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「これが私の生きる道!地球編6(ガンダムSEED)」

ヨシ (2006-02-18 01:30/2006-02-18 14:42)
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(6月4日、日本国首相官邸)

この日の石原総理はいつに無く緊張していた。
後1時間ほどで、重要な発表をしなければなら
ないからだ。
控えの部屋で貧乏ゆすりをしながら水を汲んで
飲んでいると、20代半ばの美しい女性と
40代半ばの男性が入ってきた。

 「総理、珍しく緊張しているんですか?」

女性が意地悪そうな微笑みを浮かべ。 

 「裕一郎、貧乏ゆすりはやめろよ」

男性が注意する。

 「仕方なかろう。後少しで歴史を変えてしまう
  かもしれない重要な発表をしなければならない
  のだ。お前達は緊張しないのか?」

 「私は総理ではありませんから」

 「俺は開戦の準備が忙しいから、それどころでは
  ない」

 「立花副官房長官と山本防衛大臣は冷たいな」 

 「大体、緊張するようなタマじゃないだろう」

 「お前ね、クビにするぞ」

 「じゃあ、お前が防衛大臣の仕事も兼任してくれ」

 「過労死するだろうが」

軽口を叩き合う。
石原総理と山本防衛大臣は生まれた頃から近所で
育ち、幼稚園から大学まで一緒に通った親友同士
である。

 「総理、会見まで後10分です」

立花副官房長官が時間を告げる。
彼女は前回の選挙で初当選後、副官房長官に任命
された女性でまだ25歳の若さだ。

 「もうそんな時間か?では準備するとするか」

石原総理は会見場へと向かっていった。
その日の会見で、石原総理は日本の東アジア共和国
からの脱退とプラントとの攻守同盟の締結。
そして、地球連合への宣戦布告を発表した。 
これを受けて大西洋連邦のハル外務長官は
地球国家への重大な裏切り行為と日本を非難。
討伐と自由主義国家開放の為に、太平洋艦隊を
出撃させる事を発表した。
戦機は熟しつつあった。



(同時刻、プラント評議会)

議場の大型スクリーンで石原総理の重大発表を
聞きながら、議員達は会話を続けていた。

 「日本が宣戦布告する事は3流タブロイド誌
  にも書いてあった事だ。今更だな」

ザラ委員長がつまらなそうに言う。

 「物事には全て手順という物があります。
  無視する事はできません」

デュランダル委員長が真面目に返答する。

 「さて、いよいよ太平洋艦隊のお出ましだな。
  我々は勝てるのか?あの大艦隊に」

シーゲル元議長が疑問をぶつける。

 「敵の戦力だが、機動艦隊が3個艦隊と
  モビルスーツを運用する艦隊が1つの
  計4個艦隊だ。問題の数だが、航空機が
  500機にモビルスーツが300機ほど
  のようだ」

ザラ委員長が説明する。

 「モビルスーツの数が増えていないか?」

エルスマン議員が質問を投げかける。

 「当初の3倍近くに増大している。
  アズラエルが梃入れをしたようだ。
  更に、先日パナマでフリーダム2機を撃破した
  新型モビルスーツ隊も編入されているようだ」 

 「新型モビルスーツですか。頭の痛い話です」

アマルフィー委員長は自慢の作品であった
フリーダムが落とされてしまった事を思い
出して、憂鬱な気分になる。

 「少数の新型機よりも、数の方が重要だ。
  こちらの戦力はいかほどなのだ?」

マッケンジー委員長がザラ委員長に問いただす。

 「ザフトからはモビルスーツ128機を搭載
  した潜水艦隊が硫黄島要塞に到着している。
  司令官はベテランのマーカス司令なので
  大丈夫だ。他にもアークエンジェルが
  後1時間ほどでヨコスカに入港する」

 「少なくありませんか?」

エザリア議員は心配そうだ。

 「オーブへの備えもあるので多くは回せないし、
  カオシュンから上海奇襲作戦の戦力を出さね
  ばならない。だが日本にも独自のモビルスーツ
  部隊があるので安心してくれたまえ」 

 「モビルスーツ隊ですか?数が少ないと
  聞きましたが」

 「連合向けの情報工作だ。一号機(レップウ)
  は量産試験機なので、全部で24機しか
  ないが、二号機の(センプウ)は地上用
  128機と宇宙用58機が配備を完了して
  いる。航空機も300機以上を配備して
  いるし、要塞化した硫黄島は難攻不落だ」

 「二号機(センプウ)ですか?」

 「コックピット周りをラミネート装甲で覆い、
  残りの部分をフェイズシフト装甲で覆った
  最新鋭機だ。武装は(レップウ)と同じ
  らしいが、連合にとっては恐ろしい脅威に
  なるだろう」

 「今までは東アジアに埋もれて目立たなかったが、
  恐ろしい国だな日本は」

エルスマン議員が感想を述べる。

 「人口が一億人を超え、単一民族で国民の
  教育水準も高い。そして世界3位のGNP
  と世界有数の技術大国だ。元々オーブより
  大国なのだ」

 「戦後は台湾とゆるやかな連邦制を敷いて
  極東連合を創設する予定だ。ここで恩を
  売っておけば後々いろいろやり易い」

シーゲル元議長とマッケンジー委員長が相次いで
発言する。

 「グアム奇襲で太平洋艦隊は出鼻をくじかれたが
  本当の逆襲はこれからです。ザフトの奮戦を
  期待しましょう」

カナーバ議長の言葉で議会は閉幕した。 


(6月4日、ヨコスカ軍港)

グアム奇襲後、命令を受けた俺達はヨコスカに
到着した。 
囲いで被われたドックに入港してから指示を
待っていると、プラントから来た外交官が
迎えに来てくれた。

 「プラントから参りました。外交官の
  イシワタリです」

 「イシワタリ外交官、我々はこれからどうすれば
  いいんですか?」

 「おや、他に聞きたい事は無いのですか?」

 「ありますけど、一番の疑問を解消しようと
  思いまして」

 「簡単に言わせていただきますと、お休みです」

 「いまにも戦端が開かれようとしている時に
  お休みですって?」

タリアさんが珍しく大声を上げる。

 「タリア艦長、実はあなた達の奇襲作戦が予想外
  の成功を収めた為に、敵艦隊の出撃が大幅に
  遅れているのです。予想決戦日時は6月15日
  前後の予定です。だから今、助っ人のあなた達
  にあまりする事はありません」

 「なるほどね。まあ、せっかくのお休みなん
  だから休ませてもらおうよ」

 「まあ、お休みと言っても3日間ですが」

 「3日間でも大歓迎ですよ」

アーサーさんは嬉しそうに言う。

 「でも、裏がありそうですね」

 「ええ、明日なのですが・・・」

そう言ってイシワタリ外交官は今日の新聞を
見せてくれた。
第一面には大きく「プラントとの友好の架け橋
歌姫ラクス・クライン来日」と書かれている。

 「ラクス様が何なんです?」

アーサーさんが質問する。 

 「最前列の席をお取りしましたので、ご参加
  願います」

イシワタリ外交官はきっぱりと宣言した。


午後になり、ラクスが空港に着いたと連絡が入った
ので、俺達も迎えに行くことになった。
いつもだとイザークあたりが文句を言うのだが、
彼もラクスにはかなわないらしい。

 「お久しぶりです。アスラン」

ラクスは一応婚約者のアスランと挨拶をする。
アスランも親しげに挨拶をしているが、心ここに
あらずだ。
実は、カガリがオーブの観戦武官としてキサカ一左
と密かに来日していて、早く会いたくて仕方がない
らしい。
教えてしまったイシワタリ外交官に罪は無いが、
可哀想な事をするものだ。

 「ヨシヒロさんもお久しぶりです」

 「ラクスもお久しぶりです」

普通に挨拶をしてから、彼女は会見場に向かう。

 「さあて、俺達は帰るか」

帰ろうとした俺達をイシワタリ外交官が止める。

 「あなた達は残ってください」

 「えっ、!何で俺達が?」

 「休暇中はラクス様と行動を共にしてもらい
  ます。あなた達も大事な友好親善大使
  なんですから」

結局、俺とアスラン達は残される事になった。
帰る事が出来るタリアさんが羨ましい・・・。
会見が行われている会場を後ろから覗き込んで
みると、ラクスは記者達を相手に楽しそうに
話している。
さすがに、プラント1のアイドルなだけはあって
慣れている感じだ。

 「ラクスはやっぱり絵になるな」

俺が感心していると、会見が終了した模様だ。
事前の打ち合わせ通りにラクスを囲んで護衛
する。
ザフトの軍服を着た俺達がラクスを騎士の
ように護衛する。
誰が考えたのか知らないが、非常に絵になる
光景だ。
マスコミ受けを狙ってのものと思われる。
そして、婚約者のアスランが真ん中でラクス
と楽しそうに会話をすれば完璧だ。
俺は最初、軍事アレルギーの日本人からは
批判が出るだろうと思っていたのだが、ザフト
の軍服は日本人にとっては、コスプレに近い
イメージがあるのでイケメンの若い少年達が
格好いいと評判になったようだ。
この事は後でイシワタリ外交官に聞いたのだが。

 
その後、俺達はラクスの宿泊先のホテルに着いた
のだが・・・。

 「帝国ホテルか。ラクスだものな」

 「やっぱり知ってるんですね」

ニコルが感心しているが。

 「知ってるだけだ。テレビでしか見た事がない。
  俺は一般家庭の出身なんでな」

 「ラクス様はスイートルームだってさ」

ディアッカが教えてくれたが、実感がわかない。

 「俺達も個室が用意されていますよ」

アスランが教えてくれる。

 「お前達は慣れているんだろうけど、俺は
  落ち着かないな。高級すぎて」

そんな話をしていると。

 「アスラン!」

聞き覚えのある声がするので振り向くと、カガリが
大声を上げていた。
隣りにキサカ一左の姿も見える。

 「カガリちゃん、元気だった?」

 「カザマ、マユラ達が世話になってるな」

 「こちらもな。既に貴重な戦力だぜ。カガリは
  ちゃんと練習してるのか?」

 「私には優秀なコーチがいるからな」 

 「優秀なコーチ・・・、キラか?」

 「何で知ってるんだ?」

 「俺が負けかけたから」

 「えっ、キラが?」

アスランが驚きの声をあげる。 

 「事実だ。単純な技量だけなら、俺もアスラン
  も勝てない」

 「キラがそんなに・・・」

アスランにはショックな事実のようだ。

 「それで、カガリちゃんは観戦武官なんでしょ」

 「ああ、オーブには実戦経験が無いからな。
  今回の大海戦のデータを集める事は大事な
  事なんだ」

キサカ一左が説明してくれる。

 「カガリちゃんがモビルスーツで飛び出さない
  ように見張っててくださいよ」

 「そんな事はしない!」

カガリは怒っているが、ありえない話ではない。

 「ヨシさん、ラクス様が夕食に招待したい
  との事ですが」

イザークが伝言を伝えてくれた。

 「カガリ姫もご一緒にどうですか?との事です」

イザークが緊張した声で言う。
2人の仲はあまり良くないからな。

 「喜んで出席させていただくと伝えてくれ」

大丈夫か?このメンバーで。
俺は少し不安になってしまった。


夕食はホテル内のレストランでする事になった。
ラクスが予約を入れていてくれたので俺達は
集合する。

 「ご招待に感謝します」

アスランが代表してお礼を述べた。
席はラクスとカガリが主賓席に座り、両隣に
アスランと俺。
後は、ラスティーとシホが向かい合って座って
いたが、適当に座る。
料理はフランス料理のコースのようだった。

 「和食が食べたい・・・」

俺は小さくつぶやいた。
艦内の食事は洋食が基本なので、願いは切実だ。

 「我慢しろよ。後で連れてってやるから」

隣りのカガリが聞いていたらしく。
優しい言葉をかけてくれる。

 「カガリちゃんは優しいな。彼女にしたく
  なりそう」

 「なっ、私はそういうつもりでは・・・」

 「冗談だよ。ありがとうなカガリちゃん」

軽いジョークだったのだが、ふと隣りを見ると
アスランが俺を睨みつけ、ラクスの笑顔が凍り
ついていた。

 「さて、今日のメニューは何かなー」

適当に誤魔化す事にする。
その後、表面上は楽しく会話をしながら夕食は
終了し、全員自由時間になる。
カガリとの約束を考えて食事の量を抑えた俺は
出かける準備をしていたのだが・・・。

 「ホテルの前はマスコミ関係者だらけで、
  出掛けるのは無理そうだ」 

 「俺達は関係ないだろう」

 「お前はラクスとテレビに映ったんだ。
  外に出たらバレてしまう」 

 「そんな・・・。お米が食べたいよ。
  ええい!関係あるか。俺は出かける」

部屋に戻ってアスランにサングラスを借り、
古い服を選んで着る。これでバレ無いはずだ。

 「カガリちゃん、俺は行くぞ!」

 「私も行く!」

カガリはヘリオポリスの時と同じ格好をして
現れた。

 「よし、それなら完璧だ」

 「2人で何してるんです?」

ディアッカとイザークが部屋から出てくる。

 「未知の国、日本の探索だ!」

 「ヨシさんが遊びたいだけでしょ。それに
  出身地じゃないですか」

 「そうとも言う」

 「ちなみに、お前達は目立つから連れては
  行けない」

 「そんな!骨董品店巡りに・・・」

 「この時間に開いてるか!」

 「俺はナンパに・・・」

 「騒ぎを起こすな!」

 「「じゃあ、行ってきます」」

俺達は正面玄関から堂々と歩いて出たが、記者達
には気が付かれなかった。

 「やった!カガリちゃん何食べたい?」

 「寿司が食べたい」

 「すし屋へレッツゴー!」

その後、俺達は寿司を食べ、バーで酒を飲み、
カラオケボックスに入って歌いまくった。
時刻が深夜3時を過ぎたのでコンビニに寄って
からタクシーでホテルに帰る事にする。

 「楽しかったな」

 「そうだな。また誘ってくれよ」

 「アスランが怒りそうだから、たまにね」

 「あいつも今日誘ってくれれば良かったんだ」

 「無理だよ。ラクスの婚約者なんだから。
  スキャンダルになってしまう」

 「わかってるけど・・・」

 「でも、アスランは俺にはっきりと、本当に好き
  なのはカガリでラクスは友人に過ぎないって
  言ってたぜ」

 「そうなんだ」

カガリは嬉しそうに微笑む。

 「戦争が終われば、この件も解決するさ」

 「そうだな。ところで、コンビニで何買って
  たんだ?」

 「オニギリとスポーツ新聞とウーロン茶と
  カップ麺。後は、アイスやお菓子など
  日本でしか買えないもの」

 「オッサンくさいのか子供なのかわからない」

タクシーを降りてホテルに入って部屋の前に行き
カガリと別れる。
冷蔵庫に買ったものを無理やり詰め込む。
完全に規則違反だが、気にしない事にする。
アイスを食べながらスポーツ新聞を見ていると、
ノックされたのでドアを開ける。
すると、アスランが怒りの表情で立っていた。

 「あれ?アスラン。アイス食べるかい?」

 「少しお話があります」

俺は朝まで説教されて眠る事が出来なかった。


翌朝、寝不足というか一睡もしていない俺は
シャワーを浴びてから朝食を食べに行く。
ラクス達と一緒に食べるのだが、また洋食なので
少なめに食べてから部屋で昨日買ったおにぎり
を食べる事になるだろう。

 「ヨシヒロさん、昨日はカガリさんと
  楽しかったですか?」

いきなりラクスに話しかけられた。

 「ええ、って何で知ってるの?」

隣りのディアッカとイザークが俺から視線を
逸らす。  

 「私も出掛けたかったですわ」

ラクスは笑顔だが、後ろに黒いオーラが見えている。

 「カガリちゃん、アスラン」

2人は楽しそうに話していて俺は視界に入って
いない。

 「シホ、ラスティー、ニコル」

3人も楽しそうに話していて俺が視界に入って
いない。

 「キサカ一佐。は今日は朝からいないんだ」

 「ごゆっくりお話を聞かせてくださいね」

俺に逃げ道は無かった・・・・・・。

朝食後、ディアッカとイザークを捕まえて話を
聞く。
もしかして、俺とラクスの事がバレているのか?

 「事情は知りませんが、危険な感じだったので
  先に避難したんですよ。ヨシさん、ラクス様
  に何をしたんですか?」

イザークに逆に聞かれてしまう。
事情を話すわけにいかないので、ニコルを捕まえて
聞き出す事にした。 

 「ヨシさんが全面的に悪いと思いますよ。
  アスランもラクスさんも怒って当然です」

バッサリと切り捨てられた。
最後にアスランを捕まえて聞く。

 「ねえ、アスラン。実は何か知ってる?」

 「何をです?ヨシさん、カガリと2人で遊びに
  行かないでくださいよ。ラクスの前では不機嫌
  な表情を見せられないんですから」

アスランはまだ真実に気が付いていないようだ。
仕方ない。ラクスに謝りに行くか。
スイートルームのドアをノックすると、ラクスが
出てきた。

 「あの、ラクスすまない」

 「では、お入りくださいな」

俺は逆らえなかった・・・。


約一時間後、俺はこっそりとドアを開けて、人が
いない事を確認してから自分の部屋に戻る。 
まるで間男のようだ。
やがて、すぐにお昼になり昼食を取ってからラクス
がコンサートを行う武道館に車で移動した。
いきなり初来日で武道館、日本人の外タレ好きは
変わらないらしい・・・。


コンサートは無事に終わり、夕食は政財界主催の
晩餐会で取る事になった。
料理はご馳走だったが、洋食ばかりで疲れて
しまった。

 「また、洋食か・・・」

 「はい、どうぞ」

20代前半くらいの若い女性がお碗を渡してくれる。
中身はソバだった。

 「ありがとうございます」

 「カザマ隊長でしょ。何年も外国に出ていて
  洋食に慣れていないの?」

 「手の届くところにあるから食べたくなるん
  です。戦闘任務中なら大丈夫ですよ。ええと、
  あなたは?」

 「副官房長官の立花エリカです。よろしく」

 「へえ、あなたが噂の美人副官房長官ですか」

 「そうよ、お飾りで評判の」

 「俺はオジサンよりは美人さん大歓迎です」

 「あなたは面白い人ね」

 「反主流派なんで、楽しくやってますよ」

 「本当かしら。部下の面々を見ると将来は
  ザフトのトップに立ちそうなのに」

 「俺は早く退役して民間人に戻りたいです」

 「あなたは変わっているわね。でも、そういう人
  は好きよ」

瞬間、殺気を感じてあたりを見回す。
すると、ラクスがこちらに笑顔を向けていた。

 「あなたは危険な匂いがするからやめておくわ。
  じゃあ、パーティーを楽しんでね」

立花さんは去っていってしまった。
貰ったそばを食べ終わると、和食のコーナーを
探し当てる事に成功した。

 「なんだ、あるじゃん和食。せっかくの日本食
  を楽しまねば」

俺は和食を貪り食う。
ここで食いだめしておかないと次の保障は無い
からだ。

 「でも、人気ないな。このコーナー」

 「そうだな。日本人は勿体ないな。せっかく
  こんなに美味しい食文化を持っているのに
  大切にしないらしい」

1人の中年の西洋人が話かけてくる。

 「ええと、どちら様でしょうか」

 「私は大西洋連邦外務次官のジョージ・
  アルスターというものだ。カザマ隊長
  よろしくな」

 「あの・・・。ここにいて大丈夫なんですか?」

既に、日本は宣戦布告をしているのだ。
普通は大使館は閉鎖されて職員は全員送還される
はずだ。

 「私は日本の政財界に知己が多くてな。招待
  されたのだ。それに、公式には私はここに
  存在していないのだ。ほかの職員のように
  ホテルに軟禁されるのは性に合わない」

 「あの、アルスター外務次官。私は
  コーディネーターでザフトの軍人です。
  あまり親しげに話しかけない方が・・・」

 「別に気にならないから安心してくれ。それに、
  娘が気に入った男を見ておきたかったのだ」 

 「はあ、そうなんですか」

オーブでのラクスとフレイの争いを思い出す。

 「だが君には他に好きな女性がいるようだな」

 「はい、残念ですが。先にお嬢さんに会って
  いたら、彼女を好きになっていたかもしれ
  ません」

 「そうか、では第二候補を・・・」

 「オーブのユウナ様が婚約者では?」

 「娘に嫌がられてしまってな。新しい候補者を
  物色中だ」

 「誰なんです?」

 「イザーク・ジュールが第一候補だ」

 「えっ、イザークなんですか?」

 「秘密にしててくれよ」

 「はい」

イザークの驚く顔が面白そうなので秘密を厳守
する事にする。

 「では、私は東郷外相に会ってくるかな」

アルスター外務次官はその場を去っていった。

 「おおっ、ふぐ刺じゃん。こんなものまである
  のか」

 「税金を大量投入しているからご馳走だろ」

 「俺は納税者ではありませんからタダ飯ですよ」 

 「ははは、君は面白いな」

話しかけてきたのは石原総理だった。

 「君、今から転職しないか?モビルスーツ隊の指揮
  を全て任せるから」

 「残念ですが」

 「そうか。大部隊になってしまったから実戦経験者
  が欲しかったんだけどな」

 「そうなんですか?20機前後と聞きましたが」

 「それは連合向けの情報操作だ。実際は新型機
  (センプウ)と合わせて200機近くある。
  予備機も80機ほどあるのだが、パイロット
  の訓練が間に合わなかった」

 「(センプウ)ですか?」

 「コックピット回りをラミネート装甲で覆って、
  残りの部分をフェイズシフト装甲にした
  新鋭機だ。パイロットが不足しているので
  戦死させられないからな」

 「そんな軍機を私に話して大丈夫ですか?」

 「ザフトの上層部はもう知っている。新型機の
  データと交換で実機も渡しているのだ。
  オーブへもOSとの交換で譲渡済みだ」

 「公然の秘密ですか」

 「硫黄島要塞で訓練を繰り返しているから
  太平洋艦隊司令部にもバレているだろうな」

 「硫黄島が決戦の地ですか」

 「背水の陣だよ。東アジア共和国には意外だった
  ようで、上海で何か企んでいるようだが」

 「そうですか」


(同時刻、上海攻撃隊)

東アジア共和国は大西洋連邦と日本の決戦の地が
硫黄島と知って、驚きを隠せないでいた。
彼らの予想ではもっと遠い海域で行われると
分析していたからだ。
硫黄島では決戦が終わってから割り込めなく
なってしまう。
そこで、艦隊を早めに出撃させてヨコスカ近海で
待機させる事にした。
東アジア共和国は地球連合の構成国なので、別に
不自然な事は無い。

だが、その情報をキャッチしたザフト軍が
カオシュン基地から多数のディンの部隊を出撃
させていた。
初の中国本土攻撃である。

 「みんな、大丈夫か?初めての夜戦だぞ。
  無理そうなら帰れよ」

攻撃隊隊長のハイネが軽口を叩く。

 「そんな柔な奴いませんよ」

 「そうだな、帰ったら中華料理食いに行くぞ」

 「「「おー!」」」 

 「よし、目標まで後少しだ。全機所定の攻撃位置
  を維持しろよ」

 「「「了解!」」」


(上海、太平洋艦隊旗艦「毛沢東」艦橋)

 「マオ司令、後二時間で抜錨です」

 「そうか。出撃までコソコソ出かけるんだな
  俺達は」 

 「仕方がありませんよ」

 「空母8隻、巡洋艦48隻、駆逐艦98隻、
  その他42隻、航空機300機、
  モビルスーツ250機を有している我々が
  泥棒みたいな真似をしないといけないとは」

 「無駄に損失を出せませんよ。この艦隊が
  大損害を被ったら、開戦時からの努力が
  台無しです」

 「わかっているさ」

 「司令!未確認の熱源反応が多数現れました」

 「敵か?」

 「熱紋確認、ディンです。機数は200機を
  超えます!」

 「いつの間に台湾にそれほどの機数を用意
  したんだ!」 

参謀が驚きの声をあげる。 

 「迎撃だ!」

 「空母が停止状態で、航空機が発進不能です。
  モビルスーツ部隊で夜戦が可能なものは
  50機のみです」

 「周りの基地に応援を出させろ!モビルスーツ
  は全機発進だ!これは命令だ!」

上海の軍港は混乱に陥っていった。

 「へえ、獲物だらけだな。みんな喧嘩するなよ」

 「「「了解!」」」

ディン各機は抱えていた2基の浅深度魚雷を目標に
向けて発射する。
浅深度魚雷はまっすくに目標に向かって突き刺さり
爆発する。
空母で無事な艦は一隻も無く、全艦が傾き始めた。
魚雷を発射して身軽になったディンは携帯火器で
空母の弾薬庫や燃料タンク、各艦の砲塔や機関部を
狙って射撃を開始する。
暫らくしてから、夜間戦闘機とモビルスーツが飛来
してきたが、動きが鈍重で簡単に落とされて
しまった。

 「まさか、夜襲をかけてくるとはな」

マオ司令には予想外の出来事だったようだ。

 「マオ司令、一時避難を」

参謀が避難を勧めるが。

 「指揮官が逃げ出せるか!」

 「ですが、ここは危険です!」

 「うるさい!これは軍人の意地の問題だ!」

 「正面、敵モビルスーツ!」

索敵担当の士官が悲鳴をあげた。

 「なっ、オレンジのディン。奴は確か・・・」

マオ司令が言い終わる前にブリッジにビームマシンガン
のビームが突き刺さり、マオ司令以下全員が蒸発した。

 「敵司令官は戦死した。指揮の混乱をついて
  戦果を拡大しろ」

 「「「了解!」」」

この日の夜襲で東アジア共和国は艦隊の7割を失い、
軍港の設備にも致命的な損害を受けて壊滅状態に
なった。
戦力の回復は今回の戦争に間に合わないだろう。

 「損害は何機だ?」

 「カオシュンの部隊が12機です。
  カーペンタリアからの応援部隊は22機
  の損害を出しています」

 「そうか、損害が増えていくな。戦争が早く
  終わる事を祈るしかないな」

ハイネの表情は暗かった。


(アークエンジェル艦内)

カザマ隊長以下6名のパイロットが不在の
アークエンジェルではタリア艦長とアーサー副隊長
が留守を務めていた。

 「アーサー、特文で戦況報告が入っているわ。
  カオシュンの奇襲部隊が上海の攻撃に成功
  したみたいよ」

 「そうですか。それは良かった」

 「でも、損害が10%を超えたみたいね」

 「だんだん厳しくなってきますね」

 「ええ、他所の部隊は大変なのね」

 「うちだって大変ですよ」

 「フェイズシフト装甲・・・」

 「うちの機体には全機装備されていますね」

 「だからうちは損害が少ないのよ」

2人の気持ちは晴れなかった・・・。


(帝国ホテル自室内)

晩餐会が終了後、俺達は上海奇襲の詳細を聞いた。

 「さすがはハイネだな。大した指揮官振りだ」

 「ヨシヒロも素晴らしい指揮官ですわ」

 「・・・・・・ラクス、どうして俺の部屋に」

 「あなたに会いたいからですわ」

ベッドの上で俺は膝枕をされている。

 「アスランはどうしました?」

 「カガリ様のお部屋です」

 「何で知ってるの?」

 「アスランがカガリ様の部屋に入っていくところ
  を拝見しました」

アスラン、うかつな奴め。

 「ですから私も今日はこの部屋に泊まります」

 「それ、まずくない?」

 「朝には戻りますから大丈夫です」

俺に選択の自由は存在しなかった。


翌日、ラクスは仕事で老人ホームへの慰問を
行っていた。
何でこんな事をと思ったが、マスコミの受けを
狙っての事だろう。 
付き合わされた俺達の中でイザークが絶叫して
いたが、無視する事にする。

 「何で、軍人の俺達が老人の相手をしないと
  いけないんだ!」 

 「イザーク、連合の指揮官は老人が多いん
  ですよ。いつか役に立ちますよ」

 「んなわけあるか!」

ニコルのいいわけは即座に否定されていた。

結局、この日もラクスは俺の部屋に、アスランは
カガリの部屋に泊まっていった。
翌日、ラクスが俺の部屋をこっそりと出ようとする。

 「では、またオーブでお会いしましょう」

 「またオーブへ行くんですか?俺達」

 「連合の次の目標はオーブです」

 「わかりました。ではオーブで」

俺はラクスにキスをしてドアを開けると・・・。

 「アスラン、オーブで会おう」

 「カガリも元気でな」

アスランとラクスが鉢合わせになってしまう。

 「アスラン、おはようございます」

 「ラクス・・・。おはよう」

 「カガリちゃん、全部台無し」

 「だよな」

今更どうでもいい気がするが、バレてしまった。


俺の部屋に4人が集合する。
勿論、話し合いの為だ。
だが誰も発言しようとしないので、空気が重くて
しょうがない。
年長者なので、俺が話しかけてみる事にする。

 「えーと、アスランこれには色々と事情が
  あって・・・・・・」

 「アスラン、事情が事情だけに仕方がない
  だろう」

カガリがフォローしてくれる。

 「アスラン、私達は結ばれる運命には無かったの
  です」

 「ラクス、ストレートすぎ」

俺がツッコミを入れる。

 「アスラン、土下座でもなんでもするからラクスと
  カガリちゃんを怒るなよ。殴ってくれても
  かまわない」

覚悟を決めて言う。

 「いや、私も黙っていたから・・・」

 「これは、2人の罪です。私も裁きを受けますわ」

2人も立て続けに言う。

 「だから、アスラン・・・」

アスランは下を向いていた。
だが、よく耳を澄ますと笑い声が聞こえる。

 「アスラン!キレてしまったか?」

心配していると、彼は笑いながらこう発言した。

 「やった!これで後ろめたいものが全て消滅した。
  カガリ、俺達は勝利したぞ!」

 「えっ、ああそうだな」

 「ラクス、ヨシさんおめでとうございます。
  俺は怒っていませんよ。むしろ好都合です。
  今は秘密ですが、戦後は大々的に発表しま
  しょう」

 「ああ」

 「そうだな」

 「そうですわね」

珍しく、アスランがハイテンションなので全員
キョトンとしてしまっている。

 「じゃあ、ふたりとも気をつけてな」

アスランとラクスは自分の部屋へ帰っていった。

 「今までの苦労って何だったんだろう?」

起きたばかりなのに、疲れきってしまった。


今日はいよいよ硫黄島要塞に出撃する日になった。
朝食を食べてから、ラクスとカガリに見送られて
ヨコスカに向かう。
カガリは別便で硫黄島に向かうようだ。

 「ただいま。タリアさん、アーサーさん」

 「お休みが多くていいわね」

 「代わってあげますよ」

 「遠慮しておくわ」

 「私はラクス様のコンサート見たかったな」

 「記録してありますから後であげますよ」

 「ありがとう」

 「では、出発しますか」

 「ええ、アークエンジェル発進準備!」

一時間後、アークエンジェルは出発した。
数時間の航海で硫黄島に到着する。

 「入港指示出ました」

 「では、入港だ」

入港してから、俺はタリアさんを連れて基地司令に
挨拶に向かう。
地下数十メートル下にエレベーターで降りてから
司令室に入室すると、巨大な硫黄島と周りの海域
の模型が見えた。

 「凄いわね。とても急ごしらえの基地には
  見えないわ」 

 「今度は陥落しない事を祈りますよ」

2人で小声で会話する。
指令所には5人の軍人が待っていた。
1人は我が軍のマーカス司令だ。

 「マーカス司令、オペレーションウルボロス以来
  ですね」

 「カザマ、出世したな」

 「そうなんでしょうか?」

 「そういう事にしておけ。紹介するぞ。
  まずは、台湾第一艦隊司令官の魏章世中将だ」

 「よろしく」

 「次は硫黄島基地司令の栗林陸将だ」

 「頼りにしているぞ」

 「そして、護衛艦隊司令長官の伊藤海将と
  機動艦隊司令長官の山口海将だ」

 「同じ日本人同士仲良くやろう」

 「若いな。君は」

 「何と言っていいか。因縁を感じる苗字ですね」

 「まあな、軍人の子は軍人。そんな家は多いのだ。
  太平洋艦隊の司令官はスプルーアンス大将で
  機動艦隊を率いているのはミッチャー中将と
  フレッチャー中将だ。モビルスーツ隊の指揮
  はハルバートン少将だから例外だけどな」

 「そうですか。それで、敵の来襲はいつなん
  です?」

 「ちょうど一週間後の予定だ」

栗林陸将が教えてくれる。

 「それで、それまでの私の仕事は?」

 「教官を頼む」

 「みっちりと鍛えてあげましょう」


翌日、俺達は硫黄島の上空で訓練を実施していた。
昨日技量を見た俺達は不安を隠せなかったので、
アスラン達を手分けして訓練させる。
俺達やババ一尉はベテラン組の訓練を、マユラ達
には訓練期間が短い連中の面倒を見させた。

 「ほらほら、相羽二尉。後ろに目をつけないと」

M−1でレップウの後ろに周りこんでロックオン
をかける。

 「はい、今日で死亡6回目」

 「高橋二尉、俺に格闘戦を仕掛けるの?」

ビームサーベルを抜いて、速攻で袈裟切りにする。

 「技量に差がある相手に格闘戦は挑まない。
  これは基本でしょ。射撃を続けなさい」

 「太田二尉、射撃の制度が甘い。後でOSを
  調整し直す事」

コンマ数秒でロックオンをかける。

 「佐藤二尉、ロックオンを外された後の反応が
  遅い。素早くロックオンをかけなおす」

佐藤二尉のレップウの周りを移動しながら何回も
ロックオンをかける。

 「石原一尉、かかってきな」

俺のM−1と石原一尉のレップウはビームサーベル
で切り結ぶ。 

 「やるね、石原一尉」

 「全然、余裕が無いんですけど」

 「俺は片手しか使わないからガンバレ」

 「行くぞ!」

石原一尉のレップウの動きがよくなっていき、
遂に俺の手からビームサーベルを蹴り飛ばした。
そして・・・。

 「やった!勝った」

 「よくやった!では、今日は訓練終了」

俺達は訓練を終了して基地に帰還した。


(硫黄島第一滑走路)

ここは、硫黄島にある地上滑走路の内の一本である。
この島には他にも多数の滑走路や地下格納庫、
モビルスーツ発進口が設置されていて、俺も全部は
把握していない。
と言うか、捕虜になった時の事を考慮して教えられて
いない。

 「石原一尉、腕をあげたね」

 「ありがとうございます。カザマ隊長」

 「堅苦しいのはやめてよ。俺は年下だし」

 「ですが、教官殿です」

 「俺は自衛官じゃないし」

 「わかりました。いや、わかったよ」

 「そう、それでいい」

彼は24歳で一尉の地位にあるエリート士官で
あり、戦闘機のパイロットからモビルスーツに
転向してからもその技量を認められている。
そして、彼はあの石原総理の息子でもある。

 「しかし、歴戦のパイロットの実力って
  凄いんだな。自衛隊でカザマに勝てる
  パイロットは存在しないだろうな」

 「かもしれないけど、その時は集団で叩き
  のめせばいいんだ」

 「しかも、俺よりよっぽど士官らしい」

 「実戦を経験すると良くも悪くもドライに
  なるんだ」

 「カザマ、お前日本に帰ってこいよ。お前が
  上官でも誰も文句は言わないだろうし」

 「父上と同じ事を言うんだな。親子でそっくり
  だよ」

 「俺は本気なんだけど」

 「俺の第一の祖国はプラントになってしまったんだ」

 「残念だな」

 「それに、聞いてるんだろ。俺の屈折した
  少年時代を」 

 「まあな」

 「さて、湿った話は終わりにして飯にしよう。
  残念ながら飯は自衛隊の方が上だ」

 「和食だからだろう」

 「ああ、そうだ」

敵艦隊の来襲まで後3日。
俺達はそれを忘れるかのように毎日を楽しく
過ごしていた。
実戦さえなければ、モビルスーツに乗る事は
俺にとって最高に楽しい事だ。
多分、ほかのパイロット達もそう思っている
に違いない。

そして、運命の日が訪れる・・・。


(決戦前日、太平洋艦隊旗艦フランクリン・
 ルーズベルト)

太平洋艦隊はパールハーバーを出航後、グアムを
中継して硫黄島に向けて進んでいた。
後、丸1日で敵艦隊の攻撃範囲に入るのだ。

 「さて、明日はいよいよ決戦だな」

スプルーアンス大将がしみじみと述べる。

 「自衛隊の艦隊の指揮官はイトウ長官と
  ヤマグチ長官です」

マクモリス参謀長が発言する。

 「太平洋戦争再びか。今度も我々の勝ちだがな」

 「ええ、負けはありえません」

 「唯一の懸案はモビルスーツかな」

 「328機のモビルスーツですよ。新型機も投入
  されていますし、大丈夫ですよ。自衛隊に
  新型の量産機が確認されましたが、コストダウン
  したストライクダガーに近い機体のようです。
  数でこちらの勝ちです」

 「ならいいんだが」

 「ハルバートン少将に任せましょう」

 「そうだな。ところで、ジブリールの部隊は
  どうなっているんだ?」

 「さあ?お気になさらなくてもいいと思い
  ますが」

 「邪魔にならなければ問題は無いか」

 「そうですよ」

2人の会話は終了した。


(特務艦、ピースメーカー)

退役した軽空母を改装した艦内には、新型
モビルスーツが満載されていた。
先日、パナマで生き残ったメンバーに補充がされて
いて戦力はそれなりに整っていたが、チームワーク
は最悪のようだった。

 「あーあ、かったるいな。また仕事かよ」

カラミティーのパイロットオルガ・サブナックが
だるそうに言う。

 「しょうがないだろ!仕事なんだから」

レイダーのパイロットクロト・ブエルが反論する。

 「おっ、珍しく真面目な一言」

緑色の短髪の男、スティング・オーグレーが茶化す。

 「新入りのくせにうるさいんだよ」

 「威張れるほど先輩でもないだろ」

2人は口喧嘩を始める。

 「くっだらねーな」

水色の髪のアウル・ニーダが捨て台詞を吐く。

 「ねえ、スティング。お腹がすいた」

金色のボブカットの少女、ステラ・ルーシェが
スティングの軍服を引っ張る。

 「ここは、保育園なんですか?」

イレブン・ソウキスがイアン艦長に尋ねる。

 「俺に聞くなよ・・・」

この艦の艦長にされた彼が一番不幸であるよう
だった。

 
(ドミニオン艦内)

今回の艦隊編成で、この艦はモビルスーツ運用艦隊
の旗艦に指定されていた。
ハルバートン少将はコープマン准将と共にブリッジ
につめている。 

 「明日はいよいよ決戦だ。ストライクダガーの
  飛行パックは間に合ったし、フラガ少佐と
  モーガン大尉の新型機も間に合った。
  幸先がいいな」

 「ええ、そうですね。後は行くのみです」

 「しかし、我々は正しいのでしょうか?」

ラミアス少佐が疑問を述べる。

 「日本は中立国になりたかったみたいだが、
  結果として追い込んでしまったからな」

ハルバートン提督がそれに答えた。

 「ですが、日本の石原総理は日本独自の道を
  模索していました。開戦は避けられなかった  
  のでは?」

コープマン准将が反論する。

 「かもしれないな。だが、賽は投げられたのだ。
  後は戦うのみだ」

 「ですね」

ラミアス少佐の心の中にはまたあの男と戦う事に
なるのか?という疑問が渦巻いていた。

 
(翌日、自衛隊護衛艦隊旗艦コンゴウ艦内)

 「さあ、決戦だ。各員の検討を期待する。
  昔の借りを返してやれ」

伊藤長官の声が全艦に届く。

 「機動艦隊の山口君は元気かな?」

 「はい、大丈夫です。気合いが有り余って
  います」

山口司令官から無線が入る。

 「そうか、今日は長くなるからほどほどにな」

 「ええ、ですが山本防衛長官も出撃したかった
  でしょうね」

 「あの人は政治は得意だが、艦隊の指揮はダメ
  だからな。仕方がないさ」

 「ですね」

そこまで話したところで艦内に警報が鳴る。

 「さあ、お喋りは終わりだ。本番開始だ。
  硫黄島の栗林司令に連絡。モビルスーツ隊
  発進準備!」

30分後、敵の第一波の航空機258機、
モビルスーツ隊228機からなる第一次攻撃隊
が硫黄島と艦隊上空に殺到した。


(アークエンジェル)

 「さあ、全砲門開いて。ゴッドフリートも今日
  は撃ちまくるわよ」

今回アークエンジェルは機動艦隊旗艦「アカギ」の
隣りに陣取っていた。
当然、俺達も護衛に入っている。
今回は空中戦が多いので、アスラン達は自衛隊から
供与された「センプウ」に乗っている。 
俺とオーブ組は以前と同じM−1のままである。
山口司令長官の機動艦隊は航空護衛艦「アカギ」
以下6隻とイージス艦と護衛艦で編成されていて、
航空護衛艦「ソウリュウ」と「ヒリュウ」に
モビルスーツが搭載されている。

 「作戦ではとにかく大量のモビルスーツを
  落とす。ただそれだけだ。全機体が迎撃に
  上がっているんだ。全滅させる気持ちで
  いけ!」

山口司令の激が飛ぶ。

 「イザーク、全機落としたらネビュラ勲章
  ものだぞ」

 「ヨシさん、無茶いいますね」

 「数が異常に多い。俺は今日は修羅になる。
  俺の足を引っ張るな!」

今日は一切の情けは無しだ。降伏しなければ殺す。
ただ、それだけだ。

 「さあて、敵が見えてきたぞ」

敵の攻撃隊が機動艦隊に向かってくる。
敵の本命は硫黄島基地らしい。
こちらには全体の三分の一程度しか来ない。

 「友永一尉、攻撃機は任せる。小林一尉、
  モビルスーツを落とすぞ!」

 「「了解!」」

こちらに向かってくるモビルスーツ隊の先頭に
見慣れないモビルスーツが見える。

 「隊長!データによると、レイダーと呼ばれる
  機体が4機とロングダガーと呼ばれる機体が
  8機です。残りは飛行パックを搭載した
  ストライクダガーです」

シホから正確な情報が入る。

 「アークエンジェル組は新型機を迎撃!」

アスラン、イザーク、ディアッカ、俺がレイダー
に残りはロングダガーに向かっていく。

 「鳥型のMAか。いや変形するから
  モビルスーツか」

 「へっ、殺してやるよ!」

無線から少年の声が入る。
俺よりも若い。アスラン達より若いか?

 「ちっ、鳥型だと素早いな」

レイダーの攻撃をかわしながら性能を見極める。

 「技量はたいしたものだが、実戦経験が伴わ
  なかったな」

俺はレイダーの背中に乗り移り、引き抜いた
ビームサーベルを突き立てた。

 「なっ、強い!」

ビームサーベルは動力部を貫き爆発する。

 「かわいそうだが、情けは無しだ」

 「「「アウル!」」」 

その後、俺はジュリを追いかけていた
ロングダガーを狙撃して撃破した。

 「ジュリ、大丈夫か?」

 「助かりました」

間違いない。ロングダガーの動きは
コーディネーターだ。

 「オーブ組、4機でまとまれ。
  相手はコーディネーターだ」

 「「「「了解!」」」」

まとまったM−1を狙いにきたロングダガーを
ニコル、ラスティー、シホが狙い打ちして
撃破していく。

 「よーし、どんどん落とせ!こいつらが要だ。
  後は、センプウ隊に任せろ!」

センプウ隊が一機落ちる間に、ストライクダガーが
3機以上落ちていく。

 「そんなばかな。何で、コックピットへの攻撃
  が弾かれる?」

センプウのコックピット周りにはラミネート装甲
が採用されているので、正確な一撃ほど弾かれて
しまう。
シールドも光波シールドなので全ての攻撃を
弾いてしまう。

 「よし、その調子だ!」

山口司令長官が激を飛ばす。
航空機隊は機動艦隊を攻撃するが、航空護衛艦
への被弾はまだない。

 「航空護衛艦が無事なら問題は無い。
  護衛艦隊、身を挺して守れよ」


(硫黄島要塞)

 
残り三分の二の攻撃隊を迎え撃つのは台湾艦隊と
ザフトのモビルスーツ隊と基地守備隊であった。

 「敵の攻撃は派手だな。安普請なんだから
  遠慮しろよ」

栗林陸将が文句を言う。

 「そんな事を言っても敵は遠慮してはくれま
  せんよ。大丈夫です。後少しで攻撃は終了
  します」

参謀の予言どおり、10分ほどで攻撃が止む。

 「さて、優秀な参謀どの。第二派の攻撃は
  何分後かな?」

 「30分後くらいですね」

 「モビルスーツに補給をしておけよ」

 「了解です」

(護衛艦隊旗艦「コンゴウ」艦橋)

 「さて、戦果と損害の集計は終わったかね」

伊藤長官が参謀に尋ねる。

 「報告します。護衛艦6隻とイージス艦(サヌキ)
  が沈没しました。台湾艦隊は駆逐艦3隻が沈没。
  そして、ザフトの潜水艦は潜航中で被害は
  ありませんでした。航空機の損害は88機です。
  モビルスーツは35機が落とされています。
  ですが、パイロットは64名が救助されて
  います」

 「敵の損害は?」

 「航空機が187機とモビルスーツが131機
  が確認されています」

 「次が勝負だな」

 「ええ、そうですね」

 「司令、第二派接近中!」

再び、戦機は熟しつつあった。

(アークエンジェル)

 「M−1の損害がひどいな」

 「稼動機2機です」

エイブス班長の報告が入る。
フェイズシフト装甲でない手足を狙われて
多数被弾してしまったのだ。

 「よし、マユラ。アサギとジュリを連れて硫黄島
  にセンプウを取りに行ってこい」

 「わかりました。急いで行ってきます」

 「敵の攻撃が始まったら、硫黄島で戦ってろ。
  指揮はマユラが執れ」

 「えっ、私がですか?」

 「ああ、頑張れよ。上手くやったら褒美を
  出してやる」

 「了解です。頑張ります」

 「敵第二派。後10分で攻撃範囲に入ります」

バートの報告が入った。

 「では、正念場だ。みんな死ぬなよ」


(10分後、アークエンジェル周辺)

再び、敵攻撃隊が接近してくる。
先ほどのレイダーが3機、ロングダガーも2機
が出撃してきた。

 「またかよ。アスラン、イザーク、俺で相手を
  する。残りの連中はロングダガーを落とせ」

 「「「了解!」」」

俺は再び、レイダーと向かい合う。
このパイロットはMAとモビルスーツへの
変形を繰り返して多彩な攻撃をかけてくる。

 「ちっ、さっきの奴より腕は上か」

 「一応、シャニとアウルの仇を討ってやるよ」

戦いは長引き勝負がつかない。

 「アスラン、前のようにキレて強くなれ!」

 「そんな事を言ったって」

イザークがアスランを挑発しているが効果はない
ようだ。 

 「本当にうざいな」

こいつは戦いは上手いが、遊びでやっているようだ。
腹が立ってしょうがない。

 「ええい、一か八かだ!」

少し隙を見せると、レイダーは鉄球を投げてきた。
俺はそれを直前で避けてビームサーベルで
ワイヤーを切りつけた。

 「ばかな、ありえない」

驚いている隙に右腕も切り落とした。 

 「ちきしょう。撤退だ!」

俺が相手をしていたレイダーが撤退する。

 「よし、バランスが崩れた」

俺はイザークが対戦していたレイダーの後ろに
周りこんでから、ビームサーベルを突き立てる。

 「そんな、バカな」

 「悪いな。戦争なんでね」

レイダーが爆発する。

 「イザーク、モビルスーツを一機でも多く
  落とせ!」 

 「了解です」

 「ちくしょう!よくもスティングを!」

最後のレイダーがビーム砲を撃ちながら
突撃してきた。

 「感情的になっていて動きが読み易い」

レイダーを蹴り飛ばす。

 「よし、後少しで」

一瞬の油断が隙を生んでしまった。
ありえない方向からビームが飛んできて
右腕をビームライフルごと吹き飛ばす。
ストライクダガーの流れ弾が偶然、命中
したようだ。
戦場で一番怖いのは殺気のない一撃で、
どんなエースやベテランでも避けようがない
からだ。 

 「今だ!死ね!」

蹴り飛ばしたレイダーが再び突撃をかけてきた。

 「やられてたまるか!」

シールドでビームを弾きながら接近して、機体の
隙間にシールドを差し込む。
スピードを出していたレイダーが軋んでイヤな音
がする。
だが、勢いが止まらないレイダーの先端部分が
フェイズシフト装甲の限界を超えて突き破り
コックピットの左脇に突き刺さる。
破片が飛び回り、肩に深い傷が出来て出血する。
更に、コックピットに警報音が鳴り、機体の色が
落ちてしまう。

 「ちきしょう!電力の供給が断たれてしまった」

相手のレイダーもパイロットに異常があるらしく、
動きが止まっている。

 「まずい、推力を稼がないと」

2機のモビルスーツが下に落ちていく。

 「このままでは墜落死だ。ええい、一か八かだ」

海に落ちる瞬間、最後の推力を噴かして衝撃を
和らげる。
賭けは成功して、思ったほどの衝撃は無かった。

 「さよならだ。M−1」

俺は機体を脱出して海に飛び込む。
モビルスーツの沈没に巻き込まれたら溺れ死ぬ
からだ。

 「あれは、敵のパイロットか?」

ノーマルスーツを着た少年らしき人物が海に
浮いている。
脱出したところで再び気絶したようだ。

 「捕虜にすれば情報が取れるか?」

俺は肩の出血を気にしながらパイロットの方へ
泳いで行き、抱きかかえた。

 「目を覚ますなよ」

片手に銃を持ち、もう片手で捕虜を抱きかかえ
ばがら海を漂っていると、アスランが救助に
きてくれた。

 「助かった」

アスランは高度なテクニックで機体を浮かせながら
俺達を救いあげてアークエンジェルに帰艦する。
だがこいつは・・・。

 「女の子だな」

胸のふくらみを見るがぎり女性パイロットの様だ。

 「こちら、カザマ。捕虜を一名捕らえている。
  警備兵を回してくれ。それと医務室の用意を」

格納庫でアーサーさん達に命令を出した。
数分後、俺と捕虜は医務室に向かう。
俺は肩の傷を縫合してもらい、捕虜は安定剤を
打たれてベットに縛り付けられる。

 「あれ、この子女の子ですね」

軍医がパイロットスーツを脱がせながら言う。

 「何か変態医師みたいですよ。捕虜は捕虜
  です」

 「変態はひどいな。わかりました。
  女性兵に面倒をみさせますよ」

 「監視は怠るなよ」

 「了解です」

ベットに横たわる少女はまだ14〜5歳くらい
だろうか?

 「戦争ってむごいよな」

少しやるせない気分になった。
だが、まだ硫黄島の攻防戦は終了していない。
我々は無事、日本を守り通せるのか?
それは誰にもわからなかった。

 


        あとがき

最近、設定に関しての指摘を受ける事があるの
ですが、指摘されると「なるほどそうなんだ」
と感心してしまいます。
所詮、1回しか見たことないのでこんなものです。
わからない用語や人名はSEEDのホームページ
を見ていますが、わからない部分は適当に想像
して書いています。
ssなんで勘弁してください。
ではまた今度。 

 

          

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