インデックスに戻る(フレーム有り無し

▽レス始

「これが私の生きる道!地球編9(ガンダムSEED)」

ヨシ (2006-02-25 00:17/2006-02-25 14:43)
BACK< >NEXT

(オノゴロ島秘密ドック内アークエンジェル)

カザマ隊長が、特殊装甲師団仮設司令部のある
モルゲンレーテ社に出かけてから1時間が経過
した。
タリア艦長やアーサー副隊長はオーブ軍の戦闘
マニュアルや軍規や軍法関係のマニュアルを
眺めながら、今後の事を話していた。

 「これが普通なんでしょうけど、階級が
  細かく分かれていて大変なのね」

 「こちらの方が楽かもしれませんよ。ザフト
だと共同作戦時にたまに揉めるじゃありま
  せんか」

ザフトでは、たまに共同作戦を行う時に指揮権
で揉める事がある。
集まった指揮官がみんな隊長だったりする事が
多いからだ。
最近では、事前に上層部が指揮権順位を決めて
指令を送るので、この手の問題は発生していない。

 「でも、カザマ君は一佐でしょ。凄いじゃ
  ありませんか。外部の人間がいきなり
  部隊のナンバー3ですよ」

 「彼は正確には外部の人間ではないわ。彼の
  お父様はモルゲンレーテ社の役員なのよ。
  あの会社の性格を考えたらこの意味は  
  わかるでしょう」

 「ええ、そうですね」

だが、これはタリアの考え過ぎであった。
彼がナンバー3なのは、モビルスーツ部隊の
指揮官としての力量を買われたのと、最前線
で戦死する確立が多いので、外国人の彼なら
押し付けやすいと考えられたに過ぎない。
そして、この師団には腕はいいが、アクの強い
連中が多いので、オーブの正規の士官では対応
出来ないと考えられたのだ。

 「でも、これから暫らくはカザマ君は戻って
  来れないですよね」

 「ええ、オーブ国民のコーディネーター志願兵
  がいるらしいから訓練で大変でしょ。名教官
  カザマ君の復活よ」

 「でも、マユラ君達やババ一尉はすぐに上達
  していましたよ」

 「彼女達は基本が出来ていたでしょ。志願兵は
  厳しい選抜は潜り抜けてきているけど、素人
  なのよ。カザマ君は大変なのよ」

 「では、私達は艦隊関連の仕事を全部引き受け
  て、彼の負担を少なくしないといけません
  ね」

アーサー副隊長ははりきっていた。
今まで、単艦の特殊部隊の副隊長だったので、仕事
があまり無かったのだ。
パイロット出身ならモビルスーツで活躍できるが、
彼は艦船科の出身だ。
そして、艦もアークエンジェル一隻なので、タリア
艦長に指揮を任せてしまう事が多かった。

 「やっと、私の出番ですよ。アークエンジェル
  とタケミカヅチと数隻の護衛艦。カザマ君は
  師団のモビルスーツ隊の指揮で忙しいで
  しょうから、艦隊の指揮は私に一任される
  はずです」

 「そうね・・・。まって!この書類には艦隊の
  指揮はタケミカヅチ艦長のトダカ一佐が兼任
  するって書いてあるわよ」

 「えーーーー!」

アーサー副隊長の野望はわずか数分で費える。

 「では、私の仕事は?」

 「トダカ一佐の参謀役でしょうね。でも、彼には
  アマギ一尉という優秀な副長が付いているらし
  いから、また仕事が無いかもよ」

書類を読みながらタリア艦長は続けて説明する。

 「じゃあ、私の仕事って?」

 「前と同じですね。この艦隊って何故か副長が
  いませんからその仕事だと思います」

アビー・ウィンザーが冷静に答えた。

 「副長か。そう言えばいないよな」

操艦担当のマリク・ヤードバースが思い出した
ようにつぶやく。 

 「この隊の創設時に私が上層部から聞いた話では
  、副隊長が暇になるだろうから任せろという命
  令だったわ。だから、今のままでいいのよ」

タリア艦長はキッパリと断言する。

 「もう、いいですよ。私はタケミカヅチの
  トダカ一佐に挨拶に行ってきます」  

アーサー副隊長はいじけながらブリッジを後に
した。

 「タリア、可哀想な事をするなよ」

軍医のリヒャルト先生が現れる。
彼はタリア艦長の同期なので気安い口を利く。

 「ショック療法よ。もう少ししっかり
  してもらわないと」

 「お前はきついからな。ショックで死んで
  しまう可能性があるぞ」

 「あなたの大好きだったアカデミーの食堂の
  おばさんは元気かしらね」

タリア艦長は過去の傷口をえぐる。 

 「さて、俺はオーブ軍の軍医の集まりが
  あったんだ」

リヒャルトは熟女好きがばらされそうになった
ので、早々に退散した。 

 「本当、ストレスが溜まってしょうがないわ」

いきなり他国の軍に入隊させられて、彼女の
モチベーションは下がりっぱなしだった。

 


(モルゲンレーテ社秘密格納庫入口)

カガリに着任の挨拶を済ませてから、俺達は新しい
搭乗モビルスーツを見に出かける。
副官であるレイナ、カナ、フレイを引き連れて
格納庫らしき場所に着くと、動で大きな扉が
開いた。
中に入ると、20機ほどのモビルスーツが見える。

 「へえ、いっぱいあるね。カガリちゃんの愛機
  はどれなの?」

 「これだよ」

カガリは中央に鎮座しているモビルスーツを
指差す。
驚いた事に、そのモビルスーツは金色だった。

 「金色のモビルスーツ。マジ?戦場で的に
  なりそうだな。それで、スペックは?」

俺はキサカ一佐に尋ねる。

 「正式名称は(暁)だ。金色の装甲は特殊な
  コーティングを施しているからで、ビーム
  を弾き返す効果があるのだ。その他には
  飛行パックが標準装備でビームライフル、
  ビームサーベル、イーゲルシュテルンと
  腰に2門のレールキャノンを装備している」

 「意外とオーソドックスなモビルスーツだね」

 「本当は量子通信システムを利用した、
  ドラグーンという装備の実験機でもあったん
  だが、カガリには使えないので外してある」

あんな特殊な装備、簡単に使えるものか。

 「プラントでも研究されていますが、うちでも
  クルーゼ隊長にしか使えませんよ。連合だって
  開戦時には多少は使えるパイロットは存在して
  いましたが、月のエンデュミオンクレーター
  での戦いでほとんど全滅しています」

 「うちも使えるパイロットは1人だけだ」

 「誰なんです?」

 「キラだよ」

あいつ何者なんだ?

 「でもさ、この機体はあくまでもお飾りなんで
  しょ。カガリちゃんは出撃しないよね?」

俺は一番心配していた事を聞いてみた。

 「何を言ってるんだ。出撃するに決まっている
  だろう。その為に訓練してるし、親衛隊まで
  作ったんだ」

カガリは真面目に出撃するつもりだ。

 「普通、指揮官は後ろでどっしりと構えている
  ものでしょ。キサカさん、止めてくださいよ」

俺はキサカ一佐にお願いするが。

 「実はな、オーブという国は技術力や経済力に
  優れ国民の生活水準も高いのだが、政治的には
  一時代前の専制国家と変わりがないのだ。
  支配者階級である5大氏族の中では日々
  次期代表をめぐる争いが行われている。
  最近はウズミ様の独裁状態が続いていたの
  だが、ヘリオポリスの事件でケチがついて
  からは、自分の影響力を保つのに精一杯の状態
  でカガリを次期代表に据える力を無くして
  おられるのだ。現代表ホムラ様の後継者候補は
  3人。カガリ、ウナト様・ユウナ様親子、
  そして、ミナ様・ギナ様姉弟の3大勢力で日々
  駆け引きが行われている」

 「それってつまり、カガリちゃんが前線で勇敢に
  モビルスーツ隊を指揮して大戦果をあげれば、
  後継者レースに有利になるって事?」

 「ああそうだ。そして、本来外様であるザフト軍
  のお前が一佐待遇でモビルスーツ隊の指揮を
  任されている理由はそこにあるんだ」

軍本部も外国人や非主流派の俺達なら惜しく
ないって事か。 

 「いくらカガリちゃんでも他のライバルの手前、
  オーブ軍本隊をいきなり指揮させるわけにも
  いかず、かといって政治が苦手なカガリちゃん
  にセイラン家の連中の真似は出来ず、サハク家
  のように宇宙コロニーという独自の勢力を
  持っているわけでも無いので一番不利な立場に
  いるわけだから・・・」

 「ザフト軍、自衛隊将校、傭兵、オーブ軍特殊
  部隊出身者、大西洋連邦の政治家の娘、
  プラント評議会議員の息子、モルゲンレーテ社
  次期社長候補、多数の勢力とコネを繋ぐ事が
  出来る上に、戦果をあげればカガリに逆転の
  可能性が出てくる。それに、次の次という事
  だってあるからな」

 「ふうん、大変なんですね。俺は庶民で良かった
  ですよ。それで、次期社長って誰?」

 「お前の父上だよ」

 「えっ、あの親父そんなに偉いの?」

 「プラントと日本の橋渡し役だからな。
  技術交流が盛んになったおかげで、
  モビルスーツの開発が早く進むんだ」

 「初耳だ。まあ、息子の俺は関係ないけど」

 「お前、自分の立場わかってるのか?」

突然、カガリに聞かれるがよく理解できない。

 「どういう事?」

 「お前、ラクスと付き合ってるんだろ。彼女は
  元プラント評議会議長の娘だ。お前が将来、
  プラント評議会議長になる可能性だって
  あるんだ」

 「そういう考えもあるんだね。でも、俺は普通
  に生活させて貰うよ。婿に入るつもりも
  ないし。戦後は小さい会社でも作って仕事
  がしたいな。その為に貯金や投資もしている
  から」

俺は将来のささやかな夢を語る。

 「兄貴、貯金なんてしてるの?」

子供の頃、マンガだゲームだアニメのディスク
だと無駄使いばかりして貯金があまり出来な
かった俺を知っているカナが驚きの表情で
聞いてきた。

 「あのね。プラントに上がる3年くらい前には
  普通に貯金してたでしょ。俺だって目標が
  あれば貯金くらいするさ」

 「投資って何をしているんだ?」

カガリが聞いてきた。

 「株を少々やっている。戦争をやっていると  
  値上がりする銘柄を特定しやすいからな」

 「何が上がるんだ?」

キサカ一佐が真剣に尋ねてくる。
妻子持ちのキサカ一佐はお小遣いに困っているの
だろうか?
以前、クルーゼ隊長にも聞かれた事があるので、
結婚すると色々大変らしい。       

 「開戦してから暫らくは、戦闘艦艇や輸送艦を
  作る造船関連の会社や材料の装甲版を作る
  金属加工系の会社、火器を作っている会社、
  装備品製造の電子機器メーカー、兵員が増員
  されたので軍服製造メーカーなどが値上がり
  しました。後は輸送航路が危険になったので、
  保険料が上がった保険会社の株も買いました
  よ。でもこれはすぐに売ってしまいました。
  輸送船の損害が増えた為に、株価がすぐに
  下がってしまったので。
  後は大きな作戦の前には製薬会社の株を
  買っておきます。大きな戦闘では負傷者が
  増大するので、事前に薬が多量生産されて
  全て売れてしまいます。結果、株価が上昇
  するので確実に利益が望めます」

 「なるほど、そうなのか」

キサカ一佐が真剣にメモを取っている。
カガリは何かを言いたいようだが、彼の真剣さ
に声を掛けられないでいる。 

 「ヨシヒロ、私はあなたの夢に賛同いたします
  わ。そして、妻として支えていきたいと思い
  ます」

いきなり、後ろからラクスが現れた。

 「えっ、ラクス!?」

カガリが驚いている。

 「どうして、あなたがここにいるのよ!」

フレイが大きな声をあげ。

 「いつからいたの?ラクス」

レイナは大して驚きもしないようだ。
慣れたのか磨耗したのかは知らないが。 

 「ラクス、オーブ軍の軍服が似合うね」

カナの指摘通りに彼女はオーブ軍の軍服を着て
いる。

 「あの、ラクス。どうしてここに? 
  それに、歌手の仕事の方は大丈夫ですか?」

俺は心配になってきた。

 「はい、地球各国でのコンサートと新曲の
  レコーディングが無事終了いたしました
  ので、長期休暇に入ったのですが、平和な
  オーブが侵略の危機にあると聞きいても
  たってもいられなくなりました。
  なので、志願させていただきましたわ」

そう言いながら、辞令をカガリに手渡した。

 「えーと、ラクス・クライン三尉をカザマ一佐
  の副官に任命する。ウズミ・ナラ・アスハ。  
  って、・・・・・・」

 「あの、ラクス。これはいったい・・・」

 「はい、お父様の伝でウズミ様にお願い
  いたしましたら快く認めていただきました」

本当だろうか?厄介払いなのか、圧力に負けた
のかのどちらかだろう。

 「あなたね!カザマ一佐の副官は私なの!
  それに、プラント評議会元議長の娘が
  ここにいてはまずいでしょ!」

 「あら、あくまでも元議長ですわ。現役の
  大西洋連邦外務次官の娘であるフレイさん
  の方が色々とまずいのでは?」

2人の毒舌の応酬が続き、俺以外の人があきらかに
引いている。

 「どうしよう。カガリちゃん」

俺は一応、一番偉いカガリにお伺いを立てる。

 「別に副官が2人いてもかまわないだろう」

 「かまわないけど効率が悪い。誰かに回せば
  いいだろ!」

 「お前、本人にそれが言えるのか?」

しまった!絶対に言えない。

 「副官は2人でいいです・・・」

俺は現状を追認する事しか出来なかった。

 「さて、横道にそれ過ぎだったので、本題に
  戻すよ。その他のモビルスーツは?」

 「時間が無いから簡単に説明する。俺とマユラ達
  はセンプウに乗る事が決まっていて、石原一尉
  は自分のセンプウを持参してきている。後は、
  アスラン達中隊長がオーブ製のジャスティス
  に搭乗して、キラも同じくオーブ製の
  フリーダムに搭乗する事が決まっている」

 「キラを本当に戦場に出してしまっていいん
  ですか?戦死したり、捕虜になったら大損害
  ですよ」

 「何しろ、本人が希望している事だからな。
  親友であるアスランが前線で戦っているのに、
  自分だけ後ろにいられないと」

 「キラの腕前はどうなんです?前回よりも上がり
  ましたか?」

 「腕前は脅威の一言だ。今は教官も兼任して
  いるのだ。カガリもキラの弟子の1人だしな」

キラがそこまで成長しているとは。

 「それで、残りのムラクモガイと俺の
  機体は?」

 「あそこだ」

格納庫の端を見ると、ストライクに似た機体と
アストレイに似た手足が青系統の色の機体が  
見える。

 「あれがムラクモガイのモビルスーツ?」

 「そうだ」

コックピット内で調整中だったガイが降りてくる。

 「俺の機体はブルーフレーム改靴箸いΦ‖里澄
  胴体部分にフェイズシフト装甲を装備した
  ブルーフレーム三番目の改良機だ」

 「ふうん、オーソドックスそうな機体で信頼性が
  高そうだ。まあ、前回の事は忘れてお互いに
  頑張ろうぜ。今回だけはな!」

 「俺はプロの傭兵だ。依頼された仕事は確実に
  こなすし、その為にはお前と馴れ合う事も
  するさ。今回だけはな!」

2人は最大握力で握手をする。

 「おい、大丈夫なのか?2人共」

カガリは心配そうに尋ねてきた。

 「大丈夫だって、一佐の俺は一尉待遇の部下と
  なんて張り合いませんよ」

 「ふっ、語るに落ちたな。パイロットは階級
  ではなく技量で部下に信頼されるものなんだ」

 「ほう、俺は技量不足だと?」

 「そうは言っていないさ」

 「わかった。午後に模擬戦を行うぞ」

 「了解だ。一佐殿」 

生意気な!叩きのめしてやる。

 「カザマ一佐ってたまに子供っぽくなる
  わよね」

 「そういうところが可愛くて素敵ですわ」

フレイとラクスが後ろで楽しそうに会話していた。
とりあえず休戦したようだ。 

 「それで、俺の機体はストライクなの?」

 「正式名称ブラックストライク(Bストライク)
  と呼ばれる機体で、次期量産計画を意識して
  製造されたモビルスーツだ。この機体は単純に
  頑丈で素早くて長時間戦えるよう設計されて
  いて、試作機にありがちな整備性の悪さや
  使い勝手の悪い装備は搭載されていない。
  武装は(暁)とほぼ同じ物を搭載している」

 「信頼性の高い機体大歓迎。日本ではジンプウ
  にひどい目にあったから」

ジンプウ墜落の悪夢がよみがえる。

 「では、モビルスーツの紹介は終了だ。次は
  部下を紹介するから、野外演習場に行こう」


俺達は格納庫を出てから野外演習場に集合する。
そこでは、数十機のモビルスーツが訓練を行って
いた。
モビルスーツはM−1、M−1改、M−1改供
レップウ、センプウ、その他にもジンやディンの
姿も見える。

 「傭兵はモビルスーツ持参か」

 「そういう事」

 「では、全員集合!」

訓練をいったん中断させてから全員を整列させる。

 「私がこの特殊装甲師団を率いる事になった
  カガリ・ユラ・アスハ少将だ。
  未熟な点は多いと思うが、よろしく頼む」

カガリが始めに挨拶をする。

 「参謀長のレドニル・キサカ一佐だ。明日で
  准将に昇格するが、モビルスーツにも搭乗
  するのでよろしく頼む」

キサカ一佐もそれに続く。

 「モビルスーツ部隊を指揮する事になった
  ヨシヒロ・カザマ一佐だ。プロであるお前達に
  今更言う事なんて無いが、ヘボは辞めて貰うか
  らな。それと、俺に文句があるやつはいつでも
  相手になってやる。但し、モビルスーツ戦のみ
  だが」

時間が一ヶ月半しか無い。
アクの強い傭兵共を上手く従わせないといけない。
カガリが舐められるような事態になったら
強行手段をとらなければ。

その後、中隊長などの中間幹部の紹介を行って
からパイロット達は訓練に戻る。
俺はアスラン達を呼んでミーティングを行った。

 「それで、パイロット達の技量はどう
  なんだ?」

 「ザフト軍のパイロット達には不満な点は
  ありません。チームプレイはこれから訓練
  すれば十分間に合います。傭兵達には多少
  困った連中がいましたが、イザークが
  少しシメてやったら大人しいものです」

アスランが簡単に状況を報告する。

 「そうか、イザーク。面倒をかけて悪かったな」

 「いいえ、それほどの事はしていませんよ」

 「ですが、問題が1つあります」

ニコルが続けて報告する。

 「例の志願兵たちか?」

 「ええ、才能は厳しい選抜を潜り抜けている
  ので、折り紙つきですが時間が足りません。
  このままでは全員戦死してしまいます」

選抜されたパイロットは全員コーディネーター
なのだそうだ。
いくらオーブが共存政策を取っていても、俺達
コーディネーターに忌避感を持っている連中
は存在するのだ。
彼らはコーディネーターで能力があるから
大丈夫だろうと、自分達の心すら誤魔化して
彼らを選抜したに違いない。
いくらコーディネーターでも、訓練が不十分
なら訓練を積んだナチュラルにかなわない事
がわかっている癖に。

 「わかった。その件は俺が面倒を見る。
  志願兵は一纏めにしてシホの中隊に所属
  させろ。俺が重点的の訓練を施す」

 「わかりました」

シホが素直に返事をした。 

 「では、アスラン達はケガ人が出ない程度に
  頑張ってくれ。一週間後から中隊対抗で
  集団模擬戦を行うから。ちゃんと部下に
  伝えておけよ」       

 「「「了解です」」」

 「それと、石原一尉は久しぶりってほど日数
  が経っていないな」

 「俺の目標は模擬戦でお前を倒す事なんだ。
  その為には自衛隊の訓練では不可能
  だからな」

 「では、とりあえずはマユラ達とアスラン達の
  補佐に入ってくれ。親衛隊要員は万一の時に
  は中隊の指揮を執らないといけないからな。
  技量がいまいちだとパイロット達に舐めら
  れるぞ」

ここの師団の力量は世界でもトップクラスだ。
ここに匹敵する部隊はザフトの親衛隊や一部
の精鋭部隊。そして、連合の例の新鋭機部隊
くらいだろう。

 「では、行ってくるよ」

 「「「行ってきまーす」」」

石原一尉とマユラ達は自分の機体に戻って
いった。

 「そして、次だ。キサカ一佐の実力はどの程度
  なんだ?」 

俺はキサカ一佐がモビルスーツに搭乗するとは
思っていなかったので、彼の技量がよくわから
ない。

 「誰か知ってるか?」

俺は周りの人に聞いてみる。

 「そうだな。この師団で言うと並の上といった
  ところだ」

意外にもムラクモガイが教えてくれる。

 「では、問題ないな。カガリは後でチェックを 
  入れるとして、ガイはキラと対戦した事は
  あるか?」

 「無いが、よく部下に訓練をつけているぞ。
  今日は技術部に用事があってまだ出てきて
  いない」

詳しいな。
キラのストーカーでもやってるのか?

 「今、失礼な事を考えていなかったか?」

 「有名なサーペント・テールのムラクモガイ様
  に失礼な事なんてしませんよ」

 「引っかかる言い方だな・・・。
  まあいい。これから勝負だぞ」

 「ああ、受けて立つさ!」

面倒くさい仕事をいったん終了させてから、俺は
Bストライクを機動させて慣らし操縦を始める。

 「操縦性は素直の一言。武器はシンプルで使い
  易い。稼働時間も長いし、スピード、パワー、
  はジャスティスに匹敵する。こいつは当たり
  だな」

 「おい、準備はいいか?」

ガイが無線を入れてくる。

 「では、勝負開始だ・・・」


勝負開始の合図と共に、俺はビームライフルを
ブルーフレームに向けて撃つ。すると、向こう
も撃ち返してきた。
技量が互角に近く、お互いに動きが読めてしまう
ので、射撃はけん制くらいの効果しかない。

 「昔、ビームライフルの試作品をお前との戦い
  で壊してしまって、俺はシホに物凄く怒られ
  たんだ!この恨み晴らしてやる」

 「お前が仕事を妨害してくれたおかげで俺は
  暫らく信用を落としたんだ。俺のプライドに
  かけて貴様を倒す!」

2機のモビルスーツはビームサーベルを抜いて
斬り合いを始めた。
だが、やっぱり技量は互角で勝負はなかなか
つかない。 

 「みんな、(黒い死神)とムラクモ・ガイが
  模擬戦をやってるぞ!」 

訓練中のパイロットが偶然見つけてしまった為に、
無線で全員に伝わり、訓練どころではなくなって
しまったのだ。
アスラン達も「熟練者の動きを見るのも訓練だ」
と動きを止めて見学を始めてしまった。

 「勝負は凄いんだけど、会話の内容が
  なんかね」

 「あら、可愛らしいではありませんか」

フレイとラクスが感想を述べていた。 

勝負を始めてから30分ほどが経過した。
フルパワーで戦い続けた俺達はエネルギーが
尽きかけていて、勝負を急がないといけない。

 「ええい、最後の手段だ!」

 「貴様を倒す!」

お互いに最後の一撃を繰り出した。

 「「パイロット死亡です」」

最後の一撃はお互いの機体のコックピットを
突いていて両者死亡で引き分けに終わった。

 「まあ、実際は0.1秒ほど俺の突きが
  速かったから俺の勝ちだな」

俺は判定勝ちを主張する。 

 「ばかものめ。俺の突きの方が0.1秒速かった
  んだ。それに、お前の一撃は少し中心から
  ずれていた」

ガイは自分こそ判定勝ちだと主張する。 

 「そんな事あるか!お前の突きがずれていたん
  だ。だから、俺は脱出できる可能性があった
  んだ」

 「ビームサーベルの熱で蒸発しているのに
  どうやって脱出するんだ。この大バカ者!」

 「お前と違って機敏な俺には可能なんです!」

 「俺の方が素早いね!大体20歳前のガキの
  くせに生意気なんだよ」

 「うるせえ!この年齢不詳男が!」

 「何だと!この左遷男が!」

俺達の不毛な言い争いは暫らく続いた・・・。

 「せっかくの好勝負だったのに・・・」

 「あら、可愛いではありませんか」

フレイはため息を吐き、ラクスは嬉しそうに
微笑むのだった。 


ガイとの勝負は終わり、俺はカガリの技量評価を
する事にした。
合格点が出ないようなら、無理やりにでも出撃
させないつもりだ。

 「じゃあ、かかってきなさい」

カガリは調整を終えた「暁」で、俺はBストライク
が整備中なので、M−1改兇鮗擇蠅討て
乗り込む。 
このM−1改兇魯札鵐廛Δ修辰りの機体だ。
性能も同じくらいだし、操縦系統も統一された
ようにそっくりだった。

 「いくぞ!」

カガリはビームサーベルを抜いてかかってきた。
普通は射撃でけん制くらいするものなのだが、
猪突猛進に攻めてくる。

 「えい」

俺はビームライフルを撃つが、向こうに撃墜判定
が出ない。

 「そういえば、ビームは弾かれるんだった
  よな」

俺は予備のレールガンをシールド裏から
取り出し構えて撃つ。すると、レールガンの
弾は「暁」のコクピットに命中して撃墜の
判定が出た。
この間、わずか30秒。

 「・・・・・・」

 「はははは、もう一回頼む」 

 「悪いんだけど、マユラ達は遥か彼方に行って
  るよ。本当に特訓してた?」

 「あれ?でもキラとはそこそこ戦えていたぞ」

 「もう一回ね」

再び、対決するが、勝負は一瞬でついた。
基本的にスピードは上がっているのだが、動作の
種類が単純で読みやすくなっている。

 「もういいよ。明日以降に期待するよ。
  でも、このままでは戦場に出せない事
  は理解してね」

何かがおかしい。
動きは良くなっているのに、実戦形式で演習を
すると弱くなっている。 
もしかして、キラもそうなのか?

 「カガリちゃん、キラはどこにいる?」

 「今、着いたみたいだぞ」

足元にキラの姿が見える。
彼はオーブ軍の軍服を着ているラクスに驚いて
いるようだ。

 「おーい、キラ。フリーダムに乗って来い。
  俺と模擬戦だ」

 「はい、わかりました」

数分後、キラはフリーダムに乗って現れる。

 「では、模擬戦を始めるぞ」

 「ヨシヒロさん、M−1改兇蚤臂翩
  ですか?」

カタログスペックはフリーダムの方が上だ。 

 「生意気言うなよ。実戦を潜り抜けている
  俺に勝とうなんて十年早い!」

俺はわざとキラを挑発する。
これで、実力を出してくれればいい。

 「僕だって訓練は積んでいます。舐めてかかると
  痛い目にあいますよ」

勝負は始まり、キラは背中のビーム砲とレールガン
を全門発射した。
だが、俺は余裕を持ってそれをかわす。
やはりそうだ。狙いが限定されていてかわし易い。
アスラン達やガイならかわす事が可能だ。
マユラ達や石原一尉も訓練次第でかわせるように
なるだろう。

 「何で当たらないんだ!」 

焦ったキラは連射するが、ますます命中から
遠ざかる。

 「キラ、エネルギーは大丈夫か?」

俺は忠告してやるが、キラには最大の侮辱に感じた
だろう。感情的になったキラはビームサーベルを
抜いて、俺に斬りかかって来た。

 「キラ、大丈夫か?お前、前回よりも弱くなって
  るよ」

 「うるさい!舐めるな!」

キラは激しく斬りかかってくるが、攻撃は全然
当たらない。
キラの攻撃は頭部と武器を持った腕しか狙わない
ので、回避が非常に簡単だ。
今まで、オーブの人間が気が付かなかったのは、
彼らの技量がたいした事が無くて、キラの素早さ
に翻弄されていたからだろう。

 「時間が勿体無い」

俺はこのM−1が装備しているビームサーベル
を構え直してキラの攻撃を待つ。
キラは再び恐ろしいスピードで斬りかかるが
俺は容易にかわしてからビームサーベルを腕
からはじき飛ばした。
そして、ビームサーベルでフリーダムの
コックピットを突くと、撃墜音が響きわたる。

 「パイロット死亡しました」

 「参りました・・・」

キラが降参して勝負は終了した。 

 「お前、前回は物凄く強かったのに、今日は
  メチャメチャ弱いぞ。どうしたんだ?」

 「そんなはずは無いんですけど・・・」

 「とにかく!お前、人に教えるの禁止!
  変な癖をつけるなよ。戦死してしまうぞ」

 「えっ、そんな・・・」

キラは落ち込んでしまった。

 「誰か、事情を知ってる奴いるか?」

周りの人に聞いてみる。

 「あっ、そういえば・・・」

 「カガリちゃん、知ってるの?」

 「カザマがオーブを出てからすぐだったんだが
  ・・・」

カガリの話を簡単にすると、モビルスーツで訓練
をしている時に、モルゲンレーテの技術者の1人
に所詮人殺しの技術とバカにされたらしいのだ。
俺ならぶん殴って終了だが、根が真面目なキラは
一晩悩んで、結論を出した。
敵の戦闘力だけを奪ってパイロットを殺さなけれ
ばいいのだと。

 「ずい分、都合のいい話だな」

 「僕は上手くいってると思っていたのですが」

 「攻撃が限定されすぎて隙だらけだ。
  敵のエースと対戦したら瞬殺されぞ」

 「でも、人を殺すのは・・・」

 「じゃあ、辞めちまえ!」

俺は頭にきていた。
キラは戦う覚悟が出来ていると聞いていたのだが、
こんな事ではダメだ。

 「これは戦争なんだ。ルールはあるが、人殺し
  だ。相手を倒さないと自分が殺される。
  そんな特殊な空間だ。別にお前がいなくても
  大勢が大きく変わるものでもない。
  今のお前がいると一緒に戦う仲間も危険に
  曝される。だから、辞めちまえ!」

 「でも、僕がいないと量子通信ミサイルが
  戦力として使えません。だから・・・」

 「ああ、あのでかい48連装のミサイルだろ。
  資料で見たが、空間認識能力者なら数人いる
  じゃないか。別にモビルスーツに装備できる
  ものでもないし、彼らにミサイルの操作に
  専念させた方が戦力になる」

キサカ一佐は空間認識能力を備えたパイロットが
キラ1人だと言っていた。
だが、パイロットの才能が無くても空間認識能力
を持っていた軍人が数人いたので、彼らにミサイル
のコントロールだけに専念して貰う事にしたのだ。
タケミカヅチ甲板や基地砲台に巨大なミサイル
発射管を設置して近くから空間認識能力者から
コントロールしてもらう。
モビルスーツは彼らを守りきればいくらでも
ミサイルを撃ち続けられる。
モビルスーツに搭載するより効果が高いのだ。

 「そんなわけだ。お前は優れているが、絶対
  唯一の神ではないんだ」

 「ですが・・・」

 「そうか、まだ理解していないのか。ではもう
  一戦するぞ。条件は変えるがな」

すぐに二回戦を再開する。
今回はキラに小隊を率いてもらう。
志願兵の中から、シホに優秀者を選んでもらい
左右に1機ずつ配置する。

 「では、スタートだ!」

キラは再び、背中の武装を全開にして射撃を行う。
今回はわざと数発の攻撃を受ける。

 「頭部全壊、メインカメラ破損。
  右腕全壊、ビームライフル喪失」

訓練用のコンピューターが警報を発する。

 「やった!」

キラは素直に喜んでいたが、俺は即座に起き上がり
サブカメラに視界を切り替えてから、ビームサーベル
を抜いて素早く投げつけた。

 「えっ、攻撃?」

ビームサーベルはフリーダムの右をすり抜けて、
M−1のコックピットに命中して甲高い音を
立てる。

 「コックピット直撃です。パイロット死亡」

訓練用のコンピューターがパイロットの死亡判定
を出す。

 「ちくしょう!」

キラはM−1に止めを刺しにいくが、俺は
サブカメラを見ながら攻撃をかわし続け、もう
一本のビームサーベルを抜いて、もう1機の
M−1に斬りかかる。

 「うわあ!」

未熟なM−1のパイロットは混乱してしまい、手足
をばたつかせるが、俺はビームサーベルを
コックピットに突きつける事に成功した。
そして、それと同時にキラのビームサーベルが
俺のM−1の両足と左腕を切り落としたと判定して
戦闘は終了した。

 「まさか、キラがここまで甘いと思わなかった。
  倒せるM−1は1機だけだと思っていたから」

 「あんなの反則ですよ」

 「俺はメインカメラと武装を壊されて必死だった
  んだ。お前は敵が同じ事をした後、そいつに
  反則だって怒るのか?
  第一、お前はあの状態で戦闘力を奪ったと
  勘違いしていたが、お前のした事は敵を手負い
  にしただけだ。結果、死なないでいい2人が
  殺されたよな。もし、実戦だったらお前は彼ら
  にどう謝るんだ?」

 「そ、それは・・・・・・」

 「残酷なようだが、戦場では敵のパイロットが
  降伏して、モビルスーツから降りてでも
  こない限り、完全に破壊するしかないんだ。
  そして、一番有効な破壊方法はコックピット
  を潰す事だ。変に手心を加えてパイロットを
  逃がすと、次に腕を上げたパイロットが味方
  を殺す事がある。ここはそんなシビアな
  世界だ。キラ、お前は技術者として十分活躍
  しているんだ。無理にパイロットをする必要
  はない」

キラは優しすぎだ。
パイロットには向いていないのだろう。

 「・・・・・・」

 「じゃあ、今日はこれで終わりだな」

 「待ってください!僕は自分の腕前に自惚れて
  いたんです。敵なんて殺さなくても、力を
  見せれば敵は引いてくれると本気で思っていた
  んです。すいませんでした。僕はもう迷いま
  せん。オーブを守るために全力で戦います。
  だから、チャンスをもう一度ください!」

キラは真剣に頼み込んできた。
どうしたものか・・・。

 「では、アスランと戦ってみろ。5本やって1本
  でも取ったら、認めてやる」

 「ありがとうございます」

 「おーい、アスラン。キラと勝負しろ!」

俺はアスランに無線で連絡を入れる。

 「いいですよ」

 「キラ、俺と初めて戦った時と同じにやれ」

 「わかりました」

 「では、勝負開始だ!」

キラのフリーダムとアスランのジャスティスは
勝負を開始した。


約、1時間後。

 「アスラン!何でスランプのキラから一本しか
  取れないんだよ!」

完全に気持ちが切り替わったキラは恐ろしい強さを
発揮した。
俺達の対戦を見て、油断していたアスランは精彩を
欠き、5本中4本を取られて完敗した。

 「アスラン、お前、中隊長職を解任するぞ」

 「そんな、勘弁してください」

 「明日もキラと模擬戦をしてろ」

 「俺ってダメな奴?」

今度はアスランが落ち込んでしまい。
カガリが必死に慰めていた。


夕方、訓練を終了させ、俺は食堂にフレイとラクス
をつれて休憩に向かった。
遅めのおやつを食うためだ。
ついでに、志願兵の連中も誘って話を聞くことに
した。

 「さて、今日のおやつは何かな?」

 「あの、カザマ一佐は食べ物が口に入るの
  ですか?」 

1人の志願兵が質問してきた。
初心者の彼らは激しい訓練で食べ物を受け付けない
らしい。

 「俺も最初は飲み物しか飲めなかったが、要は
  慣れだ」

全員で椅子に座ると、一人のウェイトレスがメニュー
を持ってきた。 

 「ヨシヒロは何を頼むの?」

 「えっ、ステラ?」

何と、ウェイトレスはステラだった。

 「ステラ、何をしてるんだい?」

 「ステラ、ここで働いているの」

 「オノゴロ島は関係者以外の全島民が避難して
  しまい学校も休校中なのです。そこで、ステラ
  に社会勉強を兼ねてここで働いて貰っているの 
  です」

ラクスが事情を説明してくれたが、何でラクスが
知っているんだ?

 「副官なら当然ですわ」

あまり副官の仕事とは関係ない気がする。

 「俺は日本茶と大福」

 「紅茶とクッキーをお願いします」

 「私はチョコレートパフェ」

 「太りますわよ」

ラクスが際どいツッコミを入れた。

 「うるさいわね。私は太っていないわ。
  ナイスボディーなの。貧乳のあなた
  とは違うの」

 「私は標準です。牛のような体をして
  ナイスボディーですか?」

2人の間に暗雲が立ち込めてくる。
幻覚だろうが、後ろに虎と竜が見える。
そして、志願兵達は初めての恐怖に怯えきって
いる。

 「みんなは、何を頼むの?」

昔、流行った黒いメイド服を着たステラが
注文を聞きに回っている。
ステラは天然なので、2人の争いが気にならない
らしい。

 「俺はね。コーヒーと焼きそばとサンドイッチ
  ね。焼きそばは大盛りで」

一番端の最年少の少年が沢山注文している。
黒い髪で赤い瞳が特徴的な少年だ。
身長は160cmくらいだろうか?

 「お前、大したもんだな。奢ってやるから
  たくさん食えよ!」

 「ありがとうございます」

 「お前、名前は?」

 「シン・アスカ三尉です」

 「おおそうか、シンお前いくつだ?」

 「もう少しで14歳になります」

 「そうか、今はまだ13歳なのかって、えっ、   
  13歳!?」 

おい!待てよ。
いくらなんでも・・・・・・。

 「ラクス、フレイ、5分で戻るからよろしく!」

俺は全速力で仮設司令部に走って行った。

 「おい!キサカ一佐、カガリちゃん、志願兵の
  事なんだが」

 「どうした?何か不都合でもあったか?」

 「何で13歳がいるんだよ!
  普通、ありえないだろ!」

 「シンの事か?」

キサカ一佐は知っていたらしい。

 「知ってて何で?」

 「モビルスーツパイロットの適正があったから
  だ。しかも、トップレベルの才能だ。
  俺達は1人でもパイロットが欲しいからな」

確かに、パイロットを集める事は難しい。
プラントではそれなりに人数が集まっているが、
他の国では大変なんだろう。
大西洋連邦の選考基準は知らないが、日本は
一億を超える人口がいても、戦闘機と
モビルスーツのパイロットが合計で千名を
超えないのだ。
人口4000万人のオーブでは大苦戦なの
だろう。 

 「必然的にコーディネーターに頼る事になって
  しまうのだ。彼らは優秀だし、短期間でもの
  になる可能性が高い」

 「それは理解した。でも、カレッジの学生は
  どうだったんだ?適正検査はしたのか?
  一応、平等にやらないと」

 「だめだった。才能がある学生はいたが、
  一ヶ月半でものになるものか。
  キラは全くの別格だからな」

確かにキラは特別だな。

 「カレッジの学生は即戦力になりそうなのは、
  工業科の学生くらいでな、整備班に回して
  いる。正直、モビルスーツの増加で人手が
  まったく足りてないからな。
  残りの連中は事務・総務・経理・人事の
  仕事の補助とレイナ達のような副官兼秘書
  のような仕事をしている」

プラントはモビルスーツが主力になって時間が
経っているので、整備の人手には十分気を使って
いる。
日本や他のプラント同盟国は他の兵科の人間を
回して対応しているようだ。

 「オーブだって、他の兵科の人間を回せば
  いいでしょ」

 「回せるほど人手がいない。オーブが軍拡を
  始めたのは最近だ。今までは経済優先で
  軍部が割りを食っていたのだ。中立政策の
  影響で、最近まで戦争になると信じていた
  国民はほとんどいなかったからな」

 「モビルスーツは早期に開発して量産して 
  いたじゃない」

 「モビルスーツだけはな。こんなに整備に
  手間がかかると思っていなかったらしい」

 「日本は硫黄島に全戦力が結集できた。整備班
  も人数が多くてすぐに戦線に復帰できた。
  オーブはモビルスーツの数はそれなりに
  揃えた。だが、整備と補給に時間がかかり
  そうだ。厳しい戦いだな」

 「将校としては頭の痛い問題だな。だが、
  必ずなんとかするから安心しろ」

 「わかったよ。俺はパイロットの技量を上げる
  事に専念するよ」

 「実は、もう暫らくしたら他のモビルスーツ
  師団に教官を派遣しなければいけないかも
  しれない。今日、お前達の技量を見たら
  連中のあまりの下手さに不安になって
  しまった」

俺達はオーブ軍人だけど、純粋なオーブ軍人では
ないからな。

 「じゃあ、人を待たせているから食堂に
  戻るよ」

俺は仮設司令室を退出して食堂に戻る。
すると・・・。

 「へえ、君はステラって言うのか。明日から
  飯食うのが楽しみだな。俺名前はシン、
  シン・アスカって言うんだ。よろしくな」 

 「シン、よろしくね」    

シンはステラと楽しそうに話していた。
ステラも満更でもないらしい。
心配して損をした。奴は敵だ。    
明日から超スーパーデラックスコースで特訓して
あげて無駄な野心を抱かせないようにしないと
いけない。

 「ヨシヒロ、大人げないですよ」

ラクスに釘を刺された。
どうしてバレたんだ?

 「カザマ一佐、口に出てましたよ」

フレイが真相を話してくれた。
やばい、気をつけないといけない。
奴は密かに亡き者にしないといけない。 


 「では、今日は解散だ。全員、明日に備えて
  早めに休めよ。マジにきついから」

俺は解散を宣言してから再び仮設司令部に寄って
帰宅する旨を報告した。

 「そうか。私も一緒に行く」

 「えっ、カガリちゃんが?どうして?」

 「女だけで、秘密の会合があるんだ。場所は
  お前の家だ」

秘密なのにバラしていいのか?

 「世間で言うところのパジャマパーティー
  なんでしょ?アスハ少将」

丁度、司令部にいた石原一尉がカガリに聞いて
いる。

 「ああ、そうだ」

 「俺達が話しのツマになるのか」

 「カザマはモテるから悪口なんて出ないだろ」

 「石原一尉はエリート将校で日本国総理の
  息子なんだから悪口なんて出ないだろ」

 「そうでもないさ。週刊誌には悪口出まくりだ」

 「偉い人間の宿命だ。あきらめろ」

 「でも、お前も載ってたぞ」

 「俺がか?どうして?」

深夜のご乱行。未成年で飲酒。若い男性と2人きり
でのデート、英雄は男性がお好き。
石原一尉が取り出した週刊誌に俺の写真が写って
いた。

 「何で俺がホモ扱いなんだ!俺はノーマルだ!」

写真をよく見ると、どこかで見たような・・・。

 「あっ、これカガリちゃんだ」

日本で2人で抜け出した時の写真のようだ。

 「ちくしょう!私は女だ!抗議してやる」

 「ダメだカガリ、お前だとバレたら大変だ。
  この件ではカザマに泥をかぶって貰う」

 「そんなご無体なーーーー!」

俺の絶叫が司令室にコダマした。


(モルゲンレーテ社正面玄関)

本日の仕事は終了したので、俺達は帰宅の途に
つく。
アスラン達、ザフト組は宿舎が用意されている
のでそこに寝泊りし、俺は自宅が近いので
そこに泊まる事になった。
急な増員で宿舎が足りないので、俺は自宅通勤に
なったようだ。
帰り道をカガリ、ラクス、フレイと一緒に帰る。

 「カガリ、シホも参加するって」

 「そうか、これで全員かな?」

 「フレイ、シホといつの間に連絡取ってたの?」

俺はそれが不思議でしょうがない。

 「私、副官なんですよ。書類の受け渡しとかで
  日に一回は会いますよ。その時です」

 「なるほどね」

ちゃんと仕事してたんだ。 

 「マユラ達も出席するってさ」

カガリも連絡を受けていたらしい。

 「楽しそうな集会になりそうですわね」

ラクスは嬉しそうな顔をしているが、俺達の
欠席裁判の可能性が高い。
俺が弾劾されないように祈るしかなかった。


(自宅一階、リビング)

帰宅後に夕食をとった女性陣は飲み物とお菓子
を持って、二階にあがった。
その瞬間、二階は男子立ち入り禁止になったので、
俺は親父とお土産を持ってきた石原一尉とで酒
を酌み交わす。

 「女ってのはこういう集会が好きだよな」

吟醸酒「美少年」を飲みながら親父がつぶやく
ように語る。

 「俺は映画とドラマの中だけの設定だと
  思ってた」

俺はスルメを齧りながらそれに続く。

 「俺には姉がいるんだが、高校生の時に
  よくやってたぞ」

石原一尉は自分のコップに酒を注ぎながら
過去の話をしてくれた。

 「私も学生の時にやりましたよ。
  時代は関係ないんですよ」

お酒を飲まない母さんがお茶を啜りながら
昔の話をした。

 「ステラまで参加してるからな。
  何を話しているのかな?」

親父のつぶやきは誰も聞いていなかった。


(自宅二階、レイナの部屋)

 「では、第一回男子禁制パジャマパーティー
  を開催します」

カナが開会宣言をすると拍手が鳴り響く。

 「ねえ、レイナ。どんな話をするの?」

趣旨をまだ理解していないステラが質問をする。

 「ステラが今までに会った素敵な男性の
  話をしてくれればいいのよ」

ミリアリアが代わりに答える。

 「うんとね。ヨシヒロとニコルとラスティーと
  シンかな?」

1人予想外の人物がいて驚きの声が上がる。

 「シンって誰?」

ミリアリアは会った事がないので知らなかった。

 「志願兵のパイロットの男の子よ。
  まだ13歳だけど、結構カワイイわよ」

フレイが教えてあげる。

 「うんとね。明日クッキーを作ってあげるの。
  シン、甘いものが好きなんだって」

 「そうなの?でも、お父さんには内緒にした
  方がいいわよ」

レイナは過去の自分の父親の暴走を思い出し、
忠告をする。

 「兄貴も要注意よ。ステラの可愛がり方が
  異常だから。シン君、特訓名目で殺され
  かねないわよ」

カナも注意する。

 「大丈夫、ヨシヒロはちゃんとシンを
  鍛えてくれる」

ステラは疑ってもいないようだ。

 「「「ステラちゃんにも負けてしまったわ」」」 

マユラ、アサギ、ジュリは悲しそうな表情をする。

 「マユラは石原一尉と楽しそうに話していたで
  しょ。日本にいた時からそうじゃない」

アサギが爆弾を投下した。

 「石原一尉、かっこいいものね。エリートだし、
  金持ちだし、やさしいし」  

 「ジュリ!私は別に・・・」

 「まあ、暖かく見守ってやるよ。親友として」

アサギが上手くまとめる。

 「でも、この師団はいい男が多いわよ」

 「フレイは婚約者がいるじゃない」

 「でもねえ、あのユウナよ。サイの方が
  何倍もマシ」

 「サイでその程度の評価なの?サイはいい男だし
  、カレッジでも優秀だし、あのアーガイル海運
  の跡取り息子よ」

ミリアリアは友達である彼の事を良く知っている
のだ。

 「でも、ヨシヒロさんの部下にはそんな人
  ゴロゴロいるわよ」

フレイはサイでは物足りなかったらしい。

 「兄貴の部下ね。シホの婚約者のラスティー
  は大企業の御曹司だものね」

 「そう言えば、馴れ初めは?聞いたことが
  ないわね」

ミリアリアは興味しんしんだ。

 「いや、そんな特別な事は・・・。
  幼馴染で子供の頃から一緒ですから」

 「それで、彼を追ってアカデミーに入学か
  純愛だねー」

 「ジュリ、オヤジくさい」

アサギにばっさりと切り捨てられた。

 「幼馴染愛かロマンチックね」

ミリアリアはうっとりとしていた。

 「ラスティーの同僚にはいい男が多いわよ。
  カナはニコルがお気に入りでしょ」

フレイにからかわれるが。

 「まあね、付き合ってるし」

 「動揺しないわね」

 「レイナはキラだから関係ないし、
  アスランはカガリよね?」

 「ああ、そうだ。ラクスには悪いんだけど」

カガリは少し申し訳なさそうに言う。

 「気になさらないでください。私は祝福  
  してますのよ」

 「誰も傷つかなかったからね」

カナが冷静に事実を語る。

 「ラクスはヨシヒロのお嫁さん」

 「まあ、ステラったら、そんな事実を」

 「事実って言い切ったな」

カガリは驚いているようだ。

 「フレイ、怒らないの?」

レイナが不思議そうに聞く。

 「本当なら張り合いたいんだけど、既に
  あきらめている部分もあるのよ」 

 「ふうん、複雑なのね。それで、次の候補は?」  

レイナが更に質問する。

 「そうね。ヨシヒロさんの部下のイザーク・
  ジュールさんとか良さそうかな?」

 「えっ、イザーク!」

シホには衝撃の事実だった。

 「以前、ユウナがしつこかった時に追い払って
  くれたのよ。結構いい男だし」

 「イザークさんってどんな人?」

カナは一回しか会った事が無いので知らなかった。 

 「そうね。凄腕のパイロットで頼りになる
  同僚よ」

 「オカッパ」

 「私を凶暴女って呼びやがった!」

 「私はモビルスーツの操縦を教えて貰ったわ。
  尊敬すべき人よ」

 「右に同じ」

 「同じです」

 「ミリアリアはどう思う?」

 「私の印象は少し無口で真面目そうな
  人かな?」

人によって評価が違い過ぎて参考にならない。

 「まあ、地道に頑張ってみるわ」

 「そうね、様子見って事で」

ミリアリアが話しを閉める。

 「カレッジの同級生達はどうなんですか?」

珍しくシホが積極的だ。

 「サイはいい男なんだけど、ツキに見放されて
  いるわね。カズイは地味だけど、いい奴よ
  カレッジの先輩と付き合ってるわ。
  トールはミリィーの彼氏よ。あんな善人珍しい
  わね。キラはそうね。コーディネーターとは
  思えないほどボケボケ男よ。頭いいし、
  運動できるし、万一の時は喧嘩強いけど」

カナが一気に喋り捲る。

 「ちょっと、人の彼をダイジェストで省略
  しないでよ」 

 「じゃあ、ミリィー。どうぞ」

 「えーとねえ、無いわね。私達普通のカップル
  だもの」

 「普通ですか。羨ましいです。私がヨシヒロに
  会う為にどれだけ苦労しているか」

 「ラクスは大変そうだよね。アスランの事が  
  あるから秘密にしないといけないし」  

カナが心から同情する。

 「お父様には許可をいただいたのですが。
  パトリックおじ様が一番の難関ですわ」

 「私も将来会わないといけないんだよな」

カガリも困ったような表情をしている。

 「大丈夫ですよ。基本的にはお優しい方
  ですから」

 「そうか。まあ、会えばわかる問題だからな」

 「そこまで進んでいるとなると勝利は不可能に
  近いわね」

フレイが頭の中で計算をしているが、歩が悪そう
だ。

 「レイナ、カナ、私寝る。シンにおやつを
  作らないといけないから」

ステラは一番に抜け出して寝室に向かう。

 「健気で可愛いわね。ああいうのを萌えって
  言うのね」

 「マユラ、発言が危ない」

 「お互いに一人身は辛いね」

 「では、私達も帰って寝るとするか」

カガリ達も引き上げ、ミリアリアも帰っていった。
フレイは別宅に誰もいなくて危ないうえに寂しいの
で泊まっていくらしい。

 「でも、兄貴の話題が出なかったね」

 「ラクスが怖いからでしょ」

 「私は別に怒りませんわ」

 「お兄さんはモテるから、女難の相が出て
  いるわ。可哀想だから放って置いて
  あげましょうって話になったのよ」

 「そうなの?ラクス、いらなくなったら
  私に言ってね。絶対に貰うから」

 「その心配はありませんわ」

こうして女達の意味の無い集会は終了したの
だった。  

 

(オノゴロ島、単身者宿舎)

レンタカーで戻ってきたシホが共用休憩所を
覗くと、アスラン、二コル、イザークがお茶を
飲みながらテレビを見ていた。

 「ただいま。みんな」

 「楽しかったか?」

 「女性は羨ましいですね」

 「あなた達もやればいいじゃない」

 「男がやると、汚い集会になるからな」

 「会話は下ネタのオンパレードになりますし」

 「ニコルでもそうなの?」

 「僕だって男なんですよ」

 「公表しにくい事実ね」

 「どうせ、俺達の悪口集会だったんだろ」

イザークが憎まれ口を叩く。

 「そんな事はありませんよ。誰かは言えませんが
  、イザークに興味がある女性がいたんですよ」

 「本当か?」

 「ええ、事実です。頑張ってくださいね。
  イザーク」 

 「ふふふ、ディアッカ見たか!俺はお前を
  超えたぞ!」

 「下らない競争ですね」

ニコルの毒舌はイザークには聞こえていなかった。


(オーブ〜プラント航宙路)

異動命令を受けた、ラスティーとディアッカは
オーブの空港からシャトルで一路プラントを
目指していた。

 「たまにはシャトルで帰るものいいよな。
  スチュワーデスも美人だし」

 「お前はそんな話ばかりだな。まあ85点
  ってところかな?」

 「お前もしっかり見てるじゃん」

 「俺もついに隊長か。頑張らないとな」

 「初の任務はオーブ救援だろ。ヨシさん達
  元気でやってるかね」

 「アークエンジェルは女が多くて華があった
  よな」

 「今度の任務先ではそれは望めないだろうな。
  クルーゼ司令官の指揮下で動くみたいだし」

カザマ隊長やアデス艦長の苦労を知っているだけに
気が重い部分がある。

 「どうせ、副指令に任命される人が苦労する
  んだ。俺達は大丈夫だよな」

 「そうそう、俺は隊長ですらない。関係ないさ」

だが、翌日2人は驚愕の事実に直面する事に
なるのだった。


(パールハーバー軍港埠頭)

今日も暇な1日が終わった。
補充要員はまだ来ないし、艦の修理はとっくに
終わっている。

 「はあ、今日も宿舎に帰ってさっさと寝るか」

マリューは宿舎に向けて歩き出す。
ふと前を見ると、手を繋いで歩いているカップルが
見えた。
2人はそろいのTシャツを着て腕を組んで楽しそう
に歩いている。 

 「今時、ペアルック?」

 「悪かったですね」

マリューの声が聞こえたらしく2人は振り帰った。

 「えっ、ナタル、ノイマン中尉!」

 「「ラミアス艦長!」」

 「あら、楽しそうでいいわね」

 「えーと、これはですね・・・」

ノイマン中尉が必死にいいわけを考えている。

 「別に隠すような事でもないでしょ」

 「それはそうなんですが・・・」

ナタルも口ごもってしまう。

 「まあ、楽しくやりなさいな」

マリューは2人を追い抜いてから手をあげて
振った。

 「みんな幸せでいいわね」

 「ラミアス中佐は幸せじゃないの?
  26歳で中佐なんて大出世でしょ」

フラガ少佐が話しかけてきた。
彼は今回昇進が唯一見送られたので、少佐の
ままだ。
ちなみにモーガン大尉は少佐に昇進を果たして
いた。 

 「でも、カザマ君に比べたら大した事は
  ないわよ」

 「オーブで一佐に任命されたらしいな」

 「連合で言えば大佐よ」

 「凄いよね。ねえ、ラミアス少佐は彼が
  好きなの?」

 「わからないわね。好きなんだけど、恋愛感情
  とは違うような気がするし。弟みたいなもの
  かしら?」

 「ふうん、複雑なんだね」

 「どのみち、私は婚約者を無くしたばかりだから
  恋愛なんて関係ないわ」

 「じゃあ、友達として誘うから飲みにでも
  いかないか?」

 「いいわよ。あくまでも友達としてね」

 「では、行きましょうか」

2人は飲みに出かける事にする。
今はまだ無理だけど、いずれは上手くいくだろう。
それまで気長に付き合うとしますか。
エンデュミオンの鷹は決してあきらめないのだ。


(オーブ、アメノミハシラ)

地球軌道上にあるこのステーションはオーブの
宇宙活動の中心基地であり、防衛の要でもある。
8月に本国と連動して月からの艦隊に攻められる
可能性が高い為に、戦力の整備が進んでいた。

 「本国では精鋭部隊の整備が進んでいる
  ようだな」

ロンド・ミナ・サハクが報告書を見ながら
隣りの大柄の男性に語りかける。

 「ウズミの夢想家の尻にやっと火がついたか。
  だが、もう遅いのだがな」

 「ギナよまだわからない。ウズミは危険を
  承知でカガリを戦場に出すそうな」

 「大丈夫なのか?腕前はどうなのだ?」

 「たいした事は無いが、護衛が強力だ。
  ムラクモガイとザフトの(黒い死神)
  が盾になっているようだ」

 「それなら死にはしないか。まあ、流れはそう 
  簡単に変わらないだろうが。次期代表はウナト
  で次は私だ。ウナトは歳だから短期政権になる
  だろうが、私は若いからな。長期政権を維持
  できるだろう」

 「そこで、私が軍を掌握して世界制覇を
  目指すのだ」

 「まあ、邪魔はしないが、無茶はやめてくれよ。
  大国の大西洋連邦ですら出来なかった事だ。
  それより、目前の敵を何とかしないとな」

 「それは安心してくれ。艦隊もそろえたし、
  モビルスーツも宇宙用M−1を128機
  まで増やした。パイロットの訓練も順調だ」

 「お前のゴールドフレームはどうなのだ?」

 「(アマツ)への改修は間に合わない。
  代わりに、装甲を全部フェイズシフト装甲
  に交換したから防御力は大幅にアップした。
  親衛隊も整備した。コーディネーターの
  パイロットにM−1改兇留宙用の機体を
  渡して訓練させている」

 「まあ、ザフトから援軍も来るし気を大きく
  持つことだ」

 「今は先手を取られているが、数年後は必ず
  追い抜いてやるぞ。プラントめ!」 

2人の姉弟は宇宙で暗躍していた。
これからオーブはどうなるのか?
それは誰にも分からなかった。


       あとがき

アストレイの設定がいまいちわかりません。
適当です。
シンも両親の名前や職業がわからないので、
適当に書いてしまいます。
次回の更新は不明です。
最近、仕事のシフトがメチャメチャで
空いた時間に適当に書いてます。
だから、眠いのか眠くないかすら分からない事
があるので。
では次回で会いましょう。 

 
   

BACK< >NEXT

△記事頭

▲記事頭

yVoC[UNLIMIT1~] ECir|C Yahoo yV LINEf[^[z500~`I


z[y[W NWbgJ[h COiq O~yz COsI COze