破壊され尽くした街路を、月光が静かに照らし上げる。
緩和された闇を纏う戦場は、耳を覆いたくなるような、激しい剣戟から一転して、水を打ったような柔らかい静寂に包まれていた。
この静寂の原因たる男は、足元に散らばる塀の破片を踏み締めながら、実に気軽に塀の内から出てくる。
その足取りは、先程の出来事を全く感じさせない、確りとしたものだった。
赤に染まった隻手の男は、ぐるりと周囲を見渡すと、うんざりとした様子で口を開く。
「イリヤちゃん。どうすんのこれ?」
イリヤと呼ばれた少女は、男、横島の何処か見当違いな問い掛けに、問題ないわと素っ気なく返す。
横島も、実際はどうでもよかったのだろう、ふーん、そっかと簡単なものだ。唯、おどける様な口調に反して、横島の表情は真剣そのものであり、その視線の先は士郎に向けられていたが。
士郎は、横島のぴりぴりとした気を感じ、視線の意味を漸く悟ると、傷む背中を無視して、セイバーをバーサーカーの間合いから引っ張り出す。
当然、士郎の行動はイリヤに筒抜けだったが、彼女は横島との話を優先することにした。
それは、絶対的な勝者の余裕もあっただろう。しかし、それとは別に、対等な相手ともっと話をしたいという、イリヤの心理もあったかもしれない。
「それより、ヨコシマだっけ、貴方って見掛けによらず随分タフなのね。バーサーカーの一撃を受けて、もう立ち上がるなんて。……ホント、貴方には驚かされてばっかりだわ。サーヴァントには全然見えないのに、バーサーカーを一回殺すんですもの。全く、貴方はとんだイレギュラーね」
「その言葉は、褒め言葉として受け取っておくよ。しかし、イリヤちゃん。バーサーカーを一回殺すってことは、やっぱりバーサーカーの宝具は“あれ”だったりするのか」
苦笑いで言葉を紡ぐ横島を見て、イリヤは人差し指を口元に当てると、小悪魔的な表情になる。
「聞きたい?」
「いや、やっぱり遠慮したいなー、なんて。……駄目?」
「駄目よ。聞いてきたのはヨコシマでしょう」
イリヤは、横島の否定的な言葉をきっぱり無視すると、横島以下四人に絶望の杭を打ち込んだ。
「ヨコシマの考え通り、バーサーカーの宝具は肉体よ。そして、宝具“十二の試練”はバーサーカーを強制的に生かしてしまうの。……この意味判るでしょう」
「……ああ。ようは、後十一回殺さなきゃいけないんだろ」
「正解♪」
弾むようなイリヤの声とは裏腹に、横島達には絶望が打ち広がっていた。
士郎はもとより、凛それにセイバーでさえ顔を伏せている。それほどに、今知った事実は重すぎた。
凛はバーサーカーの秘密に感づいてはいた。だが、やはり確固たる事実として知った時のショックは隠しきれないようだ。
しーんと先程とは、異なった静寂が周囲を覆い尽くす。そこからは、絶望と諦観の感情が漂っていた。
一体誰があの巨人を後十一回も殺せるというのだろう。
そもそも、最初の一回ですら奇跡。しかも、あれは奇襲であり、バーサーカーの能力を、一割も出させずに行えたから成功したのだ。
だが、バーサーカーが能力を出し切れる今の状態では、横島がストラッシュ・クロスを成功させる事は、間違いなく出来ない。単純に横島の技量が足りないのだ。故に、横島がバーサーカーを殺せる確立はもはやゼロに等しい。
今度こそ、誰もが死を覚悟した。皆が皆、心に皹を入れられたのだ。その圧倒的な力差に。
一度皹が入れば後は容易い。直ぐにそこから決壊して、簡単に心は折れるだろう。
しかし、心と体両方に皹が入れられた中で尚、セイバーは前を見据えていた。
「シロウ、私が殿になります。ですから、逃げて下さい。その後のことも、ヨコシマと凛がいれば問題はないでしょう。ですから、逃げてください」
セイバーは、寄り添って立っている士郎に、声を小さくして語り掛ける。
それは、別れの言葉だった。
セイバーは、一人戦場に残り、士郎達の犠牲になることを選択した。
もはや、皆での生還は不可能に違いない。だからこそ、セイバーはせめて士郎だけは助けたかった。サーヴァントである自分を、必死に助けようとしてくれた士郎を。この尊き愚者を、セイバーは助けたかった。
「馬鹿言うな!そんな事認められる筈ないだろっ!!」
だが、士郎はセイバーの提案を拒絶した。
そう。衛宮士郎がそんな事を認める筈がないのだ。
「ですが、他に方法はありません。イリヤスフィールから逃れるにはそれしかないでしょう」
「でもっ」
淡々と言葉を並べるセイバーに、士郎は口籠る。
彼も判っているのだ、自分が生き残るにはそれしかないと。仮にセイバーの代わりに横島が殿に立ってもいいだろう。
だが、今の横島は隻手である。そんな状態でバーサーカーとの戦闘に臨んだら、瞬時に肉片に変えられてしまうに違いない。そう、士郎達が逃げる間もなく。だから、例え負傷していようとも、殿はセイバー以外に考えられない。
けれど、頭では判っていても、はいそうですかと納得出来るものではない。
何故なら、士郎が真に助けたいのは自分よりもセイバーなのだから。
「セイバーを囮にして、逃げる算段かしら。だったら、別に心配しなくてもいいわよお兄ちゃん。仮に逃げれたとしても、弱っているセイバーなんて直ぐに殺して、捕まえてあげるんだから」
睨み合う二人に、上空から愉しげな声が降り掛かる。
それは宣告だった。誰も逃がす事はしないと、皆殺しにすると、切れ長に細められた真紅の瞳を持って、イリヤは、はっきりとそう告げた。
そして、その発言は現実のモノとなるだろう。
強大な相手から逃走する場合は、何より虚を突くことが重要になる。しかし、イリヤに感づかれた今の状況では、虚を突くなんて不可能に近い。
セイバーと士郎、二人の感情の齟齬が、生還の可能性をより低める結果となった。
「凛、シロウを頼みます」
もはや、隠すことに意味はないと悟ったのか、セイバーはゆっくりと凛に向き直ると、精悍な面持ちで彼女に告げる。
その、青緑に輝く真摯な瞳に、凛はこくりと、小さくだが確りと頷いた。
それを見て、セイバーは微かに微笑むと、軽く凛に会釈をする。
黙礼を終え、彼女は顔を上げると、真面目な顔で凛に視線を向けている、横島の姿が目に映った。
そんな横島の姿を見て、セイバーは口を開こうとするが、――――止めた。
彼が作った、千載一遇のチャンスを、己自身で潰しておきながら、どうして、自分が軽々しく頼むことができようか。
そういう思いが、セイバーの心に浮かんでいた。
アレは、決してセイバーが百パーセント悪いわけではない。凛も同時に怒鳴っていたし、それ以前に、横島の行為自体が、褒められたものではなかった。
だから、セイバーがその事に関して、重責を負う必要はないのだが、彼女はその強い責任感から、酷い負い目を横島、いや皆に感じていた。
(ヨコシマ。勝手な言いようですが、シロウをお願いします。それと、同盟の事それに今回の事、本当に申し訳ありません)
セイバーは、ちらりと横島に視線を送ると、心内だけで、謝罪した。
やがて、彼女は伏せていた眼を上げると、バーサーカーを睨みつける。やることはやった。後は、死力を尽くすのみ。
セイバーは、一度深く息を吐くと、騎士の命をぎゅっと握り締めた。
「――――セイバー」
士郎は、呟くようにして騎士の名を呼ぶ。
だが、セイバーは振り返らなかった。一欠けらの希望が込められた一言にさえ、セイバーは反応しなかった。
それで、士郎は理解した。セイバーとはお別れだと。もう、自分が何か言った所で、彼女は意見を翻しはしないだろう。
セイバーは士郎を助ける為の犠牲になる。それは、彼女の中で決定されたことだ。
だが、士郎はセイバーの考えを認めるつもりは無かった。誰かを犠牲にして自分だけが生き残るなんて、彼に容認出来る筈が無い。
けれど、認めるしか無かった。セイバーの背中を見てしまったから、そこから零れる感情が判ったから。
セイバーは、何が何でも士郎を助けたいと願っている。
その悲壮な決意を士郎は裏切れなかった。例え、その先がセイバーの死だとしても。
「セイバー。後、頼んだ」
震える声で、士郎は言った。
心は悔恨の念で溢れかえっている。それでも、士郎は言い切った。
何が正しいとかは判らない。唯、セイバーのマスターならば、情けないところだけは見せれない。
士郎は泣きながら、胸を張ってセイバーに宣言した。
「俺は絶対に生還する」
その言葉に、迷いは無かった。
ありとあらゆる煩悶を切り捨て、彼は生き延びる事を選択した。
セイバーの、彼女の意思を無駄にしないために。その行動で、どれだけ深い悔いを残そうとも、士郎は迷わなかった。
「泣かせるわね、お兄ちゃん。けど、それは無駄になるわ。だって、私は逃がすつもりは無いんだもの」
イリヤの体に、再び赤い文様が浮かび上がる。
それが死への合図となった。
皆が皆、壮絶な決意を身に纏い、戦闘開始の鐘を待つ。
セイバーとバーサーカーの戦いは戦闘ではなく、一方的な虐殺になるだろう。故に、それは戦闘とは言えないのかもしれない。
だが、やはり戦闘なのだ。己の命を懸けてまで、信念を貫こうとするのなら、それは立派な戦闘行為だ。
そして、それは士郎や凛にも当て嵌まる。彼らがしようとする事は、逃走であり戦いではない。しかし、彼等もまた戦闘者だ。
自身の生存をかけた決戦。それに、彼達は臨むのだから。
びしりと、極大の緊張が周囲に張り巡らされる。その、威圧さえ伴った緊迫感に、空気すら萎縮してしまったように感じる。
そんな、呼吸すら困難になるほどの極限状態の中、横島の声が軽やかに響いた。
「衛宮。逃げる前に、凛さんの下着の色を教えてくれ」
それは、真剣な言葉だった。
しーんと、緊張の中に沈黙が舞い降りる。先程までの緊迫感は形を潜め、代わりに絶対零度の風がびゅーびゅー吹き始めていた。
皆が横島を冷めた眼で睨み付ける。敵であるイリヤは勿論のこと、味方である筈のセイバーや士郎でさえ、横島に侮蔑の視線を送っていた。
横島は、極寒の視線が集中するなかで、はあー、と重い溜息を吐くと、面倒臭そうに喋りだした。
「イリヤちゃん。そんなに冷たい瞳で睨まんでくれ。これには、ちゃんとした理由があるんだから」
「……ヨコシマ。もし、それがふざけた理由だったら、先ず貴方から殺すわ」
紅い瞳に剣呑な光を宿らせ、イリヤは言う。
横島の答えが、もし納得いかないものだったら、間違いなくイリヤは言葉通りに横島を先に狙うだろう。
それだけ、少女は怒っていた。それは、セイバーや士郎も同じである。本当に、彼女等は横島の言動に憤慨していた。
「簡単に言うと、俺の魔力の出力は煩悩で大きく左右されるんだ。だから、凛さんの下着の色を教えて貰うことで、煩悩、もっと言えば性欲を昂らせようとした訳だな」
「………それ、本当?」
横島の答えに、イリヤは呟くようにして、やっと言葉を搾り出した。
それほどまでに、イリヤは横島の答えが信じられなかった。横島の発言が本当とするならば、さっきのふざけた言葉は、至極真っ当なモノとなる。
何故なら、戦闘を行う前に自身の調子を整えることは、当然のことなのだから。
「勿論、本当。そもそも、凛さんに聞いたんだが、性的興奮で魔術回路のスイッチを開く奴もいるんだろう。だったら、煩悩で魔力が左右される奴がいても、別段おかしくはなかろ」
「それは、そうだけど」
イリヤは、なおも横島の言葉が信じられないようだ。
それは、仕方もないことだろう。確かに、横島の言う通り、性的興奮で魔術回路のスイッチをいれる術者はいる。だが、それはあくまでもスイッチであり、切り替えた後にまで、魔力の出力が大きく左右される事は無いのである。
それに加え、死が間近に迫ったこの状況で、煩悩を昂らせる人が居ること自体、イリヤには信じられない事だった。
「信じられんなら、証拠を見せてあげるよ」
横島は、くるりと反転すると、凛に集中する。
凛は横島の行動に、やれやれと顔を顰めると、先程の横島と同じ様に、深い溜息をつく。彼女は予想していたのだ。横島のあの発言を聞いた時から、こうなることは。
「横島。ぱっぱとしなさい」
「了解。ほんじゃあ、いくぞっ!!」
横島は掛け声を上げると、凛の肢体を、舐めるように見詰めだす。
それに応じて、横島の体から、こんこんと魔力が溢れ出してくる。彼の類まれな妄想力は、順調に自身の煩悩を刺激しているようだ。
その、横島の魔力の迸る様をみて、イリヤ達の表情が驚きに染められていく。やはり、実際に魔力が煩悩で繰り出されるところ見ると、納得するしかないのだろう。
だが、横島のマスターである凛は、彼の反応を見て、怪訝な顔をする。
少ないのだ。横島の身に纏う魔力の波動が、先のランサー戦と比べると、圧倒的に弱いのである。
その原因は横島の状態のせいだ。魔力が底を着き、出血やらなんやらで、横島の意識は薄れており、上手く煩悩に集中出来ていないのである。
むしろ、このような悪条件の中で、煩悩を出せているのが、不思議でしょうがない。これには、流石は横島と褒めるべきなのだろうか。
とにかく、このままでは、煩悩を炸裂させ、魔力を爆発させることが出来ない。煩悩ゲージは溜まったのだが、最後の起爆剤といえるモノがないのだ。
平常の場合なら、起爆剤等なくとも、気合で爆発させれるのだが、今の状態では臨むべくも無い。ランサー戦で使用した起爆剤、“凛を相手とした初めての煩悩集中”が、横島の足枷となっていた。
横島は、仕方ないと一瞬目を伏せると、現状に置ける最終手段を行うことにした。
「衛宮っ!凛さん下着の色早く教えろ。俺の煩悩集中が解けちまう」
横島は、叱咤するようにして、士郎に激を飛ばす。
何かをイメージする時は、具体的な例があったほうがより鮮明になる。
横島は、下着の色を聞くことで、妄想を補助するつもりのようだ。
「うっ。え、でも」
さっきまでのシリアスは何処へやら、士郎は横島の問いに、顔を赤らめると、どもってしまう。
あーとか、うーとか、士郎は口をごもごもさせながら、ゆっくりと凛に視線を移す。
そして、凛から返された視線は、とても綺麗な殺意を含むものだった。
それを受け、士郎は瞬時に凛との目線を外すと、心底困った顔をする。
教えるか、教えないか。仮に教えたら、後で凛からどのような事をされるか判ったものではない。
だが、それは生き延びなければ、話にもならない事だ。
士郎は決めていた、生きると、何が何でも生き残ると、ならば凛の折檻ごときに怯え、全員が生還出来る可能性を、むざむざ逃してどうするか。
「遠坂」
迷いは一瞬。士郎は直ぐに顔を上げ、凛に告げた。
――――――俺は、お前の下着の色を教えると。
そう、強き瞳で士郎は告げた。それに、凛は赤面して頷く。彼女も、他に手は無いと判っていたのだろう。
士郎は、凛の意思を確認すると、意を決して横島に宣告する。
「横島!遠坂の下着の色は“白”だ!!」
それは、正しく託宣だった。
士郎の言葉は、正確に横島の鼓膜を叩くと、一部分誇張しながら、脳に浸透していく。
その、脳に伝わった情報は、瞬時に解析されると、足りなかったピースと成って、横島の妄想を補完した。
それにより、横島の妄想が、今はっきりとした形になる。
白。純白。清純なイメージ。―――ああ、それと、凛ちゃん。その恥らう仕種、ナイスです。
「煩・悩・全開ー!!」
立ち昇る魔力の渦は、龍の蜷局か。
下着の色に加え赤面した凛の仕草は、的確に横島の煩悩を打ち鳴らすと、底をついていた筈の魔力を、容易く天井まで持っていった。
ばちばちと、人外の魔力を放ちながら、横島はくるりとイリヤに向き直る。
その、表情は恍惚としており、かなり危ない様相を示していた。
「イリヤちゃん。これで納得してもらえたかな」
横島は、鼻血を袖で拭いながらイリヤに言う。
イリヤは何やら呆れた表情をしており、実に疲れた雰囲気を醸し出している。
「………ヨコシマ、貴方って本当に英雄なの?」
「はっ?」
「だって、性欲で魔力を高めたり、その上、鼻血を吹き出すなんて普通じゃないわ」
その言葉に、うんうんとセイバーや士郎も賛成の意を示す。
生前、数多くの戦士を見てきたセイバーの記憶にも、腕を吹き飛ばされ、死に近い状態でありながら、煩悩を繰り出せるヤツはさすがにいなかっと見える。
「あのなあ、イリヤちゃん。俺が英雄の訳ないだろ。俺はちょこっと強くて変な力を持つ、唯の使い走りのアルバイターなんだぞ。そんな奴が英雄になれる筈ないだろ」
イリヤの問いかけに、横島は実に気だるそうに返す。
その言葉からは、うんざりとした感が漂っており、イリヤの問いは横島にとって、何の興味も引かないモノだったようだ。
だが、イリヤはもとより、英霊であるセイバーも、横島の答えに強く反応する。
「ふざけないで。英雄でもない男が、ヘラクレスを殺せる筈ないじゃない」
「ふざけてはおらん。そもそも、貴方って英雄なのと聞いてきたのは、イリヤちゃんだろう。俺はそれに正直に返しただけだ」
「………それは」
「別に俺が英雄とか英雄ではないとかは、この際本気でどうでもいいことだ。イリヤちゃんは俺達を殺し、俺達はそれから逃げ延びる。だったら、他のことは余分だろう」
横島の瞳がシリアスに染まっていく。
もう、話をする時間すら横島には残されてはいなかった。一夜に二度もの煩悩全開。それは、彼の霊的中枢を焼き尽くすには十分で、エーテルにより構成されている横島の体は、燃え盛る業火に襲われていた。
故に、横島は急ぐ。皆を助けるために犠牲など出さないように。
「……そうね。ヨコシマの言う通り、貴方が英雄だろうが凡人だろうが関係ない事だわ。ただ、バーサーカーを殺した責は償ってもらうのだから」
イリヤの瞳に鋭利な光が燈り直す。
戦いは目前に迫り、再度厳粛な空気が辺りを支配する。
だが、またも横島の声が、それを打ち破った。
「ま、でも俺と凛さんだけなら、余裕で逃げれるんだけどな♪」
ぴきりと、イリヤのこめかみに青筋が浮かぶ。
横島の言葉には、明らかな挑発の念が入っており、それがイリヤの神経を優しく逆撫でしたようだ。
にひ、と横島は物凄く嫌らしい笑みを浮かべているし。
「ふーん。隻手になっているのに、よく言うわね」
「そんなこと、逃げの天才たる俺には、言うほどのハンデではないぞ」
言って、横島はてくてくと無造作に凛に近寄って行くと、イリヤの嫌疑の視線お構い無しに、次の行動に移る。
「凛さん。おぶさってくれます」
横島は屈むと、凛をおぶる体勢になる。
凛は横島の真意は判らないが、取り敢えず横島の策に乗ることにした。彼女も気になることがあったし。
「ほんじゃ、浮身」
横島は凛が乗ったことを確認すると、仙術で己の身を変質させる。
イリヤ達、その場に居る全員の視線を集めながら、横島は跳んだ。
―――遥か二十メートル上空に。
中空に浮かびながら、横島は背に居る凛の安否を問う。
「大丈夫っすか、凛さん」
「聞くのが遅いっ!」
ごんと、凛は横島の後頭部に頭突きを食らわせる。
「それだけ元気なら問題ないっすね」
「まーね。それより、あんたの方は大丈夫なの」
凛は先程から気に掛かっていたことを問う。
魔術の基本は、等価交換。何かを得るためには、それに見合ったリスクが必要になる。それでいくなら、横島の煩悩全開にはどれだけのリスクが潜んでいるか判ったものではない。凛はそのことを懸念していた。
「まあ、それなりに大丈夫っすよ。ただ、上手く霊力を体外に出せないから、“栄光の手”は完全に発現できませんが」
「はあっ?それって、全然大丈夫じゃないじゃない」
凛の言うことは尤もだ。
自身の主要霊能が使えないということは、、剣士が剣を使えない事に等しい。それの、何処が大丈夫といえるのか。
「心配はいりません。体内で術を起こす仙術は使えるし、身に纏う霊力を使用するサイキックソーサーも使えます。だから、そこまで問題はないっすよ」
横島は凛を安心させるために、努めて軽い口調で言う。
だが、実際問題、横島の状態は極めて悪い。今現在も、体中に鈍い痛みが走っているし、チャクラが半ば焼けている為に、栄光の手はもとより、他の霊能も、完璧には扱えない有様である。
しかし、横島はそれを懸命に隠す。かねての彼女のように。
凛は、ラインから伝わってくる感触に、横島の状態が言うほど軽くないことは知っている。けれど、凛は何も言わなかった。横島の心遣いが判ったから。
「そう。それより、これからどうするつもり」
「それは、凛さんに渡した文珠に込めてありますから、地面に着いたら確認して下さい。それじゃ、イリヤちゃんに感づかれちゃまずいので、とっとと降りますね」
最後に、横島は文珠を高く放り投げると、戦場に降りていった。
「なっ。俺と凛さんだけなら、結構簡単だろう」
ふわりと横島は地面に降り立つと、背負っていた凛を開放する。
「まさか、空中浮遊さえも出来るなんて。ホント、ヨコシマってビックリ箱みたいな男ね」
「これくらい出来なきゃ、逃げの天才とは言えんでしょうが」
「それもそうかもね。で、次は何を見せてくれるのかしら、ヨコシマはお兄ちゃん達を、見捨てるつもりはないんでしょう」
「セイバーが男だったら、迷わず見捨てて、逃げるんだけどなあ」
イリヤの見透かした発言に、横島はぼやく。
と、ぱらぱらと空から何かが降ってきた。
「あら、雨かしら。全くもう、これからだというのに嫌になっちゃう」
「それだったら、帰った方がいいんじゃないか?ほら、風邪引いちゃまずいだろ」
白々しく横島は言う。
この雨は、勿論横島が起こしたものである。さっき、上空に跳んだ際に投げた文珠、『雨』によって作られた水滴が、漸く地表に落ちてきたようだ。
「心配はいらないわ。びっしょり濡れる前に、貴方達を殺してあげるから」
「そっか。けどなイリヤちゃん。そうそう、簡単に殺されるつもりは無いぞ。俺もセイバーもな」
横島は失くした左腕で、イリヤを突き刺しながら言う。
その言葉に、セイバーも力強く頷いた。
「その度胸は買うわ。けれど、隻手の貴方と負傷したセイバーでは話にもならないでしょう。無駄な足掻きはやめて、早々に諦めることをお勧めするわ」
「あー。それね」
イリヤの言葉に、横島は思い出した様に左腕を撫でる。
その時に、ビー玉の様な球体を、左腕の断面に入れ込んだのには、誰も気が付けなかった。
「えーと、このへんだっけ」
言いつつ、横島は左腕の先が落ちている所に行き、瓦礫の下から左手を発掘すると、しげしげとその断面を観察する。
そして、良しと頷くと、
「よっこいしょっと」
無造作に左腕を『接』合した。
その、余りにも簡単な動作に、イリヤは愕然となる。
「これで、隻手ではなかろ」
横島は、驚愕の面持ちのイリヤに見せ付けるようにして、左腕を振り上げる。さらに、神経さえも通っている事を証明する為に、横島は左手を握ったり離したりと指をぐっぱさせた。
そう。横島の左腕は完全に接合されているのだ。彼は、何の魔術も使わずに瞬時に腕を紡ぎ直したのである。
その事に、戦慄しない魔術師はいない。それは、イリヤも例外ではなかった。
「ヨコシマ、貴方って本当に何者なの」
「ん?別に俺は何者でもないぞ。俺はセイバーみたいな騎士でも無いし、バーサーカーのような戦士でも無い。さっき言った通り、唯のアルバイターさ。まあ、イリヤちゃんのご希望に添えるかは判らんが、“リターナー”絶対の生還者と仲間内では呼ばれてるけどな。後は普通の男だぞ、俺は」
「ふうん、“リターナー”ね。それが貴方のクラス名なのかしら。……けど、それが確かなら、本当にヨコシマはイレギュラーだったのね」
イリヤの噛み締める様な言葉に、横島は肩を竦ませる。
本来の横島のクラス名は<マルチ>だが、そもそも、それ自体凛と話し合って決めたものである。だから、横島にとってクラス名とは、自身を証明する為のモノではなく、相手を困惑させる為のモノでしかない。
ならば、イリヤの勘違いをわざわざ正してやる必要もないだろう。
ただ、横島の性格というか、戦法を考慮にいれれば、ある意味、“フェイカー”というクラス名が最も正しいのかもしれない。横島は色々騙しているし。
ともあれ、横島は両手にサイキックソーサーを発現させると、戦闘開始の口火を切った。
「さて、これ以上濡れるのも嫌だし、さっさとやろうぜイリヤちゃん」
「よく言うわ。貴方が話の腰を折り続けてきたというのに」
イリヤの辛辣な言葉に、横島は苦笑する。
少女の言葉が、全くの事実だったからだ。横島が、途中途中で邪魔をしなければ、もう決着はついていただろう。
そう、ここまでだらだらと、バーサーカー戦が長引くことは無かったのだ。その事は、横島自身考えていたことなので、否定する気も無かったが。
「そいつは、ごめんなっと!」
不意打ち御免。
横島は、戦闘開始の合図も待たずに、サイキックソーサーを投擲する。
それが、結果として開始の鐘となり、横島にとって、四度目の殺し合いが始まった。
横島は、投擲したソーサーの後を追うようにして、バーサーカーに疾走する。
その行動を見て、セイバーもバーサーカーに肉迫せんとするが、それは横島の言葉に阻まれた。
「セイバー!お前は凛さんの所へ行け!!」
「えっ?」
横島の言を受け、セイバーは足を止めると、凛が居る方へ視線を向ける。
と、そこには、こちらへ向け、走ってくる凛の姿が目に入った。
「セイバー。バーサーカーに受けた傷を見せて」
凛は、セイバーの元に駆けつけると、早口で捲くし立てる。
時間が無いのだ。横島に貰った文珠から『伝』わってきた、情報によると、横島が一人でバーサーカーを食い止められる時間は僅かに一分。
この短時間で、セイバーに策を教え、自分も準備をしなければならない。その為の時間は、余りにも少なかった。
「ここです」
セイバーは、凛の気迫から、時間が無いことことを読み取ると、問うこともせずに傷を見せる。
その、捲られた服の内には、半ば治りかけているが、それでも尚、深い裂傷が見て取れた。
そこに、凛は躊躇う事無く文珠を押し当てると、横島に教えられた通り、強いイメージを持って、その力を解放する。
掌の内にある文珠は、彼女の想念を受け、『治』という文字を浮かべると、込められた念に従い、セイバーの傷を瞬く間に『治』していく。
凛は、掌から零れ出す、淡い翠色の光が収まるのを認めると、セイバーの傷からそっと手を放した。
その、放された手の後を見て、セイバーは目を丸くする。
数秒前までは確かにあった、裂傷の名残が完全に消えていたからだ。もうそこには、一筋の傷すらも残されてはおらず、セイバーの致命傷に近い傷は、僅か数秒で完璧に癒されていた。
その早業に、思わずセイバーと士郎は感嘆としてしまう。
だが、そんな二人の反応とは対照的に、凛の表情は悔しげだ。横島の異能。『文珠』の力をここにきて、はっきりと目の当たりにしたから。
己の使う宝石魔術とは、比べ物にならない程に高性能でありながら、馬鹿げた程のローコストさっぷりを、まざまざと見せ付けられてしまったから。
だが、直ぐにそんな暇はないと思い返すと、凛は嫉妬の念を振り払うようにして、セイバーに尋ねる。
「セイバー、傷の調子はどう?」
「えっと、完璧です」
セイバーの言葉に、凛は確かめるように頷くと、早々に本題に入る。
「それじゃ、横島の策を教えるわ。時間が無いから質問は最後にしてね」
凛の言葉に、セイバーはこくりと頷く。
それを見て、凛は満足げな面持ちをすると、口早に説明を開始した。
「■■■■■■!!」
凛達の作戦会議を余所に、横島とバーサーカーは戦闘に突入していた。
バーサーカーの振るう、烈風の如き斧剣に対し、横島はサイキックソーサーのみで応戦している。
その行為がどれだけ無謀かは言うまでも無い。
剣道三倍段という言葉が示す通り、無手の者が、武器を持った相手を倒すのには、三倍の技量がいると言われている。
ならば、横島がバーサーカーと競り合うためには、最低でも彼の力の二倍の技術がないと話にならない。
しかし、<マルチ>たる彼には、当然そこまでの卓抜した体術は備わっていない。
その事実に加え、横島は今、サイキックソーサーに全力を込めている。つまり、今の横島の体には霊的エネルギーが一切帯びていないのだ。
いくら横島でも、そんな状態で、バーサーカーの攻撃を受けたら間違いなく即死である。
それすらも判らずに、横島がこの戦法を選んだとするのなら、浅はかとしか言いようがない。
だが、横島はきっちり判っていた。無手で挑む無謀さも、この状態で斧剣を受けたら即死だということも、横島は全て判っていた。
そう。横島は全てを承知した上で、この行動を選択したのだ。
何故なら、横島にはあったから、バーサーカーの剣戟を、一分間なら、全て躱せるという自信が。
「ちょっと、バーサーカー何遊んでいるの!早く、横島を殺しなさい!!」
横島とバーサーカーが接触して早十秒。
イリヤの予想では、五秒と経たずに横島は挽肉になるはずだった。
だが、そんなイリヤの思惑に反し、未だに横島は原型を留め、バーサーカーの剣旋を躱し続けている。
その事が、何よりもイリヤの癪に障った。
平常のバーサーカーならまだしも、今の彼は“狂化”しているのだ。
ならば、どうして、英雄でもない唯の男に、私のバーサーカーが梃子摺ろうか。
そういう思いが、未だイリヤの中に渦巻いていた。だが、その思いが、イリヤ最大のミスだったのだろう。
早々に認めるべきだったのだ。いくら変態ちっくでも、横島は英雄に匹敵する程の力を持つ男だと。
その、素直になれない心が、結果として、イリヤ達から、勝利を遠ざけることになったのだから。
戦闘開始から、三十秒。
横島は、絶え間なく発射される、即死の砲弾を懸命に躱し続けていた。
(さて、お次は右方からの薙ぎ払いだから、それは一歩下がる事で回避する。
そうすっと、奴はそのまま踏み込んで、左方から逆胴を繰り出してくるから、それには、上体をぐっと反らしブリッジする事で避けてっと。
んで、今度は俺の腹目掛け、上段から叩き潰しに来るから、ブリッジからバック転の要領で逆立ちし、半身になる事で躱す。
その際、両手のソーサーを顔面に投げつける事を忘れちゃいけない。効きはせんが、視界を封じたり、本当に微かだが、怯ませる事は出来るからな。そして、その隙に、間合いを開け直す。
これで、やっとこさ三秒てとこか、全く先は長えなあ。
しかし、空中浮遊法を習得しとらんかったら、間違いなくお陀仏しとったな。地面が濡れてるから、浮いとかんと滑るし、なにより、逆さまになっても、両手が使える事は大きい。いや、本当にリーチが大きい相手と戦闘するときに“浮身”は重宝するわ)
横島の自信の因はこれにある。
横島は、バーサーカーの攻撃を完全に読み切っていた。
それは、狂気に身を任せ、理性を失ったバーサーカー相手にだからこそ出来る技。
心眼のスキルを有する横島にとって、バーサーカーの振るう力任せの駄剣は、格好のカモといえた。
虚を突くことも無く、ただただ素直な剛剣。剣だけでなく、その身に流れる魔力、剣を振るう筋肉の動き、それすらも横島に言わせれば素直だ。
仮に“ヘラクレス”が卓絶した剣技を使用できる<セイバー>として、召喚されていたら、間違いなく横島は、瞬殺されていた。それこそ、ぐうの音もでないほどに、完殺されていただろう。
“栄光の手”を使えない横島と、“セイバー”ヘラクレスには、それ程までに、技量の開きがある。
だが、今の彼はバーサーカーだ。理性を失い思考すらも許されない、狂戦士。その事が、横島にとって唯一の救いであり、同時に突破口だった。
戦闘開始から、五十秒。
当初、横島はバーサーカーの剣を安全に回避できるであろう時間は、一分半と予測していた。
凛に言ってある一分しか持たないというのは、横島の軽い嘘であり、様々な要因を考慮に入れて、横島は三十秒の余裕を持つことにしたのだ。
その選択が、正解だったことを、横島は身を持って思い知る。
横島の考えていた、タイムリミットまで、後四十秒もある。だが、横島は追い詰められていた。
単純に侮っていたのだ、バーサーカーの身体能力の高さを。
確かに、横島はバーサーカーの攻撃を全て読める。だが、それ程のアドバンテージでさえ、バーサーカーという暴風の前では、木の葉同然の軽さしかなかった。
バーサーカーは徐々に徐々に、横島を追い詰めていく。逃げ場の無い、死という名の袋小路へ。
戦闘開始から、一分。
横島は限界に来ていた。
紙十重で避けていた剣旋は、既に紙一重にまで迫り、命を懸けた綱渡りは糸渡りというほどに細くなっている。
戦闘が始まって直ぐの頃は、回避という名の選択肢は十通り程はあった。
その分岐する道を、横島は勘で選び出し、最善の道を歩いてきたのだ。
だが、今やその道筋は、たった一つしか見えてこない。
数多くあった、生き延びる為の道は、既に一本しか取り残されていないのである。
もはや、分かれる事のないこの道は、死へと繋がる一本道だ。
横島は、敷かれたレールを走る汽車のように、ただ真っ直ぐに死へと向かうほかない。
処刑を待つ罪人のように、横島は決められた死へと歩いていく。そこから逃れる術など無く、横島はとうとう処刑上に辿り着いた。
バーサーカーが斧剣を振るう度に、横島は一段一段確実に十三階段を昇っていく。その、死の階段を昇る途中、横島の心眼ははっきりと捉えてしまった。自分が昇り切るところを。
後五回バーサーカーが斧剣を振るったら、横島は死ぬ。
横島の心眼は、冷酷にそのことを、自身に告げた。それは、仕方の無いことだ、どんな道にもゴールはある。ただ、今回の場合は、その道の先には、何も無いということだ。
一撃。
この一撃で、横島はバーサーカーの間合いから逃れられなくなる。
二撃。
この一撃で、横島は大きくバランスを崩す。
三撃。
この一撃で、バーサーカーは横島を地面に這い蹲らせる。
四撃。
この一撃で、横島の行動を制限する。
五撃。
この一撃で、動けない横島は死ぬ。
「あっ」
出た一言は本当に軽い。
仰向けになっている、横島は五撃目の攻撃を、躱すことは出来ない。
四撃目を躱した代償として、彼の体は硬直しているから。
それは、数瞬の硬直ではある。だが、その一瞬が正しく命取りになった。
振り落とされる斧剣は、防御も、回避も何もかもが不可能な一撃となって横島を叩き潰すだろう。
それで、間違いなく横島は絶命する。
自身の願いを叶えれぬまま、横島はバーサーカーに殺されるのだ。そう、最も大切な少女との約束も果たせずに横島は死んでしまう。
それは、数秒前に確定していた事だ。横島自身も、その事は疑うこともしなかった。
横島はバーサーカーの五回目の攻撃で死ぬ。
これは、逃れられないことだった。死を回避する道が、一本になった時から決まっていた事だ。だから、横島は認めるしかない。己の力が足りなかったのだと。
けれど、横島は己の不甲斐なさを認めはしたが、死ぬことを納得した訳ではない。
横島は死んではいけない体なのだから。
だから、横島は諦めない。
四肢は動かず、もはや眼球しか自由にならない、そんな絶体絶命の状況でも横島は諦ることはしない。
最後の最後、自身が死んだと確認するまで、横島は足掻く。それが、無駄と判っていても、横島は必死に死を睨みつける。
だが、どれほど意思が強くとも、変えられない事はある。
例えば、今、正に振り落とされようとしている、バーサーカーの斧剣とか。
こればっかりは、横島にはどうすることも出来ない。
左腕に使っている、『接』の文珠に集中をやっているせいで、文珠は使えないし、もはや、使う暇も無い。
故に、横島は死を甘受するほかない。
もう、己一人ではどうすることも、出来ないのだから。
けれど、横島は死なない。
何故なら、彼は独りで戦っているのではなく、皆と一緒に戦っているのだから。
「無事ですか、ヨコシマ」
「遅いっつーの」
そう、独りで出来ないのなら、二人で臨めばいい。
横島の希望。蒼き騎士、セイバー到着。
あとがき
バーサーカー戦、次回に続きます。
レス返しで、次回完結とか書いてましたが、終わりませんでした。本当にすみません。プロットは出来ていたのですが、書いている途中から、Y君が動き回ること動き回ること、煩悩全開のシーンもあんなに長くなる予定は無かったのですが、結果はご覧の通りです。あれにより、折角のシリアスが、台無しになっていなければいいのですが。
実に沢山のレスを頂いておきながら、ここまで遅くなってしまい、どうもすみませんでした。
今回、馬鹿みたいに遅くなりましたが、楽しんで頂けたら、真に幸いです。
GSYorGTY様
楽しんで頂けたようで幸いです。
ストラッシュ・クロス。古いかもしれませんが、自分は凄く格好いい技だと思っています。
ネタ技ですが、原理が納得でき、横島が使っても不思議じゃない技だったら、これからも、ちょくちょく出てくるかもしれません。
なまけもの様
ご指摘ありがとうございます。
ですが、ここは、あえて直さずにいかせて頂きました。ご了承ください。
ストラッシュ・クロスは予想された通り、A+あります。ですから、一応べルレフォーンと互角ですが、あの突進してくる彗星にアローとブレイクを合わせらるかと言ったら、今の横島の技量では間違いなく不可能です。作中でも書いていますが、クロスは発動条件が厳しいので、今後出てくることは少ないでしょう。
kou様
誤字指摘、どうもありがとうございました。
シヴァやん様
ダイ大には、良さ気な技が豊富にありますよね。メド○ーアとかメドロー○とか○ドローアとか。
まあ、メドローアは余りに強すぎるので、使うかどうかは結構微妙ですが。
バーサーカーの斧剣については、前話のレスにある、うけけ様の考察参照で、どうかお願い致します。
斉貴様
ありがとうございます。
戦闘ですが、ここの横島はこれ位の強さという事で、どうか納得されて下さい。今後も戦闘バランスには気を使っていきますが。
知名度は同程度のアーチャーさんですが、彼は既に英霊というカテゴリーに入っているので、半ば人という存在から脱却し、超人になっていると考えています。
gunrun様
横島は変態ですが強いです。
士郎の理想云々ですが、あれは横島の“力”のみであり、横島の理念とかに共感している訳ではありません。自分の描写が足りませんでした。今後も判りやすく書けるように、精進したいと思います。
今回、大変遅くなりましたが、どうだったでしょうか。
陰陽頭様
腕を吹っ飛ばされても平気なのは、慣れですね。その事は、今後書いていくと思いますが。決着は次回で。
凛様
どうも、初めましてです。
バーサーカーの斧剣ですが、前述した通り、うけけ様のレス参照でお願いします。どうも、手抜きみたいですみません。
ありがとうございます。これからも頑張って、完結までこぎつけたいと思います。
とり様
横島はロリではないので、女性としての口説きはやっぱり難しいですね。こう、可愛い妹感覚での、口説き?ならあり得るのですが。
ライダーが出て来たら、やばいですね。服装から何から、横島にとって、ど真ん中への直球ボールですから。
仰られた通り、士郎は横島の“力”のみを追い求めている感じです。横島の理想に士郎が何処まで共感するかは、今後次第です。
渋様
ストラッシュ・クロス、本当にいいですね。
こう、正に一発逆転の切り札というか、原作でバーンの腕を切り落としたシーンは、実に戦慄ものでした。
バーサーカーの宝具の特性の詳細は次回で行う予定です。
隻手では、さすがに戦いませんでした。期待していたようなら、すみません。いい意味で裏切った戦闘になっていたら幸いです。
T城様
横島の見せ場は終わらない。
というか、横島。あんた、しっちゃかめっちゃか動きすぎやろ。という話になってしまった、今話です。
本音を言うと、令呪はそろそろ使っときたかったんですね。原作では実にあっさり使っていましたので。
毎回、十二分な感想として受け取っているので、全然問題ありません。本当に、毎回ありがとうございます。
使命の子様
横島は、奇策を用いて戦っていくタイプですから、そう言って貰えると嬉しい限りです。
横島のキャラ性には、今後ある意味注意が必要ですね。今話とか特にですね。
何とか、頑張ろうと思います。
ryo様
横島は、今回もいけいけムード全開でしたがどうだったでしょうか。
遅くなって、申し訳ありません。
諫早長十郎様
どんなにシリアスでも、自分を失わないのが、横島の魅力だと思っていますので、彼の軽さを十分に表した、そのセリフを外す訳にはいきませんです。
HEY2様
士郎には、「見えてても、言っちゃいけない所を嗅ぎ分ける能力」は原作でも、結構見て取れますよね。ホロゥの宝箱遠坂さんとか。
バトルシーン。ありがとうございます。やっぱり、ストラッシュ・クロスは格好よく書きたかったので、気を使ったところです。
予告は、八十パーセント当たりでございました。
樹海様
今話でも、横島節が多々ありましたが、どうだったでしょうか。
陰陽五行、どうもありがとうございます。これからの参考にさせて貰います。
kiki様
横島最高!どうもです。
今回も、何か横島の独壇場みたいになってしまいましたが、強く書きすぎたでしょうか。
何はともあれ、楽しんで頂けたら幸いです。
みんと様
質問の答えですが、クロスの傷は、致命傷でしたが、殺すまでには至らなかったので、カウントされていません。
本当に遅くなりました。
ヒロ様
横島の基本姿勢は、戦わずに済むなら、それに越したことは事はない、ですから。
バーサーカーとの戦闘は、もう一ラウンドどころか、三ラウンドまであります。いや、書いた本人がびっくりです、二ラウンドで済ませる予定だったのに。
更新、本当に遅れて申し訳ありません。
うけけ様
格好いいぜ横島忠夫。だが、彼に女性ファンがつくことはあるのだろうか。
やっぱり、バトルは燃えてナンボですよね。静かな戦いも、いいですが、やはり、燃えてないと。
バーサーカーの斧剣のフォロー、本当にありがとうございました。今後、もっと精進を重ねて、本文中で描写できるように頑張ります。
綾辻様
そこまで言って頂き、真にありがとうございます。本当に嬉しい限りです。
今後とも、圧倒的な力で勝つのではなく、策を用いた戦闘になるので、質を落とさないように頑張りたいと思います。
更新スピードは要精進しときます。とか、書いときながらこの遅さ。期待なさって頂いているのに、すみません。
完結。本当に何話になるのだろうか。バーサーカー戦で早くも十一話、ある意味やばいですね。
どうも、最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
それでは、九十九でした。