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▽レス始

「黄金の獅子を受け継ぐ者13(まぶらほ+セイント星矢)」

アーレス (2006-02-09 23:54)
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大きな部屋に一人の老人が寝ていた。老人はじっと天井を眺め、何かを考えていた。

「お呼びでしょうか?」

背が高く、銀色の髪を後でまとめていた若い女性が部屋に現れた。

「…リーラ」

「はい」

リーラと呼ばれた女性は腰をかがめ、老人に顔を近づけた。

「わしはあの方に任されたここを本来ここにいるべき者に返そうと思う」

老人の手がリーラの視線に入らないよう動きながら、彼女に近づく。

「そこの封筒を、開けてくれんか」

リーラはサイドボードの上においてある封筒をとった。
そこにはまだ若い、学生らしき少年が写っていた。

「この方が?」

じっと写真を眺めるリーラの魅惑のヒップに手が届きかけたとき、リーラの手が和樹もびっくりの速さで後ろに回り、手首をしっかりと押さえた。そのまま細い指に力が込められ、老人の手はみしみし音を立てた。

「ウ、ウム、ここにいるべきも、者じゃ……あたたたたたた」

「ご主人様?」

「り、リーラ、ち、力が強くはないか」

「気のせいでございましょう」

リーラの手が軽くひねられ、ぽきっと軽い音と共に老人の奇妙な悲鳴が響いた。


―――――――――――――――――――――


「なんで玖里子さんたちがいるんだ?」

傷が癒え、先に帰ったクロードを追うように帰ろうとした和樹はシャイナから頼まれ、マーシャル諸島によってから帰ることになった。シャイナに「アーバレスが任務で行ったきり戻ってこないから、見てきて欲しい」と言われ、和樹は「帰ったときバクラバを作ってくれるなら行く」と応え、今、自家用機で海をわたっているところだ。
和樹が操る飛行機には久しぶりに父に会うためについてきた和美、自分の従者である千早と神代、私用があるとのことで同席した紫乃、そしてどこからか聞きつけてきたらしい玖里子、夕菜、凜がいた(沙弓も行こうとしたのだが、どうしても断れない急用のため断念した)。

「だって、ギリシアに行くんなら、いいじゃない一緒に行ったって。別に危険な任務があるわけじゃないんでしょ?」

「夫の行くところに妻が行くのは当たり前のことです!」

「わ、私は、その…えっと…」

三人の様子を見て微笑を浮かべながら紫乃が和樹の隣にくる。

「どうでしたか?スチール聖衣は?」

「フレイム聖衣、アイス聖衣、サンダー聖衣だっけ?いい感じだと思うけど…」

「思うけど?」

「なんで紫乃さんが着ているのさ。被験者の人はどうした?」

「あの方でしたら、なんでも田舎に残してきた母が病に倒れたとかで帰ってしまいましたわ」

「ああああーー!!紫乃さん、和樹さんと何をやっているんです!!」

話しているうちに紫乃の顔が段々と和樹に近づき、しかもうっすらと頬に赤みがさしている。

「なんでもありませんよ。ただ和樹くんと仕事の話を少し」

「仕事ぉ?」

ヤクザのような睨み方で紫乃を睨みつけながら夕菜はさらに問う。

「あら?言っておりませんでしたっけ?私はグラード財閥のある開発グループに所属しているんですよ」

ほら、と言ってグラード財閥のマークの入った自分のカードを見せる。そこには『特殊開発部所属 紅尉紫乃』とあった。
カードをよく見ようと体を前に出した瞬間、飛行機に衝撃が走り、次いで機体が大きく傾いた。


―――――――――――――――――――


「夕菜さん!夕菜さん!!」

和樹の操縦テクで何とか近くの島に不時着した。幸い数人気絶したがだれもけがはしなかった。しかし、飛行機が壊れてしまった。
意識が戻らない夕菜に凜に向かって必死に呼びかけているが、一向に目を覚まそうとしない。それどころか、

「あ、ダメです和樹さん♪……お互い初めてなのに…こんなマニアックなプレイなんて♪」

などとほざいている。
凜が「このまま埋めていきませんか?」と、全員に目で問いかける。全員がうなずく中、紫乃がそっと夕菜に近づきどこからともなく取り出した小瓶の中身をたらした。その瞬間、夕菜がビクンと動きバッタリ動かなくなった。

「「「「「「……」」」」」」

そして数秒して

「オハヨウゴザイマス、ミナサン」

目を覚ました夕菜は機械のようだった。


―――――――――――――――――――――――


和美の意見で海岸から移動することになった。聖衣を背負った和樹と和樹を抜いたメンバーで一番体力のある山瀬姉妹(十二宮の上り下りで鍛えられた)が荷物を持っている。

「救助隊とかこないんですか?」

「たぶんこないな。舞穂あたりが遅いって言ってくるかもしれないけど」

舞穂は相手の小宇宙を感じとることができればそこにテレポートすることができる。

「辰巳のおっさんならきそうなのに「若さまー!!」とかいって、あの一族って城戸家に仕えることが人生の全てなんだから」

「辰巳さんって相変わらず私たちに冷たく接するんですよね」

和美と神代が頷き合っている。

「辰巳って私たち助けにきたときヘリに乗ってたおっさんでしょ?あん時なんて和樹だけ乗せて飛び去ろうとしてたし」

「あの人、私が和樹さんの妻だって言ったのに全然信じないで「黙れ小娘!」って言ってきましたよ」

玖里子と夕菜が会話に加わる。彼女たちは辰巳にいい印象を抱かなかったようだ。和樹もそれはわかっていたので止めはしなかった。

「みんな止まって!」

和樹が止まった。それに続いてみんなも止まる。

「どうかしたのですか?和樹くん」

「微かだけど銃声が聞こえた気がした。ちょっと見てくる」

「私も一緒に行きましょうか?こんな事もあろうかとサンダー聖衣を持ってきましたし、アンダースーツも着ておりますわ」

そう言って服の胸元を開いてみせる。幸い夕菜には聞こえていなかったようだ。さっきから険しい顔でこちらをじっと見ているが。

「いいよ。すぐ戻るから」

「あら残念、せっかくライトニングボルト!とか、ライトニングプラズマ!と叫ぶ練習をしてきましたのに」

「しないでくれ、頼むから」

和樹は大きく跳躍して行った。

「駿司みたいだ…」

和樹の後ろ姿に思わず自分の兄を見てしまう凜がいた。


――――――――――――――――――――――――


木と木を飛び移り、銃声がした辺りで下に下りる。辺りを見回していると銃声が響いた。それと同時に草むらから複数の少女が飛び出してきた。彼女たちは和樹の方に向かってくる。和樹は難なく避ける。

「なんだったんだ?今の娘たちみんなメイド服着て銃持っているなんて」

再び銃声がした、しかも今度はこちら側に向けて放たれている和樹はそれすらも避ける。が、そちらに気をとられて目の前に現れた女性に反応するのが遅れる。和樹は女性に押し倒されるように斜面を滑り落ちていった。


――――――――――――――――――――


斜面がぬかるんでいたため、すぐに止まれなかった和樹は手ごろな木を足がかりにして止まる。

「なんなんだよ」

抱きかかえていた女性に目を向ける。彼女は和樹の顔を覗き込んでいた。

(綺麗だな…シャイナさんにも負けてないんじゃないか?)

彼女の小さい唇が開いた。

「…」

小さく発せられた発音からドイツ語あたりだと判断してドイツ語モードに切り替える。

「大丈夫?」(ドイツ語)

女性が驚いている。まさかさっきまで日本語だった少年が突然ドイツ語に切り替えて話しかけてくるとは思わなかった。

「は、はい。ドイツ語がおできになるんですか?」

日本語で返してきたため、日本語モードに戻す。

「うん。世界の言葉なら大体は」

和樹は彼女を抱いたままだった事を思い出して慌てて離れる。

「ご、ごめん」

「い、いえ」

女性は少し残念そうだったが、和樹は気づかなかった。

「俺は式森和樹って言うんだけど」

「城戸ではないのですか?」

「仕事のとき意外は式森にしてるんだよ。って、なんで俺が城戸だって知ってるの?」

和樹がそのことを気にしたとき、夕菜の声が聞こえた。まだ距離があることを確認して女性に向き直る。

(ここにいたら間違いなく宮間が暴走する)
「それじゃ!」

和樹は跳躍し、女性の前から姿を消した。


――――――――――――――――――――――――――


残っていた女性たちはトラックのものと思われる後を見つけ、戻ってきた和樹と共にその後をたどって歩いた。

「本当に兄さんが見たのってメイドだったの?」

「ああ、日本の城戸邸で働いている人と同じような格好していたから間違いないと思うんだけどな」

ある程度進むとジャングルはなくなり、城が建っていた。

「城ね」

「お城ですね」

「城だな」

「なんでこんなところにお城が?」

「しかも、あの綺麗さから言って建ってまだ数年ってとこだぞ」

「ここでじっとしていても仕方ありません。とりあえず行ってみましょう」

「そうですね。なにかあってもここには最強の闘士がいるわけですし」

8人が城に近づいた。
綺麗に手入れされている前庭があった。そこを通って少し行き、巨大な扉の前に立った。呼び鈴代わりのひもがあったので、引く。
しばらくすると扉が開き、背の低いメガネのメイドが現れた。
彼女は和樹の顔を見るやいなや「しばらくお待ちください!」と、言って慌てて奥に引っ込んでいった。

「和樹さんの言っていたことウソじゃなかったみたいですね」

和樹たちは理解できないまま、その場にたたずんでいた。メイドはなかなか戻ってこなかった。
かなり待たされ、再び扉が開いた。

「お待たせしました。申し訳ございません」

ジャングルの中で出会った銀髪のメイドが頭を下げた。和樹は驚いたが、すぐその色を消して女性を見る。

「先ほどは失礼しました。私、リーラと申します」

「よろしく」

微笑を浮かべて握手を求めて手を出す。リーラは一瞬だけ躊躇したが、その手をとって握手を交わした。

「ご案内いたします……後の方たちは?」

和樹の後を見てリーラの表情がかすかに固くなった。

「大事な仲間とおまけ(夕菜)だけど」

彼女は思案したが、やがて、

「では、ご一緒にこちらへ」

と言った。
城の中は立派な外見に違わず、内部も豪奢な装飾がほどされていた。やがて、扉の前に来た。

「中へどうぞ。主人がお待ちしております。あ、女性の方は」

和樹の真後ろにいた夕菜は、やんわりと制された。
リーラは扉を少し開け、中に何ごとか言う(玖里子、夕菜、凜以外は内容がわかった)。すぐに、メイドの一人が出てきた。

「彼女はネリーと申します。このものが案内いたしますので。あちらへ」

「え、兄さんは一緒じゃないの」

リーラは軽くうなずいたが、あとはなにも言わなかった。
千早と神代がちらっと和樹を見る。それに気づき、二人に温かい小宇宙を向けて微笑んでやる。

「和樹様、どうぞ中へ」

式森と城戸の二つの苗があるためリーラは和樹と呼ぶことにしたようだ
彼女は扉を大きく開けた。


―――――――――――――――――――――


広い部屋の中には欧州貴族の末裔のような老人と、壁にずらりと並んだメイドたちだった。

「いや、よくきてくれた。さあこっちへ」

和樹は呆気にとられたが、気を取り直して従う。最初に出てきたメガネのメイドが椅子を引いてくれた。

「この島に男はワシしかいなくてね。若い人は大歓迎だ。ゆっくりしてくれたまえ。寝室は用意させる」

「ありがとうございます。ですが「彼女たちはこの屋敷の使用人でね」」

和樹の言葉をさえぎって老人が話し出す。これに何かを感じとった和樹は自分の中のスイッチを入れ替えて式森和樹ではなく城戸和樹としてこの老人と対面することにした。
和樹の変化に気づくことなく老人はしゃべり続ける。

「若い君は知らないかもしれん。私はMMMの会員なのだよ」

「MMM?」

和樹のデータファイルに該当するデータはなかった。

「『もっともっとメイドさん』の略称だ」

「は、はあ…」
(なんなんだ!その略称は!!)

なんとかポーカーフェイスを保った。

「君は学生だったかな。遠慮はいらんよ。ここではメイド好きは避難されることではなく、むしろ誇りとなる」

「そうですか…」

「そうなのだよ!」

老人は拳を握り力説する。段々飽きてきた和樹は聞いているフリをはじめた。だが、老人の口から聞き捨てならない言葉が発せられた。

「実は君たちの乗る乗機を撃墜したのは、わしたちなのだ。つい敵機と誤認して射撃してしまった。申し訳なかった」

「敵ですか?」
(ライトニングボルトでこの城吹き飛ばすか?)

「さよう。実はな…」

と、扉がノックされた。さっき女性陣を連れて行ったメイド、ネリーが現れる。

「ご主人様、お連れしました」

「うむ」

老人がうなずくと扉が開かれた。
夕菜、凜、千早、神代、玖里子、和美、紫乃の順に入ってきた。7人ともメイド服を着ていた。

「この島では女性はメイド服を着ることになっているのだよ。彼女たちにも同じ服を提供させてもらったよ」

老人は満足そうに彼女たちを眺めた。そこにリーラが、耳元でなにかを囁いた。

「……さて、これから諸君たちとの歓談といきたかったが、そうもいかなくなった。急用ができたようだ。
自分の家のようにくつろいでくれてかまわない。ゆっくりしていってくれ。
……そうそう、言い忘れていた。ここでは魔法を使うことは許されていない。それだけは守ってくれ。ではまた」

それだけいうと、老人は大勢のメイドと共に退出した。


―――――――――――――――――――――――――


それぞれの部屋に連れていかれた後、和樹は小宇宙を集中させてアーバレスの小宇宙を感じようと瞑想していた。瞑想をはじめて少し経ってリーラが食事を持ってきた。料理は舌の肥えた和樹をうならせるものだった。問題点をあげるとすれば、出されたワインが和樹のあまり好きじゃないものだったということだけだ。

「広い部屋ね」

和樹の部屋に7人が集まった。

「私たちのところはビジネスホテルに毛が生えたようなものでしたよ」

姉妹だからという理由で同室にしてもらった千早が部屋の中を見回しながら言う言葉に和美以外の全員が頷く。

「え?私のところはこれほどとまではいわないけど、豪華だったわよ」

彼女たちは部屋や待遇の差に愚痴を漏らす。

「どうですか?アーバレス様の小宇宙は感じられましたか?」

「この島にいる気はするんだけど正確な位置が割り出せない。向うがこっちに気づいてくれるといいんだけど…」

和樹は窓に映る自分を睨んだ。アーバレスの放つ小宇宙を正確に感じられない自分が歯痒い。

「?」

「どうかしましたか?和樹くん」

窓を睨んでいた和樹の視線が窓の外に移った。そのことに気づいた紫乃が訊く。

「何か聞こえないか?」

全員が耳を澄ませた。遠くで、爆発音とかすかな明かりも見えた。その爆発音に千早と神代がビクンと震える。近くにおり、二人の事情をしる和美が二人を気遣う。

「戦闘のようだな……ん?」

「どうかしたんですか?和樹くん」

「この小宇宙はアーバレスのものじゃない…じゃあ、なんだ?……」

窓の外を睨みながら和樹は小宇宙の正体を探る。

「あー、城戸っている?」

突然ドアが開き、気の強そうなメイドが一人立っていた。やけに乱暴な言い方である。

「俺だけど」

「あたしは、セレンだ。あんたが?ふ〜ん冴えない男だな。客が心配しているだろうから、安心させろって」

メイドの一言に女性陣がカチンときた。和樹自身は悪口陰口を幼少期から言われ続け、すでに言われ慣れている。今さらその程度の言葉で腹を立てたりなどしない。
心配しているかであるが、和樹という最強の二つ名を背負う黄金聖闘士がいるのだ。心配になどならない。

「もう、退治したから安心していいよ」

「退治?猛獣でもいるの?」

「そんなもん」

彼女は懐からタバコをくわえた。女性陣がセレンと話し始めたが、和樹はさっき感じた小宇宙を感じ取ろうと集中しているため、それに参加しない。


――――――――――――――――――――――


感じた小宇宙の正体を探るのをいったん諦めた頃、ドア越しに声がした。

「申し訳ございません。こちらにセレンはおりませんか」

リーラの声だ。セレンのようにすぐ開けたりはしない。

「いるよー」

ドアが開く気配がなかったため、千早が開けるとリーラは「失礼いたします」と言って中に入り、冷たい声でセレンに問う。

「……セレン。なにをやっている?」

「さぼりだよ。あたし、がさつだし、手つきも荒いから食器洗ってもエーファみたいに可愛く割れないからこうして忙しそうなふりして暇つぶしてたんだよ」

「…部屋に戻っていろ」

さらに冷たい声で言う。「へいへい」と言いながら、セレンは部屋を出て行こうとした。

「待て。これを持っていけ。和樹さまはタバコをお吸いにならない」

灰皿代わりにしたガラス皿を渡した。セレンは部屋を出て行った。

「まことに申し訳ございません。セレンの不祥事は私の不祥事…」

「いいよ。おかげで千早と神代が安心したから」

戦争というものにトラウマを抱えている二人にセレンがきたことによって落ち着いたことを感じ取っていた。

「二人は戦争とかそういうもので親を失っているから、ああいう明るい人がいてくれると気が紛れていいんだよ。彼女にはありがとうと伝えてくれる?」

リーラにしか聞こえないように言ってウインクする。


あとがき
アーレスです。
メイド編スタート!!牡牛座の黄金聖闘士・アーバレスを出す気ですが、今回は出番はなしです。
ファミリーネームが決まった聖闘士から出していきます。

それではまた……………君は小宇宙を感じたことがあるか!?


レス返し

>D,さん
確かにそうですね。

>ジェミナスさん
ただの負け惜しみだとでも思っちゃってください。

>瀬原さん
まぁ、クリアですけど、どんな物にするかまだ決まってません。

>京さん
スチール聖闘士についてのくわしいデータありがとうございます。

>西手さん
がんばります。

>御気さん
今回は黄金聖闘士出せませんでした。すみません

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