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「ある英霊?の物語 第3話(Fate+DUEL SAVIOR)」

柘榴 (2006-03-30 11:29)
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 注:今回型月世界に関して独自な解釈をした表現が書かれてます。そういうのが嫌だって方は即座にお戻りください


 「とぉ〜!」

 ぽふん

 「あ〜、この感触久しぶりです。高いベットってスプリングが利いてて楽しいんですよねぇ。」

 「…………」

 「しばらくはここで寝泊りするんですよね?寝心地に関しての心配は全くなしですねぇ。」

 「…………」

 「あ!?ごめんなさい、私が一人で使うんじゃないんですもんね。やっぱり2日おきに交代するのがベストでしょうか?」

 「…………」

 「あの〜、どうして黙ってるんですか?ま、まさか!?」 

 「…………」

 「その、私、まだそういう経験、ないんです。だから、その……」

 「…………?」

 「や、優しくしてください、ね?」

 ガシ、メキメキ……

 「ん?で、何がどうしたって?あぁ、ちなみに初めてがどうとか、優しくがどうとか、およそ今までの会話からどうつながればそうなるのか分からない言語中枢を脊髄反射で駄々漏れにさせた場合、私の右手の中にあるものをそりゃあ筆舌出来ないほどの有様にしてしまいそうなのだが?」

 「す、すみませんでした、ししょー……」

 片手でベットから引き釣りあげたイリヤが、足をぶらんぶらんさせて答える。

 誰が師匠だ、誰が。俺は虎竹刀なんか持ってないっての。

 答える代わりに、顔面を掴む右手の力を200%増し(当社比)にしてやった。

 「ひぎゃぁああああああああ!!!」


 ある英霊?の物語

 第3話  ちょっと、考えてみよう


 「…………で、だ。ほら、いつまでも寝てるな。話があるんだから。」

 イリヤが先程ダイビングかましたベットに腰を下ろす。

 こちらの体重を優しく受け止めながらも、つぶれることなくしっかりとした感触を返してくる。ん、確かに良いベットだ。

 「うぅ……誰のせいだと思ってるんですかぁ?」

 「ほほぉ……何か言いたい事があると?」

 良い根性だ。こちらも鍛え甲斐があるというもの。思わず右手をわきわきさせてしまうよ、はっはっは。

 「あ、あの、私が全面的に悪かったです。ですから、その笑顔は止めてください」

 ん、分かればよろしい。

 「ほら、さっさとこっち来い。」

 「は〜い、よいしょっと……」

 床に寝そべっていた体を起こすと、俺が左手で叩いた位置にすとん、と座る。

 「よしよし。素直でよろしい。」

 「ん……なんか、飴と鞭って感じですね。」

 「そうか?俺は基本的に素直な子には優しいぞ?」

 銀色の髪を撫でてやると、気持ちよさそうに声を上げる。うん、初めからこうなら俺だってひどいことなんてしないのに。

 「ではまず、俺たちの立場を考えるぞ。」

 「はい、先生!」

 右手をしゅたっと挙げるイリヤ。ま、この程度のボケは許そう。

 「元気でよろしい、どうぞ。」

 「私たちは晴れて救世主候補になれました。これからは冒険の日々が待ってます!」

 ぱこーん

 「はい、いきなりボケをかまさない。当分俺たちはここから離れることはありません。」

 「うぅ、暴力反対〜。生徒虐待で文部科学省に訴えますよ〜。」

 叩かれた頭を両手で撫でながら、こちらを恨みがましく睨んでるが気にしない。

 「残念ながらこの世界にはそういう機関はありません。で、イリヤはデュエルセイバーはやったことあるか?」

 「ジャンルはどういうのですか?」

 「アクションアドべンチャーって所か?その口振りだとやったことはなさそうだね。」

 「アクションは苦手です、反射神経鈍いんで。」

 そんな感じだもんね、見るからに。

 「じゃあ、まずそこからか……一応この世界はそういう名前のゲームと思ってくれ。もっとも、ゲームみたいにリセットもコンティニューもセーブロードもないけどな」

 「………やっぱり、現実なんですよね。」

 む、いきなりトーンが落ちたな。

 「不安か?」

 改めて聞くことでもないだろうが、確認してみる。

 「多少は。いきなり異世界になんて飛ばされれば誰だって不安になりますよ。」

 「まぁ、な。俺だってそうだし。」

 「でも、元の世界に戻りたいって気持ちはあんまりないんです。」

 ん?どういう事だ?

 「何か、事情が?」

 「えっと、大したことではないんですけど。私って結構お嬢様なんですよ」

 天蓋を見上げながら、話すイリヤ。

 「見た目のせいもあるんでしょうけど、周りからはお淑やかだの品行方正だの言われて期待もされてたんですよ。」

 「ただ、そういう見た目に振り回されるのに疲れたっていうか、そういう目でしか見られない現実に飽き飽きしてたんです。」

 「それで、偶然にもこういう世界に来れて、嫌な世界には帰りたくない、と。」

 「逃げ、でしょうか?」

 そう尋ねるイリヤ。先程の話には嘘は無い、と思う。

 「いや別に。新しい自分、ていうか本来の自分を出す場所が単に異世界に変わっただけだろ?」

 人間誰しも変身願望や逃避願望は持ってると思う。俺だってそうだ。

 例えば、田舎ものな自分が嫌で都会に足を踏み出すってのもそういうのの一種だろう。そうして運良く得た世界で、本人にとってプラスになるのなら別段悪いことではない。

 「ただ、自分が知ってる世界じゃないってことは頼れるのは基本的に自分だけってのを忘れないこと。特にこういう世界だと、人の生き死になんてあっさりと決まっちまうんだから。」

 親兄弟も、友達もいない。何か困ったことがあっても、自分でどうにかしなければならない。マイナスになったとしても、簡単には戻れない。

 その覚悟をこの子には持って欲しい。

 「……はい、分かりました。」

 「よし。まぁ、俺も同じ立場だから出来る限りは手助けをするけどね。」

 ナデナデ

 「あふ……ちなみに、シロウさんはどうなんですか?」

 「俺?俺もまぁ、帰らなくてもいいかな。どうせ、親から放任されてるし。」

 「へぇ〜、どんなお家だったんですか?」

 どんなって言われてもな……

 う、分かったから、そんな期待いっぱいの目で見つめるな。

 「俺の家って会社やってるんだよ。で、一応跡取りだったわけ。」

 「ただ、俺と親父の折り合いが悪くてな、そうしてたら親父が後妻取ったんだよ。あ、母さんはもう死んでる。んで、無事後妻との間に男の子が生まれてさ。家にいるのも嫌だったし、とりあえず住む家だけ貰って縁は切りましたって感じで一人暮らししてた訳。」

 「何か、小説みたいですね。」

 「お前が言うなよ、ある意味純粋培養。」

 つい苦笑してしまう。そういえば、なんで折り合い悪くなったんだったかな……

 「ま、その話は置いておこう。気分いい話でもないし。」

 身内話は後でも出来るだろう。

 「さて、じゃあ話を戻すけど、この世界の救世主ってのは何なのか、破滅ってのは何なのか、話そうと思う。聞いて欲しい。」

 そうして俺のこのゲームに関する知識をイリヤに話していく。

 救世主とは多くの多元世界をリセットして、新しい世界を生み出すよう神に仕組まれた存在であること。破滅とはいってみればその為の試験代わりであること、召喚器とは救世主、あるいはそれになりきれなかったものの成れの果てであることなどを……

 十数分程その話は続いた。

 「と、いうわけだけど。感想は?」

 「神様逝ってよし。」

 「大正解。」

 やってることは子供の我侭と一緒だ、それを普通なら手が出せない所でやるからタチが悪い。

 「で、本来ならその役目は大河、このお話の主人公がやるわけなんだが……ここからが問題。」

 「私達がいること、ですよね?」

 流石にこの手のお話には強いね。

 「そ。俺たちがいるせいで、この話の流れが俺の知らないものになってる。ついでに言えば俺たちがいる理由もね。」

 「考えられるのは神が私達を呼んだ可能性ですね、凄く可能性は低いですけど。」

 「あぁ。他には考えられるのは『世界』って可能性だな。自分が滅ぼされるのを防ぐために。」

 ただどちらの可能性も、矛盾点がある。前者はわざわざ敵対するような考えをするだろう俺達を、呼ぶ必要がないこと。後者は確か末期まで行かないと、守護者を動かさないこと。特に後者に至っては俺達が入っている理由がない。

 「う〜ん、謎ですね。一体誰が私達を呼んだのか?」

 「誰が呼んだのか、より何をさせたいのか、が気になるな。大河達の手助けか?」

 「神が呼んだんじゃなければそれでいいと思いますよ。それ以外したくないですけど。」

 それはそうだ。何で世界を滅ぼす手助けしなきゃならないんだよ。

 「そういえば、さっき召喚器出してたよな?出せるか?」

 「あ、はい。ちょっと待ってくださいね」

 言って立ち上がるイリヤ。何かを掴むように右手を掲げる。

 「我が呼び声に答え、疾く参ぜよ。汝は我が敵を打ち砕く牙にして、我を守る鉄壁の盾也。出でよ、リリス!」

 その声に応えるようにイリヤの手の中に一丁の拳銃が生まれる。

 「ちなみに聞くが、そう呼ばないと来ないのか?」

 「いえ。単なる気分です。」

 即座に右ストレート。

 ガイーン

 「いっつ〜〜〜〜〜…………何だ、これ?」

 今鉄かなんか殴った感触したぞ。

 「これが私の召喚器の特性です!一定値以下の攻撃は自動的にキャンセルできるんです!!」

 えっへん、と胸を反らすイリヤ。

 「どんな特性だよ……まぁ、中々いい特性だけどな。」

 ノックするように軽く叩くと、イリヤの表面に薄いバリアー状の何かがあるのが分かる。

 うん、これならど素人の奴でも十分に戦える。おまけにどうしても防御に薄くなりやすい後衛の欠点を上手くサポートできるな。

 「名付けて神々の試練(ゴッドハンド)(偽)!!」

 「黙れ、似非バーサーカー。とりあえず聞くが、それを呼べるようになったのはいつだ?」

 「えっと、さっき遊んでた最中だったと思います。」

 あの乱戦を遊びといいますか、この天然お嬢様は。

 「頭の中に、『力が欲しい?』って声が聞こえて、とりあえずはいって答えたら、『なら貸してあげる』って。」

 頷くなよ。てか、ネタじゃなくてマジだったのね。

 「で、そいつとは話せるか?」

 「えっと………」

 目を閉じて、額に銃を押し当てる。頭の中で話し掛けてるって所か。

 しかし、銃、ねぇ。形状としては前に読んだ黒猫な掃除屋のそれに似てるけど。

 「駄目ですね、使い方はさっき教えてくれたんですけど、こっちの問いかけには答えてくれないです。」

 「ん、まぁ、その辺は出来たらラッキー位に考えてたからあんまり気にしてない。しっかし、リリスって凄い名前だな……魔王の嫁かよ。」

 「いいじゃないですか、可愛い名前だと思いますよ。」

 響きは可愛いけどね、確かに。

 「んじゃ、次魔中回路開いてみよう。」

 「あの〜、さっきからそれ系ばっかですか?もうちょっと楽しい話しましょうよ。」

 「駄目。時間は有限なんだから。それこそいきなり襲われるって可能性もあるんだし、戦闘手段は今の内にしっかり確認しないと。それに、そういうのも憧れてたんだろ?」

 「まぁ、そうなんですけど……それにしても、つまんないです。」

 あぁ、分かった分かった。

 「とりあえず、これが終わったら言うこと聞いてやるからから、今はしっかりお勉強ね。」

 もう一度頭を撫でる。つ〜か、保父にでもなった気分だな。

 「は〜い……でも、どうやって開くんですか?」

 「あ〜、そうだな。やり方分からんか。」

 そういう俺も実はあんまりよく分かってない。

 「とりあえず、イメージだな。さっきの乱戦の最中、見てた感じだと魔術回路は開いてたようだから、その時に頭に浮かんだイメージを思い出してみよう。」

 あくまで多分、だけどね。

 さて、言ってる俺も確認しないと……確かエミヤは撃鉄のイメージだったよな……

 頭の中に思い浮かべるそれをゆっくりと落としていくイメージ……

 ガキン

 イメージに従うように何かが落とされる音が頭に響く。それと同時に体の中から力があふれてくる。

 よし……このまま、一気に

 ガキンガキンガキンガキンガキン……………

 「ってちょっと待て!いきなりすぎ」

 止める間もなく体の中に大量の何かが流れ込む。まずい!まずいまずい!!

 頭の中がぼうっとする。熱い熱い熱い熱い熱いあついあついあついあついあつい……

 「っだああああああああああああああああああ!!!!!」

 熱暴走しそうな体、出さないと、これを今すぐ出さないと!!

 「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」

 体の中にたまったそれを吐き出すように声を上げる。擬似神経に溜まったそれは、声と共に勢い良く外に流れ出す。

 「ぅ……………はぁ!………はぁ、はぁ……」

 思わず、両膝を床について四つんばいになる。何なんだよ、今のは……

 「だ、大丈夫ですか?」

 「あ、あぁ……大丈夫。疲れてるだけ」

 そう答えイリヤの方を向いたとき、部屋の様子が明らかに変わってるのが見えた。

 「なんだよ、この台風一過みたいな有様は……」

 備え付けのテーブルや椅子は派手にぶっ飛んでるわ、タンスはそれがぶつかってへこんでるわ、ベットは滅茶苦茶になってるわ、ひどいな、こりゃ。

 「これ、シロウさんがやったんですよ?」

 「は?俺?」

 何がどうして?

 「突然大声出したと思ったら、ドラゴンボールみたいに真っ赤なオーラ出したんですよ。」

 「あ〜、ちょっと待って。考えるから。」

 今俺は魔力回路を開いた、んで、さっきの熱。ついでイリヤの説明から考えると……

 「多分、大量の魔力に当てられて擬似的な魔力放出したんだな。俺」

 「魔力放出って、セイバーさんじゃないんですから。」

 「いや、出来ないことはないと思う。セイバーのあれは魔力はあっても魔術回路がないからああいう使い方しか出来なかったはずだから」

 床に腰を下ろして、説明体勢に入る。

 「で、今の俺はって言うと、魔術回路が本来受け入れられる以上の魔力を取り込んじまったせいで、余った魔力を放出したって所だと思う。」

 「つまり、ここの魔力は型月世界よりも圧倒的に濃いってことですね。」

 「多分ね。吸う息にも魔力が篭ってそうだし、この世界。」

 うーむ、そう考えると凄いな根の世界。

 「じゃあ、私にも出来ますか?」

 「あぁ。オーラみたいなの出してたのはさっき見たし。」

 それを聞いて俄然やる気を出すお嬢様。本当に好きなのね、ファンタジー

 「あ、ただ気をつけて。今俺がやった感じだと頭で想像しただけで反応してしまうみたいだから。」

 「?はぁ、分かりました。えっと、イメージ、イメージ………確か……」

 ぶつぶつと呟きながら、先程の乱戦を思い出しているのか、目を瞑っている。

 「そう、スイッチ………ビデオかテレビのような…………回路、起動(パワー、オン)」

 そう呟くと、イリヤの体から少しだけ白い何かが溢れる。

 「OK。そこまででストップ。」

 「後は………」

 「そこまでにせい。」

 そのままの勢いで全回路起こそうとする頭に、干将(もちろん峰)でつっこむ。

 「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜、今物凄い痛かったですよ。」

 「ん。とりあえず、宝具クラスなら防御を貫けることが判明したな。」

 「人体実験しないでくださいよ……もぅ。」

 「よしよし、いたいのいたいのとんでいけ〜」

 空いてる手で叩いた部分を撫でてやる。

 「何か、私をどう思ってるのか分かってきました。」

 「ま、それは置いといて。」

 「置かないで下さい」

 「いいから置いとけ。話が進まない。」

 確認しなきゃいけないことだってあるんだから。

 「今起動させた時の感じはどうだった?」

 「どうって、イメージしたら、普通に開きましたよ。」

 「痛みとかそういうのは?」

 「いえ、特に。」

 「ふむ……後はこれ、か。」

 左手に持った干将を見つめる。

 「一応今俺は召喚器を出そうとしてみた。が、出てきたのはこれだった。」

 「?それって干将ですよね?つまりそれが召喚器?」

 「でもあり、宝具でもあるみたい。……今から話すのはかなりあやふやな理論ってことで聞いてくれ。」

 現在での俺の中の推論を話す。

 「まず、俺達が魔術回路を起動できたのは、例えるなら車を運転してるようなものなんだと思う。今俺達が使ってるこの肉体は、言ってみれば英霊の魂がそのまま肉体を持ってるのと同じもので、それを俺達っていう別の命令系統で動かしてるに過ぎないんだろう。」

 「ん〜、だとするとこの体本来の意識はどこにあるんでしょうね?」

 「多分、眠ってるかなんかじゃないか?あるいは俺達に一時的に取り込まれてるか。で、何故か俺の場合はその眠ってるエミヤの魂が召喚器って扱いになってるんだろうな。確か召喚器も魂が変化したものだからそういう誤認識でも起こしたんだろう」

 何言ってるんですかって顔。うん、そう思うよね。

 「だけどな、俺の召喚器を出そうとすると、何故か宝具のリストが頭に浮かんでくるんだよ。」

 「じゃあ私が召喚器を呼べる理由はどうなるんですか?」

 「それなんだよな……もしかしたらそれもイリヤスフィールの魂なのかも。だとしたら、何でそれだけはきちんと具現化してるのか……どっちにしろ俺が投影で出す品は召喚器って扱いになるみたいだ」

 自分でも穴だらけの推論だと思うが、仕方ないだろう。英霊の体を乗っ取るなんて事が、そもそも前代未聞なことなんだから。

 「でも、聞いた話の召喚器と比べると、弱くないですか?」

 「固有結界が使えるってだけで相当卑怯だと思うが。それにどうやら、呼び出した宝具は全て強化されるみたいだな、具体的にはランクが一個上がってる」

 「………反則って気もしますね、それ。」

 「それは言うな。」

 これもある意味この体に合ってる。何たって、ただでさえ無茶な宝具が1ランク強化されるんだから。投影による負担もこの世界の豊富な魔力のおかげでかなり軽減される。

 「ずるい……おまけに、投影って確か経験も憑依できましたよね。無茶苦茶じゃないですか。」

 「あのな……それを言うならお前の特性もそうだろうが。」

 「……あ、確かに。う〜、でもやっぱり羨ましいです。」

 「隣の芝生は青いってね。そんなもんだろう。」

 俺にしてみたら回避も何もいらないそれが羨ましくて仕方ないのだが。

 「さて、後確認することは……」

 ドドドドドド………バン!

 「くっそ、何であんなに強くなって……うわぁ!なんじゃこりゃあ!」

 突然入ってきた制服姿の男は、部屋の有様に大層驚いています。

 「お前こそなんだ、人の部屋にいきなり入ってきて。」

 「え?お前の部屋?ここ空き部屋だったはず……」

 考えようとしたところで、はっと何かを思い出した様子を見せる。

 「と、とにかく、ちょっとだけ匿ってくれ!あ、後誰か来ても俺はここにはいないって言ってくれ!!」

 「ちょっとま」

 言うだけ言って、ベットの下に隠れる男。いや誰だか物凄く分かるけどね。

 「とりあえず、自己紹介も無しかよ……」

 「……………」

 どうやら、自分はここにはいない、とでも言いたいらしくだんまりで返される。

 「誰ですか?あの人?」

 「当麻 大河。一応主人公」

 「キャラ的にはちょっとHな熱血漢って所ですか?後、偶に3枚目」

 「ん〜、ま、そんな所。」

 ちなみに今の俺達の会話は小声でされてます。

 ドドドドドドドドドドドドドドドドド……………バン!バン!!

 「お兄ちゃん!」

 「大河!」

 わ〜。次のお客様かよ

 「あ、あれ?お兄ちゃんは?ていうか、何この有様?」

 「ちょっとそこの人、馬鹿見なかった?」

 「まぁ、待て。とりあえず、何処の誰か位説明してくれ。」

 うん、救世主クラスの(ある意味)2強と喧嘩する気はないから安心してくれ。

 「先に言うが、今日からここで暮らすことになったエミヤ シロウだ、よろしく。」

 「私はえっとエミヤ イリヤです。よろしくお願いします。」

 ぺこりと頭を下げるイリヤに、少々困惑気味の2人。

 「え?どういうこと?」

 「ほら、ベリオが言ってた新しく入ることになった救世主候補の2人でしょ?」

 「で、君達は一体誰なのかな?」

 「あ、当麻 未亜です。えっと、私も救世主クラスに入ってます。」

 「じゃあ、仲間だね。よろしく〜。」

 「私は、リリィ・シアフィールド。救世主候補生よ。よろしく」

 「ああ、こちらこそ。」

 差し出された手を握り返す。何か人当たりがいいな、このリリィ。

 「で、何の用でここに?人を探してたみたいだったけど?」

 「!そうだ、お兄ちゃん!!」

 「ここにアホ面した先天性浮気症候群末期症状の男が来なかった?」

 「いや、性癖までは知らないが、今しがた男が来たぞ。」

 言いながら、声を殺す様ゼスチャー。

 「?」

 「で、そいつはここに来た後、即座に部屋から出て行ったが。そいつがどうかしたか?」

 ベットの下を指差す。2人が動こうとするのはイリヤが押さえてくれた。

 「そんな訳でここには俺達以外はいない。人探しなら他所に行ってくれ。」

 「分かったわ、ありがとう」

 そう言って、内側から扉を閉めるリリィ。音だけ聞いた感じでは外に出て行ったと思うだろう。

 「…………いったぞ?」

 「いや〜助かった、サン……」

 意気揚揚と出てきた大河がピシリと固まる。

 「ド、ドウシテオフタリガココニイラッシャルンデスカ?」

 「それはもちろん」

 「この人が教えてくれたからよ」

 そう言って俺を指差す未亜とリリィ。

 「なにぃ!お前騙したな!!」

 「騙したも何も俺は言われた通りやったぞ。」

 「は?」

 「言われた通り、お前はここにはいないと『言った』。ちなみにさっきもきちんと聞いたぞ?『言ったぞ?』と」

 そう、全く嘘は言っていないのだ。どう取るかは本人次第。

 「屁理屈だろそれ!!」

 「話術なんだけどな、一応。てか、俺よりも話さなきゃいけない人がいるんじゃないか?」

 「…………そうね」

 「きちんと、説明してもらわないと…………お・に・い・ちゃ・ん?」

 ソコニハアカイアクマトシロイマオウガイラッシャイマシタ。

 な、なんだ、この体の奥底から溢れるような恐怖は!!?

 ニゲロニゲロニゲロニゲロ…………って違う!

 「ちょ、ちょっと待て。今日は浮気らしい浮気はしてないぞ。うん、授業にもきちんと出席したし。」

 「そうだね……今日『は』そういうことはなかったね」

 は、ってことは普段はあるんかい。つっこみたいが2人の空気がそれを許してくれそうにありません。

 「でもね、大河……一つ忘れてない?」

 「な、なにをでしょうか?」

 「私達の事。」

 「わ、わたしたちって、今日はリリィで、昨日は未亜だろ!?きちんと覚えてるって!!?」

 ローテーション出来てるのかよ、いいご身分だなおい。

 「うん、そうだね……でもね、おにいちゃん。私達の間で決まってたでしょ?」

 「ローテーションの日じゃない子には手を出さないって。じゃないと平等じゃなくなるでしょ?」

 「ぎくぅ!!」

 ……あぁ、あれね。いや驚いたよ。こけたベリオさんのスカートの中に衣服が無かった時は。一応言っておくが後ろからだったから大事な部分は見てないぞ、うん。

 「あ、あれは、その……なんというか、掃除してるベリオのお尻がこうふりふり揺れる様に思わず興奮してしまったというか……」

 「「そんなことは、聞いてない(よ)」」

 「サー、イエッサー!」

 びしぃと敬礼する大河。うわ、立場低いな、おい。

 「でね。ベリオさんにはもう、『お仕置き』が済んでる訳だけど……」

 「大河にも、もちろん責任はあるわけ」

 リリィの手からばちばち、と雷光が漏れる。既にライテウスは装備済みなんですね。てか、どんなお仕置きしたんだ……?想像したいような、したくないような……

 そして、未亜の手の中にはジャスティ(真)が…………って既に覚醒済み!?

 「あ〜、悪い」

 「「何?」」

 うん、めっさ怖い。んで、助けを求めるような目をされても困るぞ、大河。

 「とりあえず、ここで無い場所でやってくれないか?部屋が壊れる。」

 「………そうだね。」

 「じゃあ、行きましょうか?大河」

 ガシ×2

 「ヘ、ヘルプミー!!」

 「断る」

 あんなエスタークとダークドレアムな空気出してる2人に、敵う訳無いだろう。

 「うふふ……」

 「ふふふふ……」

 「「ふふふふふふふふふふふふふふふ…………」」

 「あぁぁぁぁぁぁぁ…………」

 2人の悪魔に首根っこ掴まれながら連れて行かれる大河。BGMはドナドナ。

 バタン

 「…………ぎぃYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!!!」

 合唱。自業自得だけどね。

 「…………」

 「というか、妙に静かだけどどうかし……」

 な、何でここにもシロイマオウが現れてるんですか!?

 「今思い出しましたけど、そういえばシロウさんて乗られたことあるんですよね……」

 「ちょ、ちょっと待て!俺の女性遍歴はお前と関係ないだろう!!?」

 「えぇ、そうですよね……ただこの体が言ってるんです。『浮気者は人形にしないと』って」

 待て待て待て、確かに今の体はエミヤだが、中身は別人なんだぞ!!?てか、銃持って笑うな〜〜〜!!!

 「うん、そうだよね。やっぱりお仕置きは必要だよね……。」

 「頼むから正気に戻れ!!」

 「大丈夫、痛いのは初めだけだから……」

 それは痛みすら感じなくなるって事かい!

 「それじゃあ、行くよ。おにいちゃん♪……極細と散れ」

 「ろ、熾天覆う七つの円環(ローアイアス)!!!」

 撃ち出される弾丸。それに立ち向かうは7枚の花弁!その台詞の使い方間違ってるとつっこみたいが!!

 パリ−ン

 「な、何ぃ!!?」

 ちょっと待て!仮にも宝具だぞ!?しかも強化されてるそれがいくら投擲武具じゃないからって、一撃で6枚落ちかよ!?

 「ま、待て。俺が悪かった、とりあえず悪かったから!!」

 「もう、遅いんだよ。ふふ、ふふふふふふふふふ……………」

 「NOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO!!!!」

 その日。救世主寮に3つの閃光が閃いた。


 後に、俺の考えに間違いがあったことを、俺は知ることになる。


 ステータスが更新されました

 真名??? (エミヤシロウ)
 クラス メサイア(仮)
 筋力 D    耐久 C
 敏捷 C    魔力 B+
 幸運 E++  宝具 E〜A+++

 スキル 魔力放出(偽) C

 この世界に来たことにより、擬似的に得た能力。筋力、敏捷に+の付加を与える。

 スキル 殺人的突っ込み B

 ボケに対し必要以上の破壊力の突っ込みを的確に放つスキル。ギャグシーンにおいて、筋力、敏捷、宝具のステータスが1ランク増加する。(ただし攻撃時のみ)


 宝具 召喚器? ???(E〜A+++)

 エミヤの保有する宝具を呼び出すことが可能。その際、宝具のランクは1ランク増加、あるいは+の付加を受ける。


 真名???(イリヤスフィール)
 クラス メサイア(仮)

 筋力 E    耐久 D
 敏捷 D    魔力 A++
 幸運 C    宝具 B

 スキル 魔力放出(偽) C

 この世界に来たことにより、擬似的に得た能力。筋力、敏捷に+の付加を与える。

 スキル ボケ B

 ギャグシーンにおいてある意味必須のスキル。ギャグシーンでは耐久のステータスが1ランク増加する。また、Bランク以上のスキル保有者は+の付与と更に再生能力に似た自動治癒が発揮される。

 スキル お仕置き C

 持っている本人も何故保有しているか分からないスキル。特定の人間に対し、攻撃力が圧倒的に増加する。スキルのランクが上がれば上がるほど、その力は理不尽に、振るわれるきっかけも理不尽になる(Aランク=デビルキシャ−)


 宝具 召喚器 リリス (B)

 銃の形をした召喚器。撃ち出される弾丸の威力は魔力による補正を受ける。(D〜A)またCランク以下の攻撃をキャンセルする特殊な力場を形成する。


 あとがき

 というわけで、第3話です。今回は説明編ですね。ほとんどの部分が謎として残ってますが。結構独自な見解が交じってますが、どうか許して屋ってください。キャラのステータスに関しては、ご意見お待ちしてます。


 では、レス返し。

 蓮葉 零士様>前回とのギャップが結構あるのでどうかな、と思いましたが楽しんでいただけたみたいですね。この作品では大河=エロですw今回もやってくれましたし。元々こういうギャグ系の話を書く方が慣れてるので、これからもこんな感じでやっていこうと思います。

 カミヤ様>色々と混ぜてみました、ちなみに一番やりたかったネタはストライク云々w(だって名前が……ねぇ)ちなみにあの発動のせいで、急遽主人公のスキルが出来ましたw

 七位様>初めまして。あれは一応主人公たちが型月世界ならば、と考えたものですので居ない(あるいは会う可能性が低い)なら、見た目のまま呼んだ方が分かりやすいだろう、てことで却下されました。ちょっと残念。

 アレス=アンバー様>一応ゲーム本編では、救世主候補は大して苦労しないで召喚器は呼べる、という表記があったのであっさり目に出そうとは考えてました(ここまでひどくなるとは考えてませんでしたが)
>なにやってたのでしょうか?
 ……ナニ?(待て)
 幻想砕きとのクロスという質問でしたが、一応違うものと考えてください。雰囲気は似てしまうかもしれませんがw(元がギャグ人間なので。レベルは違いすぎますけど)

 ななし様>いえ、こちらこそ気を使わせてしまったみたいですね、すみません。書き始めからキャラ説明とかは3話以降と考えていたのですが、そういう風に感じられたのならそれは反省すべき点ですから。これからも、意見等おまちしていますので、じゃんじゃん言ってやってください。

 秋冷様>喜んでもらえたみたいで嬉しいです。時期についての説明は4話でやろうと思ってます。というか、そこから物語が一気に動き出すので。
 >フェアリーの中の女の子、エッチなのはいけないと思います
 あはは……まぁ、エロゲやってれば嫌でもそうなりますよ、えぇ。あ、ただ下着付けてないのは眼鏡シスターの方です。読みづらくてすみません。

 樹海様>どうも、はじめまして。凛ルートクリアしたばかりですか……だとすると、余計イメージ壊してしまったかもしれませんねw
 私の見解としては救世主の強さと英霊の強さは同じ位という考えです。ただ後者は戦闘経験で前者を圧倒してる、といった所かと。

 セラト様>ボケへの突っ込みは、色んなものを超えてしまうんですよ、きっとw
 イリヤの中の人もなぁ、本当に何でこんなにはっちゃけたんだか……
 剣製に関しては、本文以上の事はまだ言えません。色々考えてるので。

 なまけもの様>イリヤの可能性はありません…残念!w何で分かったのかは本文中の表記通りです。
 幻想とのクロスではないんですよね、というか、正直クロスって言えるような文章じゃないので(汗)あそこまでの文章は書けませんよ、えぇ。
 >エミヤの最優先事項はイリヤを鬼畜魔人・大河の魔の手から護ることだな
 です。それこそ、娘を守る親のように頑張ってくれますよw

 シンヤン様>どうも、読んでいただきありがとうございます。
 ボケと突っ込みは書いてるほうも楽しいので筆が非常に進みます。特にボケは。笑ってもらえたなら幸いです。
 今後も頑張らせていただきます。

 時守 暦様>感想ありがとうございます。いや本当に恐縮です。
 カエデのあれは大河の調教のせいです、本人の資質も大いにあったんでしょうが。
 >どういう経過
 こういう経過ですw改めて書いてみると、影響を受けてる、としみじみ感じます。

 なみれい。様>召喚後なんですよ、えぇ。その辺も本編で語っていきたいと思います。
 ちなみに大河には指一本触れさせないでしょう、エミヤは。えぇ、毒牙にはまる事が目に見えてるんですから。
 本編の大河は私としてはそれほど嫌いではないですが、この作品で薄っぺらにならないようには気をつけていこうと思います。
 >落し済み
 今回の通りです。いや、本当に鬼畜だな大河……

 審判の霊樹様>どうもはじめまして。
 >あのアーチャーの姿で漫才していると思うと、なかなか笑える光景ですな
 ですね。でも、アーチャーって元から突っ込み属性な気がするのは俺だけでしょうか?
 ピースメーカー云々は、いい読みをしている、とだけ答えておきますw

 行きズリの旅人様>はじめまして。
 双剣は一応投影した宝具であり、召喚器というスタンスです、今の所。銃は本編中にも書きましたが、ハーディスをイメージしていただければ。

 根無し草様>どうも、はじめまして。
 壊れすぎの恐れもあるんですけど、楽しんでもらえたようなので、良かったです。
 >「オラオラ」と「無駄無駄」
 えぇ、そりゃあもうw思わず変なポーズを取るほどに。

 MT様>期待以上でしたか(ほっと一安心)
 >ところでヒロインはイリアでふぁいなるあんさ〜?
 ふぁいなるあんさ〜!!です。

 Seilem様>一般人はモンスターに敵わない、というのはソードワールドの頃からの基本です。
 ちなみに主人公はそれほど魔術適正は高くありません。あくまでエミヤを操縦してるだけなので。むしろ格闘家とかの資質に近いです。(感情の高まりで体を操る点)
 これからも、壊れキャラは増える予定です。現時点では、傭兵科のあの人とか(既に壊れてる、というつっこみはなしで)
 それと、ダウニーの髪は残念ながらまともです。

 ヒロ様>救世主候補は割とあっさり召喚器出せるそうなので、ならばボケとつっこみに!と出してみました(こう考える辺りギャグ人間だよな……)双剣は一応本編の通りですので。
 今回も2人(3人?)程壊してみましたが、どうでしょうか?

 くろこげ様>どうも、はじめまして。
 >いい『壊れ』だ
 ありがとうございますwやはりギャグは壊してこそ、かとw
 LVは……12,3程かと(多分)

 Nao様>はじめまして。
 吹いてくれるほど、ウケたなら書いたこちらとしても嬉しい限りです。
 今回も楽しんでもらえたでしょうか?

 ミゼル様>今回の話で、一応説明させていただきました。どうだったでしょう?(まだ、出てない部分もあるんですけどね)。次回も頑張りますので、よろしくお願いします。

 夜偽様>思い通りになった事が〜
 あはは、すみません。ただ、作り手としては狙ったことが上手くいくのが、楽しみだったりしますので(ギャグで大受けした、とか)
 >・・・シリアス系だと思ってたのに
 いや、初めはそのつもりだったんですよ。ただ……俺の好きな漫画に『ハーメルンのバイオリン弾き』っていうのがw
 そのせいで、深読みしすぎにさせてしまったみたいですね。すみません。

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