インデックスに戻る(フレーム有り無し

▽レス始

「ジャンクライフ−8−(ローゼンメイデン+オリジナル)」」

スキル (2006-02-20 17:52)
BACK< >NEXT

誰かの為に、何かの為に、蒼星石はそんな奇麗事が嫌いだ。いや、それがどれほどすばらしい精神かは分かっている。
皆が皆、そうあれるのであればこの世界はなんとすばらしいことだろう。そこには平和があり、争いなどは無いだろう。
だが、現実ではそんな気高い志を持っている人物は一握りしかいない。
そして、その一握りは多数の利己主義の者達にとって都合のいい存在として扱われるのだ。
蒼星石のマスターである女性の本人の望んでいない、両親という誰かの為の結婚によって生じたやりきれない思いを蒼星石は消化できずにいた。
姉である翠星石はしょうがないですと、悲しげな表情で自分を納得させていたが、蒼星石も表面上はそう言いながらも、心の奥底では納得など出来なかった。
だから、蒼星石は金持ちと結婚しながらも続けているマスターの店のレジに書置きをした。

『彼女の望まぬ結婚をどう思っているのか、この紙を見たその場所で応えてください。』

それは彼女が小太りの男の家から出られなくなった後でも決まってやってくる男性への言葉だった。
そして、その男性は蒼星石の予想通りに決まった時間に店の中へと入ってきて、その手紙を手に取った。
彼はまわりを確認して誰か隠れているのかと探す事も無く、いつもと変わらぬ口調で口を開いた。

「俺の、無力さが生んだ結果だ。」

蒼星石は後悔した。そんな書置きをして、彼にそんな表情をさせたことを蒼星石は心の底から後悔した。
それは、泣きそうな顔だった。


ローゼンメイデン−ジャンクライフ−


「本当に何もないな。」
「お婆さんは、夢を見ないほどの深い眠りの状態にいるんです。このまま、夢を見ないで眠り続けていればお婆さんは遅かれ早かれ……。」
「ふむ。では、急いでこの老婆の中にある夢の樹へと続く道を探すか。」

優達とジュン達は、蒼星石のお世話になっている老人の家の中で眠り続けている老婆の夢の中に来ていた。
優と蒼星石の契約に従い、この場に翠星石と蒼星石の他に水銀燈と優がいるのは仕方の無い事である。
だが、そうなると真紅が知った際に、それでは翠星石と蒼星石が危ないとついてくることになった。
水銀燈のこれまでの行いを知る真紅にして見れば当然の判断である。
そして、そうなれば必然的に雛苺とジュンがついてくる事は決定した。

「なんで、僕が……。」
「皆で探すのぉ。ジュンも探すのぉ。」

しぶしぶといった感じを装うジュンと一人テンションの高い雛苺は真紅の後に従うようにして老婆の夢の中を歩く。

「人間! ぶつぶつ言ってないでちゃんと探すです!!」
「わかってるよ。まったく、この呪い人形どもめ。」
「聞こえてるですよ人間!!」
「うわっ、危ないだろ!! ビュンビュン飛び回るな!!」

そんな賑やかなジュン組とは対照的に、優組は無駄口を叩くことなく老婆の樹を探している。

「あちら側はもう探したので、あるとしたらこっちの方だと思うんです。」
「ふむ。」
「……。」

水銀燈は蒼星石の言葉に無言で、蒼星石の指差したほうへと飛んでいき、蒼星石も慌ててそれを追いかける。
優はそんな二人の後ろを徒歩で着いていく。

「あの、優さん。」
「なんだ?」
「ここは、夢の中なので、優さんも飛べると思うんですけど……。」
「ふむ。本当だ。正直、徒歩では限界があるなと考えていたところだ。」

優は自分が、概念的に宙に浮かんでいる事を認識すると、少し嬉しそうに微笑んだ。
だがその感情もすぐに消え、いつもの無表情に戻ると優はあたりを見渡しながら、水銀燈の隣へと移動した。
蒼星石はその様子に胸の痛みを感じながらもついていく。
それぞれが、それぞれ老婆の木を探し続け、随分と時間がたったときにその声は響いた。

『もうやめてよ!!』

その声に反応して、広く分散して老婆の木を探していたジュンや優達は声の主の下へと集結した。
そして、そこにいたのは短く髪を切りそろえた品のいい、泣きそうな顔をした少年がいた。
蒼星石が驚いたように、その少年に声をかける。

「君は、もしかして、カズキ君?」
『もう、もうやめてよ! お母さんはやっと、やっとなんの不安も無い場所にいれるようになったんだ!! 邪魔しないでよ!!』
「なっ、お前! 」
『ここには、ここには何もない。そうさ!! 怖い車も、悲しい出来事も、何もない所なんだ!!』

ジュンはその言葉に絶句した。
蒼星石達の説明で、老婆が一人息子を交通事故で失ったショックで眠り続けているという事は知っていたが、その眠り続けている原因が他にあったことにだ。
いや、正確に言えばその、眠り続ける原因の叫びが自分の心を掻き毟る音に、と言った方が正しいだろう。

「なんだよ、それ。そんなの、おかしいだろ。」

声が震えている。ジュンは目の前がグラグラと揺れ始めるのを感じながらも、言葉を紡ぎ続ける。

「お婆さんは、生きてるんだ。生きてるんだから、眠ってちゃ駄目なんだ。」
『どうして? 夢の中にはつらい事は一つも無いよ! 悲しむ事なんて一つも無いよ!!』
「それじゃ駄目だ。つらいことや、いやな事から、逃げて、安全な場所で、そんな場所で……。」

お前がその言葉を言うのか?
ジュンは自分の内から沸きあがったその自問に、怯えるように、恐怖するように、口を閉じる。
逃げては駄目だと言葉を紡ぐ自分こそが、逃げているではないか。
嫌な事、つらい事から逃げて、安全な場所に引きこもっているのは自分だって同じではないか。
ジュンの心を貫く自問はその声を大きくして、ジュンを攻める。
焦点がぼやけていく。目の前がチカチカして、足が震えて、ジュンは自分が立っているのか、座っているのかも分からなくなってしまった。
脳裏をよぎるのは引きこもる原因となった出来事。

『桜田って、あいつ、私立に行ったんじゃねえの?』
『それが落ちたらしいぜ。』

うるさい。

『桜田。先生は、お前の才能を素晴らしいと思う!!』

うるさい。

『あのドレスのデザイン書いたの桜田なんだって。』
『桜田ジュンって誰? えっ男なの!?』

うるさい。うるさい。うるさい。うるさい。

「は、ぁ。」

ジュンは息を吐き出すようにして声を漏らすと、怯えてその場にしゃがみ込んだ。

「ジュン? どうしたのジュン!!」

ジュンの突然の変貌に真紅は慌てて、ジュンの名前を呼び、雛苺もジュンの名前を呼ぶ。
その様子を少し驚いた様子で見ていたカズキは囁く様にして、その言葉を投げかける。

『なんだ。君ももしかして、逃げたいの?』
「僕は、僕はぁ!!」
「そこまでにしておけ。」

ジュンとカズキのやりとりを静観していた優は仕方が無いという風に肩をすくませるとカスギの前に立った。
その鋭い視線を前に、カズキは怯えたように、そしてその怯えを隠すように優を睨みつける。

「つらい事や、悲しい事から逃げる事をまるで光栄な事のようにほざきおって、下らない奴だ。」

呆れたように優は溜息をつくと、言葉を続ける。

「つらく、悲しい事があるのは当然だ。つらく、かなしいからこそ、人は喜びや楽しさを知る事が出来るのだから。」
『そんな、そんなの!!』
「なかったとでも言うつもりか? 現実は楽しくなかったと。そんなはずはない。楽しかったからこそ、つらいという言葉の意味を知る事が出来るのだ。」

お前も、俺もと優は一度言葉を切ると、しゃがみこんだジュンを見下ろした。

「今というモノは変わり続ける。それはなぜか? そこに生きるものが変わることを求めるからだ。この桜田ジュンもその例外ではないだろう。」
『嘘だ! その人は、怯えてる。逃げたいって思ってるはずだ!!』
「それでも願っているはずだ。進みたいと、今を変えたいと。今を苦しいと、つらいと感じているならば、なおさら。それは、お前の母とて変わらない筈だ。」
『違う! お母さんは、僕と、この世界で二人だけがいいって思ってるはずだよ!!』
「ほぅ。それは、お前もそう思っているのか?」
『当たり前だよ!!』

ニヤリ、と優は勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
それは正にすべてが自分の思惑通りに進んでいる事を確信した笑みであり、その笑みの意味を唯一知ることの出来る水銀燈は、終わりが近い事を理解した。

「では、お前の父はどうするのだ?」
『えっ?』
「お前を失い、妻を失いかけながらも、現実の中で足掻くお前の父はどうするのだ?」
『おとう、さん?』
「お前を求め、妻を求め、心を病んだ父は、お前達にしてみればいらないということか?」
『そんなことない! そうだ。父さんも此処に!!』
「いい加減に、しろよ。」

それは、泣きそうな声だった。
いくらか気を整える事に成功したのか、しゃがみこんだままジュンが顔を上げる。

「お前だって、分かってるんだろう。」

お前はまだ、この少年に何か言える権利があると思っているのか?
自問がジュンの心を攻めるが、ジュンは搾り出すように言葉を続ける。
一度目を閉じて、呼吸を整え、目を開く。
権利なんて知らない。自分の事なんて知らない。
自分の事を棚において、それはいけない事なのかもしれないけど、でも、それで誰かの為になにかできるなら――――

「なにが、一番いいかってことぐらい。」

――――進めるかもしれないと漠然とジュンは思った。

「僕だって、つらい事から逃げたいと思う。そして、僕はその通りに逃げてる。でも、それじゃあ、駄目なんだって思う時がある。」
「ジュン。貴方……」

真紅の驚いた顔に、ジュンは微笑んで見せ、それを見た真紅は誇らしげに花のような笑顔を浮かべた。

「君は、本当に君が、君の両親の幸せを願うなら、それなら……。」

続きの言葉を口にする事は出来なかった。
なぜなら、そこから先を考え、決めなければならないのはカスギ自身だとジュンは思ったからだ。
そして、カスギはジュンの言葉に心を打たれたようにその頬に涙をこぼした。

『わかってたんだ。これがいけないってことは。でも、僕は……僕が、このままでいたいと思ったから。』

真っ白で、何も無い世界に色が宿り始める。
そして、白い世界が鮮やかな世界に変わっていく中心にその樹はあった。
弱り果てた、いかにも折れそうで、他の草のしがらみに絡められた樹が、そこにあった。

「翠星石!」
「わかってるですぅ!!」

翠星石と蒼星石は慌ててその樹に駆け寄る。

「レンピカ!」

蒼星石がその木に絡まる草を断ち切る巨大なハサミを取り出すと、たった一閃でその草を全て刈り取る。

「スィドリーム!」

翠星石もそのその掌に、夢の樹を元気付かせる事の出来る如雨露を取り出し、そして言葉を紡ぐ。

「私の如雨露を満たしておくれ。甘ぁいお水で満たしておくれ。」

如雨露の中に、光り輝く水が現れ、翠星石はそれを樹にふりかける。

「健やかにィ〜のびやかにィ〜緑の葉っぱをキラキラ広げて…!!」

蘇っていく樹を見つめながら、カズキは涙をこぼし続ける。

「ふぃ〜、これで一安心ですぅ。」
「カズキ君。君は……。」

蒼星石と翠星石が優達の近くに戻ってきて、翠星石は疲れたと文句を呟き、蒼星石は心配そうにカズキを見る。
カズキはそんな蒼星石に泣きながら微笑みかけ、消えていく自分の掌を見つめた。

『僕の、我侭だったんだ。僕は、現実の世界にいなくて、そこに生きる父さんと母さんは僕を忘れちゃうんじゃないかって。だから。』
「下らない。」
『えっ?』
「お前が、父と母を覚えていながら死ぬのならば、お前の父と母は絶対にお前を忘れない。」
『そう、かな?』
「ああ。忘れるな。両親が父と母なのではない。父と母が両親なのだ。両親という括りで覚えるのではなく、父と母、別々に覚えておくのだ。」
『そうだね。そう、だよね。』

カズキの体の殆どは消えてしまい、もはや顔すらも消えようとしているカズキに優は微笑みかける。

「そうすれば、お前は、父と母の思い出の中で、輝き続け、生き続けるだろう。」

返事は無い。もうそこには、父と母に忘れないでと叫んでいた少年はいない。
鮮やかな世界に、色あせることなく、小さな写真立ての中で、親子三人で微笑む、そんな少年しか、この世界にはいない。

「思い出の中で生きる。クスクス。使い古されすぎて、面白くも何とも無い言葉を使うのね。優ぅ。」

水銀燈はからかうように、優の肩に座るとそう言って馬鹿にしたような笑みを浮かべた。

「水銀燈。貴方!」

真紅がその言葉に怒りをあらわにするも、その挑発を受けた優は気にした様子もなく、言葉をこぼす。

「使い古されるということは、その言葉が、何人もの人の心に響き続けた、最高の言葉という事だ。」
「優にかかればなんでも屁理屈で返されるから面白くないわ。そうおもわなぁい? 真紅ぅ。」
「屁理屈ではない。」

そのやりとりで、真紅は優と水銀燈のことを少しだけ理解する事が出来た。
じゃれているのだ。
あの水銀燈が、本気ではなく、冗談で先ほどの言葉を言って、優とじゃれついているのだ。

「もう、帰ろうぜ真紅。僕は疲れた。」
「え、ええ。そうね。」

ジュンは真紅を抱え、現実へと通じる穴に向けて飛び上がる。
帰るんだ、とジュンの心が言葉を漏らす。
逃げるにしても、進むにしても、全ては現実の世界で、動き続ける世界の中でやることにしよう。
自問の声はもう聞こえない。
今はただ、一歩でも進めたんじゃないかという漠然としたこの思いを、誰にも内緒で誇っていようとジュンはそう思った。
そう、思えた。


結論から言えば、眠り続けていた老婆は目覚め、心を病んでいた老人もそれにより心を取り戻した。
そして、今は桜田家の玄関にて、下記のやりとりが行われていた。

「嫌ですぅ!」
「翠星石。昨日あれだけ話したじゃないか。」
「納得できないですぅ。嫌ですぅ。蒼星石は翠星石と一緒にいるですぅ。ずっと、一緒ですぅ。」

蒼星石は泣きながら抱きついてくる翠星石をあやしながら、後ろに立つ優を見上げた。
優はいつもの如く無表情で、その腕に抱かれている水銀燈は目をあわせようともしない。

「翠星石は、蒼星石とずっと一緒にいたいと思ってました。蒼星石は違うですか?」
「ごめん。翠星石。僕は、そう思っていない。」
「そ、蒼星石!?」
「僕は僕で、君は君だ。同じじゃ、ないんだ。だから……。」
「嫌です。嫌ですぅ。」
「寂しい時は呼んで、絶対に会いに行くから。だから、翠星石。」
「じゃあ、ずっと寂しいって言い続けるです。呼び続けるです。」
「翠星石。どうしてわかってくれないの? 僕達も、進まなくちゃいけないんだ。」

蒼星石は目を閉じて、カズキに向かって優が発した言葉を思い出し、言い聞かせるようにして言葉を放つ。

「君も僕も、もう、一人で進んでいかなくちゃいけないんだ。」
「そう、せいせき。」
「お願いだ翠星石。わかってほしい。」

そう言って、蒼星石は被っている帽子を取ると翠星石に頭を下げた。
それに翠星石は慌てたように、周りを見渡し、そこに逃げ場が無い事を理解すると、俯いて、涙を我慢しながら口を開く。

「わからないけど、わかったですぅ。でも、遊びに来るですよ蒼星石。こなかったら押しかけてやるです。」
「うん。わかったよ。じゃあ、僕は行くね。」

そう言うと蒼星石は翠星石に背中を向けて、しゃがみこんだ優の腕に抱え込まれた。

「よろしくお願いします優さん。水銀燈。」
「歓迎しよう。」
「ふんっ。」

ジュン達は去っていく優達を少しの間眺めた後、自分達も同じように背を向けて家の中にはいった。
ジュンの腕の中には真紅と翠星石がいて、隣ののりの腕の中には雛苺がいる。
腕の中で泣き続ける翠星石を慰めながら、ジュンは真紅に話しかけた。

「あいつ、いい奴だったな。」
「そうね。」

その同意の返事に気をよくしたジュンは、泣き続ける翠星石に語りかける。
真紅はその様子を眺めながら、小さく、本当に小さな声で呟いた。

「そうだと、いいわね。」


それは、蒼星石の最初のアリスゲームが終わる時のお話。
蒼星石のマスターである金髪の女性は、飛来した戦争という暴力から逃れるために蒼星石達の前から去ってしばらくしてからの事である。
翠星石は既にトランクの中に入り、鏡からNのフィールドへと逃げ、蒼星石もそれに続こうとトランクに入ろうとした時に、その青年は店に入ってきた。
片腕は無く、血は彼の足跡を示すように流れ続けている。
彼はもはや目が見えないのか、探るようにして店の中を歩いてきて、いつも蒼星石がマスターと喋るときに座っていた場所でなにかを探していた。
そして、数秒その場所に手を這わせ、そこになにもないことを確認すると安心したように笑みを浮かべた。

「レイナは、動く人形がいるといっていたが、本当だったのだな。」
「――!!」

蒼星石はその言葉に声を失った。
なぜなら、その言葉が意味するのは、その青年は死にかけの身で、自分達を助けに来てくれたという事なのだから。
蒼星石の脳裏に自分の心無い書置きに泣きそうな顔をした青年の顔がよぎる。
だから、

「あの……。」

気がつけば声をかけていた。蒼星石のマスターの店は燃えていて、早く外に出なければ命は無い。
そしてそれは蒼星石も例外ではないのに、声をかけていた。

「……ほぅ。これが、人形の声か。」

そう言うと青年はその場に、力尽きたように座り込んだ。

「すいま、せんでした。僕、あんな書置きをして。」
「そう、か。アレはお前が書いたものだったのか。マスターの幸福を願うお前にして見れば許せなかったのだろうな。」
「ごめんなさい。」

火は燃え続けている。煙は黒々と室内を満たしていく。

「気にするな。誰かに、自分の弱さを見せたいとも思っていた。」
「……。」
「それより、早く逃げろ。お前がここで、朽ち果ててしまっては、お前を、いや、お前達を救おうとここに入ろうとしていたレイナに申し訳ない。」
「貴方は……。」
「俺は、もうもたない。レイナとの別れも済ませたし、未練は無い。故に、お前は俺の事を気にせず、早く逃げろ。」
「でも、貴方は僕達の為に!」
「俺にとって、死は終わりではない。だから、お前が長い時を生きるのであればまた会えるだろう。」
「最後に、貴方の名前を教えてください。」
「俺の名前? レイナから聞いていなかったのか?」

そこまで言うと、青年はまるで最後の言葉を放つ準備をするように息を吐いた。

「俺の今の名はグリーブ。グリーブ・デトロストだ。次の人生を生きる俺にこの名で呼びかけろ。応えれば、それが俺だ。」
「グリーブ。」
「どうやら、別れは俺の方かららしい。動く人形よ。ちゃんと逃げるんだぞ。わかったな。」
「はい。」
「ふむ。これで、安心だ。では、またな。」

最後まで、青年は蒼星石を心配して、死んでいった。
これは、それだけのお話。蒼星石の経験した別れの一つに過ぎないお話。
けれど、蒼星石にとっては『そんな』ではないお話。
いつか出会う、蒼星石にとって大切な人とのお話。


あとがき
すいませんでしたぁ!!
蒼星石メインとかほざいていた俺を、許してくださぁい!!
いえ、プロットではそうだったんですけど、いやぁ書いているうちに男連中の出張る事出張る事。
途中からは萌えではなく、燃えを目指しておりました。
うぅ、萌えは次回って事で……どうか一つ。

追伸 過去の時点で既に恋愛フラグがたっていたという罠。

>eofさん
原作をまだ見ていないだってぇ。だってぇ。だってぇ。
先生悲しいデェース。ベリーサッドネスデェス。
というわけで、至急原作を調べてください。そうすれば、今回の話がより深く理解できます。

追伸 終わりのクロニクルを読めば優の性格が理解できるようになる……かもしれません。

>KOS-MOSさん
診断の結果、貴方は末期である事が確定しました。
脳内シアターで随時猫耳水銀燈が放映されている時点で手遅れです。
家族の方には私からお伝えしますので。
はい。次の人、入ってきてぇ。

>粋人さん
犬耳フード付きのパジャマ装備で、おどおどしている水銀燈。
……な、なぁんだってぇー!
そんな、そんな萌え、……ぐふっ(吐血)

>樹影さん
抑止力に挑みたい貴方にオススメなのがコレ!
優菌EX!! 今なら、純粋培養大城菌もつけて、お値段なんとタダ!
注 赤い外套のイカした人に命を狙われても、当方は一切関知いたしません。

>かれなさん
ドール達は、皆が皆、いい子なのですよ。
それは水銀燈しかり、その他しかりです。
ジャンクライフは、そんなドール達の欠点、短所を拾い上げながら、それぞれが悪ではなく、正義である物語を作りたいと思います。

>空羽さん
嫉妬は可愛い。よく小説などで見かけますが、それは他人から見た視点であって、
嫉妬を抱いている本人にして見れば、暗くドロドロした感じのものでしょう。
そこらへんを理解していただき、大変ありがとうございます。
して、今回は貴方のムフフな期待を満たす事が出来たでしょうか?

>D,さん
今回の冒頭部の一連の過去話は今回にて一応終了。
今回の話は、金髪の彼女とのお別れを済ました、つまり一番最初の過去話の後のお話という位置になります。

>永久さん
チェェェンジローゼンオンッ!
というわけで、合体と聞けばなぜかゲッターしかうかばない俺を許して(つД`)

>黄色の13さん
あちらのお客様からです
つ 優菌(大城菌増量中!)

>弐さん
どうもありがとうございます。
ご指摘された箇所、確かにへんです。修正しときました。
そして、指摘の通り、優の十七の人生の大半と解釈していただければ幸いです。
それと、優の性能についてですが
優自身の能力は普通の人間、いえそれよりもよわいです。精神はタフガイですがね。

>lafiさん
今回は萌え要素が少ないので、ずたぼろになった心を回復するのには丁度いいでしょう。
えっ? そうでもないですか?
それはそれは、萌えの海で溺死すること間違い無しですね。

>こけし消しマシンさん

>冒頭のシーンで おじじ×でぶ などという致命的な勘違いをしてどんな地獄絵図化と思ってしまいました

……ごふぅっ。だ、誰か、助けて……

>西環さん
すいません。あとがきでも書きましたが、嘘つきました。
蒼星石メインではなく、言うなればジュンメインですな(ぇ
萌え、ではなく燃えてくだされば幸いです。

追伸 ハードディスクが壊れたそうで、しかし安い慰めはしません。
なぜならそれが、優クォリティ!!

>秦さん
皆さん。薔薇水晶が気になるようで、ずっと気にしていてください(ぇ
嘘です。そこらへんねちゃんと考えているのでお楽しみに

>にゃーこさん
その通りです。優は、樫崎 優で(かしざき すぐる)と呼びます。
ルビを振るべきでしたね。
というわけで、「すぐる」のことを「ゆう」と読んでいた人、先生怒らないから手をあげなさい。

>通りすがりの名無しさん

>私はシリアスだろうと、ネコミミモードだろうとご飯五杯逝けますが、何か?w

皆の者、見習うが良い。あれが、水銀道を極めしモノの姿である。

BACK< >NEXT

△記事頭

▲記事頭

G|Cg|C@Amazon Yahoo yV

z[y[W yVoC[UNLIMIT1~] COiq COsI