静まり返る森の中、微かに響く荒い息遣いが二つ。
「…はぁ…はぁ…生きてるかしら、神城。」
「そっちこそ……生きてるのか。」
少し離れたところから皮肉混じりの言葉を交わす二人。
互いの傍には、真っ赤になって動かない剣歯虎の死骸。
沙弓側の剣歯虎はその特徴たる牙を叩き折られ、内臓を打ち抜かれたのかどす黒い血を吐いて倒れている。
凛の傍らの剣歯虎は、その首を切り落とされ、体とは別の場所に転がっている。
「クゥン……。」
若干疲れた声を上げる白、その足元には首元を咬み裂かれた剣歯虎。
美しいまでの白い白の体毛が、返り血で赤く染まっている。
「まったく、和樹とだったらここまで苦戦しなかったわ…。」
脱力した身体を奮い立たせ、少し砂で汚れたその長い髪をかき上げる。
「ふん、それはこちらの台詞だ…。先輩とならもっと上手くやれたものを…。」
沙弓の言葉に苛立ち混じりで返す凛。
二人とも既に仕事としてこういった“荒事”には慣れているので、剣歯虎達を殺したことに対して気負いはしていない。
それでも、やはり黙祷してしまうのは彼女達の優しさ故か。
生きるため、守るため。その為に殺し殺されることすらある…。
平和と謳われていたとしても、その裏では極当たり前の現状。
「……和樹が居れば、殺さずに済んだかしらね…。」
「かも…しれないな…。」
もう一度、剣歯虎達に黙祷し、佇まいを直す二人。
いくらそれぞれ手誰である沙弓と凛とは言え、剣歯虎達相手に無傷とはいかない。
沙弓は服があちこちボロボロ、攻撃の際に左腕も負傷している。恐らく重度の打撲だろう。
凛もあちこち爪で切り裂かれた跡が見受けられたが、自己治療魔法で傷跡は塞がっている。
確かに相手は狂暴かつ強力な剣歯虎。だがこの二人と白であればもっと楽に倒す事は可能だった。
二人ともそれ位の技量は有している。
が、二人の不仲、それも先祖から続く家同士の遺恨がそれを駄目にした。
囲まれた二人と白に襲い掛かる剣歯虎達。素早い動きでそれを回避し、各個撃破に移ってしまったのだ。
ここで協力して戦っていれば、沙弓が強力な補助戦闘スペルなどを使用する事ができたかもしれない。
だが、互いが互いに張り合っていた為に、協力の“き”の字すら浮かばずに戦う事に。
白はそんな二人のサポートだけで手一杯になり、結果苦戦を強いられたのだった。
ここにかおりか和美が居れば、拳骨か張り手でも二人に放っていただろう。
『命が掛かってる戦いで、馬鹿な意地張ってんじゃない!!』とでも言いながら。
二人も頭ではそれを理解している。だが、長年の確執はそう簡単に拭うことは無理だったようだ。
「……和樹、探すわよ…。」
「ああ……。」
お互い目を合わさずに歩き出す。
その姿を見て、白は己が主を思い浮かべ、力なく鳴くのであった……。
「クゥ〜ン………。」
閑話その2 「凛ちゃんのお料理と女王様のご褒美!?」の3
「何、サーベルタイガーどもが…?」
「はい、あの人間の連れと思わしき女二人を相手に襲い掛かり、我々の追撃を中止しました。」
部下であり仲間である弓を持ったダークエルフの少女の報告に顔を顰める。
彼女達の態度と、彼女の容姿、雰囲気、そして衣装からも彼女がただのダークエルフではない事が窺えた。
「妙だね…だとするとあの人間の言ってることは本当だったか…?」
顎に指を這わせながら呟く。
あの人間、つまり和樹がこの場所、彼女達の寝床となっている場所へと連れて来られる最中、ずっと主張し続けた事。
自分は敵じゃない、貴方達を助ける為に来た…という、彼女達からしてみれば胡散臭い話。
彼女達は誇りあるダークエルフ、その一部族。
人数も少ない辺境の少数部族だが、それでもダークエルフとしての誇りは高い。
それなのに、強引に召喚され、さらに脂ぎった醜いオッサンの愛玩動物として提供されそうになった。
隙を見て支配を脱し、オッサンを凹して逃げ出したが、その後は黒い服を着た連中(警官です)に追われ、逃れた森の中ではちょっと違った
黒い服の連中に追いかけられ(魔法局の局員です)、挙句の果てにはサーベルタイガーなんて狂暴な連中を放ったのだ。
ここまでされて信じろという方が無理な話だ。
まぁ確かにあのオッサンに対しては少しやり過ぎたかなとは思う。
が、いきなり半裸で迫ってきたのだ、召喚獣でダークエルフでも正当防衛を主張するぞコンチクショウな女性。
それはある意味ご最も。
魔法局の職員達も、誰一人その男に同情していない。
召喚獣達には法律などが適用されないが、その代わり魔法局が定めた超法規的処置が適用される。
エルフやフェアリーなどの召喚獣の中で女性に値し、その相手に淫らな行為や行動を強いた場合、行った者と召喚した者におも〜〜〜〜い刑罰が科せられる。
因みに、もしエルフを淫行目的で呼び出した場合、それだけで懲役2年+α。実際に行為を行ったらさらに5年。
で、相手のエルフに抵抗されて殺されても文句言えないのがこの素敵な超法規的処置。
文句や疑問があっても、これは既に定められた事柄であり、覆すのはまず無理。
なにせ、相手は隣り合ったとされる世界の住人で、しかも人間よりも優れた知能と能力を有しているのだ。
怒らせたら怖いというのが偉い人の考え。実際怖いし。
最も、現在の召喚魔法ではエルフは元より、フェアリーすらまともに召喚できないのが現状。
召喚術と違い、召喚魔法は対象を“大雑把”かつ“適当”に呼び出すので、下手するとまったく違うのを呼んじゃうことすらある。
一般人が一人で召喚を確実に可能なのは、獣などの比較的知能の低い連中か、グールなどのアンデッド達程度だ。後はインセクトとか。
知能が高い連中は、それ相応の対処に対応、耐性を持っていたりする。
故に、その辺の普通の人が妖精さんが欲しい、妖精さ〜んと呼んでも呼ばれやしない。
運が良ければ召喚されてくれるかもしれないが、妖精を含めたスピリットは念や感情に敏感な種族なので邪な思いで召喚して来てくれるわけが無い。
もしかしたら、グレムリン辺りが出てきてくれるかもしれないが。
因みにグレムリンは悪魔と扱われがちですが一応スピリット、妖精だったりします。
昨今の召喚魔法で目的の相手を召喚するには、それなりの腕と知識、そして“場”が必要になったりする。
それらを一切合財無視してるのが和樹の強力な血なのだが。
それは兎も角。
別に魔法局の人たちは彼女達を捕らえて処罰しようなんて考えていない。
考えていないから山狩りなども行っていないのだし。
もしも逃げたのがキマイラとかなら、すぐさま第一種装備で武装した魔法局特別部隊と、魔法旅団が駆けつけて来るのだから。
彼女達は人を殺しちゃいないし、ただ逃げ惑っているだけなのは後藤達も十分承知しているし、殺すどころか傷つける気もない。
が、やたら過敏になっている彼女達がトラップやらで撃退してくるので、話すら出来ない。
で、問答無用に殺したりしない和樹に声が掛かったのだ。
和樹だったら何とか彼女達を助けてやれるだろうと思って。
実際、後藤は和樹に対して、送り返すなり使役するなりしてくれ、と言っている。
一言も、殺せ、倒せ、なんて言っていないのだから。
魔法局召喚獣科。彼らは日夜、人々の勝手な欲望に振り回されている異世界の友人達を救う為に戦っているのだ!
…と特番でも報道していたし。
閑話休題
サーベルタイガーの行動から、捕らえた和樹が敵じゃないのか…? と考え始めたダークエルフ。
確かに、あのお人好しそうな顔や言動から、サーベルタイガーを放つとは考えにくい。
顔も童顔でちょっと好み…――
「って違う、そうじゃないだろ私ッ」
ぶんぶか頭を振って考えた事を忘れようとするダークエルフのお姉さん。
長い艶やかな黒髪をポニーにしているので、まさに尻尾のようにそれが揺れる揺れる。
「兎に角、もう一度あの坊やから話を聞いてみるか…。確か拷問隊が軽く尋問してる筈…。」
少し離れた場所に捕らえてある和樹の下へと移動するお姉さん。
やがて、木々の先から少年の悲鳴が耳に入る。
「あぁぁぁぁぁぁ、や、止めてぇぇぇぇっ!!!」
「……あいつら、楽しんでるみたいだねぇ…。」
苦笑混じりだが、口元を三日月に吊り上げて笑うお姉さん。
ダークエルフは、エルフほど好戦的ではないが…エルフ以上に執着的で残忍な部分が大きかったりする。
この辺りがRPGにおける彼らのキャラクターに繋がっているのだろう…。
「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!?」
近づくにつれて大きくなる悲鳴。その悲鳴を心地よいと感じてしまうのはその血故か。
他のダークエルフの部族に比べ、温厚と言われているのが彼女達だが、それでもその血はやはりダークエルフのようだ。
「お前達、甚振るのも程ほどに――――って、はぁぁぁぁぁぁーーーーっ!?!!」
少年とは言え男が悲鳴を上げているのだから、よほど酷いことをされているのだろうと思っていた彼女の予想は、斜め上45度の方向で大きく外れた。
少し開けた場所で行われていた仕打ち、それは……。
「ほ〜ら、ぱふぱふぱふ、ぱふぱふぱふっ♪」
「ほらほらどうした、お姉さん達のオッパイがそんなに気持ちいいのか? うりうり♪」
「きゃ〜ん、真っ赤になって泣いちゃって…可愛い〜〜っ☆」
「いやぁぁぁぁぁ、止めて、お願いだから止めてっ!!
僕こういうのはメーなの、メーなんだってばぁぁぁぁぁぁっ!!!」
ぱ ふ ぱ ふ 天 国 ! !
いや、悲鳴上げてるから和樹にしてみれば地獄か? まぁ兎も角。
三方向から豊満なチョコレート色のマシュマロに押され、いやいやと泣き叫ぶ和樹。
その顔は真っ赤で、今にも鼻血が吹き出しそう。
実は和樹君、昔から某ゲーム狂などに迫られたり、某保険医妹から誘惑されたりしていたので、そちらには耐性がある。
あの玖里子の誘惑にも、鋼の精神で平然としていたのだから。
だがしかし、流石の二人も直接的な行動はしなかったのか、こういうすんげぇ直接的な事はてんで駄目駄目な和樹君。
早い話、親父趣向的な事されるといつものマイペースもぶっ飛んでちょっぴり幼児退行しちゃったり。
和樹のマイペースを崩すなら、ぱふぱふなりノーパン喫茶なり女体盛りなりで迫れば良いのだ。
まぁ、そこまである種のアブノーマルな迫り方なんぞ誰もしないだろうが。
何だかんだで玖里子も純情だし、かおりもそう。紫乃は…ぱふぱふ位ならやりそうだ。
因みに和樹君、胸に抱きしめられる、抱きつかれる等は平気らしい。
ぱふぱふという行動から駄目なようだ。
で、三人のダークエルフのお姉様達に、本当の意味で可愛がられている和樹君。
元々純情な彼だ、真っ赤になっても仕方がないし、マイペースも発動せず。
ある意味的確な拷問である。世の男共の血の涙が目に浮かぶが。
そも、彼女達の格好からして和樹の目には毒だ。
かおりの部屋での服装もかなり目の毒だが、彼女達はその次元が違う。
だって、三人がそれぞれ赤黒白のボンテージ姿なんだもの。
艶のあるお姉さん系が赤のボンテージ。装備は鞭と蝋燭。スタンダードとでも言うのだろうか。
勝気な姐さん系が黒いボンテージ。装備は鎖と釘。一番攻撃的だ。
そしてちょっとおっとり系が白のボンテージ。色もそうだが装備が鳥の羽つきナイフというのがまた珍しい。くすぐるのか?
どうでもいいが、褐色肌に白って目立つなぁ…とか頭の隅で考えてるお姉さん。
現在軽く現実逃避。
――――何と言うかこう、誇りあるダークエルフのあれが、ね? かなり軽くなったと言うか、その、なぁ?
あんまりにもマヌケな光景に、軽く眩暈すら感じているお姉さん。
一応部族のトップらしい。
「あら、女王様。」
「どうかしたんですか?」
「あ、あのねぇ…どうかしたじゃないわよ…。何してるんだまったく…。」
何とかペースを何時もの自分に戻そうと頑張るお姉さん。女王様らしい。
いや、そっちの意味じゃなくてね?
「だぁってぇ、この子こうするとすっごく反応するんですもの〜っ」
おっとり系がムギュと和樹の頭を抱き締める。
さらにムギュムギュと押し付けるもんだから和樹君のお顔は茹った蛸の如く赤い。
縛られ、手ごろな岩の上に座らせられてる和樹。
この光景を的確に表すなら、経験豊富なお姉様達に遊ばれる純情少年と言った所か。
「女王様もやります? 楽しいですよぉ〜。」
「胸の谷間に埋めて挟むのがコツです。」
「え、あ、そ、そうだな…―――――って、違う、そうじゃないッ」
進められて思わず胸に挟みそうになる女王。意外と流されやすそうだ。
もしくはハイテンションに弱いのか?
「ちょいとこの人間に話があるから、向こう行ってておくれ。」
「は〜い。」
一応女王の言葉なので、渋々ながら従う拷問隊。
おっとり系が、「また直ぐに遊んであげるね〜(ハート)」と言い残るすと、和樹がブンブンと頭を横に振った。
……よっぽど(ある意味)怖かったんだな和樹…。
「まったく、部族の中でもあの子達だけは別格だねぇ…。」
苦笑混じりに呟き、和樹の正面に座る女王。
真面目な視線を向けると、和樹がビクっと震え…。
「い…いじめる?」
「いじめないよ〜……って何やらせるんだいっ!」
ポカッと頭を叩く女王。何気にノリが良い。
何のネタか彼女には不明だが、どうもノリ突っ込みしないといけないと感じたらしい。
「まったく、アタシの性格ならむしろいじめてやる〜の方…ってアタシは何を言ってるんだい?」
「いや、俺に聞かれても…。」
ど〜も妙な電波に支配されているように思われるこの空間。
原因はあの三人のぱふぱふかもしれない。
「まぁいい。改めて聞くが、お前はアタシ達を捕まえに来た訳じゃないんだったね?」
「そうです。俺は魔法局から依頼されて、貴方達を元の世界の元の場所に送還する為に来たんです。サーベルタイガーも知りません。」
話がシリアスに戻ったからか、途端に表情を引き締める和樹。
その表情を見て女王も、「(へぇ、中々良い面構えじゃないか…これもこれで中々…って違う違う。)」とか考えていたり。
ど〜もこの女王、思考にムラがあるようだ。
「コホン…でもねぇ、アタシ等は実際にサーベルタイガーを嗾けられた。お前じゃないなら、お前の仲間かもしれない。」
「俺の仲間に、召喚術や召喚魔法を使える人は居ません。魔法局も俺に一任してるんですから俺が要請しない限り応援も送りませんよ。」
そも、後藤達は和樹を信頼しているので余計な事はしないし。
「ってことは、お前等以外にアタシ等を狙ってる奴が居るとでも…?」
「考えられるとすれば…だけど。」
和樹の返答。
それに対して軽く頷くと、女王は立ち上がる。
「嘘は言っていないね…だけどね、アタシ等はそう簡単に人間は信じない。それはお前も分かってるだろう?」
「ええ、まぁ…。エルフの人達も頑固でしたし…。」
「はっ、あんな潔癖で融通の利かない連中と一緒にするんじゃないよ。アタシ等はそこまで馬鹿じゃないからねぇ。」
その言葉と共に歩き出す女王。
「もう少し待ってな。サーベルタイガーどもを嗾けた奴が見つかったら、お前は解放してやるよ。」
「ちょ、危険だって、相手は召喚術士もしれないんだしっ」
女王の言葉に慌てる和樹。
そんな和樹の姿に、内心でお人好しだねぇ…と苦笑する女王。
だがそれを外には出さずに振り向く。
「アタシを誰だと思ってるんだい?
ダークエルフ18氏族が一つ、黒峪の一族が族長、ミッドナイト・クィーンの シェリス様だよ。
よ〜く覚えておきなっ」
そう言って、女王らしく威風堂々と去って行った。
暫く唖然としていた和樹だったが、途端に慌て始める。
「冗談じゃない、ミッドナイト・クィーンだってっ!? 特A級じゃないかっ!!」
特A級。それは、ある一定条件によってランクに入る召喚獣の事。
特の文字が付く召喚獣は、その存在は須らく特別な存在である。
例えば、向こうの世界でも極少数しか存在しない召喚獣や、存在自体がこちらの世界で神格化されている者たち。つまり神話の神。
または、ミッドナイト・クィーンのように、王または女王のようなその種を纏める立場にある存在。
そういった者達を、特〇級と呼び、対応や扱いには厳重な注意が必要なのだ。
シェリスと名乗った彼女は、18氏族が一つと言った。
つまり、18あるダークエルフの部族の、一つを纏め上げている存在なのだ。
たかが一部族の女王と侮る事無かれ。
もし彼女の身に何かあれば、彼女の部族とそれに連なる全ての者が敵になると言うこと。
相手は異世界の住人と思うこと無かれ。
向こうからこちらへ呼べるのだ、そして向こうからも呼ぶことが可能と言われている。
つまり、決して遠い世界ではないのだ。
向こうの世界の技術レベルは低い。が、魔法におけるレベルはべらぼうに高いのだ。
それこそ、人が扱えない大魔法すら向こうの世界では普通に存在する。
「まったく、彼女達呼び出した男は何考えてるんだ、一部族とはいえ、女王を召喚するなんてッ!……召喚する?」
ピタッと和樹の動きが止まった。
落ち着いて考えると、ちょっとおかしい。
彼女達を召喚したのは、報告ではただの業突く張りの成金社長。
風椿のように“力”でのし上ったのではなく、汚いやり方で財を築いた男だ。
魔法に関しては、回数が六十回程度。愛玩動物として召喚獣を呼ぶ位だからそちらの知識も皆無の馬鹿だろう。
そして、ここで疑問。
召喚魔法は“大雑把”かつ“適当”に相手を召喚する。
で、一般人では獣かアンデッド、蟲が限界。
“儀式”を使用しても、精々妖精か、呼べて平凡なダークエルフが良い所。
ミッドナイト・クィーンなんて高位にして高貴な存在、そうそう呼べるものではない。と言うか不可能。
何せ女王以外に、拷問隊と魔弾部隊も召喚しているのだから。
葵学園の生徒クラスが、数名と“儀式”でやっと召喚できるレベルだ。
と言うことは、彼女達を召喚したのは社長ではなく…。
「……別の誰か?」
そして、森に放たれたサーベルタイガー。
「召喚術士、もしくは召喚魔法使いが居る…ッ」
焦る和樹。
相手の目的は不明だが、考えられるとすれば、彼女達の口封じ。
魔法局に捕まれば、軽い調書と言うか話くらいは当然聞かれる。
その時に、召喚した人間の話になれば当然不味い訳だ。
超法規的処置にもある、淫行を行おうとした者と“召喚を行った者”に、重い刑罰と…。
社長が召喚した人間の事を話さなかった(と言うか書かなかった)のは、その召喚者に狙われないようにと考えられる。
しかもこの社長、嘘ぶっこいている。
報告であった召喚されたダークエルフは5人と供述しているが、実際には拷問隊3名、魔弾部隊3名、そしてミッドナイト・クイーンで合計7名だ。
刑罰に換算すれば、単純計算で2×7=14年、さらにミッドナイト・クイーンという高貴な存在に失礼かました罪で軽く20年は行くだろう。
+αを考えれば、下手すると30年とか行くかもしれない。
召喚獣に関する犯罪には、再発や模倣防止の為にかなり重い罪が科せられる。
そうならない為に、社長は嘘を話した…というか書いたのだろう。
「あれ、でもそれだと彼女達が捕まったらバレるよな…。と言う事は…。」
――――召喚者がサーベルタイガーを放ったのは、社長の依頼…?
縄抜けしつつも考える和樹。
確かにそう考えると辻褄があうように思える。
「そうなると、ますます彼女達が危ない。ああもう、ちょ…なんなのさこのマニアックな縛り方は〜〜ッ!!」
かなりアブノーマルな縛り方に更に焦る和樹。
焦っている為か、誰か門から呼べばいいのに気付かない。
マゴマゴしながらそのマニアックな縛りから抜け出そうとする和樹の耳に、ガサガサという草を掻き分ける音が聞こえる。
「(不味い、またあの人達ッ!?)」
ひ〜っ、と涙目になって慌てる和樹。
男の願望、夢のぱふぱふ天国は、和樹にしれみれば重い罰ゲームレベルのようだ。
なんて罰当たりな(←?)
「白、この先で良いのね?」
「バウッ!」
微かに聞こえた声と鳴き声。
それは、自分の仲間の声であり、間違いなく救いの手であった。
やがてガサガサと草が掻き分けられ、刀に手をかけて警戒している凛と、沙弓、そして白が現れた。
「っ!? 先輩、ご無事ですかっ!!」
縛られて動けない和樹の姿を見て、凛が一目散に駆け寄ってくる。
それに続く沙弓と白。
二人と一匹は、姿はボロボロだが目に見える酷い怪我はない様子。
その事に安堵しつつも、凛に縄を切って貰う和樹。
「ふぅ、助かったよ…。」
「ご無事で何よりです、先輩。」
「でもらしくないわね、和樹が捕まるなんて…。」
どこか酷い怪我でもしてるのか心配になったのか、沙弓があちこち触ってくる。
それに苦笑して大丈夫だと告げる。
「うん、そんなに過激な…いや、ある意味過激だけど…と、兎に角、話が通じそうだったから特に抵抗しなかったんだけど…まぁお陰でちょっと大変な目に遭ったけど……な、何とか話は通じそうだよ、うん。」
言葉の途中途中で彼女達にされたイヤンな責めを思い出して赤くなる和樹。
まだマイペースは復活していないようだ。
「……和樹、何かされたの…?」
ちょっと挙動不審な和樹の姿に、目を細めつつ疑問を投げ掛ける沙弓。
「へっ、べ、別に何もっ!?」
「……先輩、その頬にある赤い痕はなんですか……?」
チャキッ…と刀に手をかけながら鋭い視線を向けてくる凛。
「うぇっ!? あ、あはは、どこかでぶつけたかなぁ〜…。」
と視線を逸らせながら空笑いをする和樹。
その痕、世に言うキスマークは、あの拷問隊のおねえさん系につけられた痕だ。
そんな事が知られれば、目の前の少女達がどうなるか、鈍感な和樹でも直感で危機を感じられる。
「そ、それよりも二人は大丈夫だったの、何かボロボロだけど…。」
「……えぇ、何とかね。」
「剣歯虎を一匹逃がしましたが、こちらは無事です。」
まだ疑わしげな視線を向けつつも和樹の言葉に答える二人。
白は己の主に擦り寄ってご満悦。
「そうだ、剣歯虎、サーベルタイガー。どうも俺達以外に彼女達ダークエルフを狙ってる奴が居るみたいなんだ。」
「…やっぱり、和樹もそう思う?」
「こんな森に絶滅種が生き延びていたなんて考えられませんしね、やはりそうでしたか…。」
三人それぞれが考えていた事が一致した。
それならば、三人の次の行動は決まっている。
ダークエルフ達を狙う奴を捕まえ、その上で彼女達を助ける。
―――ヴゥゥゥゥゥンッ! ヴゥゥゥゥゥゥンッ!―――
と、唐突に何かが振動する音。
それは、捕まっていた和樹の傍らに置かれた荷物の中から。
捕まった際に、彼女達に取り上げられた和樹の装備だ。黄金の剣もちゃんとある。
ゴソゴソと荷物を探ると、そこには振動する携帯電話。
着信画面には、「魔法局:後藤」と表示されていた。
「後藤さんからだ…はいもしもしっ?」
『おぉっ、式森君か!? よかった、無事なんだなっ!?』
電話の先からする後藤の声は、和樹の無事を喜ぶ声だった。
「どうかしたんですか、そんなに慌てて…。」
『それなんだが、君達サーベルタイガーと遭遇しなかったか?』
和樹のマイペースな言葉に安心したのかテンションが若干下がる。
和樹のマイペースがやっと復活してきた。
「しましたよ。」
『何っ!? したのかっ!?!?』
またテンションが上がった。
「えぇ。正確には沙弓と凛ちゃんがですが。二人とも無事で、一匹…? 一匹だけ逃がしちゃったそうですけど。」
電話しつつも沙弓に確認をとる。和樹の言葉に、沙弓が右手で指を4本立て、左手で1本立てる。
和樹と沙弓が考えたジェスチャーで、これは4匹居て一匹逃がしたを意味しているそうな。
『そうか…いや、実は先ほど森の入り口でウロウロしている不審人物を捕らえたんだが…そいつが召喚魔法を使ったみたいでな、その場に簡易儀式の跡が残ってた。で、“軽く”問い詰めたら森に召喚獣を放ったと自白した。逃亡してる召喚獣もこいつが社長に依頼されて召喚したそうだ。』
『この野郎、手間かけさせやがってっ!!』
『この仕事でこちとら休暇潰れたんだぞ、美紅ちゃんとのデートどうしてくれるっ!!』
『俺達の管轄で淫行召喚たぁふてぇ野郎だっ!!」
『謝れっ、都会から遊びにくる息子夫婦と孫に美味しい山菜をご馳走しようとしたのに山に入れなかった西河 辰二郎さん(72歳)に謝れッ!!!!』
『ぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁ………――――っ!!』
「…あの、何か不穏な音とか聞こえるんですけど…。」
『ん? あぁ、ちょっと犯人が暴れてなぁ…なぁに、“かる〜く”お仕置きをなぁ…くくく…っ』
唐突に声が黒くなる後藤さんに、流石の和樹も苦笑い。
電話の置くからは、何か叫んでいらっしゃる魔法局の局員さんたちの怒声と、色々な物音。
ドカッとかバキッとかゴスッとか。
あと何か耳障りな悲鳴みたいなの。
『で、だ。犯人の話だと、サーベルタイガーを6匹と、ワー・タイガーを召喚したらしいぞ。』
「ワー・タイガーまで!? その人割と優秀ですね…。」
『まったくだ。ただ、完全な支配は出来ないらしくてな、相手に簡単な催眠…あいつを殺せとか、そういった類しか出来ないそうだ。』
「だからダークエルフ達は支配から逃れたのか…やっぱり優秀じゃないですね、その人。」
『俺もそう思う。ただ厄介なのがサーベルタイガー達だ。あいつらは獣だから催眠が効きやすい、だから…ダークエルフか、彼らを獲物として認識させて森に放ったそうだ。最悪なのが、放った後にラインを切ったらしくてな、こっちからじゃ如何する事もできん。』
ラインとは、召喚者と召喚獣の間に結ばれる擬似精神ラインの事で、召喚者はこれを通じて召喚獣を操ったり、命令を下したりする。
当然和樹も召喚獣達とラインを繋いでいる。
このラインを切るという事は、召喚獣を本当の意味で自由にする事であり、一度切ったらもう一度結ばない限り召喚者の言う事は聞かない
し送還する事もできない。
つまり、その男はサーベルタイガー達を完全に“捨て駒”にしたのだ。
「軽く殺意湧きました、殴っといて下さい。」
『おう、渾身の力込めて殴っとく。で、どうする、もし大変なら上に連絡して応援送ってもらうが…。』
「いえ、たぶん大丈夫です。残るサーベルタイガーは3匹、あとワー・タイガーなら何とかなるかもしれないので。」
『そうか、なら何かあったらまた連絡してくれ。それじゃ気をつけてな…おい、俺が殴る分残しとけよっ』
最後に公務員としてはアカン言葉を残しつつ、後藤からの電話は切れた。
それを確認して携帯をポケットに入れ、没収されていた装備を身につけていく。
後藤の発言は聞かなかった事にして。
「兎に角、彼女達より先にサーベルタイガー達を見つけて、無力化しないと大変だ。白、臭いは追えるか?」
「ガウッ!」
主の言葉に力強く答える白、その鼻の良さは折り紙つきだ。
「彼女達も探さないと…。」
少し焦りながらも、懐から血文字で書かれた召喚符を取り出す。
己の血を媒介に、異世界との門を開く奇跡の技。
これこそが、和樹の真骨頂。
和樹の呪文により、聖なる門が開かれようとしていた………。
「ちぃ、厄介な奴だねぇ…っ」
毒づきながらも、木の上に身を隠して敵の様子を窺うシェリス。
魔弾部隊が見つけた、全身をローブのようなモノで隠した奴を和樹の言っていたサーベルタイガーを嗾けた奴だと断定して攻撃を仕掛けたまでは良かった。
だって見るからに怪しいし、何より嫌な気配もしていたから。
だが、ローブの奴は彼女達を儀式召喚した馬鹿な魔術師ではなく……。
「グハハハハハハッ、どうしたダークエルフども、こそこそ隠れるしか能がないのかぁっ?」
毛むくじゃらの太い腕を振るい、傍に生えている木を粉砕する男。
その瞳は獰猛な肉食獣の瞳であり、顔つきやその爪も、とてもただの人間とは思えない。
「はんっ、半分獣の分際でよく言うよっ。」
「なんだとゴラァッ!!!」
シェリスの声がした木の太い幹を腕力にモノを言わせて粉砕する。
メキメキと木が倒れるが、そこにシェリスの姿は無い。
「ちぃ、どこだダークエルフどもめっ!」
「あははは、鼻は獣ほど効かないんだねぇ…正に半端者だねライカンスロープ。」
暗闇の森の中響くシェリスの嘲りの声。
例え相手が虎の血を持つ獣人、ライカンスロープであろうとも、暗闇の森は彼女達のテリトリー。
本気で隠れたら、ワー・タイガーの感覚だけでは追いきれない。
だが、シェリス達も攻めあぐねていた。
相手は強力を誇る獣人。しかもワー・タイガーだ。正面から戦えばこちらが危うい。
さらに、ワー・タイガーの周囲には、三匹のサーベルタイガー。
彼らの方が気配に敏感なので、一箇所にじっとしていると直ぐに見つかる。
逆に動き回ればワー・タイガーに察知される。
部下を犠牲にすれば、倒す事も可能だろう。
だが、それはシェリスの部族の長としての、クィーンとしてのプライドが許さない。
「ほんとに、妹に譲れば良かったよ…。」
口の中で呟く言葉と、脳裏に浮かぶ妹の姿。
先代族長の娘として生まれたシェリスだが、昔からお転婆な性格だった。
世話好きで姐御肌。それ故仲間からは慕われたが、女王としての気質とは言い難かった。
実際、ミッドナイト・クィーンが代々受け継ぐ筈の能力、【邪悪な剣舞】と呼ばれる能力を、シェリスは扱えない。
シェリスは、どちらかと言えば剣士に向いていた。
だから部族の男にも負けない剣の腕とセンスを持ってはいたが、最後までクィーンとしての力には目覚めなかった。
妹は目覚めたので、シェリスは妹にクィーンの名を受け継がせようと考えた。
だが当の妹が遠慮し、さらに部族の掟でシェリスが選ばれてしまった。
この決定を覆すには、里を出るか結婚するしかない。
結婚する気もないし、里を出る気もあまり無かったシェリスは仕方なく族長であるクィーンとなった。
姉は自信はあったが能力が無く、妹は能力はあるのに自信が無い。
彼女の妹はかなり気弱な性格なのだ。
「まったく、他人の心配までしなきゃいけないのは大変だよ……。」
シェリスはリーダーとしての素質はあるが、性格的に前線で戦うほうが性にあっている。
それは彼女自身が一番理解している。
「だから…仲間を犠牲には出来ないよ…。」
呟き、腰の剣をスラリと引き抜く。
魔弾部隊はまだ年若く経験が少ない。拷問隊は経験豊富(色々な意味で)だが、攻撃力に欠ける。
ならば、剣の自信がある自分が行くのが最善と考えた。
それは、クィーンとしては間違った、だがシェリスとしては最善の考え。
「お前達、援護しなっ!!」
「女王っ!?」
仲間の驚きの声を尻目に、木の上から暴れる人虎に切り掛かる。
それに反応したサーベルタイガーが妨害しようとするが、その身体を鞭と矢が襲う。
魔弾部隊と拷問隊の攻撃で倒れた一匹を無視し、ワー・タイガーの脳天を狙い剣を振り下ろす。
「たぁぁぁぁぁッ!!」
ザグッ!!――という鈍い手応え。
「何っ!?」
だがシェリスは驚愕した。
「はっ、やっぱエルフもダークエルフもひ弱だなぁ…ゴアァァッ!!」
ニヤリと笑うワー・タイガー。
シェリスの剣は、その太い腕に阻まれて骨にすら到達していない。
人では考えられない筋力が、シェリスの剣を完全に止めていた。
咆哮する人虎の腕に跳ね除けられて背中から木に激突するシェリス。
「がは……っ!?」
あまりの衝撃に肺の中の空気が全て押し出され、意識が一瞬霞む。
木の根元に崩れ落ちるが、それでも立ち上がろうと手足に力を込める。
「あぐっ!」
「残念だなぁ、女王さまよぅ…。」
だが、シェリスの細い首を、人虎の巨大な手が掴み、人形のように首を絞めて持ち上げる。
「がっ…ぐ…っ!!」
首を絞められながらも逃れようともがくシェリスだが、足は空を掻き、彼女の腕の三倍はあろうかという巨腕も彼女の細腕ではビクともしない。
「女王様っ!!」
「おぉっと動くなよっ!」
助けるべく飛び出そうとする拷問隊だが、人虎の言葉に動けなくなる。
何故なら、彼女達の主を盾にするかのようにして持ち上げているのだから。
「へへへ、こんな世界に呼ばれてどんな下らないことさせられるのかと思ったが…こんな楽な事とは思わなかったぜ…。」
「がぐ…っ、貴様、なぜあんな人間の言う事なんて…っ!」
これだけ悠長に喋れるのだ、精神を支配されている事は無いだろう。
誇り高いと言われるライカンスロープが、なぜこんな事をしているのかシェリスには分からなかった。
「グハハハハッ、人間なんて関係ないぜ。俺はこの世界で自由気ままに暮らすのさ、弱い連中をこの手で殺しながらなぁ…っ!!」
心底楽しそうに笑う人虎。
「…く、狂ってる…っ!」
「グハハハハハッ、仲間にもよくそう言われたぜぇっ! さぁて、そろそろこの細い首をポキッと折ってみますかっ。」
「く…っ、くそ…っ!!」
ジタバタともがくシェリスだが、人虎、いや狂った虎の腕は全く動かない。
「女王様っ、くそ邪魔だこいつらっ!!」
仲間が助けようにも、残ったサーベルタイガーが邪魔をする。
同じ虎であり、自分達より強いワー・タイガーにサーベルタイガー達は従っている。
自然の摂理の一部、弱者は強者に従うという本能に従って。
狂虎が腕に力を込める。木を一撃で粉砕する腕力だ、シェリスの首なんて一瞬で砕ける。
「(くそ…ここまでか…っ)」
霞む瞳で夜空を見上げると、そこには煌々と光る星が二つ。
いや、煌々と光って“動いている”星が二つだ。
―――あれは……。
シェリスがそれを認識した時、光る星はこちらに向かって流れてきた。
まるで、流れ星のように。
「げはっ!? な、なんだこいつはっ!」
後頭部と脇腹に流れ星が激突した狂虎は一瞬腕の力を弱めた。
その瞬間、シェリスは残る力を振り絞って狂虎の腹と顔を蹴り上げてやった。
「げほっ、げほっ、まったく…ケダモノの分際でアタシに気安く触るんじゃないよっ。」
呼吸を整えながらも、強気な発言をするシェリス。常に強気で前向きなのが彼女の性格。
「くそぉ…っ、なんだこの光るのはっ!」
狂虎の周囲を威嚇するかのように星が飛び回る。
いや、星のように見える蟲だ。
「煌々蟲…? なんだってこんな所に…。」
聖なる加護を受けたインセクトであり、昼でも明るく光ると言われている昆虫、煌々蟲。
普通ならこの世界には存在しない蟲だが、考えられる事が一つだけある。
それは…
「そこまでだ、ワー・タイガーッ!!」
お人好しな少年の存在だった。
「お前、どうして…っ!?」
「仲間が頼りになりますから。」
驚くシェリスに、和樹は何時もどおりのマイペースで答える。
頼りになると言われて、凛も沙弓も嬉しそうだ。表情はキリっとしているが、頬が赤いのがその証拠。
煌々蟲を先行させ、さらに彼らの能力である【○みちびきの光】によってここまで辿り着いたのだ。
白の鼻もサーベルタイガーの臭いを嗅ぎ付けていたので、迷う事は無かった。
「とりあえず、あいつを如何にかしてから貴女たちを送り返してあげますね。」
「それはありがたいけど…無茶だよ、あいつは普通のワー・タイガーじゃないっ」
殺戮と血に酔い痴れてしまった存在…理性は残ってはいるが、既にマッド・タイガーとそう変わらない存在となっている。
「人間めがぁ…オレ様をなめるなぁぁっ!!」
捕まえた煌々蟲を握り潰す狂虎。
その瞬間、和樹が頭を抑えてしまう。
「―――っ、痛…ッ!!」
「ど、どうしたんだいっ!?」
「反動だわ…今まで煌々蟲と視界を同調させてたからダメージが伝わったのね…っ」
今まで、シェリスたちを探すために煌々蟲の視界と自分の視界を、ラインを通じて同調させていた和樹。
それ故、煌々蟲が殺された事で繋がっていたラインから死が痛みとなって伝わってきたのだ。
召喚術による術者と対象のラインは、召喚魔法のそれよりも太く強い。それ故時に術者に大きなダメージを送ってしまう事すらある。
術者の技量と感性にもよるが、同調が大きければ大きいほど、伝わるダメージも大きくなってしまう。
「だ、大丈夫、ちょっと痛みが走っただけだから…。」
頭を軽く振りながら驚いて駆け寄ってきたシェリスに笑顔を向ける。
そして右手で、黄金の剣を構える。
「戦う前に聞いておく。大人しく向こうの世界に返る気はあるかい?」
「はっ、ありがたい話だが…ねぇな。むこうと違ってこっちでの方が自由に殺せそうだしなっ」
自分より強い存在がゴロゴロしている世界より、人間が繁栄している世界の方が彼の趣向を満たせるのだろう。
誇り高いはずの獣人は、既にただの狂ったケダモノであった。
「そう…なら容赦しない―――――沙弓、凛ちゃん…援護を。」
「分かったわ。」
「はいっ」
和樹の脳裏でレバーが描かれ、それがガキャンッ! と音を立てて切り替わる。
そして、今まで動いていなかった歯車が動き出す。
思考の切り替え。これにより、和樹の思考は戦闘方に特化する。
クリアになる思考の中、和樹は周囲の状況を瞬時に読み取る。
サーベルタイガーは二匹、一匹はダークエルフ達が抑えてくれてる。
ワー・タイガーは説得不可。サーベルタイガーも無力化は難しい。
ならば手段は一つ。
―――対・象・必・殺―――
「疾ッ!!」
黄金の剣を構えた和樹が疾走し、それに沙弓と凛が続く。
「ゴアァァァッッ!!」
狂虎が吼え、ミシミシと筋肉が盛り上がった豪腕を和樹目掛け振り下ろす。
それを、黄金の剣で受け流して懐へと入り込む。
「破ぁぁぁぁぁッ!!」
懐へ入り込んだ勢いをそのまま、黄金の剣で狂虎の胴体を切り裂く。
「ゴガァァァッ!? ギ、ギザマァァァァッ!!」
怪力の咆哮によって、既に人型の虎になっている狂虎が吼える。
力の解放と共に知能が低くなり、最終的には獣と変わらなくなるのが彼らライカンスロープの弱点。
和樹を切り裂こうと振るった左腕、だが振り上げた瞬間に凛が刀を抜刀する。
「剣鎧護法っ!!」
魔法の力によって切れ味・耐久力共に上昇した刀が狂虎の左腕を切断し、先が無くなった腕から赤い噴水が噴き上がる。
「グガァァァァッ!?!」
痛みに叫び狂う狂虎。
さらに追撃を仕掛けようとする和樹に、横合いからサーベルタイガーが襲い掛かる。
が、和樹はそれを横目で見ただけで迎撃には移らない。何故なら…
「剛牙・穿槍脚ッ!!」
サーベルタイガーの頬を狙った沙弓の鋭い槍のような蹴りがサーベルタイガーの顔の側面を蹴り抜いた。
あまりの衝撃に吹き飛んだサーベルタイガーの頬骨は完全に砕け、その特徴たる牙も根元から折れて無くなっている。
それでも狂気を孕んだ瞳で再び襲い掛かろうとするサーベルタイガーを、鋼鉄の鎖が捕縛する。
「「「ダークエルフ拷問隊、秘奥義・黒森の束縛っ!!」」」
三方向からの鎖で動きを封じられるサーベルタイガー。その鎖の先は釘のようになっており、地面やサーベルタイガーの身体を貫いている。
そして、捕縛されたサーベルタイガーに迫る銀の閃光。
「助けられっぱなしは性に合わないんだよっ!」
シェリスの銀色の剣が、サーベルタイガーの喉を切り裂いた。
「オノレ人間トダークエルフガァァァァァァッ!!」
「血に狂いし人虎、疾くと速く無へと還れッ!」
残った右腕を振り上げる狂虎の身体を、黄金の刃が切り裂いた。
「ゴガァァァァァッ、ギザマァァァァァっ!!!」
和樹だけでも道連れにしようと虎の牙で噛み付こうとする狂虎。
だがその牙は届く事は無く――
「先輩に―――」・「和樹に―――」
「「触れるなーーーッ!!」」
ほぼ同時に放たれる刀と拳の一撃。
凛と沙弓のタイミングピッタリの攻撃に、狂虎は完全に絶命した。
「ありがとう二人とも。タイミングもバッチリだったね。」
「あ……。」
「う……。」
和樹に言われてお互いの顔を見合わせる二人。
だが直ぐにそっぽを向いてしまう。
「まぁ…その…流石だな杜崎…。」
「貴方もね…神城…。」
互いに別の方向を向いての言葉だが、二人とも顔が微かに赤い。
何だかんだで実力は認め合っている二人であった。
が、和樹が居ないと協力できないのが今後の課題だろうか…。
シェリス達に話をつけ、森の出口までやってくる面々。
その道中シェリスは和樹がどういった存在かを沙弓と凛に聞き、和樹は拷問隊の人たちに言い寄られていた。
小柄で可愛い凛も、彼女達の熱い視線を受けていた事を記載しておく。
「ご苦労様、式森君。彼女達に少し話を聞くから、送還なりはその後にして貰えるかな。」
「はい、分かりました。」
待っていた後藤達に労いの言葉を貰い、やっと一息つける和樹達。
道中、拷問隊からの熱烈なお誘いが大変だったのだろう。
返り血で真っ赤になってしまった衣服を着替え、一度門に入れていた白を呼び出して身体を洗ってやる。
近くに小川があったのが幸いした。
「クゥ〜ン…。」
「こら、あんまり動くなって。」
水をかけてもらい、返り血を洗ってもらう白。くすぐったいのか時折もごもごと動く。
沙弓と凛も後藤達のテントを借りて着替えている。
流石にボロボロな格好で帰る訳にもいかない。確りと着替えを用意しているのはいつもの事だ。
「おや、ここに居たのかい。」
「あ、えっと――」
「シェリスで良いよ。隣座るよ。」
何と呼ぼうか考えている和樹に苦笑しながらも隣に座るシェリス。
かなり近い位置に座られ、ちょっとドキっとする和樹。
シェリスのようなタイプの女性は現在和樹の周囲に居ないので少し戸惑いがあるのだろう。
「色々助かったよ、ありがとう。それと、すまなかったね、色々と酷いことしてさ…。」
「いや、別にそんな…確かに凄いことはされたけど酷くは無かったし…あはは…。」
拷問隊のイヤンなお仕置き(?)を思い出して赤くなりつつ苦笑い。
それを見てシェリスも苦笑い。
「変わってる坊やだねぇ、人間の男は皆あぁいうのかと思ってたけど。」
「それは…全部が全部じゃないよ。」
和樹の言葉にそうだね…と答え、小川に石を拾って投げる。
ポチャンと音を立てて石が沈み、白が綺麗になった身体をブルブルと震わせている。
「アタシさ、女王の素質無かったんだ…力に目覚めなくてさ…。
でも掟で女王になっちまって…無闇に破るわけにもいかないから、頑張って女王やってたんだけど…やっぱり無理そうだよ…。」
「どうしてそう思うの…?」
「女王は部族を導き、時に戦い、時に考えるのが仕事。
でもね、族長は絶対に“死んではいけない”のさ…。
族長さえ生き残れば部族の血は絶えないとかが理由でさ、生き残る為に部下も仲間も犠牲にするのが教え…でも駄目だね、アタシには性に合わないよ。
そういう考えはさ…。」
「そっか…何となく分かるよ。俺も誰かを犠牲にして生き残りたいとはあんまり思わないし…。」
二人して流れる小川を見つめる。月が水面に移り、煌いてる。
「…アタシさ、お前のこと気に入ったよ。だからちょっと頼みがあるんだ。」
「え…俺にできる事なら…。」
唐突な言葉に少し途惑う和樹。真剣な空気の中だとマイペースモードも不調なようだ。
「お前にしかできないさ。アタシを……使役しておくれ。」
「ええっ!?」
シェリスに言葉に思わず声を出して驚いてしまう和樹。
使役してくれ、つまり召喚獣として支配・契約して使ってくれという意味。
ミッドナイト・クィーンという高貴な存在を使役するなんて、和樹からしてみれば考えた事もない事だ。
まぁ、高位精霊と契約してはいるのだが。
「女王を交代するには、部族を出るか結婚するしかないんだけど、流石に結婚はまだ考えたくないからね、お前に使役されれば一時的に部族から出る事になるから、女王の名を妹に譲れるし…頼むよ。」
「いやでも、俺なんかで良いのかな…。」
ポリポリと頬を掻く和樹。どうしていいやら迷っているようだ。
「本人が良いって言ってるんだ、な、良いだろ…? なんなら…拷問隊がしてた事してやるよ……?」
艶のある声で耳元で囁かれてビクっとする和樹。
拷問隊にされた事…ぱふぱふ天国が頭を過ぎり、真っ赤になるマイペース、でも実は純情召喚術士。
「い、いいよそんなことしなくても…っ、でも女王の立場なのにそんな簡単に…。」
「えぇい、奥手な男だねぇ…ならこうしよう。」
と、一旦言葉を区切り、和樹の両肩に手を置いて瞳を覗き込む。
「使役しないとイヤラシイことするよ?」
「それってある種の脅しですよねぇっ!?」
昔から誘惑やら何やらははされているが、直接的なのは未だに慣れない和樹くんであったとさ。
管理人さんに弱いのは、何気に彼女も直接的だからか?
「で、結局契約したのね…。」
「うん…。」
微妙に視線が鋭い沙弓の言葉に頷く和樹。
「まぁ、先輩のことなので私は何も 言 い ま せ ん が…。」
とは言っているが、やたら睨んでいる凛ちゃん。目は口ほどにモノを言うとはこの事か。
何だかんだでシェリスに押し切られ、使役する事になった和樹。
彼女は現在和樹の檻の中。初めこの能力を話たら凄く驚いていた。
ダークエルフは入れるのか謎だったが、あっさりと入る事が出来たので、入れないのは人だけらしい。
かおりが入れないのは、彼女が吸血鬼の力を持つ人間だからだろう。
で、他のダークエルフたちを送還して(送還する時、拷問隊まで使役してくれと言ってきた)、ペガサスに跨って帰宅途中。
後藤達は後片付けをして撤収するらしい。
流石にペガサスに3人は多いのだが、グリフォンが飛べないので仕方が無い。
グリちゃん、鳥目なので夜飛べません。
「うっかりしてたね。」
「仕方ないわ…。」
檻の中ですまんこってす…とグリフォンも鳴いている。
ピポグリフと呼ばれる小型のグリフォンは夜でも飛べるらしいが、まぁ置いといて。
長距離飛行を得意とするペガサスなら、1時間程度で寮に帰れるだろう。
だがその時、和樹のお腹がグゥ〜…と鳴った。
「先輩、お腹空いたのですかっ?」
ちょっと期待しているような声の凛ちゃんに、和樹も少し恥ずかしそうに笑う。
「うん、ちょっと小腹がね…。」
「で、で、で、でしたらこれをどうぞっ!!」
凄い勢いで荷物の中から小さな包みを取り出す凛ちゃん。
顔が赤く、かなりテンパッているようにも見える。
「これは…?」
「こんな事もあろうかと、オニギリを作ってきましたっ! だ、大丈夫です、ちゃんと夕菜さんたちに教わった通りに作りましたし、加熱調理してませんからっ!」
「……爆発するものね…。」
「杜崎うるさいぞっ」
ボソリと呟いた沙弓の言葉に焦ったように声を発する凛ちゃん。
どうも彼女が加熱調理をすると爆発するらしい。どういう現象なんだ。
「へ〜、オニギリかぁ……。」
何時もどおりのマイペースで包みを開けていく和樹。
だがつきあいの長い沙弓は気付いた。和樹の後頭部に汗が流れ、頬が微かに痙攣している事に。
「うわ……。」
「か、形は悪いですが、味は大丈夫です!……………たぶん…。」
「自分の料理に確証持てないの貴方は…。」
沙弓の疲れたようなツッコミを横に、和樹はとりあえず一番形の良いオニギリを取ってみる。
「これ、中身は…?」
「えぇ〜っと、ウメボシと鮭と鱈子と昆布が…。」
「ランダム?」
「いえ、一緒に。」
「「………………………………。」」
凛の返答に何とも言えない空気を纏う二人。
なんで一緒に入れるかなぁ…と思いつつ、勇気を出して一口噛り付く。
「………………………。」
「せ、先輩…?」
「……………………………………………甘〜い……。」
情けない声と顔で呟いた言葉はそれだった。
沙弓が少し摘んで食べてみると…。
「神城……貴方、塩と砂糖間違えたわね…。」
「そ、そんなぁっ!?」
「うぅ、凛ちゃんお約束過ぎるよ……。」
確かに基本なお約束だ。流石凛ちゃん。
「し、しかし、最初私はちゃんと塩と確認して振りかけましたよっ?」
「…あ、こっちは塩の味がする。」
別のオニギリを摘んでみると、そちらは塩味。
どうも製作中に間違えたらしい。うっかり凛ちゃん(あくまではない。)発動。
「じゃぁ、こっちのオニギリを…」
塩味である事を確認したオニギリを手に取り、勇気を出して齧り付く。
――――ブジュッ!!――――
なんか 噴 出 した。
「むーむーむーっ!?!?!」
「か、和樹、ほらべーしなさい、べーっ!」
沙弓に諭され、何か青いゲルが噴出したオニギリを吐き出す。
まさか青紫のゲルが出てくると思わなかったのか、和樹は微妙に涙目だ。
「ほら和樹、ガラガラしなさい、ガラガラ、ね。」
世話を焼く沙弓嬢、彼女も混乱しているのか口調がお母さんモードだ。
手渡されたペットボトルのお茶でうがいをする和樹。
凛もまさかあんなのが入っているとは思わなかったのか固まっている。
「で、神城…アレは何?」
「………ウメボシ?」
「どこの世界に青紫のウメボシがあるのよ。」
三人揃って肩を落とした。
「す、すみません先輩…こんな謎なオニギリを食べさせたりして…。」
責任を感じて凛ちゃん涙目。萌えとか叫んでる作者は無視で。
だが凛に悪気はないというか合って堪るかコンチクショウ。
純粋に、夜までかかる仕事だと思って夜食を準備したのだ。
寮から出発する時に指にケガをしていたのも、オニギリを作っていたからだろう…。
ただ、どうしてオニギリで指怪我するのかが謎だ。
具だって寮の食堂、と言うか冷蔵庫にある材料だし。
やはり凛ちゃんの料理はデンジャラス・クッキング、略してD・クッキングだ。
Dはデストロイでも可かもしれない。
「いや、大丈夫だよ凛ちゃん…きっと、もしかしたら一つくらいは恐らく……ね?」
「先輩…っ」
和樹の言葉に感動したような顔になる凛だが……褒めてないしフォローにもなってない。
まぁ和樹としても希望的な言葉を言いたくもなるだろう。
「いざ……ッ」
残ったオニギリに手をかける和樹。
何気に危険の度合いが、先ほどまでの戦闘より大きい気がするのは気のせいだろうか?
バクッ…と勢い良く齧り付く和樹。
今回は青いゲルは噴出しない。
そのまま咀嚼して味を確かめる。
その様子を、固唾を呑んで見守る二人。
……なんなのだろうか、このマヌケな緊迫感は。
モグモグと無言でオニギリを食べ続け、終に最後の米粒まで食べる和樹。
ゴクリと飲み込み、いつもの笑顔を浮かべる。
「うん、美味しかったよ…凛ちゃ―――ゲフッ!?」
笑顔のまま吐血する和樹の姿に、マジでビビる二人。
そのまま笑顔で崩れ落ちる和樹を、二人で必死に抱きかかえる。
「か、和樹、確りしなさい和樹っ!」
「せ、先輩、気を確かに、先輩ぃっ!?」
「だ、大丈夫だよ凛ちゃん……答えは得たから……うぇっ。」
爽やかな笑顔で答える和樹だが、直ぐに吐きそうになる。
「先輩、何の答えですか、確りしてくださいっ!」
「和樹、ここで落ちたら死ぬわよ、ペガ、大急ぎで寮…いえ病院にっ!!」
「ヒヒーーンッ!!」
沙弓の言葉にペガサスが加速する。
流石に背中で吐かれたら堪ったものではないのだろう。
慌しくペガサスが駆け抜け、とりあえず和樹は助かったと記載する。
「食べられるのが一番凄かったよ…。」
と、和樹は後に語った………。
閑話終わり。
〜本日の登場モンスター〜
・ミッドナイト・クィーン 種族:ダークエルフ 属性:魔
レベル:2 攻撃力2 防御力2 歩行
特殊能力:□邪悪な剣舞[普通]
自分の手札1枚を破棄することが代償。
このユニットのプレイヤーが対象。
対象プレイヤーの捨て山にある「種族:ダークエルフ」のカードを、2枚まで選んで手札に戻す。
・ダークエルフ拷問隊 種族:ダークエルフ 属性:魔
レベル:2 攻撃力1 防御力2 歩行
アイテム:1
特殊能力:□拷問[普通]
ユニット1体が対象。
対象ユニットに【このユニットの防御力】ダメージを与える。
・ダークエルフ魔弾部隊 種族:ダークエルフ 属性:魔
レベル:2 攻撃力2 防御力2 歩行
特殊能力:□邪悪な弾道[普通]
自分の手札「X」枚を破棄することが代償。
プレイヤー1人が対象。
対象プレイヤーの手札を、ランダムに「X」枚選び、破棄する。
・ワー・タイガー 種族:ライカンスロープ 属性:火
レベル:3 攻撃力3 防御力3 歩行
特殊能力:◎怪力の咆哮[普通/対抗]
自分の手札を1枚破棄するごとに、このユニットを「攻撃力:+1」する。
・煌々蟲 種族:インセクト 属性:聖
レベル:2 攻撃力:2 防御力2 飛行
特殊能力:○みちびきの光
このユニットのプレイヤーが対象。
対象プレイヤーは、このユニットの存在する地形に自軍ユニットを進軍させることができる。
〜今日のモンコレ・オリキャラピックアップ〜
紫乃「はい、今日のモンコレ・オリキャラピックアップのコーナーです。作者が試行錯誤しているので今回からこんな形になりました。」
舞穂「前のコーナーだと召喚獣の能力がうまく伝わってないかな〜って思ったからこうしたんだって。」
紫乃「表現力が乏しいと大変ですねぇ…それは兎も角。舞穂ちゃん、今日のピックアップモンスターは誰ですか?」
舞穂「にゃ〜、今日のモンスターさんはこの人っ、【ミッドナイト・クィーン】っ」
紫乃「ミッドナイト・クィーン。ダークエルフの女王にして巫女の役割を持つ者に与えられる名前ですね。」
舞穂「名前はシェリスさん、準レギュラーで弄られキャラなんだって。」
紫乃「性格は姐御肌で世話好き。ツッコミ属性ですがノリに流される事も多いそうです。」
舞穂「シェリスさんは、普通のミッドナイト・クィーンとは違うんだよ。」
紫乃「そうですね、彼女は特殊能力である【邪悪な剣舞】が使えない代わりに、アイテム:1とスペル:Xを持っています。」
舞穂「今後登場予定の突っ走ったボケキャラのツッコミ役として主に活躍ってあるけど…活躍なのかなぁ…?」
紫乃「その辺りは触れないでおきましょうね。今回で女性型召喚獣は一先ず打ち止めで、今後は男性キャラが多数登場予定だそうです。」
舞穂「にゃ〜、この人たち強そうだけどキャラが――もがもがっ」
紫乃「それ以上は言っては駄目ですよ舞穂ちゃん。では今回はこの辺で。」
舞穂「ぷはっ、またね〜っ」
あとがき
もしかして最後のコーナー要らない? と思い始めているラフェロウです。
やっと手が痛くなくなってきました、良かった良かった。
だけどこの作品以上に情熱(むしろリビドー?)を傾けているオリジナル小説を書き始めたりしちゃった私…(汗)
ラブコメハーレムお下品お馬鹿話…やっぱり私にシリアスは似合わない(オイ)
エロシーンはないのに会話がお下品なので分類をどうするか悩み中…18禁なのかどうかが問題だ(ぇ)
その内オリジナルで18でもOKな掲示板でも探してみますか…(何)
さて、今回で閑話終了。
補足説明と新キャラ参入。あと和樹君が色々とピンチになるお話。
ワー・タイガーはSHK様の案を採用しましたが…これじゃマッド・タイガーだ(何
ワー・タイガーとサーベルタイガー好きな方、申し訳ない(汗
そして今回で女性モンスターは一時ストップ。
次からは素敵な男性モンスターがオンパレード。
彼らの登場でドイツ博が大変な事に…(何)
拷問隊のキャラに関するツッコミは無しの方向で…(逃げるな)
ではレス返しです。
サイサリス様
どうもお久しぶりでございます、楽しんでいただけて幸い至極。
残念、マスクは無料配布中なのですが…(何)
大丈夫です、“この”拷問隊ならそれはそれは可愛がってくれるでしょう、多分(何)
お気遣いありがとうございます、本気で怪我には気をつけますです(汗)
西手様
感想ありがとうございます、次こそは一番手を狙ってください(マテ)
和樹君は無事でしたが、色々な意味でイヤンな拷問隊でした(コラ)
格好についてもツッコミは無しの方向で…私の趣味じゃないでつよ?(何)
芳紀様
感想ありがとうございます。
ハーレム構築男は須らく鈍感でないと。
もしくは鬼畜王でなければいけません(何故)
捕まった和樹君、隙を窺おうにも拷問隊にタジタジ…。
タイミング外しまくりな結果に…(何)
D,様
感想ありがとうございます。
夕菜も和樹と同じのが欲しくてお小遣い叩いて買いました(何)
そして和樹のゲーム機を那穂から奪うべく勝負していましたが結果惨敗…。
ゲーム機はかおりが勝利して手中に。まぁ次の日に返してましたが(ぇ)
貞操は無事だけどちょっと幼児退行しちゃった和樹君でした。
もし貞操が奪われてたら…修羅と羅刹が降臨しちゃったでしょうねぇ…(汗)
REKI様
感想ありがとうございます。
お姉さまはミッドナイト・クィーンでした。ほぼオリキャラ化していますが(汗)
そうですねぇ、ダークエルフは邪神だかなんだかを崇めた結果肌が黒く(一説には流れる血が黒いからとも言われてるそうです)なってしまったとかありますしねぇ…。
あと、オーガとかトロールを従えてるなんて話もありますね。
このお話では彼女は完全に姐さんキャラですが(何)
千葉憂一様
お久しぶりです、感想ありがとうございます。
いやはや、別作品への浮気(マテ)と怪我でだいぶ停滞してしまいました(苦笑)
思い出深いサーベルタイガー…こんな役ですみませんです(汗)
全ては召喚した男が悪いのです(マテ)
もしかしたら、また再登場するかもしれません、敵味方は不明ですが(何)
後藤さんは…何故分かったんですか!?(マテ)
名前は特車二課の後藤さんで、見た目はネ〇ま!のデスメガネさん、性格はまぁ、イイ性格してます(笑)
自分、ガンダムよりもパトレイバー好きでしたから…(何)
もしかしたらその内に南雲というキャラがでてくうわなにをするやめ(ry
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