言うチェリー。次第にヒソカが迫って来ると彼は合図した。
「今だ!!」
「「!?」」
クラピカ、レオリオ、チェリーは一斉に三方向に分かれて逃げ出した。が、アスカはヒソカに真正面から突っ込んで行った。
「くっくっく……やっぱりねぇ。君達の中で一番、興味あるのは君なんだよ」
「しっ!」
不気味な笑みを浮かべるヒソカに向かってアスカは右ストレートを放つ。が、ヒソカは片手で受け流すと、トランプを振るって来た。アスカは体を後ろに反らし、そのまま女性特有の体の柔らかさを利用し、バク転の要領で後ろ手に地面を突き、足を振り上げ、ヒソカの顎に蹴りを入れる。
「引き分け……か」
ツ〜、とアスカの頬から血が滲む。ヒソカは、口から血を垂れ流して笑みを浮かべた。先程、アスカはトランプをかわしたと思えたが、彼女の頬を切っていた。
ヒソカは無言で両手の人差し指を立てて、近付いてくる。
「(コイツ……やっぱり……!)」
アスカは彼と距離を開けると、先程とは違い、腰を深く落としてドッシリとした構えを取る。
「ククク……やっぱり、君達3人は使えるようだねぇ〜。さて、どんなのか楽しみ……!?」
「うおりゃあああああああああ!!!」
その時、ヒソカの真後ろからレオリオが木の棒を振り下ろして来た。ヒソカが真横に避けると、レオリオは引き攣った笑みを浮かべて言った。
「へへ……女が戦ってるってのに男が逃げ出すなんざ格好悪ぃ事この上ねぇぜ……それに……」
言うと、レオリオは再び木の棒を振り上げた。
「こっちとらやられっぱなしで我慢できるほど気ぃ長くねぇーんだよ!!!」
「レオリオ!!」
「ん〜、いい顔だ」
あんな真正面から突っ込んでは殺されると、アスカは判断し、左手で右手首を掴む。ヒソカは、木の棒を避けるとレオリオの真後ろに移動し、彼に何かしようとした。その時、ヒソカの額に何かが直撃する。当たったのは、釣竿の針の部分の錘だった。
「ゴン!?」
すると、いつの間にか先頭集団から戻って来ていたゴンがいた。ヒソカは、ゴンの方を見ると笑みを浮かべて近づいて行く。
「やるね、坊や。釣竿? 面白い武器だね。ちょっと見せてよ」
「テメーの相手は俺だ!!!」
自分を無視するヒソカに向かってレオリオは背後から攻撃しようとしたが、彼の顔面にヒソカの拳が叩き込まれ、一回転して地面に激突した。それを見て、ゴンは思わずヒソカに突っ込み、釣竿を振り下ろしたが、アッサリと避けられる。次の瞬間、ヒソカはゴンの喉を掴んで来た。
「仲間を助けに来たのかい? いい子だね〜」
「ゴン!!」
アスカは、ゴンを助けようとヒソカに攻撃を仕掛けようとする。その時、彼女はハッとなって後ろに飛ぶ。すると、地面に何かが当たり、穴を空けた。
「(誰かいる!?)」
アスカは目を鋭くして周囲を警戒する。
「ヒソカ、そのぐらいにしときなさい」
「おや?」
すると、霧の中から一人の女性が現れる。腰まで届く長い水色の髪に金色の切れ長の瞳をした背の高い女性だ。茶色い長袖のシャツにジーンズを穿いている。胸には1番の番号札を付けている。
「早い内に殺し過ぎよ。いい加減にしないと私がアンタを止めるわよ?」
「大丈夫だよ。彼は合格だから死なせてないよ」
そう言い、ヒソカはレオリオを指差す。そして、「ん〜」とジロジロとゴンを見る。
「うん、君も合格。いいハンターになりなよ」
ニコッと笑って言うと、ゴンから手を離すヒソカ。その時、女性のポケットから電子音が鳴った。
<アクア、ヒソカそっちにいる?>
すると女性――アクアというらしい――は携帯を取り出して誰かと連絡を取る。
「ええ、いるわよ。もう、この馬鹿、色々殺しちゃってるわ」
<まぁ良いじゃん。どうせ、雑魚でしょ? それより、そろそろ二次試験会場に着くから戻って来た方が良いよ>
「分かったわ。ヒソカ、行くわよ」
「OK。お互い持つべきものは仲間だね」
そうヒソカはゴンに言うと、レオリオを担ぎ、アクアと共に歩き出す。
「一人で戻れるかい?」
無言でコクコクと頷くゴンにヒソカは「いい子だ」と言って霧の中に消えていく。その際、アクアはアスカと目が合った。
「また会いましょ」
ニコッと笑い、アクアも霧の中へと消えていった。
「ゴン!?」
呆然となって膝を突くゴンの元へ、クラピカが戻って来た。ゴンは、ヒソカと対峙した時、奇妙な感覚に襲われ、自分の心臓の鼓動が早く鳴るのを感じた。
「(くんくん)こっちだよ」
ゴンは鼻をひくつかせ、方向を示す。それにアスカとクラピカは続いて走る。
「そんなにハッキリ分かるのか?」
「うん」
クラピカとアスカも、ゴンのように臭いを辿ってみようとするが、全然、分からない。
「レオリオのつけてたオーデコロンは独特だから、数kmぐらい先にいても分かるよね」
「(お前だけな)」
「(獣みたいね)」
ゴンの嗅覚には、二人も恐れ入ってしまう。ふとゴンは、道端に転がっている獣の死体を見る。
「それに、まるで道標みたいに動物の死体が転がってるし……多分、ヒソカを狙って逆にやられたんだろうね」
「ん?」
アスカは、チラッと鳥の鳴き声がしたので横を見ると、木の陰から手が逆さに見えた。
「(やられたか……)」
確かチェリーとか言う武闘家だったか。どうやら、ヒソカに追いつかれて、そこらの獣みたいに殺されたのだろう。
「ねぇクラピカ、アスカ」
「ん?」
不意にゴンに話しかけられ、二人は彼の方を見る。
「ヒソカが言ってた俺とレオリオは合格って一体……どういう意味だと思う?」
「…………奴は試験官ごっこだと言っていた。つまりヒソカは我々を審査してたのさ」
「どうやって? だって俺、ヒソカにジッと顔を見られただけだよ」
「その前に、あいつに一発喰らわせたんだろう?」
「「うん、俺はね。でもレオリオは、殴りかかって逆に倒されちゃったよ。それでも合格だって」
それなら、ヒソカとそれなりにまともな勝負をしていたアスカの方が、よっぽど合格だとゴンは思った。
「…………あのまま本気でやり合ってたら、アタシは死んでたわね」
「!?」
アスカの発言にゴンは目を見開いて彼女を見る。
「戦ってみて分かった。アイツは強い相手を求めている。そして、それを殺す事に快感を見出している……アタシが中途半端な強さを見せれば、アイツは絶頂する為に何が何でもアタシを殺してたわね」
笑みを浮かべながら言うが、しっかりと冷や汗を垂らしているアスカに、ゴンとクラピカはゴクッと唾を呑み込む。
「そして、アイツはアンタとレオリオに似たような臭いを感じたのよ」
「似たような臭い?(そういえばキルアも同じようなこと言ってたな)」
「アイツにハンターになる資格云々を抜きにして、戦闘、という一点を見れば天才的な才能を持っているわ」
超人的な身のこなしに技術。アスカはトランプ一枚で手加減していたヒソカに殺されないよう戦うので精一杯だった。無論、本気で戦えば、そう簡単にやられないが、あの不気味なプレッシャーは半端ではない。
アスカの話を聞いて、クラピカが言った。
「特異な能力を持つ者が同じような才能の持ち主を発掘する事は良くある。多分、ヒソカなりに勘や経験で二人にハンターとしての素質や将来性を感じ取ったんじゃないか? “今、殺すには惜しい人材だ”……そう考えたのかもな」
「逆を言えば……強くなったアンタやレオリオを殺して快感を得たい、ってところかしら」
クラピカとアスカに言われ、ゴンは走りながら声を震わせる。
「分かった気がする……俺があの時感じた変な気持ち。目の前に人がゴロゴロ倒れていて、そうした張本人……ヒソカが俺の方に近づいて来た時、強力な圧迫感があって怖くて逃げ出したいけど背を向ける事も出来なくて、絶対戦っても勝ち目は無い!! 俺も殺されるのかなぁ、なんて考えながら、その反面……何て言うのかなぁ。殺されるかもしれない極限の状態なのにさ」
そこで、ゴンは振り返り、笑みを浮かべていた。
「変だよね? 俺、あの時、少しワクワクしてたんだ」
それはクラピカやアスカの言うように、自分はヒソカと同じ強いものを求め、スリルを欲しているのかもしれない、と感じるゴンだった。
「皆さん、お疲れ様です。此処、ビスカ森林公園が二次試験会場となります」
森の開けた場所に立っている体育館を連想させる建物。そこからはゴルルルやグオオオオと獣の呻き声らしきものが聞こえていた。受験生達もかなり長時間走って来たので汗だくになっているが、数名、汗一つ掻かず平然としている者達もいる。
「それじゃ、私はこれで。健闘を祈ります」
そう言い、サトツはその場を後にする。その際、チラッと受験生を振り返る。
「(約150人……一次で残り二桁ぐらいに減ってしまうと思っていたのですが……今年の受験生は豊作ですなぁ)」
まさか、三分の一以上残るとは思わなかったサトツは、素直に感心していた。
「それだけに惜しい。二次試験官が、あのメンチとブハラだったとは……此処でもしかしたら50人……いや、課題次第では10人以下になってしまうかもしれませんな………気になります。しばらく様子を見ていきますか」
戻ろうとしたサトツだったが、しばらく受験生の様子を見る事に決めた。
「どうやら間に合ったようだな」
そこへ、ゴン、クラピカ、アスカの三人が合流する。
「(ヒソカとレオリオは……!?)」
二人を探していると、ゴンはゾクッと背中に寒気を感じて振り返ると、ヒソカがアクアと立っていた。ヒソカはある方向を指差し、そちらに向かうと、レオリオが木にもたれて座り込んでおり、レイとカヲルもいた。
「レオリオ!」
「レイ! カヲル!」
「や、アスカ君。途中で逸れたから、てっきり動物に騙されたのかと思ったよ」
「うっさいわよ! 一人で先に行って!」
カヲルに怒鳴ってレイを見ると、彼女は濡れたハンカチをレオリオの頬に当てている。
「うむ。腕の傷以外は無事のようだな」
「テメ、俺が顔手当てされてるの見ろよ」
キッパリ、と言い切るクラピカに、レオリオが青筋を浮かべて返す。
「いつから気付いてたの?」
「ん? ああ、ついさっきな」
「(あ、本当だ)」
ゴンに尋ねられ、レオリオは答える。尚、クラピカはレイが何で濡れたハンカチを頬に当ててるのか、分からなかったが、レオリオの頬がかなり腫れてるのに言われて気付いた。
「しかし、何で俺、こんな怪我してんだ? どうも湿原に入った後の記憶がハッキリしねーんだよ」
不思議そうな顔をするレオリオに、ゴン、クラピカ、アスカは目を点にするが、本人の為に黙っておく事にした。
「アスカ、治療してあげたら?」
「いやよ。面倒」
レイの言葉に、キッパリと言い返すアスカ。
「ところで何で皆、建物の外にいるのかな?」
恐らく、アレが二次試験会場なのだろうが、何故か外にいるのでゴンが疑問を口にすると、キルアがやって来て答えた。
「中に入れないんだよ」
「キルア!!」
「どんなマジック使ったんだ? 絶対、もう戻って来れないと思ったぜ」
ゴンが此処までやって来た方法を説明すると、キルアは驚愕した。
「香水のニオイを辿った〜!?」
「うん」
「お前、やっぱ相当変わってるな……」
「そうかな〜」
「で? 何で中に入れないのよ?」
「見ての通りさ」
そうキルアが指差すと、建物の扉の上に『本日正午、二次試験スタート』という看板があった。
「変な唸り声はするけど、全然、出て来る気配は無いし、まぁ待つしかないんだろうな」
正午まで後3分ぐらい。もうすぐ試験が始まる事もあって、皆、ピリピリしている。やがて、時計が正午を指すと、扉が重い音を立てて開き始めた。皆、いきなり襲いかかってくると思い、身構えたが、中にいたのはソファでふんぞり返っているピンクの髪を五つに束ねた女性と、その後ろに座る身長3mはあろうかという巨大な男性だった。その男性の大きな腹から、呻き声らしきものが聞こえている。
「どお? お腹は大分、すいてきた? ブハラ」
「聞いての通り、もうペコペコだよ〜、メンチ」
「そんな訳で二次試験は料理よ!! 美食ハンターのアタシ達2人を満足させる料理を用意して頂戴」
女性――メンチの出した課題に受験生達は唖然となる。
「「(ピシィッ!!)」」
「おやおや? 女性二人が料理と聞いて石化しちゃうとはね〜」
生まれてこの方、料理なんてした事の無いアスカとレイは真っ白に固まり、カヲルはヤレヤレと首を横に振った。
「まずは俺の指定する料理を作って貰い……」
「そこで合格した者だけが、アタシの指定する料理を作れるってわけよ。つまりアタシ達2人が“美味しい”と言えば、晴れて二次試験合格!! 試験はアタシ達が満腹になった時点で終了よ」
メンチの説明を聞いて、男性――ブハラは見ての通り、かなりの大食漢っぽいが、メンチの方は余りに食べなさそうなのが受験生の印象だ。
「くそぉ、料理なんて作ったことねーぜ」
「こんな試験があるとは……」
「あぁ〜!!! こんなんだったらアタシも昔から作っとけば良かった〜〜!!!」
「どうして……どうして私は自炊もせず……ビタミン剤ばかり……」
「どうしたの、この二人?」
頭を抱えて叫ぶアスカに、膝を突いて何やらブツブツと呟いているレイを見て、キルアがカヲルに尋ねる。
「この試験、彼がいれば間違いなく合格なんだろうね〜……と、余裕ぶってる僕も料理なんか作った事なかったりして」
「「??」」
フッと遠い目をして訳の分かんない事を言うカヲルに、ゴンとキルアは首を傾げた。
「俺のメニューは……豚の丸焼き!! 俺の大好物」
「っしゃあ!! それなら簡単よ!!」
「神に……感謝……(肉、嫌いだけど)」
ブハラが課題を発表すると、急にアスカとレイは元気になった。
「森林公園に生息する豚なら種類は自由。それじゃ……」
「二次試験スタート!!」
メンチの合図で受験生達は一斉に森へと散る。
「いや〜、正直ホッとしたぜ!! 簡単な料理でよ」
「豚捕まえて焼くだけだもんね」
「しかし、早く捕まえねばな。あの体格とはいえ、食べる量には限界がある」
勢い良く豚を取りに行く受験生達を見て、メンチとブハラはニヤッと笑った。
「豚の種類は自由……だって? アンタも性格悪いわね。ビスカの森に生息する豚は、たった一種類だけでしょ?」
「世界で最も狂暴な豚、グレイドスタンプ。大きくて頑丈な鼻で敵を潰し殺す!! 逃げ遅れれば自分が豚の食料になっちまうぜ」
「こいつね」
アスカ、レイ、カヲルは、巨大な鼻を持つ豚――グレイトスタンプの群れを見つけた。あちこちで他の受験生の悲鳴が聞こえている。グレイトスタンプは、アスカ達に向かって突っ込んで来たが、三人は難なく避けると、グレイトスタンプの突撃した地面に大きな穴が空いた。
「どうだい? 此処は三人分かれてやるっていうのは?」
「異議なし!」
「分かったわ……」
三人は、それぞれ分かれてグレイトスタンプを引き付ける。カヲルは、人気の無い所まで移動すると、迫り来るグレイトスタンプに片手を広げた。
ズドン!!
すると、何故かグレイトスタンプはカヲルと接触する前に何かに激突し、キュ〜、と目を回した。
一方、レイは棒を構え、突っ込んで来るグレイトスタンプの足に向かって投げ付ける。グレイトスタンプはバランスを崩して滑り込んで来ると、レイはジャンプして踵落としを額に叩きつけた。
「ふぅ……やっぱり。巨大な鼻は弱点をガードする為のものだったようね」
そして残ったアスカは、グレイトスタンプから逃げながら、あのヒソカと一緒にいたアクア、という女性の事を思い出す。
「(何かしら……あの女、何か知ってるような……あ〜! もう! 何で、こんなイラつくのよ! それもこれも……!)」
ギュッとアスカは拳を握り締めると、立ち止まって振り返った。
「この馬鹿シンジ〜〜〜〜!!!!!!!」
咆哮と共に、そのままグレイトスタンプをアッパーでぶっ飛ばした。
「(ゾクゥッ!!)」
その頃、ザバン市の定食屋では一人の少年が悪寒を感じていた。
「兄ちゃん、手ぇ止まってるよ?」
「あ、すいません」
「ふふ……まさか財布落として皿洗いさせられるとはね」
少年の横では、マイサが並んで皿を洗っている。
「ところで、どうしたの? 何か顔色悪いけど?」
「いや……何故か嫌な予感が、ね。気のせいだと嬉しいな〜」
「口動かす前に手ぇ動かす!!」
「「は、はい!!」」
店主に怒鳴られ、慌てて皿を洗うプロハンターとテロリストだった。
「「「「「「ヘイ、お待ちぃ〜!!」」」」」」
「うはぁ〜」
目の前に盛られた大量の豚の丸焼きを見て、ブハラは涎を垂らす。
「あらま、大漁だこと」
世界一狂暴な豚を倒す受験生が予想以上に多い事に、メンチは少し驚いた。
「う〜む……今年は本当に豊作ですな〜」
木の上から様子を見ていたサトツは、受験生を見てそう呟くのであった。
〜レス返し〜
にひひ様
続き、書きました。次回もよろしくお願いします。
SIN様
面白いと言って下さり、ありがとうございます。ヒソカの表現は発情、絶頂、快感、とまぁアブノーマルな表現が一番合いますし。次からもよろしくお願いします。