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「ネギま!SEED 第4話(ネギま!+BLUE SEED)」

セフィロス (2006-05-27 23:32)
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「ネギ!」

前を歩いている護衛の対象者に声をかけた。


ネギま!SEED 第4話


「あ、草薙さん」

隣にいた源しずなとともに、ネギが振り返った。

「学園長のお話は、もう終わったんですか?」
「ああ」(とりあえずは…な)

返事をして、人数が少ないことに気づく。

「あのお嬢ちゃんたちはどうしたい?」
「あ、それが…」

ネギの表情が曇る。

「なんか、先に教室行っちゃって…」
「成る程な」

さっきの明日菜の剣幕を思い出し、苦笑する。

「どうやら、随分と嫌われたみてえだな」
「う……はぁ…」

疲れた様子でため息をつくネギ。

「僕…どうしたらいいんでしょうか?」
「さて…なぁ…?」

俺はポリポリと頭をかいた。

「俺も、そう女の扱いに慣れてるほうじゃねえんでな」
「はあ…」

もう一つため息をつく。

「…まあ、そう心配すんな。気性の激しい奴みたいだけど、悪い奴じゃねえだろ。時間が経てば打ち解けるさ」
「そうよ、ネギ君」

側にいたしずなが話しかけた。

「あの子は物事をはっきりと言う子だから誤解を受けやすいけど、とってもいい子だから、心配しないで」

ポンと肩に手を置き、諭すように話しかける。さすがに大人の女の包容力は侮りがたい。ネギも幾分落ち着いたように見えた。

「はい、これクラス名簿」

そう言って、脇に抱えていた名簿を渡す。

「あ、どうも」
「どういたしまして。それより授業のほうは大丈夫? ネギ君」
「あ…う…ちょ、ちょっと緊張してきました」
「ふふふ、そう硬くならないで……ほら、ここがあなたのクラスよ」

程なく、俺たちはある教室の前についた。『中等部2年A組』と書かれたプレートが教室の前にかかっている。

「どらどら…」

ネギの頭越しに俺は教室の中を覗き込んだ。ネギも同じように教室を覗き込む。

「うわー…」

ネギが囁く。そして、

「そうだ、クラス名簿…」

と、さっきもらった名簿を開いた。その名簿を見ながら、なにやらブツブツとつぶやいている。が、俺はそんなネギを一切無視して教室の中を見つめていた。

(こりゃあ…)

表情が気持ち険しくなった。

(なんだ、このクラス? 凄腕の気配、あるいは人ならぬ気配がいくつも漂ってやがる)

眼差しを険しくして何人かの顔に目を走らせる。あからさまに警戒する奴、気づいてないふりをする奴、無視する奴と色々いるが、全員に共通していたのははっきりと俺の気配に気づいたということだ。

(…あのじじい、厄介なクラス押し付けやがって…。後できっちり落とし前つけてやる。国木田のオッサンもな)

窓から顔を引き剥がし、ネギが開いているクラス名簿を覗き込む。幸いにして名前だけではなく顔写真付きの名簿だったため、容易に顔と名前が一致した。

(絡繰茶々丸…古菲…桜咲刹那…龍宮真名…超鈴音…長瀬…楓!)

そこで一瞬、動きが止まった。

(楓…)

ふ、と思い出す。同じ名の少女のことを。俺が護りたかった…護れなかったあの奇稲田の片割れを。

(……)

軽く頭を振る。思い出に囚われるのはいつでも出来る。今やらなければいけないことは決まっている。俺はもう一度名簿を覗き込んだ。

(こりゃあ…この英語表記の二人は、エヴァンジェリンとザジって読むのか? とりあえず、要注意マークの奴らはこんなところか)

顔を上げ、もう一度クラスの中を見渡す。

「ふふふ、早く皆の顔と名前を覚えられるといいわね」
「あうっ」

ネギとしずなのやり取りを聞きながら、俺はある一点を見つめていた。

「…はあっ……」

そして、大仰にため息をつく。程なく、ネギがぐっとこぶしを握り締めてドアに手をかけようとした。

「待ちな」

そんなネギを俺が抑えた。

「え?」
「俺が先に行く。お前は俺が合図したら入って来い」

それだけ言うとネギを押し戻し、返事も聞かずにドアをノックした。


コンコン

ドアをノックする音が聞こえ、教室内が静まり返る。クラス全員の視線はドアに集中していた。ただその視線は、暖かいものかというと決してそうではなかったが…。扉がガラッと開き、と、同時に黒板消しが落ちてきた。

パシッ

次の瞬間聞こえてきたのはそんな音。おそらく大多数の人間が期待していたようなバフットかボフッとかいう音ではなかった。教室の何箇所からか、チッといった舌打ちの音が聞こえた。時をおかず、黒板消しを掴んだ人物が入ってきた。

「……」

その人物は教室に入ってくると自分のすぐ前に張ってあるロープに目をやった。そしてそのロープの終点に顔を向ける。そこにはなみなみと水の入ったバケツが吊るしてあった。

「……」

無言のままロープを思いっきり踏みつける。と、そのバケツが重力に引かれて落下。それをキャッチするのと同時に、今度は鏃の部分が吸盤になっているおもちゃの矢が三本ほど飛んできた。

「ふぅ…」

軽く息をはくと、その三本の矢を人差し指と中指の間、中指と薬指の間、薬指と小指の間で一本ずつ挟んで止めた。教室の中が一斉にざわめき始める。

「静かに」

そう言うと、ピタッとざわめきが収まった。

「春日美空、鳴滝風香、鳴滝史伽。以上三名、立て」

続いての言葉に、名前を呼ばれた三名はビクッと身体を震わせる。が、一向に立とうとしない。その様子を見て、ふ…と笑うと財布から十円玉を取り出した。そしてピンと軽く真上にはじく。全員、その十円玉に視線を向けていた。落ちてきた十円玉をパシッと掴むと、親指と人差し指で掴んでその表を向ける。そしてそれに力をこめたかと思うと、十円玉は真ん中から真っ二つに折れてしまった。

「!!!」

全員が驚愕の眼差しで見つめる。

「もう一度言うぞ、春日美空、鳴滝風香、鳴滝史伽。以上三名、立て」
『は、はいっ!』

今度は慌てて立ち上がる当事者三名。その顔色は気の毒なぐらい真っ青になっている。そして三人以外はこれから何が起きるのかハラハラしながら見守っていた。と、次の瞬間

「ふっ!」
「しっ!」
「やっ!」

と、三回の掛け声とともに三本の矢がそれぞれ三人めがけて飛んでいった。

「あう!」
「いて!」
「きゃっ!」

見事、三本の矢は三人の額に張り付いた。

「次からはもうちょっと手の込んだ罠を仕掛けるんだな」

表情を崩して微笑みながらそう告げる。ちなみに、その笑顔に何人かの頬が赤くなっているのはまた別の話。

「おい、もういいぞ。入ってきな」

教室の外にそう声をかけると脇へと引っ込んだ。程なく、

「失礼します」

という言葉とともに、一人の少年が入ってきた。

「皆さん、おはようございます」

続いて、源しずなが入ってくる。

「さて、皆さんも聞いてると思うけど、今日からこのクラスは新しい先生が受け持つことになりました」

その言葉に、生徒たちは教室の前に立っている二人の人物に交互に目をやる。

「さ、ネギ君」
「は、はい」

言葉を発したのは少年。それとともに、クラス全員の視線が少年に集まる。

「え、ええと、始めまして」

視線に気圧されながらも、少年…ネギは生唾を飲み込んで言葉を続けた。

「今日からこの学校でまほ…英語を教えることになりました、ネギ・スプリングフィールドです。三学期の間だけですけどよろしくおねがいします」

頭を下げる。しかし、

『……』

無言。反応がない。

「あ、あの…」

恐る恐る口を開こうとしたネギ。と、

『か…』
「? 『か』?」
『かわいいーっ♡』
「!!!」

年若い少女たちの甲高い声が音波兵器となってネギの聴覚を襲った。それにはなんとか持ち堪えたネギだったが、ダメージを回復させる暇もなく今度は少女たちに押され潰され圧力をかけられて意識を失った。これがネギと2-Aの出会いだった。


後書き

こんばんは、セフィロスです。
ネギま!SEEDの第4話をお送りいたしました。いかがでしたでしょうか?
今回はネギ・草薙と2-Aの初顔合わせですね。あまり原作とは変わりませんが、草薙が何人かにちらほらとマークをつけているので、そのあたりとの一波乱・二波乱は期待していてください。次話はこの流れで二人の質問タイムですね。もちろん、先頭に立つのは報道部のあの人です。
では、第5話で。


それではレス返し

ATK51様>木乃香と紅葉はシンクロさせにくいですかね? 髪型といい雰囲気といい、私はよく似てると思っていたのですが…。まあ、それはこれからの展開しだいですかね。それと、刹那との絡みは楽しみにしていて下さいね。

龍牙様>確かに髪の色とか熊さんパンツとかは明日菜と紅葉はダブりますね。でも、このお話では木乃香との絡みになります。ATK51様のレス返しにも書きましたが、刹那との絡みは楽しみにしていて下さいね。

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