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「これが私の生きる道!地球編7(ガンダムSEED)」

ヨシ (2006-02-20 00:44/2006-02-26 23:59)
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(硫黄島上空)

敵の第二派攻撃隊の三分の二が再び硫黄島上空に
殺到していた。
基地航空隊やモビルスーツ隊のパイロット達が
必死に応戦している。
機体の性能の差もあって3対1以上の撃墜率を
保っているが、何機落としてもキリが無いような
状態に陥っていた。

 「アサギ!ジュリ!また来たわよ新型が!」

 「くそー!またミサイルを補充してきたな!」

ジュリが悔しそうに言い。

 「(エンデュミオンの鷹)と(月下の狂犬)
  は強すぎ!反則よ!」

アサギが文句を言う。
3人はモビルスーツを取りに来た時に、敵攻撃隊
の襲来を受けたのでここで戦っているのだ。
そして、硫黄島上空には「エンデュミオンの鷹」
と「月下の狂犬」が例の量子通信システムを
応用したミサイルを装備して攻撃を仕掛けていた。
この2人はミサイルが尽きると、後退してミサイル
を補充してくるのでタチが悪かった。

 「カザマ隊長がいれば何とかなるのに」

マユラが悔しそうに言い。

 「あの2機にもう10機以上やられているわ」

ジュリが冷静に報告する。

 「私達の腕じゃ返り討ちよ。遠くから集中射撃
  をするしかないわ」

アサギがキッパリと断言する。

 「私達は一機でも多くの機体を落とす!
  ただそれだけよ!」

 「マユラさん、いい事言いますね」

 「石原一尉!」

 「高橋二尉と佐藤二尉が戦死しました。
  同期だったんですが・・・」

 「そうですか・・・」

 「彼らの為にも、一機でも多く落とす。
  落とせば戦死者も減ります。頑張りましょう」

 「「「了解!」」」

結局、第二派攻撃は30分ほどで終了して、両軍は
仕切り直しの為に休息と補給に入ったのだった。

 


(特務艦ピースメーカー)

第二派攻撃隊が帰艦してからの、イアン艦長の機嫌
は優れなかった。
稼動機が修理が終了したレイダーが一機と飛行時間
が短いので、艦隊直衛に置いたカラミティーが
一機。
そして、コーディネーター専用のロングダガーが
一機のみだったからだ。

 「残ったパイロットがオルガ・サブナックと
  クロト・ブエルとイレブン・ソウキスのみ
  とは・・・。俺はクビになるかな?」

 「申し訳ありません」

イレブン・ソウキスが謝る。

 「君に罪は無いさ」

 「そうそう、弱いスティング達が悪いんだよ」

 「あっけない最後だったな」

クロトとオルガの感想なんて所詮こんなものだ。
と、イアン艦長は思うことにした。

 「スティング、アウル、ステラが弱すぎる。
  どうしてこんな事になったんだ?」

イアン艦長は同行してきた科学者を問いただす。

 「あの3人は本当は薬物投与や洗脳や記憶
  操作を含めた強力な調整を行う予定で
  したが、予算の関係で深層催眠のみの
  強化に留まっておりまして」

 「どうしてそうなった?」

 「予算が逼迫しておりまして。エクステンデット
  の研究にはお金がかかるのです」

 「予算とあいつらの弱い理由がどう関係
  あるんだ?」

 「彼らは以前から研究していたネオソルジャー
  計画の成功体なのです。優秀な兵士の精子と
  卵子を提供して貰い、人口受精で代理母に
  出産させます。そして、生まれた彼らを幼少
  の頃から訓練して優秀な兵士を生み出す。
  計画は順調だったのですが、彼らは
  コーディネーター並の実力を持つに留まり、
  費用効率が悪いとの事で研究は中止になって
  しまいました」

 「確かに効率が悪そうだな。コーディネーター
  のソウキス達の方が使い勝手がいい」

 「そこで、薬物による強化をオルガ達に
  施しました」

 「モビルスーツの操縦技量は最高だが、協調性
  などが最悪だ。兵士として失格だな」

 「ですが、多少の戦果をあげました。これで、
  本命のエクステンデット計画にゴーサイン
  が出れば・・・」

その前に我々の死にゴーサインが出そうだよ。
イアン艦長の心配は晴れることはなかった。


(ドミニオン艦内)

第二派攻撃が終了してモビルスーツ隊が戻って
きたがハルバートン少将の表情は冴えなかった。

 「報告します。稼動機は113機です」

 「それだけかね?コープマン君」

 「敵のモビルスーツは強力です。これだけの
  損害で済んでいてラッキーですね」

 「情報部のバカ共が!なにがストライクダガー
  並だ。恐ろしいまでの高性能機ではないか」

 「コックピット周りにラミネート装甲ですか。
  残りの部分もフェイズシフト装甲装備で
  すものね」

 「敵の稼動機は?」

 「約140機と推定されます。ザフトは90機
  ほどです」

 「敵艦隊の被害は?」

 「護衛艦13隻、イージス艦3隻、駆逐艦8隻、
  巡洋艦2隻、航空護衛艦1隻の沈没を確認
  しました。航空機の稼動数は220機ほど
  だと思われます」

 「スプルーアンス大将の判断は?」

 「攻撃続行です」

 「航空機運搬艦で補充中なので、航空機の稼動数
  は348機です」

 「そうか。我々も上陸部隊専用のモビルスーツを
  徴発するぞ。後は予備機を稼動させれば、数は
  十分だ」 

 「それですと、稼動機は276機です」

 「全機ぶつけるぞ。我が艦隊も硫黄島に接近
  させるから総力戦だ。ドミニオンも砲撃に
  加わってもらうぞ。プリンス大佐」

 「了解です」

 「あの人いたんですね」

 「ノイマン少尉、聞こえるぞ」

バジルール中尉とノイマン少尉の会話が聞こえて
きてプリンス大佐の顔が引きつる。

 「ハルバートン少将とコープマン准将が
  いるから目立ちませんよね」

パル軍曹も小声でそれに続く。

 「ラミアス少佐は飛行パックの技術指導で
  格納庫から出てきませんしね。
  華がないから余計です」

チャンドラ軍曹が止めを刺す。

 「見ていてください。必ず大活躍しますから」

プリンス大佐は小さい声でつぶやいた。


(アークエンジェル艦内)

第二派の攻撃が終了してから1時間。
俺は肩の傷の縫合を終えて、ブリッジにあがった。
そこには珍しくパイロットが全員そろっていた。

 「ヨシさん、大丈夫ですか?」

アスランが声をかけてきた。

 「大丈夫だよ。傷もたいした事は無いし」

 「でも、12針も縫ったんでしょ」

タリアさんも心配そうだ。

 「傷はきっちり固めてありますから出撃
  出来ますよ」

 「出撃するのかい?」

アーサーさんが驚きながら聞いてくる。

 「モビルスーツが一機でも多く必要で、俺は
  パイロットですから」

 「でも、アークエンジェルの指揮は・・・」

 「タリアさん、アーサーさんに任せますよ」

アークエンジェルと機動艦隊には硫黄島周辺への
集結命令が出ていて、集結後は伊藤長官の指揮下
に入る事が決まっている。
敵艦隊は全艦接近中なので、総力戦になるだろう。
俺がアークエンジェルにいるよりは、モビルスーツ
に乗っていた方が多少でも戦況を有利に出来る。

 「俺は硫黄島にセンプウを取りに行きます。
  アーサーさんは伊藤長官の命令通りに
  動いてください」

 「了解だ。カザマ君」

 「ラスティー、俺が戻るまでモビルスーツ隊の
  指揮を頼むぞ。ババ一尉もセンプウに
  乗り換えです。M−1は置いて行きますよ」

今、アークエンジェルにはM−1とセンプウしか
置かれていない。
Gは場所を取るので、硫黄島の地下格納庫に
預かってもらっているのだ。
例外として、ジンカスタムは以前のままに
置かれているが。

 「M−1は修理が間に合わず稼動機一機のみ
  だ。しょうがないな」

 「俺のジンカスタムで出かけますよ」

 「それとディアッカ、シホ」 

 「何です?」

 「何でしょうか?」

 「センプウの付属品のヤマタノオロチを使用
  するぞ。射手はお前達だ」

ヤマタノオロチとは大型のビーム砲で
かなりの威力を発揮する。
これを2基使用する決断をしたのだ。

 「2人はアークエンジェルの左右の足の上に
  待機。エネルギーはコネクターを艦内に
  繋いで供給してもらえ」

 「「了解!」」

 「さて、ババ一尉行きますか?」

 「ああ、そうだな」

俺達はジンカスタムでグゥルに乗って出発した。
暫らく飛行してから、司令部の誘導で地下格納庫
に到着する。

 「まだいっぱいあるな。何で使わない?」

近くにいた整備員に聞く。

 「パイロットがいないそうです。
  第2期の短期訓練生の卒業は一ヶ月後です」

 「では、仕方がないか」

 「カザマ、おかしくないか?普通は繰り上げて
  出撃させるぞ」

ババ一尉が疑問を口にする。 

 「そして、未熟なパイロットは壊滅して次の
  補充パイロットもいなくなるんだな」

 「いや、でも今を乗り切らないと」

 「未熟なパイロットなんて邪魔だ。
  今ある戦力でなんとかするのが軍人だ」

 「そうかもしれないが・・・」

 「大丈夫、今残っている連中は精鋭なんだ。
  自信を持てよ。ババ一尉」

 「そう、我々は簡単には負けんよ」

硫黄島基地司令栗林陸将が会話に割り込んで来た。

 「カザマ君は度胸があるな」

 「バカなんですよ」

 「ははは、そうかバカなのか」

 「ええ、バカです」

 「では、バカみたいな新鋭機に乗って
みないか?」

 「ぶっつけ本番ですか?」

 「操作方法はM−1やセンプウと変わらない」

 「変わらないが?」

 「パイロットを選ぶ。自衛隊のパイロットは
  1人も乗りこなせなかった。
  コーディネーターのパイロットでもだ」

 「どんな機体なんです?」

 「付いてきたまえ」

俺達は栗林陸将の後をついていく。
そして、格納庫の端にあるハンガーの前に
到着した。

 「正式名称、3号機動歩兵(ジンプウ)だ」

 「(ジンプウ)ですか」

 「簡単に言うと、ザフトの新鋭機のフリーダム
  とジャスティス。そして、(センプウ)を
  足したような機体だ」

 「いいとこ取りって事ですか?」

 「コンセプトはそうなんだが、パイロットを
  選ぶし量産は不可能だし開発費が高すぎだ」

目の前のモビルスーツを見ると、センプウに似て
いるが違う部分も多い。

 「背中の8本の羽はフリーダムだよな。数は2本
  減らしているのか。その他の武装はイーゲル
  シュテルンが2門と腰に小型のスキュラが
  2門。そして、シールドに冷却装置か?
  ビームコーティングがされているようだな。
  裏側に2本ビームサーベルが収容されている。
  腰にも2本あるから全部で4本だな。
  そして、右手に槍を持っていて、固定武器で
  2連装のビーム砲か。
  あの、微妙な機体ですね。エネルギーが
  早く尽きません?」

 「大丈夫。オーブ製の特注バッテリーで長持ち
  する。欠点はバッテリー1つで(センプウ)
  3機分のコストがかかるって事だ」

何て意味の無いモビルスーツなんだ。

 「装甲はフェイズシフト装甲ですか?」

 「いや、全面ラミネート装甲だ。シールド
  に冷却装置がついてるだろ」

じゃあ、シールドを離してから被弾したら。

 「右手の武器は槍ですか?」

 「ビームナギナタだよ。先からビームの刃が
  出るんだ。ビームサーベルも2本繋げる
  から接近戦で有利だぞ」

 「ビームライフルは装備してないんですか?」

 「使用可能だが、標準装備ではない。固定の
  2連装ビーム砲があるからな」 

あの武装は連合のレイダーとかいう機体に似ている
な。特許権の侵害か?

 「説明は以上だ」

全然、説明してないじゃん。

 「わかりましたよ。早速テストしてみます」

 「乗ってくれるのか。ありがとう」

あれ?俺選択誤った?


時間が無いので、OSを調整して機体を機動させる。

 「歩行速度は普通か・・・。では出発だ」

飛行しようとしてパワーレバーを引いたら・・・。

 「んんん、何だこの加速は・・・」

信じられないスピードで上昇していく。
体に凄いGがかかってくる。

 「体が重過ぎだ!よし、方向転換だ!」

様々な基本動作を行うが、体にかかるGが半端じゃ
ない。
だが、スピードは今まで乗ったモビルスーツ中で
最高だ。

 「ちきしょう!絶対乗りこなす!」

俺は約1時間の間、機体を操りながら射撃や
格闘戦の訓練を行い、OSを微調整した。

 「なんとか乗りこなせるようになったな」

 「お前は化物だ」

訓練に付き合ってくれたババ一尉がポツリと
漏らす。

 「普通、初めてのモビルスーツをそこまで
  乗りこなすか?」

 「開戦から暫らくは機体をよく乗り換えて
  いたから。それにM−1やセンプウと
  操縦方法は変わらない」

 「普通、機種転換訓練は時間がかかるんだ」

 「ミゲルやハイネも普通にやってる事だ」

 「訂正する。お前らは化物だ」

思いおこせば、開戦時はモビルスーツの故障が
多くてよく機体を乗り換えた。
機械的な信頼度が低かったのだ。
戦場での耐久度が低かったのかもしれない。
時間が無くて、他人のOS設定のまま出撃した
事もある。
今なら絶対に戦死しているが、連合のMAや航空機
が弱かったので何とかなっていたのだ。

 「さて、整備と補給をしてもらおう」

 「俺もだな」

 「ババ一尉はアークエンジェルで整備してくれ。
  俺は新型機なので、ここに残る。
  ラスティーには指揮は任せたと伝えてくれ」 

この機体はまだアークエンジェルでは整備
出来ない。

 「わかった。伝えておく」

ババ一尉のセンプウはアークエンジェルの方へ
飛んでいった。

 「さて、俺も地下基地に戻るか」

基地に帰り、機体をハンガーに置く。
下に降りると、整備兵達の会話が聞こえてきた。

 「あの機体を乗りこなすなんてザフトの
  トップエースは違うよな」

 「うちのテストパイロットが5人負傷した
  からな」

そんな機体に俺を乗せるなよ。

 「でも、誰かが使えないと技術部の誰かが
  詰腹を切らないといけないから」

 「栗林陸将も一枚かんでるらしいじゃん」

 「だから、カザマ隊長に勧めたんだろ」

 「彼が乗りこなせて万々歳だな」

 「心の中では大喜びだろうな」

いい事聞いたな。

 「カザマ隊長、よく乗りこなしてくれたな」

栗林陸将が俺を見つけて近づいてくる。

 「ええ、責任問題にならなくて良かったですね」

 「何でそれを・・・」

 「実は私、欲しいものがあるんです」

意地悪な笑みを浮かべながらお願いする。 

 「・・・何かな?」

 「これがリストです。送ってくれると嬉しいな」

と言いながら紙にスラスラと書いて渡す。

 「こっ、こんなに!」

 「体がだるいな。俺には無理かな?この機体」

 「わかった。送らせてもらうよ!」

 「ありがとうございます」

商談が成立した瞬間、敵の来襲が告げられる。

 「さあて、新型の初披露ですね」

 「頼むよ」

2人は瞬時に軍人の顔に戻る。

 「敵戦闘機と攻撃機、モビルスーツ隊を確認。
  敵艦隊も目視できるようになりました。
  敵の揚陸艦が上陸準備をしています」

 「ここに上陸するのか!」

 「硫黄島を占領して、戦力を壊滅させれば勝ち
  ですからね。目標を変えたみたいですよ」

 「陸上部隊は地下陣地に配置。水際では防衛
  しない。内部で殲滅させろ!」

栗林陸将が次々に指示を出して行く。

 「カザマ君、ここなら補給が出来るから
  あんまり離れるなよ」

 「無理ですよ。でも、何回か補給に戻りそう
  ですね」 

 「では、無事を祈っている」

俺は素早くジンプウに乗り、出撃する。
最前線に出ると、多数のセンプウの部隊が防衛線
を引いていた。

 「その機体に乗ってるのは誰だ!」

無線から石原一尉の声が聞こえる。

 「俺だよ。カザマだ」

 「お前、乗りこなしたのか?」

 「まあね」

 「恐れいったよ」

 「石原一尉は乗ってみた?」

 「無駄な事はしないんだ」

彼は危険を察知してテストパイロットを
断ったらしい。

 「カザマ隊長!」

今度はマユラの声が無線に入る。

 「おう、みんな無事か?」

 「大丈夫です」

 「私も大丈夫ですが、(エンデュミオンの鷹)
  と(月下の狂犬)のせいで大損害です」

アサギが報告する。

 「あいつらこっちだったのか。俺達もおかしな
  新型機の相手で忙しかった」

 「私も無事ですよ」

ジュリも元気そうだ。

 「よし、3人は指揮下に入れ。俺は例の2人を
相手にするからフォローを頼むぞ」

 「「「了解!」」」

 「俺はどうする?」

石原一尉が尋ねてくる。

 「とにかくモビルスーツと戦闘機を落とせ!
一機でも多く」

 「わかった。了解」 

 「さあて、敵さんの大部隊だ」

正面を見ると敵艦隊で海が、敵攻撃隊で空が
埋まっていた。

 「では、行くぞ!」

俺は背中のビーム砲とレールガン。
そして、腰のスキュラを一斉にぶっ放した。
すると、直撃を受けたモビルスーツが数機
爆発する。

 「6機くらいは殺ったか?」

俺は立て続けに射撃を続ける。
5連射までで、30機くらいの敵機を倒した
だろうか。

 「腰のスキュラはシールドが邪魔で撃ちにくい。
  後で報告をあげておくか」

 「それどころでは無いのですが」 

マユラが冷静に突っ込む。

 「では、格闘戦だ。俺が敵をかく乱するから、
  マユラ達と石原一尉の隊は止めを刺すように」

 「「「了解!」」」

俺は、最高加速で敵のモビルスーツ隊に突撃して
ビームナギナタを振り回して敵を切り刻む。
逃げ散って、隙の出来た機体をマユラ達が
狙撃して倒していく。

 「かなり倒したんだが、減らないな」

 「隊長、例の2機です!」

ジュリが報告する。

 「新型?レイダーの改造型か。そして、例の
  ミサイルを装備か」

2機のレイダーはモビルスーツに変形してから
ミサイルを発射する。

 「俺には効かない!」

俺はミサイルにビーム砲を浴びせて撃破するが、
残ったミサイルが2機のセンプウに直撃した。
フラガ少佐達は動きが止まったセンプウに
ビーム砲で止めを刺していく。

 「相変わらず、えげつないな」

 「お前に言われたくないわ!」

フラガ少佐が無線の周波数を合わせて、怒鳴り
つける。

 「ラミアス少佐に振られたフラガ少佐、元気?」

 「まだ振られていない!」

 「でも、バジルール中尉がいるからいいじゃない」

 「彼女はノイマン少尉とくっ付いてしまった」

 「ダメダメだね」

俺達はくだらない会話をしているが、お互いに
相手を殺そうと射撃を続けている。
もう一方のエースのモーガン大尉は石原一尉と
切り結んでいるが、石原一尉が圧倒的に不利だ。

 「石原一尉、多数でタコ殴りにしろ。
  一騎討ちは避けるんだ」

 「わかった」

石原一尉は冷静にモーガン大尉から逃れて、
マユラ達と集中的にビームライフルを撃ち
続けている。

 「フラガ少佐、残念ながら今日が命日だね」

 「マリューとデートに行くまでは死ねるか!」

俺はビームナギナタでフラガ少佐のレイダー
の右腕を切り落とす。

 「機体性能が圧倒的だな。覚悟して貰うよ」

 「ちくしょう!機体性能、操縦技量共に
  勝てない!」

フラガ少佐は不利を悟って撤退に入る。

 「俺も一旦引き揚げないとまずいな」

モーガン大尉も一緒に撤退した。

 「よし!追撃だ・・・。あれ?」

ジンプウのエネルギーが尽きて警報ランプが
鳴っている。

 「やっぱり、稼動時間が短い!」

俺は地下基地に撤退した。


(自衛隊機動艦隊旗艦「アカギ」)

  
機動艦隊は航空護衛艦を中心に輪形陣を取り
つつ、護衛艦隊本体と合流した。 

 「近代戦とは思えないほどの接近戦を開始
  するぞ。(アカギ)と(カガ)に搭載
  しているNジャマー発生装置のスイッチ
  を入れろ!」

護衛艦隊旗艦「コンゴウ」から伊藤司令長官が
号令する。

 「伊藤長官、大声出さなくてもわかって
  ますよ」

機動艦隊旗艦「アカギ」から山口司令長官の
返事が入る。

 「反対側の台湾艦隊の魏中将とザフトの
  マーカス司令の準備は終了してるのか?」

 「大丈夫です。特文で暗号が入りました」

 「そうか、最後に確認するぞ。Nジャマーの
  スイッチが入ったら、通信は発光信号と
  手旗信号で行う事。空母艦載機は敵艦隊を
  攻撃。モビルスーツはヤマタノオロチを
  装備して割り振られた艦に乗り、コネクター
  を繋いでから射撃を開始する事。以上だ。
  いいか!遠慮なんてするなよ。全滅させる
  つもりで行け!俺達は東郷平八郎元帥を
  今日超えるんだ!」

 「「「了解!」」」    

 「では、全艦最大船速。突撃開始だ」


(アークエンジェル艦内)

 「自衛隊の司令官は思い切った事をするわね」

タリア艦長が最初にこの話を聞いた時には驚きを
隠せなかった。

 「理にかなっていますよ。Nジャマーを使って
  レーダーを完全に使用不能にしてから全艦で
  突撃。しかも、自分達は音源探知と赤外線探知
  を組み合わせた独自の探知装置を装備して
  います。逆に向こうは対抗するのに時間が
  かかる上に、対艦火器がいまいちです。
  宇宙用艦艇ではありませんからね」

アーサー副隊長が説明する。

 「自衛隊艦隊もそうでしょ」

タリア艦長が反論する。

 「だから、各艦にヤマタノオロチを装備した
  センプウを乗せているんですよ」

 「効果的なんでしょうけど、野蛮な戦法ね」

 「敵艦隊の航空機とモビルスーツはほとんど
  硫黄島上空に釘付けですから。これは
  チャンスですよ」

 「それはわかったわ。もう1つ、マーカス司令
  と魏中将は何処にいるの?」

 「反対側から同じ戦法で突撃します。ザフト艦隊
  は40機ほどのゾノを発進させてから、魚雷で
  攻撃するそうです」

 「アーサー、これは近代戦よね?」

 「多分そうです・・・」

アーサー副隊長は自信なさげにそう答えた。


(太平洋艦隊旗艦フランクリン・ルーズベルト)

スプルーアンス大将の機嫌は優れなかった。
硫黄島にほぼ全期機の航空機とモビルスーツを
投入したのだが、いまだに敵戦力の殲滅報告が
入らないからだ。
それどころか、被害多数で揚陸部隊の上陸すら
ままならなかった。

 「大分、敵のモビルスーツを落としているのに
  数が減らないな」

 「向こうの機体は丈夫なので、パイロットさえ
  無事なら予備機に乗り換えて再出撃して
  くるそうです」

マクモリス参謀長がハルバートン少将からの
報告を説明する。

 「そして、新型機か。パイロットもフラガ少佐と
  モーガン大尉を上回る実力の持ち主が操縦して
  いるようだ」

 「ええ、パナマに投入されたフリーダムという
  機体に似ていたそうですが」

 「モビルスーツに自由なんて名前をつけるのか、
  プラントの連中の考えは理解不能だな」

 「たった一機ですが、30機以上の戦闘機と
  モビルスーツが落とされたそうです」

 「化物だな」

 「ですが、稼動時間が短いようです。観測班
  から報告が入りました」

 「では、力押しで大丈夫だな」

そこまで話したところで、索敵担当の士官から
報告が入った。

 「大変です。レーダーが使用不能になりました。
  Nジャマーの影響と思われます。次いで、
  熱感知装置に敵艦隊の反応を確認、左右から
  同時に突撃してきます。残念ながら精度の関係
  でこれ以上の詳しい状況は不明です!」

 「やってくれるな!Nジャマーを自ら使用して、
  昔ながらの接近戦か。よし、受けて立つぞ。
  全艦、近距離砲撃戦用意。ミサイルは適当
  に発射しろ。近くなら当たるだろう。
  連絡は発光信号と手旗信号を併用しろ!」

スプルーアンス提督の命令が全艦に伝えられた。 

 


(自衛隊護衛艦隊先鋒「サギリ」艦橋)

この護衛艦は自衛隊全艦艇の最前列にいて
一番攻撃をし易く、されやすい艦である。
だが、この艦の艦長と指揮官はこの状態を
楽しんでいた。

 「古村艦長、前方は敵艦だらけだぞ。
  どれにしようか迷ってしまうな」

 「田中海将補、敵は通信・索敵の混乱から
  回復していませんよ。チャンスですね」

 「ああ、そうだな。(サギリ)に乗っている
  センプウのパイロットにさっさとぶっ放せ
  と激を入れろ!」

 「了解です」

数十秒後、ヤマタノオロチからビームが撃たれて
敵前方の駆逐艦に命中する。
当たり所が悪かったのか十数秒後、艦は爆沈した。

 「ほらな、早く撃ってしまえばいいんだよ。
  よし、全砲門開け。ミサイル・短魚雷発射
  用意。目標は近くの艦に適当におまかせでな」

 「了解。おまかせで」

その後、田中海将補指揮下の全艦艇が同様の攻撃を
開始して太平洋艦隊左外輪部は大混乱に陥った。
同時に台湾艦隊とザフト艦隊の攻撃も始まり、
右外輪部も同じ状況になると混乱が拡大する。
スプルーアンス大将は早期に危機を察知して
対策を連絡したが、この混乱が収まるまでには
時間がかかりそうだった。

 

(アークエンジェル艦内)

 「前衛艦隊が攻撃を開始したようですね」

 「ええ、私達も派手にやりましょう。
  火力では一番なんだから」

 「そうですね」

アーサー副隊長が頷く。 

 「では、全砲門開いて。バリアント照準前方
  駆逐艦群。コリントスにミサイル装填。
  ゴットフリート、ヘルダート発射準備」

タリア艦長は矢継ぎ早に指示を飛ばす。

 「まずは駆逐艦を始末するわよ」

 「歩の無い将棋は負け将棋。カザマ君の言葉  
  ですよね」

 「ええ、そうよ。彼らが撤退しにくいように
  するのよ」

タリア艦長は邪な笑みを浮かべた。


(太平洋艦隊旗艦フランクリン・ルーズベルト)

 「敵の艦隊は駆逐艦だけを狙っています」

マクモリス参謀長が報告する。

 「しまった!」

 「どうしました?」

マクモリス参謀長は気が付いていない。

 「駆逐艦なしで航行なんてしてみろ。
  潜水艦の餌食だぞ。ここは敵地なんだ!」

自衛隊には通常動力の小型の潜水艦が多数配備
されている。 
ここで選択を誤ると、艦隊は全滅だ。

 「ハルバートン少将はどうしている?」

 「右の敵艦隊がゾノの部隊に攻撃されているので、
  新型の水中用モビルスーツを発進させています」

 「硫黄島上空は?」

 「未だ膠着状態です。フラガ少佐もモーガン大尉
  も苦戦中です」

スプルーアンス大将は俯いて考え込む。
重要な決断をしようとしているようだ。

 「我々の負けだ。全艦撤退準備。今なら
  艦隊の再建にそう労力をかけないで済む」

 「まだ、勝負は終わっていませんよ!」

マクモリス参謀長が強い口調で反論を述べた。

 「ここで勝っても、被害が大きければ意味
  がない。どうせ責任を取るのは私なんだ。
  君は素直に命令に従えばいい」

艦の外では多数の爆発音が聞こえてくる。
その音は次第に大きくなっているようだ。
外を見ると、ミサイル巡洋艦にビームが
突き刺さり爆沈する様子が見えた。

 「早めに撤退しよう。ドミニオンの
  ハルバートン少将に連絡。殿をするように
  伝えてくれ」

 「わかりました」

 「すまんな、ハルバートン少将」 

スプルーアンス大将のつぶやきは誰にも
聞こえなかった。


(アークエンジェル周辺)

 「よーし、いけーーー!」

アークエンジェルの上でヤマタノオロチを発射
しながらディアッカが絶叫していた。
ビームが駆逐艦に突き刺さり、艦に損害を
あたえる。
更に、もう一撃を放ち完全に止めを刺した。

 「これで4隻目だ。シホちゃんは?」

 「シホちゃんって呼ぶな!3隻よ」

反対側からシホもヤマタノオロチを撃ち続けて
いた。
アークエンジェル自体も多数の艦を攻撃して
戦果を増やしている。 

 「俺達、勲章くらいはもらえるかな?」

 「ネビュラ勲章でなければ何かしら貰えると
  思うわ。それよりディアッカは勲章に興味
  があるの?」

 「軍服につけていればモテるかと思って」

 「相変わらず不純な動機ね。ヨシヒロさんは
  勲章なんて公の席でもないと付けないわよ」 

 「勿体ないよな。あんなに顔がいいのに」

 「大丈夫よ、彼には女神が付いているから」 

シホのささやきはディアッカには聞こえな
かった。


(硫黄島上空)

海沿いの上空で戦闘は続いていた。
俺はエネルギーが切れると、補給をしてから
再び攻撃に加わる事を繰り返していた。
だが、さっきの補給時にこれで最後と言われて
いるので戦い方が慎重になってしまう。
さすがに機体が限界らしい。

 「フラガ少佐、モーガン大尉。戦死して
  くれよ!」

 「あほ!簡単に死ねるか」

 「俺は妻帯者だ。死ねない」

モーガン大尉もはっきりと断る。

俺達3人は死力を尽くして戦っているが、決着は
未だにつかず、お互いに疲労が激しい。
俺はジンプウで訓練までしているので尚更だ。
俺は機体の性能差で2人を圧倒していたが、
止めを刺すに至っていない。
この機体が射撃をすると多数の被害が出るので、
それの阻止に全力をかけているようだ。

 「ちくしょう、邪魔だな2人共!石原一尉、
  状況は?」

 「少しずつ押している。敵も大分少なくなった。
  俺達も稼動機が60機程度だが」

始めはセンプウが圧倒的に有利だったのだが、
OSを改良されてからはその差が縮んでしまった。
照準を少しずらして、コックピットに直撃しない
ように調整すればいいからだ。

 「敵も大分少なくなったな」

 「ああ、モビルスーツは100機を切っている。
  航空機隊は壊滅だろうな」

自衛隊は戦闘機も最新鋭機なので苦戦したのだろう。
開戦前に注目を浴びていた戦闘機だったのだが、
ジンの登場で影が薄くなってしまった過去を持つ。
ちなみに、名前は「零式戦闘機」と言う。

 「もう一撃かけてくるかな?」

 「ありえない。戦力が無いだろう」

石原一尉が反論する。

 「よし、あと少しだ!みんな死ぬなよ!」

 「「「了解!」」」

戦闘は終盤に入りつつあった。

 


(アークエンジェル周辺)

アークエンジェル搭載のモビルスーツ隊は
始めは艦隊の直衛をしていたのだが、例の
新型モビルスーツの登場で任務が変更した。

 「あいつらまた来たな!」

アスランがそう言うと。

 「今度こそ決着をつけてやる」

イザークが勇んで突撃していった。

 「へへ、またあの強い奴らじゃん。
  スティング達の仇だな」

 「クロト、俺は例のM−1の相手をするぞ!」

飛行距離が短いカラミティーは艦艇を足場に
してババ一尉のM−1にビーム砲を撃ち続ける。

 「俺ではないのだがな」

ババ一尉がつぶやくがオルガには聞こえない。 

 「では、俺は適当に相手を見繕うか」

イレブン・ソウキスのロングダガーがニコルの
センプウに勝負を挑む。

 「唯一の生き残りの量産機ですか。
  強敵ですね」

先ほど、スプルーアンス大将の名前で撤退命令が
出てるので、皆が引き際を計っていた。
戦場ではヤマタノオロチを撃ち終わったセンプウ
が少ない護衛機をかわしながら艦艇を攻撃し、
反対側のゾノの部隊は試作機のディープフォビトン
と量産機のフォビトンブルーを全滅させてから
艦艇に攻撃を仕掛けていた。
潜水艦部隊も多数の魚雷を放ち、太平洋艦隊は
少しずつ劣勢になっていく。

 「太平洋艦隊はいつ引き揚げるかな?」

伊藤長官の興味はそちらに移っていた。


(硫黄島上空)

 「ちくしょう、また電池切れだ。これで終わり
  だな。予備のセンプウを取ってこないと」

警報音を切ってからジンプウを地下基地に向ける。

 「じゃあね。フラガ少佐、モーガン大尉」

 「俺達も引き揚げだな」 

 「ああ、そうだな」 

2人は相談しながら撤退を始めた。
すると、残りのモビルスーツ隊と戦闘機隊も
一斉に引き揚げを開始した。

 「石原一尉!」

 「マユラ、敵は撤退に入るぞ!」

 「追撃ですか?」

 「この状態では無理だろう」

ジュリが追撃を進言したが、石原一尉が即座に
否定する。

 「ですが・・・。カザマ隊長ならどう判断する
  でしょう?」 

アサギが質問をするが、誰にも答えられない。

 「あいつがセンプウを取ってくるまで
  待つとしよう」

石原一尉が会話を終了させた。


(ジンプウコックピット内)

結局、ジンプウは高性能の割に、それほど役には
立たなかった。
始めは多数の敵機を落としたが、後半はフラガ少佐
とモーガン大尉の相手で終了してしまい、スコアを
稼げなかった。 
実戦時には細かい欠点が目立ち、いきなり新型機
を使う事の難しさを再確認した。

 「栗林陸将に文句を言ってやらないと」

 「ブー、ブー、ブー」 

 「何だ?エネルギー切れの警報じゃないよな?」 

コンソールパネルを見ると、異常加熱と書かれて
いる。

 「ん?何処だ?」

 「えーと、飛行パックブースター・・・」

まずい。ここで止まったら死ぬな。

 「バスン、ボン!」

 「えっ、嘘!」

いきなり、背中の全ブースターが止まる。

 「畜生!新型機にいきなり乗るんじゃなかった」

俺は必死に機体を操ってみるが、このままでは
地面に激突だ。

 「ええい、脱出だ!」

ハッチを開けてから装甲版を蹴り飛ばして
ジンプウから離れ、すぐにパラシュートを
開いた。
この装備は朝にM−1で死にかけたので、自衛隊
の装備品を貰ったのだ。

 「いきなり役に立つとはな」

上手くパラシュートが開いて、俺はゆっくりと
落下していく。
下を見ると、火を噴いたジンプウが岩山の斜面
に激突して大爆発を起こした。 

 「脱出してなかったら死んでたな」

上手く着地してパラシュートを外しながら、俺は
独り言を言う。

 「さて、最寄の基地は・・・」 

歩き始めたが、体が重くてしょうがない。
肩を見ると、傷が開いて出血していた。
パイロットスーツが赤なので気が付かなかった。

 「だめだ、立てない」

俺はめまいでへたり込んでしまう。

 「間抜けな理由で死ぬんだな俺・・・」

気が遠くなって意識が無くなっていった。


(硫黄島上空)

石原一尉達はカザマ隊長を待ちながら、揚陸部隊
を攻撃し始めていた。
護衛のモビルスーツ隊や航空機隊に見捨てられた
彼らを乗せた上陸舟艇は面白いように沈んでいく。

 「かわいそうだが、情けは無用だ。
  早く降伏しろ!」

石原一尉は矛盾する言葉を吐きながら攻撃する。

 「カザマ隊長、戻ってきませんね」 

マユラが心配そうに言う。

 「もうすぐ来るわよ」

アサギが言うが、結局カザマは戻ってこなかった。


俺は夢を見ていた。
子供の頃の思い出、プラントに上がってミゲルや
ハイネと仲良くなって、卒業してからモビルスーツ
に乗って指揮を執った。
戦果をあげてネビュラ勲章を貰い、アスラン達の
教官を務めてラクスと知り合った。
俺は純粋に彼女の歌が好きだったので嬉しかった
が、事態は俺の予想を超えて彼女と恋仲になって
しまった。
アスランには悪いと思ったが、俺は彼女と
付き合い始め秘密を共有する。
その後、クルーゼ隊に配属された俺は様々な事件
に巻き込まれ、結果自分の隊を創設した。
地球に降りて激しい戦闘と楽しい休暇を
繰り返し、家族とも再会した。
そして、俺の故国である日本。
まさか、ここで死んでしまうとは・・・。


俺は目を覚ました。
俺の好きな古典アニメでは「知らない天井だ」
と発言するところだが、この天井は知っている
ので使えない。
ここはアークエンジェルの医務室の天井だ。

 「カザマ隊長、目を覚ましたのか?」

軍医のリヒャルト先生が声をかけてくる。

 「どのくらい寝てた?」

 「丸1日だ」

 「戦況はどうなってるんだ?」 

 「艦長と副隊長を呼んでくるから待ってな」

数分後、2人が入ってくる。

 「カザマ君、心配させないでよ」

 「すいません、タリアさん」

 「まあ、無事で良かったですよ」

アーサーさんがうまくとりなしてくれる。

 「それで、戦況は?」

 「一応、我々の勝ちよ。敵艦隊は撤退したわ。
  我々は追撃をかけたんだけど、殿がドミニオン
  でね。上手くいかなかったの」

 「大丈夫ですか?短期間で再び襲来されたら」

 「大丈夫よ。敵艦隊は多数の駆逐艦を失って
  いたから別働隊の潜水艦の攻撃で多数の
  損害を出したわ。今、連絡が入ったのよ」

 「別働隊ですか?」

 「パナマ作戦で奇襲をかけたモラシム指令官の
  潜水艦隊が密かに補給を受けて、グアム近辺に
  潜んでいたのよ。対潜能力が落ちていた
  太平洋艦隊は発見が遅れて大きな損害を
  出したみたいよ」

 「それで、我々の損害報告をお願いします」

 「ええ、アークエンジェルは損害は軽微。
  モビルスーツ隊はM−1は稼動機が2機
  のみ。センプウは全機修理完了。
  Gは使っていないから無傷よ。
  パイロットは全員無事よ。奇跡よねこれは」

 「これが精鋭部隊の実力ですよ」

 「それで、他の部隊は?」

 「ザフト艦隊は潜水艦の損害は1隻のみ、
  モビルスーツの損害は58機。
  台湾海軍は艦隊の損害は30%で自衛隊から
  供与されていたレップウを18機失ったわ。
  そして、肝心の自衛隊は艦隊被害が25%で
  モビルスーツは稼動機が115機、航空機の
  稼動機は103機よ」

 「ひどい損害ですね。モビルスーツのパイロット 
  は救助されなかったんですか?」

 「救助された軽傷や無傷のパイロットを入れて
  115機なのよ」

 「敵の損害はいかほどです?」

 「最終報告では残存が大型空母4隻、軽空母
  6隻、航空機運搬艦4隻、イージス艦5隻、
  巡洋艦8隻、駆逐艦12隻その他8隻と
  いったところよ」

 「駆逐艦が少ないですね」

 「だから、大型空母が2隻潜水艦に食われた
  のよ」

 「モビルスーツはどうなんでしょう?」

 「稼動機は100機を切っていると思うわ。
  敵は予備機や揚陸部隊の護衛機まで動員して
  500機近くを投入したけれど、この損害は
  無視できないと思うわ」

 「自衛隊の狸ぶりに安心しました。護衛艦と
  モビルスーツの数が揃うまで、侵攻は不可能
  になりましたね。しかも、大型艦の損害を
  抑えて講話派の軍人に配慮を見せている」

 「自衛隊には通常動力の小型潜水艦が多数
  配備されているわ。しかも今回の作戦では
  出番が無くて全くの無傷だから。それに、
  あまり損害を与えると、逆に世論が徹底抗戦
  に傾く可能性があるわ」

 「ブルーコスモス強行派が煽る可能性が
  ありますね」

 「その通りよ。さあ、これで話は終わり。
  カザマ君、今日も休むのよ。仕事は・・・」

 「「アーサーさんに押し付ける!」」

 「2人共ひどいな」

数分後、タリア艦長はブリッジに戻り俺はベッドに
で横になってが、眠り過ぎて目が冴えてしょうが
ない。  
暇なのであたりを見回すと、隣りのベットに
例の捕虜がいた。

 「やっぱり幼いよな。胸はラクス、シホ、
  カガリちゃんの完敗だけど」

 「誰が完敗だって?」

声がした方を見ると、カガリとシホが俺を睨んで
いた。

 「物凄く心配したのに、見舞いに来てみれば!」

 「男の人って最悪ですね。ラスティーだけでは
  ないんですね」

ラスティーも最近、失敗したらしい。 

 「2人共落ち着いてね・・・」

 「覚悟はいいか?」

 「残念ですが」


俺は袋叩きにされた・・・。 

 


 「うう、傷が増えてしまった・・・」

 「自業自得だろ」

 「人には譲れない一線があります」

 「俺、けが人なのに・・・」

 「元気じゃないか」

 「リヒャルト先生が言ってました。半日以上
  モビルスーツに乗ってから出血すれば、倒れる
  のは当たり前だそうです」

みんな冷たいな。

 「まさか気絶するとは思わなかった」

 「あんなモビルスーツで無茶するからです」

 「ジンプウはどうなったかな?思いっきり
  爆発してたけど」

 「粉々で修理不能です。栗林陸将が泣いてまし
  たよ」

俺をあんな機体に乗せた罰だな。

 「それで、ここはどこなの?」

 「ヨコスカです」

 「いつの間に・・・」

 「明日は勲章の授与式らしいので、ちゃんと
  休んでくださいね」

 「えー、あんなに重たいものをジャラジャラ
  と付けるの?」

 「今までに貰った勲章を付けて出席するのが
  当たり前なんです」

最近、シホに説教されっぱなしだ。

 「わかったよ。明日の為に休みますよ。
  でも、眠れないんだよね」

 「睡眠薬をやろうか?」

突然、リヒャルト先生が現れる。

 「おどかさないでよ」

 「暇なんだよ。大きな戦闘だったのに、怪我人
  はお前だけだし」 

 「医者が暇なのはいい事だ」

 「お前を解剖しようかな?」

 「ふざけんな!それより、捕虜を調べればいい
  だろ」

 「調べたよ」

 「若い女の子だから嬉しかっただろ」

 「ヨシヒロさんじゃないんですから」 

シホに突っ込まれるが、無視する。

 「冗談はさておいて、結果は?」

 「こいつは噂に聞いた事があるパーフェクト
  ソルジャー計画の中の1人だな」

 「それって何?」

 「優秀な兵士の精子と卵子を人工授精して
  代理母に生ませてから、訓練をほどこす。
  そうすると、従順で優秀な兵士が出来上が
  るって寸法だ」

 「中途半端な計画だね」

 「だから中止になったらしい。コーディネーター
  の傭兵を雇えば済む問題だからな。他に、
  ナチュラルには絶対服従のマインドコント
  ロールをほどこされたコーディネーターがいる
  らしい。そして極めつけが薬物で身体機能を
  上げた薬中兵士がいるみたいだ」

 「俺達が戦ってたのは・・・」

 「恐らく、それだな」

 「じゃあ、俺が倒しきれなかったのが?」

 「能力的に見て、薬中兵士だ」

 「それで、ロングダガーとかいう量産機に
  乗ってたのが?」

 「コーディネーター傭兵か
  奴隷コーディネーターだな」

 「最後に、俺が倒した2人とあの娘が?」

 「パーフェクトソルジャーだな」

 「でも、ナチュラルなんでしょ?
  コーディネーター並に強かったよ」

 「コーディネーターは遺伝子が操作できるが、
  こいつらは偶然に天才が出るまで子供を
  生ませ続けるんだ」

 「気が長い話だね」

 「だから中止になったんだ」

 「だが、沢山生まれた子供達は他の研究に
  転用されたらしい」

 「連合も残酷な事をするね」

シホとカガリは不快な表情を浮かべている。

 「連合と言うより、アズラエル財団がやって
  るんだ」

 「そんな事業が儲かるの?」

 「遺伝子の自然な組み合わせのみで優秀な子供
  をつくり、養子として売りつける事業に
  転用するらしい。後は金持ちが提供した精子
  と卵子に優秀な子供が出やすい組み合わせで
  受精させて子供を作り、依頼者に提供する
  事業もあるようだ」

 「でも、それで親の気に入らない子供が
  出来たら・・・」

 「シホが考えている通りに、失敗作は捨てられて
  臓器移植者用のパーツに取られたり、
  異常性癖者に高値で売られるんだ」

 「それ、本当なのか?アズラエル財団は
  一応、歴史のある世界有数の財団だぜ」

さすがに少し疑わしい。 

 「だが、あそこが大きくなったのは父親の代
  からだ。以前から黒い噂の絶えない連中だ」

 「よく知ってますね」

 「俺の親友が情報部にいてな。色々聞くんだよ」

 「それで、あの娘は薬物でも注射されている
  のか?」

カガリがリヒャルト先生に質問する。

 「俺の話聞いてたか?あの娘は長期にわたって
  誘導催眠が施されていて、戦う事を義務付け
  られているんだ。さっき目を覚ました時に解除
  してみたが、長期にわたって行わないと効果が
  無いようだな」

 「先生は色々できるんですね」

同じ医者であるシホが感心している。

 「本で読んだんだ」

 「・・・・・・」

シホは感心した事を後悔しているようだ。

 「それで、あの娘は今どういう状態なの?」

 「あの娘は真っ白なんだ。戦う技術は一流だが、
  日頃の言動が恐ろしく幼い。恐らく命令する
  人間に簡単に従うようにわざとそうしている
  んだろうな。上官が優しく接するとその人の
  為に懸命に働くようにな。だが、俺が以前の
  仲間の1人を兄の様に慕う催眠を取って
  しまったから、生まれたてのヒヨコと一緒
  だな」 

 「では、今誰かを見るとどうなるんです?」

シホが質問する。

 「やさしくしなければ大丈夫さ。だから放って
  おけば問題ない。さて、俺は副隊長にこの娘
  の報告書を提出に行ってくる」

 「私は仕事に戻ります」

 「キサカが待ってるから帰るよ」

 「シホ、カガリちゃん、見舞いありがとうね」

俺は再び1人になる。
隣りには縛られたまま寝ている捕虜がいるけど。

 「見た目、レイナ達よりも若いのにな。まあ、
  これで戦わずに済むからいいか」

寝ている彼女を眺めていると、彼女が目を覚ます。

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

彼女はじっと俺を見つめている。

 「お腹がすいた」

 「へっ?」

 「お腹がすいた」

意外な一言にあわてた俺はポケットを探る。
すると、戦闘時に舐めていた飴を幾つか見つけた。

 「どれがいい?」

 「苺が欲しい」

俺は包みを解いて口に放り込んでやる。

 「美味しい、苺味だ」

 「そう、良かったね」

 「お兄ちゃん、名前は何?」

 「俺はヨシヒロ・カザマ」

 「ヨシヒロ、私はステラ・ルーシェ」

俺をヨシヒロと呼ぶらしい。 

 「よろしくね。ステラ」

 「ヨシヒロ、何でステラは縛られてるの?」

 「捕虜になったからだよ」

 「捕虜って何?」

そんな事も知らないのか・・・。

 「これじゃあ動けないよ」

 「ステラが逃げないようにしてるんだよ」

 「ステラ、逃げないよ。だから解いて」

 「それは出来ないんだ」

 「ステラ、逃げないもん・・・」

そして、次の瞬間。
ステラは大音響で泣き出した。

 「ふえーーーーーん!ステラ逃げないもん!」

まずい、状況的に俺が悪者だ。
暫らくおろおろしていると、ニコルとラスティー
が部屋に入ってきた。

 「ヨシさん、見舞いに来ましたって・・・」

 「この娘、何で泣いてるの?」

2人は俺を不審な目で見ている。 

 「とにかく!ニコル、俺の部屋においてある菓子
  全部持って来い!」

 「わかりました!」

 「ラスティー、リヒャルト先生を呼んで来い!」

 「了解です!」

2人は駆け足で飛び出していく。

 「ごめんね、もう縛らないからね」

俺は縄を解いてあげる。
これで、タリアさんに後で怒られる事が決定した。

 「ほら、ステラ飴はまだあるよ。お菓子もすぐに
  来るから」

 「本当?」

 「本当だよ。ほら来た」

ニコルが驚異的なスピードで戻ってくる。

 「持ってきましたよ」

日本で買いだめしたお菓子を全てステラに渡す。

 「ほら、好きなのを食べなステラ」

 「ヨシヒロ、ありがとう」

ステラはベッドの上でお菓子を選んでいる。
そして、お煎餅を選んで食べ始めた。

 「おいしいよ、ヨシヒロ」

 「よかったね、ステラ」

 「うん!」

 「あの、ヨシさん。これはいったい?」

 「俺が聞きたいよ」

 「彼女がヨシさんと相撃ちになったパイロット
  ですよね」

ニコルには信じられない事実のようだ。
俺だってそうなんだから仕方がないだろう。

 「ヨシヒロ、この人だれ?」

 「こいつは俺の弟みたいなものだ」

 「ニコル・アマルフィーです」

基本的に人が善いニコルは普通に挨拶をする。

 「よろしくね、ニコル。私はステラ」

 「よろしく、ステラ」

そこへラスティーとリヒャルト先生が入室して
くる。

 「カザマ隊長、何やらかした?」

 「知りませんよ。お腹がすいたって言うから
  飴をあげただけ」

 「あーーーーーーーーーっ」

リヒャルト先生は床にへたり込む。

 「どうして?」

 「てめえはバカか!あれほど優しくするなって
  言っただろう。この妹属性のシスコンが!」

 「言うてはならない事を・・・。この熟女
  好きが!」

 「何で知ってるんだ!?」
 
 「タリアさんが好みなんだろ!」
 
 「だめだ!若すぎ・・・って違うわ!」

2人は不毛な言い争いを始める。

 「あなたの名前は?」

 「俺?俺はラスティー・マッケンジー」

 「よろしくねラスティー。私はステラ」

 「よろしく、ステラ」   

ニコルとラスティーは俺達を無視してステラと
一緒にお菓子を食べ始める。

 「日本のお菓子は種類が沢山ありますね。
  抹茶味のチョコですか」

 「ちょっと苦いけど、美味しいな」

ラスティーも気に入ったようだ。

 「これ美味しい」

ステラはポッキーをかじっている。

 「なあ、何で俺達は言い争いをしているんだ?」

 「知らねえよ」

俺達の争いはこうして終了した。 

結局、この件はアーサーさんとタリアさんに
知られてしまい、1時間ほど説教される事に
なった。
俺は隊長なのに最近、扱いが軽い気がする。


翌日、俺達は勲章を貰いに行く。
白い指揮官服に着替えてから今まで貰った勲章
を全部付ける。

 「重たいな。外したいな。赤服が着たいな」
 
普段の俺は軍規を無視して赤服を着ている。
理由は赤服が大好きだからだ。

 「ヨシさん凄いですね」

イザークが感心している。

 「お前達も結構付いてるじゃん」

 「でも、ネビュラ勲章を持ってるのはヨシさん
  だけですよ」 

ディアッカが羨ましそうに言う。

 「アスランは忙しくて遅れたけど、前の機動艦隊
  撃滅で貰える事になっている。ついでに、
  ハイネも上海奇襲作戦成功の件で貰える
  らしい」

 「私は艦長だから貰いにくいわね。
  ネビュラ勲章」

タリアさんが残念そうに言う。

 「オキタ艦長は貰ってますよ」

 「あの人は例外よ。私ではあんなに敵艦を
  落とせないわよ」

彼はフユツキで通算で戦艦2隻、MA空母3隻、
巡洋艦6隻、駆逐艦16隻を沈めて艦長でただ
1人ネビュラ勲章を持っている。

 「あの人は常人離れしてますしね」

付き合いのある俺にはわかる。
彼は出世を断ってまでも一艦長にこだわる
一種の変人だ。

 「では、出かけますか」

 「ヨシヒロ、すぐ帰ってきてね」

 「ステラの大好きなお菓子を買って帰るから」

 「わーい!」

結局、ステラは縛りあげたり独房に入れる事
をしないで艦内で保護する事になった。
思いっきり規則違反だが、リヒャルト先生が
絶対に逃げ出したり、暴れたりしないと保障
してくれたので、この扱いが認められたのだ。

 「あの娘はお前をお兄さんだと思ってるんだ。
  だから優しくするなって言っただろ。
  俺の催眠解除で生まれたてのヒヨコだった
  彼女にお前が刷り込まれたんだ。最後まで
  責任を持って面倒見ろよ!」

リヒャルト先生に断言されてしまった。

小型のヘリコプター数機で防衛省に到着して
授与式の会場に向かうと、そこには石原一尉が
待っていた。

 「よう、怪我は大丈夫か?」

 「そんなにひどくないから」

 「ジンプウが落ちたって聞いた時は驚いたよ。
  カザマの戦死なんて想像出来ないからな」

 「俺、死にかけたんだけど」

 「では、案内するよ。こっちだ」

俺達は講堂らしきところに到着する。
すぐに、式典が始まり勲章が順番に授与された。

 「どこの国でも同じだなこういう事は」

貰った勲章は重いやつだったので、俺には余計
な負担が増えていた。
話にると、他国の軍人で貰ったのは俺とマーカス
指令だけらしい。

 「カザマ君、怪我は大丈夫かね?」

栗林陸将が声をかけてくる。

 「おかげでえらい目に遭いましたよ」

 「まさか、落ちるなんて思わなかったよ」

 「俺だって思いませんよ」 

 「ちゃんと約束のものは送るからさ」

 「頼みますよ」

式典は滞りなく終了し、俺達は途中で大量の
お菓子を買って帰艦した。

 「わーい、ヨシヒロありがとう」

 「何回かに分けて食べるんだよ」

 「うん」

 「ヨシヒロさん、お兄さん振りが板について  
  きましたね」

シホが笑いながら話しかけてくる。

 「俺には実際に妹が2人いるからな。
  シホ、ステラの教育を頼むよ」

 「はい、大丈夫ですよ」

俺は、ステラが年齢に比べてあまりに幼すぎる
ので、シホに教育を頼んだのだ。
部屋も相部屋にしてもらい寝起きを共にして
もらう。
始めはタリアさんにお願いしようと思ったのだが。

 「タリア艦長だとオバサンが伝染しますよ」

と、ディアッカが言うのでシホに変更した。
翌日、ディアッカがトイレ掃除をしていたが、
原因が特定できたので、何も言わなかった。


更に1日が経ち。
俺達は再びオーブに向けて出発する事になった。
日本・台湾攻略に失敗した大西洋連合が戦力が
少ないオーブを狙うという情報が入ったからだ。
これから俺達はどうなってしまうのか?
それは誰にもわからなかった


        あとがき

ステラ達の設定は完全に捏造です。
運命通りにすると、捕まった地点で死亡確定
なので。
次はオーブ攻防戦です。
連合の侵略に備えるオーブは着々と戦力を増強
していた。
カガリは傭兵モビルスーツ部隊の師団長に
任命されて、日々訓練と戦力の増強を図っていた。
カザマは傭兵として一度ザフトを退役して
オーブ軍パイロットとなる。
彼と家族の運命は?キラは出撃するのか?
カガリのパイロットとしての腕前は?
次回の更新は不明です。     

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