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「これが私の生きる道!運命編8スエズ運河開放作戦編(前編) (ガンダムSEED)」

ヨシ (2006-06-20 00:27/2006-06-21 19:43)
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(一月二十五日、セイロン南南西五百キロインド
 洋海域)

カーペンタリア基地を出発してから三日が経ち、
俺達は穏やかな海を順調に航海していた。
「ミネルバ」は、潜水艦隊の速度に合わせて海上
を航行していて、その上空でモビルスーツ隊が訓
練を行っていた。

 「新生クルーゼ隊の諸君!今日も張り切って行
  こう!」

 「「「「了解!」」」」

派遣艦隊の総旗艦は、ボスゴロフ級潜水艦の「セ
ントヘレンズ」でバルトス司令が幕僚と共に指揮
を執っていたのだが、クルーゼ司令は、「スーパ
ーフリーダム」が「ミネルバ」でしか整備できな
い事を理由に「ミネルバ」に居座り続けていた。

 「(新生クルーゼ隊)って何だろうね?」

 「さあね?私は知らないわよ」

クルーゼ司令は、自分の直属部隊に「新生クルー
ゼ隊」と名付けて、その構成員であるシン達を厳
しく鍛え上げていた。

 「目処は立ったらしいから、一安心かな?」

 「私達も何とかなりそうだしね」

クルーゼ司令が総司令官の任務を「放棄」ではな
くて俺達に一任したので、バルトス司令とアーサ
ーさんとコーウェルがその任にあたっていたが、
特に不都合はなかったし、誰からも文句は出なか
ったのでそのままにしていたのだ。

 「リーカさんは(セイバー)に慣れました?」

 「良い機体よね。機動性がたまらないわ」

 「ディアッカも大丈夫そうですね」

 「そうね」

ディアッカは、「ナイトジャスティス」を巧みに
操り、潜水艦隊を母艦とするモビルスーツ隊の指
揮を執る訓練をしていた。
あの事件から半月以上が経ち、彼も表面上は落ち
着いたようであった。

 「カザマ君は(ギャプラン)に慣れた?」

 「ええ、こいつのMA時のスピードはナンバー
  ワンですね。それに、(ディスティニー)よ
  りも稼働時間が長いです」

 「あの新型の一番のネックが、稼働時間の短さ
  だものね」

 「核動力を積むわけにはいきませんから」

俺とリーカさんが会話をしていると、クルーゼ司
令の指示で「レジェンド」がデュートリオンビー
ムの照射を受けている光景が見えた。
クルーゼ司令の基本案では、五機で立ち塞がる敵
を排除して、デュートリオンビームの照射は交替
で行い、必ず一機が護衛に付いて目を光らせると
いう戦法を取るようであった。
現に、ステラの「インパルス」が護衛に付いて目
を光らせている。

 「(ミネルバ)はエネルギー供給源として最前
  線か・・・」 

 「(ヴィーナス)と共同で任務にあたるから大
  丈夫ですよ」

 「ハイネ・ヴェステンフルス司令でしょう。カ
  ザマ君の同期の」

 「凄腕の男ですよ」

 「(オレンジハイネ)の二つ名を持つエースか
  」

 「興味が湧きました?」

 「変な二つ名よね。誰が考えたのかしら?」

 「さあ?本人じゃないですかね」

実は広めたのは俺なのだが、ハイネの追及をかわ
し続けている手前、真相を他人にも漏らすわけに
はいかなかったのだ。

 「リーカ!模擬戦に付き合え!」

 「いきなり何よ!それに、あんたなんかにファ
  ーストネームを呼び捨てにされたくないわね
  !」

既に部隊で孤立していたマーレ・ストロードが、
リーカさんを模擬戦に誘ったのだが、リーカさん
は付き合いたくないようであった。
先日、彼女から話を聞いたのだが、彼とはアカデ
ミーで同期だったらしく、先天的に目が見えない
リーカさんを出来損ないのコーディネーター扱い
して見下していたので、二人の仲は最悪なようで
あった。
それでもマーレが話し掛けてくるという事は、リ
ーカさんは格下だから、自分の命令を聞いて当た
り前だと思っている節があるようだ。
そのあまりの傍若無人ぶりに、俺はある意味感心
してしまった。
当然、その事を知ったコーウェルとの仲も最悪で
あったし、シン達も接触を避けているようであっ
た。
マーレが普通に話す人物は限られていて、アーサ
ーさんとエイブス班長とディアッカくらいであっ
たが、アーサーさんは事務的に話しているだけの
ようだし、エイブス班長と仲が悪いというのはパ
イロット失格を意味するので普通に話しているよ
うだ。
そして、ディアッカには積極的に話しかけている
ようであったが、彼の意図は全くもって不明であ
った。
ディアッカの親父さんは中立派の議員であり、マ
ーレが仲良くするメリットが見出せなかったから
だ。

 「俺が相手をしようか?マーレ」

 「ほう。(黒い死神)が相手をしてくれるのか
  」

 「君もそれなりにやるという噂だからね」

 「いえいえ、カザマ司令ほどではありませんよ
  」

お互いに嫌味の応酬をしながら、俺達は所定の位
置について模擬戦を開始した。

 「吼え面かかせてやる!」

マーレは起動兵装ポッドを展開して「カオス」本
体と共に「ギャプラン」を狙い撃ちしてきたが、
俺はMA体型のままでムーバブルシールドを展開
して、起動兵装ポッドのビームを逸らしながら、
「カオス」の後ろに回りこもうとする。

 「ちっ!いい腕をしてやがる。起動兵装ポッド
  と機体の配置が巧みだな。レイにはまだでき
  ない事だな」

 「全部の攻撃をかわすか逸らしやがった。やは
  り凄腕だな」

お互いにその技量を認めつつも、やはり嫌い同士
なので次の戦法を考える事にする。

 「行くぞ!」

俺は「ギャプラン」の機動性で「カオス」を翻弄
しながら、ムーバブルシールドに装備されたレー
ルガンとビーム砲をわずかな時間差で一斉射した

すると、コンピューターが一基の起動兵装ポッド
の全損を判定する。

 「一基は仕方がないな」

マーレは一基の起動兵装ポッドが落されても動揺
一つしないで、残りの起動兵装ポッドと連動して
俺に攻撃を仕掛けてきた。

 「なまじ、数を減らしてしまったから動きが良
  くなってやがる!」

 「そういう事だ!」

「カオス」本体と起動兵装ポッドの連続攻撃で俺
は守勢に回るが、ムーバブルフレームを利用して
トリッキーな機動で攻撃をかわしながら、チャン
スを伺う事にした。

 「ざまあないな!カザマ司令殿!」

 「そうでもないさ!」

俺はわずかにできた隙を突いて、瞬時にモビルス
ーツ体型に変型してから、ビームサーベルを抜い
て「カオス」に突撃をかけた。

 「引っかかったな!」

 「お前がな!」

マーレが隙を見せたのは俺を誘い込む罠であった
が、俺はそれも予想して最高速度で突撃をかけな
がら、起動兵装ポッドのビーム攻撃をムーバブル
シールドで逸らし続け、ビームサーベルを抜いて
両腕に持たせた。

 「これで終わりだ!」

 「させるか!」

「カオス」は両足のビームクロウを展開させたう
えに、両腕にビームサーベルを持って俺に対抗し
ようとしたが、俺の本当の目的は別にあったのだ

 「これで、機動性を落す!」

俺は目標をもう一基の起動兵装ポッドに変更して
、右側のムーバブルシールドのレールガンを先に
発射して対ビーム装甲を粉砕してから、次はビー
ム砲を発射して下に装備されているフェイズシフ
ト装甲を破壊したと判定させて、起動兵装ポッド
は使用不能になった。

 「舐めた真似を!」

起動兵装ポッドを破壊している間に、「カオス」
の攻撃を左腕のビームサーベルとムーバブルシー
ルドで防ぎ続けるが、多数のビームサーベルとビ
ームクロウの斬撃を受け続けた左側のムーバブル
シールドは全損の判定が出てしまった。

 「やはり、無傷では無理か!」

「カオス」が起動兵装ポッドを失った事を確認し
てから、俺はMA体型に変型してその場を離れつ
つも、すぐにUターンをかけて「カオス」への攻
撃を再開した。

 「機動性で不利だな」

マーレは「カオス」をMA体型に変型させてから
逃走を図るが、補助スラスターであった起動兵装
ポッドを失ったので、「ギャプラン」に容易に追
いつかれてしまう。
「ギャプラン」は片側のムーバブルシールドが健
在なので、機動性では有利だったのだ。

 「うーん、戦闘機の高速戦闘みたい」

「ギャプラン」は高速性能を生かしながら、後方
から「カオス」に攻撃をかけ続けるが、その攻撃
は全てかわされてしまった。

 「まずい!このままでは!」

一方的に攻撃されて危機感を感じたマーレは、「
カオス」をモビルスーツ体型に戻してからビーム
ライフルを連射し始めた。

 「これで、終りにする!」

俺は「カオス」の上方で「ギャプラン」の変型を
解き、再び両腕にビームサーベルを構えてから、
落下速度を利用してそれを振り下ろした。

 「こしゃくな!」

マーレも「カオス」のビームサーベルを抜いて両
手に構えて、俺の攻撃を受け止めつつ、頭部や胸
部の機銃を発射しながら、足を蹴り上げてビーム
クロウで「ギャプラン」を切り刻もうとした。

 「往生際が悪いぜ!」

演習用の模擬弾が「ギャプラン」の装甲で爆ぜる
音を聞きながら、ムーバブルフレームを利用して
ビームクロウを巧みに回避したあとに、腹部のビ
ーム砲を「カオス」に発射して模擬戦は終了した

 「負けか!」

「カオス」は爆散したと判定されて、コックピッ
ト内にパイロット死亡の音声が流れた。
 
 「残念でした」

 「あんたのは、新型機だからだ!」

 「現実問題として、お前の愛機は(カオス)な
  んだよ。それを変更する予定はないな」

 「ちくしょう!」

模擬戦はこれで終わりを告げたが、俺とマーレの
溝は更に広がったような気がしてならなかった。


 「カザマ司令、(ギャプラン)はどうですか?
  」

俺が格納庫のハンガーに機体を置くと、エイブス
班長が「ギャプラン」の調子を聞いてきた。

 「スムーズに動いてくれますね」

 「これで、コストが下げられれば量産可能なん
  ですがね」

 「そんなに高いのですか?」

 「(ザクウォーリア)十機分の値段だそうです
  」

 「そんなに高いのですか?」

 「ええ、それでも新型機の中では安い方ですけ
  ど」

 「俺なら(ザク)を十機配備しますね」

 「私もそうします」

エイブス班長の話によると、新型機は高性能を発
揮するために高価な材料を使った精度の高い部品
が多数使われているうえ、それが短時間で磨耗し
てしまうらしく、使えば使うほどコストがかかる
代物になっているらしい。
更に、デュートリオンビームをエネルギー補給に
使うと高性能バッテリーに負担が掛かってしまっ
て、こちらもコストを上げる要因になっていた。

 「それでも、エイブス班長がどうにか稼働率を
  上げてくれたので助かっていますよ」

 「骨が折れましたよ」

新型機を受領したあと、エイブス班長は夜も寝な
いで一から整備マニュアルを作成し、軍事工廠に
上げるレポートを製作していた。
「この部品は磨耗が激しいから部品の強度を上げ
て欲しい」とか「ここの部分はこの部品に変えた
方が稼働率が上がります。性能もそれほど落ちま
せん」などの報告を上げ、補給部品の在庫の量の
優先順位を確定し、整備兵達に指導をして作業の
効率化を図っているのだ。
地味で目立たない仕事だが、頭が下がる思いがし
た。
伊達に整備関係者で初のネビュラ勲章受章者では
ないのだ。
現に、整備関係者でネビュラ勲章を貰った人は、
俺が生きている間にエイブス班長を含めて三人し
かいなかった事を考えると、彼がいかにすごい人
物であるか理解できた。 

 「実は、(ギャプラン)の整備をヨウランとヴ
  ィーノに任せようと思うのですが、どう思い
  ますか?」

 「若者は育てましょうよ」

 「ありがとうございます」

エイブス班長は俺が他の整備兵が整備した時には
、自分でチェックを入れる事を知っていて、わざ
わざ教えてくれたのだ。

 「あいつら、ちゃんとやってくれるのかな?」

 「みっちり仕込んでいますから」

 「それは楽しみだ」

俺は格納庫をあとにするのであった。


数時間後、俺が書類の整理を終えて格納庫に向か
うと、「ギャプラン」の整備を終えたヨウランと
ヴィーノが何かを話していた。

 「新型機ばかりで大変な手間だよな」

 「(ギャプラン)か。カザマ司令の新型機だよ
  な」

 「若くして司令職にあり、フェイスであり、ネ
  ビュラ勲章も貰ってすごい人だな」

 「そして、あのラクス・クラインの旦那様とき
  たもんだ」

 「ある意味、ラクス様ファンである俺達から彼
  女を奪った酷い人でもある」

 「(ギャプラン)のコードを二〜三本抜いてお
  くか?」

 「こら!聞こえたぞ!」

 「えっ!カザマ司令!」

 「すっすっすいません!」

俺がいきなり後ろから登場したので、二人は驚い
てしまったようだ。

 「俺はジョークと捉えておくが、他のパイロッ
  トには絶対に言うなよ。特にマーレにそんな
  事が聞こえたら半殺しにされるぞ」

 「「了解です!」」

 「パイロットは自分の機体の状態にものすごく
  気を使う。整備兵がちゃんと整備してくれて
  いると信じているが、お前達がそんな事を言
  ったら、心配して気が散ってしまって、戦死
  する可能性だってあるんだぞ」

 「「すいません!」」

 「それに、俺達が戦死したら次はお前達だぞ。
  100%無事に退艦できるなんて甘い幻想を
  抱くなよ」

 「「すいません!」」

 「わかれば良い。整備ログを頼む」

 「こちらです」

 「ありがとう」

俺は整備ログをチェックしてミスがない事を確認
すると、「ギャプラン」の重要部分のチェックを
始めた。

 「カザマ司令、何をしているのですか?」

 「気にしないでくれ。習慣でいつもやっている
  事だ」

 「でも、エイブス班長の時にはOSのチェック
  しか・・・」

 「そうだな。エイブス班長にミスはないからな
  」

 「そこまで言い切るのですか?」

 「根拠は特にないんだ。ただ、今までにそんな
  事になった事がないし」

 「信用しているんですね」

 「してるよ」

 「我々では駄目ですか?」

 「今はまだ駄目だな。お前達は成績優秀だった
  から、技術面の問題はすぐになくなるさ。で
  も、他の部分はまだ未知数だ」

 「他の部分ですか?」

 「その部分をエイブス班長からしっかりと学ぶ
  んだな。俺が機体にチェックを入れないのは
  、あの人だけなのだから」

俺は三十分ほど「ギャプラン」の整備状況を確認
してから、ブリッジに引き揚げて行った。

 「とりあえずの目標は、整備した機体にチェッ
  クを入れられない事だな」

 「ハードルは高いけどな」

 「とにかく、頑張らないと」

 「そうだな」

 「「頑張るぞ!」」

二人が決意を新たにするのであった。


(翌日、インド洋海域合流予定ポイント)

翌日、俺達はオーブ軍機動護衛艦隊との合流地点
に到着してオーブ艦隊を待っていた。
オーブ艦隊は「タケミカヅチ」を総旗艦にしてい
て、「アマテラス」は最前線に赴くので先鋒部隊
の旗艦と認識されていたのだが、カガリは全艦隊
の指揮をトダカ少将とハミル准将に完全に委任し
て、先鋒部隊指揮官のアスランの元に留まってい
るという報告を受けていた。
ハワード三佐は、定時連絡で新婚生活を満喫して
いるだけだと語っていたが。
ちなみに、ハワード三佐は「アマテラス」の指揮
官がアスランになってしまったので、「アマテラ
ス」のモビルスーツ隊の指揮で忙しくなってしま
い、「スサノオ」にいるアサギに会えないと愚痴
をこぼしていた。

 「そろそろ、約束の時間ですけどね」

 「レーダー反応出ました。熱紋、スクリュー音
  照合。(タケミカヅチ)とその同型艦と思わ
  れます」

「ミネルバ」の索敵手であるバートハイムがオー
ブ艦隊の接近を報告してきた。

 「オーブ艦隊か。どのくらいの規模なのかな?
  」

 「大型空母ニ隻を主力とする大艦隊ですよ。こ
  れで、オーブも一流国の仲間入りというわけ
  です」

 「暫らく、大西洋連邦、極東連合、オーブ、プ
  ラントを中心に世界は回るのか」

 「大西洋連邦が圧倒的に大国ですから。それに
  残りの三ヶ国が組んで対抗する構図ですね」

今回の騒乱で東アジア共和国は崩壊し、中華連邦
共和国も内乱を抱えているので、一流国に復帰す
るには相当な時間が掛かるだろう。
ユーラシア連合も、大損害を今もこれからも受け
るだろうし、各国への賠償等が発生するので、一
流国への復帰は絶望的であった。
彼らが何を企んでいたのかは未だに不明だが、博
打に出て大失敗をしてしまったのだ。

 「さて、ご挨拶に行きましょうか?クルーゼ司
  令」

 「そうだな」

やがて、目視で「タケミカヅチ」と「スサノオ」
と「アマテラス」が確認できるようになったので
、俺達は挨拶に出向く事になったのであった。


 「(タケミカヅチ)か。懐かしいな」

地球上では、他の艦に乗り込む際の手段として小
型のヘリやボート等を使うのが当たり前なのだろ
うが、今になってその手の乗り物を「ミネルバ」
に積んでいない事が判明した。
ザフト軍では、誰も他国の艦艇を表敬訪問すると
思っていなかったようだ。
実は俺も失念していたので、予備機の「センプウ
改」を使って「タケミカヅチ」を訪問する事にな
った。
あとで移動用の小型ヘリを搭載する事を上申せね
ばならないだろう。
ザフト軍の全員がモビルスーツに乗れるわけでは
ないのだから。
友好国とはいえ、新型機を見せたくなかったので
、「センプウ改」に複数人が乗り込んで「タケミ
カヅチ」の甲板に着艦して周りを見渡すと、先の
大戦で乗り込んだ時とそれほどかわらない光景が
広がっていた。

 「カタパルトで打ち出された時の事を思い出し
  ます」

 「へえ、そんな事があったのね」

俺は「センプウ改」にシンとルナマリアを乗せ、
もう一機にクルーゼ司令がコーウェルとリーカさ
んを乗せて短い空の旅となったわけだが、クルー
ゼ司令とのドライブとはいかなるものであるのだ
ろうかと、少し興味が湧いてしまった。

 「でも、随伴がパイロットだけなんですね」

 「コーウェルは参謀の一人でもあるし、政治向
  きの話にも強いから選んだんだよ。アーサー
  さんは「ミネルバ」の指揮を執る人間がいな
  くなるから留守番で、ディアッカはモビルス
  ー隊の指揮を執る人間がいなくなるから留守
  番だ」

 「マーレさんはどうなんですか?」

 「無駄に争いごとを増やしたくないから留守番
  だ。大人しくしてやがれってんだ!」

 「嫌いなんですね」

 「公式の場では普通に接しているが、本当は大
  嫌いだ。シンも嫌いだろう?あそこまで言わ
  れれば」

 「そうですね。嫌いです」

 「私には、そんな事を言わないのに・・・」

マーレの人の好き嫌いは、その人物の生まれに由
来する。
プラント生まれでプラント育ちのコーディネータ
ーは、一流コーディネーターなので普通に接し、
どちらかが欠けると純粋性が欠けるという、彼独
自の価値観で一流半にカテゴリーされた。
ちなみに、俺とシンは外国生まれの外国育ちで、
プラントでの滞在期間が短いので二流のコーディ
ネーターで、自分の駒に使っても良い事になって
いるらしい。
そして、ハーフコーディネーターが三流で、ナチ
ュラルがランク外になっていた。
正直、とても不思議なカースト制度であり、現在
のプラントとザフト軍が彼の制度を守っていない
事が、彼の最大の不満であるらしかった。

 「俺達は、純粋なコーディネーターではないら
  しいから」

 「変な理屈ですね」

 「奴には、俺には理解不能な線引きが存在する
  んだよ。反乱でもしたら、すぐに処分してや
  るんだけど」

 「まさか、反乱なんて」

 「冗談だけどな。基本的に何かを企む奴なんだ
  けど」

だが、実際に彼が恐ろしい計画を実行しようとし
ている事に気が付くのは、スエズ攻略作戦が始ま
ってからの事であった。


 「ザフト派遣艦隊総司令官のラウ・ル・クルー
  ゼです」

 「オーブ軍派遣艦隊総司令官のカガリ・ユラ・
  アスハ中将です」

「タケミカヅチ」のブリッジで挨拶をしたこの二
人には共通点が存在した。
どちらも、名目だけで実際の指揮を部下に一任し
ている事だ。
クルーゼ司令はシン達を鍛える事に夢中になって
、艦隊の運営はバルトス司令(派遣艦隊副司令も
兼任)とアーサーさんと俺とコーウェルが行って
いて、別働隊のバルトフェルト司令を合わせると
派遣艦隊に副司令が四人もいる事になっていたが
、(コーウェルは参謀扱い)完全な分担制になっ
ていたし、打ち合わせも定期的に行っていたので
、特に不都合は生じなかった。
一方、カガリも体調は良くなったのだが、無理は
出来ないのでトダカ少将とハミル准将とアスラン
が分担して全業務を行い、彼女のお仕事と言えば
、顔見せと決定事項を了承して判子を押すくらい
であった。  

 「トダカ少将が機動護衛艦隊の司令官ですか。
  大出世じゃないですか」

 「まあな。キスリングが勝手に自爆しただけな
  のだが」 

 「実は、そのキスリングなのだが・・・」

 「どうかしましたか?ハミル准将」

 「逃亡されてしまってね」

 「逃げられたんですか?」

 「捕まった時の事も考慮していたらしいな。し
  てやられてしまって、後始末をミナ中将が行
  っている」

 「キスリングが、そこまで考えていたのですか
  ?」

 「いや、ここ数日の捜査で、驚くべき人物の関
  与が確認されている」

 「エミリア関連の人物ですか?」

 「そうだ。エミリアの部下で四天王と言われて
  いる男で、クロード・ウィラーと呼ばれてい
  る人物だ。各国の情報機関が「ウナギ」と呼
  んでいるそうだ」

 「(ウナギ)ですか?」

 「捕まえようとしても、スルリと抜け出して小
  さな穴から逃亡してしまうからだそうだ。オ
  ーブに素顔で入国していたにも関わらず、情
  報部は気が付きもしなかったらしい」

 「凄い男ですね」

 「各国の非主流派や反政府組織とコネを持ち、
  神出鬼没でほぼ徒手空拳で動いている男だ」

 「という事はあれですね。逃亡させたキスリン
  グとユウナが合流して、何処かで何かを企む
  と」

 「そういう事だ」

 「戦場で出会ったら、始末するのみですけどね
  」

 「完全な抹殺命令が出ている。肉片一つ残すな
  だそうだ。DNA解析でもされたら事だから
  な」

 「公式に死んでいる人物がウロウロしていたら
  事ですものね」

俺とトダカ少将が話をしていると、クルーゼ司令
が突飛な事を言い出した。

 「つまり、新生クルーゼ隊の最初の標的は、ユ
  ウナという事かな?」

 「そんなに強くないですよ。と言うか、モビル
  スーツに乗っているかもわかりません。カガ
  リちゃん、彼はモビルスーツに乗れたっけ?
  」

 「一応訓練は受けていた。五大氏族の跡取りと
  もなれば、帝王学を学ばされるのが基本だか
  らな」

 「帝王学ね・・・」

俺は思わずカガリを見てしまうが、彼女が帝王学
を学んでいるとはとても思えなかった。

 「何か文句があるのか?」

 「いやね。カガリちゃんが、いつそんなものを
  学んでいたのかと・・・」

 「カザマから、モビルスーツの操縦を習っただ
  ろうが」

 「他の事は?」

 「海軍の戦術論はトダカ少将に、モビルスーツ
  戦術論はアスランに、陸軍の戦術論と情報・
  諜報関係の事はキサカからだ」

 「軍事的な事ばかりだ」

 「経済的な事はカザマ常務に聞いているぞ」

 「アレでも役に立つんだ」

 「アレで悪かったな!」

 「親父か!」

「タケミカヅチ」のブリッジに乱入してきた中年
男がいたが、それは意外にも親父であった。

 「何で親父が?」

 「オーブ軍技術一佐の肩書きでこの船に乗り込
  んでいる。(ムラサメ)の派生機と改良機の
  研究だ」

 「知らなかった」

 「もっと驚く事があるぞ」

 「なになに?」

 「ついてこい」

こうして、司令官同士の挨拶は終わり、俺達は親
父の先導で「タケミカヅチ」の格納庫に案内され
た。

 「どうだ。凄いだろう」

 「いやはや、凄いね」

「タケミカヅチ」の格納庫内では沢山の「ムラサ
メ」が置かれていて、その一機一機に整備兵やパ
イロットが取り付いて調整や整備を行っていた。

 「この機動護衛艦隊の艦載機は、全て(ムラサ
  メ)で統一しているんだよ」

 「確かに凄いけど、見せたいのはこれなのか?
  」

 「違う。こっちだ」

親父は更に奥に歩いて行くと、普通の「ムラサメ
」とは少し形状が違うモビルスーツが数機置かれ
ていて、コックピット内で二人の将校がOSの調
整をしている様子が見えた。

 「おーい!ヤマト技術二佐、カザマ技術三尉」

 「どうかしましたか?」

 「なあに?お父さん」

 「こら、公私の区別はつけんか!」

 「わかりました。カザマ技術一佐」

 「キラ!レイナ!」

 「あれ?ヨシヒロさんですか?」

 「お兄さん!」

 「これがビックリする事なのか?」

 「これもその一つだ」

こうして、俺は「タケミカヅチ」艦内で、キラと
レイナに再会する事になったのであった。


 「何で、キラがいるんだ?」

 「(ムラサメ)の派生機と改良機の研究のため
  だ」

 「いきなり派遣される事になりまして・・・」

親父の話を要約すると、「ムラサメ」の改良機を
数種類開発したのだが、通常の試験のみでなく実
戦で試験をしてみたいという親父の希望が通り、
急遽従軍が決定したらしかった。
そして、戦場ではOSの細かい調整や開発が不可
欠という理由でキラが引きずり込まれて、それに
レイナが付き添う形になっていた。

 「キラも大変だな。同情するよ」

 「アカデミーの卒業論文は、どうにか仕上げま
  したのであとは卒業式に出るだけなんですよ
  。だから、それほどきつくはありません」

 「レイナは?」

 「私はキラの副官だから。技術将校ではあるけ
  ど、才能が無いのは自分でもわかっているし
  」

アカデミー卒業後、オーブ軍の技術将校になった
レイナではあったが、その主な仕事の内容はキラ
の副官任務であるらしい。
基本的に、ものぐさなところがあるキラを細かく
サポートしていているようだ。

 「という事は、家には母さんとカナとニコルの
  みって事か?」

 「母さんは予定を早めて、プラントに今日上が
  る予定だ。本当は俺も行きたかった・・・」

 「ちゃんと仕事しろよ」

 「キラがちゃんとやっているさ」

 「言い出しっぺの癖に」

 「ああ、孫に会いたいな」

 「来月末だろうが」

 「ところで、ステラはどうしたんだ?」

 「親父がいるとは思わなかったから留守番だ」

 「俺としては、お前なんてどうでもいいんだよ
  。俺の可愛いステラを呼んでくれよ」

 「無茶言うなよ・・・」

親父の愚痴が多くてキリがなかったので、早速「
ムラサメ」の改良機を紹介して貰う事にした。

 「まずは、定番だな。偵察機タイプだ」

 「レーダードームがあるからな」

レーダードームを背負った「ムラサメ」が整備兵
達の手で整備されている。

 「こいつはもう実際に飛ばしているから問題は
  ない」

 「隣りのは何だ?」

 「(ザク)のガナータイプを参考にした砲撃戦
  仕様の(ムラサメ)だ。高速で目的地に到着
  してから、三式長距離狙撃銃を改良した狙撃
  銃で狙い撃ちするわけだ」

 「そんなものを持って飛べるのか?」

 「飛べるさ。折りたたみが可能で、機体の下部
  に装着して前部の光波シールド展開の邪魔に
  ならないようにしているんだよ。(ディステ
  ィニー)の背中のビームソードと長距離ビー
  ム砲も折りたためるだろう?」

 「何で知ってるんだよ!」

 「あんなに多くの新型機を運用してご苦労な事
  だな。整備している人に頭が下がる思いだ」

 「まさか、情報が漏れてるなんて・・・」

 「高性能機ではあるが、数が少ないから(ムラ
  サメ)の部隊で対応が可能だ。まあ敵ではな
  いから、現時点では必要のない事だが」

どうやら、俺は親父を過小評価していたようだ。
多分、キサカ少将に頼んでカーペンタリア基地上
空の情報収集を行っていたのだろう。
例え息子がいる国と言えども、容赦はしないよう
だ。

 「俺達に改良機を見せて大丈夫か?」

 「心配ご無用。都合の悪いものは見せていない
  し、改良機と言っても(ムラサメ)である事
  に変わりはない。数を揃えて戦術で対応する
  のが俺達のやり方さ。日本と大西洋連邦も同
  じコンセプトで運用を研究しているしな。ク
  ルーゼ司令のライバルであるフラガ少佐は、
  改良したガンバレルを背負った(ウィンダム
  )で頑張っているし、(乱れ桜)も火力を増
  強した(ウィンダム)を運用している。漫画
  じゃあるまいし、エースに次々と新型機を回
  すザフト軍がおかしいんだ。補給や整備を考
  えたら、俺には怖くてできないよ」


確かに、(ディスティニー)の補給部品がここ十
日ほどの訓練で底を尽き始め、エイブス班長が困
った表情をしていた。
十分すぎるほどのストックを用意したと言う、カ
ーペンタリア基地の補給部だったのだが、部品の
消耗が予想以上で「スーパーフリーダム」や「ナ
イトジャスティス」の部品を転用する相談をして
いるようだ。
シンは腕は良くなったのだが、クルーゼ司令やデ
ィアッカのように、機体に負担を掛けないように
戦うという点では、まだ未熟だったのだ。
さすがに、こればかりは年数が経たないと解決で
きない課題なので、仕方がないのだが。

 「さて、次は格闘戦仕様の(ムラサメ)だ。二
  本の対艦刀を背中に背負っていて、ビームサ
  ーベルとしても使えるビームブーメランを二
  つ装備している」

 「何処かで聞いたような装備だな」

 「(インパルス)の・・・」

 「もういいや」

 「つまり、基本の(ムラサメ)の装備を切り替
  えて対応するわけだ。今は装備の交換時間の
  短縮を実験しているんだ」

 「そして、キラがOSを作るわけだ」

 「それもあるが、テストパイロットもやって貰
  っている」

 「テストパイロットか!」

 「量子通信システムの改良型を利用したハイド
  ラグーンを装備した(ムラサメ)のテストを
  な」

 「まさか、実戦には出ないよな」

 「出すさ。そうしないとテストにならない」

 「おい!キラ!それでいいのか?」

 「命令ですしね。仕方がないですよ」

 「親父!」

確かに腕は最高だが、キラは優しすぎて実戦に向
かない部分があるし、本人もそれを自覚していて
、もう訓練やテスト以外でモビルスーツに乗らな
いと宣言していたはずだ。

 「親父!レイナの事も考えてやれよ」

 「余計な口出しは止めて貰いたいですな。カザ
  マ司令」

 「くっ!」

確かに、親父の言う通りだった。
俺はザフト軍の将兵で、親父とキラはオーブ軍の
軍人だ。
俺が口を挟むべき問題ではない。

 「キラには、誰にも負けない能力があるんだ。
  少しでも戦力を増やして敵と戦えば、他の家
  族や恋人がいるパイロットの戦死者を一人で
  も減らせるかも知れない。俺も辛いが、キラ
  が自ら軍人になった以上、戦場で死は平等に
  訪れる原則は重視したい。そして、このハイ
  ドラグーンシステムが完成すれば、空間認識
  能力にそれほど優れていなくても、ドラグー
  ンが使えるようになって、更に死者が減るは
  ずだ。俺はプロの軍人ではなく、ただの技術
  者だからな。できる事をやるだけなんだよ」

 「親父・・・」

親父はオーブで懸命に努力をして、現在の地位に
就いている。
故に、娘の恋人だからという理由でキラと一般将
兵を区別したくないのであろう。
技術将校とはいえ、一佐として最適任者を選んだ
だけなのだ。

 「親父、見直したぜ」

 「そうだな。大した父上だな」

 「俺も感動しました」

 「私もです」

俺やクルーゼ司令、シン、ルナマリアが感動して
いたが、この後のキラの一言で全員が硬直してし
まった。

 「生まれてくる子供の父親として、僕は頑張ら
  ないといけないんです。そして、戦場で勇敢
  に戦った事も話してあげたいですね」

 「へっ!子供!」

俺が驚きの表情を変えずにレイナの方を見ると、
レイナは顔を赤らめながら俯いていた。

 「カガリの結婚式の後で判明したの」

 「キラ君・・・」

 「お母さんは大喜びでしたよ」

 「親父は?」

俺が親父の方を見ると、今だかつて誰にも見せた
事のない憤怒の表情を浮かべていた。

 「ふふふ、ハイドラグーンの実戦配備のためな
  んだ。一人や二人の若者の犠牲はつきものだ
  よな。そうだよ、きっとそうなんだよ」

親父がブツブツと何かを呟いている姿は、不気味
そのものであった。

 「カザマ君のお父さん。キラ君は新生クルーゼ
  隊が預かりましょう。我々は一番に敵に突っ
  込んでいく最精鋭部隊なんですよ」

 「そうですね。本当は一機で敵の大群に突っ込
  ませようと思っていたんですけど、すぐに死
  なれてしまったら、データが取れませんから
  ね」

 「今まで五機で中途半端だったので、色々と面
  倒で困っていました。レイと三機でハイドラ
  グーン機小隊を結成して、一番槍を目指すと
  しましょう」

 「あの、キラはオーブ軍の人間なのでそれは不
  可能では・・・」

 「心配ご無用だ。キラは他の改良機のパイロッ
  トと違って何処の部隊にも所属していないか
  らな。俺の裁量でどうにでもなる」

 「それは良かった。早速、訓練を開始するとし
  ようか」

 「えっ!僕はまだ仕事が・・・」

 「他の奴にやらせる。行って来いヤマト技術ニ
  佐」

 「さあて、張り切っていこうか!」

 「助けてくれーーー!」

 「自業自得だ」

クルーゼ司令に引きずられていくキラを眺めなが
ら、俺はそう呟くのであった。


(二日後、マダガスカル共和国首都ディエゴスク
 レス、北北東八百キロの海域)

オーブ艦隊と合流した俺達は、新国連軍スエズ攻
略艦隊との合流を目指し、アデン湾を目指して艦
隊を航行させていた。
途中、モビルスーツ部隊の訓練を行いながらの航
海であったが、敵の妨害等があるわけでもないの
で、予定通りに合流が可能だと思われる。

 「シン君、突撃だ!」

 「了解です!」

今日は、オーブ軍との集団演習ではなく、ザフト
軍のモビルスーツ隊を二分して「ミネルバ」の上
空で模擬戦を行っていたのだが、クルーゼ司令が
指揮を執る六機のモビルスーツ隊が敵になってい
たので、俺達は大苦戦していた。

 「リーカさん、侵攻を止めて下さいよ」

 「無理よ。やられないようにするのが精一杯」

 「ディアッカ!」

 「シンってこんなに強かったかな?」

 「クルーゼ司令め!ちゃんと訓練をしていたな
  」

シンと「ディスティニー」の相性は良かったらし
く、両脇にステラとルナマリアの「インパルス」
を従えて、真正面から突撃をかけていた。

 「ゴメン。やられちゃった」

 「嘘!」

リーカさんの「セイバー」は、僚機の「グフ」二
機とともにシン達に撃破されてしまったらしい。

 「ディアッカ!」

 「話しかけないで下さいよ!」

ディアッカもクルーゼ隊長達の集中攻撃を受けて
、逃げまわっている状態のようで、穴を開けられ
た部分から後続の味方部隊が突撃してきて、俺達
は大ピンチに陥っていた。

 「クルーゼ司令に作戦通りになったな。おい!
  マーレは何処なんだよ!」

嫌いではあるし、通常は放置しているのだが、「
溺れる者は藁をも掴む」ということわざ通りに、
マーレを呼び出して対応させようとするのだが・
・・。

 「倒された」

 「誰に?」

 「シンにだ・・・」

 「んだよ!使えねえな!」

 「・・・・・・」

マーレはリーカさんのあとにあっさりと撃破され
てしまったらしい。
シンの技量が驚異的に上がっているのと、「ディ
スティニー」の性能が思ったよりも良かったよう
だ。
整備に手間が掛かるし、部品代がかかるモビルス
ーツだが、戦力としては申し分ないらしい。

 「ちくしょう!戦線を立て直す!」

ディアッカにクルーゼ司令達を一秒でも長く足止
めして貰う事にして、俺は「ギャプラン」で戦場
を駆け巡り、モビルスーツ隊の体制を立て直させ
つつ、シンの「ディスティニー」に攻撃を仕掛け
る事にした。

 「久しぶりに腕を見てやる!」

 「今日こそ倒す!」

 「十年早い!」

自分では、もうシンに優位でいられる時期は短い
と感じていたのだが、それを素直に認めたくない
俺がいた。
年上のクルーゼ司令にはともかく、若い連中に自
分の最盛期が終了した事を話したくなかったのだ

 「先手必勝!」

俺はムーバブルシールドのビーム砲とレールガン
を乱射しながら、ビームサーベルを連結して「デ
ィスティニー」に斬りかかった。

 「早い!」

シンは即座に反応してビームライフルを乱射する
が、そのビームはゲシュマディッヒ・パンツァー
で反らされた。

 「次だ!」

シンは背中のウェポンラックからビームソードを
抜いて俺の斬撃を受け止めた。

 「ちょっと前なら、カタが付いていたものを・
  ・・」

 「ええい!」

シンが「ディスティニー」のパワーを生かして、
「ギャプラン」を圧倒し始めたので、腹部のビー
ム砲で反撃をすると、それに反応して光波シール
ドを展開して防いでしまった。
やはり、以前のシンでは出来なかった芸当だ。
俺が才能を見い出し、ガイとクルーゼ司令が鍛え
たシンは、一人前の戦士になりつつあった。

 「だが、まだ負けてはやれないな!」

 「今日こそは!」

俺とシンはお互いの技を駆使して極限の戦いを続
けていた。
すでに、模擬戦はディアッカがクルーゼ司令に討
たれてしまったので、全軍が崩壊してしまった俺
達の負けであったが、俺とシンの一騎討ちに手を
出すものは一人も存在しなかった。
あとで、ディアッカが手を出してはいけないよう
な雰囲気がしたと語っていたが。

 「ええい!」

 「こしゃくな!」

エネルギー節約のために、ゲシュマディッヒ・パ
ンツァーのスイッチを切り、ビームサーベルのみ
で対応していた俺に対し、「ディスティニー」は
全力で俺に挑んでいたが、急にエネルギーを節約
する光景が見えるようになっていた。

 「チャンスだ!」

俺がビームサーベルで斬りかかろうとすると、シ
ンは通常のシールドを投げつけてきた。

 「当たるものかい!」

だが、シンの目的は別にあった。
続けてシンが放ったビームがシールドに反射して
、コ−スを変えて「ギャプラン」の右腕の根元に
直撃したのだ。

 「何!」

コンピューターは右腕と持っていたビームサーベ
ルの全損を判定して「ギャプラン」は片手になっ
てしまった。

 「おかしいぞ。あの(ディスティニー)は・・
  ・。そうか!新型バッテリーか」

昨日、「ディスティニー」のバッテリーを親父が
供給してくれた新型に切り替えたら、稼働時間が
三十分ほど伸びた事を失念していて、陽動に引っ
かかってしまったようだ。
これで、俺は逃げるしか手段がなくなってしまっ
た。
俺のバッテリーはやばい状態で、左腕のビーム砲
を数発撃ったら、「ギャプラン」はフェイズシフ
トダウンを起こしてしまうであろう。

 「チャンス!」

俺が逃亡しようとした隙を突いて、「ディスティ
ニー」はビームソードを構えて、俺に突撃をかけ
てきた。

 「逃げ切れない!」

俺が苦し紛れに左のムーバブルシールドでビーム
ソードを受け止めようとすると、シンが直前で動
きを止めてしまった。

 「そうか。模擬戦だからな」

「ギャプラン」のコンピューターが、俺の死亡を
宣言して模擬戦は終わりを告げた。
「ギャプラン」のムーバブルシールドに突き刺さ
ったビームソードがコックピットを貫いたと判定
されたらしい。

 「負けちまったな」

 「やったーーー!」

 「あとで何かを奢ってやる」

 「ありがとうございます。でも、性能差があり
  ますから」

 「使いこなせているからオーケーだ。戦場で(
  性能に差があるから乗り換えて来ます)なん
  て言えないだろう?だから、お前の勝ちだ」

「ディスティニー」はハンドメイドに近いモビル
スーツで整備や補給が大変なのだが、エイブス班
長の尽力と、親父が提供した新型バッテリーの試
作品で稼働時間も多少伸びて使いやすくなったよ
うだ。
その代わりに、オーブにかなりの金額を取られて
しまったらしいが、俺が払うわけでもないので気
にしない事にした。
やはり、親父は油断ならない商売人でもあるよう
だ。

 「さて、引き揚げるか」

 「そうですね」

俺が「ミネルバ」に引き揚げようとすると、高速
で接近するモビルスーツの反応が現れた。

 「敵機か?バート」

 「熱紋照合・・・。ZGMF−6999(リッ
  クデイアス)です」

 「バカな!開発中止機だぞ!」

 「マダガスカル共和国軍次期主力量産モビルス
  ーツですよーーーだ!」

 「誰だ?」

 「マダガスカル共和国軍少将、マリア・クラベ
  ル参上!」

 「同じく、マイケル・タナカ少佐です」

 「私も言うの?」

 「言うの!」

 「リサ・マークザート少佐です・・・」

 「噂には聞いていたが・・・」

 「新型機の受領に行ったら、遅れちゃった。(
  ミネルバ)に乗せて」

 「アーサーさん・・・」

 「暗号で要請が入っていたよ」

 「じゃあ、許可します」

 「ありがとうね。ヨッちゃん」

 「それ、誰の事ですか?」

 「あなたの事よ。ヨロシクね」

 「上官に成り代わり無礼をお詫びします」

 「タナカ君、私はフレンドリーに事を進めよう
  と」

 「我々は軍人なんですよ。傭兵時代の癖を早く
  直して下さい」

 「ブーーー!タナカ君が厳しいよ」

 「はあ、私はいつになったら本職に戻れるの・
  ・・」

こうして、「ミネルバ」に新たな客人が現れたの
であった。


 「地上軍は、バルトフェルト司令と行動をとも
  にしているんだけど、私達は新型機の受領で
  遅れてね」

 「ザフト軍で開発中止になった奴ですよね」

 「性能は申し分ないけど、予算不足で開発機種
  が統合されたから、マダガスカル共和国で貰
  ったのよ。貧乏って嫌よね」

 「はあ・・・」

突然現れた三機のモビルスーツは「リックディア
ス」という名前の機種で、開発が大分進んでいた
のだが、予算不足による開発機種の統合で、開発
が中止になったものを、マダガスカル共和国軍が
採用すべく、プラントからパテントを購入したら
しい。
プラントは開発資金を回収でき、マダガスカル共
和国は新型量産機を配備できる。
どちらも幸せになる方法であった。

ちなみに、マダガスカル共和国について説明する
と、バルトフェルト司令がアフリカでの戦いのあ
とで、この地を無血占領した時から話は始まる。
戦争前と戦争後の迫害で、世界を彷徨っていたコ
ーディネーター難民が、安住の地としてこの島を
選び、プラント同盟国として各地に傭兵を含む戦
力を少数ながら派遣して存在感を示し、講和条約
時に独立国として認められたところからこの国の
歴史は始まっていた。
戦後、コーディネーターの資本家がこの国に新し
い銀行や証券会社を多数設立して、新たな国際金
融国として認識され始めていたのだ。
人口は七百万人で小国であったが、世界第五位の
資産を持つ金持ち国であり、コーディネーター出
産費用の全額国家負担が国策のプラントの兄弟国
家と言われていた。
現在のマダガスカル共和国は、国家建設に伴う特
需に見舞われ、イスラム連合やアフリカ共同体か
らの出稼ぎ労働者が集い賑わっていたのだが、こ
のところの騒乱で陰りがみえ始めてきたらしい。
そこで、この騒乱を早期に終結すべく、軍を送り
出していたのだ。

 「それで、マリア少将達は、私達と行動を共に
  すると?」

 「そういう事ですね。ヨロシクね。ヨッちゃん
  」

 「はあ・・・」

この見た目二十歳前後のお姉ちゃんが、ジブラル
タルで「赤い狙撃手」として名を馳せ、マダガス
カル共和国に少将として迎えられたと言う事実を
俺は信じられないでいた。

 「見たところお若いですよね」

 「ヨッちゃんは、私が好みなの?お姉さん恥か
  しいわ」

 「えっ!お姉さんですか?おいくつなんですか
  ?」

 「女性に歳を聞くものじゃありません!」

 「そうなんですけど」

 「三十路前よ」

 「リサちゃん、酷いよ。自分が三十歳だからっ
  て」

 「私は既婚者だから気になりません」

結局、リサは赤道連合に戻らずに、故郷から婚約
者を呼び寄せてマダガスカル共和国に骨を埋める
事になってしまった。
元々、子供はコーディネーターにしようと思って
いたので好都合ではあったが・・・。
だが、元々技術者であったのに、いつの間にか正
規の将校として扱われ、そのまま少佐になってし
まっていたのだ。

 「マリア少将、カザマ司令が面食らっています
  よ」

タナカ少佐が注意をするのだが、あまり効き目が
あるとは思えなかった。

 「あれ?ヤキモチかな?」

 「違いますよ!私は常識として」

 「大丈夫よ。浮気はしないから」

 「そんな事は言ってません!」

このデコボコトリオを観察すると、二十歳前後に
しか見えない金髪の綺麗というより可愛いという
表現が良く似合うマリア少将と、浅黒い肌で黒い
髪のかなりの美人であるリサ少佐、そして三人の
中で一番の常識人に見えるタナカ少佐は、少しア
デス副司令と同じ系統の匂いがいた。
彼の胃袋は大丈夫なのだろうかと、本気で心配に
なってしまった。

 「ヨッちゃん、暫らくヨロシクね」

 「はい・・・」

俺の周りには変人しか集まらないらしい。
今日、この事が再確認できたのであった。


(一月二十九日正午、スエズ防衛基地総司令室)

ユーラシア連合軍は、初手の奇襲でスエズ運河を
共同管理していたイスラム連合軍を叩き出して、
周りの国を占領する事に成功していたのだが、三
方向からの敵軍の進軍にすっかり動揺していた。
始めから、こうなる事は予想出来ていたはずなの
だが、実際に敵の進軍情報を聞くとどうにもなら
ないらしい。

 「サウジアラビアを出発したイスラム連合軍は
  、各国からモビルスーツ等の援助を受け、そ
  の戦力は侮れません。極東連合軍、西アジア
  共和国軍の援軍も確認されています」

 「ベンガジ、トルブクを出発したアフリカ共同
  体軍、マダガスカル共和国軍、ザフト軍の混
  成部隊はエジプト国境を今越えたそうです」

 「地中海艦隊は何をしている」

 「スエズ運河の防衛に当たっています。紅海を
  大艦隊が北上中ですので」

 「スエズを落されて、地中海に敵艦隊を入れて
  しまったら終わりというわけか」

 「そうです」

 「北海艦隊と大西洋艦隊は、大西洋連邦の大西
  洋艦隊とにらみ合ったままか。太平洋をガラ
  空きにして、増強をするとは思わなかった」

 「極東連合が、留守のパールハーバーを占領す
  る確率は一億分の1%ですからね」

 「私はゼロだと思っていた」

 「限りなくゼロに近いですけどね」

ユーラシア連合軍は、占領地から戦力を引き揚げ
てスエズ運河に集結させていた。
ここで、敵を撃破できれば再び占領する事など容
易いからである。

 「スエズが抜かれれば、マルタ島・クレタ島・
  キプロス島が落されるかな」

 「そうなれば、ますます不利になりますね」

 「先の事を考えても仕方があるまい」

 「戦力比率は三対一です」

 「うーん。厳しいな」

 「守備側である事を考慮しても厳しいです」

 「とにかく、やるしかあるまい。新兵器の準備
  はどうなっている?」

戦争で新兵器が戦況を左右した例は限りなく少な
かったが、ないよりはマシという考えの元で準備
が進められていたのだ。

 「(ザムザザー)五機と(グルスゲー)十機と
  (デストロイ)五機の準備は終っています。
  更に、クロード殿と連絡が取れました。傭兵
  主体ではありますが、多少の戦力を準備して
  いるそうです」

 「ないよりはマシかな」

 「白旗の準備もしておきますか?」

 「しておいた方が良いな」

こうして、一応ながらユーラシア連合軍の準備は
終了したのであった。


 「さて、問題は私達だな。引き際を誤らないよ
  うにしないと」

 「やっぱり駄目そう?」

 「駄目だな。あとはいかに損害を与えるかだ。
  そのために、(デストロイ)を五機も供与し
  たのだから」

スエズ運河基地の端でクロードはアヤと話してい
た。

 「適当に戦ったら、引き揚げて来いよ。俺達は
  ウラル要塞で準備があるんだから。それに、
  ヨーロッパ各地の戦力で使えそうな連中を集
  めないといけないからな。奴等がヨーロッパ
  を開放していい気になっている間に、ウラル
  要塞は完全要塞に生まれ変わるんだ」

 「そうね。でも、時間稼ぎに使われていると知
  ったら彼らはどんな顔をするのかしら」

 「そんな事は知らないな。詐欺に騙される方も
  半分は悪いというお国柄だからな。責任は自
  分で取るだろうさ」

 「話は変わるけど、アヤは大丈夫かな?」

 「要はディアッカ・エルスマンと戦わなければ
  良いのだ。刺客を用意したから大丈夫さ。戦
  場で戦死したなら仕方がないだろう」

 「可哀想な気がするけど・・・」

 「目的達成のためだ。割り切らないと」

 「わかってるわ」

 「じゃあ、指揮は任せるぞ。合計で八十九機の
  (クライシス)だ。これで本当に打ち止めさ
  」

 「何であのバカに十機もやったのよ」

 「キスリングがいるし、復讐は最高の成功条件
  なのさ。ノーチラス級潜水艦も使い道がない
  からな。彼らが奮戦して大損害を与えてくれ
  れば、利益が出たと考えられるさ」

 「さて、準備を始めますか」

 「頼んだぞ」

こうして、アヤ達も戦いの準備を始めるのであっ
た。


 「ははは、気持ちの良い薬だね。スーパーマン
  になった雰囲気だよ」

オーブを脱出したユウナの運命は、大きく変わっ
ていた。
ユーラシア連合クーデター政権は、ユウナが死亡
したと発表されるのと同時に、彼を見限ってしま
ったからだ。
彼らの考えとしては、親の情を利用する計画だっ
たのだが、親が子供を見捨ててしまったので計画
倒れに終ってしまったのだ。
こうして、宙ぶらりんになってしまったユウナに
クロードが復讐を持ち掛けて、ユウナはそれを快
諾していた。
クロードは使い道がなくなったノーチラス級潜水
艦全艦とモビルスーツ七十八機をユウナに与え、
銃殺が決定していたキスリングを脱走させて指揮
を執らせる事にしたのだ。
紅海の海底に身を潜めたユウナ達は、新国連艦隊
がスエズへの攻撃が始まると同時に、後方から奇
襲をかける事になっていたので、辛抱強く海底で
息を潜めていた。

 「目標はオーブ艦隊のみだ。カガリを殺せれば
  どうにかなるかも知れない。ならなくても、
  どうせ死ぬ身だ。道連れは一人でも多い方が
  良い」

クロードから貰った身体機能と反射神経を強化す
る薬でハイになっているユウナを哀れみの視線で
眺めながら、キスリングは頭の中で作戦案を練っ
ていた。
コンマ1%でも勝率をあげるべく、様々な要素を
検討していたのだ。

 「やはり、ユウナ様が(クライシス)で突撃を
  かけて一騎打ちを所望するしかないか。カガ
  リのような血の気の多い御仁なら受けてくれ
  るかも知れないな。そこに、一縷の望みをか
  けるしかあるまい」

ユウナが貰ったモビルスーツ部隊は、出来損ない
の傭兵とクローン兵ばかりで、モビルスーツも雑
多な機体の寄せ集めであり、唯一便りになるのは
、「クライシス」部隊十機のみという有様なのだ

こうなれば、ユウナを中心にして全機で突撃をか
けて、オーブ軍艦隊に迫るしか方法はなかった。

 「私は潜水艦隊で攻撃を仕掛けるのみか。大艦
  隊の内何隻を沈められるかな」

 「僕がカガリを倒してあげるよ。そうすれば、
  凱旋帰国できるさ」

 「(愚かな方だ。彼に手を貸したのが間違いだ
  ったのか。まあいい。精々派手に散ってやる
  さ)」

薬で頭がおかしくなっているユウナを見ながら、
キスリングは決意をするのであった。


(三十分後、「ミネルバ」ブリッジ内)

スエズ攻略作戦の内容は単純そのものだった。
三方向から進撃した軍勢が守備隊を粉砕する。
たったこれだけの事なのだ。
始めは敵の抵抗を予想したのだが、地上軍は占領
地を放棄してスエズに到着していたし、地中海艦
隊は俺達の反対側で陣取っていた。

 「スエズ運河に損害を与えないように敵を撃破
  する。難しい作戦ですね」

 「ユーラシア連合軍がどう考えるのかだな。再
  奪取が可能だと思うなら破壊はしないが、無
  理だと考えれば、敵に渡すくらいならと考え
  る可能性がある」

 「破壊と言っても、廃船を水路に沈める程度だ
  と思いますよ。もし、それをされたら艦砲で
  粉砕すればいいんです」

 「乱暴な意見だな」

 「要は通れればいいんですよ。細かい修理は戦
  後です」

 「なるほどな」

俺とクルーゼ司令が話していると、メイリンから
作戦開始の命令が届いた。

 「新国連軍艦隊総司令官山口海将から連絡です
  。十分後に護衛を除く全モビルスーツ隊出撃
  準備」

 「一気に粉砕するか。よし、(ミネルバ)は前
  進だ。スエズ運河で(ヴィーナス)と合流す
  るぞ!」

 「コンディションレッド発令。対艦・対モビル
  スーツ戦用意。ブリッジ遮蔽」

 「コンディションレッド発令。対艦・対モビル
  スーツ戦用意。ブリッジ遮蔽します」


アーサーさんが指示をメイリンが復唱して「ミネ
ルバ」は完全な戦闘態勢に入った。


 「俺も出撃します」

 「(ミネルバ)は任せてくれ」

 「お願いしますね」

パイロットスーツに着替えた俺達がモビルスーツ
内で待機していると、各国の艦隊から多数のモビ
ルスーツが出撃していく。

 「さあて、前に出るぞ。クルーゼ司令、お願い
  しますね」

 「先陣は我々だ!新生クルーゼ隊、出撃するぞ
  !」

 「「「「了解です!」」」」

クルーゼ司令達は、途中でキラと合流して戦場を
目指して進撃して行った。
どうやら、本当にキラは一人で戦う予定だったら
しい。
自分好みにカスタム化して八基のハイドラグーン
を装備した「ムラサメ」でクルーゼ司令の左の位
置に付いているようだ。

 「では、行きますか。ヨシヒロ・カザマ。(ギ
  ャプラン)行くぞ!」

一月二十九日午後一時三十二分、新国連軍のスエ
ズ運河攻略作戦はこうして幕を開けたのであった


             あとがき

次は後編で戦闘メインにします。
新型機が「スーパーフリーダム」と「ナイトジャ
スティス」になった理由は書くのが簡単だからで
す。
「ストライクフリーダム」「インフィニットジャ
スティス」は長いよーーー。
大きな理由がなくてすいません。


  


    


   

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