インデックスに戻る(フレーム有り無し

▽レス始

!警告!壊れキャラ有り

「ある英霊?の物語 第6話(Fate+DUEL SAVIOR)」

柘榴 (2006-04-11 14:49/2006-04-11 14:54)
BACK< >NEXT

 試験から数日が経った。

 右腕の負傷は、試合後すぐにベリオが治療してくれたので、無事完治している。ファンタジー世界はこういう所は便利だ。

 「さて、と……やるか」

 で、今の俺は朝も早くから、闘技場に来ているわけである。

 投影対象検索……対象、ゲイボルク。

 「投影、開始(トレース オン)」

 創造の理念を鑑定し

 基本となる骨子を想定し

 構成された材質を複製し

 製作に及ぶ技術を模倣し

 成長に至る経験に共感し

 蓄積された年月を再現し

 あらゆる肯定を凌駕し尽くし

 幻想を結び槍と成す。

 「……」

 時間にして20秒程の間が空く。

 「……投影 完了(トレース アウト)」

 そうして、俺の手の中にようやくゲイボルクが生み出される。

 「………やっぱ、駄目か……ん、次。」

 先ほど読み上げた経験を、体の中に走らせる。

 「よ……っと。」

 ヒュオン!

 わずかな風切り音を出しながら、槍はまっすぐ突き出される。

 1回、2回、3回……筋肉が限界を感じるまで、連続で突き続ける。

 それでも、まだ、読み上げた経験を再現しているとは言い切れない。

 「これも、まだまだだな……はぁ。投影 解除(トレース オフ)」

 溜息を付きながら、生み出した槍を消す。

 先日の試験から、今日まで何度か試して分かったことがある。

 投影のタイムラグと条件だ。

 どうやら投影品は即座に出せるものと出せないものがあるらしい。

 分類すると、

 タイムラグ無し、八節も不要……干将莫耶

 タイムラグややあり(1〜2秒)、八節不要……宝具以外の武器、ローアイアス

 タイムラグちょっとあり(2〜10秒)、八節不要……D,Eランクの宝具、カラドボルグ

 タイムラグちょっとあり、八節必要……Cランクの宝具

 タイムラグかなりあり(15〜30秒)、八節必要……Bランクの宝具、カリバーン、エクスカリバー

 タイムラグすごくあり(30秒以上)、八節必要……Aランク宝具

 となる。ぶっちゃけ、Bランク以上の宝具は戦闘中予め用意してないと使えないと思ったほうがいい。

 多分、命令系統の違いのせいだろう。この体が使い慣れていたものなら、高ランクでもショートカットで検索出来るが、そうじゃないものは作り出すにも八節という検索命令と投影時間が必要なのだろう。しかし、ローアイアスが容易に投影可能ってどんな生活してたんだ、シロウ………

 これははっきり言って使えない。エミヤの利点は即座に、かつ多様な宝具が使える点だ。それがほとんど無くなってる。

 おまけに、憑依経験もまだまだ巧く使えない。これも例えるなら頭の中に説明書が書かれてると思ってくれればいいだろう。

 エミヤ自身の経験も説明書のように扱われるから、憑依経験とさほど変わらないが、この体で出来ることと、この体以外でやっていたこととの違いはやっぱりでかい。

 「はぁ……強化もそんな上手く使えないし……」

 「シ、シロウさん!?危ない!?」

 その声に振り返る前に双剣投影。

 ヒュン、ガキィ!

 「くっ……」

 やたら重い一撃。あいつ、また本気で撃ちやがったな……

 じ〜〜〜〜

 「え、えと……ご、ごめんなさい」

 十数メートル程離れた所には、ばつの悪そうな顔をしているイリヤ。

 「はぁ……」

 この世界に来て数日、まだまだ前途多難そうだ。


 ある英霊?の物語

 第6話 日常を、楽しんでみよう(前編)

 「お前は何度言えば分かるんだ、このスカタン!」

 ぼかっ

 「あぅぅぅぅぅ………だ、だって、飽きてきちゃうんですよ。同じ作業ばっかりだと……」

頭を押さえながら、涙目で言い訳する。

 「練習っていうのは基本的に反復するもんなんだよ!その辺は分かるだろう!!」

 「で、でも、毎日毎日、あれを撃ってるばかりなんですよ〜。それにずっと弱い攻撃って疲れるんです。」

 そう言ってイリヤが指差した先、20メートルの壁には、お世辞にも上手いとは言えない人を象った絵。その頭の中心部分と心臓部分には射的の的のような二重丸が描かれている。

 「強い攻撃撃って外れたら、闘技場壊れるだろうが。恨むなら命中補正が弱い自分の召喚器を恨め」

 そう。こいつの召喚器の特性は、攻撃のキャンセルとやたら高い威力。それだけなのである。
 おまけにこれは俺にも言えるのだが、身体能力や防御力の向上といった、基本的な地力の底上げは全くやってくれない。
治癒能力は俺の方は多少上がってるが、イリヤに至ってはそれさえもゼロ。

 はっきりいって、死ぬほどイロモノなのだ。俺達は。格ゲーだと上級者向きって感じ。これなら、まだ大河や未亜の方が初心者向きだっての。

 「うぅぅぅぅぅ……あ!そ、そう言えば新しく技を考えたんです!!それ、試してもいいですか!?」

 「基本が出来てないうちから、そういうのを考えるなよな……で、何考えついたんだ?」

 「はい!百聞は一見にしかず!お見せします!!」

 言って、的の方にリリスを向ける。

 「いっけ〜〜!!電磁銃(レールガン)!!」

 キュイン

 走る閃光、その疾さは人の身ではおよそ反応できないもの。

 そして、それは闘技場の壁を綺麗に貫通していった。ただし、的とは5メートルも離れた場所を。

 「…………(じ〜〜〜〜)」

 「……え、えと……次は大丈夫です!くらえ、爆裂弾(バースト ブレット)!!」

 打ち出された弾丸は着弾すると、巨大な爆発を起こす。爆発規模は手榴弾クラスだろうか?その爆発で、客席の一部が壊れたのは言うまでもない。

 「……………(じ〜〜〜〜〜〜〜〜)」

 「………う、うぅ…………うううううううう、爆裂電磁(バースト レール)!」

 「待て。もういい、待て。良く分かったから。」

 フルフル震える肩を叩いて、おそらく最大の一撃を放とうとするイリヤを押さえる。

 「う……ふぐ……うぅぅ……」

 下唇を噛み締めながら、こちらを見上げるその瞳は「違うんです、これは違うんです。本当ならきちんと当たって、誉めてもらえるはずだったんです。信じてください。」って語ってる。

 「あ〜、うん。発想は悪くないぞ。良く考えたな。さ、ちょっと休憩してご飯にしよう。な?」

「うぐ、うぐぅぅぅぅぅ…………」

 ぼろぼろ涙をこぼすイリヤの頭を撫でながら、弁当を置いておいた場所へと連れて行く。頑張れ、その涙がきっと明日の成功の糧になってくれるさ、うん。


 「さっきも言ったけど、考えそのものは悪くないんだ。だから、あんまり落ち込むな。な?」

 「うぅ……はひ(もぐもぐ)」

 ちょっと早いが食事休憩に入った俺達。目の前でフルーツサンドを食べながら、イリヤはまだ涙が晴れない顔で頷いている。本当はそれ、デザート扱いだったんだけどね……ま、いいけど。

 「やっぱり、形状から思いついたのか?」

 「ぐす……はい。見たときに何となく似てたんで、必殺技もそれにしたらいいかなって思ったんです。」

 確かにイリヤの銃は形状がハーディスに良く似ている。そこからあの技を考えついたのだろう。
 弾速と貫通力に特化した弾丸と、破裂する事で威力を高めた弾丸。どちらも遠距離武器の特性としては悪くない。特に反応しづらい遠距離攻撃は撃たれる側からしたら、非常に厄介だ。

 「でも、当たらなきゃ意味が無い。これで、普段の練習の必要性も分かっただろう?」

 下手したら、味方の攻撃で殺される可能性だって出てきてしまうのだから。

 「はい……生意気言ってすみませんでした。(もぐもぐ)」

 「食べるか謝るか、どっちかにしろ」

 「………………(もぐもぐもぐ)」

 「食うんかい!?」

 しかも既に4枚目かよ!!?この甘味王が!!

 「美味しいです♪(もぐもぐ)(ぱたぱたぱた)」

 「あっそ……」

 嬉しそうに尻尾をぱたぱたさせるイリヤ。てか、幻影だよな、本当に……。何か、尻尾が揺れるたび埃が舞ってる気がするんだが・・・・・・

 その後しばらく無言の食事が続く。口を開いたのは、もう甘い食べ物が無くなってからだった。

 「あの…シロウさんは怖くないんですか?戦うの」

 「そうだな……正直怖いといえば怖い。けど、まだ我慢できる。」

 肉が切れる感触、骨が折れる痛み。その辺りは動かしてるという感覚なせいか、どうにか我慢できる。
 不快感や恐怖。これはある程度なら現実世界でも体験してることだ。

 「前の世界ではさ。さすがに殺されるって所までいかなかったけど、何度か喧嘩もしたんだよ。で、大勢ともやったんだけどさ。そういう時って本当に殺されるかもしれないって怖くなった。」

 数で攻めてきてる方は、一人一人の恐怖感が薄れて、反対に嬲る気持ちが強くなる。

 「やってくる方は手加減無しだからさ。こっちとしては、それこそ相手を道具でもなんでも使って殺す位の気分でやらないと、勝てないんだよ。逆に打ち所悪ければ、こっちが殺されるんだし。」

 「……だから、ここでも殺せるってことですか?」

 「あくまで覚悟の話。向こうは殺す気満々なのに、こっちは痛めつける程度で済まそうなんて余程実力差が無きゃ無理なんだよ。出来れば殺したくは無いと思う。けど、殺さなきゃ殺される。戦うってのはそういうもんだからさ。」

 今の俺は倒して済ませられる力は持ってない。だから、殺すしかない。殺したくないなら、強くならなきゃいけない。だから、練習して、ちょっとでも強くなる。

 「勇者だの救世主だの言われても、結局は殺し屋でしかないんだよ。……それでも、続けるって決めたんだろ?」

 試合の後、一晩中ベットの上で震えてた君は。抱きしめてあげたら、声にならない声で泣いていた君は。
 それでも、帰らないと言った。この世界に残ると言った。泣きはらした眼で、けど絶対に覆さない光を灯して。

 「……でも、やっぱり怖いんです。殺したくないんです。それ以上に、殺されるかもしれない、それが怖いんです。」

 「……なら、練習しないとね」

 すぽっと胸の中に抱きしめる。

 「少しでも上手くなれば、殺さなくてすむかもしれない。相手が逃げてくれるかもしれない。それに、こっちが殺される可能性は低くなる。」

 矛盾してるとは思う。でも、これしかないんだ。戦うと決めたのは彼女なんだから。

 「俺も強くなるからさ、イリヤが殺さなくてよくなるように。」

 彼女が望んだ事としても、その白い手を返り血で染めるのを、出来る限り減らせるように。

 「はい。私も頑張ります。シロウさんが死なないように。」

 名前も知らない、見ず知らずの2人。でも、一番立場が近い2人。
 そんな繋がりでも、お互いが縋りあうような関係でも、守りたいと思える人がいるなら、少しは強くなれる。そのはずだから。


 その後の練習は、イリヤは真剣に練習してた。劇的に上手くなることはなかったけど。


 闘技場から、学園までの道を歩いている。

 「今日は後半はよくやったな。この調子で夕方も頑張ろう。」

 「でも、眠いです〜。せめて朝はもうちょっと遅くしませんか?」

 「駄目。時間は有限なんだから。部活の朝練と思えばどうってことないだろう?」

 「私、帰宅部でしたよ〜……」

 凄く眠そうにイリヤが答える。安心しろ、俺だってそうだ。

 「ま、早起きは三文の得ともいうしな。早起きに越したことはないだろう。」

 「三文程度の得なら、寝てたいです……」

 偶に思うんだが、普通ヒロインが言う台詞と主人公が言う台詞が逆転してないか?俺達

 (安心しろ、俺も似たような事を言ってる。)

 (だお〜)

 黙れ、雪国のカップル

 「あははははははは………」

 「ほ、ほら!何か楽しそうな声が聞こえるぞ!何かやってるのかも!!ほら、得したろ!?」

 どこからともなく聞こえる笑い声に期待し、イリヤを促す。

 「本当に楽しそうですね〜、ちょっと怖いくらいですけど。」

 「そ、そうだな……」

 というか、笑い声近づいて来てないか……?

 「あははははははははははははは、待ってよお兄ちゃん。どうして逃げるのかな?かな?」

 「とりあえず、ジャスティ持って追っかけまわすの止めろ〜〜〜〜!!!」

 「私はお兄ちゃんと話がしたいだけなんだけどな。な?」

 「俺は何もやってない!浮気なんかしてないっての!!」

 「嘘だ!!」

 俺とイリヤの目の前をトレイター(金属バット)を持って走る大河と、ジャスティをぶんぶん振り回しながらそれを追いかける未亜が通り過ぎる。2人ともどうやら俺達には気付かなかったようだ。

 土煙をあげながら走り去る2人。それを呆然と見つめる俺達。

 「なぁ、いつからここは鬼が住む場所になったんだ?」

 あぁ、元からか。

 「………みぃ。分からないのです。」

 うん、お前は犬キャラだから、それはやっちゃいけないぞ。

 「………あら。おはようございます。シロウさん、イリヤちゃん。」

 「ん?お、ベリオ。おはよう」

 「おはようございま〜す」

 大河達が去っていったのとは別方向からやってきたベリオ。

 「今日も、朝のお祈りか?」

 「ええ。もう習慣になってますから。お二人は?」

 「朝の練習。こいつも俺もへっぽこだからな」

 苦笑するベリオに、同じく苦笑で返す。

 「うぅ、改めて言われると、やっぱり切ないです。」

 「大丈夫よ、イリヤちゃん。頑張れば、その分きっと実を結ぶから。」

 がっくり来てるイリヤを頭を撫でて慰めるベリオ。委員長属性持ちは、こういう所は面倒見がいいよな。

 「……はい。明日からも頑張ります。」

 にこ〜

 「………シロウさん」

 「何だ?」

 「イリヤちゃんっていい子ですねぇ……」

 そういって、幼子にするようにイリヤを抱きしめるベリオ。

 「ふ、ふえ?ベ、ベリオさん?」

 「あぁ……凄く安らぎます。主よ、このような心優しい子を授けてくれた事に感謝します……」

 ちょっと困り顔のイリヤ。それに気付く事もなく、ベリオはうっとりした顔で、頬擦りなんてしてる。授けてない、授けてない。その子はお前の子供じゃないぞ〜

 「あ、あぅぅぅ……シロウさ〜〜ん(じたばた)」

 「……ベリオ。イリヤが困ってる。具体的にお前のその胸に埋められて息がし辛そうだ。」

 「………へ?あ」

 言われて、自分の胸の中で困った顔をしているイリヤの顔に気付く

 「ご、ごめんなさい!」

 ぱっとイリヤを胸から離すベリオ。解放されたイリヤは、逃げるように俺の背中に隠れる。

 「あの、ごめんねイリヤちゃん。」

 「………ベリオさんの胸って大きいですよね(じ〜〜〜〜)」

 じと〜〜〜って感じで、ベリオの胸を見つめるイリヤ。ベリオはというと何か寂しそうな顔してるし

 というか、お前もそんなに小さい方じゃないと思うぞ。

 ランク的には、リコ<<<越えられない壁(全て遠き理想郷)<<<ナナシ<リリィ<未亜<<イリヤ<カエデ<ベリオ<<<乳教師って所か。


 「(もきゅもきゅもきゅ………ピタ)何でしょう、今、私に対して不適切な判断をされた気が……私にだってまだ希望はあるんですマッサージも毎日やってますしマスターに毎回たっぷり揉んでもらった上にたっぷり中に出してもらって女性ホルモンもガンガン出てるはずなんですだいいちおおきいむねなんてかざりですとしとったらたれるんですおまけにちいさいむねはかんどがいいというのはえろげにおいてきほんなんですそのへんわかってるんでしょうねさくしゃ……」


 …………うん、まぁ、そういう訳で、イリヤの胸が並外れて小さいってことはない。

 「ちょっとだけジェラシー感じました。悔しかったです。今度胸に埋めるなんてしたら、ベリオさん嫌いになります。」

 ガガ−ン!!!!

 うわ、膝ついてるよ、この人……擬音付だし。

 「そ、そんな……この胸?この胸が悪いんですか?仕方ないじゃないですか、戯画基本の眼鏡巨乳6分の1法則なんですよ、私だって好きで巨乳キャラやってるわけじゃなんですよ、事あるごとに胸にばかり話の流れがいったり、大河くんには毎回胸でさせられたり、あまつさえ自分で自分の胸を吸わされたり、最近ちょっと弄られすぎて胸の感度が妙に上がってきたな〜とか思いますけど、基本的にはあんまりいいことないんですよ、その上、イリヤちゃんまで……私が、私が、何をしたっていうんですか〜〜〜〜〜〜!!」

 ……何でこんなにダメージ受けてるんだ?

 「あ〜〜……イリヤ、とりあえずお前が悪い。」

 「…………私は悪くないです。あんな大きい胸してるベリオさんが悪いんです。」

 「いいから、謝れ。じゃなきゃ、二度と頭撫でん。」

 ガガーン!!!!

 「そ、そんな!?ひどいです、私に死ねっていうんですかシロウさんは!?」

 「何故そこまで話がでかくなる……」

 「ふふ、ふふふ……もういいです、どうせ胸なんてあっても、リリィやリコに恨みがましい眼で見られるだけですし、あまつさえその脂肪の塊を寄越せとか言われるだけなんですから……もう、いっそ、切ってもらったほうが……」

 止めろ!!お前のアイデンティティーを崩壊させる気か!!?

 「ほら!さっさとやれ!!俺じゃ多分不可能だ!!!やったなら、今すぐ頭を思い切り撫でてやる!」

 「うぅぅぅぅ……約束ですよぉ……」

 不承不承とした顔で、イリヤは膝まづくベリオへと近づく。

 「あ、あの、ベリオさん……」

 「……い、イリヤちゃん?」

 「えっと、その、ごめんなさい。あの、ベリオさんの胸はやっぱり大きい方がいいかなぁって……やっぱり大きい胸って憧れますし……」

 「…………イリヤちゃん!!」

 ぎゅうううううううううううううううう!!!!

 「むぐぅぅぅぅぅ………」

 「ありがとう、ありがとうイリヤちゃん!!今度貴方にも秘蔵の豊胸マッサージ教えてあげます!!大丈夫、効き目は私のこの胸が保証します!!それをやれば今の私の胸なんて楽に越えられる事間違い無しです!同じ巨乳属性なんですから!!」

 あ、イリヤって巨乳属性なのね……ゲームではロリ属性だったのに……

 「あ、お礼は気にしないでね。こんな風に抱きしめさせてもらえればそれでいいの!あ〜〜〜〜、主よ、本当に、本当に感謝します!!願わくば、私の子供もこのような心優しい子を授けてくださいませ!!アーメン!!!」

 「ふぎゅうううううううううううううううううう…………(ガク)」

 あ、落ちた……

 ん、ベリオ、お前の未来の子供はいい子だぞ。鞭には怯えるがな。


 授業中である。

 誰が何と言おうと授業中である、いきなりすぎる場面展開ではあるが、授業中である。

 一応救世主クラスは全員出席している。大河もどうにか『転校』せずに済んだようだ。

 で、今行われてる授業は魔道概論なんだが。

 ここで、それぞれの授業へのスタンスを確認してみようと思う。

 熱心に受けている人……リリィ、俺、イリヤ

 意外かもしれないが、イリヤは授業、特に座学関係は結構真面目に聞いてる。この辺は元の世界で優等生だった所もあるだろう。俺はというと、面白いから聞いてる。反対に全く興味のない授業は、ぼけっとしてるが。

 普通に受けてる人……リコ、未亜

 前者はともかく、後者は訳の分からない、興味もないだろう授業をきちんと受けているのだから、凄いな、本当。

 で、授業に参加する気が無い人(ぶっちゃけ寝てる人)……大河、カエデ

 ここで、ベリオは?と思った人。鋭い。

 彼女はというと……イリヤに悦になってる人(他にも教室内に何人かいる様子)という分類になる。頭痛い……いつもなら、ベリオも真面目に聞いてる側なのに……

 いや、確かにね、う〜〜んって額に皺寄せながら、理解できるとぱぁ……っと花が咲いたような笑顔見せる様子なんて見てて、こぅ、無駄な保護欲やらなんやらを感じちゃいますけどね。

 「理解できたようですね、偉いですよイリヤ君」

 とか言う破滅の主将なんかの意見にも大賛成ですよ、えぇ。ただ、一回事に壇上から降りてきて頭撫でるな、それは俺の仕事だ。

 「少しは見習ったらどうですか?当真 大河君」

 「ぐぅぅぅぅ………」

 そんな声など何処吹く風の大河君。ある意味格好いい。

 「………やれやれ。それにしても、本当に頑張りやさんですね。イリヤ君は。」

 いいから、さっさと上に戻れ。にこやかな笑みを浮かべるな。

 「はい。頑張って覚えて、少しでも役に立てるようになりたいですから」

 にぱ〜〜

 「…………あの子も、生きていたらイリヤ君のように素直ないい子に育っていたでしょうね……」

 目頭押さえるな。一応それは終盤に明かされるネタだろ、確か。

 「ダウニー先生!授業が中断されてます!早く続きを!!(イリヤちゃんを撫でるのは私です!)」

 「そうですよ!!さっさと壇に戻ってください!!(俺だって撫でたいんですよ!!)」

 「手前ばっかいい目見てるな、このペド教師!!(学びの時間は有限なんですよ!!)」

 「………本音と建前が逆になってるぞ、そこのあんた。」

 てか、女子かよ……だが、その心意気は美事(みごと)と言っておこう。

 「…………はっ!?しまった!!?」

 「フィリアさん、後で職員室に来るように。あぁ、それと59ページから75ページの論についてレポートを書いてくるように。期限は明日、枚数は10枚以上です。」

 「あああああああああああ……」

 「………ダウニー先生、ペドフェリアだったんですか……」

 椅子に座りながら、イリヤはダウニーから少しでも離れようと俺に寄ってくる。

 「私、変態は嫌いです。」

 「あああああああああああああああああああああああああああああああ…………」

 崩れ落ちるダウニー。それを見ながら、勝ち誇った気分で俺はイリヤの頭を撫でてやった。

 「はふぅ……やっぱり、シロウさんが一番上手です。(ぴこぴこ、ぱたぱた)」

 「「「「「(………殺す、マジ殺す)」」」」」

 ふっ、今の俺なら破滅の四将とも戦えるぞ、きっと…………この教室の空気には勝てないけど(涙)

 き〜んこ〜んか〜んこ〜ん……

 た、助かった……これでどうにか終わりか。もう、ね。空気重い重い。

 「起立、礼。」

 当番の号令で、終わりの挨拶が行われる。

 あ、ちなみにダウニーはまだ膝をついてます。

 「イリヤちゃん、ご飯に行きましょう?」

 「え、えっと……シロウさん?」

 うん、耳をへにょんと垂れながら、こちらを見る様はまさに子犬!

 「あ〜、ベリオ。」

 「何でしょう?シロウさん?」

 「確認したいんだが……お前、レズの気はないよな?」

 「し、失礼な!私の想いはもっと純粋です!!そう、例えるなら聖母のように!」

 うん、自分で言う辺り凄く怪しいんだが。その発言。

 「とりあえず、聖母って確か処女で妊娠したんだよな。お前、既に違うだろ?」

 なぁ、開通者(大河)。

 「う゛……体がそうでも心は聖母なんです!ただ、ちょっとこう撫で撫で〜〜とか、ぎゅ〜〜とかしたいだけなんです。それが悪いんですか!!?小さい子を可愛いと思う事は罪ですか!!!?」

 いや、そんなある意味ロリータコンプレックス擁護とも取れる発言されてもな……てか、そういう発言はむしろ未亜がするべきじゃないか?ジャスティ(鉈)持って、走りまわってたし。

 「あ、あの……ベリオさん。私、シロウさんと一緒なら、いいですよ……」

 「……イリヤ……」

 「イリヤちゃん……」

 あのさ、頼むからその「いいですね、お兄ちゃんは……お母さん、全然構って貰えなくて寂しい」って顔は止めろベリオ。

 「ご飯は皆で食べた方が美味しいですから♪」

 はにゃ〜ん

 「う!(ばたん)」

 「馬鹿!倒れるな、ロイス!!折角のイリヤちゃんのはにゃ〜んなんだぞ!!」

 「……ふ、テリー……俺の一生に悔いはない……あの笑顔が見れたんだ……ああ、後悔なんてきっと無い。」

 「ロイス〜〜〜〜〜!!!!!!」

 「投影 開始(トレース オン)」

 「ホーリースプラッシュ!」

 崩れ落ちたロイスとかいうのと、その手をぎゅっと掴んでいるテリーとかいう奴らに、黒鍵を投擲。もう、いっそダンス・マカブルと叫びたい位に。追い討ちを掛けるようにベリオが必殺のホーリースプラッシュを放つ。

 「……ベリオ」

 「……シロウさん」

 ガシっと強く握手。そう、今俺達は通じあっている。萌えとかロリとかぬかすやつは滅殺あるのみ!!

 「……これからもよろしく頼む。」

 「……えぇ。イリヤちゃんは私たちで守らないと。」

 ほとんど見ず知らずの二人、でも今同じ思いを共有してる二人。

 そんな二人でも、お互いに守りたいものがあるなら、きっとそのために強くなれるから。

 「さ、行こうか。イリヤ。」

 「行きましょう、イリヤちゃん」

 「今度こそ決着を付けるときです。」

 「はい♪今日は何かな〜?チョコパイ、チーズケーキ、プリンアラモード♪真っ白バニラはキャラメルリボン♪」

 「はっはっは、そんな食べたら虫歯になるぞイリヤ〜?」

 「そうですよ。食べるのは一種類だけにしましょうね〜?」

 「ふふふ……その歌のとおりでいくと、やはりイチゴのパフェですか?いいでしょう、受けて立ちます。」

 こうして、両手を俺とベリオの二人に繋がれて浮かれっぱなしのイリヤと共に俺達は食堂へと向かうのであった。

 ……まぁ、今回もフードファイトが勃発したのだが。


 で、午後。今日はゲームでお馴染みの能力検定です。

 「さてと、今日も張り切って行くわよ〜ん」

 「ダリア先生、始める前に一ついいですか?」

 「……また〜?」

 嫌そうな顔をするな、乳教師。

 「「イリヤ(ちゃん)の相手が大河(君)だった場合、俺(私)と交換してください。」」

 「「「「駄目!絶対」」」」

 ………前回は俺一人だったんだがな……やはり、お前もか、ベリオ。

 「お、お前ら前回もそうだったけど、俺が何したっていうんだ!!?」

 「「「「「「ナニ」」」」」」

 「ぐはっ………」

 自業自得ながら、ダメージを受ける大河。

 「そうは言ってもねぇ……これは公正な順位測定なのよ」

 「ダリア先生、あなたはイリヤが大河の毒牙に掛かってもいいと仰るんですか?」

 そんな事は絶対に許さん!もしそうなったら、俺はゲームの流れをぶち壊そうとも、大河にエクスカリバーをぶっ放す!!

 「う〜ん、お兄さんが心配するのも分かるけど……そういえば、ベリオちゃんも?」

 「はい。これ以上大河君の犠牲者は増やせませんから。」

 ありがとう、ベリオ。これからもイリヤを二人で守っていこう。

 「とか言いながら、お兄ちゃんと戦いたいだけだったりして……勝っても負けても、いい目は見れるんだから。」

 「そうでござる。この能力測定の罰に限り、ろーてーしょんとは別物でござるからな。」

 「抜け駆けは、許しません」

 「で、どうなの?ベリオ?」

 「………………ナンノコトデショウ?」

 何故に片言!!?お前も、お前もなのか!!?ベリオ!!!!?

 「わ、私は純粋にイリヤちゃんを毒牙から守りたいだけです!!まぁ、その結果大河君と戦って負けたりなんかしても、それはそれかな〜〜?なんて……」

 「「「「……………じと〜〜〜〜」」」」

 「な、何ですか!?その疑いの眼差しは!!?」

 「すまん、ベリオ。俺もお前にちょっとだけ失望した。」

 「シロウくんまで!!?」

 「………エッチなのは、いけないと思います。」

 「い、イリヤちゃん!!!!!???」

 うん、2話で48手云々言ってたお前には言われたくないと思うぞ、イリヤ。

 「えっと……結局どうするの?」

 呆れ半分、困り半分なダリア先生。

 「はい!やはり、ダイスで出た目の通りでいいかと!!」

 「「「「「「却下」」」」」」

 すかさず手を上げる大河の案はあっさりと否決される。民主主義万歳。

 「とりあえず、イリヤと大河の目が出たら、もう一度振りなおしだな。」

 「仕方ないわね、それが一番公平かも……」

 「そういえば、前回はシロウさんとイリヤさんの目でしたが、もしシロウさんと私たちが戦うことになったらどうしましょう?」

 「あぁ、それは気にするな。例え勝っても変なことはする気はない。」

 「「「「「そう(ですね、でござるな、ね)」」」」」

 「ちょっと待て!!何でお前らはそいつの言葉はあっさり信用するんだ!!?そいつも男だろ!!?」

 「「「「「だって、シロウさんですし(殿でござるし)」」」」」

 これが信頼、いや信用の差というものだよ。大河君。

 「……シロウさん、約束ですからね。絶対に変なことはしないように」

 分かってるから、リリス取り出すなイリヤ。お前ギャップが激しすぎるぞ。

 「………さ、レッツタンブリングダイス〜〜〜♪」

 もう、さっさと決めた方がいいと考えたらしく、ダイスを宙に放り投げるダリア先生。

 「えっと……最初はイリヤちゃんと……リコちゃん〜〜♪」

 「はい!」

 「はい」

 元気良く手をあげるイリヤと静かに返事をするリコちゃん

 「先程の決着、ここでつけさせてもらいます。」

 「負けないよ〜、私だって」

 「じゃ、二人とも準備してね〜」

 その声に、二人並んで闘技場へと降りていく。

 「……とりあえず、一安心だな。」

 「そうね……大河が相手だったら、どうなった事か……」

 そう返すリリィに頷き返す。

 「お前ら……そんなに俺を危険人物に仕立て上げたいのか?」

 「元から危険人物だろ?」

 「お前には言われたくないぞ、このシスコン」

 「その言葉、そっくりそのまま返してやろう。妹に本当に手を出した犯罪者。」

 俺の言葉にまた精神的にダメージを受けてる大河。馬鹿め、口で敵うと思ったか。

 「先生〜、準備OKです〜〜〜♪」

 お、二人とも降りたみたいだな。

 「頑張れイリヤ〜〜、終わったら頭撫でてやるからな〜〜」

 「(ぴこ)は〜〜〜〜い♪」

 即座に生える犬ミミ。うむ、いい子だ。

 「私も撫でてあげますからね〜〜〜」

 「う゛……は、は〜〜い……」

 朝に落とされたからなぁ……ちょっと警戒気味に耳がへにょんと垂れてる。

 「ねぇ……あの耳って何?」

 「俺も分からん。ただ、感情が一目で分かる優れものだ。」

 「犬ミミもまた萌えるな……(チャキ)ハイ、ジョウダンデスカラジャスティハオロシテクダサイ、ワガイモウト」

 「今度言ったら、許さないからね。」

 とまぁ、軽く漫才やった所でダリア先生が始まりの合図をあげる。

 「それじゃあ、よ〜い、初め!!」

 「リリス!!」

 「行きます……」

 イリヤが銃を、リコは赤い色の本を召喚する。

 「……で、どっちが勝つと思う?」

 「俺はリコだと思う。あいつ最近やたらと強いからな。」

 「そうだね、お兄ちゃんに負けてから凄く……何があったんだろうね?」

 未亜さん、明らかに大河を疑ってますね、あはは……ま、多分、大河とやって契約でも結んだんだろうが。

 「で、シロウ殿は?」

 「……7:3でリコかな。上手くあいつが自分の欠点をカバー出来ればあるいはって所。」

 「あら?シロウくんにしては辛口ですね。」

 不思議そうにべリオがこちらを見てくる。ま、そう思うよね、普通は。

 「勝負事に関しては、辛口だよ俺は。それに今負けておいた方が、今後の勉強にもなる。」

 「ふ〜ん、ただの兄馬鹿って訳じゃないみたいね。」

 悪かったな、過保護で。

 と、動きだしたみたいだな、向こうも。

 「当たれ〜〜〜!!!」

 ダンダンダン!!

 そう叫んで放たれる弾丸は、どれも滅茶苦茶な方向に飛んでいく。

 「……ひどいわね、あれ。試験の時もああだったけど、わざとなの?」

 「いや、本人は大真面目。あいつの召喚器は基本的に本人の腕で当てるしかないからな。」

 当たらない事が分かったらしく、リコがテレポートで背後へと忍び寄る。

 背後からエネルギーを纏っての体当たり。

 反応できてないイリヤの背に当たると思われたそれは、背後のフィールドとぶつかりあい、火花のような干渉を起こす。

 「何あれ!?」

 「いつの間に防御結界を!?」

 「あれがあいつの特性。一定以下の攻撃はあいつには傷一つ付けられない。」

 「……何か浮かない顔だな、言う割には。」

 頬杖を突きながら見てる俺の顔に、大河が疑問の声を挙げる。

 「見てれば分かるよ。」

 後ろの干渉に気づき、イリヤが振り返って銃弾を放つ。

 「くっ……」

 流石に攻撃を放った直後のためか、避ける事は叶わず、盾を召喚してそれを受け止めるリコ。

 そのまま何発か銃弾を放つが、しっかりとガードされてるため、ダメージはそれほど与えられない。というか、攻撃がそもそも全力じゃない。

 「その程度ですか?」

 言いながら、距離を離すリコ。至近距離では当てられると考えての事だろう。

 「う……まだまだ!爆裂弾(バースト ブレット)!」

 脇に逸れる銃弾、しかしそれは地面に着弾すると小規模の爆発を起こし、土煙をあげる。

 それに視界が逸らされるリコ。その間に距離を詰めようとイリヤが走る。

 「ぽよりん」

 リコが盾代わりにスライムを召喚する。それまで居なかったモンスターにイリヤは驚き、足を止める。

 「お願いします」

 リコの声に答え、スライムがイリヤに攻撃する

 「へ?きゃ、きゃあ!!」

 スライムの体当たりでちょっとしたパニックに陥るイリヤ

 「馬鹿、ダメージがないんだから、相手を良く見ろ!」

 「へ!?えぇ!!?」

 まずい、余計にパニックにさせちまったか。

 「……セット。頭上注意です。」

 地面に何か書き込む様子を見せて、リコが天を仰ぐ。その先から落ちてくる隕石。

 「う、上ですか!?い、隕石!!?」

 驚いてる暇あるなら逃げろ、そう思っているとイリヤにそれが命中。これもダメージ無し。

 「……何つ〜か、無茶苦茶だな、あの防御力。」

 「同感。何あれ?下手したらベリオ以上じゃない。」

 大河とリリィが呆れた顔をする。対してベリオはというと……

 「あぁ、イリヤちゃん落ち着いて。大丈夫、しっかり相手を見て……」

 イリヤの行動にはらはらしながら観戦してるし。

 「しかし、このままだと決着がつかないのではござらぬか?」

 「そうだね、どっちもダメージ与えられてないし。」

 「いや。多分、もうすぐつく。リコの勝ちだな」

 そう俺が言うと、全員の視線がこちらに集まる。

 「見てろ。多分、リコも気づいてる。」

 その声を肯定するように、リコが動く。

 「行きます……テトラ・グラビドン!!」

 頭上から落とされる巨大な隕石。イリヤはスライムの攻撃に気を取られ、そちらに気づいていない。

 着弾。その威力はイリヤが起こした以上の爆発を地面に起こす。

 「きゃぁあああああああああ………!!!」

 それに吹き飛ばされるイリヤ。そして、その体は地面へと叩きつけられる。

 「う、うぅぅ……がくり」

 わざわざ擬音付きで倒れ付すイリヤ。

 「……勝負ありましたね。」

 「はいは〜い、そこまで〜。リコちゃんの勝ち〜〜」

 ダリア先生から、試合終了の合図が出される。それを耳にしながら俺は闘技場に飛び降り、イリヤの元へと向かう。

 「………立てるか?」

 「あう〜〜〜……くらくらします〜〜〜……痛いです〜〜……」

 俺の手に捕まりながら立ち上がるイリヤの体の状態を確認……よし、大して酷い怪我はないな。

 「お疲れ様。頑張ったな。」

 約束どおり頭を撫でてやる。

 「あぅぅ……ごめんなさい、勝てませんでした……」

 「気にするな、まだ初心者なんだからな。」

 「……大丈夫ですか?」

 こちらへと近寄ってくるリコ。その声には心配する気配が感じられる。

 「あぁ。大した傷はない。それよりありがとうな。おかげでこいつの弱点がまた一つ確認できた。」

 「やはり貴方は気づいていたんですね」

 「あぁ。多分そうじゃないかとは思ってた。」

 「あの〜、当事者抜きにして話を進めないきゃああ!!」

 横から物凄い勢いで何かにイリヤを連れてかれる。

 「イリヤちゃん怪我は無い!!?折角の綺麗な髪がこんなにぼさぼさになっちゃって、今梳かしてあげますからね!あぁ!!後ろにたんこぶが!!痛かったでしょう〜?可哀想に……(ギロ)リコ!!貴方何を考えてるんですか!!?あんな、あんな酷い攻撃をイリヤちゃんにするなんて!!!」

 ……ベリオ、落ち着け。とりあえず。

 「そんなに心配するほど酷い怪我じゃない。それを言ったら俺の骨折はどうなる?」

 「貴方なら何の心配もありません!それこそ、両手両足折られても平気でしょう!!」

 ………泣いてもいいですか?

 「どうなんですか!!?何か言ってみなさい!!」

 「その……済みません。」

 「御免なさいで済んだら、救世主はいらないんです!!!」

 うわ、凄い事言ってるよ。この人。

 「あ、あの、大丈夫ですベリオさん。だから、リコちゃんを怒らないで下さい」

 「〜〜〜〜〜〜〜、イリヤちゃん!!!(ぎゅむぅ)」

 「むぐぅぅぅぅぅぅ……(じたばたじたばた)」

 まずいな、また落とされるぞ。そう思ったので、ベリオの首筋に手刀を叩きこむ。

 「あぅ……(ガクリ)」

 「う、んしょぉ……シロウさ〜ん……(ポイ、ガシ)」

 涙目で抱きついてくるイリヤ。

 「よしよし、泣くな泣くな。リコ、とりあえずベリオ運んでもらえるか?」

 「分かりました。ぽよりん、お願いします。」

 呼び出されたスライムが、地面に放り出されたベリオを担ぎ上げる。

 「悪いな」

 「(プルプルプル)」

 この位、何て事はないから気にするな、とでも言うように体を震わすスライム。

 「ありがとうね〜」

 「(プルプルプルプル)(ふっ、主人の命に従っただけだ。感謝の言葉なら主人に言ってくれ。)」

 「お前、意外とクールなんだな……見た目に寄らず。」

 「(プルプルプルプル)(クール、か……あいつもそんな事を言ってたな……今言ったことは忘れてくれ。昔の話だ)」

 一体何があった、ポヨリン?

 「戻らないのですか?」

 「あ、あぁ……行くぞ、イリヤ」

 「は〜い」

 手を繋いだ俺とイリヤ、その後をリコと背中にベリオを背負ったクールガイ(何故かポヨリンにそんな幻影が見えた)は観客席へと戻っていく。

 「お〜、お疲れさん。大丈夫だったか、リコ?」

 「はい、マスター。もとい大河さん。ベリオさんも大丈夫です。ポヨリンご苦労様」

 大河の声に応えながら、リコはスライムを労う。

 「(プルプルプル)(気にするな、俺はお前の使い魔なのだからな。また、用があれば呼んでくれ。)」

 ベリオを優しく下ろすと、スライムはこちらに体の一部を振りながら、消えていく。

 「ばいば〜い」

 「(プルプル)(優しい少女よ。また会おう)」

 だから、何なんだあのナイスガイっぽい言動は……

 「なぁ、あのスライムはいつもあんな紳士的なのか?」

 「は?お前何言ってるんだ?」

 ………空耳だよな、幻影だよな。当然

 「あいつが紳士的じゃない所なんて見たことないぞ?」

 「そっちかい!!?」

 あぁもう!いっそ夢見てましたってオチの方がまだましだったわ!!

 「そういえば、さっきリコちゃんと話してた弱点って何なんですか?」

 「あ?あぁ、あれな。一応皆にも話しておくけど、こいつの防御は万能じゃない。」

 「はい。戦ってみた感触からですが、恐らく皆さんの切り札(エース)クラスの攻撃では、ダメージが突き抜けてしまいますね」

 俺が言おうとしていたことをリコが代わりに説明する。

 「つまり、ダンバインのオーラバリアって所か?」

 「古いぞ大河。せめてエヴァのATフィールドと言え。ダメージ軽減もつくけどな」

 「気力130クラスの攻撃ならぶち抜けるか……」

 「お兄ちゃん、何の話それ……?」

 リコ以外訳が分からないって顔してますね。

 「ま、要は全力攻撃されたらあっさりやられるって事。だから、負けるだろうって予想してた訳。」

 計ったわけじゃないけど、多分救世主クラスのEX技はC+からB位の破壊力なんだろうな。

 「む〜〜……酷いです。教えてくれてもいいじゃないですか。」

 「あくまで予想だったからな。それに、ただ言われるのと、経験したこととは重みが全然違うだろ?」

 「う、そう言われれば、そうですけど……」

 まだ何か言いたげなイリヤの頭を撫でて誤魔化す。

 「ま、その辺の欠点もおいおい解決していくさ。次に期待してるからな。」

 「わふぅ……はい。(ぱたぱた)」

 ん、いい子いい子。

 「なぁ、やっぱり……(ぼそぼそ)」

 「可能性はあると思うよ……(ぼそぼそ)」

 「セルビウムと眼の色が似てるしね……(ぼそぼそ)」

 「ですが、血は繋がってないようですし……(ぼそぼそ)」

 「それでも、きんしんそーかんでござるよ……(ぼそぼそ)」

 …………何話してるんだ、あいつら?良く聞こえないんだが?

 「おい、どうかしたのか?」

 「え!?あ、いや、何でもないぞ、何でも……」

 ……怪しい。何を隠してる当真 大河。

 「ほ、本当に何でもないですから!」

 「そ、そうそう!全然気にしないで!!」

 ……考える。あの5人、そして、俺に隠すような内緒の話……ああ、そういうことか。

 「別にお前等が今晩どんなことしようと、俺には興味ないから心配するな。どうせ、今日のローテーションとかの話だろ?」

 「な!?誰がそんむぐぅ!!」

 「………ま、まぁ。そんな所だな、はは、ははは……」

 顔を真っ赤にしたリリィの口を押さえる大河。

 全く。そういう事は後でゆっくりやってくれ。イリヤの教育にも悪い。

 「照れるな照れるな、ツンデレリリィ。」

 「むぐ〜〜〜〜!!!!」

 「ねぇ、いいのかな?勘違いしてるけど」

 「仕方ありません、そういう風に取られる事をしているのは事実ですから。」

 「自業自得でござるな、ある意味……」

 未亜達が溜息をつく。ん?何か可笑しいことでも言ったか?

 「あの〜、次初めてもいいかしら?」

 いつまで無視してんのとでも言いたそうにダリア先生が声を掛ける。

 「あ、あぁ。お願いする。」

 さて、次は誰が戦うことになるやら……


 続く


 スキルが更新されました

 スキル お子様 ランクA

 純真な精神の持ち主のみ所有されるといわれるスキル。周囲の特定の人間の保護欲を急激に増加させてしまう。(慈愛の心の持ち主や、子供、あるいは兄弟がいるもの)その効果はもはや呪い。


あとがき

 まただ……だからどうして無駄に長くなるんだよ!!ちくしょう!これもベリオやイリヤが暴走するせいだ!!!俺のせいじゃない!!(と、自己防衛してみる)

 てなわけで6話でした。あ〜、もう。早く本編入りたいのに……次回は今回の続き、でその次からようやく事件です。流れは決まってるのに、どうして長くなるかなぁ、本当……。推敲レベルの低さに泣けてくる…

 気を取り直して、レス返しをば


 セラト様>投影できない理由は今回の説明の通りです。ま、ぶっちゃけ、何でもいきなり出来たら強すぎますしね……
 ラストの人が誰なのか、その内明かしていきます。

 桜舞様>どうもはじめまして。
 >最後に〜
 さて、誰でしょうねぇw(ニヤソ)

 悠真様>こちらこそはじめまして。
 シロウ君にはこれからも頑張っていってもらいます。ただ、先に強化イベント起こるのはイリヤなんだよな……あのままだとへっぽこすぎる。
 大河が何故本編と違うのかもその内明かしていきます。
 お心遣いに感謝しながら、これからも頑張っていきますね。
 ちなみに、イリヤの召喚器の形が銃なのは……その人譲り、の所もあります。他にもありますけどねw

 監獄様>どうもはじめまして。
 >ショショリカ〜
 お、分かる人がいた。というか、微妙なネタが多いのに良く分かるな……
 作者の中でも、素の身体能力は救世主候補と英霊は同レベルという考えですのでその通りですね。イリヤが気になったようですが、それも今後の伏線です。最後の人もw

 カミヤ様>>緑色の潔癖症〜
 居ますよ〜、後は紫の髪のお玉使いや言葉で植物操る人もwこいつらも、その内出す予定です。(いつかは未定)
 イリヤはもしゲームキャラとして使うならかなり使いづらいですね、当たらない遠距離使いですから。しかも、防御もまともに出来ない……わ〜い、初心者泣かせw
 ゲイボルクが投影できなかったのは、本編のような理由でした。

 風の旅人様>ども、お初です。
 最後の人は、誰でしょう?(バレバレって言わないで)その内明かしますので、続きを待ってやってくださいませ。

 陣様>今回のお話で、投影しづらい宝具を明かしてみました。デュランダルやグングニールも一応投影できますけど、ランク高めなので戦闘では使いづらいかも。
 >ルールブレイカー〜
 う〜ん、どうでしょうね?というか、防御壁とかならまだしも、飛んでくる魔法に剣をきっちり当てられるかが疑問。弾くとかならまだしも。

 くろこげ様>どうも〜。やっぱり最初の戦闘はお披露目だろ、ってことでやらせていただきました。

 >『壊れ』が増えて〜
 どうもありがとうございます。今回は……どうでしょう?自分的には、結構壊したつもりですけど。

 投影に関しては、今の所、実戦中ではそうそう使えるものが少ないですね、予め準備してないと。その辺は次回ちょろっと書いてみる予定です。


 ミゼル様>話数が進むたびに、イリヤはどんどんエロから離れていきそうです……ま、これも伏線に繋がるといえばそうですけど。
 最後の人と、投影に関しては一応今のところは関係はありません。残念w

 なみれい。様>大丈夫です、作者の友人も引っ掛かってくれました。貴方のせいではありません(作者のせい?……ふふふ、引っ掛かる方が悪いんだよ……(待て))

 主人公は比較的痛みには鈍感、というか気にしない人です。人を傷つける罪悪感も。その辺も伏線、伏線w
 タイツとか言うな!ばれるから!!(既にバレバレな気も……)それでは、るーる、るぅ〜w

 seilem様>主人公は憑依経験はまだ使いこなせてませんね、ちなみに心眼(真)も半分程度です。ヒロインは傷つけたくないけど、ここには居たいという二律背反に頑張ってもらいましょう。
 ちなみに主人公の投影はあくまで贋作です。真作ではありません。

 ラストの人は誰が呼んだのか?ま、その辺はおいおい明かしていくので、待っててくださいませ。

 notenki様>どうも、はじめまして。
 えっと、投影はあくまで投影です。召喚ではありません。というか、真作召喚はあまりに強すぎますw
 それと、ランサーとか言っちゃ駄目!!もしかしたらバレてないかもしれないんだから!!(もうバレバレだって……)
 次回も楽しみにしていてください。

 なまけもの様>犬ミミと尻尾は標準装備になりましたw書いてて楽しくなっちゃったんですよ!!
 イリヤに襲い掛かったのが爆散したのは、やったのは本人です、一応。その辺は詳しいことは後ほど語ります。
 ……最後の人は青タイツな人じゃないですよきっと!!今はそういうことにしといてください!!(かなり苦しいな、とは思ってますけどw)
 シロウとイリヤは書いてる内に勝手に仲良くなっていくのである意味楽です。話は進まないですけどね……
 >嫉妬じゃなくても……
 ちなみに、戦いの後、こっそりぶち込んでおいたって事があったりなかったり……
 >いやはたからみてると〜
 傍から見てると、明らかにそうですよね〜。ま、そんな彼を(生)温かく見守ってやってくださいw
 シロウの弱点は、今回明かしたような所です。例えるなら、回避率の低いガンダム系?……使えねえ……

 nao様>ども、お初です。
 えっと、ルールブレイカーはともかく、エアは元々投影不可能だった気が……あれは造るって工程が無かったものですし。
 >学校の先輩の影〜
 これは分からないでしょうねぇ、詳しい説明無かったから。ヒントをあげると近々アニメ化するそうです、これ。(実は主人公はこの学校に通っていたという裏設定があったり……)
 最後の人の正体は、もう少し待ってくださいねw(しかし、多いな、これに関するレス……)
 イリヤがマスターじゃないです!むしろイリヤの御主人様(マスター)がシロウです!!(マテマテ)

 黒アリス様>見た目よりも中身が勝ってしまいました、その為増えた今回のスキルw
 原作にない武器、ですか……一応神話関係の武器は出したいとは考えてますけど、他の例えばゲーム関係はどうなるかな……考えてみます。

 ひげ様>フードファイトは彼女たちが揃った瞬間いつでも勃発します、おそらく。その度料理長が涙し、援軍が呼ばれる……と。
 夫婦剣の爆発は確かに使えます。しばらくはこれが主人公の切り札になるかと(後は、螺旋剣かな?)
 数千発か……何か、コンセントレーション・ワンとか覚えそうだな……w

 ななし様>うぃ。これからも頑張らせていただきます。
 ななし様も、これからもばしばし突っ込みお願いしますね。

 MT様>気にしないでください、何よりお体が第一ですから。
 最後の謎の人物も、色々とお話に絡んでくるので楽しみにしててください。

 カシス・ユウ・シンクレア様>こちらこそ、はじめまして。
 面白いと感じていただけたみたいで良かったです。壊れとらぶらぶほのぼのは作者も書いてて楽しいので、これからも大量に出てくると思います。
 名前が思い出せない理由はこれはラストに関ってくることなので、当分は謎にしといてください。

 時守 暦様>騎士王か……出そうかな、面白そうだし(いや、出せないって)確かに、あの人まで揃ったら、アヴァターは破滅しますね。も、もしや、この3人こそ真の破滅!!?(違うから)
 シリアスな戦闘シーンより、ギャグな戦闘シーンを書きたい今日この頃……w
 >ところで〜
 ブラックパピヨンは今のところまだばれてません。その為、ベリオはちょっと損してますwその辺も書かないとな……
 主人公はしばらくはハァハァしないと思います。てか、それよりもお兄さん度が先に上がってしまうw


  

BACK< >NEXT

△記事頭

▲記事頭

e[NECir Yahoo yV LINEf[^[z500~`I
z[y[W NWbgJ[h COiq@COsI COze