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「ネギま!SEED 第3話(ネギま!+BLUE SEED)」

セフィロス (2006-05-13 21:08/2006-05-15 01:34)
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「も…みじ?」

思わず出てきた、その名前。俺をいまだ縛る、奇稲田の片割れ。そんなはずはないのに…。


ネギま!SEED 第3話


「おはようございます、学園長先生」
「おはよ、じいちゃん」

二人の少女が学園長の爺さんに挨拶した。

「うむ、おはよう。明日菜ちゃん、木乃香」

爺さんが挨拶を返すと、二人の少女は真ん中にいるガキを引き連れて学園長の目の前までやってきた。

「おお、君がそうかね」

そのガキに話しかける。

「は、はい! 始めまして! ネギ・スプリングフィールドです!」
(!)

その名を聞き、俺は他の連中に気付かれないほど僅かにだが顔をしかめた。

(こいつが俺の護衛対象か。しかし…)

失礼は承知で不躾な視線を全身に這わせる。

(どう見たってまだガキじゃねえか。こんなガキを教師にしようってのか? さっきの俺を副担にすることっていい、かなり常識はずれの学校だな。…いや、常識はずれなのはこの爺さんだけか…)

不躾な視線を爺さんにシフトした。フォッフォッフォッとけったいな笑い方をしてるが、何を考えているやら…。

「学園長先生」

と、ジャージを着ているお嬢ちゃんが口を開いた。

「一体どーゆーことなんですか!?」
「まあまあ、明日菜ちゃんや」

爺さんがなだめる。そうか、この嬢ちゃんは明日菜っていうのか。縁があるかどうかわからねえが、とりあえず覚えておくか。…明日菜を抑えると、爺さんはガキんちょ…ネギに視線を移した。

「ネギ君、話は聞いておるよ。修行のためとはいえ、大変な課題をもらったのう」
「は、はい、よろしくお願いします」
「うむ、しかしまずは教育実習ということになるかのう」
「わかりました」
「ところで、ネギ君には彼女はおるのか? どうじゃな、うちの木乃香なぞ」
「ややわ、じいちゃん」

もう一人の嬢ちゃんがにこやかに微笑みながら金槌を振り下ろした。がすっと鈍い音がする。

(…どっから出した?)

素朴な疑問が頭に浮かんだ俺。いや、考えたら負けなのかもな…。

「ちょっと待ってくださいってば!」

明日菜が爺さんに突っかかる。

「大体子供が先生なんておかしいじゃないですか! しかもうちの担任だなんて!」

至極もっともな正論を吐く明日菜。だが、爺さんは笑ってるだけで取り合おうともしない。

(ここじゃツッコミは損するだけみたいだな。よ〜くわかった)

なんとなくそんな雰囲気を感じ取った俺は、辟易したようにため息をもらした。

「ネギ君、この修行はおそらく大変じゃぞ」

見事なまでに明日菜の意見をスルーして話を続ける爺さん。やはりツッコミはするだけ無駄のようだ。

「駄目だったら故郷に帰らねばならん。二度とチャンスはないが…その覚悟はあるか?」
「は、はい、やります! やらせてください!」
「うむ、わかった」

こうして明日菜のもっともな正論のツッコミは華麗になかったものとされ、ネギのこの学校への赴任が決まった。

「では今日から早速やってもらおうかの。指導教員のしずな先生を紹介しよう。しずな君」
「はい」

爺さんが声をかけた隣の部屋から、一人の女教師が入ってきた。

「わからないことがあったら彼女に聞くといい」
「クス…よろしく」
「あ…ハ、ハイ!」

大人の魅力にやられたのか、ネギはぽーっと女教師…しずなの顔を見上げていた。

「それともう一つ…草薙君」

今度は爺さんは俺に視線を向けた。それに導かれるように、自然と他の人間の視線も俺に集まる。

「ああ」
「彼は君のクラスの…」
「副担だ」

爺さんの言葉を継いだ。俺はネギのところまで歩いていくと、右手を差し出した。

「草薙護だ」
「あ…ネギ・スプリングフィールドです」

ネギがその手をとった。

「まだ子供ですけど、どうかよろしくお願いします」
「ああ。こちらこそな」

軽く握手をした。

「彼も今日から赴任することになってのう。じゃが年上じゃし、何かと頼りに出来るじゃろう」
「はい、ありがとうございます」

ネギは深々と爺さんに頭を下げた。

「うむ。では君たちにとりあえずこの二人を紹介しておこうかのう。君たちのクラスの生徒になる」

そう言うと、爺さんは二人の嬢ちゃんに俺たちの真正面に来るように促した。

「君たちから向かって右側の子が神楽坂明日菜ちゃんじゃ」
「…神楽坂、明日菜です…」

不満げに自己紹介する明日菜。色々と思うことがあるのだろう。

「よろしくお願いしますね」
「よろしくな」
「…はい」

諦めか達観か、明日菜の声にはまったく抑揚がなかった。

「そして君たちから見て左側の子が近衛木乃香。ワシの孫じゃよ」
「えへへ、よろしゅうな」

はにかみながら挨拶する木乃香。ニコニコ笑いながらネギの頭をわしゃわしゃとなでた後、俺の前にやってきた。

「始めまして、近衛木乃香です」
「ああ。草薙だ」

ともに手を出し、握手をする。

(こいつが俺のもう一人の護衛対象。…しかし)

まじまじと顔を見た。

(似ている…。姿形もそうだが、髪型、背格好、それに何より雰囲気があいつに…紅葉にそっくりだ)

なんとも複雑な思いを抱かざるを得ない。こんなところで紅葉とダブる嬢ちゃんに逢うとは、不甲斐ない俺に対するスサノオのあてつけか皮肉か。じっと顔を眺めたまま、俺は握手をといた。

「では、早速教室に向かってもらおうか。…と、その前にもう一つ。木乃香、明日菜ちゃん、しばらくネギ君をお前たちの部屋に泊めてくれんかのう。住むところがまだ決まってないんじゃよ」

…この爺さん、よくよく常識はずれらしい。ガキを教師にするだけじゃ飽き足らず、生徒と教師を同部屋に住まわせるとはな。…まあ、ネギはまだガキだし、間違いの起こりようがないが。そして当然のように明日菜は反対したが、こちらも当然のように黙殺され、なし崩し的にネギと明日菜たちの同居は決まった。そして決まったところで、明日菜を先頭に学園長室を出て行く。当然俺もこいつらと一緒にこの部屋を後にしようとした。

「あ、草薙君は待ってくれんか。個人的に話がある」

爺さんにそう言われ、俺はネギたちに先に行くように促して学園長室に残った。


「さて…」

扉が閉まったのを確認すると、俺は再び爺さんの前まで戻った。

「何だ、話って?」
「うむ。何、いいのか…と思ってのう」
「? 何がだ?」

俺は質問の意味がわからなず、眉をひそめた。

「護衛の件じゃよ。さっき君はネギ君に自分のことを副担じゃと自己紹介したが、この件を受ける受けないの返事は聞いていなかったからのう」
「ああ、そのことか。なら今はっきり言っておく。この件、引き受けた」
「そうか。感謝するぞい」
「いいさ」

それだけ言うと、俺は身を翻して扉へと向かった。


ギィ…バタン

扉の閉める音とともに、学園長室は静寂を取り戻した。

「これでとりあえず一安心じゃな。国木田君の推薦じゃし、ことによれば国土管理室も動いてくれるじゃろう。しかし…」

近右衛門は豪奢な椅子に全身を預けた。

「何故、話をしてから大して時間も経ってなく、これといった判断材料もないのに引き受けてくれたのか…」

その問いに答えを返す者は、誰もいなかった。


「ふう…」

扉を後ろ手で閉め、草薙は一息ついた。

「まさか、こんなことになるとはよ…」

ぽりぽりと頭をかく。

「だが、今度は護りきってみせるぜ。自己満足なのは百も承知だが、それでも…それでも…」
(楓…紅葉…)

二人の奇稲田姫を想い、草薙はネギたちの後を追った。


後書き

こんばんは、セフィロスです。
ネギま!SEEDの第3話をお送りいたしました。いかがでしたでしょうか?
今回は草薙とネギたちの初顔合わせです。前回の御感想から、どうも明日菜を見て草薙が驚いたと思ってる方が多かったようですが、草薙が驚いたのは木乃香を見たからです。なんとなく紅葉と木乃香って似ているような気がしたので。ということで、このお話でのメインヒロインは木乃香になる予定です。明日菜は原作どおりネギと絡ませる方向です。
では、第4話で。


それではレス返し

ATK51様>色々ご想像を膨らませていらっしゃるようで、楽しんでいただいているからこそと思っています。紅葉についてはおいおい明かしていきますので。ネギと草薙のこれからの絡みを楽しんでいただければと思います。それと、続編投稿機能を使うために第二話を送り直した影響で、ATK51様のご感想を消してしまいました。申し訳ございません。

PK様>ご指摘ありがとうございました。早速使わせていただきました。何分まだ慣れないもので…。それによって、上記のATK51様のレス返しのところでも書きましたが、レスを消すことになってしまいました。続編投稿機能のことを教えていただきながらそのようなことになってしまい、申し訳ありませんがご理解いただければ幸いです。

龍牙様>後書きにも書きましたが、草薙が驚いているのは明日菜にではなく木乃香にです。さすがに紅葉と明日菜ではダブらせる要素が何一つ浮かびませんでしたので…。

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