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「DUEL SAVIOR ASTRAY 第2話 (DUEL SAVIOR DESTINY+オリジナル)」

Mania (2006-06-02 11:42/2006-06-14 19:41)
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 この出来事は、本来有り得ないことである。


「まったく、爺め。この程度のことなら何の問題もなかろうに」
 夕暮れ時、『学園施設』の闘技場に、彼女は千を優に越す観客の中に紛れ込んでいた。
 背格好は中学生くらい。桃色の髪をツインテールに纏め、屋敷のお嬢様が着ているような服装をした、青い瞳の少女だった。
「しかし、凄いものだ。話に聞くのと、実際に目にするのとではこうも違うものなのか…」
 彼女は興奮しながら、闘技場に出て来る人物を凝視し始める。
「ん〜、どれどれ…?」
 その時、一人変わった服装をした男が居る事に気付いた。
「何じゃ、彼奴は?」
 一言で言えば『変な奴』だった。
 背は一緒に居る男と同じくらい。…私より背が高い。
 顔は良く言えば「青臭い青年」、悪く言うと「チンピラ」に見える。
 だが、彼の服は大人が着るような「正装着」に見えた。
 その結果、顔と服のバランスが合っておらず、ちぐはぐな格好にしか見えなかった。
「変わった奴じゃのう。ん? 彼奴は試験に参加せんのか?」
 闘技場の中央に姿を現したのは、無造作な髪型をし、青い服を着ている若い男だけだった。
「まぁ、よかろう。では、彼奴の方をじっくり見物させて貰おうかのう」
 そして、彼女は中央へ歩いてくる男の方へと視線を移し始める。


 これが彼女の初見。まぁ…取るに足らない出来事ではあるけれど。


 第2話  予想外の死 〜 Propriety Test 〜


「この世界は常に生産と破壊の狭間を揺れ動いています。破壊がなければ新たな生産は行われないし、
 生産が行われなければ世界はすぐにでも死滅するのは…あらためて説明するまでもないわね?」
「「「………」」」
「世界のシステムは、もっとも単純なこの二つの力の均衡で保たれています。
 そして、その2つの力の均衡を生み出している世界がこの根の世界アヴァターなのです」
「「「………」」」
「…少し、難しかったですか?」
「あ、いえ…」
「すんません、聞いてなかった」
「………」
「お外を見せてから、ずうっとこんな調子なんですよう」
「まあ、無理もないわね。どうやら事前説明もなしに召喚してしまったみたいだし」
 ミュリエル・シアフィールドと名乗った学園長は、溜息を吐きながら、大河達にこの世界で何が起こっているのかを説明していた。

 …そして、俺はこの内容を知っている。
 この世界「アヴァター」は、最も根源的な原則となるものを生み出し伝えることを役割としている世界であること。
 ここ、アヴァターには一定周期で現れる謎の破壊集団『破滅の軍団』がいること。
 この破滅の軍団に対抗するには、アヴァター自身が選んだ『救世主』の力を借りなければいけないこと。
 だが、救世主はどの世界の何処に現れるか分からない上、覚醒するまでは誰もその人が救世主であることが分からないこと。
 ただ、ある程度は救世主となる者の素質が分かっていて、その素質がある人間を『赤の書』という赤い本を拾う事でこの世界に呼び寄せること。

 …また、この後に何が起こるのかも。
 そのようにして呼び寄せた救世主候補達を、その資質が目覚めるまで、このフローリア学園で暮らして、救世主としての力と技を磨かなければならないこと。
 救世主はみんな「女の子」であること。
 救世主は『召喚器』と呼ばれるインテリジェンスウエポン(武器)を操る存在であること。
 召喚器を呼び出せることが出来れば救世主の資格があること。


 ―――その召喚器を呼び出すために、大河が適正試験を受けることを。


 俺は、大河達が話し合っているのが聞こえない程、自分の現状について考えていた。
 俺が地球から召喚されたこと。そして、このゲームの内容を全て知っていること。
 …そうだ、俺はこれから起こることを全て知っているはずだ。
 …知っているはずなんだ。
 …知っているはずなのに…


 ―――何故か俺が思い出せるのは、このゲームの「第1話」の内容だけだった。


 理由は分からない。ただ一つはっきりしているのは、
 ――俺が救世主には『なれない』――ことだけだ。
 まず始めに、俺は男だということ。どこぞの2次小説のような都合のいい事なんて起こるとは到底思えない。
 次に、俺は『赤の書』を拾ったのかどうか分からないこと。ここに来る直前の事が全く思い出せないのだ。
 最後に、俺がアヴァターに召喚される『理由』がないこと。内容を少しでも思い出せるなら当然こう思う。俺は『本来の登場人物』じゃないんだから。

 そして最後にこう思ってしまう。

 ―――『生きて日本に帰れるのか?』―――と。


「お〜い。一真」
 ユサユサ。誰かが俺の方を揺らしている。
 顔を上げると、そこに大河の顔があった。 
「ん? 何だ、大河」
「何だって、お前また考え事してたのか?」
「ああ、悪い。で、如何したんだ?」
「あなたに用があるのは、私です」
 ミュリエルさんが俺の方を見た後、ダリア先生と何か話し始めた。
「ダリア先生、先程の報告ですが、間違いないのですか?」
「ええ、赤の書を知らないようですし」
 そして再び、視線を俺の方に戻す。
「南雲 一真さん。あなたはこのぐらいの大きさをした、赤いバインダー型の本を見ていませんか?」
 彼女は、B5サイズぐらいの大きさをジェスチャーしながら質問してきた。
「はい…。なんせ、ここに如何して来たのかさっぱり分かりませんし」
「分からない、とは?」
「ん〜、此処に来る直前の事を覚えてないんですよ」
「覚えてない?」
「ええ。自分の居る世界のことは覚えてるんですけど、ここに来る前、俺寝てましたから」
「「「「………」」」」
 みんな、その言葉を聞いて無言になってしまった。
 …そんな反応になるだろうなぁ。けど、寝てる時のことを覚えてるわけないしなぁ。


 しばらくして、大河が俺にとんでもない事を言ってきた。
「なぁ、一真。俺の手伝いをする気あるか?」
「はぁ? 手伝いって?」
「もちろん、俺が救世主になるための協力に決まってるだろ」
「「「 !!! 」」」
 女性陣が驚きのあまり、声を失ってしまった。
「なっ…何考えてるんだ、お前!」
「だってお前、此処にどうやって来たのか分からないんだろ?」
「そりゃそうだけど…」
「ならお前だって召喚器を呼べるかもしれないじゃないか?
 もちろん、救世主になるのは俺だけどな!」
「…ちょっと、待ってくれ」

 そして、俺はミュリエルさんの方へ目を向ける。
「あの…ミュリエルさん一つお聞きしても宜しいですか?」
「…どうぞ」
「その試験は如何いった内容なんですか?」
「先程説明しましたが、モンスターと戦い、その戦いの中で召喚器を呼び出すことが出来れば、資格がある者と判断します」
「…もし、何時まで経っても呼び出せなかったら?」
「資格がない者と判断できた場合、後は私達が出来る限りのことはします」
「…つまり、"殺し合い"をするんですね?」
「…そう受け取ってもらっても構いません」

 俺は再び大河の方に顔を向ける。
「…悪い、大河。俺、その試験受けねえわ」
「「「 !!! 」」」
 女性陣は、先程と同じくらいの反応をした。
「何だ? お前、怖気づいたのか?」
「ああ。そう思ってくれて構わねえ。俺は自分の命が大事だからな」
「お前、救世主になってみたいって思わねえのか?」
「何処の誰とも知らぬ他人を助けるような、聖人君子には為りたくねえよ」
「情けない奴だなぁ。お前、それでも男か?」
「痛い思いして、死ぬよかよっぽどマシだ」
「「………」」
 ミュリエルさんとダリアさんは、俺が言った事を理解してくれたのか、口を慎んでくれた。

「…お兄ちゃん、本当にいいの?」
 未亜が、か細い声で大河に話しかける。
「未亜?」
「私のことを心配してくれるのは嬉しいけど、一真さんの言う通り"召喚器"を呼べなかったら怪我じゃ済まないんだよ」
「心配するな、未亜…やってみせる。お前を危険な目に合わせたりはしないさ」
「…うん、ありがとう…お兄ちゃん」

 その会話が聞こえた時、俺はこう思ってしまった…
 ―――『羨ましいよ、大河。そんな風に決断できる強さを持てるなんて…』と。


 そして、夕刻。ゲームと同じ様に、俺達は「学園施設」の闘技場に足を踏み入れていた。
「おい、どういうことだ、ありゃあ?」
「なんで男が? 救世主さまのお披露目じゃなかったのか?」
「まさか、救世主でもない男が、『破滅』に選ばれた怪物と戦うつもりなのか?」
「馬鹿な…死ぬぞ?」
「今日は趣向を変えて残虐ショーとか?」
「なんでもいいから早く始めろ〜!」
 …こんな会話を聞いてしまうと、どうしてもこう思ってしまう…
『冗談でもこんなことを言う奴らを守る為に、救世主だなんてモノには為りたくない』と。

 そんな風に物思いにふけってると、いつの間にか、大河が闘技場の中央へと移動しようとしていた。
 何となく、俺は大河の肩を叩く。
「ん? どうした、一真?」
 …こんな事は何の意味も無いんだろう。けど、どうしても言っておきたかった。
「…気をつけろよ、大河」
「…心配すんな、…サンキュ」
 そして、大河は闘技場の真ん中へと歩き始めた。


 そして、どのくらいの時間が経過したんだろうか…
「うわあああ〜っ!!!」
 大河の悲鳴がこだまする。
 彼が今戦っているのは、「破滅」のモンスター、ゴーレム。
 しかも、小さな村を一つ丸ごと潰し、王国軍の一個中隊が総掛かりでやっと捕獲した代物だった。
 彼の驚異的な運動神経のおかげで、何とか攻撃を避け続けていたが、もはや風前の灯火だった。 
 
 ―――如何なってんだよ、オイ!
 俺もある意味、焦っていた。
 ―――まだ、未亜は召喚器を呼べねえのか?
 本来ならこの時、未亜が召喚器を呼んで、大河を助ける流れになる筈だ。
 しかし、当の未亜は悲鳴を上げるばかりで何の動きもない。
 ―――このままじゃ、大河の奴、本当に死ぬぞ!
 居ても立っても居られず、闘技場へと足を進めようとした時…

「待ちなさい」
 ミュリエルさんが、途轍もなく冷淡な声で、俺を呼び止めた。
「貴方は、何をしようとしてるのか分かってるんですか?」
「………」
「貴方はこの試験を『受けたくない』と言ったのでしょ? 貴方にはもう関係ないことです」
「………」
「私が言うのも何ですが…今、貴方が行った所で、何の役にも立ちません。あなたも死ぬかもしれませんよ?」
 彼女はそう言って、冷淡な目で俺を見続ける。

 ―――そりゃあ、俺だって怖い。
「…確かに俺が行った所で、大した事は出来ないでしょうね」
「えっ…?」
 ―――『死にたくない』そう思ってるのは事実だ。
「俺が何をしても、無駄かもしれない。ただ…」
「…ただ?」
 ―――この行為だって、俺にとっては打算的なことだ。
「…ただ、このまま大河が、ミンチになる様な光景を見たくないだけですよ」
「………」
 ―――けどそれ以前に、言葉では言い表せない様な『モヤモヤしたもの』が俺の中にあった。
 ―――それを何とかしたいと思うだけで、今の俺には十分だった。

 ―――ああ、それと…
「優しいんですね。ミュリエルさん」
「…何を言ってるのですか?」
「本当に冷酷な人なら、わざわざ俺を呼び止めたりしないでしょ?」
「………」
「まぁ、俺にも召喚器が呼び出せるのか試してるだけかもしれませんが」
「………」
 彼女は黙り続けるだけで、俺に対して何かしようとはしなかった。

「お兄ちゃん! 逃げて!!」
 未亜がさらに大きな悲鳴を上げる。
「チッ、お叱りは後ほど」
 それだけを言い残し、俺は大河の方へと走って行った。

 ダリアとミュリエルは、彼の背中を見詰めていた。
「…宜しいんですか?」
「…彼が自分で決めた事です。最悪の事態くらい、覚悟して貰わなければ困ります」
 そう言って、二人は再び闘技場に視線を戻す。


「ゴウウウルルル」
 ゴーレムが唸り声を上げながら、大河に近づいて行く。
「こりゃ…ヤバい」
 大河はゴーレムの攻撃が右膝をかすめ、膝から下が痛みで痺れた状態になっていた。
「…ダメじゃん」
「ま、マズいぞ! こりゃ、今度こそ捕まった」
「お、おい…このままじゃなぶり殺しだ、誰かあいつを助けろよ!」
 観衆が悲痛な声を出し始める。

「ゴアアアアアァァ!」
 ゴーレムが今、正に大河に止めを刺すべく、両腕を振り下ろそうとしている。
 ―――やっべぇ…避けきれねぇ…
 大河が絶望しかけたその時…


「大河ぁーーー!!!」
 何者かが、大河にぶつかる様に、横から飛び出して来た。

 ゴーレムの攻撃が何も無い地面を大きく叩く。
「痛って…えっ? か、一真!?」
 俺は、大河を庇う様にして倒れていた。
「何してんだよ!? お前!」
「何って…助けただけだ」
 二人が立ち上がる。
「何で…お前、救世主なんて如何でもいいって…」
「喋れるとは、随分余裕だな。もう、足は動くのか?」
 ゴーレムが俺達の方を向き始める。
「す、少しは…けど、この足じゃあ直ぐに…」

「言い訳してる暇があるなら足動かせ! 死にてぇのか!!!」
 俺は、自分でも驚くほどの大声を出していた。
「!!!」

「俺も出来る限り、奴を引き付ける。お前はその間に、奴との距離を取ってろ」
「こ、この状態でか?」
 ゴーレムが俺達の方へと移動してくる。

「出来なけりゃ…死ぬだけだ」
 ―――何で、こんな事になっちまったんだろ?
 間近で見ると、更に怖い。3メートル? いや、5メートル? 正確な大きさは分からないが、その巨体だけで俺を恐怖させるには十分だった。
 ―――俺、生き残れるかなぁ…こんな奴相手に…
 泣きたくなった…もの凄く。


 だあぁぁぁぁぁ〜!死ぬ。死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ、本気で死ぬ〜!!
「ゴアアアアアァァ!」
 ゴーレムの一撃が俺の横を掠めていく。
「ぎゃぁぁぁぁぁ〜!」
 恥も外聞も捨て、俺はゴーレムの攻撃を正に『死ぬ気』で避けていた。
 攻撃の際に発生する風圧を受けるだけでショック死してしまいそうだ。はっきり言って、そう何度も耐えきれる代物じゃない。
 じゃあ、どうする? ブロックするのか? 却下! そんな事したら、一発であの世行きだ。
 じゃあこのまま、かわし続けるのか? 無理! 喧嘩の経験すら無い、俺の精神が保つ筈がない。いずれ、限界が来る。
 如何しようもない理不尽さを感じていると、ゴーレムが俺に向かってまた攻撃してきた。

「ゴアアアアアァァ!」
 何と、今度は両手を地面に向かって叩きつけてきた。
「Nooooo〜!!」
 俺は必死にその攻撃を避ける。
 しかし、ゴーレムの狙いはそれだけでは無かった。
 先程の攻撃によって、地面が大きく揺れる。
 俺はバランスを少し崩しただけだったが、大河はそうはいかなかった。
「うわっ…」
 傷ついた足でバランスが取れる筈も無く、再び地面に倒れてしまった。
 その隙を見逃す筈などなく、ゴーレムは大河の方に移動していた。

「なっ、待ちやがれ、テメぇ! …えっ!?」
 俺はゴーレムの注意を引き付けようとする。
 だが、あまりにも極限まで張り詰めた緊張のせいで、腰が抜けてしまい、俺も倒れてしまった。

「大河! 早く逃げろ!」
 俺は倒れた状態で、そんな無意味なことを叫ぶことしか出来なかった。

「ゴアアアアアァァ!」
 巨人の無慈悲な一撃が少年に叩き込まれようとしている。
 ―――もう駄目なのか!?
 誰もが、諦め掛けていたその時… 


 大河に止めを刺すはずの、ゴーレムの一撃がやってこない。
「グカァァァァァッ!」
 ゴーレムが悲鳴を上げている。
「あっ…」
 俺は、その光景に目を奪われていた。

 そこには、その巨体を横たわらせているゴーレムの姿があった。
 そして、倒れたゴーレム越しに、小さな影が佇んでいる。
 その影は、手に一本の弓を持ち、右手に何も持たない状態で弓を引き絞っていた。
 そう、それは弓形の召喚器『ジャスティ』を手にした未亜の姿だった。

「…助かった」
 俺は深い溜息を吐くと、緊張から開放されつつ、起き上がり始めた。
 何でこんなに時間が掛かったのかは分からない。
 ―――だが、『生き残ったこと』だけは確かだった。


「来いッ! トレイターーーーッ!」
 …ん? 何時の間にか、大河が剣型の召喚器『トレイター』を呼び出して、ゴーレムと戦い始めてる。
 そして、あんなに苦戦していた筈のゴーレムを、あっという間に倒してしまった。
 
 ―――俺は、ただ驚いていた。召喚器の強大さに、救世主の圧倒的な強さに。

「はあ、はあ、はあ…」
「お兄ちゃん…だ、大丈夫?」
 ―――あんなことが起こったのに、もう立ち上がる気力があるのかよ…
 あまりに、一般人とは懸け離れた存在だと感じた。如何して、みんなが救世主を求めているのかが分かった様な気がした。

「聞いてくれみんな!」
 大河がミュリエルさん達がいる辺りを見上げ、『トレイター』を掲げている。
「俺の名は、当真大河! 赤の書に選ばれた、アヴァター初の男の救世主候補だ!」
 それに続いて、自分をアピールしている声が聞こえてくる。


 ごとり

 ―――その時俺は、何となく音のした方を見ただけだった。

 ぎ…ぎぎぎ…

 ―――ナゼだ…ありえナイ…どうして、アレが『まだ動いてるん』だ!?

「みんな聞けぇっ! 俺が救世主になってこの世界を救ったあかつきには…」
 ―――俺以外の全ての人がそのことに気付いてない。


「ゴガァァァァァァァァ!!!」
「どけぇー!! 大河ーーー!!!」


『まだ生きていた』ゴーレムの死に際の一撃は、大河を突き飛ばした俺の『真正面』に『直撃』した。

 
 ―――全ては一瞬の出来事だった。
 彼の身体がサッカーボールを蹴飛ばすスピードよりも、速く、速〜く飛んで行く。

 ―――誰もがソレを見ていた。
 そして、ゴムボールのように地面を、何度も、何度も叩きつけられる。

 ―――誰もが声を失ってしまった。
 しばらく地面を転がされ、仰向けになって止まった彼の身体は、ピクリとも動かなかった。


「は…ぁ……はぁ……」
 …いた…い……な…にが……
 ―――空が血のように紅く見える。

「あっ…ぅ……ぁ………」
 …く…るし…こ……え…が…
 ―――身体中が痛いのに、冷たくなってくる感じがした。

「………………………」
 ―――口に鉄の味がし、意識がはっきりしなくなってきた。
 …も…う………だ…め……だ……………


 ―――ゴボッ

 そして、口から大量の血を吐き出した後、彼は全く動かなくなった。


 …こうして俺、南雲 一真はアヴァターに召喚されてからたった数時間で―――


 『死んだ』


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 次回 DUEL SAVIOR ASTRAY 

 第3話  目覚め 〜 Testament 〜

  『お前…生きたいか?』

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 キャラクター紹介

 ???
  この物語のヒロイン。
  このゲームをプレイした事のある方達ならば、既にご存知の人物であるが、できれば正体は秘密にして欲しい。
  ただ一つだけ、今私が皆様に伝える事ができるのは、この人物を「メイン」にした物語を書いていきたいと思っている事です。

 ミュリエル・シアフィールド
  フローリア学園の学園長。
  高い魔力と高潔な志を持つ傑物。
  リリィの義理の母親。
  一真に対しての第一印象は「臆病なただの少年」
  一真曰く、「性格キツイけど、この世界で数少ない尊敬できる人物」とのこと。


 補足.DUEL SAVIORに出ている人物の説明はDUEL SAVIOR DESTINYのホームページを参照しています。

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 補足説明

 Propriety Test:"適正試験"という意味で使いました。

 ツインテール:纏めた髪の束を左右二つに垂らした女性向けの髪型。
        一般的には、おさげ・アップ・二つ結び・ピッグテールと呼ばれる。
        フリー百科事典「ウィキペディア(Wikipedia)」参照。

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 あとがき

 みなさん、感想ありがとう御座います。作者のManiaです。さて、今回のゲストは…
「うむ、この物語のヒロインに選ばれた■■■だ。っておい、ヘボ作者!」
 ヘボ作者って…どうして君がそんな『カタカナ言葉』を知ってるんだ…
「細かい事は如何でもよい。どうして、私の名前が伏字なのだ!」
 いや…もしかしたら、まだこのゲームを未経験の方がいるかもしれないし、本格的な登場はもう少し先を予定してますので、我慢して下さい。
「やれやれ、仕方ないのう。では、私からも幾つか質問させてもらうぞ」
 どうぞどうぞ。あなたはこの作品の華ですから。
「この物語のタイトルの元になったのは『あの作品』なのか?」
 はい、皆さんご存知の通り「起動戦士 ガンダムSEED ASTRAY」から拝借させて頂きました。
 作者もこの作品の一ファンであることと、この「ASTRAY」の「王道ではない・正道からそれて」という意味をどうしても入れたいという理由があったからです。
 ちなみに、この「ASTRAY」という「言葉」をある「カタチ」で登場させる予定ですので期待していて下さい。
「ふむ、よい成果を期待してるぞ。あと、オリジナルの人物は何人登場の予定なのだ?」
 主人公を含め2人です。あともう一人はまだまだ先の予定ですので、皆さんじっくりと考えていて下さい。
「しかし…こんな展開にして『あの作品のネタ』を使うのだろうか? と思う読者が多数出るのではないか?」
 大丈夫です。あの「型月」様のアイデアを使わせては頂きますが、最後辺りで使う予定ですので。
 因みに「直死の魔眼」には絶対にしません。また、主人公が死ぬのにもちゃんとした理由があります。
 まあ、分かったら「あ〜、なんだ」と言われるような、たいした物ではありませんので気軽な気持ちで考えて下さい。
「ふむ、しかしヒロインなのに、今回私の出番が少ないのう」
 我慢して下さい。もう少ししたらバンバン登場しますから(作者の力量次第)。
 それでは最後に、この作品を読んで頂いた方々、質問や感想をお待ちしております。
「私の応援も宜しく頼む。待ってるぞ」

 草々

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 レス返し

 イスピン様
 
「いきなり、当てられてしまうとはのう」
 人気の作品ですからねぇ。しかし、人物をこれ以上増やすつもりは無いが、武器を出して見るのも一つの手だな。
「ほう、例えば?」
 そうですねぇ。セルにレッドフレームの「ガーベラストレート」持たせたり、ブルーフレームの「タクティカルアームズ」持たせたり、
 いやいや、FF7 ACのクラウドの「新型バスターソード(正式名称教えて)」も面白いかもしれん。金髪だし、傭兵(ソルジャー)だし。
 なんかいいネタがありましたら感想と一緒にお書き下さい。ただし、親分の斬艦刀は除いて。
「ほう、何故じゃ?」
 だってあれは時守様のアイデアです!私如きが使うわけにはいきません!
「妙な所で意地を張るのう。後悔しても知らんぞ」
 これからも応援宜しくお願いします。
「私からも礼を言う。感謝するぞ」


 カシス・ユウ・シンクレア様

「そう言えば、主人公の名前はどうやって決めたのだ?」
 名前は、彼の人物紹介で出している人達が、私が特に尊敬している人達なので、拝借させて頂きました。
 設定にも書いてありますが、姿が似ているだけで、本当に唯の一般人です。
 彼の知識に関しては、一寸変わった使い方をしようと思っています。
「今更だが、私をレス返しにまで登場させて良いのか?」
 私が出来るせめてもの御礼ですから。後、登場人物の言葉遣いも慎重に書いていますが、
 こうした方が良い、または誤字があった 等のご意見ありましたら、遠慮なく投稿して下さい。
 作者もそれを血肉にし、頑張りますから。
「私からも宜しく頼む。期待しておるぞ」

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