買い物袋を両手にして、マリアは教会へと向かっていた。買い物袋の中身はネコのエサ。茶々丸と一緒に世話をしている、教会のネコ達の分だ。
当番制と言う訳ではない。茶々丸もマリアも気が向いたら行ってみると言う具合だった(もっとも二人とも毎日の通っているのだが)。
さて、今日は茶々丸の方が早かったらしく、既にエサをやり終え、片づけをしていた。
(マリア・少し・残念です)
だが、茶々丸と会えたことの方が、より喜ばしいデータだと判断した。茶々丸の外装が汚れているのに気付いたが、それは先ほど町で聞いた、茶々丸がドブ川から子猫を助けたという情報が正しかったからだろう。
良いことをしたご褒美として、後で葉加瀬かドクターカオスに報告して、茶々丸の加圧器を新型に変えるよう頼んでおこう。
マリアがそのような検案を演算していると、光学センサーに新たに二つの動体が進入した。
「ネギ・先生に・ミス・神楽坂?」
顔見知りの二人は、どこか残念そうな、不安そうな顔をしていた。茶々丸は二人と何かを話した後、後頭部のゼンマイを取り外した。
それは、茶々丸の戦闘機動開始の合図。
更に数回、言葉を交わした後、ネギからアスナへ多量の魔力が流れ込むのを確認。
(魔法使いの・契約・『魔法使いの従者(ミニストラ・マギィ)』と・推測します)
茶々丸はエヴァの従者であり、エヴァとネギは敵対関係。このことから、茶々丸とネギたちが戦闘を開始したのだと判断。
同時に、ドクターカオスからこの両者の戦闘に、積極的に介入してはならないという命令を受けていたことを思い出す。だが…
「…スミマセン・ドクターカオス」
マリアは、駆け出した。
霊能生徒 忠お! 10時間目 〜鋼鉄姉妹?〜
マリアから茶々丸までの距離は、およそ100メートル。自重ゆえの加速力不足がもどかしい。
視界の中、アスナは茶々丸に向けて駆け出し、フェイントの右手を払われてから左手でデコピン。しかし茶々丸は右手で制しながら、顔を背けることで避ける。
距離およそ80メートル。ジェット機動。最新式で余剰熱も不要な爆音も少ないためか、三人とも集中しているためか、マリアには気付いていない。
ネギは移動しつつ呪文を唱える。マリアの聴覚センサーが拾った内容からして、攻撃呪文と判断。
距離、50メートル。速度に乗ったマリアは新装備の安全装置を解除。
茶々丸はアスナの足を払って距離をとる。その時には既にネギの呪文は完成。後は発動キーを口にするのみのはずが、ネギは何かを躊躇うような様子を見せる。だが…。
距離、30。
だが、ネギは撃った。破壊属性の光の『魔法の矢(サギタ・マギカ)』が11本。
30メートル。手を差し伸べても届かない距離。しかし、新装備の射程範囲内だ。
「『光神の魔弾(タスラム)』発射」
マリアの左腕に内蔵されたギミックが起動。前腕から飛び出た銃身が、魔法技術をプラスしたカオス謹製の弾丸を発射した。
「えっ?」
突然の銃声にネギは振り向く。目線の先では、知り合いの女性が飛んでいた。
『マ、マリアさん!?』
アスナもその登場は予想外だったらしく、驚きの声が重なる。
しかしその声も、マリアの方からの轟音で押しつぶされる。
ズガガガガガッ!
茶々丸に飛んでいこうとした『魔法の矢』はすべて撃墜された。
アスナは慌てながら距離をとってネギの隣に立ち、マリアは茶々丸を庇うような位置に立つ。ネギとアスナを見つめる。
茶々丸は予想外の援軍に、ネギたちは突然の介入に、どう行動を取るべきか判断つかずマリアの動向に注目する。
そんななか、マリアはいつもどおりの無表情で、ネギたちを見つめたまま、口を開いた。
「ネギ・先生。先ほどの・攻撃は・茶々丸への・敵対行動と・推測されます」
「は、はい…」
「つまり・先生なのに・生徒を・いじめていると・いうことですね」
「……えっ?」
突然のいじめという単語。ネギは以前、葉加瀬の実験室に行ったときに、横島がマリアに同じようなことを言われていたのを思い出した。
「えっと…」
何か返事をと考えをめぐらすネギだったが、
「ちょっと待ちな!」
「カモ君!?」
横から口を挟んだのは、さっきまで隠れていたカモだった。カモはネギの肩によじ登ると、威勢よく啖呵を切る。
「これは、イジメじゃねぇ、戦いだ!ロボのねーちゃん!そこの茶々丸って奴を庇うってぇんなら容赦しねぇぜ!怪我しねぇうちに帰りな!」
「カモ君!」
「ちょっと!マリアさんは関係…!」
「兄貴に姉さん!ここであの茶々丸って奴を逃したら、エヴァンジェリンは全力で来る!多少強引にでも今を逃すわけにはいかねぇよ!」
「けど…」
「そうですか」
カモを宥めようとするネギとアスナだったが、その時間は与えられなかった。
マリアは左右の腕を前に突き出す。
がしゃこんっ!ぷしゅぅぅぅ………っ!
やけに重厚な音に、言い争っていたネギたちは、不吉な予感を覚えてマリアを見る。
二人と一匹の視線の先で、マリアは変形していた。
両足の脛は左右に分かれミサイルが覗き、フトモモからは一対のマシンガンが迫り出す。背中から大小二つの砲が現れ、それぞれ右わき腹と左肩の上から前方を向く。腕はもはや原形をとどめず、前腕から上下に二つ、上腕から一つずつ、黒光りする銃身がその身を現した。おまけに髪の中からスコープのようなものが出てきて、マリアの片目を覆っていた。
明らかに全体積量の総和が増えているマリアに、ネギたちは言葉もなく固まっている。
「マリアさん…それは一体…」
流石の茶々丸も目を丸くして、変形したマリアを見つめている。当のマリアは平然と
「ドクターカオスが・ミス・超、ミス・葉加瀬と・開発した『Maria-Gunnhildr-body.ver3.2』通称・ガンマリア・です」
マリアは茶々丸に振り向き、僅かに微笑みのような表情を浮かべてから、今度はネギたちに顔を向ける。その顔には既に、笑顔の残滓は欠片も見えない。
「その・オコジョ妖精から・マリアに対し・敵対の・意思を・通達されました」
「いや、えっと、それは、お嬢さんが俺っち達と戦うならの話でありまして…」
「敵対行動を・取られない限り・こちらからの・攻撃は・ドクターカオスから・禁止されていましたが・仕方がありません」
マリアから飛び出した物々しい武装に、腰の引けたカモはしどろもどろに言い訳するが、今さら遅いようだった。仕方がないとは言いながら、マリアの右脇下の大砲は『ぎゅいんぎゅいん』とやる気満々にエネルギーを貯め、砲口から余剰出力が光を漏らす。
「茶々丸を・いじめるのは・許しません」
ぞくっっ!
それはほとんど裁判官の死刑宣言。いや、この場合は裁判官自身が執行人か?
初めて感じる本格的な死の危険に、ネギ達の背筋に寒気が走る。
「おおおお、落ち着いてくださいマリアさん!」
「ネギ・先生。マリアは・落ち着いています。照準も・完璧です」
鋼鉄の乙女は冷徹な言葉で銃器を構え、後ろで妹のように可愛がっている同胞の「あの、マリアさん、やりすぎは…」という声を聞きながら、宣言した。
「お仕置き・です」
三人分の悲鳴と、銃声と砲声と着弾音が混ざった、連続的な爆発音が一体に響き渡った。
「こ、今度は何ですか?」
唐突に上がった悲鳴と爆音に、史伽が怯えた声を上げる。
銃声を聞きつけた横島たちは橋へ向けて走っていた。横島や楓がその気になれば、川の一つや二つ跳び越えることは出来るが、マリアが飛んでいったので、多分大丈夫だろうと踏んで普通に向かおうとしていた。しかし爆音に混ざって聞こえてきた声に不安が募る。
(なんでネギ達が)
解かることは、どうやらマリアがネギ達に攻撃をしているということと、爆音が続いている以上、まだネギ達は生きているということ。だが、聞こえてくる轟音はからして、いつまでネギ達が消し飛ばされずにいれるかは不確定だ。
息切れしかけている鳴滝姉妹とは対照的に、余裕しゃくしゃくの楓に、横島は少し近づいて小声で言う。
「楓ちゃん?俺、先に行くから、二人を連れて後からゆっくり来てくれないか?」
「…訳ありでござるな?それでいて理由は言えない、と」
「…すまん」
「……あいあい、引き受けるでござるよ」
「ありがとな」
礼を一言残して、横島はドブ川へと跳躍する。横島は河川敷を飛び越え川まで到達。しかし流石にそれ以上の距離は伸びず、そのまま川の中へと放物線を描きながら落ちていく。
「た、忠っち!」
気付いた風香が悲鳴じみた声を上げるが、それは杞憂だった。
着水の直前、横島は足元にサイキックソーサを作り、
「サイキック水蜘蛛の術!」
今一なセンスの名前を叫ぶとサイキックソーサを、指向性を持たせて爆発させる。
横島はその反動を足がかりに前方へ跳躍。さらに次の着水で、同じことをもう一度行う。そして三歩目には、横島の足は対岸を踏みしめた。
そのまま横島は、何事もなかったかのように走り去った。
「んー。なかなかやるでござるなぁ」
相変わらずのんきな様子で言う楓の横で、鳴滝姉妹はぽかんとした顔をしていたが、やがて気を取り直すと、純真にきらきらと輝く瞳で呟いた。
「忠っちも…」
「横島さんも…」
『忍者だったんだぁ…』
翌日からしばらく、横島流忍術を習おうと、二人は横島のことを徹底的につけまわるようになったのだった。
弾丸と光線による破壊の雨は、唐突に小休止を迎えた。
「ニャー」
理由は子ネコ達だった。こんな轟音を立てていれば普通は怖がって出てこないはずだが、いつもエサを与えてくれる親代わりのマリアと茶々丸がいるために、そろって出てきたのだ。
「そこから・どいてください・危険ですよ?」
戸惑いながら、弾倉の上で丸くなった子ネコに語りかける。
しかし眠そうな子ネコは、連続射撃で温まったそこから動く気配はない。
「茶々丸・すみませんが・この子達を・よけてください」
「は、はい」
茶々丸は砲撃の余剰熱で温かくなったマリアに擦り寄る子ネコたちを、一匹ずつ優しくよせていくが、半分移動させた時には、最初によせたはずの子猫がマリアの頭の上で小さく欠伸をしていた。
「か、かわいい…」
立ち込める土煙と硝煙の香りに似つかわしくないほど、和んだ空気が流れていた。
一方、十数メートルほど離れた場所にいるネギ達は、和みや癒しとは、およそ対極的な心理状態にあった。
「こ、攻撃がやんだようですぜ…」
「……い、生きてる?僕…生きてる?」
「な、なによあれ!?マ、マリアさんってターミネーター!?」
マリアたちから数メートル離れた石壁の影、ネギ達は震えながら自分の手足がまだついていることに感謝していた。
「に、逃げた方がいいんじゃないの!?」
「そ、そうしよう、カモ君!敵わないよ、あんな超時空要塞!」
「無理だ!砲撃がやんだのは、あのロボ、俺っち達が出てきたところを狙い撃ちするつもりなんだ!」
銃撃がとまった本当の理由は、子ネコ達のせいで撃つことが出来ないという、なんとも間抜けな理由だ。だが土煙に視界を遮られ恐怖に取り付かれた三人には、とてもそんな想像が出来るはずもない。脳裏に思い浮かぶのは、こちらが顔を出したらすぐさま蜂の巣にしてしまおうと手ぐすね引いて待ち構える、冷徹なマリアの表情だった。
「それに、さっきも言いったが、ここであの茶々丸って奴を逃がしたら、こんどはエヴァンジェリンと一緒に仕返しに来ますぜ!そうしたらこっちかピンチだ!何とかここで勝たないと!」
「け、けど、どうするのさカモ君?出た瞬間に、マリアさんに蜂の巣にされちゃうよ?」
「ぐっ……なんとかあのマリアって奴の動きを封じられればいいんすけど…」
「ネギ?魔法でそういうのないの?」
「あることはありますが、捕縛属性の『魔法の矢』を撃っても迎撃されるでしょうし…」
「何か他にアイテムとか持ってませんか、兄貴?」
「コレクションの中にはあるけど、手持ちなのは…」
「…この際、謝って見逃してもらうとか…」
と、言いかけたアスナは、自分の上着のポケットにあるもののことを思い出した。
「ねぇ…エロオコジョ!これ、使えない?」
アスナが差し出したそれは、横島に「ネギが不埒な行いに及んだら―――」と言って渡された、霊符が蓋に貼られているフィルムケースだった。
ネコ塗れのマリアは、ネギ達が隠れている遮蔽物から、何かが投擲されたのを見た。
「霊波感知!危険物と・判断!迎撃!」
子ネコがまとわりついていない右手の小銃で一発。
射撃直前に標的を確認。それはフィルムケースだった。蓋に貼られている符は半ばちぎられていた。
射撃は命中。だが、それと同時に、マリアは自分の失敗を悟る。
粉みじんになったフィルムケースから感じていた霊波は、自分達にとって極めて馴染み深いものだったのだ。
砕けたフィルムから、そこに詰まっていたとは思えないほどの巨大な堆積を持つ、ヘドロのようなものが噴出し、こちらに向けて襲い掛かってきた。
(低級霊!)
ヘドロの正体は、定型をとることも叶わなかった低級霊だった。
それは美神が、かつて銀行強盗の模擬演習の時に銃弾の変わりに込めて使ったそれと同じ原理だった。ただし、今回の低級霊は、その時の数倍のサイズだ。
『うふふふふっ……』
不気味な笑い声を上げながら飛んでくるゲル上の物体。回避は不可能だった。このガンマリア・ボディは砲撃力、装甲には優れているが、その分機動力には欠けている。まして、今は砲撃形態だ。
(せめて・この子達・だけでも…!)
自分にまとわりついている子ネコたちを振り払おうとするマリアだったがそれも叶わず
べちゃ!
子ネコごと、マリアは低級霊に飲み込まれた。
「マリアさん!」
「大丈夫です・茶々丸。この子達も・無事です」
マリアがそう答えたのとほぼ同時に、
「今だ!」
カモの声と一緒に、ネギとアスナが物陰から飛び出した。
「兄貴!先にマリアっていうロボを…!」
「うんっ!」
物陰から飛び出したネギは、マリアを挟んで茶々丸と反対側に立って呪文を唱える。
「させません…!」
「それはこっちのセリフよ!」
ネギの妨害に入ろうとする茶々丸だが、アスナが立ちはだかった。
「よけてください…!」
珍しく強い口調で、デコピンではなく本気の拳打を放つ茶々丸。
もしここで、アスナが原作通り仮契約のままだとしたら、そのままやられていたかもしれない。だが―――
「来たれ(アベアット)!」
アーティファクト『ハマノツルギ』。
ハリセンにしか見えないその形状は、望外の効果を生んだ。
それは茶々丸にはその威力が読むことが出来なかったことだ。普通に刃物なら、その切れ味を頼みとしていると推察できるが、物はハリセン。攻撃系のアーティファクトである以上、切れ味以外の何か特殊能力があると予想される。
もしも相手が刃物ならば、ダメージが予想できる以上、多少のダメージを覚悟で強引に突破したかもしれない。だがこの武器の威力は不明。下手をすればかすっただけで戦闘不能になるかもしれない。
その理解不能という形のない恐怖が強引な突破を躊躇わせた。
そして、それによって稼げた時間でネギは呪文を読み上げる。
魔法を唱えながら、ネギはマリアの動きを抑え込んでいる低級霊が、別のものも巻き込んでいるのに気付いた。
(あれは…茶々丸さんが助けた子ネコ?)
ネギの脳裏に猫達の世話をしながら微笑を浮かべていた茶々丸の姿がよぎる。
(ダメだ!集中しなくちゃ!)
ネギは首を横に振ると、散りかけた意識を再び集中させ、魔法を構成していく。
幾度となく繰り返し練習してきた魔法は、多少の意思の乱れにも関わらず、光で矢玉を編み上げた。
萎えそうになる決意を奮い立たせ、ネギは魔法を完成させた。
「魔法の射手(サギタ・マギカ) 連弾(セリエス)・光の29矢(ルーキス)!」
放たれたさっき自分に向けてはなった数の、更に二倍以上。
大気圏突入を行っても帰還することが出来たマリアであるなら、あるいは耐えれるかもしれない。だが…
(子ネコたちが…!)
瞬間、茶々丸はすべてのリスク計算を忘れて、飛び出した。
「きゃっ…!」
すれ違いざまに弾き飛ばしたアスナの悲鳴も耳に入らない。
「茶々丸・危険です!」
マリアの声にも、耳を貸さない。
茶々丸は動けないマリアを飛び越え、『魔法の矢』の前に立ち塞がった。
『魔法の矢』の軌道上に飛び込んできた茶々丸。
ネギにとってしてみれば、ある意味ではラッキーな展開だった。
無関係なマリアや子ネコを傷つけることなく、標的である茶々丸を倒すことが出来るのだから。
だが…
「すいません、マスター、マリアさん…」
茶々丸の町を歩く姿が…
茶々丸を慕っている人たちの姿が…
茶々丸が子ネコたちの世話をしている姿が…
「もし、私が動かなくなったらネコのエサを…」
今日、見てきた茶々丸の姿が、ネギの脳裏から消えなかった。
「やっぱりダメー!戻れっ!!」
言葉は無意識のうちに口から飛び出していた。
『魔法の矢』は言霊に応じて矢尻の向きを変え、ネギの方へと文字通り戻る。
魔法の矢の数は29本。原作で11本は耐えきれたが、今度はその2倍以上。魔法障壁を張っても、耐えられるか解からない。
(ごめんなさい…)
ネギが心の中で呟いたのは、誰に対しての言葉だったのか。
光の矢が目の前に迫り、衝撃に耐えようと身構えたとき――
ドンッ!
しかし、最初の衝撃は真横から来た。魔法障壁のためか、ほとんど痛みはなかったが、ネギはその場から弾き飛ばされる。
宙に舞いながらネギはその視界の端で、自分を弾き飛ばした者の正体を捉えた。
それは、黒い髪をなびかせた年上の少女…
(横島さ―――)
ネギの視界を、光が包んだ。
建物を回りこむのももどかしく、横島はサイキックソーサを足がかりに、教会を飛び越え屋根に上った。出た場所はネギの真横、少し離れた建物の屋根の上。
その視界の中で、ネギが魔法を撃とうとしていた。
目標はマリア。マリアはゲル状の低級霊に絡め取られて身動きが取れていない。
その更に後ろではハリセンを持ったアスナと茶々丸が対峙している。
(―――どうする?)
横島は状況から最善の行動は何かと思索する。
自分はネギの味方ではあるが、マリアとも友人だ。マリアは茶々丸を気にかけているから、多分茶々丸側。アスナはネギ側。つまりこの状況は、ネギ・アスナVS茶々丸・マリア。
茶々丸が単独でネギに戦いを挑むことはないだろうから、この戦いはネギが仕掛けたと考えられる。
だが、どうして―――
そこまで考えたところで時間切れだった。
「魔法の射手(サギタ・マギカ) 連弾(セリエス)・光の29矢(ルーキス)!!」
ネギの攻撃魔法が発動。マリアに向けて発射される。
「くっ……考えるのは後だ!」
マリアは仲間だ。その上、ネギとエヴァの対立には直接関係があるわけでもない。
まずは介入してからでも遅くない。
そう思って再び跳躍。同時にサイキックソーサを何個か作り、前方に一列に並べる。
そして、それに足をかけると、さっき川を渡った時と同じ原理で空中を駆け抜ける。
だが途中まで来て、状況は更に変化する。マリアの前に茶々丸が立ちはだかり、そして次の瞬間には、
「やっぱりダメー!戻れっ!」
ネギが突然、『魔法の矢』を全て自分に向けて方向転換させた。
「……なっ…クソッ!」
歯噛みする横島。ネギは魔法を放った直後、おそらく強力な防御などすることは出来ないはず。あの矢がどれだけの威力があるかはわからない。だが、直撃を受ければネギも怪我ではすまないだろうと、横島の勘が告げている。
横島は体をひねり、跳躍をネギのいる方向へと無理矢理曲げる。
割り込むのはタイミング的に無理だ。
そう判断した横島は、文珠を使うことを決意。
文珠は一つ、使う字は《防》。
横島は文珠を自分に使い、己の身を霊力で包む。
『魔法の矢』と自分、ネギまでの距離も速度もほぼ同じ。
(間に合えっ…!)
最後の一押しとばかりに、横島は自分の靴底にサイキックソーサを出して、爆発させる。
急場作りのソーサによる指向性のない爆発だったが、それでも加速は成功。
ほんの僅かに早く、横島の方が先にネギの元へと辿り着く。
魔法による障壁をまとっていたネギに横島は、ほぼ真横から体ごとぶつかった。
ネギは弾き飛ばされ、ネギが今まで居た場所に横島が立つ。
視界の隅に、驚きをあらわにしながら飛んでいくネギを収めながら、横島は軽く笑ってみせ―――
閃光と破砕音が響き渡った。
「よ、横島さん!?」
茶々丸に突き飛ばされ、尻餅をついたアスナは、状況についていけなかった。
茶々丸が割り込み、ネギが魔法を引き戻し、そして横島が飛来して乱入…。
全ては僅か数秒の内に起こった出来事だ。
どうしてこうなったのかは解からないが、心配なのは横島だ。
外れた魔法は一発一発が、地面を砕いている。そんな魔法のうち何発かは横島に直撃し、横島の体は数メートル後ろに吹き飛ばされ転がっていた。
(まさか死―――)
「っ痛ーっ!結構効くな、これ」
最悪の予想が心中で言葉になる前に、地面に転がった横島は、何事もなかったかのように立ち上がった。
「って、何で無事なのよ!?」
「アスナちゃん、俺、無事じゃダメなのか?」
「そ、そういうことじゃなくてっ…」
「それより横島の姉さん!一体どうしてこんなことを!」
言葉に詰まるアスナの肩の上に、カモが飛び乗って声を荒げた。その額には、微妙に血管が浮いている。
横島はカモの言葉の意味が解からず首をかしげた。
「こんなことって、俺はネギを助けたんだぞ?」
「あれのドコがっすか!?」
「あれって何だよ?」
促されるまま横島とアスナはネギが弾き飛ばされた方を見る。
尻が壁からはえていた。
どこか見覚えのあるグリーンのスーツに包まれた子供の尻。そこから生える二本の足は、微妙にぴくぴくと痙攣している。
「って、ネギーーーーーッ!?」
尻の正体が上半身を壁にめり込ませたネギだと、横島とアスナが認識するまでおよそ一秒かかった。
慌てた駆け寄った横島とアスナは、ある意味魔法の直撃を受けた方がまだましだったかもしれないネギを、足をつかんで壁から引っこ抜く。
「どうしてこんなっ…!?」
「姉さんが考えもなく弾き飛ばしたから、兄貴は頭から壁にめり込んじまったんすよ!」
「ちょっと、ネギ!大丈夫!?」
ドゥッ!
二人がネギの介抱をしていると、突然強烈な風が生まれる。
見れば茶々丸と低級霊から脱出したマリアが、子ネコたちを抱きかかえ、ジェットで空へと舞い上がっているところだった。
「あ…あ〜っ!逃げられちまった!」
「バカオコジョ!そんなことよりネギをどうにかしないと!ほ、保健室!保健室!」
「落ち着けアスナちゃん。揺らすな」
「よ、横島さん?」
涙目で慌てるアスナから、横島はそっとネギを抱き寄せて文珠を二つ作り出す。
「なに、それ?」
「文珠っていうアイテムだ」
横島は一つに《検》という文字を入れて発動させる。そのとたん、ネギの体の情報が横島に流れ込む。
(脳や神経、頚骨には異常なし。けど鞭打ちに打撲…これでそれだけですむってのは、魔法ってすげーな)
感心しながら《検》の文珠に残った霊力を体に還元すると、もう一つの文珠に《癒》の文字を入れてネギの額に軽く押し当てる。発動の際に、《検》の文珠で得たイメージを使い、負傷部位に過不足なく霊力を送り回復させる。
《癒》の文珠一つでも十分回復できるのだが、その場合、霊力の消費が多くなる。むしろ二つ使用した方が消費霊力の和は少ない。余った霊力を還元できる今の横島にしてみれば、むしろ二つ使用しても霊力を消費しない方が得なのだ。
「何してるの?」
アスナが不安げに聞いてくる。アスナの目から見ればネギの額に当てられたビー玉が、光っているようにしか見えない。治療が一区切りしてから、横島は安心しろと微笑んでみせる。
「おーい!忠っち!」
「ネギ坊主も大丈夫でござるか?」
「あわわ…。なんだかぼろぼろですね…」
ネギの治療が終わり余った霊力を取り込んだ頃、楓たちがやってきた。
「お、ちょうどいいタイミングだな」
《癒》の文珠の余った霊力を取り込みなおし、楓たちに手を振ったのだった。
その様子を見ていた小鳥が飛び去ったことに、横島が気付くことはなかった。
少し離れた屋根の上から、茶々丸がネギ達を見ていた。
「茶々丸・損傷は・ありませんか?」
「あ、はい…大丈夫です。マリアさんと子ネコたちは?」
「問題ありません。そして・ネギ先生も・99.72パーセント・大丈夫です」
「え?」
マリアの返答に、茶々丸は僅かに表情に驚きのような感情を見せる。それをみたマリアはやはりいつもと変わらない、しかしどこか優しげな表情で言う。
「茶々丸が・ネギ先生を・心配していると・思って・答えました。茶々丸は・優しいですから」
「……そんなことはないです」
言いながら、茶々丸は楓に背負われていくネギを見る。
茶々丸は、マリアに言われた『優しい』という言葉について考える。
あの時も、マリアが割って入った時も、ネギは敵である自分を撃つのを躊躇っていた。最初は単に他者を害するのが怖いだけかともおもったが、そんな臆病なだけの人間が、直撃すれば死ぬ可能性もある魔法を、自分の方に引き戻すなどありえない。
本当に優しいとしたら、それは他者を害さないようにプログラムされただけの、機械である自分ではなく―――
そこまで考えて、茶々丸の脳裏に一つの全く関係ない、しかし重大な問題が思い当たった。
「それはそうとマリアさん」
「何・ですか?」
「この子達の家は、どうしましょう?」
「あ」
教会の半分を瓦礫に変えた機械の乙女の額に、なぜか汗が伝ったような気がした。
「―――で、茶々丸に襲い掛かってきたところで、マリアに攻撃されてああなった、と」
『ご、ごめんなさい…』
夕方の保健室で、厳しい顔をした横島の前で、ネギとアスナは小さくなっていた。
「まーまー姉さん、兄貴達だって反省していますし…」
「お前が一番反省しろ!」
「や、やめっ!姉さん!中身が出ぐぎゃぇ!」
横島は、偉そうに葉巻をくわえていたカモを摘み上げると、雑巾の要領で絞る。
「あわわわわ…エ、エロオコジョ、成仏してね…」
「お、お父さん、先立つ不幸をお許しください…」
次は自分達の番かと怯えるネギとアスナ。やがていろいろな汁を垂れ流しながら動かなくなったカモを、横島はポイと投げ捨てる。
「ふんっ。この程度で意識を失うとはだらしない。俺なんか日頃からもっときついの食らってるぞ。さてと……」
『ひっ…!』
カモの無残な末路を見て、怯えて抱き合うネギとアスナ。その様子を見た横島は、無謀な策を立てたことへの反省は十分だろうと、軽く息をついてから表情を和らげる。
「まぁ、二人は反省してるようだし、そもそも俺も話を聞かなかったってこともあったし…。もういいよ」
その言葉にほっとした表情を浮かべる二人。だが、そんな二人を見つめる横島の目が、急に冷めた物になった。
「で、ネギ。エヴァちゃんと茶々丸を殺すことにしたんだな?」
「え?」
何の前触れもなく、何の気負いもなく問いかけられた言葉の意味を、ネギは直ぐに理解することが出来なかった。
それは、アスナも同じだった。
「横島さん、何、言ってるの…?」
「だから、殺すんだろ?エヴァンジェリンと、その従者の茶々丸を…。あ、茶々丸の場合は壊す、か」
まるで天気の話をしているような、自然な口調で応える横島。
違和感、というより異質な感覚をネギとアスナは感じた。
死ぬ―――。
殺す―――。
冗談や喧嘩などで、幾度か口にしたことも、耳にしたこともある言葉。だが…違う。それらと、今、横島が―――目の前の何者かが言っている単語はそれとは違う。
ネギは、落ち着こうとして笑顔で、しかしそうとは思えない引き攣った表情を作る。
「冗談…です、よね?は、ははは……横島さん、女の人が『殺す』とか、冗談でもそういうこと…」
「なに声を裏返してるんだ、ネギ?それに俺は本気だぞ、って言うか、お前らも殺そうとしてたろ?」
「そ、そんなわけないじゃない!」
アスナも自分の声が震えるのを自覚しながら、そんな自分を叱咤する気持ちで、冗談が過ぎるクラスメートを怒鳴りつける。
だがその声はいくら大きくても、怒鳴るというにはあまりにも力が足りない。
解かってしまったのだ。横島が本気で、本来の意味で『殺す』という単語を使っているということを。
横島がそう言った頃には、その顔からは普段の明るさや柔らかさが消えていた。
自分の常識が通じない異世界に迷い込んだような感覚と、その異邦へ自分達を連れて行った横島に、二人は例え様のない恐怖を抱いた。
「そんなわけないって、それこそ冗談だろ?
お前達は茶々丸を殺し、その後でエヴァを殺すつもりだった。そういう作戦だって、お前達が説明したんじゃないか」
「違います!僕達は殺すつもりなんか…」
「殺すしかないんだ、その作戦じゃな」
横島の口調が急に鋭くなり、見据えられたネギはそれ以上喋れなくなった。
「茶々丸はロボットだし、エヴァちゃんとは強い信頼関係で結ばれている。多少の怪我くらいで戦いからは身を引かないだろうし、そもそも修理が効く筈だからな。やるなら修復不能なまでに完全に破壊しないといけない。
エヴァちゃんだってそうなれば黙っちゃないだろう。吸血鬼、まして真祖だ。プライドが高い。それこそ仲間の仇に降伏なんかしないで、どちらかが死ぬまで戦うだろうな。手順を逆にしても同じだ。
結局、一人ずつ倒すっていうなら、両方とも確実に殺さないといけないんだ」
論理的に紡がれた感情の込められていない声に、ネギもアスナも反論できなかった。
二人とも、そこまで考えていなかったのだ。ただカモに言われるがまま、その後の展開も自分達のすることがどういったことかも考えず行動しただけだった。
「け、けど!向こうだって本屋ちゃんの血を吸おうとしたしネギだって…!」
「ああ、殺そうとした。だから本来、こっちだって殺すのを躊躇う理由はない」
生来の負けん気によって、アスナが言い返す。だが横島はそれを平然と受け止める。
「俺が聞いているのは、それでいいのかってことだ。
戦うって言うのは、相手を害する――傷つけたり大切なものを――仲間や恋人、夢や命なんかを奪いあうってことだ。勝ち負けはともかく、とても簡単な手段だ。特に殺しちまうのは、後始末は面倒くさいが当座の問題を片付けるには一番解かり易い方法だ。
だが、それをお前達が選ぶかどうかは、その責任を取るお前達自身の自由だ。
けど、その方法を捨てて穏便に解決したいって言ったのはお前達だろ?だから聞くんだ。
―――あの二人、殺して欲しいか?それとも、殺さないで解決したいか?」
空気が、急に重くなった気がした。
横島は、返答によっては本当にエヴァと茶々丸を殺す気だ。
いや、もしかしたら自分達も殺す気なのではとすら、錯覚してしまう。
そんなわけないのに、そんな想像すら引き起こすほど、横島の放つ殺気は濃く、そして明確だった。
「どうする?」
横島の促しに、ネギは少し正気と、『魔法の矢』を引き戻した時の想いを取り戻す。
聞かれるまでもない。自分は先生で、エヴァンジェリンも茶々丸も問題はあるが自分の生徒だ。
しっかりと前を見て、震える手を握り締めて、ネギは言った。
「ダメです!だって二人と僕の生徒なんですから!」
「わかった。んじゃ、やめるな」
……………。
「……えっと…それだけ?」
「それだけって……他に何か言うことなんのか?」
「いえ、けど、なんかあまりにもあっさりしてたもので…」
威圧感がなくなったしらけた空気に戸惑うネギとアスナ。
その時、保健室の扉が開いて白衣を着たしずなが入ってきた。
「あら、ネギ先生?もう大丈夫なの?」
「ネギは大丈夫ですけどぼかぁもう辛抱たまらんでぇぇぇすっ!」
何の脈絡もなく、横島は怪鳥のように舞い上がり、手は頭上であわせ足の裏も合わせる。
ルパンダイブをする美少女という奇妙な物体は一直線にしずなの豊かな胸に向けて飛んで行き
「何やってんのよっ!」
その横から飛んできたアスナのとび蹴りによって軌道をずらされ、横の壁にぶつかり地面にずり落ちる。
着地したアスナはやばいくらいに頭から血を流す横島の襟首をつかみ上げる。
「ああいう雰囲気の後でいきなりこういう行動取る、普通!?」
「仕方ないやないか!しずな先生のバディはめっさ俺の好み直撃なんや!」
「だからって飛び掛るな!っていうかシリアスでダーク気味な雰囲気はどこ行ったのよ!」
「所詮ギャグキャラの俺には長時間のシリアスはキツイんじゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
血と涙の他に、あらゆるな穴からいろいろなものを噴出しながら叫ぶ横島。その表情だけは、なぜか忠夫の頃の面影が強い。
そんな二人を見ながらネギはあっけに取られ、しずなは困ったような顔をする。
「あらあら、仲良しね。けど、そろそろ保健室を閉めたいのだけど…」
「ウッス。直ぐ帰ります。行くぞネギ」
「あ、ちょっと!……もうっ」
急に血を止めて(同時に服についていた血液も消えていた)ネギに声をかける横島と、文句を言い足りないのか不完全燃焼気味のアスナ。
横島は床に落ちていたカモを拾うと
「ったく、いい加減回復しろよ。あれくらいの折檻でこんな気絶してたんじゃ、アシスタントなんてやってられんぞ」
自分の職場環境を基準にかなり無茶なことを言うと、いまだ痙攣中のカモを頭に乗せる。
いまだ狐につままれたような表情のネギの方は、アスナが手を引いていた。
「んじゃ、お世話様でした!」
「ええ、帰り道気をつけてね」
「そのお気遣い!これはもう愛の告白と「そんなわけないでしょ!」ぺぐしっ!」
アスナの裏拳を顔面に受けながら、横島は保健室を後にしたのだった。
隣を歩くネギとアスナの心に、ギャグで後からコーティングしたものの、絶対に消えないように言葉を刻んで。
戦うって言うのは、相手を害する――傷つけたり大切なものを――仲間や恋人、夢や命なんかを奪いあうってことだ。勝ち負けはともかく、とても簡単な手段だ。特に殺しちまうのは、後始末は面倒くさいが当座の問題を片付けるには一番解かり易い方法だ。
だが、それをお前達が選ぶかどうかは、その責任を取るお前達自身の自由だ。
この言葉が、否応がなく戦いに巻き込まれ、やがて自らその渦に突き進んでいくことになる二人にとって、一つの指針になるということを、二人はまだ知らなかった。
闇の中には、もたらされた情報に対する不審が満ちていた。
「文珠を使う女?」
「文珠は文珠使いじゃないと使えないというわけじゃないだろ?」
「だがその娘は、横島忠夫とは関係のないはずの人物で、横島忠夫は親しい相手にしか文珠を渡さない」
「見間違いとかじゃねぇのか?」
「そんなわけないジャン!確かに文珠を使う人間の女を使い魔が見つけたジャン!」
ハーピーは憤慨をあらわにして言う。その手には、横島が文珠を使ったのを見ていた小鳥がいた。小鳥はその輪郭を崩すと一枚の羽に姿を変えた。いや、この羽が小鳥に姿を変えていたのだ。
「まぁ…そうだとしても、それが横島の居場所と直結するとは限らないしねぇ。
魔法使いの巣窟の麻帆良ってのも怪しいし…」
「しかし、調べる価値はあるんじゃないか?」
「任せるジャン。あのふざけたガキ…、見つけ出して殺してやるじゃん」
言うが早い、ハーピーの気配が消える。
ハーピーが今まで居た場所に目をやると、闇のいくつかが冷笑を浮かべた。
「ふん…。たかが人間と舐めてるね」
「いいのか?この分じゃあいつ、殺されるぜ?」
そういう言った声に含まれるのは、一見すれば仲間への心配のようだが、実際に込められている思惑は、自分達の手駒が減ることへの懸念だけだ。
ここに集った闇たちには、仲間の意識などはない。
美神令子と横島忠夫。
この二人への憎しみを持った者達が寄り集まっただけ。目的は同じであるが、所詮は数少ない獲物を取り合うライバルに近い。
「遠くからこそこそ豆鉄砲を飛ばすような小物、捨て駒で十分だ。それにあれでも魔族だ。普通の魔法使い程度なら相手にならない。あいつが始末されたとしたらそこに横島がいる可能性が高い」
「まぁ…しばらくは様子見だろうね…」
それが解散の合図だったのか、暗闇の中から存在感が消えて行き、そしてやがて空っぽの空虚だけが残った。
横島の存在に、闇達は確実に忍び寄っていた。
つづく
どうも、忠お!9のすぐ下にあったガーゴイル氏の『見習いが往く』を読んで、自分の未熟を再確認した詞連です。
やはりここは原作どおり、ネギに矢を戻させました。横島に止めさせるというのも考えたのですが、ここはネギに茶々丸フラグを立てさせるためにこうしました。忠お!を書くに当たっての原則として、「なるべくネギま!の人間関係を保存する」というのを意識した結果です。横茶々フラグを期待した方は申し訳ありません。
それではレス返しを
>gunrun氏
お褒め頂恐縮です。ちなみに文珠はちゃんと返してもらいました。
>D,氏
結局こういう展開になりました。いかがだったでしょうか?
ちなみに横島、というか美神流除霊術ではもこういった姑息な手段は当たり前なので、軽蔑はしないかと思います。
>暇学生氏
重火器も重火器、新ボディはその名もガンマリアです。
次回も週間一回の更新が叶うよう努力します。
>蓮葉 零士氏
>設定をきっちりしつつもそれをあまり押し出さない、これぞ娯楽小説。
私は薀蓄大好き人間なので(読むのも書くのも)なるべく押さえようと心がけておりますが、どうやら今回は程よく押さえれたようでほっとしています。次回も爆笑を届けれるように、がんばります。
>BM氏
>>「仮契約だかなんか知らんが、結局は美人のねーちゃんやカワイイ女の子とキスしまくる方便が出来たってことじゃねぇか!」
>冷静に考えれば、おかしなところの多い仮契約システム。
まあ、契約方法がキスなのはそれが一番簡単だからであって、他の人たちが常にそれでやってるわけじゃないようなので(笑)
>落とし子氏
>確かに内容説明の多い回でしたが、それでもテンポ良くネタがしこまれていたおかげで楽しく読めました。
お褒めに預かり光栄です。今後も芸人魂を忘れず、ネタをしこみ続ける所存です。
>SIMU氏
ご声援ありがとうございます。横島の行く末はどうなるかは、今後の展開をお待ちください。期待を良い意味で裏切れるように全力を尽くします。
>ナッチュ氏
ごきげんよう!詞連です。
百合はホモより噂が生じる率が高いんですよね。実際百合かどうかはさておいて。
>結局、エヴァは忠緒が女性と確認したのですか?そして女性と認識したのですか?教えて下さい!
とりあえず、乳は本物だと確認したでしょうね、揉んで摘んで吸いましたし(吸った!?)
確認は中途半端。最後まで確認する前に邪魔が入り、その説得に疲れてうやむやになってしまったので。
>基本的なスペックは茶々丸の方が上と思いますが…マリアには茶々丸を上回る内臓兵器が多数装備してますからねぇ〜
私の個人的な設定としては、茶々丸は拳法を使えるチャオがプログラムしたので格闘が強く機動力も高め。マリアは大気圏突入して無事だったことから頑丈さと仕込み武器の攻撃力が売り。といった感じで書いてます。
どっちがスペックが上以前に、系統が別でしょうね。スパロボ風に言うならリアルとスーパー。バルキリーとガンバスターといった感じでしょうか?
レス返し終了。
では、次回忠お!11で…。
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