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▽レス始

「終わった世界のその後に 六話(GS+Fate)」

シヴァやん (2006-05-14 12:01)
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 no side in ?????

 薄暗い部屋の中。二人の人物が対峙していた。

「そう。あなたのマスターは見つかったのね?」

 一方が言う。明らかな女の声で、若干嬉しそうな声で、若干寂しそうな声で。

 その容姿の詳しい事は事情が有って言えないが、きつめな顔立ちの美女である。

「ん。でも完全復活には程遠いみたい」

 もう一方が言った。こちらも女性、と言うよりは少女の声で、嬉しそうに、楽しそうに。

 その容姿は奇妙であった。と言うより、酷く纏まりがない物だった。

 背中まで伸びた、生え際が黒く、先に行くにつれて銀になる髪。右が碧眼、左が灼眼の眼。

 そして、何故か頭の上から生えているおそらくは犬の耳。

 更にその体には手枷から伸びた鎖が幾重にも巻きつき、真っ青なカソックを緊縛していた。

 纏まりが無いどころではないかもしれない。

「それで?どこに現臨したかは判る?下手なところにいられても困るから、迎えでも行かせたいんだけど」

「場所は日本、近頃話題に上っていた聖杯戦争の地、冬木市ってとこ」

 その言葉に、影の一方が止まった。

「聖杯戦争………と言う事は、その人はサーヴァントになってるの?」

「たぶん」

 一方の問いにもう一方が答える。

「最悪ね。あなた達から聞いた能力を持つサーヴァントがもし馬鹿な魔術師にでも渡れば、とんでもない事になるわよ」

 最初の方が頭を抱えてそう言った。そのままちらりと相手を見て、

(そうなったら何より彼女達五人の対応が心配ね。暴走しなければいいけど)

 米神を流れる汗を感じつつ、心中呟く女性。

 まあこの反応もわからなくもない。もしそんな事になれば、魔術社会の頂点付近がこぞって狩り出そうとするからだ。

(えっと、炎帝、幻炎の姫、穿鱗竜、猫爪削、千里眼の五人は当たり前として、私達、宝石、蜘蛛、黒姫の一派、魔法銃士。まったく。世界征服も容易いわね)

 自分の想像に少し震えた。

「それはないよ。前回で自分の危険性は十分すぎるほど理解してるもん。もし危険だと思うなら、令呪の縛りなんて無視して殺すか、そうじゃなきゃ自分でけりをつけるよ」

 それを聞いて緊張を幾許か解いた。

「なら少しは安心してもいいかな?」

「そうでもないよ。問題なのはお兄ちゃんのクラスがなんなのか、だよ」

「?どういうこと?」

 首を傾げる女。それに答えて少女が言う。

「クラスが負の属性の物、有体に言っちゃえば狂戦士、復讐騎、殲滅騎、反逆者、殺人狂、あとは破壊者なんかかな?この何れかのクラスだと、下手をすると力が破壊の方向に向けられることになる」

「なっんですって?」

 女が絶句する。脳裏に浮かぶのはかつて見せられた幻像。ただの一撃で大都市を焦土と化した男の虚像。

「でもまだ大丈夫だよ。封印されてるみたいだし」

 その少女の言葉に僅かに安堵する。

「それでも危険に変わりはないでしょう?」

「まあね。でもまあたぶん大丈夫だと思う。いざとなれば仲間全員集合でたこ殴りになると思うし」

 犬耳をピコピコ振りながら少女が言った。

 女は前に聞いた少女の知り合いを思い出して、また内心冷や汗を出した。まあ、魔術社会の住人では当然な反応ではあるが。

「まあ何はともあれ、調査はしなくちゃいけないでしょ?」

「ええ。それで、誰を向かわせようかしら………」

「?向こうにいる監督官は?」

 不思議そうに少女が聞いた。

「信用できない。協会にも属しているような蝙蝠だし。でもあと適任と言える者が………。そう言えば君たちのうちの誰かでは駄目?」

「行きたいのは山々なんだけどね。今回私達は動かないよ。意志からそう言付かっているし、今出て行けばお兄ちゃんの邪魔になるから」

「そう。残念ね」

 心底残念そうにしつつ更に悩み、

「仕方ないわね。『王冠』に任せるか」

 そう言った。

「戦力的には妥当ってところかな。でも性格が………」

「仕方ないでしょう?他は出払ってるのだから。というわけで」

 そこで唐突に女の雰囲気が変わった。今までの緩んだ状態から、剥き出しの刀身のような気配に変化する。

「盗み聞きしている事はわかっている。と言うわけだ『王冠』」

 虚空に向かってそう言う。数秒の時間差のあと、

「あ、やっぱりばれてた?」

「ばれてないとでも思っていたのか?」

 頭を掻きつつ柱の影というベタなとこから出てきた少年に向かい、冷たい目を向けつつ、

「貴様の行動くらい読みきれる。さっさと行け。命令だ」

「まったく。いくら後継者だと言っても、素顔を知ってる相手にまでそうしなくてもいいだろうに」

「公私混同はしない主義だ。と言うわけでさっさと行け」

「はいはい。まったく人使いの荒い」

 ぶつぶつ文句を言いつつ

「機関第五位『王冠』。第一位よりの命令、受け取った」

 崩れた敬礼を返したのだった。


 side SABER

 「何でこんなへっぽこにセイバーが」
                                  セイバー
 私の前でバーサーカーのマスターが嘆いていた。どうやら私を喚び出したかったらしいが、それが適わず尚且つ魔術師としては半人前らしいマスターが私を喚び出したので、何やら思う所があるのだろう。

 そのあと聖杯戦争についての講義を行っている二人を横目に、楽しそうに二人を見ているバーサーカーを見やる。

 バーサーカー。聖杯戦争中最強と呼ばれるクラスだが、本来はそれほど強力ではない英霊の理性を奪い狂わせ能力を上げるという性質上、その扱いの難しさから最凶とも呼ばれる。

 しかし目の前にいる存在はその常識をあっさりと無視していた。理性が残っているのはいい。能力より制御を選んだ結果なのだから。

 だが、彼は私の剣を避けたのだ。風王結界で不可視のはずの、更に言うならセイバーである私の剣を。たとえ全力で無かったとしても。

 確かに当たりはした。しかしおそらくはそれも欺瞞だ。あの瞬間、彼はわずかに腕を動かし、斬られる所を調節して戦闘に支障が無いようにしていた。つまり初見で私の剣の長さまで察知し見切ったと言う事である。尋常でないどころの察知能力ではない。一体どれほどの能力と経験があればそんな事が可能なのか。これで半端な英霊のわけが無い。

「さて、行くわよ、衛宮君」

 そうして物思いにふけっていると、バーサーカーのマスターがそう言った。

 はて?話を聞いていなかったから繋がりがわからない。

「セイバー。今から現状の説明のために、この戦争の監督者のところに向かうっていう話になったんだ」

 マスターがそう説明してくる。いけないいけない。しっかりしなくては。

「そうですか。では参りましょう」

 立ち上がり、先に部屋を出ていたバーサーカーとそのマスターを追う。そして玄関で追いついた途端、

「ちょっと待て。まさかその格好で行くつもりなのか?」

 バーサーカーがそんな馬鹿馬鹿しい事を聞いて来る。

「当たり前でしょう。私はあなたと同じサーヴァントだ。そして今は聖杯戦争中なのだから、常に警戒しておく必要がある。こんな事は言わなくてもわかるでしょう」

 至極正論を言ったはずなのだが、そこにいた一同に溜息を吐かれた。?

「セイバー。いくらなんでもその格好はまずい。頼むから着替えてくれないか?それか最低限でも鎧は外して欲しい」

「む。いえマスター。そう言うわけにはいかない。敵がどこに潜んでいるのかわからないのだから」

「いやセイバー。その格好だと目立ちすぎるわ。せめて上に何か羽織りなさい」

「む」

 バーサーカーのマスター、つまりは正規の魔術師にまでそう言われて仕方なくその言葉に従う事にした。

「そう言えば、どこに行くんだ?」

 マスターがそう質問すると、

「言ってなかったっけ?教会よ」

 バーサーカーのマスターはそう言った。


 side YOKOSIMA

「そう言えば、バーサーカーは霊体化はしないのですか?」

 教会とやらに向かう途中、セイバーがそう言ってきた。

 ちなみに格好は俺が貸した大型のコートだ。男物だが、衛宮が出してきた雨合羽と比べれば格段にいいだろう。現にセイバーが、極限まで悩んだすえ、最終的には敵(俺)が差し出した物を受け取ったのだから。ちなみに色はやっぱり黒。

「霊体化?」

 首を傾げる。

 はて?そんな情報あったかな?

「?まさか知らないのですか?」

「ああ」

 セイバーが目の前で絶句していた。ぬぅ。そんなにおかしい事なのか?

「ちょっとセイバー。霊体化ってどういうことよ?」

「言葉の通りです、バーサーカーのマスター。サーヴァントは本来霊体化することにより、一般人の目から姿を隠し、更に現界する魔力を抑える事ができるはずなのですが…………」

「なにそれ?初耳よ?」

 こっちをじろりと睨んで来る。そんな事を言われても覚えが無いんだが。

「仕方ないだろ。その情報が無いんだから。まあ、わかってもやり方が解らないし俺に関しては必要ないからいいだろう」

 「透気」があるし、格好も現代風だから目立たない。

「そう言えばセイバーも霊体化してないな」

 衛宮がそう言う。

「それは、召喚が不完全だったからではないかと」

「つまり衛宮君がへっぽこなのが悪いのね」
                                     未熟者
 弁明するセイバーに間髪入れずに凛ちゃんが返す。どうやら衛宮士郎にセイバーをとられたのがまだ尾を引いてるらしい。ちなみに人の事を笑えないということを、完全に棚上げしてるらしい。

 まあいいけど。そこでふと思いつく。

「そう言えばセイバー。さっきから衛宮の呼び方がマスターで固定されてるけど、名前で呼ばないのか?」

「む?」

 少し不機嫌そうだったセイバーがこちらを見てくる。

「そう言えばそうだな。すっかりなじんでて忘れてたけど」

 衛宮も不思議そうにセイバーを見た。

「そうですね。では今更ですがシロウと。ああ、この響きは好ましい」

 笑顔でそう言うセイバー。本当に今更だけどな。

「それなら私も凛でいいわよ。さっきまでの呼び方だと役職で呼ばれてるみたいで落ち着かないし」

「解りました。リン」

 それに凛ちゃんが便乗する形で自分の呼び方も改めさせた。

 と、そんな事をしながら四人で歩き続け、ようやく目的の教会に到着した。

 中に入ろうとするマスター二人に向かい、

「俺はここに残るよ。わざわざ監視者とやらに姿を見せてやる義理は無いし」

「同感ですね。私も残ります。警戒はしておきますから外からの襲撃は安心しておいてください。しかし、中からの襲撃は若干反応が遅れるかもしれませんから、気を抜く事が無いように」

 二人揃ってそう言う。

「わかったわ。それじゃあ行きましょうか、衛宮君」

 そう言って二人は今度こそ教会に入っていった。

 そして俺達二人が残されたのだが、

「………………………」

「………………………」

 沈黙がスゲー気まずかった。

 まあ、警戒されるのも当然かとも思うけど、そんなあからさまに睨まなくても。

 そのまま二人とも無言で過ごし、その沈黙はマスター二人が帰ってくるまで続いた。


 教会から出た後、しばらく四人で歩き、

「悪いけど、ここからは二人で帰って。この後ちょっとこのあたりまわってみようと思うから」

 凛ちゃんが分かれ道でそう言った。

 ちなみにここに来るまでに、衛宮が俺達と戦う気は無いとか言って混乱したりしたが、大した事ではないので割愛。

「この辺りをって………あ、マスターを探すのか?」

「そうよ。察しがいいじゃない。だからここでお別れよ。明日からは敵なんだから、いつまでも一緒にいたらまずいでしょ?」

 いや凛ちゃん。一々確認とらなくてもいいだろうに。やっぱりどこか甘いんだよな。

「遠坂、お前っていい奴なんだな」

 まあ確かに。というか敵にかける言葉じゃないだろう。まだ日常との切り替えが上手く言ってないのか?

「は?何言ってんのよ。おだてたって手加減なんかしないわよ」

「知ってる、でもお前たちとは戦いたくない。俺お前みたいな奴は好きだ」

「な――!」

 おお。真っ赤になって絶句してる。と言うか衛宮よ。

「いきなり、しかもこのシチュエーションで告白か?」

 とりあえず聞いてみる。まあ可能性は低いだろうけど。

「「な!?」」

 二人揃って絶句した。真っ赤になっている二人を眺め、追い討ちをかけようかどうか悩んでいると、

「お話は終わったかしら?」

 唐突に坂の上から声がかかった。

「ん?」

 話を中断して全員で一斉に声の方を向いて、相手を確認した。

 そして一同揃って絶句した。

「こんばんわ、お兄ちゃん。これで二回目だね♪」

 そう言って無邪気に微笑む白い少女がいた。

 年の頃は十四か五くらいだろうか?可憐、と言うには些か活発な印象を受けるが、文句なしの美少女だ。

 しかし問題はそこではない。

 その少女の後ろに無言で佇む影。

 長柄の得物を肩に担ぎ、威風堂々、と言うには些か控えめにに立ち尽くすその姿。

 純白の、ほぼ全身を包む衣によってその容姿はわかりづらいが、その格好はある職業を思わせる。

 まあ何が言いたいかと言うと、ぶっちゃけハルバード構えたメイドさんが立っていた。

 うわ、シュールだ。

「なんでさ」

 横から聞こえた衛宮の声に重いっきり同意した。


 <後書きですたぶん>
どもです。
学校のレポート作成とかの都合上、こんなに遅くなってしまいました。
いえまあ、デュエルセイバーにハマったと言うのも要因の一つですが。

で、ようやくイリア登場です。長かった。
今回もまた短いですけど、これ以上待たせるのも如何なものかと思い、投稿します。
待っている方がいるかどうかは別にして。


 ではレス返しをば

○orbさま
おお、お仲間発見!
やっぱりそうですよね。

○翁さま
まあ横島ですし、次のコマではなぜか治ってるんでしょうね。

○Oguraさま
ご指摘ありがとうございます。
技名長すぎですか。
すみません。長さに関してはまったくの考慮外でした。
これからはそこらへんのことも考えに入れて書いていきたいと思います

次も遅くなりそうですけどがんばります
ではでは

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