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▽レス始

「これが私の生きる道!運命編3ユニウスセブン落下阻止編 (ガンダムSEED)」

ヨシ (2006-05-14 10:31/2006-05-15 19:18)
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(十一月二十六日午前一時、新国際連合本部ビル
 内)

十一月二十五日は後日、歴史に残る事が確定して
いるほど、忙しくて最悪な日であった。
観艦式に対する核攻撃によって多くの戦力と人員
を失い、その後のユーラシア連合軍艦隊と東アジ
ア共和国軍艦隊の奇襲によって、更に、その傷は
広がっていた。
地球ではユーラシア連合でクーデターが起こり、
フランス系とロシア系の軍人主導による、一種の
軍事独裁政権が誕生してしまい、それと同時にス
エズ運河駐留のユーラシア連合軍部隊がイスラム
連合駐留軍を奇襲してスエズ運河の完全な占拠に
成功していた。
アジア方面では、東アジア共和国の政府首脳が爆
殺され、その長かった歴史に終止符を打ち、各地
方の軍司令官が「自分こそ中国の正当な統治者だ
」と宣言して完全な内戦状態に陥っている。
朝鮮半島も北部から突如現れた金日併将軍が半島
の80%の占領に成功して「大朝鮮民国」の建国
を宣言、半島南端で最後の抵抗を続けている統一
朝鮮国臨時政府と睨みあいを続けていた。

 「そして、(ユニウスセブン)の落下テロか。
  一見、全ての首謀者は別の勢力に見えるのだ
  が、その裏で糸を引いているのが・・・」

 「エミリア・アズラエルですか。困ったお方だ
  」

アルスター外務長官は全てのリスクを計算して、
この危険な女の正体を外国の政府関係者に公開す
る事を決定した。
下手に隠し立てしても、いずれはバレるし、その
時に大西洋連邦がグル扱いされても困るからだ。
「公開した方が、損害が少ないです」とコープマ
ン大統領を説得して現時点での公開に踏み切った
のである。

 「だが、所詮は一新興財閥の当主だろう?それ
  なりの資金を持って逃げたとは言え・・・」

あまり深刻に考えていない赤道連合の大使に向か
って詳しい説明を開始する。

 「アズラエル財団は先の大戦でモビルスーツ開
  発を積極的に進めていたので、その技術力に
  は定評があります。そして、その中でも天才
  的とまで言われたこの男もエミリアに同行し
  ているらしいのです」

アルスター外務長官が一枚の写真を正面の画面に
転写する。

 「若造ではないか」

そこには、二十歳を少し過ぎた程度の若い男性の
写真が映っていた。

 「彼の名前はハウン・メイ。十八歳までに三つ
  の大学院を卒業して学位を取得した天才です
  。実は、彼はハーフコーディネーターで、今
  まで表には出ていませんでしたが、モビルス
  ーツを始めとする各種兵器の開発と強化兵士
  の開発に尽力していた男です。当然、今回の
  テロで使用されたモビルスーツとMAは彼の
  作品だと思われます」

 「その割には、お粗末な作品ではないか」

 「いえ、元々自爆が目的のモビルスーツとMA
  だったのですから、あれで十分と考えている
  節があります。彼は、恐ろしいほど冷静で、
  効率的に物事を進める男の様です」

アルスター外務長官の言葉で全員が静かになって
しまう。

 「そして、問題なのは。彼が兵器の量産化に必
  要な、品質管理工学にも優れているという事
  です。彼がもし、ユーラシア連合の連中と結
  び付けばどうなるか。答えは簡単ですな」

 「それは、こちらも新型機で対応するしかあり
  ませんな」

 「そうですね。まずは、宇宙や地球各地で暗躍
  している連中を倒して、ユーラシア連合軍を
  国内に閉じ込めてから、同時に調べたエミリ
  ア達の本拠地を落とす。これしかありません
  な」

アルスター外務長官の懸念にデュランダル外交委
員長と重光大使が対抗策を語り、議場の雰囲気は
良くなってくる。

 「一つ、よろしいでしょうか?」

 「何でしょうか?」

大洋州連合の大使が質問をしてくる。

 「エミリアが大量の資金を持っている事は理解
  出来ましたが、世界中でこれだけの事を起こ
  す為には、足りないような気がしますが」

 「ご指摘、最もです。次はこの写真を見て下さ
  い」 

アルスター外務長官が新しい写真をスクリーンに
映し出した。
その写真の中の男は小柄で体つきも貧相であった

 「彼の名前はアキラ・クロカワ。エミリアを財
  政面から支えている男です」

 「日本人ですか」

 「正確には、大西洋連邦在住の日系人ですな」

 「つまり、彼が資金の運用をして増やしていた
  と?」

 「そうです。この二年間、世界中の株式相場は
  上昇を続けました。彼がそれに資金を投資し
  て転売を続けていれば、大きな利益を上げて
  いるはずです」

 「確かに、そうですな。元種が大きければ大き
  いほど、大きな利益が上がっているはずだ」

 「そして、これから大変な事になります」

 「大変な事?」

 「ユーラシア連合のクーデターで数名のロゴス
  の方々が捕らえられてしまいました。間一髪
  で難を逃れた方々もいらっしゃいますが、ユ
  ーラシア連合国内に置いてきた資産は絶望的
  です。間違い無く没収されているでしょう。
  そして、それらの資産と自分達の資産を利用
  すれば、今日の朝からの株式相場の急落で、
  どれほどの逆ザヤを稼げるか・・・」

アルスター外務長官の言葉で全員が絶句してしま
う。
今回の事件は軍の被害だけには止まらない事を理
解したからだ。
まず、宇宙は完全な混乱状態に陥っていて、(地
球〜宇宙間)、(宇宙〜地球間)の輸送はほとん
どがストップするだろうし、これから輸送を開始
する条件としてそれなりの護衛を付けないと、
船舶保険の保険料が大きく上がってしまうだろう

その為、各国は戦力を細かく分けて輸送船や各重
要拠点の防衛に当たる事になり、その臨時予算は
縮小傾向であった軍事費の押上げをする事になる

当然、その皺寄せは他の予算に行く事になり、福
祉関連や教育関連の予算が削られれば、せっかく
収まってきた社会不安を再び増大させるだろう。
そして、この宇宙発の株式相場の暴落は多数の企
業の倒産や規模縮小を誘発する危険を秘めており
、景気の悪化と失業者増大は更なる社会不安を起
こす要因ともなりかねなかった。
人は、自分が貧しいと夢のような暴言に耳を貸す
ものなのだから。
「衣食足りて礼節足る」古代中国の政治家の言葉
である。

 「エミリアは、全て計算ずくと言う事ですか・
  ・・」

 「でしょうな」

 「捕まっているという、ロゴスの幹部もグルで
  はないのか?だとしたら、名前を公表して罪
  に問え!」

 「そうだ!」

 「その通りだ!」

赤道連合、イスラム連合、アフリカ共同体の大使
から非難の声が上がり始めた。

 「皆さん、落ち着いて下さい」

 「やはり、大西洋連邦もグルなのか?」

 「世界一の大国だからと言って、何をしても許
  されるというものでは無いんだぞ!」

 「まあまあ、落ち着いて下さいよ」

旧非プラント理事国からの突き上げにを重光大使
が温和に止める。

 「私の意見を聞いて下さい。ユーラシア連合に
  本拠を置くロゴスの方々は世界各地にグロー
  バル企業を展開しており、その懐は潤ってい
  ます。そんな方々が、無理をしてエミリア達
  に手を貸すとは思えないのですが」

 「確かに、重光大使の言う通りだな・・・」

 「今回の騒ぎで、彼らが一番大きな損害を受け
  るのですよ。ユーラシア連合国内の財産は没
  収され、海外の企業も指導者無しで、この非
  常事態を乗り越えなければいけない。もし、
  失敗して倒産したり、他の企業に吸収された
  ら、彼らは大損なんですから」

 「それを聞くと、可哀想になってきたな」

 「ユーラシア連合のクーデター政権は軍事政権
  ですので、市民の受けは悪いと思われます。
  そこで、民衆を搾取して大金を稼ぐ悪辣なグ
  ローバル企業の存在を糾弾して、その財産を
  没収すると宣言すれば・・・」 

 「貧民層は大喜びしそうだな」

 「逃げ切れなかった連中は大損だな」

 「だが、ユーラシア連合の没落を座視してきた
  責任はあるだろう?」

 「確かに、それは無いとは言えないが、彼らは
  本来、財界人であって、政治家では無いのだ
  から仕方があるまい。確かに、大きな影響力
  はあるが・・・」

各国の大使達とのやり取りを続けている内に、ユ
ーラシア連合の細かな事情が見えて来た。
先の大戦の責任をブルーコスモス強行派と軍部に
、それも、フランス系とロシア系の将校に押し付
けて我が世の春を謳歌していたドイツ系とその他
の政治家と将校達がエミリアに唆された彼らの逆
襲を喰らったと言うのが、真相である様だ。
そして、それは二年の月日をかけて、慎重に進め
られた上に、世界を混乱させる為には手段を選ば
ずに、元ザラ派の強行派の連中とも取引をしてい
た事が、事態の全容解明を遅らせていたようでも
あった。

 「デュランダル外交委員長。最新の報告では、
  (ユニウスセブン)の落下を企んでいるテロ
  リスト達は(ジン)を使用していると言う事
  だが」

 「それは、事実です。多分、元ザラ派に属する
  、強行派の仕業だと思われます」

 「冷静なのは結構だが、落下は防げるのかね? 
  あんな大きい物が落ちて来たら、我々は全滅
  してしまうのだが・・・」

 「今は報道規制を敷いているから、大きな混乱
  は起こっていないが、もし、落下阻止が不可
  能なら、避難勧告を出さなければいけないの
  だが・・・」

 「大丈夫です!必ず阻止します。現状で派遣可
  能な戦力を全部、回していますから」

 「デュランダル外交委員長が、そこまで、仰る
  なら」

 「ですな」

デュランダル外交委員長が自信満々に発言したの
で、大使達は追求を止めてしまう。
責任ある地位に就いている、デュランダル外交委
員長が必ず成功させると断言したのだ。
失敗すれば、確実に失職するので、普通は100
%の自信が無ければ断言しないだろうと思われた
からだ。
実際は、デュランダル外交委員長のハッタリであ
ったし、もし、(ユニウスセブン)が落下すれば
100%自分はクビになるだろうと確信しての発
言だったのだが・・・。 

 「明日は一番で、ロゴスの方々の協力を仰いで
  、株の買い支えをして相場の急落を防がねば
  な」

 「一機の超兵器を持つモビルスーツよりも、株
  価平均が1アースダラー下落した方が、我々
  には驚異だ」

 「それは、言えてますな」

 「とにかく、少しでもエミリア達に渡る資金を
  減少させなければ」

 「軍部にも要請して、各地の警備の強化と輸送
  船・旅客シャトルの安全の確保を厳守させな
  いと」

 「安定した社会の継続こそ平和への第一歩か」

 「とにかく、不穏分子には厳しい処置を!状況
  が厳しい所には、特殊対応部隊を派遣します
  ので」  

 「それは、ありがたいですな」

 「ユーラシア連合軍艦隊と東アジア共和国軍艦
  隊の掃討には、大戦果を上げたそうで」

 「ええ、初のお披露目の場が実戦と言うのが、
  予想外でしたが」

 「とにかく、情報を集めておかなければ」

各国の代表達は一睡もしないで、事態の対応に追
われていた。
軍人の様に命のやり取りはしないが、彼らも世界
政治の舞台という戦場に立つ、一人の兵士である
事に変わりは無かった。


(同時刻、ジュール隊視点)

戦闘は始まって暫らくの時が流れたが、ジュール
隊は苦戦していた。
「ボルテール」と「ルソー」の全モビルスーツと
自分の「スラッシュザクファントム」の合計二五
機のモビルスーツで例の「ジンハイマニューバ
型」の部隊を押さえていたのだが、向こうはベテ
ランばかりで数も少し多く、作戦を時間稼ぎに変
更して、部下に生き残る様に命令を出していたの
だが、既に、半数近くがやられているようであっ
た。

 「ヒヨっ子が!喰らえ!」

 「うわーーー!隊長ぉーーー!」

「ジンハイマニューバ況拭廚離汽爛薀ぅ宗璽匹
また一機の「ゲイツR」が切り裂かれた。

 「ちっ!損害は何機だ?」

 「これで、ちょうど半数です」

近くにいた、部下の報告に唖然としてしまった。
せっかく、アカデミーやパイロット養成学校を卒
業した若者が十名以上も殺されてしまったのだ。
しかも、原因は自分の判断ミスと指揮官としての
至らなさだ。
イザークはその事実に足元が崩壊しそうだった。

 「ヨシさんはこんな思いをしながら俺達を・・
  ・」

確かに、先の大戦でも部下を率いて戦っていたの
だが、その隣りには年上で頼りになる教官殿がい
て、自分達を統率してくれていたので、そんな事
を思う事も無かった。
硫黄島、オノゴロ島、最終決戦と半分近くの部下
や仲間が帰って来なかった事を経験した時には、
自分達の上には彼がいて、その悲しい現実と指揮
官としての責任を背負って貰っていたのだ。
だが、今、ジュール隊の部下達が半数になった事
実と責任は自分一人で背負わなければならない。
彼らは若く結婚している者はいないが、恋人や家
族がいてその死を悲しむだろうし、今は戦時では
無いので、納得もし難いだろう。
そう、全ての責任は自分にあるのだ・・・。

 「俺がジュール隊の指揮官だ!俺を倒しに来い
  !」

イザークが大声で名乗りを上げると、「ジンハイ
マニューバ況拭彗發旅況發、彼に集中し始める

 「そうだ!俺を倒してみやがれ!」

イザークは「スラッシュザクファントム」が装備
している巨大なビームアックスを両手で構えてか
ら、一機の「ジンハイマニューバ況拭廚妨かっ
て振り下ろす。

 「うわーーー!」

イザークは一機の「ジンハイマニューバ況拭廚
真ん中から二つに切り裂いた後、型のビームガト
リング砲で蜂の巣にする。

 「手強いぞ!」

 「ジュール隊隊長の、イザーク・ジュールらし
  い」

 「パトリック・ザラと共に裏切ったエザリア・
  ジュールの息子だ!見せしめだ!惨たらしく
  殺してやれ!」

今まで、ヒヨっ子の「ゲイツR」を追っていた十
数機の「ジンハイマニューバ況拭廚良隊がイザ
ークの「スラッシュザクファントム」に殺到して
きた。

 「「「隊長!」」」

 「お前達は、自分の事だけ考えていろ!」

イザークは迫ってくる敵に対して驚異的な技量で
対応していくが、向こうも実戦経験を積んだベテ
ランなので、次第に追い込まれて行く。

 「これで、終わりだーーー!」

 「しまった!」

イザークの「スラッシュザクファントム」のビー
ムガトリング砲が、サムライソードで斬り飛ばさ
れて使用不能になり、更に、懐に入り込まれて、
ビームアックスが展開出来なくなってしまう。

 「懐に潜り込めれば!」

サムライソードが「スラッシュザクファントム」
の装甲に叩き付けられ、フェイズシフト装甲が嫌
な音を立てて火花を散らす、もし、ビームサーベ
ルだったら、自分は戦死していただろう。
「スラッシュザクファントム」のエネルギー残量
が恐ろしい勢いで減っていき、このままではフェ
イズシフトダウンを起こして、サムライソードで
切り刻まれてしまう。

 「「「ジュール隊長!」」」

 「お前達では無理だ!俺が戦死したら、アイマ
  ン隊長やヴェステンフルス隊長の指示に従っ
  て動くんだ!」

自分の援護をしようとした部下を制してから、イ
ザークは最後になるであろう指示を出した。
「スラッシュザクファントム」の回りには数機の
「ジンハイマニューバ況拭廚取り囲んでいて、
逃げようとしても執拗に迫ってから、サムライソ
ードでの攻撃を繰り返していた。
現状でビームアックスが抜けずに、ビームガトリ
ング砲も破壊された自分では、もう、どうにもな
らないのだ。

 「フレイ、すまん・・・。生きて帰れない・・
  ・」

 「おい!勝手に部下に対する責任を放棄して死
  ぬんじゃねえよ!」

イザークが死を覚悟した瞬間、無線に聞き慣れた
声が入ってきた。

 「ヴェステンフルス隊長!」

 「俺もいるんだよ!」

 「アイマン隊長も!どうして?」

 「どうもこうも、予定時刻より数分早く到着し
  たんだ。褒めてくれよ」

 「そうそう、ミゲルとはついさっきそこで会っ
  てね。ついでだから、一緒にってことで」

歴戦の勇士二人は、これから遊びに出掛けるよう
な口調で援軍に駆けつけた。

 「イザーク、動くなよ」

突然、遠距離からガナー装備の「ザクウォーリア
」がオルトロスを発射してイザークを囲んでいた
「ジンハイマニューバ況拭廚鮟鎧兇蕕靴討靴泙

 「助かりました」

 「イザークは部下を纏めて一旦引き揚げてから
  、整備と補給を済ませろ。俺達は、攻撃続行
  だ!行くぜ!野郎共!」

 「おー!」

ハイネとミゲルはオレンジ色の「グフイグナイテ
ッド」に搭乗していて、部下達は「センプウ改」
や優先的に配備されていた「ザクウォーリア」に
搭乗していた。
先の最終決戦時から、二人が育ててきた兵士達は
既に一流のパイロットに成長していて、性能的に
劣る「ジンハイマニューバ況拭廚藁場を変えて
、次々に落とされていった。

 「これが、開戦時からのベテランの実力か・・
  ・」

自分達は訓練期間が短いとは言え、最優秀で赤服
を着て卒業した、真のエリートだったはずだ。
そんな自分が全く勝てない相手、いや、モビルス
ーツで一対一で戦えば互角に近いのだろうが、部
下を教育したり、統率して指揮を執る部分では全
く歯が立たない事に、イザークは驚きを隠せない
でいた。

 「イザーク、早く補給に戻れよ。次があるんだ
  から」

 「わかりました」

部下を引き連れて一旦「ボルテール」と「ルソー
」に戻ろうとしたイザークであったが、一つ疑問
が湧いてくる。 

 「ヴェステンフルス隊長!」

 「何だ?」

 「あの・・・。どちらの(グフ)がヴェステン
  フルス隊長の機体なんですか?」

 「わからないのか?」

 「自分にはアイマン隊長の(グフ)と全く同じ
  色に見えます」

「黄昏の魔弾」と「オレンジハイネ」二人の「グ
フイグナイテッド」の色は全く同じオレンジに見
える。

 「良いか良く聞け!これはハートの問題なんだ
  。イザークが俺だと思ってその(グフ)を見
  れば、その瞬間から俺の色の(グフ)になり
  、ミゲルだと思って見れば、その瞬間からミ
  ゲルの色の(グフ)になる。そういう事だ。
  ドゥーユーアンダースタンド?」 

 「はあ、何となく・・・」

 「では、補給に戻れ」

 「了解です」

イザークは部下を引き連れて補給に戻ったが、ハ
イネの言ってる事は良く理解出来なかった。


 「どうだ?」

 「あらかた片付けたぜ」

「ジンハイマニューバ況拭廚良隊はほぼ全滅し
た。
確かに、腕は良かったが、それは、ハイネとミゲ
ルの隊も同様だったので、モビルスーツの性能が
モノを言ったからであった。
「ザクウォーリア」と「センプウ改」に圧倒され
た「ジンハイマニューバ況拭廚良隊は二隊合同
で来た事もあり、数でも圧倒されて全滅寸前であ
った。 

 「それで、次はどうするんだ?」

 「フレアモーターを破壊してから、メテオブレ
  ーカーでバラバラにする」

ミゲルの疑問にハイネが答える。

 「落下を阻止出来てもか?」

 「二度とこう言う事が起こらない様に、完全に
  バラバラにするそうだ」

 「そうか、辛い決断だな」

 「確かに辛いが、これから、このデブリが落下
  テロに使われない様に監視する、俺達の方が
  よっぽど辛いぜ」

確かに、地球を回っている大量のデブリを監視す
るのは骨になりそうだ。
早く、全てを回収して貰いたい所だが、それは、
物理的に不可能だと思われる。

 「さあて、フレアモーターを破壊して、次はラ
  コーニ隊とコバヤシ隊が持ってくるメテオブ
  レーカーを待つとしよう」

 「ハイネ!大変だぞ!」

突然、部下のパイロットから報告が入ってきた。
彼は自分の隊長から、「俺をハイネと呼べ!」と
言われているので、そのままハイネと呼んでいた

 「どうした?」

 「敵の第二派だ!(シグーディープアームズ)
  (ゲイツ)(センプウ)(ストライクダガー
  )(デュエルダガー)(レイダー)(カラミ
  ティー)(フォビドゥン)その他にもキメラ
  の様なモビルスーツも見える。そして、最悪
  な事に通常動力ではあるが、(フリーダム)
  がいる・・・」

 「んな!バカな!」

 「更に後方にナスカ級戦艦三隻とローラシア級
  巡洋艦五隻を確認!」

 「へっ!総力戦か」

 「(ソクラテス)に連絡、艦隊戦を行う。艦を
  (ユニウスセブン)に接近させろ!」

 「(ルター)に連絡、同じく艦隊戦を開始、敵
  を殲滅せよ!」

ミゲルとハイネが後方に下げていた旗艦に連絡し
て、敵艦隊との艦隊決戦を行う様に命令を下した

 「もう一つ、忘れていた。(ボルテール)にも
  連絡を入れろ!全艦隊で敵を殲滅する。尚、
  これはラコーニ隊とコバヤシ隊が行う(ユニ
  ウスセブン)破砕作業の援護と平行して行う
  !総員、奮戦せよ!」

ハイネの命令で敵武装戦力との総力戦が決定され
て、事態は急展開を迎えつつあった。


(数時間後、「ミネルバ」艦内)

 「♪さあ、行くよ〜最速力でうなりを上げて。
  正義の味方の(ミネルバ)が〜。宇宙も地上
  もお空も海も行けない所は無いんだぜ〜♪」

 「(ミネルバ)はプラントが極秘裏に建造した
  正義を守る為の、最終決戦秘密兵器である。
  その搭載されたモビルスーツ群は様々な戦場
  を想定して、開発された最新鋭機種ばかりで
  、それを操る正義の心を持つ少年・少女達が
  世界の明日を守る為に、戦うのだ!(ナレー
  ションは次元の人)」

 「・・・・・・」

 「・・・・・・」

 「・・・・・・」

 「みんな、どうしたの?」

 「ヨシさん、大丈夫ですか?」

 「医務室に行きますか?」

 「大丈夫かい?カザマ君」

 「ヨシヒロ、上手い」

俺達はL4宙域から最高速度で「ユニウスセブン
」に向かっていた。
当然、あんな大きい物が地球に落下すれば、大変
な事になるし、「はりま」「すおう」「アマテラ
ス」の面々は祖国滅亡の危機に立たされているの
で、普段は明るい連中でも、その表情を暗くして
いる。
そんなわけで、俺が即興で歌を作って気分を和ら
げようとしていたのだが、褒めてくれたのはステ
ラだけで、ディアッカ、ルナマリア、アーサーさ
んは、俺を心の病を持つ病人扱いしていた。 

 「俺は、気分を和ませようと」

 「だったら、レイにでも作曲させて下さいよ」

 「プロに頼むと高く付くからな」

 「・・・・・・・・・」

俺の言葉におバカなシンが呆れていた。
という事は、俺はシンを上回るバカなのか?

 「落下阻止限界点まで、後一時間半か。どうに
  か、間に合いそうか?」

 「(ミネルバ)ではギリギリだね」

 「モビルスーツを先行させますよ。(ミネルバ
  )のお仕事は全搭載火器で(ユニウスセブン
  )を砕きまくる事ですから」

 「そうか、あまり、気が進まない任務だね」

アーサーさんの表情が暗くなっていき、他の連中
もそれに同調している様だ。

 「確かに、悲しい事だけど。死人の居場所を守
  る為に、更に、死人を増やしたら本末転倒で
  しょうが」

 「それも、そうだね・・・」

 「そうです!ヨシさんの言う通りです!」

いきなり、正面のスクリーンに映像が入って、ア
スランの声が聞こえてくる。

 「アスランか!」

 「そうか、お前のお母さんが・・・」

事情を良く知る、俺とディアッカが静かになって
しまう。

 「俺は、(ユニウスセブン)を砕く事に賛成で
  す。母上も地球を救う為になら、認めてくれ
  ると思いますから」

 「アスラン・・・。お前・・・」

 「さあ、早く行きましょう!」

 「そうだな。モビルスーツ隊全機発進だ!」


俺の指示で「ミネルバ」の全モビルスーツ隊が発
進し、「アマテラス」からも「はりま」と「すお
う」からも全モビルスーツ隊が発進する。 

 「メイリン、詳しい状況は入って来たか?」

 「はい!アイマン隊、ヴェステンフルス隊がラ
  コーニ隊とコバヤシ隊のモビルスーツが行っ
  ている(ユニウスセブン)の破砕作業を援護
  しながら、敵の艦隊と戦闘中です」

 「ハイネとミゲルは大丈夫なのか?」

 「ジュール隊の他に、デミレル隊とエリス隊も
  援護に入っているので、戦況は有利ですが、
  メテオブレーカーを打ち込む必要がある、最
  重要ポイントの抵抗が激しく、このままでは
  、(ユニウスセブン)がバラけ無いとの事で
  す」

 「おー!良く見えるわ」

俺達の前方に多数の戦闘の光が見え、「ユニウス
セブン」には多数のひび割れが見えていたが、最
後の一撃がまだ打ち込めない様で、その形を維持
したままであった。

 「俺達は最後の抵抗を排除して、ラコーニ隊と
  コバヤシ隊の作業を助けるぞ!アスラン達は
  どうする?」

 「俺達は敵の艦隊を落とします」

 「俺と相羽もそうするわ」

ザフト軍のモビルスーツ隊に紛れ込むと、同士討
ちの可能性もあるので、俺達は任務を分けてから
、目標に突撃を掛けた。 

 「一つ、言っておく。敵はテロリストだが、元
  はプロの連中だ。情けを掛けたり、投降を呼
  びかけるだけ無駄だ。絶対に止めを刺せ!情
  報が取れるかも知れないから、捕らえような
  んて考えるなよ。お前らに、そんな腕はまだ
  無いし、あっても、向こうは自爆するかも知
  れない。わかったな?」

 「「「「「了解です!」」」」」

 「では、一機残らず無慈悲に殺せ!」

俺の合図でシンの「フォースインパルス」とレイ
の「カオス」、ルナマリアの「アビス」、ステラ
の「ガイア」、ディアッカの「セイバー」が敵モ
ビルスーツ隊に攻撃を開始した。

 「喰らえ!」

シンはビームライフルを放つと、敵の「ゲイツ」
は余裕でその攻撃をかわしてしまった。  

 「えっ!何で?」

次にルナマリアも肩の三連装ビーム砲で攻撃を仕
掛けるが、「シグーディープアームズ」は、さら
りとかわしてしまう。

 「えー!どうして?」

レイも起動兵装ポッドを操作して「センプウ」の
攻撃を仕掛けるが、「センプウ」はビームの飛ん
でくる方向を察知して、回避運動を行っていた。

 「バカな・・・」

ステラも、ビームライフルを回避されてしまった
ので、「ガイア」をMA体型に変型させてから、
「ユニウスセブン」の大地を疾走して、ようやく
、一機の「ゲイツ」を背中のビームブレードで切
り裂く事に成功した。

 「やっと、一機か・・・」

 「わかったか?突然、戦闘を命令されて動揺し
  たユーラシア連合の連中とはわけが違うんだ
  。俺の教官をしていたようなベテランパイロ
  ットが多数、加わっているんだ。お前達が、
  (ゲイツR)に乗ってたら、俺なら出さん」

俺はビームブレードで「シグーディープアームズ
」を切り裂きながら、シン達に現実を教えてやる

彼らはプロで、手を抜けば即座に戦死すると。 

 「ディアッカは敵をかき回せ!後は、二機一組
  で一機づつ確実に仕留める事。お互いの位置
  を見失うなよ」

 「「「「「了解です!」」」」」

 「ディアッカ!お前は、多数に囲まれたり追い
  込まれない様に注意しろよ!」

 「わかってますよ」

ディアッカは「セイバー」をMA体型に変型させ
てから、敵のモビルスーツ隊をかき回し始めた。

 「よし!上手く行って・・・」

 「待て!」

 「何物だ?」

突然、俺の前を一機の「フリーダム」が塞いだ。

 「おいおい!(フリーダム)は反則だろうが」

 「何故、邪魔をする?この墓標を落とさねば、
  自分達の罪すら理解出来ない、人で無し共と
  手を組む大バカ者共が!」

 「大バカで結構だ!それに、お前達の方が大バ
  カだ!」

 「五月蝿い!ここで無念にも死んだ妻と娘の恨
  み晴らすまでよ!プラントは変わってしまっ
  た!お前達の様な、地球から都合が悪くなっ
  て逃げて来た連中に唆されて、ザラもエザリ
  アも変わってしまった。プラントで苦労して
  国家を建設した、尊く純粋な人々の意思は、
  軟弱でナチュラルと馴れ合うお前達によって
  汚され、ブルーコスモスを生み出した大西洋
  連邦の連中とまで馴れ合い始めた。これは、
  許しがたき暴挙だ!俺達が(ユニウスセブン
  )を落として、当初の目標を達成するのみだ
  !」

 「当初の目標ね・・・」

 「どうせ、連中は心変わりして、また敵になる
  !俺達はナチュラルを滅ぼして、コーディネ
  ーターを救うのだ!」

 「狂ってやがる・・・」

 「狂ってなどいない!(黒い死神)!俺は、お
  前を許さない!」

 「うん?知り合いだったか?」

 「俺の名前はサトーだ!」

 「ああ、思い出した!」

サトー隊長は歴戦の勇士で、ヤキンドゥーエでモ
ビルスーツ隊の指揮官を務めていた事のある人で
あったが、戦後、ザフト軍を脱走していたはずだ
。 

 「俺は面識は無いけど」

 「軟弱なクラインやカナーバに取り入って、出
  世を果たしたコバンザメ野郎が!同じ、日系
  人として恥かしいわ!」

 「テロリストのお前の方が恥かしいだろうが!
  」 

 「プラント変貌の象徴である、お前を殺して、
  この大地に眠る、妻と娘に捧げてやるわ!」 

 「花とかお菓子にしたら?」

 「殺してやる!」

俺の挑発で激怒したサトーが「フリーダム」で攻
撃を仕掛けてきた。

 「やっぱり、接近しないとキツイな」

サトーは巧みに背中の武装で半分ずつ、間を空け
ないで砲撃を仕掛けてくるので、気を抜くと当た
ってしまいそうだ。
さすがは、歴戦の勇士。
その技量は驚異的と言える。

 「ちくしょう!他のモビルスーツはジャンク品
  を修理した物だってのは理解出来るけど、(
  フリーダム)は反則だぞ!」

敵武装勢力が使用しているモビルスーツは良く見
ると、他のモビルスーツの部品が使ってあったり
して、そのほとんどが、キメラの様な機体ばかり
だし、「ナスカ級」と「ローラシア級」の艦船も
継ぎ接ぎが目立つので、二年掛けて必死に修理を
行っていたのだろう。
だが、先に出た「ジンハイマニューバ況拭廚函
フリーダム」は確実にプラント内の協力者からの
提供されていると思われる。

 「現在では、軍事工廠内での試作品と実験部隊
  にしか配備されていない(フリーダム)が、
  何故こんな所に?」 

「フリーダム」は整備に手間が掛かり過ぎるとい
う現場の意見で、通常動力に換装された数機が軍
事工廠内で武装試作機として改良されているか、
実験部隊で標的機として利用されているのみであ
った。

 「俺達の仲間はプラント本国にも存在するんだ
  !俺達は決して、少数では無い!」

 「いい事聞いたな。その協力者はカナーバ議長
  達に任せて、俺は、実行部隊のお前達に引導
  を渡すかな。どうせ、未遂でも極刑だし、捕  
  まえようとして、自爆でもされたら困るから
  死んでくれよ」

 「この!極悪人がーーー!」

 「俺の家族は地球にいるんだ!お前の方が極悪
  人だーーー!」

俺は「フリーダム」の砲撃をかわしながら接近し
て、すれ違い様に、ビームソードで背中のビーム
砲を一門だけ斬り落とす事に成功した。 

 「ちっ!浅かったな」

俺は、「グフ」を高速で移動させながら、再び、
「フリーダム」に突撃を掛けた。

 「五月蝿い!ロックオンが掛かっているのは、
  わかっている!」

俺はギリギリで「フリーダム」の砲撃をかわしな
がら、次の一撃で、右腕を斬り落とす事に成功し
た。  

 「よし!もう一撃!」

 「俺にはまだやる事がある!」

 「あっ、逃げた」

「フリーダム」が逃走を図ったので、俺はビーム
ソードを投げつけて、その動きを止めようとした

 「アホか!そんな物に当たるか!」

 「別にそれが目的じゃないから」

サトーは「フリーダム」のシールドでビームソー
ドを弾いたが、その動きが止まった瞬間、別の方
向から高速で接近してくるモビルスーツがあった

 「俺の部下達の仇だーーー!」

修理した「スラッシュザクファントム」に乗った
イザークが、動きが止まった「フリーダム」をビ
ームアックスでシールドごと、真横に切り裂いた

 「こんなガキにやられるなんてーーー!」

サトーの断末魔の声と共に、「フリーダム」は爆
散する。

 「イザーク、久し振りだな」

 「はい・・・」

 「どうした?」

 「俺の稚拙な指揮で、多数の部下を失っていま
  いました」

 「気にするな。俺がお前の立場でも、同じ結果
  だったはずだから。ミゲルやハイネにしても
  同じだ。ルーキーばかりで、あの連中と戦わ
  せて半分生き残ったんなら、上等だ」

 「ですが・・・」

 「死んだ連中は帰って来ない。生き残っている
  部下の心配をしてやれ。死人を気にし過ぎる
  と、テロリスト達と同じになってしまうぞ」

戦闘は終了しつつあった。
元々、ザフト軍側には次々と援軍が到着して、そ
の戦力差が広がっていたのに、俺達の参入で敵武
装勢力の士気が崩壊してしまったようだ。
モビルスーツ隊も残り十機ほどになってしまい、
彼らは降伏する事も無く最後の抵抗を続け、艦船
の部隊もアスランや石原二佐や相羽三佐が指揮す
るモビルスーツ隊に攻撃を受けて次々に沈んで行
き、残りのナスカ級戦艦とローラシア級巡洋艦も
撃沈寸前の所を最後の止めを刺されていた。

 「ほぼ、終わりだな」

 「ええ、終わりですね」

 「さあて、(ユニウスセブン)が砕けるぞ。気
  合い入れてメテオブレーカーを設置したらし
  いから、幾つに割れるか想像も出来ない。待 
  避するぞ!」

結局、阻止限界点到着二十四分前に「ユニウスセ
ブン」はバラバラになり、到着した艦船群の砲撃
によって更に細かく分解される事になった。

 「(ユニウスセブン)に眠る全ての人達に黙祷
  !」

アスランの発案で、砲撃前に黙祷が捧げられ、そ
の後、全艦艇の弾薬庫が空になるまで、砲撃は続
けられ、ユニウスセブンはただの岩の集合体へと
変化した。
地球には数万個の破片が落下したが、その殆どが
大気圏で燃え尽き、例外的に落下した破片も都市
部などに落ちた物は少なく、大きな被害は出なか
った事だけを明記しておく。 

俺達の救援はギリギリ間に合ったのだ。


戦闘終了後、俺とディアッカで食堂に行くと、シ
ン達が全員机に突っ伏して眠っていた。
今日はというか、前日のお昼から二回の戦闘と緊
張を強いられていたのだから、当然なのだが・・
・。

 「こいつら、良くやりましたよね。俺の初陣な
  んて、恥かしくて話せませんよ」

 「そうか?お前は結構、無難にやってたぞ。そ
  れに、こいつらは二年も訓練していたんだし
  、即席教育だったお前達があそこまでやった
  事の方が凄いんだよ」

 「そうですかね?」

 「自信を持てよ。エルスマン隊長」

 「こいつら、部屋まで運びましょうか」

 「だな」

 「じゃあ、女性陣は俺が・・・」

 「お前は、下心が見え見えで怖いから俺が・・
  ・」

 「俺は部下を心配しているだけですよ」

 「ステラは可愛い妹でもあるんだ。お前、おん
  ぶして胸の感触を楽しもうとしているだろう
  ?」

 「そんな事しませんよ。男も運びますよ。そう
  だな。シンにしようかな?」

 「あっ!お前、ステラ派だったな。さては、同
  じ部屋に放り込んで既成事実を作ろうと・・
  ・」

 「ヨシさんも同じ事を考えていません?唯一の
  ルナマリア派としては、心配で堪らないでし
  ょうし」

 「嫌だなー。俺はそんな事は考えていないよ」

 「俺もですよ」

 「「あはははははは」」

 「ディアッカ君、取引をしないかね?」

 「どんな内容です?」

 「この際、三人を同じベッドに放り込んでしま
  うんだよ。どちらが、勝つかは運任せだな。
  少なくとも、メイリン派は出し抜けるぞ」

 「取引を受けます」

俺とディアッカは苦労して三人をシンの部屋に運
び、シンをベッドの真ん中に寝かせて、左右にス
テラとルナマリアを寝かせた。

 「シンは上を向かせて寝かせておく。どちらに
  寝返りを打つかは、シンの運命だな」

 「ですね」

 「では、出るぞ」

俺は隣りのベッドにレイも寝かせてから、部屋に
ロックを掛けて退室する。

 「それで、俺達ってこれからどうなるんですか
  ?」

 「地球に降ろされる可能性が高い。ここで、補
  給と修理待ちをしているんだから」

 「ですよね。カーペンタリアですかね?」

 「俺はスエズかアジアだと思っている」

 「どちらも、厳しいですね」

 「ああ、厳しいな」

うって変わって真面目な話をしてから、俺達は、
やっと、睡眠を取る事が出来たが、シンにした事
をすっかり忘れてしまったのであった。


(十一月二十六日早朝、ウラル山脈基地内、エミ
 リアの個室)

エミリアが朝の紅茶を淹れていると、部屋のドア
がノックされる。

 「誰?」

 「奥様、クロードです」

 「どうぞ」

エミリアチルドレンの一人で四天王の一人である
、クロード・ウィラーが最新情報を報告をしに現
れた。

 「クロード、紅茶だけど飲むかしら?」

 「はい、いただきます」

エミリアは慣れた手つきで紅茶を二人前淹れる。

 「昨日の報告を纏めていたします」

 「聞かせて」

 「観艦式への核攻撃は大成功です。核弾頭の(
  ラウンドパワー)は予想通り、ビーム砲で撃
  ち落されて完全には起爆しなかったものの、
  中心部にいた大西洋連邦軍艦隊が八割近くを
  、その他の国も平均して25%の損害を受け
  ました。その後のユーラシア連合軍艦隊と東  
  アジア共和国軍艦隊の攻撃で、更に損害は増
  え、その損害は四割を超えるものと思います
  」

 「そう。ラドフは成功したのね」

 「あいつは良くやりました」

 「ラドフの為に、祈りましょう」

エミリアは彼を思い出しながら、祈りを捧げる。

 「次は、ユーラシア連合のクーデターですが、
  数名のロゴス幹部の拘束に成功いたしました
  。これで、奴らの資産も運用出来ます」

 「鵺の様な方々ばかりだから、拘束には失敗す
  ると思っていたけど、成功したのね。精々、
  利用させて貰おうかしら」

 「戦争中にはアズラエル理事を支持して甘い汁
  を吸っておきながら、状況が変わると、すぐ
  に裏切って我々スケープゴートとして差し出
  そうとしましたからね。いい気味です」

 「そうね。可哀想だけど、文無しになって貰お
  うかしら。可哀想だから、殺さないけど」

 「そちらの方が、可哀想だと思いますよ」

 「皮肉で言ってみただけ」

 「スエズ運河の奪取は成功です。現在、ジブラ
  ルタルから、援軍を出しているそうです」

 「中東攻略作戦は成功しそうなの?」

 「無理ですね。祖国を守ろうとする、彼らの必
  死の抵抗に会うでしょうね」

 「旧宗主国の方々は、植民地になった事のある
  国の人々の気持ちなんて、わからないでしょ
  うね。こちらとしては、時間さえ稼いでくれ
  れば問題無いけど」

エミリア達は、「ユーラシア連合と東アジア共和
国を全力で支援します」と明言はしていたが、実
際には、様々な勢力に力を貸し、時間稼ぎを狙っ
ているに過ぎなかった。

 「朝鮮半島と中国は、面白いくらいに乱れて時
  間が掛かりそうだから、大丈夫ね」

 「ええ、ミリア様とアヤ様も実戦経験を積んで
  逞しくなられると思います。他の地域に派遣
  した連中も、実戦データをフィードバックし
  てくれると思いますので」

 「そうね」

 「(ユニウスセブン)の落下は阻止されました
  。これは、予想通りですけど」

当然、ユーラシア連合のクーデター政府や旧東ア
ジア共和国軍の将軍達はこの事実を知らされてい
なかった。
エミリア達は(ユニウスセブン)落下テロが成功
しても、ウラル山脈内の基地に篭っているので、
戦力と影響力を保持する事が出来ると判断してい
たからだ。

 「人類の新しい種族の方々にしては、お粗末な
  結果ね」

 「所詮、自称に過ぎませんから」

 「でも、宇宙軍は動けないわね」

 「はい、各地の警備で多忙しでしょう」

 「では、目的は達成したから良しとしましょう
  」

 「ただ、特殊対応部隊の連中が降りてくる可能
  性が高くなりました」

 「少数の部隊でしょ。気にする事は無いわよ。
  じゃあ、これからも引き続き情報の収集を頼
  むわね。あら、紅茶が冷めてしまったわね。
  淹れ直すわ」

定時報告を聞き終わったエミリアはクロードと紅
茶を飲み始める。
その様子はどこかノンビリしていて、とても、あ
れほどの悪事を計画した人物には見えなかった。


(十一月二十六日早朝、シンとレイの部屋)

シン・アスカは今、必死に記憶の糸を辿っていた

それは、朝、目を覚ましたら、正面にルナマリア
の寝顔が見えた上に、背中に柔らかい感触を感じ
ていたので確認を取ると、ステラが自分の背中に
抱きついている様子が確認出来たからだ。

 「あれ?どうなってるんだ?昨日は戦闘が二回
  もあって疲れていて、食堂で(疲れたなー)
  ってみんなで話してから、記憶が無い・・・ 
  」

 「そもそも、ここは何処だ?ルナマリアとメイ
  リンの部屋か?ステラとシホさんの部屋か?
  それとも・・・」

シンが隣りのベッドを見ると、レイが静かに寝て
いるので、ここは、自分達の部屋のようだ。

 「俺の部屋って事は俺の罪では無いよな」

シンが安心していると、目の前のルナマリアが目
を覚ましてしまった。

 「あれ・・・?ここは・・・?」

 「俺とレイの部屋」

本当は、怒られるか悲鳴を上げられるのではない
かと、ドキドキしていたのだが、冷静に答えて自
分の罪の無さをアピールする事にした。

 「ふーん。運んでくれたんだ。シンって意外と
  大胆ね」

 「いや、それが、記憶が無くて・・・」

 「ねえ、一年前のデートの事、覚えてる?」

そう言えば、そんな事があった。
ルナマリアを怒らせてしまった時に、お礼を兼ね
てデートをした事があったのだ。 

 「あの時のキスの続きをして」

あのキスを邪魔されてからというもの、三人は完
全なけん制状態に入ってしまい、ここ一年と数ヶ
月はさっぱり、状況が進展していなかったのだ。 

 「えっ!(チャンスじゃん。ここで、ファース
  トキスを経験するのも悪くないな。ヨウラン
  は既に体験済みだって言ってたし)」

シンが覚悟を決めてキスをしようとすると、背中
側に寝ていたステラが目を覚ましてしまった。

 「あれ?シンがいる・・・」

 「あれ?ステラ?」

シンに隠れて見えなかったステラを見つけたルナ
マリアが、不思議そうな顔でステラと見つめ合っ
ていた。  

 「(まずい!二人共、連れ込んだと誤解された
  ら、俺は折檻されてしまう)」 

シンが焦っていると、ステラが爆弾を放った。

 「ねえ、シン。おはようのキスをして」

 「ぶっ!」

 「ステラ!そんな事、誰に聞いたのよ?」

 「シホが見せてくれたドラマ」

 「あれはね・・・」

シホはステラに歳相応の常識を身につけさせる為
と称して、プラントで放送されているドラマを見
せていたのだが、そのドラマは同棲を始めた恋人
同士のお話だったはずだ。 

 「ねえ、おはようのキス」

 「えっ!それは・・・」

 「駄目なの・・・?」

 「ううん。そんな事ないよ!」

ステラが悲しそうな顔をしたので、シンは「そん
な事は無い」と返事をして、ステラを泣かせない
様にした。

 「じゃあ、おはようのキス」

 「まあ、ステラがそこまで言うなら・・・」

 「ちょっと!シン!私はどうなるのよ!」

 「ねえ、早く、キス〜」

 「ステラよりも、私が先!」

二人が大声で言い争いを始めてしまったので、隣
のベッドで寝ていたレイが目を覚ましてしまう。

 「何事だ?五月蝿いな」

 「レイ!実はな」

シンはレイに助けを求めたが、レイはシン達を一
瞥しながら、即座に状況を理解して、シンを見捨
てる事にする。

 「気にするな。俺は背中を向けて寝ているから
  、好きに続きをやるがいい」

そう言うと、レイは背中を向けて再び、寝込んで
しまった。

 「レイ!助けてくれよ!」

 「俺は中立だ・・・」

 「そういう事を言ってるんじゃ無い!助けてく
  れって!」

 「シン、早く、キス」

 「私が先よ!」

シンは二人にベッドに押さえ付けられてしまい、
身動きが取れなくなってしまう。

 「さあて、私が先ね」

 「ステラが先〜」

 「俺の意思は?」

 「あら、一年前の続きよ」

 「ステラが先〜」

 「あっ!部屋の入口に子犬がいる!」

 「えっ!何処?」

ルナマリアはステラが目を離した隙に、自分から
唇を合わせてしまう。

 「(あ〜女の子の唇って柔らかいな〜。じゃ無
  くて!俺のファーストキスって、押さえ付け
  られて向こうから無理やり?悲しすぎるな・
  ・・。でも、女の子の唇って柔らかいな〜)
  」

シンの心の中を様々な感情が交錯する中、先を越
されたステラが、ルナマリアを怒り始める。

 「ルナ、ずるい!私が先だったのに!」

 「早い者、勝ちよ」

 「ルナ!メイリンが入口で怒ってる」

 「えっ!メイリン!これはね・・・って、誰も
  いない!」

今度はステラがシンと唇を重ねてしまい、シンに
とっては二回目のキスになった。

 「(あ〜、やっぱり、女の子の唇は柔らかいな
  〜。無理やりっぽいのが残念だけど)」


 「こら!上から重ねるな!ええい!二回目!」


 「私も二回する〜」


 「三回目よ!」


 「私も〜」


 「(気持ち良いけど、誰か、助けてくれーーー
  )」

その後、ステラが部屋に戻って来ない事を心配し
て、艦内を探し回っていたシホに現場を押さえら
れてしまい、シンはようやく救出されたのであっ
た。

 「シンはいいなーーー。このラッキースケベが
  !」

 「俺もキスしたいなーーー」

この事件の全容はあっと言う間に艦内に広がり、
シンはヨウランとヴィーノに羨ましがられていた


 「ヨシヒロさん!ディアッカ!何か言い訳はあ
  りますか?」

 「うーん、若いって、素晴らしいと思わない?
  」

 「そうですよね」

結局、シン達への事情聴取の過程で、俺とディア
ッカがシン達を部屋に運んでいる所を数名の乗組
員に目撃されていた為に、シホに呼び出されて説
教を受ける羽目になっていた。

 「まあ、キスくらい、挨拶だと思ってさ」

 「そうそう、ルナマリアやステラからしたって
  話だし・・・」

 「どこの世界に、恋人同士でもない男女を同じ
  ベッドに寝かせる上官がいるんですか!」

 「は〜い!ここにいま〜す」

 「二人の仲をぐっと引き寄せる大きな切っ掛け
  となったわけだから、怒らないでくれよ。シ
  ホちゃん」

 「シホちゃんって呼ぶな!ヨシヒロさんは、反
  省の色が見えない!」

 「反省の色ね〜何色なのかな?」

 「さあ?」

 「ヨシヒロさーーーん!ディアッカーーー!」

一方、ステラとルナマリアもメイリンに説教を受
けていた。

 「二人共!はしたないと思わないの!?」

 「私は、ほら、一年前の続きってやつで」

 「そんな昔の事を・・・」

 「あれはメイリンが邪魔したんでしょ!」

 「ステラはおはようのキスをしただけ」

 「二人共、何回もするなーーー!」

 「自分だけした事ないから拗ねてるわね」

 「メイリン、拗ねてる?」

 「ムカついた!シン、何処にいるのーーー!」

 「ルナ、ステラ。朝飯を食べに行こうって!」

 「ふふふ、私だけ何も無いのは不公平よね」

 「えっ!どういう事?」

 「仕方が無いわね」

 「押さえればいいの?」

シンは両脇をルナマリアとステラに押さえ付けら
れてしまう。

 「えっ!これって、まさか?」

 「シンと私のファーストキスってやつよ」

 「三人共、おかしいぞ!キスって恋人同士がも
  っとこう・・・」

 「男の子って意外とロマンチック」

 「違うぞ!それは!俺が言ってるのは、一般論
  だ!」 

 「じゃあ、頂きま〜す」

 「(ああ〜、今日何回目かいまいち覚えていな
  いけど、柔らかい感触だな〜。これで、シチ
  ュエーションさえ、良ければ最高なんだけど
  )」

こうして、シンを巡る攻防戦は、ひとまず終了し
たのであった。  


 「シホ、めちゃめちゃ怒ってたな」

 「ですね〜」

俺とディアッカはシホに反省の色が無いと言われ
た為に、罰当番というか、雑務を押し付けられて
しまった。

 「俺、司令官なのに、軍医に罰当番を命じられ
  るなんて・・・」

 「ヨシさん、女性に頭が上がらないって評判で
  すよ」 

 「本当?」

 「ラクス様にも、尻に敷かれているって・・・
  」

 「俺は、亭主関白だーーー!」

 「そんな、ありえない嘘を・・・」

 「嘘じゃねーーー!」 

 「おい!カザマ!ディアッカ!どんどん拾えよ
  !」

俺とディアッカがシホに命じられた罰当番は、コ
ーウェルの手伝いで、先の戦場跡地で使えそうな
モビルスーツの部品や武器などを拾う事であった

 「何で、司令官の俺がこんな事を・・・」

 「俺も、モビルスーツ隊の隊長なのに・・・」

 「いいか!補給船が来るまでに、拾えるだけ拾
  うんだぞ。空になった補給船の倉庫に使える
  部品や武器を積み込んで本国に帰還させれば
  、費用の節約になるばかりか、本来なら金を
  掛けて新規に作らなければならない部品や武
  器がタダで手に入って費用が削減されるんだ
  。そうなれば、無駄な血税が使われ無くなり
  、ジャンク屋からだと金を払わないと手に入
  らない物がお前達の給料だけで手に入り・・
  ・」

 「ザッツ、小役人!」

 「ですよね〜」

 「こら!サボらないで、すぐ側にあるサムライ
  ソードを拾え!ディアッカはビームライフル
  が浮いているだろうが!」

こうして、俺達は補給船が来るまでの間、ずっと
、部品拾いをさせられていた。
これから、地球に降ろされる可能性が高くなった
のだが、どこに行かされるのか?どんな任務が下
されるのか?はまだ、俺にはわからなかった。  


 


         (おまけ)

俺の名前はムラクモ・ガイ。
世界一と称される傭兵である。
ここ二年ほど、あのクソ女!いや、違った、ラク
ス様が提供したモビルスーツの所為で、「ピンク
の死神」と呼ばれる事が多くなったが、俺に二つ
名をつけるなら別の名前にして欲しいものだ。

 「ガイ、任務の説明は以上です」

 「風花よ。この任務の依頼主って・・・」

 「お得意様のラクス様です」

 「やっぱり!あのクソ女か!」

 「ご主人を影で支える理想の女性だと思います
  が・・・」

 「風花!頼むから、ああなってくれるなよ!」

 「ガイとは意見の相違があるようですが・・・
  。とにかく、仕事は仕事です」

 「わかった。早速、出掛ける事にする」

俺は仕事先である、中国に向けて出発する。

 「ガイ、気をつけて・・・。成功すれば、
  もう三百万アースダラーが・・・」

風花の手には、ラクスから前金で渡された二百万
アースダラーの小切手が握られていたのであった


任務を引き受けた俺は中国の成都にある、傭兵募
集所の前に立っていた。
俺の任務は今回の戦争の芽である、エミリア達の
情報と最終的な目的を探る事であったが、いきな
り連中に接触をするのは不可能なので、混乱して
いる中国大陸で傭兵として名を上げ、彼らの接触
を待つようにと言われていた。
本当に、こんな事で連中が接触をしてくるのかは
、わからなかったが、仕事は仕事なので素直に言
う事を聞いておく事にする。

現在の中国は三つの異民族国家が独立して、その
他の地域を十あまりの軍閥が分割している状態に
なっている。
各地の軍司令官が、その地域の企業や地方行政府
を吸収して軍閥の様な存在になっているのだ。
そんな理由で、今にも戦闘が始まりそうなので、
戦力が不足している軍閥は技術を持つ傭兵を集め
るべく、各地に徴兵所を設置していた。 

 「おっ!あんた強そうだな。何の技術を持って
  いる?」

 「俺は、モビルスーツのパイロットだ」

 「パイロットはありがたいな。不足しているか
  ら」

モビルスーツのパイロットは高度な知識と長時間
の訓練を必要とする技能なので、どこの軍閥でも
不足気味で、条件を吊り上げての取り合いになっ
ていた。

 「パイロットは稼げるぜ。うちは腕さえ良けれ
  ば、多額の報酬を支給するし、衣食住と整備
  補給もタダになる。まあ、腕が良ければだが
  。正直、自分を高く売り込もうとしても、実
  際にはヘタレな奴が多くてな」

 「俺は、それで何年も飯を食っている」

 「名前は?」

 「ムラクモ・ガイだ」

 「えっ!あの(ピンクの死神)!」

 「頼むから、そう呼ばないでくれ」

 「待ってくれ!上司に報告するから」

その後、俺は破格の待遇で、この地域を支配する
軍閥に所属するパイロットとして雇われた。


 「あなたが、あの有名な(ピンクの死神)なん
  ですか」

 「頼むから、名前で呼んでくれ・・・」

 「そうですか。ガイさん、あなたのモビルスー
  ツが用意してあります」

 「どんな機体だ?」

 「この地域を支配する劉将軍はモビルスーツ隊
  運用に長けた、東アジア共和国軍人でも変り
  種の方だったので、一流とは言えませんが、
  一流半のモビルスーツを用意させていただき
  ました」

 「それなら、安心か」

 「劉将軍はあなたに期待しています」

若い技術将校と格納庫に向かうと、多数のモビル
スーツが見え、機種はバラバラだが、整備は完璧
の様だ。

 「あなたの機体は、これです!」

 「・・・・・・・・・」

 「どうかなされましたか?」

 「ピンク色だな・・・」

 「はい!劉将軍が絶対にピンクにしろと仰いま
  したので!この機体を見れば、敵は笑い出し
  、崩れていく様が想像出来るとかで」

俺の目の前には、ピンクに塗装された「ソードカ
ラミティー」が鎮座していた。

 「先の大戦で撃破された機体を格安でジャンク
  屋から購入して修理しました。調子はばっち
  りですよ」

 「他にモビルスーツは無いのか?」

 「現地生産の(ストライクダガー)のニコイチ
  の機体とか、適当に組み合わせたキメラとか
  で・・・。まともな機体は元正規軍の将校が
  持って行ってしまいまして」

 「ふふふ、また見せてやるさ!こうなりゃ、ヤ
  ケだ!(ピンクの死神)復活だーーー!」 

 「うわー、頼もしいですねー。頑張って下さい
  」

 「どちくしょう!カザマの野郎!覚えてろーー
  ー!」

 「お知り合いか誰かですか?」

若い技術士官の応援と的外れな質問をバックに、
俺は、半分自暴自棄になるのであった。


  

         あとがき

次は、どこかに下ります。
更新は不明です。
この世界の「ザク」はフェイズシフト装甲装備で
すが、「スラッシュウィザード」のビームガトリ
ング砲はフェイズシフト装甲で出来ていないとい
う設定にしています。
それと、L4宙域から「ユニウスセブン」までの
距離とか、わからないので適当です。
「ユニウスセブン」は二度とテロに利用されない
様に粉々に砕いてしまいましたし。


   

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