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「ある幻想の魔術師と黒の姫君 第十二話 (まぶらほ+型月系)」

REKI (2006-02-07 12:01)
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さて和樹が鍛錬に行った二時間ほど後、凛も毎日の日課として朝の素振りに行こうとしていた。

片手に刀を持ち寮の出入り口から出ようとした所で、

「ああ、そうだ。」

何かを思い出したようで中に戻って行く、どうやら郵便物のチェックに行ったようだ。

自分の部屋番の郵便入れから取り出し一枚づつ見ていく、

「まったく・・・迷惑だな。」

ダイレクトメールの類を備え付けられているゴミ箱に捨てながら嘆息していると、

「ん?本家から?」

その中の一枚の差出人に神城本家の名を見つけたようだ。何か嫌な予感を感じながら封を切り読んでいくと、

「な・・・!?」

絶句してしまった。どうやら嫌な予感が当たってしまったらしい。


〜場所は変わり式森和樹の部屋〜

「ただいま〜。」

「おかえりなさい。」

玄関から帰ってきた和樹を台所から出てきて出迎えるアルト(当然アルトは合鍵を持っている。)

「何処行ってたの?」

「朝の鍛錬、最近サボっちゃってたからね。」

「ああ、なるほどね。朝ご飯もう少しで出来るから。」

何故居なかったのか?と聞くが答えにすぐ納得し台所に戻っていく。

「うん、何か手伝おうか?」

そう問う和樹に顔だけ出して、

「別に大丈夫よ、とりあえずシャワーでも浴びてきたら?というか浴びてきなさい。汗だくじゃない。」

そう言って戻っていった。和樹も素直に従い風呂場に行ってシャワーを浴びる。
そして丁度出てきた所で夕菜が来訪、朝食も出来たようで全員で食べ学校へ向かった。


通学路の中ほどで夕菜が前の方を歩いている凛を見つけた、

「あれ凛さんじゃないですか?」

「本当ね。」

「うん、なにか落ち込んでない?」

その凛はと言うと肩をだらんと下げてため息まで吐いている、和樹の言うとおり落ち込んでいるようにしか見えない。

「どうしよう・・・どうしよう・・・。」

「凛ちゃん?」

なにやらブツブツと呟いている凛に後ろから声を掛けると、ビクゥッと過剰な反応をしめし物凄い勢いで振り向いた。

「うわ!?な・・・なんだ式森か脅かすな。」

「いや、脅かす気なんてなかったんだけど。一体どうしたの?」

その反応に和樹も驚いたようだがとりあえずどうしたのか?と聞いてみたが、

「あ、いや、その。べ別に何でもないぞ?」

「その反応で何でもないって言われても・・・ねえ?」

「そうね。どうしたのよ一体?」

「そうですね。どうしたんですか?」

目線を逸らしながらそう言ってくる。
その解りやすい反応に汗を掻きつつ横の二人に同意を求め和樹、横に居た二人も凛にどうしたのかと尋ねるが、

「べべべ別になんでもないんです。そう、何でもないんです。」

「いやだから・・・。」

「その反応でそう言われても。」

「信じれるわけ無いでしょうに・・・。」

首を振って否定する。
何か隠しているのは丸解りなのだが・・・、

「しかし・・・これ以上家の事で迷惑を掛けるわけには・・・。」

「え?なんだって?」

「いえ!?な、何でも無いです!?じゃあ急ぎますから私はこれで!?」

「え?!ちょっと?!」

何か下を向いて呟くが、和樹が尋ねた瞬間、一気に離すと走って行ってしまった。

「どうしたんだろう?」

「さあ?」

「絶対何か隠してますよね。悩み事なら相談してくれてもいいのに。」

取り残された三人は顔を見合わせそれぞれ首を傾げた。


〜学校の授業中〜

和樹はというと、

(どうしたのかな凛ちゃん?絶対何か悩んでると思うんだけど。)

朝の凛の様子が気になって授業をまったく聞いていない。

(ん〜僕達には相談できない類なのかな?)

何を悩んでいるのかと考えてみるがまったく検討がつかない。

(まあまた後でもう一回聞いてみようかな?)

そのころ凛はというと、

(はあ・・・絶対隠し事をしているのはばれているな。)

朝の自分の返事はあからさまに怪しかったのを解っているらしい。

(だがあの手紙の、家の事で迷惑を掛けるわけにはいかないし・・・。)

悩みの原因は朝の手紙らしい。

(しかし、式森達に手伝って貰わなければ自分ではどうしようもない・・・どうするか・・・。)

この後、そのまま悩み続け学校が終わるまでずっと上の空だった事を記しておく。

〜学校が正門の前〜

「凛ちゃん教室に居なかったね。」

「そうね。部室にも居なかったしもう帰ったんじゃない?」

「結局何を悩んでいたのか聞けませんでしたね。」

三人が話しながら出てくる、そこへ、

「あの、すいません。」

凛が話しかけてきた。どうやら正門の出たすぐの所で待っていたらしい。

「あれ?凛ちゃん?」

「あ、こんな所に居たの。」

「帰ったと思ってました。」

「はい、三人を待っていました。実は少し式森に頼みが。」

「僕に?」

「ああ、朝は言い出せなくてな。理由は歩きながら話す。」

少し歩き通学路の中ほど、朝凛とあった辺りで立ち止まり一枚の紙を取り出し差し出す。

「実はこの手紙が今朝届いてな。」

「手紙?読んでもいい?」

「ああ、本家から来たんだ。読んでくれ。」

苦虫を噛み潰したような顔をしながら差し出す凛に読んでもいいかと聞くと、読んでくれと答えてきたので読んでいく、

内容はと言うと、
『報告を踏まえた上での本家の決定を伝える。
 式森和樹を本家へと連れて帰るのは不可能との判断し諦める事を伝える。
 であればそちらに滞在する必要性は無しと見、本家へと帰って来るように命ず。
 そしてこちらで剣の腕を磨くように。
 元々葵学園への入学はこちらの意図でも了解を取っての行動でも無い事からこの命への拒否権は無い物と思うように。
 以上。                   本家一同


 とゆう訳だから迎えに行きます。         駿司』
である。

「勝手ね。」

「勝手ですね。」

「勝手だね・・・てかこの最後の駿司って。」(もしかして神城の猟犬?あの人狼の人の事かな?)

「私の本家での剣の師兼兄代わりだ。」

三人それぞれ感想を伝えながら気になった事を和樹が凛に聞くと、そう返事が返ってくる。
腹立たしさと申し訳なさが混じったような顔をしながら、

「実は悩んでいるのはその駿司の事なんだ。」

そう話し始めた。

「彼には小さな頃からかなり世話になっていてな。
 兄代わりと言ったがその通りまだ小さかった頃いきなり本家に連れてこられた私の世話を何かとしてくれてな。
 剣の師としては鬼のように厳しかったが、それ以外ではいい兄だったんだ。
 夏になると毎年近く祭りに連れて行って貰ったし、修行の一環という名目で山に連れて行って遊んで貰ったりな。
 さすがに他の本家の子供や近くの子供と一緒にあそんだりは他の者の目が厳しくて出来なかったが、そんな私を何かと気遣ってくれていた。
 中学を卒業して葵学園に勝手に進学を決め、逃げるように本家を出た私を唯一応援してくれて、出発の日に見送りにも着てくれた。」

目を瞑って思い出して居るのか少し笑うが、すぐに厳しい表情に戻り、

「前にも言ったが私は本家の命令に従うつもりなどさらさら無い。だが迎えに来る駿司に迷惑は掛けたくない。
 それに彼が本気で私を連れて帰ろうとすれば私では抵抗も出来ない。それくらい彼は強い。」

そう言い切り下を向いた。

「なるほどね。それで僕に頼みって?話を聞いてるとその人を追い返したりとかそういうのでは無いみたいだけれど。」

凛の話を聞き首を傾げながらそう聞く和樹、

「それは・・・私に剣を教えて欲しいんだ。」

「剣を?なんでまた。」

「その手紙を読んでみるに多分本家の考えとしては、
 『式森和樹を本家に連れて帰るのが不可能な以上本家で修行させた方が腕もよく伸びるだろうし将来家業を継がせるのにも好都合』
 という事だと思う。
 それでだこちらに居たほうが剣の腕の伸びも良く私の反感も買わないとなればこちらに居られると思うんだ。
 剣の腕などに関しては本家の思惑通りになるのは癪だが、どうせ継ぐ気は無いから関係無いしな。
 それに駿司に迷惑を掛けずにこちらに残るにはそれしか思いつかない。」

本当に腹立たしそうにそう言い放つと行き成り地面に土下座し、

「頼む!家の事で迷惑を掛けるのははなはだ不本意なのだがあそこには戻りたくないんだ!
 だが葵学園の学費は親に出して貰っている。
 もちろん私の実家の豆腐屋の親にだが本家から圧力を掛けられ支払いを止められたら私にはどうしようもないんだ!
 だから本家をなんとか納得させた上でここに残るには式森に頼む他に無いんだ!お願いだ!私に剣の稽古を就けてくれ!」

「ちょっと凛ちゃん!?」

そう地に頭を擦り付ける勢いで頼み込む凛に和樹が慌てだす。本当に戻りたくないのだろう。

「頼む・・・今朝手紙が届いてからずっと悩んでいた。だが他に方法が思いつかないんだ。迷惑だとは思うが頼む!」

顔を上げ今にも泣き出しそうないや少し泣きながらそう頼んでくる凛に、

「泣かないで凛ちゃん、別に迷惑なんかじゃないから。そういう事なら喜んで協力するよ。」

「そうね・・・正直私も話を聞いただけで腹が立つわ。なんなら私が出向いて説得してあげましょうか?力づくで。」

「そうです!そんな身勝手な人達に負けちゃ駄目ですよ凛さん!私にも出来る事もし何かあったら言ってくださいね協力しますから!」

和樹がそう涙を拭いてあげ微笑みながら言う、アルトも夕菜もかなり頭に来ているらしい。アルトの言っている事はいくら何でもあれだが。

「ありがとうございます。本当にどれだけ感謝したらいいか。」

嬉しそうに溢れてくる涙を拭いながらそういう凛、だがそこへ、

「ちょっといいかな?申し訳ないけれど。」

話しかけながら木の上から降りてくる影が一つ。

「あなたは?」(恐らくこの人が駿司さん。神城の猟犬、数少ない人狼の生き残り。)

警戒しながら和樹が問う、

「初めましてだね。僕は駿司、神城駿司。凛の言った通り剣の師であり兄代わり?かな?」

そう微笑みながら答えた。


〜後書き〜
第十二話お届けしました。
アルトと夕菜の影が薄いのはご勘弁を。
凛ちゃんが大いに悩んだ回でした。
さてさて駿司さんが彼達の前に姿を見せました。次回どうなる事やら。
最初にこれだけは言っておきますね。彼は死なないです。
病気とか寿命とかで弱ってるという事は無いです。
恐らく次々回あたりにバトルの予定です。

レス返し〜
zero様
ありがとうございます^^
あ〜でも現在唯一の月姫レギュラーのアルトは立ち絵すら登場していないのですがね〜^^;
ですがそう言って頂けるとかなり嬉しいです^^
面白いですよ〜メルブラもやってみてくださいね〜^^

西手様
ありがとうございます^^
主人公はカッコ良く書きたいのでそういって貰えると嬉しいです^^
まあ原作のどこか情けない和樹も大好きなんですがw

ケルベロス様
ええ無難には終われませんw終わらせませんw
一戦してもらいますよ〜w

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