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▽レス始

「これが私の生きる道!運命編4.5ディアッカの休日編 (ガンダムSEED)」

ヨシ (2006-05-22 00:11/2006-05-22 21:25)
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(コズミックイラ73、十二月八日、カオシュン
 基地秘密ドッグ内)

俺の名前はディアッカ・エルスマン。
ザフト軍特殊対応部隊所属艦「ミネルバ」の、モ
ビルスーツ隊の指揮を執っている男だ。
今日も早朝から、艦内の格納庫で愛機の「セイバ
ー」のOSチェックをしていると、この部隊の指
揮官であるカザマ司令官に声を掛けられた。

 「ディアッカ、今日はお休みね」

 「えっ!俺だけ休みですか?」

 「そうだよ。いつも、シン達が優先で割を食っ
  ているからな。中国大陸では、どうなるかわ
  からないから休んでおけよ」

中国の成都に向かう途中、俺達は台湾のカオシュ
ン基地に寄り道をしていた。
プラントから、劉将軍あての荷物や、俺達への補
給品やらが届いていたので、俺達だけが寄り道し
て、それを受け取る事になっていたからだ。

 「オーブ組や自衛隊組を急いで追わないといけ
  ないから、一日だけだけど休んでおけよ。ど
  うせ、俺は荷物のチェックやら、台湾軍の司
  令官との顔合わせがあるから休めない立場だ
  し」

 「その席に俺が出ないと、やばくないですか?
  」

 「大丈夫。アーサーさんとコーウェルが出るか
  ら。カオシュン基地から撤退した我々は、完
  全なお客さんだから、政治向きの仕事が多い
  んだよ。お前は器用だから、無難にこなせる
  だろうけど、そうなると、コーウェルの仕事
  を奪ってしまうからな」

 「わかりました。でも、シン達はどうするんで
  すか?」

 「今回は、リーカさん達がお休みだ。シン達は
  お留守番」

 「了解しました」

俺はOSの調整を終らせると、自室で着替えてか
ら、出掛ける事にした。

 「あれ?ディアッカさん、お出掛けですか?」

食堂の前を通りかかったところで、シン達に声を
掛けられた。

 「お休みを貰ったんだよ。気晴らしに出掛けて
  くる」

 「羨ましいですね」

 「台湾美女が、俺を待っているぜ!」

 「台湾美女は、それぞれに予定があるだろうな
  」

 「その意見に賛成ですね」

 「ディアッカ君は顔は良いんだから、もう少し
  落ち着けばモテるのに」

更に、同じく休暇を取る予定のリーカさん達に声
を掛けられる。

 「酷い言い方ですね。俺は常にモテモテで、美
  女の撃墜率はトップエースクラスですよ」

 「軍人としては赤服だけど、プライベートでは
  、緑服って評判だぞ」

 「うわっ!酷いな。テルさん、あなたはどうな
  んですか?」

 「俺は、彼女へのお土産を買いに出掛けるんだ
  よ。リーカが、助言してくれるそうだから」

 「私も同じです」

 「私は一人身よ」

 「眼鏡っ娘は萌えるのに、おかしいですね」

 「そんな考え方をするディアッカ君がおかしい
  のよ。カザマ君の悪い癖が、伝染しているわ
  ね」

 「そうだよな」

 「私もそう思います」

 「えっ!俺ってやばいですか?」

 「カザマ君は、アカデミーでは女たらしだった
  って評判だけど、今は落ち着いているから。
  まあ、浮気なんてしたら、ラクス様に殺され
  るか、社会的に抹殺されるんでしょうけどね
  。その変わりに、変なオタク癖が出てきてい
  るって評判なのよ。私に(眼鏡が萌えますね
  )って、最初に言ったのは彼だしね」

 「やばい!気を付けます。さあて、可愛い女の
  子をナンパするぞ!」

 「無理そうね」

 「何でですか?」

 「だって、ルナマリア、メイリン、ステラと可
  愛い部下が三人もいるのに、一人もあなたを
  男性として見ていないようだし・・・」

俺達が話している横で、シンは三人が作った朝食
とデザートを食べていた。

 「シン、ご飯とお味噌汁を作ったわよ。おかず
  は、焼き鮭と焼き海苔と納豆ね」

 「メイリン、甘いわよ。シンは朝はパンなのよ
  。フレンチトーストとサラダと目玉焼きを作
  ったわ」

 「シン、チーズケーキを作ったの。食べて」

 「遠慮なく、全部いただきまーす!」

 「何か、納得いかないというか、理不尽さを感
  じる」

 「これが現実よ。直視しなさい」

俺は、リーカさんの厳しい意見を背にしながら、
美しい彼女をゲットすべく、カオシュン基地を後
にするのであった。


(前日の夜、カオシュン沖の海底)

 「全く、ミリアは我侭なんだから!」

アヤ達は朝鮮半島を潜水艦に乗って出撃したあと
、順調に香港への航路を進んでいたのだが、突然
、ミリアが命令を出したのだ。

 「現地諜報員から情報を収集しないといけない
  から、カオシュン市内に潜入してくれない?
  例の(ミネルバ)が、補給を受けているらし
  いのよ」

 「誰が?」

 「私かあなたよ」

 「ミリアは指揮官でしょうが。私が行けば良い
  のね」

 「そういう事」

 「もう、我侭なんだから。でも、台湾海軍の監
  視を潜り抜けて浮上出来るの?」

 「潜入工作員が、監視船の巡回航路と巡回時間
  を把握しているから、夜陰にまぎれてゴムボ
  ートで上陸すれば大丈夫。それに、あなたは
  指名手配犯になっていないし」

アヤはあくまでも、ミリアの個人的な召使扱いで
、アズラエル財団でもエミリアに近い人物くらい
しかその存在を知らなかったので、完全にノーマ
ーク状態だったのだ。
まさか、召使がモビルスーツのパイロットをして
いるとは、当局も思わなかったようだ。

 「それに、これを準備しているから」

ミリアが渡したパスポートとビザには、大西洋連
邦国民アヤ・キノシタと書かれていた。

 「クロードお兄様の部下の渾身の作よ。それで 
  、タイペイから飛行機に乗って香港に向かっ
  てね。さすがに、帰りまで回収しようとする
  と、見つかる可能性があるから」

 「わかったわ」

 「上陸後の詳しい手順は、この紙を見てね」

ミリアから渡された紙を見ると、幼稚園児並の汚
い字と、横に解説の棒人間のイラストが書かれて
いた。 

 「相変わらず、字も絵も下手ね・・・」

 「読めればいいのよ!」

 「私しか読めないけどね」

 「暗号なのよ!」

 「そういう事にしておいてあげる」

アヤは、それから三十分後に、魚雷発射管を利用
したカプセルで浮上してから、ゴムボートに移乗
して、無事に台湾上陸を果たしたのであった。


上陸後、迎えに来た工作員から情報を集めようと
したのだが、さすがに、監視が厳しくて情報が上
手く集まらないらしかった。

 「私が潜入しようかしら」

 「訓練をしていない素人が、そんな事をするな
  。あんたは、俺から聞いた情報をミリア様に
  届ければいいんだ」

 「わかったわ」

結局、アヤは大した情報を集められないまま、工
作員が予約してくれたホテルに宿泊して、夜を明
かしたのであった。


(翌日の早朝、ホテルの自室内)

 「うーん、久し振りに良く寝たわね」

アヤはベッドを起き出してから朝食を食べ、部屋
をチェックアウトした。
そして、街中の公園で再び工作員と合流する。
 
 「昨日は済まなかったな。新しく集めた情報を
  伝える」

 「補給を受けている艦は知っているな?」

 「(ミネルバ)でしょう」

そう、自分の兄の仇が指揮を執っている艦だ。

 「そうだ。連中の次の目的地は、成都らしい。
  我々が支援している孫将軍が、次に狙ってい
  る劉将軍を支援するために、物資を持ってこ
  こを明日出るようだ」

 「支援物資?」

 「モビルスーツだ。(センプウ改)と連中が持
  っている(センプウ)を改良するための部品
  だそうだ」

 「なるほどね」

 「他にも、自衛隊とオーブ軍の特殊対応部隊所
  属の艦艇が先発しているから、朝鮮半島時と
  同じ戦力という事だな」

 「こちらは、先に到着している四隻の潜水艦に
  搭載しているモビルスーツ隊と、私達への補
  充があるから、今度は負けないでしょう」

 「数的に優位に立てるからな」

 「そういう事。じゃあ、私は次の指令を・・・
  」

アヤはミリアから貰った紙を見るが、相変わらず
汚い字と絵で判別が難しい。
工作員も不思議そうな顔をしながら、覗き込んで
いる。

 「この汚い筒の絵が潜水艦かな?前の部分から
  変な紐と丸が上に書いてあって、丸の横にゴ
  ムボートと、子供の頃に書いた事がある棒人
  間がいるな」

 「そうよ。私は魚雷発射管を利用した浮上装置
  で海上に出たのよ」

 「それから、この四角がホテルか。泊まれって  
  事だな」

 「そうね」

 「次は、棒人間の絵が二人か。俺と会えって事
  だな」

 「良くわかるわね」

 「これで、飯を食っているからな。次は、これ
  はお店かな?何かを買えって事だな」

 「えーと、二十年物の紹興酒と新作の口紅?そ
  んな物、香港で買えるでしょうに・・・」

 「そのメーカーの物は、香港から販売店が撤退 
  しているから、恐ろしいほど高いぞ。ここで
  買うのが吉だ」

 「詳しいわね」

 「これで、飯を食っているからな」

アヤが呆れていると、工作員は用事は終ったと言
って去ってしまった。

 「これは、(買物がてら休養しなさい)って事
  かしら?」

真面目で任務に忠実で、潜水艦内でモビルスーツ
ばかりいじっていたアヤを心配して、ミリアが休
養をくれたらしい。
ただ、自分の買物をついでに頼むところが、ミリ
アらしいのだが。

 「せっかくだから、町に出ましょうかね」

アヤは町の中心街に向かって歩き始めた。


(同時刻、カシュン市内中心部、ディアッカ視線
 」)

俺は、街中で次々に目を付けた美女をナンパして
いるのだが、やんわりと断られ続けていた。
このままでは、俺にモテない君のレッテルが貼ら
れてしまう。
非常にまずい事態だ。

 「俺って何でモテないのかな?背もあるし、顔
  も悪くないし、赤服を着ているエリートなの
  に・・・」

俺は気分を落ち付かせるために、喫茶店に入って
コーヒーを飲む事にする。 

 「おや?クールな美女を発見!これは、95点
  というところだな」

喫茶店の入口で、細身ながらスタイルの良い、肩
まで黒髪をストレートに伸ばした知的な美人を発
見した。

 「身長165cm、体重46kg、スリーサイ
  ズは、上から85、58、86というところ
  か」

俺のNジャマーをモノともしない、美女レーダー
と美女ソナーと、美女エコーが彼女の観察を終了
させた。 

 「ちょっと!聞こえてるわよ!」

 「あれ?聞こえてました?」

 「しかも、全部正解だし!」

 「俺の眼力もなかなかだな」

 「この!セクハラ男が!」

彼女が、その外見からは見掛けによらない鋭い蹴
りを放ってきたので、俺は、その攻撃を素早くか
わした。

 「嘘!かわした」

 「君、格闘技経験者?」

 「そうよ。あなたも?」

 「そうだよ」

 「意外とやるわね」

 「だったら、一緒にお茶でもどう?」

 「お茶だけね」

俺はついにナンパを成功させ、美女とお茶を飲む
機会を作り出す事に成功した。
俺の人生の中でも、最良の時と言えよう。

 「俺は、モカブレンド」

 「紅茶がいいわ」

席に付いて、飲み物を注文をしてから、お互いに
自己紹介をする。

 「俺の名前は、ディアッカ・エルスマンだ。今
  日はお休みでね」

 「アヤ・キノシタよ。私もお休みなの」

 「ふーん、日本人なんだ」

 「違うわよ。国籍は大西洋連邦だから、日系人
  ってやつね(嘘!こいつ、カザマ隊のモビル
  スーツ隊指揮官じゃないの。よし、情報を聞
  き出してやる!)」

 「でも、その若さで仕事で外国に出ているのか
  。凄いんだな」

 「あるお金持ちのお嬢様の、秘書のような事を
  しているのよ。あなたは?」

 「当ててみな」

 「ナンパ師?」

 「それで、飯は食えないだろう」

 「嘘よ。軍人でしょう。仕事上、軍人は多く見
  ているからわかるのよ」

 「仕事上?」

 「お嬢様の会社の取引先は軍が多いのよ。だか
  ら、軍人は姿勢で判断するって教わったの」

 「さすがは、秘書殿。俺の上官も同じ事を言っ 
  ていたな」

 「でしょう」

 「俺は命令一つで動く、しがない軍人さ」

 「それは、民間企業も一緒よ」

 「だろうな」

お互いにコーヒーと紅茶を飲みながら、話をして
いるとお昼の時間が近づいてくる。

 「話の続きは、お昼でも食べながらしませんか
  ?お嬢さん」

 「いいわよ」

俺は伝票を素早く取ると、お金を払って一緒に喫
茶店を出た。

 「奢ってくれてありがとう」

 「お昼も奢らせていただきますよ。お嬢さん」

 「アヤでいいわよ」

 「そうかい?じゃあ、俺もディアッカと呼んで
  くれよ。アヤ」

 「ディアッカ、お昼は何処で食べるの?」

俺はナンパが成功した時に備えて調べておいた、
中華料理のお店にアヤを案内した。

 「せっかく、台湾に来たんだから、これを食べ
  ないとな」

 「そうよね」

俺達はコース料理を注文してから、再び話を始め
た。

 「ディアッカのご両親は健在?」

 「ピンピンしている」

 「私の両親は死んだらしいわ。ギャングに撃た
  れてね」

 「らしい?」

 「私、両親に売られたの。それで、ある屋敷で
  奉公をしていたのよ」

 「そんな、昔話のような事が現実にあるんだな
  」

 「その家のお嬢さんと一緒に遊んで、学校に行
  ってただけだけどね」

 「色々苦労しているんだな」

 「正直、両親の元にいた時よりは、苦労してい
  ないわよ」

 「なるほどね。俺は軍人になるまで、大した苦
  労はしていないからな」 

 「羨ましいわね」

 「今は、中間管理職で大変だけど」

 「そんなに若いのに?」

 「これでも、エリートだから」

 「自分でエリートって言う?」

 「聞いた事あるだろう?赤服を着てアカデミー
  を卒業しているから」

 「なるほどね。でも、私も十六歳で大学を卒業
  しているのよ」

 「大したものだ」

 「私はハーフコーディネーターだから。まあ、
  そこのところはね」

 「へえ、同胞なんだ」

アヤは、ぺらぺらと自分の事を話してしまう、自
分自身を止められないでいた。
何故か、彼には、素直に話してしまうのだ。

 「(私は、こんな軽薄な男は好みじゃないのに
  ・・・。どうしてかしら?ええい!アヤ、情
  報を集めなさい!)」

 「ディアッカはザフトの軍人さんだから、世界
  各地を回らないといけないから大変ね」

 「まあね。おかげで、彼女を作る暇がない」

 「私も、お嬢様のお供で世界をまわっているか
  ら大変なのよ」  

 「じゃあ、立候補するかな」

 「何に?」

 「恋人に」

 「考えておいてあげるわ。まずは、友達からっ
  てやつ?」

 「ちぇっ!厳しいな」

二人でデザートの杏仁豆腐を食べ終わってから、
お店を出て、アヤの買物に付き合う事にした。 

 「紹興酒を頼むお嬢様か・・・。少し、幻滅す
  るな」

 「酒飲みなのよ。それも、日本酒とか焼酎とか
  オッサンくさい物ばかり・・・」

次に、二人は化粧品店に入って、口紅を選び始め
る。

 「やっと、安心出来るな。女の子らしい化粧品
  で」

 「私は、化粧しないけどね。お嬢様も日頃は、
  リップクリームくらいしかつけないわ」

モビルスーツのコックピット内に、化粧品の甘い
香りが充満すると判断力が鈍るので、二人はノー
メイクの事が多かったのだ。

 「あっ、目的の物があった」

 「良かったな」

口紅を買って化粧品店を出た二人は、色々なお店
を見て周る事にする。
もう、アヤは純粋にデートを楽しんでいて、ディ
アッカに探りを入れる事をしなくなっていた。

 「(どうせ、戦場で会ったら、戦う事に変わり
  はないんだから、今を楽しんでも・・・)」

 「アヤ、どうしたんだ?」

 「えっ、何でもないわよ。あっ、あのお店、何
  だろう?」

アヤは、アンティークオルゴールを売っているお
店の前で、商品を眺めて始めた。

 「綺麗な音色ね」

 「本当だな。日頃、オルゴールなんて聴かない
  からな。俺の友達に、聴けもしない大型のオ
  ルゴールを(これは、芸術品だ!貴重な骨董
  品なんだ!)って言って、倉庫の肥やしにし
  ている奴がいるけど」

 「おかしいわね。オルゴールは、聴けてなんぼ
  でしょうに」

 「だよな」

 「へえ。これは、変わった曲が入っているわね
  。以前、聞いた事があるような・・・」

 「どれどれ?」

5cm四方の、小さいオルゴールの蓋を開けて耳
を傾けると、自分も聞いた事がある曲が流れてき
た。

 「ああ、これは日本の昔のアニメの曲だよ。今
  でも、日本では人気の作品で、親が小さい子
  供に見せる事が多いらしい」

 「良く知ってるわね」

 「俺の上司は、ジャパニメーションオタクだか
  ら」

 「それで、何ていうアニメの曲なの?」

 「えーと、(となりの○トロ)だったかな?」

 「でも、いい曲ね」

 「買ってやるよ。今日の記念だ」

 「ありがとう」

俺は、アヤにオルゴールを買ってあげた。
大した金額の物ではなかったのだが、アヤが喜ん
でくれたのでとても満足だ。 

 「私も買ってあげる。どれが良い?」

 「そうだな・・・」

俺は、以前ニコルがピアノで弾いてくれた、「聖
者の行進」が入ったオルゴールを選んだ。
理由は、この曲くらいしか知らなかったからだ。
その後、俺達は夕方までウィンドウショッピング
を楽しんでから、今日中にタイペイに向かうアヤ
をリニアカーの駅まで見送ってあげた。

 「ディアッカ。今日は楽しかったわ。ありがと
  う」

 「俺も楽しかったぜ。また、会えるといいな」

 「私のお嬢様は気まぐれだからね」

 「らしいな」

 「じゃあ、また会える事を願って」

 「俺もそれを願って」

俺達は握手をしてから、駅の入口でわかれた。
「こんなに充実した休日は人生で始めてではない
のか?」と思えるような一日であった。
俺は、再びアヤと会えるようにと、心から願いた
い心境であった。 


(同時刻、アヤ視点)

私はディアッカと別れてから、リニアカーに乗り
込み、プレゼントして貰ったオルゴールを開くこ
とにした。

 「あれ?何かが入ってる」

オルゴールの中には、ミリアに買った物とは違う
色の口紅が入っていて、手書きのメモ用紙が一緒
に入っていた。

 『今日は楽しかったぜ。だが、化粧くらいしろ
  よ。せっかく、美人に生まれたんだから。だ
  から、これもプレゼントだ。受け取ってくれ 
  。ディアッカより』

 「何で、あんたはこんなに良いやつなの・・・
  。私は敵なのよ・・・。戦場で会ったら、殺
  しあう関係なのよ・・・」 

私は、ディアッカに貰ったオルゴールを聴きなが
ら、リニアカーの席で一人で泣き続ける事しか出
来なかった。


(翌日午前十時、「ミネルバ」艦内)

俺の休日が終った日の翌日、「ミネルバ」はカオ
シュンを出発して、一路成都へと向かっていた。

 「ご機嫌だな。ディアッカ。昨日、何か良い事
  があったのか?」

 「聞いて下さいよ、ヨシさん。実は、飛び切り
  の美女とデートしたんですよ」

 「ディアッカ、お前はモテないけど、良いやつ
  なんだ。嘘なんてつかなくても、誰もお前を
  バカにしないから・・・。なっ」

 「あの、本当の事なんですけど」

 「白昼夢でも見た?」

 「キャッチセールスか?」

 「宗教の勧誘?」

 「三人共、酷いですよ!本当ですって!」

リーカさん達が酷い事を言うので、俺は本当の事
だと反論する。

 「ごめんなさい。昨日は言い過ぎたわ」

 「反省するよ」

 「俺も」

 「だから!本当なんですって!」

 「アーサーさんはどう思う?」

 「私は・・・。うーん、困ったな」

 「メイリンは?」

 「えっ!それは、ありえないかも・・・」

 「シンは?」

 「お昼に入った飯屋のウェイトレスが、可愛か
  ったんですか?」

 「レイは?」

 「エルスマン隊長は尊敬すべき上官ですが、こ
  の件に関してはノーコメントです」

 「ルナは?」

 「ありえないと思います」

 「ステラは?」

 「難しそう」

 「シホはどう思う?」

 「デートの相手だと思われた、カオシュンの女
  性が可愛そうです」

 「コーウェルは?」

 「ディアッカ、そこまで追い詰められていたの
  か。俺だって、彼女はいないんだぞ。元気出
  せよ」

 「ディアッカ、こう信じて貰えないと、俺も信
  じてやれないよ。実際のところ、世の中って
  こんなものだと思うだろう?」

 「本当に!デートしたんですよ!誰か、信じて
  くれーーー!」

俺の叫び声は、「ミネルバ」艦内に響き渡ったの
であった。 


 


        あとがき


三時間で急いで書いた外伝っぽい作品です。
本当は香港を舞台にしようかと思ったけど、無理
だと思ったんで。
次こそ、中国編です。

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