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「鬼畜将ランス〜第二十五話 ヘルマン内乱 前編〜(鬼畜王ランス)」

B-クレス (2006-02-12 23:53/2006-02-13 21:46)
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宰相ステッセルの演説が行われた翌日、ヘルマンはついに内乱が勃発した


主な会戦場所は三箇所、ローレングラード、スードリ17、アークグラードの郊外である

何故全ての場所が郊外になっているかと言えば、やはり先日行われた演説の影響としか言いようが無い


いくら『パットン』と言う旗印が在っても、『真実』を民に知らせたとしても

先んじて演説を行ったステッセルの影響は、完全には拭い去れなかったのだ

その為、民に負担を強いる事となる市街戦を行えるほど、民心が安定しきっておらず

市街戦を行っているときに、最悪暴動が起こりかねない状況にもなりうる為に

郊外で布陣を敷き、迎撃する事になったのだ

まず、最初にぶつかったのはローレングラード郊外である

衝突したのはヘルマン第二軍と第三軍、その数はほぼ互角であり、お互いに約一万五千ずつの大軍であり

流石に『首都』に隣接する都市だけあって、そのような大軍規模でありながらも、戦闘開始は他の都市に比べて早い物があった

しかし、ローレングラードも、ヘルマンの知将『アリストレス・カーム』が指揮する第二軍の本拠地である

首都防衛軍である、猛将『ミネバ・マーガレット』が指揮する第三軍の強襲を見事に防いでいた

しかし、ミネバ側も本気ではないのか、それとも王都防衛に重きをおいているだけなのか

最初に小競り合い程度にぶつかり合っただけで、睨み合いのまま戦況は膠着してしまっていた


次にぶつかったのは、『ネロ・チャペット七世』率いる第四軍とヘルマン国王子、『パットン・ミスナルジ』率いる旧第三軍であった

数にして、第四軍:9500 パットン軍:5500という、パットン軍圧倒不利の情勢であった

第四軍指揮官のネロは『貴族』出身の将軍であり、また、『騎士道精神』を重んじる所があった

その為に、敵が寡兵であることから、包囲殲滅を行うべきと進言した第四軍副将、『クリーム・ガノブレード』の意見を即座に棄却し

さらに、『そのような臆病者に用は無い!!』と言い放ち、クリームの部隊を最後尾配し、全軍によっての突撃を行ったのだ


それに対抗するパットン軍は、知将アリストレスに言われていたとおりに、『ファランクス』と呼ばれる布陣を敷いた

この陣は、全歩兵に『大盾』と『槍』を装備させ、大盾を左腕に、右手に槍を持たせ

露出する右半身を隣の兵士の大盾が覆うように密集していく隊列陣形であり

後ろの隊列と、前の隊列との感覚を少しずらし、丁度前の兵の間に後方の兵の槍を出せるようにする布陣である

隊列の特性状一度に全軍での攻撃は出来ないが、最前列が崩れれば後列が即座に交代していく事が出来る為、比較的万能ともいえる布陣でもある

しかし、『ファランクス』は、その見た目通りに『正面』への攻撃にはかなりの防御力、攻撃力を誇る布陣なのだが

側面、後方からの攻撃に弱いという特性がある、だが、『重装歩兵』中心であるヘルマン軍にとっては、最善の陣形の一つとも言える者であった


さらに、パットン達にとって幸運だったのが、相手の指揮官が『ネロ』であった事だろう

もしも、ネロが直々に出てこず、副将、クリームが指揮を執っていれば、包囲陣をしかれ

そして、元々寡兵であり、ファランクスの布陣を敷いていたパットン軍では、完全に敗北していただろう

しかし、『騎士道』を重んじるネロならば必ず自ら出てくるという、アリストレスの読みどおりにネロが出てきたために

そして、副将の意見を棄却したお陰で、寡兵のパットン軍でも、互角以上の戦いが可能になったのだ

さらに、パットン軍は寡兵とはいえ『前衛』軍と『後衛』軍が確りと充実している

その為に、『ファランクス』の陣形を敷くパットン軍に足止めされている第四軍を、じわじわと削り続ける事が出来ていた

しかし、結局は寡兵なため、其れが決定打にはいたっていないのも、また事実ではあった


そして、一番最後にぶつかったのが、ヘルマン最強の武将『ロレックス・ガドラス』率いる第五軍と、レリューコフ率いる第一軍だった

その数は、レリューコフ率いる第一軍が総計18000{ガンジーたちの部隊を合わせて} ロレックス率いる第五軍が総計20000であった

その両軍は、他の軍が衝突してから約一時間程遅れて、戦闘を開始する事になった

しかし、レリューコフとしては、『剛勇』を誇る第五軍の猛進撃に備えていただけに、少々意外な物が会った

ロレックスは『武勇』によって将軍となっており、『神速』を尊ぶ指揮を得意とする将であったのだ

そのロレックスが、一気に『アークグラード』を抜く為に猛突撃してくると思い、被害が甚大な物になるのも覚悟していただけに、少々拍子抜けしていたのだ

遅いといえばあまりにも遅いその布陣速度に、レリューコフは逆に警戒をしていた

シーラ皇帝を匿い始めてからしばらく、まともに他の将軍と顔をあわせる事など無かったのだ

その、自分が知らない間に、ロレックスが『兵法』を学び、万全の姿勢で挑んできている可能性のほうが高いと予測したのだ

しかし、歴戦の名将であるレリューコフの予想も、今回ばかりは完全に外れてしまっていた


ロレックスの布陣が遅れた理由、それは、二人の『毒婦』による物であった

『カチューシャ・ボッシュ』と『ソルニア・ベンツ』という名の、毒婦二人

彼女達は、最愛の妻を失い、自棄に走っていたロレックスに近寄り、酒と自分の体、薬を持って、ロレックスを堕落させていたのだった

しかも、その毒婦二人は、宰相ステッセルとある盟約を結び、ロレックスを焚きつけていた

その条約とは・・・『ヘルマン第一軍を撃破し、シーラ皇帝を奪い返せば、二人を上流貴族』にするというものだった

もともと、『財』を得る為にステッセルに近づいた二人だ、より『財』に近い立場になれるのだから、あっさりとその条件を飲んだ

そして、ロレックスを焚き付け、自分達にも部隊を渡してもらって、高みの見物と言わんばかりについてきていた

ロレックスは、『どうでもいい』と言うような、怠惰感を匂わせながらも、指揮を執っていた

そして、そのロレックスの感覚は全軍に伝わり、自ずと第五軍の歩みは遅い物となったのだ

その中でも幸いだったのは、ロレックスに昔から使えている副官が、全軍の士気を必死に保持していてくれたことだろう

もしも、ロレックスを支える副官が確りした物でなければ、ここまでの進軍までに士気が瓦解しかねないほどに

ヘルマン第五軍は、『脆弱』な軍隊へと変わってしまいっていたのだった


 レリューコフ軍 本営


「妙に遅い、儂等を誘っているのか?」

レリューコフは、ロレックス軍のそのゆったりとした布陣と、進軍速度にその狙いを必死に考えていた

確かに、自分達は『護り』の布陣を敷いていたが、たとえそれでもロレックス率いる第五軍は『引き裂き』にかかってくると予測していたのだ

そして、その『引き裂き』をあえて利用し、再布陣を迅速に終えた後、反撃に転じるつもりだったのだ

「しかし、『誘い』にしては少々杜撰すぎる動きに見えますがな」

参謀を担当する事になったガンジーが、同じくロレックス軍の動きを見て考えていた

ガンジーも、ロレックス軍の突破力の高さをレリューコフから聞いていたために、最初から『護り』に徹する覚悟だったのだ

しかし、今目の前で動いているロレックス軍のあまりの杜撰な動きに、誘いなのか、単なる指揮下手なのか悩んでいるのが現状であった


「いつまでも悩んででも仕方ないんじゃないのか?少し前に出ないか?」

元々軍指揮をした事も無く、性分としても守りには向いていないカオスが、じれたようにレリューコフに話しかける

まぁ、カオスは最近少しずつ時間が延びてきたとはいえ、まだ長時間人間の姿でい続けることは難しいのだ

だからこそ、このような状況に歯がゆさも感じているのだろう

「ふむ・・・・・、そうだな、アミラン隊、カフェ隊、カオス隊は前進せよ!!」

カオスの言葉に、少し考える素振りを見せていたが、短期決戦を元々望んでいるのも事実であった為に、前衛を勤める三隊に前進の合図を出した

其れを聞いたアミラン、カオス、カフェの三人は即座に自分達の部隊を指揮し、ゆっくりと前進して言った


そして、それに呼応するようにして出てきたロレックス軍の前衛部隊と接触、戦いがついに始まったのだった


ロレックス軍 本営


「んで、状況は?」

其処では、ロレックスが伝令兵の報告を聞いていた

「我が軍の前線部隊が敵前線と接触、戦闘が始まりました

 相手の指揮官は第一軍副将アミラン殿と、恐らく傭兵の指揮官と思われます」

その伝達兵の言葉をきいたロレックスは、ゆっくりと考える素振りを見せた


そして、しばらくした後、ゆっくりと口を開きだした

「相手の練度は?規模はどの程度だ?」

「練度は我がヘルマンの正規軍と比べても特に遜色は無いかと、規模は我が軍よりやや劣る程度、恐らく全軍を率いての防衛と思われます」

その報告を聞いたロレックスは、再びゆっくりと考えようとしていたが


「じゃあさ、こっちを攻めたら簡単に落ちるんじゃない?」

ロレックスの後方にいたカチューシャが、地図の『シベリア』の方を指差していった

「そうそう、出来るだけ戦ったりせずに勝てた方がいいでしょロレックス?その方が楽じゃない」

それに呼応するように、ソルニアが、ロレックスに擦り寄りながらそう言った


「あ、あぁ、そうだな・・・・

 今から半数の兵を率いてシベリアを落とす、前衛部隊は適当に戦ったら戻るように伝えろ」

ロレックスは、その二人の言うがままという感じで、そう返事をしたあと、伝達兵にそう伝えた


伝達兵は、どこか悔しそうな顔をした後

「わかりました」

と一言だけ言って、本営から出て行った

その後、ロレックスは即座にシベリア方面へと軍を向かわせた

もしも、ロレックスが『正気』だったならば、この案は絶対に受け入れなかっただろう

仮にシベリアを陥落させたとしても、その町に豊富な『食料』があるわけでもなく、地理的に優位に立てるわけでもない

優位に立てるだけの地理的条件を手に入れるには、そのまま迂回してログAを落とす必要が出てくるのだ

しかし、其処までには後二つ、『ゴーラク、ウラジオストック』の両都市を落とす必要があり

さらに、ログAを落とすという事は、リーザスと接する事になり、デメリットしか生まないのだ

しかし、今のロレックスは『カチューシャとソルニア』の『人形』のような状態であった

そして、その二人が『軍略』を理解しているはずも無く、この無謀すぎる作戦は決行されてしまったのだった


レリューコフ軍 本営


「なに!?ロレックスが半数の兵を率いてシベリアに向かっただと!!」

ロレックスがシベリアに兵を向かわせて約30分ほど後、伝達兵に聞いたその報告に、レリューコフは驚愕していた


なにせ、地理的に見ても、補給路を考えても、シベリア方面を攻めるメリットは、第五軍には一切存在していないのだ

だからこそ、アークグラードを護る為にほぼ全軍を率いて、さらに守りの布陣を敷いていたのだ

レリューコフは、シベリア方面に向かうのは、良くても1000程度の、一部隊だけだと予測していた

それが、ロレックス軍の半数が向かっているというのだ、これは完全にレリューコフにとっての誤算であった


「どうしますかなレリューコフ殿?シベリアを護るJAPAN軍は総勢で1500程度だったと思われますが?」

ガンジーはそんなレリューコフを見ながら、質問をした

伝達兵の報告が正しければ、シベリアに向かっているロレックス軍は約10000程にもなる

その差は約六倍、そして、シベリアも特に堅城という訳でもない、多勢に無勢の状況であろう


「・・・・・・我が軍はこのままローゼスグラードを攻め落とす!!」

長い間思案し続けたレリューコフだったが、先にローゼスグラードを陥落させるほうを選んだ

「しかし、それではJAPAN軍が」

「彼らとて愚かではあるまい、それほどの数の差ならばシベリアを放棄するであろう

 ならばこそ、ローゼスグラードを取り、敵の補給路と退路を立つのが肝要でしょう」

ガンジーの反論に、有無を言わせぬ勢いで反論し返すレリューコフ、そして、すぐさまに全軍に対して、ローゼスグラード攻略の命令を出した


万が一に備え、『シベリア放棄』の命令書を持たせた伝達兵をシベリアに走らせながら・・・・


ヘルマン帝国 シベリア JAPAN軍本営

「敵ロレックス軍、その数およそ一万、我が軍の六倍以上の軍勢であります」

そこで、忠勝が『敵軍接近』の報を聞き、即座に放った諜報兵からの報告を聞いていた

「我等の六倍か、レリューコフ殿はどう動いておった?」

「遠方でしたので余り詳細ではありませんが、全軍を持ってローゼスグラードへと攻め入る態勢であったようです」

「そうか」

忠勝は、そう言うと愛槍『蜻蛉切』をその手に持ち、ゆっくりと立ち上がった

「僭越ながら、寡兵であるわれらではあの大軍を支えきれるとは思えません

 レリューコフ殿も恐らく我等を攻めはしますまい、シベリアを放棄し、ゴーラク方面へとの撤退を進言いたします」

忠勝の隣に控えていた、軍師が、忠勝に向かってそう進言をした

しかし、忠勝はその言葉を無視するようにして、本営のテントの出口へと向かった後、その場で一度立ち止まり、口を開いた

「確かに、情勢を見るに撤退はやむを得まい、されど、我等は殿の名代としてこの地に参った

 そして、レリューコフ殿はこの地の護りを我等に任せる事で、信頼の証としたのだ

 ならば、撤退はやむなしとしても、せめて一戦交えるが礼儀ではないか?」

忠勝はそう言うと、外に出て、動ける兵を即座に集め、ロレックス軍を迎撃するべく出陣をした

忠勝にとって幸いであったのは、ロレックス軍の進軍速度が酷く遅い事であった

その結果、忠勝が率いるJAPAN軍武者隊は、シベリアとローゼスグラードを繋ぐ道の中で

唯一細くなっている、両隣をやや小高い丘に挟まれる形となっている街道の出口部分で布陣することに成功したのだった

そして布陣してまもなく、ロレックス軍は忠勝の軍の目の前に現れた


ロレックス陣営


「何だあの兵たちは?」

「JAPAN国の『侍』のようですが、しかし、何故この地に?」

忠勝達を見たロレックスの疑問の声に、隣に控えていた副将が即座に答えた

「でも数は少ないんだからひともみに潰しちゃえばいいじゃない」

「そうそう、早くシベリアを落としちゃおうよ」

しかし、数の少なさを見たカチューシャとソルニアは、そう言うと自分達に預けられていた軍を忠勝達に突撃させた

その場にいる兵の全てが、一瞬でけりがつくだろうと思っていたのだが・・・


「愚か!!この程度の兵にやられる我等ではない!!」

先頭に立つ、一際大きな槍を振り回している者が、そう叫びながら向かって行った兵を一瞬で蹴散らしていた

「な、なにやってるのよ!!早く倒しちゃいなさい!!」

その光景を見て動転したカチューシャが、さらに突撃をして、その男、『本多忠勝』を討ち取るように命じたが


「命を無益に散らすか!!死にたく無くばひけい!!」


忠勝は、その勢いを衰えるどころか、何十人もの兵が襲い掛かってきていると言うのに、傷一つ受けることなくその兵たちを蹴散らしていたのだ


「・・・・・・」

ロレックスは、その忠勝の奮戦を見て、我知らず身を震わせていた

となりで、カチューシャが癇癪を起こしたように突撃を命じ続けている事にすら気付かず


ただ、忠勝の、舞っているようにも見える、見事な武勇に、魅入っていた


「な、なんでよ!!何であれだけの兵を相手に無傷なのよ!!」

何度突撃をさせても、傷一つ受ける様子の無い忠勝の状態に、カチューシャも、ソルニアも、恐れを抱いていた

其れは他の兵たちも同じようで、突撃を命じられても、尻込みし、中には今にも逃げ出しそうな兵たちもいた


「どうした!!これだけ兵がいてこの本多忠勝に傷一つつけることさえ出来ぬか!!」


其れを追撃するかのような忠勝の威圧に、兵たちは逃げ出すかと思ったのだが


「水をくれ」

ロレックスが、どこか威厳を含んだ声で、近くの兵にそう声をかけたのだ

特に大きな声でもなかったが、恐慌に走る寸前であった兵達の耳には、確りと届いた

そして、その声をかけられた兵は、持っていた水を渡すと、ロレックスは其れを一気飲みした

「チッ、まだ足りねぇ、もう一杯でいい、誰か水をくれ」

ロレックスのその言葉に、次は彼の副将が水を差し出した、どこか嬉しそうな笑みを見せながら

ロレックスは、その副将の顔を見て僅かに苦笑すると、渡された水を一気に飲み干した

その水は良く冷えており、体中に行き渡るような感覚を、ロレックスは味わっていた


そして、その水を飲み干すと、自分の頬を一発叩き、腰につけてあった刀を両方抜き取ると、叫びながら忠勝の方へと向かっていった


「俺はヘルマン軍第五軍将軍、ロレックス・ガドラス!!

 御前に一騎討ちを申し込む!!」


「その意気や良し!!この本多忠勝がお相手いたそう!!」

     ガシィィィン!!

その叫びに呼応するように、忠勝が叫ぶのとほぼ同時に、ロレックスの刀と忠勝の槍がぶつかり合った


「流石に一撃じゃあ無理だな、だが、そうじゃなくちゃあ面白くねぇ!!」

「中々に重い一撃、全力で相手をさせていただく!!」


   キィン  ガキッッ キャリィ!!

忠勝も、ロレックスも、お互いに、『好敵手』に出会えた喜びの笑みを浮かべながら、剣戟を交えはじめた


    シャリィッ キィィン!! ガッ!!

ロレックスが切りかかれば、忠勝は槍で其れを流し、忠勝が突きを行えば、ロレックスは其れを受け止める

まさしく一進一退の攻防を繰り広げ続ける二人には、いつしか薄く、傷が出来始めていた

「チッ、この俺がここまで傷つくとはな!!」

「これほどとは・・・!!」

そう言うと、忠勝も、ロレックスも、お互いに距離をとった

そして、両者とも、目に見えるほどに強大な『気』を集中し始めたのだ


「どうやら、考える事は一緒のようだな?」

「如何にも、『必殺技』で勝敗を決する事と致しましょうぞ」

そう言うと同時に、二人とも、さらに貯める気の量が急激に増えていった

両軍の兵は全員、その光景を固唾を呑んで見守っていた

そして、両者の気が溜まりきったらしく、お互いの量がそれ以上増えなくなった後


緊張に耐え切れなくなった兵が、剣を地面に落とした音と同時に、二人は必殺技を放っていた


「弐式豪翔破!!」


「破穿!!」


両者の『必殺技』が衝突しあい、凄まじいまでの気の奔流が両者を、周囲の兵を襲っていく


「オォオオオヲォ!!」


「ヌゥウゥゥウウウ!!」


ロレックスも、忠勝も、お互いに必死に踏ん張り、そして相手の技を押し返さんとしていた


その両者の顔さえも、全身をも押し隠すように気の奔流は巨大な物となり

それが、収まった後、立っていた方は・・・・・


「はぁ、はぁ、はぁ、もしも、貴殿が万全ならば、某が押し負けていたな」

「チッ、万全じゃないって流石に気付かれていたか・・・・

 だが、負けは負けだ、好きにしな」


蜻蛉切を体の支えとして、鎧がボロボロになっていた、本多忠勝であった


ロレックスもほとんど同様にボロボロではあったが、力尽きたように地面に横たわっていた


その後、主将ロレックスの敗退、さらに伝達兵から教えられた『ローゼスグラード陥落』の報告により、第五軍は全面降伏する事となった

その降伏の再のドタバタの間に、カチューシャとソルニアは消えていたが、気付いた物はおらず

ロレックスも、特に気にしている様子は無かった


こうして、三つの戦いのうちの一つは終結したが、まだ二つの戦は、今も続いていた

一つは長期戦の様相を見せ始めていたが、もう一つは短期決戦に十分になりえる情勢であった

未だ、ヘルマンの火は納まらず、様々な命を飲み込みながら、その火を拡大していく


主役たるランスは未だ動かず、時はただ流れ続けていた・・・・


あとがき


と言う事で、ヘルマン内乱前編『レリューコフサイド』という事でした

次話でパットン軍サイド、其れと同時にアリストレスサイドで、その後ヘルマン内乱決戦になると思います

次話は、たぶん明日か、明後日ごろには完成すると思います、よっぽど私事が重ならない限りはw

では皆さん、次の話、『ヘルマン内乱 後編』でお会いしましょう

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