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▽レス始

「幻想砕きの剣 8-2(DUEL SAVIOR)」

時守 暦 (2006-02-09 22:31)
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 闘技場。
 そこには戦士が居た。
 いや、戦士の域を超えているやもしれない。

 たった今からこのアヴァターの中でも指折りの、最凶の戦闘力を持つ生物達に挑むというのに、その表情からは一辺の気負いも感じられない。
 人として大切なモノをいくつか欠落させているのではないか、とさえ思われる。
 現に頭頂部辺りからちょっと欠落しているのだが。

 彼…ダウニーは、闘技場の真ん中で空を見上げている。


(……このまま誰も来なかったら、もの哀しいですねぇ…)


 そんな事を考えつつ、ダウニーは過去を想う。
 懐かしい、もう戻る事は出来ない日々。
 その後の地獄のような修練の日々と、虚しさに絶望した日々。
 そして絶望のあまりに、自らの身を削り落としていく所業。


「……私のカミは、もう死にました」


 失われたモノを思い、ダウニーは少し泣きたくなった。
 しかし、過去への追悼を終えると、聞きなれた声が近付いてきている。
 救世主候補生達と、ミュリエル、ナナシ、ルビナスである。


「さて、どれだけ通じるか…どれだけ本気になってくれるのでしょうね?」


 ダウニーは両手を組み、目を半眼にして呼吸を整える。
 体の隅々まで魔力を浸透させ、その圧力を上げていく。
 戦いの前に、予備のエネルギータンクを作っておくようなものだ。

 ダウニーは思う。
 自分は馬鹿な事をしてきて、今また馬鹿な事をしていると。


(しかし…私はこうしたいのです。
 …そう、ケジメというヤツでしょうか)


 救世主クラスが、闘技場に全員揃った。


「ようやく来ましたか。
 随分と遅かったですね?」


「すみませんダウニー先生。
 途中で例によって揉め事が起きたので」


 軽い皮肉に、ミュリエルが申し訳なさそうに答える。
 何があったのか興味はあったが、ダウニーは聞かない。

 代わりに、懐からカツラを取り出して被る。


「こんな髪型では、気が抜けて戦いにくいでしょうね?」


「い、いえ……確かに気が抜けますが、それも戦術です。
 付けなくても構いませんよ」


 ミュリエルもやや答え辛そうだが、構わずダウニーは装着してしまった。
 今回は接着剤も使ってない。
 単に紐で括っているだけだ。


「さて、それではチーム編成ですが…もう決まっていますか?」


 ビリビリ、と救世主クラスに電撃が走る。
 大河を中心として、火花が散ったように見えた。

 どうやら、誰が誰と組むかで揉めまくっているようだ。
 ダウニーは心中でほくそ笑む。
 計算通りだったからだ。

 救世主候補生達は一人一人でもそこそこ大きな力を持つが、コンビネーションの上手さとは別の話だ。
 上手く連携できればいいが、ヘタな連携は互いの力を削ぐ事になりかねない。
 そして今、救世主クラスには連携という言葉は殆ど無い。
 何故なら、誰もが大河を自分の部屋に泊めようとするため、自分以外は全員敵と見なしているからだ。
 カエデは例外なのだが、そこまではダウニーも解らない。
 というか、ダウニーは救世主候補生達の諍いは、チームを決めるためのものだと思っている。
 まぁ、どちらもこの場合は大差ないのだが…。

 誰と組むか、組んだ後に誰が与しやすいか、誰もが打算を巡らせている。

 ともあれ、現状でチームを組まれても大して恐ろしくないのだ。
 これがダウニーの策だった。


(やれやれ…教育者として、少々自信を無くしますね…)


 苦笑交じりに思い、気を引き締める。
 この一戦は、自分のためでもあるのだ。

 緊迫した空気に耐えかねたのか呆れたのか、ようやくミュリエルが口を挟んだ。


「はぁ……アナタ達、チーム編成は私が決めます。
 文句はありませんね?」


「……解りました」


 ミュリエルの鶴の一声で、火花は止められた。
 しかし微妙に空気がギスギスしている。
 こういった事には、流石の大河も口出ししない。
 というか、彼が元凶なのだからして、口出しすればもっと話がややこしくなる。


 ミュリエルは救世主候補生を眺め、暫く何かを考えるフリをする。
 実際には、考える必要など無い。
 最初から組み合わせは決まっているのだ。

 ダウニーがこのような形で提案してきたのは予想外だったが、予定に大差はない。
 元々遠征の事を伝えたら、チーム毎に連携の練習をさせるつもりだった。
 ちなみに、練習相手は主に自分である。
 ミュリエルにはそれだけの技量と自信があったし、何より踏んだ場数の桁が違う。
 戦場も知らないヒヨっ子達の俄仕込みの連携など、いくらでも切り崩せる。
 適度にあしらって、連携の重要さを叩き込み、そして暫定的でもチームワークを作り出させるのが目的だ。
 例え暫定的でも、経験があるのと無いのでは天と地ほども差が出る。

 このギスギスした空気は、チームワークを作り出すのには邪魔になるかもしれないが、その分一人で突っ走る愚かさを強調するのには丁度いい。


「……まず、カエデさんと…ベリオさん。
 次は…そうね、リリィと………リコと、未亜さん。
 後は大河君とナナシさん、ルビナスで」


「学園長」


 さも「考えました」と言った素振りのミュリエルの言葉を遮り、ダウニーが声を上げた。
 予想外の事に、ミュリエルはきょとんとしてダウニーを見る。


「申し訳ありませんが、大河君とは一対一で戦わせていただけないでしょうか?
 …少し、思うところがありますので」


「……ふむ」


 ミュリエルは腕を組む。
 ダウニーは何やら真剣である。
 それこそ、普段の授業の時などよりもずっと。

 ダウニーの「思うところ」とやらが何かは知らないが、ミュリエルとしてはそれでもよかった。
 大河は他の救世主候補生達とは違い、最前線に送る事が決定している。
 アザリンが彼を指名して来たからだ。
 彼の戦闘力を考えれば妥当といえば妥当であろう。

 彼が死んだら、という不安はあるが、それは何処に送り込んでも同じである。
 それに、白の主たる彼の力は、他の救世主候補生やモンスター達とは一線を画する。
 場合によっては、クレアの護衛をさせているイムニティを呼び戻すという手もあるのだ。
 死亡確率は、まぁ低いと言っていい。

 ぶっちゃけた話、大河はこの遠征では、他の救世主候補とは同行しないのだ。
 ルビナスやナナシとコンビネーションの練習をしても、それはすぐには役に立たない。
 この先役に立つかもしれないのなら、やっておいても損は無いが…。


「………いいでしょう。
 大河君、アナタは最後にダウニー先生と一対一で戦ってください。
 …ルビナス、ナナシさん、そう残念そうな顔をしないで…」


「ぶう☆
 折角ダーリンにカッコいい所を見せようと思ったのに」


「そうですの。
 バッチリコンビネーションを発揮して、3人のココロが急接近するはずだったですの〜」


 ルビナスとナナシに、何やら鋭い視線が集中している。
 しかしそれを意にも介さない。
 こんな事を一々気にしていては、救世主クラスとは張り合えないのだ。

 ミュリエルがダウニーの隣に立つ。


「では、私もダウニー先生のチームで参加させてもらいます。
 ………全力で来なさい。
 さもなくば、問答無用で叩き潰します」


 ミュリエルは厳しい表情で、威圧しながら言い放つ。
 その強い語調にリリィは立ち竦んだ。


(…お、お義母様は本気だ…)


 体が震える。
 リリィは体の芯から湧き上がってくる恐怖と高揚を、強引に抑えつけた。

 未だ追いつく事が出来ない、高すぎる壁。
 今から自分はそれに挑むのだ。
 武者震いと脅えが同等に体を支配し、リリィは自分の神経が研ぎ澄まされていくのを感じる。
 目を閉じ、自分の体を抱きしめる。
 暫くじっとしていると、何とか震えは治まってくれた。


(お義母様…まだまだ未熟者ですが、胸をお借りします…。
 私の力……全て、この一戦に!)


 キッ、と視線に力を篭めてミュリエルとダウニーを見る。
 ミュリエルの隣に立つのがダウニーだというのが少々気に障ったが、その感情は邪魔になるだけだ。

 リリィは自分の魔力の質を高め始める。
 周りを見ると、未亜とリコも顔つきを引き締めている。

 が、その時。


「質問!」


「はい、何でしょう大河君」


「「「「「「「  だぁっ!?  」」」」」」」


 緊張を一気にブチ壊す大河の大声。
 ダウニーは動じもせずに、穏やかな顔で大河の質問を受ける。

 集中が解けて脱力したリリィ達を、ミュリエルが苦笑して眺めていた。


「さっきから気になってたんだけど、どうやって勝敗をつけるんだ?
 ダウニー先生と学園長を倒せば、こっちのチームの勝ちだっつーのは解るんだが…。
 こっちが全チーム勝ったり、または一チームも勝てなかったりした場合は、どう決着をつける?
 それに、後で戦うチームの方が有利になるんじゃないか?」


「その辺は、こちらで採点させてもらいます。 それに…」


 大河の質問に答えるダウニーの目が、急に鋭くなった。
 威圧感が一瞬で膨れ上がる。
 大河はその威圧感に、一瞬呑まれてしまった。
 未亜達も、普段のダウニーからは想像もできない(以前はそうでもなかった)その威圧感に、少しだが腰が引けている。
 ダウニーの隣に立つミュリエルも、少し驚いていた。

 ダウニーのマントが、風に吹かれて揺らめいた。
 それさえも、大河達を威圧する演出であるかのように機能する。


「後で戦うチームが有利?
 あまり我々教師を嘗めるものではありません。
 例え召喚器の力を持っているとはいえ、君達ルーキー如きが私と学園長を相手に勝てるなど、思い上がりも甚だしい。
 断言しましょう、君達に、勝利は一つとして与えられない、と」


 淡々と述べるダウニー。
 ミュリエルもその横で表情を消し、無言の同意を表している。


「…言ってくれるわね…!」


 ルビナスが好戦的な笑みを浮かべる。

 挑発と解っていても、そこまで言われて引き下がる者は一人も居ない。
 無言でそれぞれ武器を構えた。

 ミュリエルが手を上げてそれを制する。
 感情が見えない目で救世主候補生達を見回す。


「では、まずはカエデさんとベリオさんのチームからです。
 他のチームは、全員闘技場の隅まで下がっているように」


「応ッ!」


「…参ります!」


 静かな怒気と闘気をたたえて、カエデが黒曜を嵌め直す。
 ベリオもユーフォニアを軽く振り回し、ダウニーを睨みつけた。

 大河達は機先を制された気分で、大人しく闘技場の隅に下がっていく。
 その間も、リリィとリコはブツブツ文句を言っていた。


「…ダウニー先生、あんなに自信満々だったけど…本当に強いのかしら?」


「そう言えば、ダウニー先生が戦っている所って、見た事がありませんね。
 戦闘理論は立派でしたが……実践できるかどうかは別物ですし」


「何か悪い夢でもみたのかしら…いえ、危険な電波でも受信した?
 昔のダウニー先生ならあれくらい言いそうだけど、アフロになってからはねぇ…」


「もうただのヘッポコと化していましたからねぇ…」


 リリィとリコの疑問に答えず、未亜は今にも戦いが始まろうとしているのを眺めている。
 強い弱いは、この戦いを見れば解る事だ。
 今はとにかく、ダウニーとミュリエルの動きを分析するのが上策である。
 大河も同じく、2人の動きを注視していた。

 ナナシはというと、何が始まるのかイマイチ理解していないのか、ノホホンとした笑みしか浮かべていない。
 そしてルビナスは、ダウニーの言葉が本気でムカついたらしく、なにやら懐から取り出した試験管の中身を混ぜ合わせていた。
 ……刺激臭が漂ってくる。
 不気味な含み笑いも漂ってくる。
 ダウニーに飲ませるのか、ぶっかけるのか…。


(ダウニー先生…万が一の時には、素直に成仏しろよ…。
 アンタの事は、夜叉の群れに挑んだバカな漢だったと、涙交じりの笑いで語り継いでやるからさ…)


 大河はちょっと流れた涙を拭う。
 大河はルビナスから意識をずらし、もう一度ベリオ達に目を向けた。
 よく見ると、カエデとミュリエルの距離が縮まっている。


「……動くぞ」


 ミュリエルがカエデの間合いに入った瞬間。
 ノーモーションで投擲されたクナイが、ミュリエルを狙う!

 しかしミュリエルは微動だにせず、障壁を展開してクナイを防ぐ。
 走りこんでくるカエデに無造作に手を向け、魔力を込めた。


「ブレイズノン!」


ドドドドドドドン!


「!? わっ、と!?」


 連続して爆裂する火の玉。
 普段見慣れたリリィの魔法との違いに、カエデは一瞬対応を迷った。
 しかしすぐに後ろに下がり、火の玉を回避する。
 足を止め、一端体勢を整えた。


「!」


 今度はカエデの上に、大きな影が落ちる。
 見上げたカエデの目に、巨大な氷の塊が映った。


 カエデがクナイを投げると同時に、ベリオはダウニーの前に走り出していた。


「行きます!
 シルフィス!」


 走りながら、ベリオは体を駒のように回転させ、3回転した所でユーフォニアからシルフィスを打ち出す。
 さらに一回転して止まり、軽くジャンプする。
 そしてフェリオン・レイ…極太レーザーを放つため、杖に魔力を収束させた。

 対するダウニーは、最初に放ったシルフィスの軌道から体を外しただけで、動こうとしない。
 シルフィスはそのまま直進し、ダウニーに当たる事はない…かに見えた。


「甘いですよ!」

「ん!?」


 シルフィスの軌道が変る。
 なんと避けたはずのダウニーに向かって、シルフィスは曲がって行ったのだ。

 ベリオがシルフィスを放つ際に、回転した理由がこれだった。
 遠心力を付加する事で、シルフィスの回転を強くし、魔力による軌道変更を容易にする。
 一方にしか曲げやすくならないのが欠点だが、その分急激な軌道の変更が出来る。

 ほぼ直角に曲がったシルフィスは、ダウニーに直撃する。
 その機を逃さず、ベリオは光線を放った。


「フェリオン・レイ!」


 自身の視界の半分以上を埋める光線が、ダウニーに向かって殺到した。


(直撃!)


 勝ったと思ったベリオだが、次の瞬間、その体が勝手に動く。
 そしてその体を、奇妙な衝撃が走りぬけた。


「きゃっ!?」


「…発想は悪くない。
 危機感知能力も低くはない。
 しかし、回転して自分の背後を見せるという事は、取りも直さず相手を視界から外し、小細工を弄する時間を与えてしまうという事です。
 そして、大きな攻撃を放った後は、当然ながら自分の体力も大きく削られる…。
 召喚器の力を使っていると、自分の体力の減りが少ないので、そんな事も忘れてしまいがちなのです。
 覚えておきなさい」


「…!?」


 空中でバランスを崩し、地面に転がったベリオ。
 その後ろから、淡々と声がかけられる。
 間違いなくダウニーの声である。


(な、何故…!?
 確かにフェリオン・レイの先に居たはず…!)


(分身だよ…あやうくひっかかる所だったわ)


 ベリオの心中の疑問に答える声。
 ブラックパピヨンである。


(パピヨン…さっき体が勝手に動いたのは、アナタですね?
 ありがとう、助かりました…)


(アンタが痛いと、私も痛いしね…。
 それより、どうやらシルフィスにカーブをつけるために回転した時に分身してたみたいね。
 光線を叩き込む一瞬前に、ダウニーが爆発したから分身だと解ったんだけど…)


(一筋縄では行きませんね)


「何をしているんです?
 早く立ち上がりなさい。
 敵は待ってくれませんよ。
 こういう時に、アナタに必要なのは何ですか?」


「くう、リフレクトウォール!」


 ベリオは転がったまま盾を作り出す。
 その向こうで、ダウニーの魔力が弾けるのを感じた。
 間一髪、シールドが間に合ったらしい。

 そして今度こそ立ち上がろうとする。


「のわっ!?」
「キャッ!?」


 と、今度はそこにカエデが吹き飛ばされてきた。
 カエデに押され、ベリオは少し体勢を崩した。
 しかしリフレクトウォールのお蔭で、ダウニーからの追撃は無い。

 ふと見ると、カエデの右腕が凍り付いている。


「か、カエデさん、今治療を…!」


「あ、触ると…!」


 ベリオがカエデの治療をしようと、腕に触れる。
 しかし、次の瞬間ベリオの腕も凍り付いてしまった。


「ウソッ!?」


「ああ、だから言おうとしたのに…!」


 慌てて魔力を腕に流し、氷を溶かすベリオ。
 幸い、感染(?)した場合は威力が極端に落ちるのか、溶かすのに大した労力は要らなかった。
 しかし、その一瞬が命取り。

 カエデは前後から、巨大なプレッシャーを感じた。
 咄嗟にベリオを抱え、全力で跳ぶ。


「終わりです」

「パルス・インパルス!」


 前者がミュリエル、後者がダウニー。
 ちなみにゲームのコマンドで言うなら、ミュリエルが↓AB、ダウニーは→AB。
 リリィが使う術とは少々姿形が違うが、その威力は折り紙つきである。
 手加減されているとはいえ、これを喰らったらただではすまない。

 咄嗟にベリオは結界を張ろうとする。


「ホーリーシー…!?」


 しかし、いきなり体がガクンと動かなくなってしまう。
 ベリオの目に、額に666と刻印されている髑髏の幻影が見えた。


(これは…まさか、さっきのダウニー先生の…!)


 フェリオン・レイを避けられた時の攻撃だ。
 ダメージを与えるのではなく、自由に行動させないのが目的だったのだ。

 シールドを張る事も出来ず、ベリオは体を硬直させる。
 次の瞬間、凄まじい爆風が吹き荒れた。


「ぐあっ!?」

「……!」


 爆風に押され、カエデがバランスを崩して倒れこむ。
 ベリオの体も投げ出され、何とか自由になった体で受身を取った。

 一瞬の間があって、爆風が止む。
 カエデとベリオは立ち上がろうとした
 しかし。


「動かないように」

「チェックメイト……。
 これで終わりです」


 上からかけられた声に、体を硬直させた。
 言うまでもなく、ダウニーとミュリエルである。

 恐る恐る顔を上げると、各々片手を突き出して、いつでも魔法を放てる状態になっている。
 カエデとベリオは、屈辱に歯を食いしばる。


「……負けました」


「…右に同じく」


 完全に手玉に取られた。
 時間にして2分足らず。
 ベリオとカエデは、ミュリエルとダウニーの実力に畏怖の感情さえ抱く。


「…ところで学園長殿、いつの間にメガネをかけたのでござるか?」


「…戦闘開始の時には、もうかけていました。
 私はプロットの段階では、メガネっ娘だったのかもしれません」


「…学園長、その歳でメガネはともかく娘は…いえいえいいえいえいえいえ、私は何も言っていません!
 どうぞ両手を広げて走りながら、『んちゃ〜!』と叫んでエネルギー砲をお放ちになってください!」


 超光速で首を振るダウニーだった。


「…マジすか」


「…強すぎ…」


 大河と未亜は目を丸くしていた。
 ミュリエルもそうだが、ダウニーが強すぎる。
 R・新堂な髪型になって、誰かが乗り移ったのだろうか。

 先ほどの戦いは、ミュリエルとダウニーの戦闘力以前に、カエデとベリオの連携が全くなっていなかった。
 そのため一人ずつに分断され、技量の差で攻撃をあしらわれ、そして2人を突然一箇所に纏め、戸惑いが出た瞬間を狙って一斉射撃。
 もし2人がもう少し連動して動いていれば、まだ粘る事は出来ただろう。
 戦いが始まる前から挑発し、そして連携を疎かにするように仕向けたのはダウニーである。
 文字通り、「戦いは始まる前に勝敗が決まっている」という事であった。

 カエデとベリオが、肩を落としてスゴスゴと戻ってくる。


「…申し訳ありません、負けてしまいました」

「……未熟も度が過ぎたでござるよ…」


 2人は少々自信を失っているらしい。
 まぁ、あれだけいいようにあしらわれれば無理もない。

 相手も、腐っても教師、という事か。

 大河はカエデとベリオの頭をポン、と叩いて少し撫でた。
 何故か2人して、闘技場の隅っこで正座している。


「まぁ…アレだ、今のは2人の息があってなかったからな。
 今日か明日の内に練習しておけば、もっと上手く動けるようになるさ。
 むしろ遠征前に負けてよかったんじゃないか?」


「そういう事ね。
 今ならまだ改善の余地と時間があるんだから。
 いきなりモンスターと戦って、その結果が今みたいになったんじゃ洒落にならないわ。
 早い所立ち直って、根性見せなさいよ」


 カエデとベリオにそう声をかけて、リリィは一つ伸びをする。
 その隣では、未亜とリコが柔軟運動などやっていた。
 …2人で絡み合っているようにも見えるので、大河はちょっと萌えた。
 あまつさえ、2人の際どい場所が見えそうになったりならなかったり。

 ああ、フェチっていうのはこういうのでもあるんだなぁ、と大河は一つ学習した。

 慰めの言葉をかけられて、またちょっとカエデとベリオは落ち込んだが、その言葉には納得したらしい。
 顔を上げ、これからの戦いを見て参考にしようとしている。


「それにしても、学園長先生とダウニー先生のコンビネーションが、ピッタリ合っていましたね。
 即席でああも行動を合わせる事が出来るのでしょうか?」


「ああ、それなら…確かお義母様は、教師達の理論…戦闘に限らず、研究とかの姿勢の在り方とか、そういうのを一通り把握しているのよ。
 だからダウニー先生の戦闘理論を覚えていて、それに合わせて動いたんじゃないかしら」


「断じて相性ではない、と…」


「黙れカエデ!
 ……図星だけど」


 カエデの頭に一つ張り手をくれて、リリィは歩き出した。
 既に未亜とリコはミュリエルとダウニーの前に立っている。

 それを見て、ナナシがボケーっとしたコメントを漏らす。


「ベリオちゃんもカエデちゃんも、ミュリエルちゃん達とリアル格闘ゲームしてるですの?
 すっごくエキサイティングですの!」

「………ゲームでいいですよ…。
 もーアナタは、笑っていてくれればそれでいいですから…色々な意味で」


 ルビナスはまだ薬品の調合を続けていた。
 …なにやら薬品の中から叫び声がするような………。


(……俺は何も聞いていない)


 心に栓をして、戦いに目を向ける大河だった。


「アナタとの模擬戦も久しぶりですね、リリィ…」


「そうですね……尤も、あの頃は模擬戦にすらなっていませんでしたが…」


 リリィとミュリエルは、ゴングがなる前から戦い始めていた。
 直接手を出さなくても、心理戦で相手の士気を下げる事はできる。

 リリィはこの手の戦いでは、百戦錬磨のミュリエルの足元にも及ばない事を自覚している。
 ただでさえ自分の性格を考えると、ミュリエルの一言一句に反応しすぎているのだ。
 ここで無理に対抗しても、結局は足元を掬われてやり込められてしまうだけである。
 リリィはミュリエルの心理攻撃を、受け止めるのではなく受け流そうとする。


「思い返せば、あの頃のリリィは可愛かった…。
 火の玉一つ出すためにも、全身を緊張させて『むぅ〜っ!』とか唸り声を上げ、『やぁっ!』と叫んで手を出したかと思えば、火の玉ではなくて火の粉しか出なかった事もありました」


「そしてお義母様は、そんな私を見て生暖かい微笑みを浮かべていたものです。
 …今考えると、あれはある意味物凄く癒されている表情だったような気がするのですが…」


「ええ、とてもとても愛らしく、思わず幻影石に収めてしまうほどでした。
 大河君に見せたら、萌え狂ってルビナスにロリ化薬の開発を依頼してしまうかもしれません」


「……あれだけやって、まだ大河は足りないんでしょうか…」


「むしろ私が足りません。
 先日思い出したら、久々にあの頃のリリィを抱きしめたくなってしまって…。
 ついついルビナスに開発依頼を」


「私を実験台にするつもりですか!?」


 悲鳴交じりの叫びをあげる。
 本当にルビナスに依頼したのだとすると、これはちょっとした危機だろう。
 ケモノミミモードに加えて、ロリっ子モードまで付加された日には…萌血とか出しすぎて誰か死ぬかもしれない。

 明鏡止水を保とうとしていたリリィだが、ちょっと心に波が立ってしまった。
 そこをミュリエルが見逃すわけも無い。
 虚空に目をやり、夢想しているかのような表情をする。


「イヤですねぇ、実験台なんて…。
 そー言えば、未亜さんも何かそんな事を言ってませんでしたか?
 大河君に『誰かを試しに調教してみてくれ』とか…しかもSM系の調教を。
 ねぇリリィ?」


「わ、私に何故振るんです!?」


「ど、どうして知ってるんですか!?」


「未亜ー!?」


 顔を青くして、未亜から距離を取るリリィ。
 とっくに大河に調教されている身だが、SMは怖い。
 というか、ヒョウモードになっていないリリィは基本的に純情である。


「ちょ、待ってリリィさん、私はリリィさんを調教してなんて言ってません!」


「じゃあ誰を?」


「クレアちゃん……はっ!?」


「このキチクー!!!」


 絶叫し、リリィは未亜に向けて魔法を放とうとする。
 未亜も慌てて距離をとる。

 今まさにリリィが魔法を放たんとした時、またもミュリエルが暢気な口調で口を挟む。


「リリィがロリ化したら、ここぞとばかりに調教されるでしょうねー、しかも大河君だけじゃなくて救世主候補生総出で。
 ああ、先週も似たような状況でしたっけ……しかし、それはそれで見てみたい…。
 ふむ、この試合で私が勝ったら、勝利者権限で命令しましょうか。
 ズバリ、『ルビナスのロリ化薬を飲んで大河君のベッドに忍べ』」


「義理の娘を壊す気ですかお義母様ー!?」


「私のベッドでも可」


「どうせ大河を呼び込む気でしょう!?」


「その通りです。
 私も満足させてもらわねば。
 …ああ、ロリ状態でネコモードを起動するのはデフォですからね。
 大河君その他が萌え血を流しすぎて、掃除が大変そうですが」


「モラルは死んだー!」


 未亜に魔法を放とうとしていたのも忘れ、絶叫する。
 両手で頭を抱え、ブンブン身を捩った。
 もう明鏡止水の欠片も残ってない。
 放とうとしていた魔法が制御を離れ、集中していた魔力が自然と猛烈な勢いで反発する。

ボカン!


「うきゃっ!?」


「り、リリィさん!?」


 手の中で小さな火の粉が爆発し、熱風が吹く。
 しかも爆発したのは、リリィの耳のすぐ傍だ。
 大した熱ではなかったが、顔に熱い風を吹き付けられ、もう完全にリリィの平常心は無くなった。
 慌てて手を振って熱を冷やそうとするリリィに、未亜が駆け寄ろうとする。

 が、それも混乱したリリィには自分を調教しに来たように見えたらしい。
 この辺はミュリエルの誘導の効果だろうか。


「く、くるなー!」


「だ、だから学園長の調教云々は出任せですって!」


「私も適当に言ったのですが、本当に言っていたのですねぇ。
 しかもクレア様が標的とは……あれ、でも大河君の側にクレア様が付いているとすると…。
 ………ひょっとするともう調教済みでしょうか?
 しかも未亜さんの手で」


「くーるーなー!」


「誤解ですぅ〜〜〜〜!」


「……爛れた会話が罷り通っていますね」


「…リコ・リスさん、何か言いましたか?
 私は耳を塞いでいるので聞こえないから、手話か筆談にしてください」


「……(バッ、ババッ、バッバババ)」


 何故か耳を塞いでいるダウニーの正面に立ち、リコは素早く両手を動かす。
 意外とスムーズだ。
 隠れた特技である。


「どうして耳を塞いでいるのか、ですか?
 それは男性としてのエチケットというか、漢としての幻想というか…。
 まぁ何です、私も男だという事ですよ…。
 まだ男盛りですし、女性に対して幻想を捨てきれないのです…」


 要するに、女性の性生活の実態から目を逸らしたいらしい。
 ミュリエル達の大騒ぎを横目に見ながら、ダウニーはリコを観察する。
 意外と冷静である。
 他人事でもないだろうに、リリィ達の狂態に巻き込まれていない。


(……こういう時は…)


「ところでそろそろ始めたいのですが、よろしいですね?」


「…リリィさんとマス…未亜さんに聞くべきだと思いますが」


「それはそうですが…いいのですか?
 聞いても」


 ちなみに、リコの台詞は全て手話だと思いねぇ。

 リコは手を動かしながら首を傾げる。
 聞いたらどんなデメリットがあるというのだろうか。
 いきなり試合を開始するより、ちゃんと知らせた方が準備できるに決まっている。


「このまま始めれば、最も活躍できるのは確実にリコ・リス、君です。
 それはつまり、大河君との優先権も主張しやすいという事になるでしょう?」


「…勝てればその通りですが、先ほどの戦闘を見る限り、一筋縄では行きそうにありません。
 負けては元も子もありませんから、ここは素直にリリィさん達を正気に戻そうと思います」


 ダウニーの甘言をあっさりと断るリコ。
 だが、これくらいはダウニーも計算の内だ。
 この手の甘言という毒は、後からジワジワ効いてくる。
 こうして唆しておけば、自分でも意識しない内に突出しやすくなるのだ。


「ふむ、そうですか…。
 そこの日頃の行いが解りそうな喧嘩をしているお三方!
 そろそろ始めさせていただきたい!」


「……!! …!
 ………?
 あ、はい!」


 ワタワタしていたリリィと未亜は、ようやく動きを止める。
 しかしその間はは妙に距離が開いていた。
 これが今の2人の心の距離だろうか。
 どうやらミュリエルは、上手く2人を仲違い(?)させてくれたらしい。


(今後に後を引かなければいいのですけどね…)


 自分の行動も棚に上げ、ダウニーは思った。
 ダウニー自身も準備万全である。
 大した量ではなかったが、先ほどの試合で使った魔力もほぼ回復した。


「それでは………ゴング!


 ビシっと大河を指差すダウニー。
 妙なノリに支配されつつあるようだ。
 ずっとテンションが低かったから、その反動だろうか?

 特に逆らうでもなく、何処からとも無く取り出したゴングを、大河がトレイター(ピコピコハンマー)でぶっ叩く。


カ〜ン!


 意外にいい音がして、戦いの幕が上がった。


 先ほどの戦いで、足並みを揃えないとどういう結果になるのか理解したのか、リリィ達は一応チームワークらしい行動をしようとして見せた。
 散会し、それぞれに狙いをつける。


「ネクロノミコン!
 ぽよりん!」


 リコの叫びと供に、リリィと未亜の前に本とスライムが現れた。
 何時だったかスライムを嗾けられて、特殊なプレイを体験した未亜はちょっと顔を引き攣らせたが、今は頼もしい味方である。

 自分の前には何も呼び出さなかったが、それは罠である。
 もしリコを狙って突っ込めば、その足元からマジックソードが突き出し、動きが止まった所を未亜とリリィから十字砲火を浴びせられるだろう。
 しかし。


(陣形が拙い…。
 展開するならば、リリィ・リコ・未亜さんの順が妥当でしょうに)


 現在の陣形は右から、ミュリエルの前にリリィ、不必要なほど距離を空けて未亜、そして未亜から丁度いい位の距離を保ってダウニーを睨むリコ。
 どうやら先の心理戦(からかっただけ)が効を奏しているようだ。
 未亜はリリィとの距離を少し詰めようとしているが、リリィは生理的嫌悪感を感じてしまったのか、ジリジリと距離を空けようとしている。
 その結果、リコと未亜間の距離も開いていく。

 それを見てダウニーは考える。


(ふむ……敵が複数の上に自分より戦巧であり、こういった遮蔽物の無い平地である場合…。
 一箇所に纏まらない判断は悪くない。
 纏まっていれば、私か学園長が動きを止めて、一息に吹き飛ばせたのですが。

 それに、この陣形は…崩れているので機能はしませんが、遠距離攻撃専門とも言えるこのチームではある意味必勝法かもしれませんね。
 距離を空けて、手数で一人を一気に圧殺する…。
 一撃の攻撃力さえ足りていれば、結構な効果が期待できるでしょう。
 一応教え通りに動いているのか………いえ、偶然っぽいですね)


 未亜とリリィが繰り広げている無意識下での戦いに呆れ、ダウニーはそう結論付けた。
 何はともあれ、目の前にいるリコを見る。
 チラリとミュリエルの様子を見た。

 ミュリエルはダウニーの戦闘パターンを分析しきっているのか、上手くダウニーに呼吸を合わせてくれる。
 彼女の狙いは…まずリコである。
 まず相手の数を減らすために、最も弱い相手を狙う、というのは常道パターンである。
 だが、この場合は少し違う。
 確かにリコは救世主クラス最下位だが、今は冷静な判断を下し、ぎこちないリリィと未亜の連携を補佐する最も重要な役割にある。
 今リコを倒してしまえば、未亜とリリィはコンビネーションが合わなくなり、いくらでも付け込む隙が生まれてくる。


 ならばと、ダウニーはリコからターゲットを変える。
 中央に位置する未亜に密かに意識を向けた。
 その間も、リコから注意を逸らさない。


(まずは孤立に近い状態の未亜さんを狙い、フォローに向かうリコ・リスを狙い撃ちにする!)


「ブレイズノン!
 アークディアクル!」


 ダウニーは続けざまに二発の魔法を放つ。
 ブレイズノンを野球のようにオーバースローでリコに投げつけ、すぐに方向を変えて地面に手を沿え、氷の魔力を発動させた。
 氷柱が連続してそそり立ち、未亜に向かう。
 スライムがそれを阻止しようとし、一撃で吹き飛ばされた。

 そしてブレイズノンがリコに到着する前に、指パッチンと共に一声あげた。


「ブレイク!」

「!?」


 ブレイズノンが、その場で爆発を起こした。
 距離を測って瞬間移動で素通りし、そのままダウニーに仕掛けようと思っていたリコは意表を付かれる。
 一瞬爆炎で視界が遮断され、リコは盾を構えながらバックステップで退がる。

 爆炎の向こうから、小さな魔力塊が幾つも飛び出してきた。
 パルスの魔法を、質より量を優先させて放ったのだ。
 リコは盾に任せて、今度は逆に直進した。
 このパルスが飛んでくる先に、ダウニーが居るはず。

 治まった爆炎を突っ切ったが、そこには誰も居なかった。


「……!? ! マスター!」


 慌てて未亜の方に振り向くリコ。
 ダウニーはパルスを生成した後時間差で飛ばし、自分はその間に未亜に向かっていたのである。


「このっ…ストレートアロー!」


「破壊力はいい。
 しかし、魔法も体術もそうですが、ただ破壊力が強い攻撃を放てば良いというものではありません。
 特に一対一の場合、最初の一撃を当てられると思わない事です」


 未亜に聞こえるように嘯きながら、ダウニーは未亜の放った矢を避ける。
 弓の攻撃は、総じて直線的になりやすい。
 多少の弧を描く事はあるが、慣れていれば大まかな軌道を予測する事も出来るのである。
 大抵は予測できても反応は出来ないが、ダウニーは未亜の腕の動きや緊張を読み、発射のタイミングを読むという何処ぞの人斬り抜刀斎のよーな真似をしてのけた。


「だったら数で勝負です!
 必殺、ファイナルメテオ!


 未亜の弓が、自分の斜め上を指す。
 次の瞬間、大量の矢が弓から飛び出した。
 矢は未亜の斜め上で一瞬停滞し、一斉に向きを変えてダウニーに突っ込んでいく。


「まだまだ甘い!」


 しかしダウニーは、シールドの展開もしようとせずに、スピードを上げて一気に接近する。
 そのすぐ後ろを、急降下して外れた矢が軌跡を記録するかのように突き刺さっていく。

 未亜に接近しながら、ダウニーは腕を振る。
 衝撃波が打ち出され、未亜に襲い掛かった。


「危なッ!」


 未亜は衝撃波をジャスティを盾にして防ぐ。
 その間にダウニーは、あと一歩の距離に接近していた。


「マスター!」


 しかしリコの声が響き、次の瞬間ダウニーと未亜の間にリコが現れる。
 そして間髪入れずに光り輝き、回転してダウニーに突っ込んだ!


「ぬ!」


 障壁を展開してガードするダウニー。
 しかしダメージは防げてもその勢いは防げないらしく、ダウニーはリコのインフェイムに圧されて後ずさった。
 それと同時に、ダウニーは魔力を練り上げる。
 光り輝き回転するリコに狙いを定めた。
 すぐ目の前に居るので、少しスピードの速い攻撃を放てば確実に直撃する。

 そのまま2メートルほど圧されて後退すると、ようやくリコのインフェイムの力が途切れ、光が失われる。
 そしてそのまま慣性を利用して空中に飛び上がった。
 ダウニーから離れようとしたらしいが、それなら瞬間移動を使った方が良かった。


「ただ跳ぶだけでは、回避行動には成り得ません!
 空中に居る間は軌道を変えられず、着地地点も割れやすい!
 むしろ格好の的だと思いなさい!」


 ダウニーは右手から光球をリコに向けて投げつける。
 インフェイムを使った後で、咄嗟に力を使えないリコは楯を呼ぶ事も出来なかった。


「……!」


 リコは光球の直撃を喰らい、吹き飛ばされる。
 光球がリコに当たった際の爆発はそれほど強いものではなく、手加減している事が解かった。
 しかしそれでも、リコは動けなくなってしまった。


「っく、こ、これは……!?
 呪縛の術ですか…!?」


「その通りです。
 戦い…特に乱戦では、動きを封じられたら最後だと思いなさい。
 魔力、毒、罠……方法を数え上げればキリがありません……っと!」


 ダウニーは障壁を展開し、飛んできた矢と電撃を防ぐ。


「ちっ、ダメか…」


「…リリィさん、着眼点は良かったですが口調が下品です」


 ダウニーはミュリエルと対峙しているリリィを見る。
 どうやら今の電撃は、ミュリエルに避けられる事を承知で放ち、その延長線上に居るダウニーを狙ったらしい。
 リコを動けなくし、また喋っている最中という最も油断しやすく気が抜けやすいタイミングを狙った、かなり成功率の高い攻撃だったと言える。
 ただ惜しむらくは、これまた距離がありすぎた。
 もう少し接近して放っていれば、ダウニーの防御は間に合わなかっただろう。

 一方未亜だが、こちらは本当はダウニーを撃とうと思っていたのではない。
 リコに向けられた光球を打ち抜こうとしたのだ。
 しかし光球は普通に矢を当てただけでは砕けそうになく、力を溜めて打ち抜こうとした。
 結局間に合わず、ならばと今度はダウニーに標的を変えたわけだ。

 未亜とリリィは歯噛みする。
 これはメチャクチャヤバイ状況だ。
 目的…大河を誰の部屋に泊めるか…それとも大河と同じチームを組むのは誰か、だったか?…目的が何だったかはともかくとして、これは圧倒的に不利な状況である。

 ただでさえリリィ・未亜・リコチームとミュリエル・ダウニーチームとの間には大きな戦力差があった。
 そこでリコが抜けてしまうと、これはもう話にならない。
 リリィは半分ミュリエルに呑まれかかっているし、孤立した未亜は単独では力を発揮しにくいタイプである。
 ……もしここで大河が二人に向けて、「勝ったら言う事を聞いてやるぞ〜」とか言ってみれば、少なくともダウニーは倒せただろう。
 その代わりミュリエルの迫力が鬼の領域に踏み込む可能性があるが。


「そ、それでもまだお相手願います!」


「右に同じく!」


 リリィが自分を奮い立たせ、ミュリエルに再び挑む。
 リリィが諦めていないのなら自分も、とばかりに未亜も弓に矢を番えた。

 ミュリエルとダウニーは、既に各個撃破のみで事足りると判断したのか、ジリジリと移動する。
 ミュリエルの移動に応じて、リリィもジリジリと移動する。
 リリィと未亜の距離は、ミュリエルにリリィが誘導されるにつれて更に開いていった。

 ダウニーと未亜は、睨み合って隙を窺っている。
 弓は矢に番えるための時間が必要なので、一撃を避けられると次の攻撃までのタイムラグを突かれやすい。
 そしてヴォルテックス・ヴォルテカノンというとてつもない速さとリーチを誇る魔法がある以上、迂闊な攻撃はカウンターの餌食になるだけである。


(……あれ、待てよ?)


 そこで未亜はふと考え付く。
 あるではないか。
 こちらにも電撃の攻撃…ライジングアローが。
 あまり強力とは言えないが、魔法を放つよりも一瞬でも早く発動させる事ができれば、集中を乱して発射を邪魔する事が出来るかもしれない。


(そう…ダウニー先生の周囲に矢を放ち、すぐに電撃を放つように時間を調整すれば…)


 勝ち目は見えた。
 これ以上時間をかけても、プレッシャーに体力と精神力を削られて自滅するのがオチだ。


(イチかバチか、今すぐ仕掛ける!)


 未亜はジャスティに念を送り、密かに電撃を纏わせた。
 先ほどダウニーに言われた事を思い出す。
 単純に放てばいいという物ではない。
 ならば、フェイントを混ぜて放てばいいだけの事。


「行きます!」


 未亜の叫びと共に、ジャスティから一直線に矢が放たれる。
 それはダウニーへ向かうが、ダウニーは未亜に向かって走りこみながら上体を低くして避ける。
 射程距離まであと3歩。

 矢を放った未亜は、全速力で右上方に飛び上がる。
 ダウニーの射程距離に収められるまであと2歩。


「よっ!」


「む!?」


 ダウニーが声を漏らす。
 未亜は空中で軌道を変え、ダウニーとすれ違うように空中ダッシュで移動したのだ。
 未亜を逃さないためにダウニーは方向転換しようとし、一瞬動きが止まる。
 未亜の狙いはその瞬間である。

 ダウニーの頭上に、一瞬影が落ちる。
 ハッとしたダウニーは、すぐに頭上に障壁を張り巡らせた。

カカカッカガガッカカン!

 ダウニーの頭上から矢が降り注いだ。
 未亜が放った矢である。
 ダウニーが方向転換する前の一瞬、死角に入っている間に未亜が空中に向けて放っていたのである。
 そして未亜が着地した今、時間差で落ちてきた。
 その内ダウニーに直撃コースだったのは8本中2本のみ。
 他は全てダウニーの周囲の地面に突き刺さり、その2本も障壁に弾かれた。

 ダウニーは今度こそ未亜を射程範囲内に捉えた。


「フェイントを入れるなら、もっと上手くやりなさい!」


 そう叫んで、ダウニーは未亜に手を向けた。


「ヴォ…!?」


 呪文を叫ぼうとした瞬間、ダウニーのに奇妙な感覚が走る!
 その感覚に従って、ダウニーは呪文を中断して飛び上がった。


バヂャンッ!


「ああっ!」


「ふぅ、危なかった…」


 地面に突き立った矢と矢の間に、一瞬だけ強力な電撃が発生した。
 これが未亜の本命の攻撃だった。
 とにかくダウニーの攻撃を妨害し、一瞬でも動きを止められれば、ジャスティを全力で撃つ事が出来る。
 リコとの契約の力も上乗せされ、さらに原因不明の召喚器の能力上昇まで付加されたその破壊力は、ダウニーの魔力を持っても防げる物ではなかっただろう。
 …まともに喰らったら死人が出たかもしれない。

 ダウニーは、先ほど頭を走り抜けた感覚について思う。


(あれは……そう、髪がアフロになっていた時の感触…。
 これもアフロ神の残したご加護でしょうか?
 …私の神も髪も死んだよーなものですが、アフロ神はちょっと信じてみましょうか…)


 …どうやら、そーいった理屈で電撃を察知したらしい。
 電撃以外にも、火炎弾や爆発の類に反応すると思われる。
 ぶっちゃけた話、喰らったらアフロになる可能性のある攻撃だ。

 なにはともあれ、未亜の乾坤一擲の策は見破られた。
 今の未亜は、無防備な状態でジャスティに力を送り込んでいる。
 その力が大きすぎて、すぐには動けない。
 今制御を手放せば、暴発が起こる可能性があるのだ。

 しかし、その無防備な状態をダウニーが見逃す理由は無い。


「ヴォルテックス!」

「!!!! ええぃ、このっ!」


 ダウニーの手から、電撃が放たれる。
 針の穴でも通すかのようなその正確さは、未亜がヤケッパチで放った矢に半分切り裂かれながらも、未亜の両手に直撃する。


「きゃっ!」


「……」


 ダウニーの攻撃を切り裂いた矢は、それで力の限界が来たのか、電撃に飲み込まれて叩き落された。
 電撃を受けた未亜の両手は、運動機能が麻痺してしまったのか、全く力が入らない。
 カラン、と音がしてジャスティが地に転がった。

 ダウニーは無言で未亜に右手を向ける。
 未亜は悔しげな顔をしていたが、やがて仕方ない、と言った表情で両腕を上に上げた。


「……あの、ダウニー先生…この手…」


「大丈夫です、暫くしたら元に戻りますよ…。
 まぁ、治りかけている最中の、あのビリビリする感覚は仕方ないでしょうけど」


「うう、お兄ちゃんとかカエデさんとかナナシちゃんが何をしてくるか…」


 未亜の両手は、全く力が入らずにキョンシーの両手が如く、ブランブランと揺れていた。


 一方、こちらはリリィとミュリエル。
 リリィはミュリエルの相手に集中しすぎ、未亜の事が頭からスポッと抜け落ちていた。


「アークディル」


「ブレイズノン!
 パルス!」


「甘い!」


 ミュリエルの氷を炎で溶かして水蒸気の幕を作り、その中からパルスを無数に創り出してバラバラの軌道でミュリエルに向かわせる。
 ミュリエルは自分を中心とした魔力の爆発を起こし、パルスと霧を丸ごと吹き飛ばす。

 リリィはミュリエルとの戦いに集中…あるいは酔っていた。
 戦えている。
 自分では彼女の足元にも及ばないと思っていたが、今のリリィはミュリエルと曲りなりにも戦えているのだ。
 自分の力が、思っていたよりも強かった…あるいはミュリエルとの距離が近かった。
 リリィはその事実に驚き、ミュリエルとの力量差を確かめる事に熱中している。
 無論、まだミュリエルは本気ではないし、リリィとミュリエルの力量差は大きく開かれている。
 だが、決して届かない訳ではない。
 簡単に言うと、今のリリィは雲で見えていなかった山の頂上を眺めて、陶酔している状態だろうか。
 今までは頂上を見るどころか、登ってさえ居なかった。


(もっと、確かめたい…!)


 リリィは再び魔法を放つ。
 ミュリエルが迎撃し、反撃する。
 リリィはそれを何とか捌き、逆に利用する事さえあった。

 今のリリィは、ミュリエルの実力に色眼鏡をかけて見る事を止めている。
 その為にミュリエルの行動や技術を逐一見詰める事が出来、そして学習しているのだ。
 稚拙ながらもミュリエルの技術を盗み、自分流に解釈して反撃に応用する。

 リリィ本人もそうだが、ミュリエルも本気で驚いていた。
 ミュリエルはリリィの成長に喜びを覚える。
 召喚器の力を借りているとはいえ、これならばかつての自分と同じ位の力を持つのはそう遠くないだろう。

 だが。


(まだまだいい気になるのは早いですよ、リリィ…)


 ミュリエルはダウニーをチラリと見る。
 既にダウニーは未亜を下し、リコを動けなくし、こちらに介入するタイミングを窺っているようだ。
 もしダウニーが動けば、その瞬間にリリィとミュリエルの均衡は崩れ去る。
 ミュリエルの存在しか頭になくなっているリリィならば、簡単な不意打ちでも即座に討ち取れるだろう。

 ダウニーは視線でミュリエルに問いかけてくる。
 ミュリエルは僅かに首を振った。
 今のリリィはトップギアに入っている。
 その成長に歯止めをかける理由は無い。
 もう少し続けて、リリィの集中力が切れた頃に横槍を入れるのがいいだろう。

 リリィはバトルジャンキーかと疑いたくなるような表情で、ミュリエルの魔法を受け、反撃している。
 その駆け引きや技量は、まだ荒削りながら目を見張るものがある。

 横でボケっと見ているダウニーとしても、これほど面白い見物は無い。
 雛鳥が化ける瞬間など、そうそう見られる物ではないのだ。
 教師根性と言うべきか、それでも時々小声で「ああ、そこはもっとこう…」とか「その魔法は選択ミス…」と呟いて評価していた。


 さて、一方こちらは傍観組。
 リリィの意外な健闘に驚いている。


「リリィって、学園長の足元にも及ばないって自分で言ってたよな」


「でもでも、ミュリエルちゃんは、リリィちゃんは本人が思っているほど弱くもないし、自分はリリィちゃんが思っているほど強くないって言ってましたの」


「強くないと言っても、充分過ぎる程に強かったでござるが…」


「おそらく、ヤケクソ半分で立ち向かったら意外と戦えたので、自信をつけたのでしょう。
 これなら、ひょっとするとひょっとして…」


「う〜ん、それは無いんじゃない?
 ええと、毛髪根絶を使うと髪型七変化が出来なくなるから、こっちに…」


 ルビナスは大河達に混じって批評しながらも、薬の調合を進めている。

 リリィに密かな期待を寄せて、ベリオ達は戦いを見る。
 今もまた、ミュリエルの大きな魔力塊を散らし、逆に反撃するリリィ。


「あっ、今学園長に一撃当たりました!」


 油断したのか避け損ねたのか、ミュリエルの脇腹に小さな氷が張っている。
 しかしミュリエルは軽く叩いただけでその氷を割ってしまった。
 どうやらアークディルの冷気が、服の表面を凍らせただけらしい。

 有効打にはならなかったとはいえ、ヒットはヒット。


「リリィちゃん、すご〜い☆」


「ダウニー先生が控えているので勝利は無理としても…」


「これなら、一矢報いる事が出来るかもしれないでござる!」


 相手が教師と学園長とはいえ、一泡噴かせるくらいはしないと救世主クラスの沽券とプライドに関わる。
 せめて一撃、と思っていたカエデとベリオだが…その願いは果たされなかった。


「無理だな。
 そろそろだぞ」


「そうね」


 興味深げに見守っていた大河と、薬の調合をしながら横目で時々確認しているルビナスである。
 盛り上がりに水を刺すような言葉に、カエデとベリオは非難がましい目を向けた。


「どうしてですか?
 確かに学園長は今のリリィよりもずっと強いかもしれませんが、リリィの成長スピードだって目覚しい物がありますよ」


「そうでござる。
 現に掠る程度でござったが、リリィ殿の攻撃が当たったではござらんか。
 このまま続ければ…」


「だからー、続けられないって言ってるのよ」


 ベリオとカエデの反論に、面倒臭げに反すルビナス。
 ちなみにナナシはよく解っていない…と思ったら、なにやら懐から取り出した紙を読みふけっている。


「それはどういう事ですか、ルビナスさん?
 …それとナナシさん、何を読んでるのか知りませんが、次はアナタとルビナスさんですよ。
 真面目に見なさい」


「う〜ん、次はナナシもゲームに参加するから、説明書を読んでるんですの。
 ええと、↑R↓LXYBA、S…」


「説明書!? というかS!? そもそもそれはスト2の同キャラ対戦コマンドでは!?」


「Sはセレクトボタンですの。
 それからゲージが一杯になって、ライフゲージが点滅してると究極奥義の発動準備…。
 それからBとAの同時押しでソウルボム発動。
 あ、裏技コマンドもあるですの」


「ゲージ!? ライフゲージ!? 究極奥義!? ソウルボム!? 裏技!?」


 ベリオの驚愕顔はともかくとして、ルビナスはチラリと、未だ戦いを続けるリリィとミュリエルを見る。


「カエデちゃんが解らないのはともかくとして、ベリオちゃんが…。
 いえ、逆なのかしら、この場合…。

 ベリオちゃん、リリィちゃんの魔力とミュリエルの魔力を見てどう思う?
 ダーリン、後説明お任せ。
 私も説明は好きなんだけど、発明品の解説じゃないからねー」


 それだけ言い捨ててまた調合に集中するルビナス。
 大河は苦笑して頷いた。

 ベリオは言われた通り、2人の魔力を感知して比べてみる。


「…互角…いえ、リリィの方がやや優位…でしょうか?
 いくら学園長が強い魔法使いと言っても、リリィには召喚器があります。
 ですから、魔力の絶対量で言ったらリリィに分があると思うのですが…」


「ああ、それは解る。
 カエデもリリィの魔法の威力が全然落ちてないのを見て、互角だと思ったんだよな?」


「その通りでござる。
 拙者、魔法に関しては感知も殆ど出来ぬ故…」


 恥ずかしげな表情のカエデ。
 大河は一度頷いた。


「まぁ、その辺は俺にもよく解らないから、分析は任せるが…。
 問題なのは魔力の量と質じゃない。
 その使い方だ。
 確かにリリィは、えらい勢いで成長して、学園長の魔力の使い方を真似て、学習している。
 でもな、それはあくまで付け焼刃…多少のズレは力で辻褄を合わせているだけなんじゃないか?」


 大河にそう言われ、思わずベリオはリリィを見る。
 確かに、ミュリエルの術と比べて荒い…というか、雑な部分がある。
 そこを指摘され、ベリオはハッと息を呑んだ。


「そ、そうです!
 強引な辻褄合わせは、必ず何処かに皺寄せが出る…。
 そう、リリィの体に負担となって現れているんです!
 それに学園長の使う術はあまりに高度なものが多く、当然未熟なリリィではそう言った強引な辻褄合わせを多用する事になります。
 術が高度に成れば成るほど、辻褄が合わなくなり、強引に対処する…。
 つまり、リリィが成長して新しい魔力の使い方を学べば学ぶほど、リリィの体は自滅していくんです!」


「何ですと!?」


 ベリオの叫びに、カエデは大口を開けて叫び返した。
 慌てて注視してみると、なるほどリリィの体の動きが鈍くなっている。
 体術…体を使うことに関する専門家のカエデが気付かなかっただけあって、解りにくい症状ではあるが、魔法のバックファイヤは確実にリリィを蝕んでいた。


「そーゆー事よ。
 確かにリリィちゃんの成長は早いけど、サル真似ばっかりじゃミュリエルに勝とうなんて無謀もいい所だわ。
 リリィちゃんは秀才タイプだから、今後一つ一つを確実にモノにしていくでしょうね。
 そういう意味では、スキルアップ大成功よ。
 ま、今後に引くような大事になる前に、ミュリエルかダウニー先生が幕を引くでしょ」


 気楽に言うルビナスの隣では、ナナシが説明書を見て目を回していた。
 どうやら内容が理解しにくかったらしい。


 大河とルビナスが気付いていた事を、2人が気付かないはずもなく。
 ダウニーはそろそろ潮時かと、介入する気になっていた。
 ミュリエルにアイコンタクトを送る。


(よろしいですね?)


(むしろ少し遅かったかもしれませんね…。
 お願いします)


 ミュリエルが本気を出して一気に吹き飛ばしてもいいのだが、この演習の目的には沿わない。
 ダウニーは冗談抜きで暴走しているリリィの背後に忍び寄った。


「お義母様、余所見をしている暇があるんですか!?」


「ええ、まだまだヒヨっ子が相手ならば余裕ですよ!」


 ミュリエルはリリィの注意を引き付けている。
 また魔法の応酬で、マナが辺りに飛び散った。

 ダウニーは魔法を使わない。
 今のリリィは全身が魔力のセンサーのようになっているだろう。
 大丈夫だとは思うが、今リリィを止めるために魔法を使えば、事前に察知されてしまう可能性がある。

 別に魔法が使えなくても、ダウニーには大した支障はない。
 線の細い外見からは想像もつかない程に鍛え上げているのだ。
 そうでなければ、実力主義のフローリア学園で教師を務めてなどいられない。


「ヴォルテカノン!」


 ダウニーはリリィが魔法を放つのを冷静に見詰めていた。
 そして魔法を放ち終わった瞬間を狙い、その手を伸ばす。


「フンッ!」


「あぐっ!?」


 トン、という小さな音。
 手刀を打ち込んだのである。
 次の魔法の詠唱をしていたリリィは、首筋に軽いが鋭い衝撃が走るのを感じた。
 それが何なのか理解する前に、リリィの体は前のめりに倒れる。

 ドサ、という音と共に、リリィは自分が倒れているのを理解した。
 何が何だか解らないリリィに、ミュリエルの声がかけられる。


「ふぅ……意外と梃子摺りましたね…。
 強くなったわよ、リリィ……でも、まだまだね」


 ミュリエルは倒れたままのリリィに近寄っていく。
 無論、障壁を展開する準備も怠ってはいない。
 魔法は体が動かなくても使えるのだ。

 それを見て、リリィは抵抗を諦めた。
 すーっと頭が冷えていく。


「…今のはダウニー先生……ですか?」


「そうです。
 技量の向上には目を見張るものがありましたが、だとしてもこの結果は許容できる物ではありません。
 目の前の相手に集中するあまり、周囲の状況を忘れ去るとは何事ですか」


「くっ…」


 反論の仕様がない。
 頭に血が上るとロクな事にならないというのは、先日の遠征の際に色々と思い知ったというのに。
 屈辱に震えるリリィだが、今の彼女は立ち上がる事も出来ない。


「未亜さん…は、まだ手が回復していませんね。
 リコ・リス、リリィを運んであげてください。
 ダウニー先生、もう呪縛を解いてもいいですよ」


「はい」


 ダウニーはリコに掛けていた呪縛の術を解呪する。

 ずっと地面に倒れたままだったリコは、立ち上がって大きく伸びをした。
 首を左右に曲げると、骨がゴキゴキ鳴る。


「う〜、肩が凝りました…。
 未亜さん、リリィさん、大丈夫ですか?」


「うん、私は手に力が入らないだけ…動かそうとすると、電撃がビリビリくるけどね」


 足が痺れた時のアレである。
 しかしどーゆーわけか、これはこれで動かしたりしてみたくなるココロの不思議。
 未亜も漏れなく発揮して、指をピクっと動かしては「しびしびしびしび…」などと言っていた。

 リコがリリィに目をやると、まだ動けないらしい。
 ダウニーがリコに話しかけた。


「そう心配しなくても、単に神経にちょっとした楔を打ち込んだだけです。
 今はただ体が混乱しているだけですから、放っておいても直ぐに治りますよ」


「…ならばいいのですが」


 リコはリリィに近寄って、念のために魔力を流してリリィの体を検査する。
 実は怪我の診察以外にも、スリーサイズとか健康状態とか性感帯とかも見えているのはヒミツである。

 一通り検査したが、確かにダウニーの言うとおり、大した問題は見られない。
 疲労が強いが、これはベリオが推察したように魔力のバックファイアのためだ。
 ただ普通の人とは違った機能というか器官が見られたのだが、これは多分ネコヒョウ変身のための器官だろう。
 リリィの体は、既に回復しはじめている。
 これならじっとしていれば何の問題もないだろう。

 リコは言われた通り、リリィを運ぶために担ぎ上げた。
 見た目は小柄でも、赤の精霊は力持ちである。


「よいしょっと…」


「……悪いわね…」


「いえ」


 リリィは軽々と自分を持ち上げるリコに驚いたようだったが、大きなリアクションは取れなかった。
 リコではリリィを担ぐのに背丈が足りないが、少しずつ回復してきた体でリリィも歩いている。

 未亜が駆け寄ってきて、リリィを支えた。
 手が使えないが、腕とかは問題なく使える。
 器用に腕を使ってリリィの体のバランスをとる。


「ご苦労様です、リリィさん…。
 惜しかったですね」


「……まだまだよ…。
 でも…色々と、学べた…。
 確実に、モノに……していかなくちゃ…」


 未亜に少しだけ笑いかけるリリィ。
 それを見て未亜は、らしくもなくドキっとしてしまった。


「さて、今度はルビナスとナナシの番だな。
 薬品の貯蔵は充分か?
 説明書は理解できたか?」


「まだまだ満足してないけどね。
 ま、これぐらいでいいわ」


 そう言って、ルビナスは何だか色の変る液体が入った試験管を大河に見せる。
 中身が蠢いているような気もするが…。


「取説なんて、どーせ誰も読まないですの!
 格ゲーなんて、フィーリングでどーにかなるですの!」


 ナナシは説明書を読むのが面倒臭くなったのか、顔を(゜з゜)なカンジにして嘯いている。
 それを聞いて大河は何だか不安になる。
 ナナシがボケて何かをやらかすのはいつもの事としても、彼女のボディはルビナス特製だ。
 何が起きるか解らない。
 適当に起動した機能が、半径30キロを丸ごと吹き飛ばす自爆機能だった日には目も当てられまい。

 自分の想像にゲッソリしながらも、大河は戻ってきたリコ達からリリィを受け取った。


「ちょっ、放しなさい…」


「マトモに歩く事も出来ないのに何を言ってんだ。
 ほれじっとしてろ、そこの壁に横たえるのと俺が持って支えてるの、どっちがいい?」


…………………………………………………………………………お姫様だっこがいい


「ん、よし。
 本当ならもうちょっと粘って大きな声を出させるんだが、敢闘賞という事で」


 大河はリリィを抱き上げる。
 それを見てナナシとかカエデとかがあー、と声を上げた。


「リリィったら…人前でそんな事までしてもらうなんて。
 いやいや、大胆になったモンだねぇ」


 ベリオとブラックパピヨンは見物の構えである。
 ちなみに、ブラックパピヨンの事はダリアやミュリエル、リリィも知っている。
 乱交騒ぎの後に説明を受けたのだ。

 ニヒヒヒヒ、とオヤジな笑いを漏らすパピヨンの視線から逃れるように、リリィは体を縮めて大河に抱きついた。
 随分と大胆になったものである。
 無論、その顔は真っ赤で心臓はドキドキバクバクだ。


「あー、いいなぁリリィさん…。
 私もしてほしいなぁ…地球でやって以来、お姫様だっこはしてないものねー。
 ねぇねぇお兄ちゃん、私の手が治らなかったら、アーンとかしてくれる?」


「おう、任せとけ!
 アーンから下の世話までバッチリだぜ!」


「蹴りゃっ」


 大河に軽いキックを入れる未亜。
 両手以外は大丈夫そうだな、と見て大河は一安心した。

 大河は壁際まで歩いていく。
 ずーっとこのまま持っていてもいいのだが、次は大河の試合である。
 体力のロスは少ない方がいい。


「よっと…」


 リリィを持ち替えて、大河は壁にも垂れて座り込む。
 そしてリリィは膝の上に。
 大河の両手はリリィのヘソの前で組んでいる。


「あ、それいいですね…それじゃ私も」


「拙者もー」


「ああん、ズルイズルイ〜」


 ベリオが、カエデが、なんかキャラが変わっているリコが、大河に寄り添った。
 未亜はというと、無理に引っ付こうとはせずに、大河の頭やリリィの髪を撫でている。
 …やっぱり手がビリビリ来ているよーだが、それもちょっと快感に変わっているようだ。


「あ〜ん、ダーリン、仲間ハズレはイヤですの〜」


「ナナシさん、イチャつくのは後にして早く来てください!
 勝ったら大河君を独占する権利も主張できるかもしれませんよ!」


「そうよナナシちゃん!
 ここで一発、クソ生意気な台詞を吐いたダウニー先生をギャフンと言わせ、ダーリンに魔手を伸ばしたミュリエルに追加のオシオキをして、さらに私達だけ勝利してダーリンをお持ち帰りするのよ!
 そしてホレ薬とか飲ませて、私達が正妻に!」


 ダウニーの煽っているとしか思えない声と、ルビナスの内心丸出しの叫びに、ナナシは振り返る。
 また大河達の方を振り返り、どちらに行くべきか迷っているようだ。

 女体に埋もれかけている大河は、苦笑してナナシに行って来い、と合図を出す。
 ナナシは覚悟を決めたのか、むんっと袖捲りなどして歩いて行った。




しまった一日遅れたー!
毎週水曜に更新予定で準備も出来てたのに、友達に勉強を教えるのにかまけてすっかり忘れてた…。
規則的なのが数少ない取り得だったのに…うう、試験のバカヤロー!
工業英語なんぞ出来なくても生きていけらー!
…就職には不利かもしれないが。


それではレス返しです!


1.影月 七彩様
はじめまして!

飾りでしょう、あの頭は…。
ダウニーの頭は日の光を浴びると、パワーダウンどころかソーラーパワーを集めはじめますw
勿論レーザーも…。
あ、そう考えると飾りじゃなくて武器ですね。

混線模様になってるのは、妥協以前に未亜がレズに目覚めたのが最大の原因かと…。


2.メル様
主の能力を奪おうにも、ダウニーは誰が主なのか知らないでしょう。
原作で知ってたのは、イムニティが告げたからではないかと。

リリィは適度に不幸がよろしいのです、幸福絶頂もイイですが救世主クラスにイヂらせて半泣きにするのが好きですねぇ。
本人は辛うじて幸せですw


3.ATK51様
久々にシリアスに突入中です。
え〜と、最後のシリアスが遠征での戦闘だとすると…7-7からだから、およそ5話分?
ネコヒョウコンビを出すのに、メチャクチャ手間をかけましたからね…。

久々にベリオに焦点を当てようと思い、強引にネタを引っ張り出してみましたw

対ドムは…ちょっと土俵が違いますね。
ドムの専門は集団戦闘で、大河の専門はあくまでゲリラ戦や個人での闘い…でしょうか。


4.文駆様
始めまして、感想ありがとうございます。

ゼロの遺跡辺りから、オリジナルな展開を前面に出していこうと思ってます。
その分話が薄くなったり遅くなったりするかもしれませんが、今後ともどうぞよろしく。


5.流星様
ベリオの世界にも居るんじゃないですか?
ハクセイウィ(黒社会)とかMIBとかがw

R・新堂の領域に達したダウニーですが…さて、今度はどうしてくれよう…。
…やはりアレか、今は落ち武者だから…。

ゼロの遺跡は、ナナシの章ですね。
一度目の遠征の後、ナナシが救世主クラスに編入され、そしてゼロの遺跡へ…。


6.根無し草様
確かに取り合いされたのは同感ですが…体が持たないなぁ、物理的に…。

時守も原作のダウニーはあんまり好きじゃありませんでした。
だから書きやすいようにと思ってギャグキャラ化したんですが…。
さて、これからもギャグに使えるか…。

未亜達に加えてミュリエルも893化したら神にだって勝てますぜ。


7.カシス・ユウ・シンクレア様
同人少女、名前はつきましたが…出番は当分無いかなぁ…。
サリナじゃなくて同人少女と読んだ方がしっくり来る気がしますw

外伝…セルにもいい目を見せてやらなきゃならんのか…。
…オチはしっと団になりそうですね。

ダウニー先生、今回はマジで強くしてみました。
実際、ギャグに走らなければこれくらいの実力はあると思います。

エネルギーが尽きないように、ぼちぼちやる事にします。


8.3×3EVIL様
ああいうキャラ…というと、澄ました顔をしてやたらプライドが高いキャラでしょうか?
今のダウニー先生は、以前ほどのプライドはありませんが…というか、あれだけギャグキャラにされてプライドを保てるよーなヒトを俺は知らないw
いや、某悪役なら平気か。

ダウニーの目的は、一応今回はそのどちらでもありません。
もっとバカっぽい理由ですね…。
ま、その辺は次回あたりに。

ゆ、ゆにーくないもうとさんですな…。
何を考えていらっしゃるのでしょう…。


9.アレス=アンバー様
何を悟ったって、ある意味自分の死期を悟ってる気が…。
まぁ、悟りを開いてもダウニーですから何かオチは付けたいッス。

う〜ん、時間的にお手付きは難しいですね…出来るとしても当分先です。
…いや待て、ひょっとしたら大河じゃなくて…。

コスプレするのはリリィですね、間違いなくw


10.博仏様
原作でも可愛かったですからねぇ…PS2に移植されて全年齢対応になった事で、どれだけのヒトが萌え転げたでしょう…。

そろそろ本格的に戦争に突入っぽいです。
バトルシーンが増える事になるのか…キツイなぁ。
なんとかギャグで乗り切れないか…などと考えてますw


11.蓮葉 零士様
アフター物ですか……ピンと来ました。
名づけて『アルディアの学習帳』。
色々な人(主に未亜)に余計な事を教え込まれて、それにセル君が振り回されるのです。
…ただ、オリキャラが中心なのは難しいので、やはり幻想砕きの流の中で何とかやってみようと思います。


12.試作弐号機様
ん〜、イムはガルガンチュワの事は知っていそうですけど、その在り処まで知ってるかなぁ…。
ガルガンチュワが封印されたのは、イムニティとロベリアが封印された後だと思ってたので…。
そしてガルガンチュワはダウニーの先祖辺りが地道に調査してたか語り継いでいたのかと。

サリナ…と名付けはしたものの、リリィ辺りは今後も同人女とか呼んでそうです。
防音結界は要りますよ〜、無かったら大河君がリリィに手をつける前にコーフンして夜這いに行きそうですからw

ダウニー、君の明日はあっちだ。
ちょっとシリアス入ったからって、ギャグキャラ脱却できると思うなよ!

肉球?
モチロン付いてますが何か?
そしてリリィは素ですが、それが何かっ!?


13.水城様
らぶらぶビームはそれほど破壊力強くありませんしねー。
そもそも時守的には、大河以外に向ける気はないのですがw

…使ったら、意外と神の方から降伏を申し出てくるかもなぁ…。


14.竜神帝様
一応は死んでもらう…つもりなのですが、一応全員ハッピーかそれに近いエンドを予定してます。
単に死ぬだけじゃありませんよ…。


15.なまけもの様
サリナのハーレム参入までは、まだかなーり時間がありますな。
だって明日から遠征だし、今晩は救世主候補生達とお付き合いだし。
遠征が終わってから、かな…。

精神力が高まっているのではなく、単に恐怖で神経が一時プッツンしているのでは?

イムは…この場合は…聖水ですな。
さもなくば…飲ませるのは白で、かけるのは聖?


16.神曲様
いやいやいや、至高の一品でしたよ?
イイ電波を受信なされたようですね。

ザビエルかぁ……むぅ、悪くはないけど、やっぱりあっちに…。
いや、本当にザビエルみたいに布教させるのもいいかも…。


17.悠真様
ダウニーの末路…原作通のイヤミなキャラから、一転してギャグキャラ、さらに悟りを開く?
どうしたもんでしょうコイツは…。

ダウニー&ミュリエル、メッタクソに強いです。
あれでもトップランクの力の持ち主ですし、事前の準備と戦術さえ間違えなければ段違いの力を発揮します。

…あれ、今ミュリエルがブルマなんぞ付けてる所が浮かんだぞ。

何だかよくわかりませんが、店の名前はその場の思いつきですよ。
1900円か………どっかのサイトでロハで見れないかなぁ…。


18.ネコ科様
まぁ、ミュリエルもオンナですしリリィの義母ですしw
時守はみず谷先生の本は人類ネコ科しか持ってませんが、今もお気に入りです。


19.アルカンシェル様
最近っちゅーても、2話…2週間程度ですけどね…いかん、確かに濡れ場ばっかりだった気がする。
らぶらぶビームを未亜達に教えないのは罪でしょうw
やはり美しい物と萌えるモノは皆で愛でないと。

ダウニーは…今後もそこそこギャグをやって欲しいですね。
もうシリアスオンリーのダウニーは書ける気がしませんし…。

一応ありましたね、アフロ神のご加護がw


20.nao様
一週間で読み終えられれば、充分早いですよ。

食わず嫌い云々以前に、積みゲーは勿体無いですよ〜。
…時守も幾つか積んでますけど。

介入はしてますが、あの人じゃありませんねぇ。
ネットワーク所属のあっちゃんはやや魔王なので…。
誰が介入してるのかは、この章の終盤までには(多分)明かされますのでお楽しみにw


21.K・K様
オギャンオス!
よくなくても祝、なんですねw
…さて、次のターゲットは食堂だけど……よく考えたらリコとか学生達が暴れまわってるから、普通に被害が出てるんですよね(汗)

大河の夢に出てきたのは、ダウニーの声とは全く別の声ですよ。
大河が何とか聞き取った単語がダウニーだったんです。

波平カットの一本?
切れないでしょう、人として男として…。
が、ダウニーはそれを敢えて抜きました!
一応有効利用しているよーですw

では、オギャバナラ!(オリジナル)


22.ナイトメア様
なんか大変そうですが…お体を大切に。

それほどR・新堂が気に入られましたか?
他のに比べてちょっとパンチ弱い気がしたのですが…。

アリス…というと、アリスソフト辺りっすか?

今回は未亜尽くしですか、思わず納得の展開ですw
ワンコがセーラー服着とる……。
と言うか未亜、獣姦か? 獣姦なのか? バター猫とバター犬か?
…カエデにイヌミミつけた時にバター犬をやらせようと思ったのに!
……うん、別に問題ないよな。
イヌミミ付けたら予定変更せずにやらせよう。

ムドウ猫型………雄か雌かで反応が分かれますね…。

個人的にルド皿饂飩…もといルドラサウムの方がタチが悪い気がしますね。
DSの神は、少なくとも“破滅”の時期以外は干渉して来ないようですし…。
一応参加はしているようですが…鬼畜戦士の性格上、臨時の傭兵のような関わり方ですね。


23.神〔SIN〕様
まぁ、自分でも書いてる時に「アレ? こいつイカレちゃった?」とか思われるように心がけましたから。
実際、ある意味では深刻にイカレてるんですが…。
今のダウニーはコメディチックなヤケクソと、割とシリアスな狂気の狭間にいます。
ここからどう進むかは電波次第……神よ、電波よ!
時守は彼をシリアスしつつもギャグキャラで居させたいので、ネタを! 何かネタをいただきたい!
自分で書いていると、どうにも中途半端なキャラになりそうなので…。

暗黒騎士の能力は健在です。
性格が変りつつあると言っても、能力には大して影響ありませんから。


24.舞ーエンジェル様
えーと、1−3、1−3と…。
どういうラインナップだったかなぁ…。
……こんな感じかなー?
殆ど捏造かもしれませんが…。

前にもレスで聞かれたのですが、基本的にオリキャラです。
でも一応、この連中から連想しました。
東大生志望 → らぶヒナの景太郎。彼は幻想砕き後にSSを書く時に主役にするつもりです。
炎を操る女 → 烈火の炎の陽炎
フェアリー → ベルセルクの妖精(名前忘れた)
指揮官   → 性格はガンパレの善行
魔女    → シオネ・アラダ
隊長    → ギルティギアのクリフ・アンダーソン
ロボットもどきのオペレータ → 最近終わりのクロニクルのSfみたいだったらいいなと思いました
邪神    → すめらぎの巫女達の主人公
負け知らずの男女 → ガンパレの芝村・速水

覚えているのはこれくらいで、この中に無い連中はその場のインスピレーションです。


25.なな月様
…マジで在りそうですなぁ…。
知らぬ間にそこまでキャラを確立してしまったサリナ…君は恐ろしい人だ…。

ダウニーはまだ完全にギャグ畑から抜け出た訳ではありません。
これからも何気にマヌケな道を歩んでもらいます。


26.鈴音様
普通…ですか?
未亜達の視線を受けても平気な辺り、あまり普通でも…(汗)

確かに行動はある意味まともかもしれませんね。
挙動は不審ですが…。

サリナ、君のネタが浮かばないよ…。

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